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MDR-TB(多剤耐性結核)


結核の標準治療は
・2HREZ+4HR
・6HRE+3HR (2HRE+7HR)
であるし、私もこのように行っている。

しかしながらWHOの結核治療は、初回治療か否かで分類している。
すなわち、以下の通りである。
・初回治療:2HREZ+4HRあるいは6HE
・治療歴あり:2HRESZ+1HREZ+5HRE

多剤耐性結核(MDR-TB)は、INHとRFP両方が耐性の結核のことを指す。
MDR-TBの治療は、感受性の薬剤を3剤以上含むことが重要になる。
(感受性薬2剤以下では治療失敗の可能性が高いため(結核2001;76:723-8))
そのため、いかに感受性3剤を含めるかがキーポイントとなる。

抗結核薬は、INH、リファマイシン(RFP/RFB)以外に7種類ある。
すなわち、PZA、EB、注射薬(SM,KM,EVM)、
フルオロキノロン(SPFX、LVFX、OFLX、CPFX)、TH、CS、PASである。
RFPとRFBの使い分けはあまり私は知らない。
RFP耐性RFB感受性の結核にRFBを使用しても意味がないとの意見もある。
注射薬は、SM→KM→EVMの順番で使用することに異論はないだろう。


●E耐性あるいはS耐性TB
 標準治療通りでOK



●INH耐性RFP感受性TB(結核病学会)
・PZA使用可能例
 RPF・PZA・SM(またはKM,EVM)・EB or LVFX、または感受性のある
 セカンドラインの1剤を加えた4~5剤で菌陰性後6か月まで継続し、
 その後REの2剤。
 治療期間は9か月あるいは菌陰性後6ヶ月間の長い方を選択する。
 ただしSMは最大6か月
・PZA使用不可能例
 RPF・SM(またはKM,EVM)・EB・LVFXまたは感受性のある
 セカンドラインの1剤を加えた4剤で菌陰性後6か月まで継続し、
 その後REの2剤。
 治療期間は12か月あるいは菌陰性後6ヶ月間の長い方を選択する。
 
●INH耐性RFP感受性TB(アメリカCDCガイドライン)
 6REZ±フルオロキノロン
 PZAは2か月でも治療成功率95%
 
●INH耐性RFP感受性TB(WHOガイドライン)
 2~3REZSM+6RE

●INH耐性RFP感受性TB(当院)
 2REZ+10RE あるいは 6REZ+3RE



●INH感受性RFP耐性TB(結核病学会)
1.PZA投与可能例
 INH・PZA・SM(またはKM、EVM)・EB・
 (±LVFXまたは感受性のあるセカンドライン1剤)の4~5剤で菌陰性後6か月。
 その後INH・EB・(LVFXまたは感受性のあるセカンドライン1剤)の2~3剤。
 治療期間は菌陰性後18ヶ月間。
 ただし、SM投与は最大6か月
2.PZA投与不可能例
 INH・SM(またはKM、EVM)・EB・
 LVFXまたは感受性のあるセカンドライン1剤 の4剤で菌陰性後6か月。
 その後INH・EB・LVFXまたは感受性のあるセカンドライン1剤 の3剤。
 治療期間は菌陰性後18~24ヶ月間。
 ただし、SM投与は最大6か月
 
●INH感受性RFP耐性TB(アメリカCDCガイドライン)
 2HELZ+10~16HEL 
 広範囲病変なら注射薬を2~3剤加える

●INH感受性RFP耐性TB(当院)
 9HSZ あるいは 12HEZ あるいは 6HEZ+12HE



●INH・RFP耐性TB(結核病学会)
 感受性のある抗結核薬を4剤以上
 治療薬の一部が投与できない場合には、
 優先順位 (PZA-SM-EB-フルオロキノロン-KM-TH-EVM-PAS-CS)に従って
 感受性のある薬剤を順次選択する。ただし、注射薬は複数併用できない。
 耐性薬剤は使用しない。INH低濃度耐性高濃度感受性の場合は使用してもいいが
 4剤以上の数には含めない。治療期間は菌陰性後24ヶ月とする。

