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ICUの胸部レントゲンは毎日ルーチンで撮影する必要はない

2号前のLancetに
「ICUの胸部レントゲンは毎日ルーチンで撮影する必要はない」
という論文が掲載されていました。当院は焦げついた患者様ばかり
なので、必然的に毎日撮影しなければならないですが…

Comparison of routine and on-demand prescription of chest radiographs in mechanically ventilated adults: a multicentre, cluster-randomised, two-period crossover study
The Lancet, Volume 374, Issue 9702, Pages 1687 - 1693, 14 November 2009


概要:
 ICU収容の人工呼吸器装着患者に対してルーチンの
 胸部レントゲンを毎日行う群(ルーチン群)あるいは
 患者の病態により必要に応じて胸部X線検査を施行する群
 (オンデマンド検査群)の有効性および安全性を評価する
 クラスター無作為化クロスオーバー試験を実施。

方法:
 フランスの18病院に付設された21ICUをルーチン群または
 オンデマンド検査群に無作為に割り付けて治療を行い(第1期)、
 その後2つの検査法を入れ替えて治療を実施(第2期)。
 各治療期間は個々のICUに20例の患者が登録されるまでとし、
 患者のモニタリングは退院あるいは人工呼吸器装着期間が
 30日に達するまで実施。

結果:
 ICUには967例が登録され、そのうち人工呼吸器装着期間が
 2日に満たない118例は除外。プライマリエンドポイントは、人工呼吸器
 装着例数×装着日数(人・日)当たりの胸部レントゲン平均施行数。

 第1期には、11のICUがルーチン検査群(222例)に、
 10のICUがオンデマンド検査群(201例)に無作為に割り付け。
 第2期には、第1期のルーチン検査群でオンデマンド検査
 (224例)が、オンデマンド検査群でルーチン検査(202例)が実施。

 全体で424例に4,607件のルーチンの胸部レントゲンが施行、
 平均検査施行数は1.09件/人・日であったのに対し、
 オンデマンドの胸部X線検査は425例に対して3,148件が施行され、
 平均検査施行数は0.75件/人・日であった(p<0.0001)。
 オンデマンド検査では、ルーチン検査に比べ胸部レントゲン数が
 32%低減した。装着日数、入院期間、死亡率は両検査で同等。

ディスカッション:
 これらの結果は、ICU収容の人工呼吸器装着患者に対する
 胸部レントゲンは毎日ルーチンに行うのではなく、
 病態により必要に応じて施行する戦略を強く支持する。
 膨大な人工呼吸器装着患者の総数からみて、オンデマンド検査は
 日常診療に実質的なベネフィットをもたらす。

by otowelt | 2009-11-30 13:56 | 集中治療

ARDS/ALIにおけるリクルートメント手技

一時的に用手的に肺に一定の圧をかけて、虚脱した肺胞を
再拡張させる手技がrecruitment maneuvers(リクルートメント手技)である。

Amatoは1985年open lung approachを提唱しているが、これが今の
リクルートメント手技の根幹をなしている報告である。
Am J Respir Crit Care Med 1995; 152: 1835-46

再開通した肺胞を虚脱させないためには、最低でも25cmH2Oの圧力が必要と
される。呼気における圧力なので、それはすなわちPEEPである。

Recruitment maneuvers for acute lung injury:a systematic review.
Am J Respir Crit Care Med 2008;178:1156―1163.


