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扁桃周囲膿瘍におけるFusobacterium necrophorumの疫学


CIDより。
扁桃周囲膿瘍に関するFusobacteriumの論文。

Fusobacterium necrophorum: Most Prevalent Pathogen in Peritonsillar Abscess in Denmark
Clinical Infectious Diseases 2009;49:1467–1472


背景:
 Group A streptococci(A群溶連菌)は、最もよくみられる
 急性扁桃周囲膿瘍(PTA)の起因菌である。 しかしながら、PTAの多くは
 嫌気性菌も関連しており、Fusobacterium necrophorum(FN)の関連が
 考えられる。このスタディの目的は、デンマークにおけるPTAの
 疫学調査であり、その微生物学的データを検証することにある。

方法:
 レトロスペクティブにPTA患者を調査。Aarhus大学病院に入院した患者で調査。

結果:
 847人の患者がこのスタディに組み込まれた。平均年間PTA患者は
 41 cases/100,000 populationであった。同定された菌については
 FNが23%と最も多く、GASが17%とそれに続いた。GCSは5%であった。
 191のFNが同定され、81%がpure cultureとしてはえた。他の菌と比べて
 FNのPTA患者は若い傾向にあり(P<.001)、好中球が多く(P<.001)、
 CRPが高かった(P=.01)。

結論:
 これはPTA患者におけるFNの有病率を報告した最初の論文である。
 CRPと好中球が有意に高い患者では、PTAにおけるFNの関連を考える必要がある。

 → GAS迅速チェックのみで抗菌薬投与は安易ということか???


救急をやっていたときは、非常にGASの扁桃炎が多く
Centor's criteriaを用いて迅速チェックをしたりしなかったりしていた。
バイシリンGを処方していたが、当然ながらFusobacteriumには無効である。
明らかに膿瘍のものに関しては、アンピシリン/スルバクタムを使用していたが
このabscess or non-abscessという判断は結構難しいと思う。

by otowelt | 2009-10-30 11:09 | 感染症全般

気管支拡張症患者の死亡リスク


今月のERJより。
アブストラクトしか読んでないが、アバウトすぎる。

Mortality in bronchiectasis: a long-term study assessing the factors influencing survival
Eur Respir J 2009; 34:843-849


背景:
 気管支拡張症に関する死亡率に関してはあまり言及されていない。
 このスタディの目的は、それを調べることである。

患者:
 合計91人の原因のはっきりしない気管支拡張症患者で検証。
 肺機能およびHRCT、喀痰、QOLを13年間にわたりフォローアップした。

結果:
 29.7%の患者が13年間で死亡した。
 St George’s Respiratory Questionnaire activity score、
 Pseudomonas aeruginosaの感染、肺機能におけるTLCが
 おもにその死亡と統計学的に関連づけられた。

結論:
 気管支拡張症患者では、拘束性および閉塞性換気障害の程度や
 慢性緑膿菌感染症の存在が死亡と関連づいている。

by otowelt | 2009-10-30 10:54 | びまん性肺疾患

AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)

ALI/ARDSの話をするときに、最近よく耳にするようになったAFOP。
Beasleyらの報告が非常によくまとまっているので、ダウンロードをおすすめします。

Mary Beth Beasley, et al.
Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia
A Histologic Pattern of Lung Injury and Possible Variant of Diffuse Alveolar Damage
Arch Pathol Lab Med. 2002;126:1064–1070


●AFOP(Acute Fibrinous and Organizing Pneumonia)とは
 Beasleyらが提唱した概念で、急性の肺病変でみられる肺障害の新しいパターンである。進行性の呼吸困難が主たる症状であり、咳・発熱・胸痛を伴う。しかしながら、AFOPについて書かれた論文は多くない。SARS、感染症(Haemophilus influenza、Acinetobacter)、膠原病、薬剤などが原因となる。基本的にはDADのバリアントと考えられている。
             Mod Pathol 2005; 18:1-10. 
 AFOPを疑う段階は、OPを画像上疑ったときであるが、病理学的に述べられる見解であるため、臨床と画像だけでは意味をなさない概念である。

●画像
 Beasleyらは15人のAFOPの画像上の特徴として"bilateral basilar infiltration"としている。基本的にはOPパターンであり、多発性、移動性、斑状、びまん性の陰影で、胸膜直下かつ両側性に広がる。Kobayashiらは、孤立性結節影とエアブロンコグラムパターンを報告している。
        J Thorac Imaging 2005, 20(4):291-293.

●組織像
 ALIの際にみられる病理組織パターンで、DAD・BOOP(OP)・EPパターンとは異なるもので、肺胞内フィブリン形成(fibrin ball)がみられる病理組織像。
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by otowelt | 2009-10-28 12:30 | びまん性肺疾患

アバスチン、非小細胞肺癌に適応拡大

「カルパクアバスチン」
これからの主流になるのだろうか…。
個人的にはしびれの副作用がキライで、患者さんからも
何とかしてくれと言われることが多いので
パクリタキセルの入ったレジメンは使いたくないところがある。

<日経メディカルオンラインより>
抗血管内皮成長因子抗体製剤ベバシズマブの適応症が、11月中に肺癌に拡大することが確実となった。10月19日に開催された薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会で適応拡大の承認が報告された。

 追加される適応症は、扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)。2008年11月の申請から約1年で承認が下りることになる。