●INH・RFP耐性TB(アメリカCDCガイドライン)
 フルオロキノロン、PZA、EB、注射薬に加えてその他のセカンドラインを
 18~24か月使用する。
 EBまたはPZA耐性なら、耐性薬をのぞき他のセカンドラインを2剤追加する。
 1剤追加はしない。
 治療変更時は少なくとも3剤の未使用感受性薬剤を用いる。1剤は注射薬。
 その他でも未使用で有効と思われる薬剤があったら追加する。
 
●INH・RFP耐性TB(WHOガイドライン)
 ロシアでの経験から
 6ヶ月間のCPM、EB、PZA、フルオロキノロン、HT、PASまたはCS
 12ヶ月間のEB、フルオロキノロン、TH、PASまたはCS

文責"倉原優"

by otowelt | 2009-08-24 17:17 | レクチャー

レボフロキサシン500mgによるQT延長作用の検討


クラビット500mg錠を使うにあたり、副作用に注意すべきことはないかと
いろいろ勉強していたら、フルオロキノロンでは多少なりとも知られた
QT延長症候群が目に入った。

化学療法学会雑誌で、500mgでの検討を行った原著論文があった。

Levofloxacin注射剤500mg単回投与の健康被験者におけるQT 間隔に対する影響
日本化学療法学会雑誌 MAR.2009


概要:
 Levofloxacin 500 mg 単回静脈内投与のQT 間隔に対する影響を評価するため
 健康な日本人男女を対象としたプラセボ対照クロスオーバー試験を実施。

方法:
 年齢(20 歳以上45 歳以下または65 歳以上79 歳以下)および性別が均等に
 なるように48 名の被験者を登録した。第1 期および第2 期にlevofloxacin または
 生理食塩液を投与した。標準12 誘導心電図を各投与期の点滴開
 始後0.5 時間,1 時間,1.5 時間,2 時間,2.5 時間,3 時間,4 時間,8 時間,
 12 時間,24 時間に記録した。
 デジタル心電図データは,中央心電図測定機関に送信され,背景情報が
 盲検化された後,マニュアル計測が行われた。QT 間隔に対しては
 Fridericia 法(QTcF),Bazett 法(QTcB)および試験集団固有のべき数
 (QTcP=QTRR0.410)による心拍数補正を行った。
 線形混合モデルを用いて,QT 間隔のベースラインからの変化量(Δ QTQTc)
 Δ QTQTc のlevofloxacin 群とプラセボ群との間の差(ΔΔ QTQTc)および
 片側95%CIの上限値を算出した。

結果:
 Tmax時のΔ QTcF はlevofloxacin 群で2.1 ms,プラセボ群で-1.3 ms
 ΔΔ QTcF は3.4 ms(片側95% 信頼区間上限5.2 ms)であり
 Torsades de Pointes を引き起こすリスクがないとされている範囲
 (ΔΔ QTQTc 5 ms 以下)内であった。男性または非高齢者と比較して,
 女性または高齢者でΔΔ QTcF が若干大きかったが,いずれも5 ms 以下の作用だった。

結論:
 以上より,levofloxacin のQT 間隔に対する作用はきわめて弱く,
 Torsades de Pointesを誘発する可能性は非常に低いと考えられる。

by otowelt | 2009-08-23 00:39 | 感染症全般

CDADにおけるリボタイプ別リスク


偽膜性腸炎はもはや今やCDAD(C.difficile関連腸炎)と呼ばれる時代だが
私の病院でも、カルバペネムとクリンダマイシンの使用例が多いためかCDADが多い。
場合によっては、壊死性筋膜炎でもないのに両者を併用しているケースもある。
チャーシューメンに、ラーメンをトッピングで頼むようなもんだ、と誰かが言っていた。
(感染症治療の当たり前が、当たり前になっていない現状がある病院はまだ存在する)