AJRCCMでシステマティックレビューがあるが、医学的根拠とまでは
言えない。どの程度の圧をどのくらいの長さかけるかについても報告によって
まちまちである。

ただ、傾向として以下の場合の成功率が高い。
・使用圧が高い
・加圧時間が長い
・ARDS/ALI発症からリクルートメント施行までの日数が短い


●40-40(forty-forty)(Anesthesiology 2002; 96: 795-802
 40cmH2OのPEEPを40秒間維持する。
 GattinoniやCrottiの報告は否定的な見解も散見される。

●35-30(ARDSネットワーク Crit Care Med 2003; 31: 2592-7
 35cmH2OのPEEPを30秒間維持する。

●Amato法 
 15cmH2O換気圧の状態から、5cmH2OずつPEEPをアップさせて
 45cmH2Oまでもっていく。施行時間は2分。Schreiterらも同様の設定
 で良好な効果を得ている。
 

by otowelt | 2009-11-30 10:53 | レクチャー

肺コクシジオイデス症

・肺コクシジオイデス症
 コクシジオイデス症は米国西南部、メキシコ西部、アルゼンチンのパンパ、
 ベネズエラのファルコン州の半乾燥地域の風土病である。
 半乾燥地帯の限られた地域の土壌中にCoccidioides immitisが生息し、
 その分節型分生子は強風や土木工事などで空中に舞い上がり、これら
 分生子を吸入することにより肺に感染を起こす。
 患者の約0.5%は全身感染に波及し、その半数が致死的となる。

 
・肺コクシジオイデス症の臨床
1. 原発性肺コクシジオイデス症 primary pulmonary coccidioidomycosis
 無症状。40%で感冒症状を認める。約10%の患者(女性に多い)に
 結節性紅斑が見られる

2. 原発性皮膚コクシジオイデス症 primary cutaneous coccidioidomysosis
 まれに皮膚に初発病巣が生じる。刺傷あるいは外傷により感染し、発症する。
 潰瘍を形成し、花キャベツ状の腫瘤となる。

3. 良性残留性コクシジオイデス症 benign residual coccidioidomycosis
 原発性コクシジオイデス症の2~8%の患者の肺に、空洞が形成される。
 病巣は進行せず、感染の恐れもない。自覚症状はほとんどなく、X 線撮影で
 発見される。別名コクシジオイドーマ。

4. 播種性コクシジオイデス症 disseminated coccidioidomycosis
 coccidioidal granulomaとも言う。肺の初感染病巣が進行し、
 血行性に全身に散布する。原発性肺コクシジオイデス症の患者の約0.5%に発生、
 そのうち約半数が死の転帰をとる。免疫不全の患者に起こることが多い。
 皮膚、皮下組織、骨、関節、肝、腎、およびリンパ組織が侵される。
 なお、急性の場合、髄膜炎(coccidioidal meningitis)を併発することが多い。

・肺コクシジオイデス症の画像
 原発性での画像所見の特徴は1 つないし複数の区域性・肺葉性の浸潤影や
 多発結節が約75%、ついでリンパ節腫大、胸水が約20% とされている。
         Radiographics 1995 ; 15 : 255―270

・肺コクシジオイデス症の診断
 病理組織内でC. immitis は、内生胞子を内蔵した球状体、および球状体から
 放出された内生胞子、各種発達段階にある球状体として観察される。
 染色はPAS およびGMS を推奨する。
 病理学的特徴は肉芽腫性炎症と化膿性炎症の混じり合った像であるが、
 どちらが主になるかは病型および菌の寄生形態に左右される。
 肺の初感染巣は主に肉芽腫炎症像を示すが、急性全身感染の場合は
 化膿性炎症像が強くなる。また、球状体の発育段階によっても組織反応は異なってくる。

 免疫反応用抗原としてコクシジオイジン(coccidioidin)および
 スフェルリン(Spherulin)が開発されている。
 ベータ‐1,3 ‐グルカン(β‐1,3‐glucan)を検出するキットも
 コクシジオイデス症に反応するといわれている。
 
 一方、コクシジオイデス症における血清抗体も種々の方法で検出されている。
 沈降抗体は通常感染1週間から3週間の間に出現する。

 本症に伴う好酸球増多は約25%の症例に、また血清IgE 値の増加は
 約35%に認められる。
          West J Med 1988 ; 149 : 419―421. 