 進行・再発のNSCLCの非扁平上皮癌にベバシズマブとパクリタキセル、カルボプラチンの併用が、日本人でも有効であることが国内フェーズ2試験で明らかにされている。

 フェーズ2試験は、未治療の進行・再発NSCLC患者で、組織学的に非扁平上皮癌であることが確認された180人の患者を、パクリタキセルとカルボプラチンのみの群(59人)とパクリタキセルとカルボプラチンにベバシズマブを加えた群(121人)に無作為に割り付けられた。パクリタキセルとカルボプラチンは3週間置きにパクリタキセルが200mg/m2、カルボプラチンが6AUCずつ投与され、増悪が観察されるまで、最大6サイクル投与された。ペバシズマブを加えた群は、パクリタキセルとカルボプラチンを同じ用法、用量で投与されるのに加えて3週間置きに15mg/kgのベバシズマブを投与され、増悪が観察されるまで最大6サイクル投与された。

 効果の評価が可能であったベバシズマブ併用群117人とベバシズマブ非併用群58人の結果、無増悪生存期間(PFS)の中央値は併用群が6.9カ月、非併用群が5.9カ月で、PFSハザード比は0.61(95%信頼区間:0.42-0.89、p=0.009)だった。奏効率は、併用群が60.7%(完全奏効が0.9%、部分奏効が59.8%)、非併用群は31.0%(全て部分奏効)だった。安定状態は、併用群で33.3%、非併用群で39.7%だった。

by otowelt | 2009-10-28 08:53 | 肺癌・その他腫瘍

びまん性嚥下性細気管支炎Diffuse aspiration bronchiolitis (DAB)

・DABの歴史
 1978年、山中らがびまん性汎細気管支炎(DPB)に似た肉眼・組織所見を呈するものを
 誤嚥性DPBと記述。福地らがDPBとは異なる疾患としてDABの名称を提唱した。
                    日胸疾会誌 1989; 27: 571-577

・臨床像
 基本的に嚥下性肺炎と同様である。
 急性ではなく慢性の経過であることが異なる。
 異物を繰り返し誤嚥することにより引き起こされた細気管支の慢性炎症性反応。
                       Chest 1996; 110: 1289-1293
 嚥下性肺炎は高齢者に多い。DABは、通常の嚥下性肺炎と比べ突然の発症は少なく
 比較的潜行性と表現され、喀痰・咳は比較的軽度、発熱を伴わない例もみられる。
 炎症反応の上昇も比較的軽度にとどまることが多いとされている。
 多くは多量の誤嚥や嘔吐のエピソードがなく、微量の口腔内の誤嚥の反復が原因と
 考えられており、当然ながら高齢者や寝たきりの患者に多い。
 
・画像
 以下の3点が重要

 小葉中心性結節影(with tree in bud)
 びまん性の分布 (必ずしも下肺野優位ではない)
 末梢肺の過膨脹がない (DPBとの鑑別)


 画像ではDPBと同じく小葉中心性粒状影が主要な所見であるため、DPBらしい陰影を
 みたときにはDABも必ず考慮すべきである。小葉中心性陰影を呈した553例のHRCT
 所見を検討すると、DABは13例みられた。そのうちの12例は
 centrilobular nodules with tree-in-bud appearanceを呈した。
                Chest 2007; 132: 1939-1948
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・DPBとDABの違い
 DABの小葉中心性粒状影の分布は、下肺野で比較的限局する傾向がある。
 組織学的には細気管支壁へのリンパ組織球の浸潤を主体とし一部泡沫マクロファージ
 を混在する慢性炎症が特徴で、細気管支内異物やそれに関連した巨細胞がみられる。 
 
・嚥下性肺炎とDABの細菌学的な差
 喀痰細菌学的検討で、嚥下性肺炎ではS. pneumoniae、Enterococcusが多い。
 DABではK. pneumoniae、P. aeruginosaが50%にみられた。
 急性と慢性の差なので、あまり重要視しなくてよさそうだが・・・
                      日胸疾会誌 1989; 27: 571-577

・DABの治療
 誤嚥の防止と気道感染のコントロール
 嚥下性肺炎に準じた抗菌薬投与

by otowelt | 2009-10-27 23:40 | レクチャー

SCLC治療においてCBDCA+MTAはCBDCA+VP16に劣る


アリムタメンテナンスが標準になる可能性がある
NSCLCの分野ではその地位を確立したイーライリリー。
SCLCではどうか??

・・・・結果はネガティブ。

Phase III study of pemetrexed plus carboplatin compared with etoposide plus carboplatin in chemotherapy-naive patients with extensive-stage small-cell lung cancer.

方法:
進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)治療においてペメトレキセド+プラチナが
エトポシド+プラチナの歴史対照と同等の効果を示したとの第II相試験の結果
を受けて、ペメトレキセド+カルボプラチンとエトポシド+カルボプラチンを
比較する第III相試験を実施。

ECOG PS 0~2の化学療法歴のないES-SCLC患者を
ペメトレキセド+カルボプラチン
  (ペメトレキセド500mg/m(2)、day 1;カルボプラチンAUC 5、day 1)または
エトポシド+カルボプラチン
  (エトポシド100mg/m(2)、day 1~3;カルボプラチンAUC 5、day 1)
に無作為に割りつけ、3週毎6サイクル投与した。プライマリエンドポイントは
ペメトレキセド+カルボプラチンの全生存期間におけるマージン15%での非劣性。

結果:
最終解析では、ペメトレキセド+カルボプラチンは全生存期間および
無増悪生存期間においてエトポシド+カルボプラチンに劣っていた
(全生存期間中央値8.1対10.6ヵ月;HR 1.56;95%CI 1.27-1.92;p<0.01、
無増悪生存期間3.8対5.4ヵ月;HR 1.85;95%CI 1.58-2.17; p<0.01)。
奏効率もペメトレキセド+カルボで有意に低かった(31%対52%;p<0.001)。

結論:
ES-SCLCの治療において、ペメトレキセド+カルボプラチンは
エトポシド+カルボプラチンに劣っていた。

by otowelt | 2009-10-20 10:31 | 肺癌・その他腫瘍