CDADは見逃されているケースが多いと思われるが、
リボタイプ027の毒素産生が多いのは有名な話である。
JHIから、まぁそういう内容の論文が出ていたのでチョロっと読んでみた。

Clostridium difficile ribotypes 027 and 106: clinical outcomes and risk factors
Journal of Hospital Infection (2009) 72, 111-118


背景:
 イングランド南東部の地区総合病院において、Clostridium difficile関連下痢症
 発症のリスク因子、固有のリボタイプとの関連、および芽胞による汚染について調査。

方法および結果:
 酵素免疫測定法による便検体からのC. difficileトキシンの検出後、
 下痢97症例由来のC. difficile分離株のリボタイピングを行った。
 分離株の各種抗菌薬感受性をE-testを用いて調査した。症例の抗菌薬
 投与歴を評価し、臨床転帰を追跡した。年齢、性別、病棟、入院期間、
 併存疾患をマッチさせた対照を設定し、リスク因子抗菌薬を回帰分析を用いて判定。
 サイクロセリン-セフォキシチン-卵黄寒天培地により、病棟環境のサンプリングを行った。
 C. difficile分離株のリボタイプは45%が027、39%が106、10%が001。
 すべてのリボタイプがシプロフロキサシン、エリスロマイシン、およびセフォタキシム耐性
 であったが、メトロニダゾールおよびバンコマイシン感受性は保持していた。
 027菌株による粗死亡率(28日以内の死亡)は23%、
 早期死亡率(72時間以内の死亡)は11%であったが、
 リボタイプ106ではそれぞれ11%、3%であった。
 7日を超えるシプロフロキサシン投与が有意なリスク因子だった
 (OR3.72、95%CI 1.38~10.02、P=0.019)。環境サンプリングにより、
 室内用便器、差し込み式便器(bedpan shells)などの糞便で汚染された用具
 に芽胞が認められ、洗浄後も残存することが明らかとなった。

結論:
 リボタイプ027の死亡率は他のリボタイプよりも高い。
 シプロフロキサシン投与がC. difficile関連下痢症を助長すると考えられるため、
 使用は短期間に制限すべきである。

by otowelt | 2009-08-22 03:01 | 感染症全般

Wegener肉芽腫症患者の下気道には有意にブドウ球菌が多い


Wegener肉芽腫症患者における再発はしばしば経験するが、
これにブドウ球菌が関連しているのではないか、という論文が
Thoraxに掲載されていた。

Pulmonary infection in Wegener granulomatosis and idiopathic pulmonary fibrosis
Thorax 2009;64:692-697


背景:
Wegener肉芽腫症(WG)は、Staphylococcus aureusの鼻腔定着を
起こすとされているが、下気道における病原性について検討されていない。

目的:
WG患者におけるBALF検体を、IPF患者および健常人と比較した。

方法:
 33人のWGの患者および、22人のIPF、8人の健常人においてBALF施行。
 定量的培養を下気道において評価した。またBALF中のサイトカインを
 ELISAにて計測。

結果:
 病原微生物はIPFよりもWGの方に多く認められた。
  S.aureusが多かった。
 インターロイキン1受容体アンタゴニスト (IL1ra)が、病原微生物が
 同定されたBALF中に高くみられた。

結論:
 BALF中の病原微生物はWGにおいて有意に高い。特にS.aureusの発育が
 多く認められた。IL1raはこの病原微生物と関連性がみられた。
 そのため、WGの再発および治療抵抗性の場合には、S.aureusを狙った治療も
 選択肢に入るかもしれない。

by otowelt | 2009-08-21 08:45 | びまん性肺疾患

脾臓摘出後重症感染症(OPSI)


●OPSIとは
 脾臓摘出者は経過中にS.pneumoniae などによる感染症にかかり
 数時間から数日で死に至る場合がある。
 その死亡率は50~75%と報告されており、
 脾臓摘出後重症感染症overwhelming postsplenectomy infection(OPSI)
 と呼ばれている。
    Perdiatr Dev Pathol 2001;4:105―21

●機序
 脾臓は食菌・浄化、特異的免疫応答、オプソニン産生を行う臓器であり
 脾摘者ではこれらの機能が失われるため、
 重篤な感染症を引き起こすといわれている。
    Infect Dis Clin North Am1996;10:693―707.