・肺コクシジオイデス症の治療
 急性の経過や播種性コ症でAMPH-B を使用するが、
 慢性進行性肺コ症の第一選択薬はFLCZ,ITCZである。
        Clin Inf Dis 2005 ; 41 : 1217―1223.

 播種性コクシジオイデス症の治療は困難である。
 現在イミダゾール系の抗真菌剤(ケトコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール)
 およびフロル化ピリミジン化合物の一種である5‐フルオロシトシン(5‐FC)が
 実用に供されているが、古くから使用されているアムフォテリシンB が
 依然として唯一の確実な治療薬である。
 

by otowelt | 2009-11-24 11:38 | レクチャー

肺ヒストプラズマ症

・ヒストプラズマとは
 ヒストプラズマは菌糸系と酵母系の二つの形態をとる二相性真菌である。
 自然環境下で菌糸系のヒストプラズマの胞子を経気道的に吸入した場合
 肺に病変が生じることがあるが、生体内ではヒストプラズマは酵母系の形態を
 とり、感染性はないとされている。
Principles and Practice of Infectious Diseases. 6th ed. The United States
of America : Churchill Livingstone, 2005 ; 262 : 3012―3026.


 肺ヒストプラズマ症は,Histoplasma capsulatum の胞子を吸入することに
 よって主として肺に病変を引き起こされる深在性真菌症である。
 の流行地として米国ミシシッピー川流域、中南米アマゾン川流域、東南アジアの
 メコン川流域がある。
 
 3種類の原因菌があり、それぞれの感染により病名は
 ・カプスラーツム型ヒストプラズマ症(histoplasmosis capsulati)
 ・ズボアジ型ヒストプラズマ症(histoplasmosis duboisii)
 ・ファルシミノースム型ヒストプラズマ症(histoplasmosis farciminosi)
 と呼ばれている。ただし、カプスラーツム型とズボアジ型との違いは、
 後者がアフリカ大陸でみられ、感染組織内の酵母細胞が前者のそれに
 比べて大きく(直径8~15μm)、組織内に多数の巨細胞が出現してくる
 という以外は、分離菌の間に菌学的(形態的)な違いはない。
 また、ファルシミノースム型はウマ、ロバ等四足獣の病気である。


・ヒストプラズマの臨床
 大量の胞子を吸入した場合,10~18 日の潜伏期の後
 急性肺ヒストプラズマ症として約80% の症例で発熱、頭痛、筋肉痛、咳嗽、胸痛
 などのインフルエンザ様症状を呈する。
 免疫不全や基礎に肺疾患が存在しなければ、ほとんどの場合2~3 週間で自然治癒。
 免疫不全の患者では、播種性の病変を来たし易く致命的である場合が多い。
 AIDSおける合併症として重要であるが、近年は日本においてもAIDS 症例での
 播種性ヒストプラズマ症の死亡例が散見されている。

 非AIDS 症例ではわずか0.001~0.05% のみが播種性ヒストプラズマ症に進展する
 と推測されているが、AIDS 症例においてはその割合は85~96% とも言われる。
               Am J Med 1985 ; 78 : 203―210.

 検査所見は特異所見に乏しく、白血球数異常、軽度の貧血、肝酵素の上昇、
 アルブミンの低下等が認められる程度である。

 1 .急性肺ヒストプラスマ症 acute pulmonary histoplasmosis
   一過性にインフルエンザ様症状を呈し、自然治癒する。
 2 .慢性肺ヒストプラスマ症 chronic pulmonary histoplasmosis
   結核に似た症状を示す。特に、形成された空洞は結核との鑑別が難しい。
 3 .全身性ヒストプラスマ症 systemic histoplasmosis
   急性型は小児に発症しやすく、死の転帰を取ることが多い。
   H. capsulatum が繁殖している洞窟や納屋に入り、多量の分生子を
   吸入した結果起こる。慢性型は細胞性免疫不全の患者に発生しやすい。
 4 .眼ヒストプラスマ症 ocular histoplasmosis
   血行散布により二次的に発症する。特に乳頭部周辺および網膜が侵されやすい。


・ヒストプラズマの画像所見
 肺ヒストプラズマ症の画像所見として、5 mm~30 mm 程度の結節影
 (孤立性が多発性より頻度は多い)や、単発あるいは多発性の境界の
 はっきりしないair space consolidationが多いとされている。
Histoplasmosis : Diagnosis of diseases of the chest 4 th ed.W.B. Saunders, Pennsylvania 1999 ; 876―890.