●起因菌
 S. pneumoniaeが最も多く、50~90%と報告。

●発症
 OPSI の合併頻度は脾臓摘出者の約5%であり、発症までの期間は
 5日~35年と幅広く分布。

●予防
 OPSI の発症予防として肺炎球菌ワクチンの接種が推奨。
    JAMA 1993;270:1826―31.

by otowelt | 2009-08-20 10:32 | レクチャー

胸膜癒着術における早期肺拡張は予後に関連しない


癌性胸膜炎に対して、胸膜癒着術を行うことがしばしばある。
呼吸器内科医なら誰しもが経験していることと思う。

<レクチャーレビュー>
http://pulmonary.exblog.jp/9637489/

肺拡張速度が早すぎると、再膨張性肺水腫のリスクになると言われているが
陰圧をかけない自然ドレナージであれば、1日に何リットル抜いても
問題ないとも言われている。
 Ann Thorac Surg 45:340-345, Mar 1988

胸膜癒着の際、-15~-20cm水柱の陰圧をかけることが多いが、
この肺拡張速度は速い方がいいのか、それともゆっくりした方がいいのか
どっちでもいいのかという疑問が生じる。

CHESTに、肺完全拡張を急速に行うことが結果には
対して影響しないという内容の論文が掲載されていた。

Is Full Postpleurodesis Lung Expansion a Determinant of a Successful Outcome After Talc Pleurodesis?
CHEST August 2009 vol. 136 no. 2 361-368


目的:
 タルクによる胸膜癒着後の肺拡張について、VATSあるいは胸腔ドレーンによる
 拡張を比較して臨床的アウトカムに関連するかどうかを検討。
 (VATSでもタルクを使用)
 セカンダリエンドポイントとして、効果、安全性、QOL、生存率を設定。

方法:
 プロスペクティブ無作為化試験に登録したのは60人(女性45人、男性15人、
 平均55.2歳)。いずれも再発性の悪性胸水で、2005年1月から2008年1月までの
 症例で検討された。彼らはいずれもVATS+タルク散布群、
 ドレーンからのタルク注入群にランダム化された。
 肺拡張はCTにて0、1、3、6ヶ月後に判定された。
 合併症、ドレナージ時間、院内滞在時間、QOLも解析された。

結果:
 2群にプライマリエンドポイントで差が出なかった。早期肺拡張(90%以上)が
 27人(45%)でみられたが、VATS群の方でよく観察された。(60% VS 30%, p=.027)
 フォロー期間中、71%の患者で肺拡張の不変ないし改善が認められた。
 また9人(15%)の患者で、新たな手技を必要とした。
 (VATS群:5人が再発、癒着群:4人が再発)(p = 0.999)
 合併症に差はみられなかった。その他合併症、ドレナージ時間、院内滞在時間、QOL
 に差はみられなかった。

結論:
 急速な肺拡張は胸膜癒着後にしばしばみられる現象だが、
 それによる臨床的アウトカムの改善は特にみられない。

by otowelt | 2009-08-20 08:42 | 肺癌・その他腫瘍

関節リウマチに対しての雷公藤はサラゾスルファピリジンより優れる

e0156318_1342216.jpgComparison of Tripterygium wilfordii Hook F Versus Sulfasalazine in
the Treatment of Rheumatoid Arthritis
A Randomized Trial
Ann Intern Med. 2009;151:229-240.


リウマチに対する、アザルフィジンと漢方薬の一騎打ち。
膠原病界では有名な話のようだ。

サラゾスルファピリジン(アザルフィジンetc)のRAにおける有用性は多くの試験や
メタ分析で確認されており、特に早期で比較的軽症のRAでの有用性が強調されている。
効果の強さはヒドロキシクロロキンに優っており、注射金剤および
D─ペニシラミンとほぼ同等とされる。
 Arthritis Rheum 1988;31:702-13.
 Scand J Rheumatol 1995;24:330-5.
 Br Med J 1983;287:1099-102.


SASPの抗リウマチ薬としての特徴は速効性にあると考えられ、
比較的早期で軽症~中等症のRAがよい適応と考えられる。


方法:
 アメリカの活動性RA(関節リウマチ)患者121人をランダムに2群に分け、
 一方(60人)に漢方薬の雷公藤(Tripterygium wilfordii Hook F)抽出物を
 一日180mg、もう一方(61人)に免疫調節薬のサラゾスルファピリジンを
 一日2g投与。免疫を抑える経口ステロイドと、非ステロイド性抗炎症薬の
 安定用量での服用は認めた。

結果:
 24週後、関節の疼痛や腫脹が20%以上改善した患者割合は、
 雷公藤群では65.0%で、サラゾスルファピリジン群の32.8%より有意に高かった。
 有害作用を呈した者の割合は、雷公藤群(88.3%)と
 サラゾスルファピリジン群(90.2%)で有意差なし。
 有害作用の60%が消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、腹痛など)。

 本試験では中途の脱落が多かった。有害作用が原因と考えられたのは、
 雷公藤群が7人に対して、サラゾスルファピリジン群は17人と有意に高かった。
e0156318_13445162.jpg

結論:
 関節リウマチに対しての雷公藤はサラゾスルファピリジンより優れる。

by otowelt | 2009-08-19 13:37 | 内科一般

アスピリンは大腸癌全死亡率を減少させる


私は呼吸器内科医だが、大腸癌肺転移もたまに診察することがある。
結核合併例では主治医として治療させていただいたこともある。
この論文はかなり消化器内科医にとってはトピックと思われる。
腎細胞癌に対するソラフェニブと同様、驚異的と言わざるを得ない。
なにせ、死亡率の低下が大きい上に、アスピリンは安い!

以前からCOX-2活性を阻害する作用を持つアスピリンに
大腸癌予防効果があるのではないかと期待されてきた。
2009年5月30日から6月4日まで開催された米国消化器学会で、
マサチューセッツ総合病院のAndrew T.Chan先生が発表したものが
JAMAから論文としてリリースされた。

Aspirin Use and Survival After Diagnosis of Colorectal Cancer
JAMA.2009; 302: 649-658.


背景:
 アスピリンは大腸悪性腫瘍のリスクを下げる可能性があることがわかっている。
 しかしながら、生存率に寄与するかどうかはまだわかっていない。

目的:
 アスピリンを服用している患者が、大腸癌患者において
 生存率に影響を与えるかどうかを検証。

デザイン:
 プロスペクティブコホート試験であり、1279人の男女でstage I~IIIの大腸癌
 を登録した。1980年~1986年に診断されたケースを2008年6月1日まで追跡した。

主要転帰:
 大腸癌による死亡率、あるいは全死亡率

結果:
 大腸癌と診断される前にアスピリンを定期的に服用していた場合、
 大腸癌による死亡率についても、全死亡率についても、
 服用していない場合と比べて特に差はみられなかった。
 また大腸癌と診断された後でアスピリンを定期的に服用すると、
 服用していない場合に比べ、大腸癌による死亡率が29%も有意に低下
 (95%CI:0.53-0.95、p=0.02)全死亡率についても有意に改善(p=0.03)。
 大腸癌と診断される前にアスピリンを服用していなかった患者719人については、
 診断後にアスピリンを服用しなかった536人に比べ、
 診断後にアスピリンを服用し始めた183人では大腸癌による死亡率が
 47%低下(95%CI:0.33-0.86)。
 免疫組織学的評価が可能だった459人について、COX-2の過剰発現の有無と
 大腸癌の関係を調べた。その結果、COX-2が過剰発現していた患者314人では、
 アスピリンを定期的に服用していた132人で、服用しなかった182人に比べ
 大腸癌による死亡率が61%と大幅に低下した(95%CI:0.20-0.76)。