 重篤なものでは、均一な非区域性の実質陰影を呈することもある。
 縦隔・肺門リンパ節の腫大をしばしば伴うが、胸水は稀。
 急性期に空洞形成がみられることも報告されている。
 肺実質影は2~8 カ月たってから完全に消退するか、線維化して瘢痕を残す。
 また、数年後に多数の石灰化した小結節影としてみられることもある。

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・ヒストプラズマの診断
 血液・骨髄・髄液・気管支洗浄液・喀痰などの検体からH. capsulatum が
 分離培養されれば価値は高いが、一般に急性ヒストプラズマ症における
 培養陽性率は10% 以下と低く、また発育に2~4 週間以上を要する。
               Ann Intern Med 1982 ; 97 : 680―685.

 血液の特異抗体または特異抗原の検出は、ヒストプラズマ症の診断および
 治療のモニタリングとして有用。急性肺ヒストプラズマ症の約80~90%の
 症例では、感染後4~6 週間で抗体価の上昇を認め、それが数か月間持続する。

 補体結合反応による抗体価では、シングル血清の場合、抗体価32 倍以上で
 あればヒストプラズマ症が強く示唆され、8~16 倍でも本症の可能性が疑われる。
 ペア血清における抗体価の4 倍以上の上昇、あるいは感染後期であれば
 4 倍以上の下降は臨床的に有意であると判定される。


・ヒストプラズマの治療
 急性ヒストプラズマ症の軽症~中等症では症状がなければ経過観察。
 症状があればイトラコナゾールで治療を行う。
 重症ではamphotericin B でまず治療を行い、その後イトラコナゾールによる
 治療へ移行する。慢性ヒストプラズマ症の軽症~中等症では症状に関係なく
 イトラコナゾールの治療を行う。重症では急性と同様にamphotericin B で
 まず治療を行い、その後イトラコナゾールによる治療へ移行する。
 histoplasmoma の治療は経過観察で良いと記載されている。

文責"倉原優"

by otowelt | 2009-11-23 17:55 | レクチャー

抗癌剤における新しい制吐剤:アプレピタント

抗癌剤に嘔気・嘔吐の副作用はつきものであるが、
プリンペラン無効、ナウゼリン無効、ノバミン無効、カイトリル無効・・・
ということを、癌治療を行っている医者はよく経験することと思う。

2009年10月16日、制吐薬のアプレピタント
(商品名:イメンドカプセル125mg、同80mg、同セット)が製造承認を取得。
適応は「抗悪性腫瘍薬(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
で遅発期を含む」であり、他の制吐薬と併用することが前提となる。

嘔吐を誘発するいくつかの機序のうち、アプレピタントの作用機序は、
NK-1 受容体を介するものである。現在明らかにされているニューロキニン
受容体NK-1 、NK-2、NK-3 のうち、NK-1 は末梢神経、中枢神経に分布している。
一方、サブスタンスP は11 個のアミノ酸からなるポリペプチドで、
タキキニンと呼ばれる神経伝達物質のひとつであり、腸管および脳に存在する。
サブスタンスP はNK-1 に親和性が高く、サブスタンスP がNK-1 へ結合することが
嘔吐を誘発する機序のひとつであると考えられている。アプレピタントは、
中枢神経系のNK-1 受容体とサブスタンスP の結合を選択的に遮断することにより、
嘔吐を抑制する。このようにアプレピタントの作用点は、これまで使用されてきた
制吐剤とは全く異なるため、他の制吐剤と併用することにより、相乗効果をもたらす。

アプレピタントは、CYP1A2およびCYP2C19 によってもわずかに代謝されるものの、
主にCYP3A4により代謝を受ける。アプレピタントはCYP3A4 の中等度の阻害剤であり
中等度の誘導剤でもある。従って、CYP3A4 により代謝される抗癌剤との
相互作用が問題となる。CYP3A4 により代謝される抗癌剤は、
ドセタキセル、パクリタキセル、エトポシド、イリノテカン、イホスファミド、
イマチニブ、ビノレルビン、ビンブラスチン、ビンクリスチンなどが知られている。
また、アプレピタントは、CYP2C9 を誘導し、ワルファリン療法を行っている
患者に投与するとINRを低下させるとされている。このINR の低下はアプレピタント
投与後7日~10 日に顕著であるため、INR のモニタリング間隔は2週間が妥当。
さらに、アプレピタントはデキサメサゾンとの連続併用時、デキサメサゾンのAUC
を2.2 倍に増加させるため、併用時はデキサメサゾンの約50%減量が推奨されている。
同様に、メチルプレドニゾロンも静脈注射の場合25%、経口投与の場合50%の
減量が必要である。一方、アプレピタントのAUC に影響を与える可能性がある
薬物との併用も問題となる。これらの薬物にはCYP3A4 阻害剤である
ケトコナゾール、イトラコナゾール、エリスリマイシンなどがあり、アプレピタント
のAUC を増加させ、作用を増強する可能性がある。また、CYP3A4 誘導剤である
カルバマゼピン、リファンピシン、フェニトインなどは作用を減弱させる可能性がある。

以下に有用な文献を銘記しておく。
・J Clin Oncol. 2005;23:2822-2830
・J Clin Oncol. 2003;21:4105-4111.
・Eur J Cancer. 2003 ;39:1395-1401
・J Clin Oncol. 2003;21:4112-4119.
・J Clin Oncol. 2001;19:1759-1767.
・Basic Clin Pharmacol Toxicol. 2007;101(3):143-50
・Br J Anaesth. 2007;99(2):202-11.

by otowelt | 2009-11-23 16:33 | レクチャー

SSc患者の半数で早期肺高血圧症がみられる


SScの肺高血圧症といえば、あとあと問題になるケースが多かった
ように思うが、実はそうではないという論文がCHESTから出た。

つまり、早期から肺高血圧症を起こしうる上に
それら早期例は重症化しやすいという結論である。

Is Pulmonary Arterial Hypertension Really a Late Complication of Systemic Sclerosis?
CHEST November 2009 vol. 136 no. 5 1211-1219


背景:
 肺高血圧症(PAH)は、全身性強皮症(SSc)でよくみられる致死的な合併症である。
 PAHは、基本的にはSScの晩期に起こるものと考えられている。
 このスタディは、早期にPAHが起こっていないかどうかを調べたものである。

方法:
 78人のSSc+PAH患者のデータを採取。
 PAHは非レイノー症状が最初に出てから5年以内に診断されたものを
 early-onsetと定義した。それ以外の、5年より長い経過のあとの診断を
 lateと定義した。

結果:
 PAHは平均してSSc診断後6.3 ± 6.6年後に診断された。
 early-onset PAHは43人(55.1%)、late-onset PAHじゃ35人(44.9%)。
 early-onset PAH患者は、late-onset PAH患者よりも年齢が高かった
 (平均年齢, 58.0 ± 12.5 vs 46.6 ± 12.9 years, p = 0.0002)。
 SScサブタイプに差はなかった(limited vs diffuse、
 anticentromere vs anti-Scl70 antibodies)。
 診断時ではearly-onset PAHはlate-onset PAHよりも重症であり、
 低cardiac indexであった(2.4 ± 0.6 vs 2.8 ± 0.6 L/min/m2, p = 0.005)。