結論:
 大腸癌診断後におけるアスピリンの使用は、全死亡率低下をもたらす。
 特にCOX-2過剰発現患者においてそれは顕著である。

by otowelt | 2009-08-18 08:54 | 肺癌・その他腫瘍

気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない


気管支鏡施行前に、アトロピンやジアゼパムなどを
用いることがあるが、これは気道分泌を減らしたり安心感を与えるため
と考えられている。
これによって本当に恩恵があるのかどうかを検討した論文がCHESTから出た。

グリコピロレートというのは、麻酔の分野では
アトロピンにかわって使われることもある抗コリン薬である。
特徴は、頻脈になりにくい、より強い分泌物抑制効果がある、
BBBを通過しないのでアトロピンよりも麻酔後の記憶障害が少ない。

Anticholinergic Premedication for Flexible Bronchoscopy
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Atropine and Glycopyrrolate
CHEST August 2009 vol. 136 no. 2 347-354


背景:
 抗コリン薬は、気管支鏡の前投薬としてよく使われているが
 潜在的リスクよりも利益が上回るかどうかはよくわかっていない。

方法:
 1000人の気管支鏡患者に対して、アトロピンとグリコピロレートの
 安全性を検討。
 339人の患者はアトロピン(0.01 mg/kg)、336人の患者はグリコピロレート
 (0.005 mg/kg)、325人の患者はプラセボ(2 mL of normal saline solution)を
 筋肉注射した。これらはランダム化された。
 施行者および被験者が感じた気道分泌、咳嗽、患者不快感、SpO2、施術時間、
 副作用頻度などが検討された。

結果:
 施行者の報告した気道分泌は、グリコピロレート(p = 0.02)および
 アトロピン(p = 0.064)で少なかった。しかしながら、
 患者の訴えた気道分泌の多さ、患者および施行者の報告した咳嗽・不快感とは
 いずれも関連性がなかった。また、いずれの薬剤もサチュレーション低下とは
 関連がなく、アトロピンは施行時間が長くなってしまう傾向にあった(p = 0.042)。
 心拍数や血圧上昇は抗コリン薬、特にアトロピンでよく認められた。

結論:
 抗コリン薬は気道分泌を減らすかもしれないが、
 咳や不快感やサチュレーションには関連がない。しかしながら、
 気管支鏡施行時間を長くしたり、循環動態を変動させる。
 ルーチンでの抗コリン薬は気管支鏡施行時には必要ないと考えられる。

by otowelt | 2009-08-17 09:20 | 気管支鏡

結核標準化学療法へのPNU-100480の追加効果

抗結核薬は抗菌活性の強弱と交差耐性の観点から3 種類に分類されることが多い。

① 殺菌作用を有するもの
 RFP、INH、aminoglycosides(SM、kanamycin:KM、amikacin:AMK、
 capreomycin:CPM)、ethioamides(ETH)、pyrazinamide (PZA)
② 弱い殺菌作用を有するもの
 fluoroquinolones(ofloxacin:OFLX、levofloxacin:LVFX など)
③ 静菌作用を有するもの
 ethambutol (EB)、cycloserine(CS)、para-amino-salicylic acid(PAS)

ザイボックス(リネゾリド)を代表とするオキサゾリジン系抗菌薬も
in vitro とin vivoで結核菌とMAC に対して抗菌活性を示すことが知られている。
  Antimicrob Agents Chemother 43: 1189~1191, 1999

そのため、サードラインに位置付けられている。
MDRTBの腎不全時なんかでは活躍できるか。

Addition of PNU-100480 to First-Line Drugs Shortens the Time Needed to Cure Murine Tuberculosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 180. pp. 371-376, (2009)


PNU-100480 はリネゾリドと同じく、オキサゾリジン系抗菌薬である。
抗結核薬としての試験がいくつか進行している。
AJRCCMに、標準治療にオキサゾリジンを加える論文があったので
ここに少し留意しておく。

by otowelt | 2009-08-15 11:29 | 抗酸菌感染症