結論:
 当初考えられていた結論とは異なり、
 early-onset PAHはおおよそ半分のSSc患者に認められ
 diffuse SScでもlimited SScでも観察された。
 そのため、SScの診断後はすみやかにPAHを検索すべきである。

by otowelt | 2009-11-18 13:24 | びまん性肺疾患

COPD早期発見のツール

COPDを早期発見するのは難しい。
患者も病識が少ないので、軽症例をひっかけるのは
至難の業であることはだれしも経験していることと思う。
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17点以上をCOPD診断の価値ありと判断し、
16点以下はそれ以外の疾患を考える。

by otowelt | 2009-11-17 12:58 | 気管支喘息・COPD

オキシーパをARDS・敗血症で使う理由


・アルギニンが入っていない(NOをおさえるため)
アルギニンは、病態時においては条件付き必須脂肪酸となることもある。
アルギニンは、成長ホルモンやインスリン、プロラクチンなど様々な
ホルモン分泌を促進し、代謝を改善したり、たんぱく質の合成を促進すること
により、創傷治癒の促進や、免疫細胞の活性化により感染を予防する機能が期待できる。
さらに、アルギニンは、核酸の前駆物質として、リンパ球の機能の
正常化・活性化に有用であることが報告されている。また、血管拡張作用や、
殺菌作用を有する一酸化窒素の基質となるため、循環の維持や感染防御能の
増強に有用である。しかし、過剰な一酸化窒素の産生は血管拡張作用に伴う
ショックの誘発や、活性酸素と一酸化窒素との反応によって産生される
過酸化硝酸塩が原因となり、組織障害の原因となりうるため、敗血症時における負荷は
むしろ有害となりうる。 よって、このような患者にはアルギニンを添加した
濃厚流動食の投与は望ましくないとされている。

・ω-3 系脂肪酸が入っている
Immunonutritonでもアルギニンを入れず、炎症で大きな問題になっている
酸化ストレスを抑えるω-3 脂肪酸やその他の抗酸化物質を考慮した組成の
ものが開発されるようになった。
ω-3 系脂肪酸は免疫能を上げるよりは調整する働きがあり過剰な炎症を抑制する。
Immune-Enhancing ではなくImmuno-Modulating Diet(IMD)という
新たなカテゴリーの栄養剤とされている。
過剰な炎症が起こっている状態ではω-3 系脂肪酸はそれを抑え、
必要に応じて急性の肺障害や合併症の発症も抑えます。

・グルタミンが入っている
オキシーパ® の主な成分にはグルタミンも入っている。
グルタミンはIED にも使われていたが、
免疫能を上げる一方で細胞保護にはたらくヒートショックプロテインの産生を
上げ、抗酸化作用のあるグルタチオンの材料にもなる。

by otowelt | 2009-11-13 13:34

非結核性抗酸菌症の治療


a)肺MAC 症
1)RECAM
 CAM 600-800mg/日分2-3 (最低12mg/kg/day以上は必要)
 RFP 450-600 mg/日 分1
 EB 500-750mg/日分1
 KMまたはSM1000 mg/日週2-3回 筋注(初期2-3ヶ月)
 排菌陰性化から1年以上

2)(CAM耐性または使用不可の場合)
 RFP 450-600mg/日 分1
 EB 500-750mg/日分1
 SPFX 100-200mg/日分1
 KM またはSM1000mg/日週2-3回筋注
排菌陰性化から1年以上

*CAM耐性:
 液体培地を用いてMICを測定する. 32μg/mlを越えた場合を耐性とする.


b)肺M. kansasii症

1)HRE
 INH 300mg/日  分1
 RFP 450-600mg/日  分1
 EB  500-750mg/日  分1
  計1-1.5年

※INHの副作用が疑われた場合は中止

2)(RFP耐性または使用不可の場合)
 CAM 600-800mg/日 分2
 EB 500-750mg/日 分1
 LVFX 300-500 mg/日 分1
 またはTH 300-500mg/日
 重症ではSM1000mg/日 週2-3回筋注(初期3-6ヶ月)を追加
  菌陰性化後1年以上


c)迅速発育菌による肺感染症
発育速度が速く、通常の抗結核薬は無効であるが一般抗生剤の一部が有効
であり、薬剤感受性検査は液体培地を用いた微量希釈法によるMICの測定
が有益である等、抗酸菌ではあるが一般細菌に近い菌と認識すべき。

M. fortuitumはAMK、ニューキノロン、sulfonamides、cefoxitin、
IPM/CS、CAM等が有効であり比較的予後良好。

M.abscessusは有効な薬剤がCAM、AMK、cefoxitin、IPM/CSに
ほぼ限られており(RFP+EBが有効との意見もあり)、最も予後不良な
肺非結核性抗酸菌症。

M. chelonae はAMK、CAM、IPM/CS、doxycyclin、CPFX等に
感受性が報告されている。

いずれも経験的に有効な3-4剤を1-2年投与しているのが現状である.

d) 肺M.szulgai症
RFP、EB、TH、SM、KM、EVMに感受性を示す菌が多い。
RFP+EBにKMまたはTHを加えた1-2年の治療で菌陰性化が期待できる。

e)肺M. nonchromogenicum症
RFP+EB+TH+CAMで治療するという結核病学会の見解はあるが、
症例の蓄積が乏しく臨床効果は確定していない。

f)その他の菌種による感染症
有効薬剤や治療法は確立していない。
肺MAC症に準じた治療をしているのが現状。

by otowelt | 2009-11-12 07:17 | 抗酸菌感染症

ARDSにおいて腹臥位療法は生存率を改善させない

ARDSの腹臥位療法のランダム化試験の結果が
JAMAから出ている。

ALI/ARDS の患者を安静臥床させて呼吸管理すると、
肺の背側に無気肺が生じるため、腹側には過剰な陽圧が
かかって過膨張になることが知られている。
その状態で肺血流は重力の影響で背側に多くなり、
換気と血流の不均衡が生じる。この状態から体位を
腹臥位に変換すると、無気肺のない腹側肺への肺血流が増多し、
換気/血流のマッチングが改善すると考えられている。

――――これが理論である。

今まで、どちらかといえばARDSにおける腹臥位の
メリットの方が多いという趨勢であり、そのような論文も
多かった。
Prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome.
Respr Care Clin N Am 8: 237-245, 2002.
Prone position in acute respiratory distress syndrome.
Eur Respir J 20: 1017-1028, 2002.


Crit Care Medの有名なメタアナリシスでは、
死亡率は有意差はないものの、酸素化の改善を認めている。
Effect of prone positioning in patients with acute respiratory distress syndrome: A meta-analysis. Critical Care Medicine.2008; 36 (2): 603-609


このJAMAの論文は、生存率におけるベネフィットを否定するものである。
傾向としては、やや効果があるかと思うカーブだが
統計学的には残念ながらP valueは有意差ナシ、である。

Prone Positioning in Patients With Moderate and Severe Acute Respiratory Distress Syndrome  A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2009;302(18):1977-1984.


背景:
 腹臥位療法は、ARDSにおける重症低酸素血症患者の生存率を
 改善する可能性があると考えられている。

目的・方法:
 多施設トライアルにより、ランダムにARDS 342人、重症低酸素血症を
 対象に、仰臥位と20時間/日の腹臥位療法に割り付けた。
 28日、6ヶ月死亡率をエンドポイントとした。

結果:
 28日死亡率・6か月死亡率はともに統計学的に同等であった
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結論:
 この試験により、ARDSにおける中等症~重症低酸素血症に対して
 腹臥位療法は生存率改善をもたらさないことがわかった。

by otowelt | 2009-11-11 14:51 | 集中治療