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吸入ステロイド合剤

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by otowelt | 2010-02-27 22:34 | 気管支喘息・COPD

全下肢静脈エコーが1回陰性ならVTE発生は少ない

下肢のDVT精査の陰性確認は一度でよい、ということだろうか?

Risk of Deep Vein Thrombosis Following a Single Negative Whole-Leg Compression Ultrasound, A Systematic Review and Meta-analysis
JAMA. 2010;303(5):438-445.


背景:
 症候性のDVT疑い例の多くに、複数回の下肢静脈エコーが行われている。
 近年、静脈造影の代替として、圧迫法を用いる超音波検査=CUSが広く用いられている。
 CUSの近位部DVT検出精度は高いが、遠位部DVTは不安が残るため、
 ガイドラインは、最初の検査で陰性だった患者には、5~7日後に
 遠位部の静脈を対象とするCUSを実施するよう勧めている。
 
目的:
 下肢DVTが疑われ、単回の全下肢CUS検査で陰性と判定された場合には
 抗凝固治療を行わない、という方法の安全性を知ること。

方法:
 文献データベースに登録されていた、1970年1月から2009年11月までに
 発表された論文の中から、以下の条件を満たすものを選出。
 無作為化試験または前向きのコホート研究で、DVTが疑われる症候性の
 患者のうち、全下肢CUSの結果が陰性となり抗凝固治療を中止された人々を
 少なくとも90日間追跡し、VTEイベントの有無を調べた。

結果:
 追跡期間中にVTEイベントを経験した患者、すなわち、VTEと診断された、
 またはVTEに起因する死亡とみなされた人は、4731人中34人(0.7%)。
 うち11人(32.4%)は遠位部DVT、7人(20.6%)は近位部DVT、
 7人(20.6%)は非致死的肺塞栓症を発症しており、9人(26.5%)は
 VTE関連死亡とみなされた。
 分散重み付け法を用いてプールしたデータをランダム効果モデルによる分析で、
 3カ月の時点のVTEイベント発生率は0.57%(95%CI0.25%-0.89%)。

 検査前の時点で、DVTである可能性の高低を示す情報が得られた1618人を
 リスクレベルに基づいて層別化したところ、低リスク者が1071人(66.2%)、
 中リスク者が467人(28.9%)、高リスク者が80人(4.9%)。
 うち、追跡期間中にVTEイベントを経験したのは、低リスク者では3人、
 中リスク者は4人、高リスク者は2人だった。イベント発生率は、
 低リスク者0.29%(0%-0.70%)、中リスク者が0.82%(0%-1.83%)、
 高リスク者は2.49%(0%-7.11%)。

結論:
 全体としては、単回の全下肢CUSの結果が陰性で、かつ抗凝固治療が
 行われなかった患者の3カ月間のVTEリスクは低かった。

by otowelt | 2010-02-24 12:41 | 内科一般

リネゾリド耐性ブドウ球菌のアウトブレイク

リネゾリド耐性ブドウ球菌のアウトブレイクがCIDに報告された。

Resistance to Linezolid Is Mediated by the cfr Gene in the First Report of an Outbreak of Linezolid‐Resistant Staphylococcus aureus
Clinical Infectious Diseases 2010;50:821–825


E. faecium, S. aureus におけるlinezolid 耐性は
2001年のLancetで報告されている。
linezolid は標的である細菌の23S rRNA の変異により耐性を獲得するが、
最近、プラスミド媒介性のcfr 遺伝子保有株も報告されており、
その遺伝子産物Cfr は、細菌の23S rRNA をメチル化することで、
linezolid に対する耐性を付与するとされている。

by otowelt | 2010-02-24 01:44 | 感染症全般

オキサリプラチンによる非小細胞肺癌初回治療の可能性


オキサリプラチンといえば、大腸癌なのだが
肺癌に使うという展望を打ち出している論文があった。

Oxaliplatin in first-line therapy for advanced non-small-cell lung cancer.
Clin Lung Cancer 2010;11:18-24.


背景:
 プラチナベース2剤併用療法はstage IIIB~IVのNSCLCの初回治療として
 推奨されている。現在承認されているプラチナ製剤
 (シスプラチンとカルボプラチン)の効果に大きな違いはなく、
 薬剤の選択は毒性などに基づいて行なわれている。

方法:
 進行NSCLCに対する第3世代プラチナアナログ製剤オキサリプラチンの
 効果を検討した試験のデータをPubMedデータベースと最近の国内および
 国際学会の発表からまとめた。

結果:
 オキサリプラチンは単独または他の様々な化学療法薬(ビンカアルカロイド、
 タキサン、ゲムシタビン、ペメトレキセド)との併用で主に第II試験で検討
 されているが、最近分子標的薬(ベバシズマブ)と併用した
 オキサリプラチンベース2剤併用療法の予備的成績も報告されている。
 一般にオキサリプラチンベース療法の臨床効果は既存のプラチナベース
 レジメンとほぼ同等であるが、成績そのものはそれぞれの試験により異なる
 (RR23~48%;median PFS2.7~7.3ヵ月;median OS7.3~13.7ヵ月)。
 オキサリプラチンの毒性については、シスプラチンと比べた場合、
 シスプラチンに不忍容の患者においてシスプラチンに代替しうる可能性をもたらす。

結論
 オキサリプラチンによるNSCLC初回治療の可能性は今後の試験結果によるが
 展望はあると考えられる。どのような患者がオキサリプラチンベース療法に
 適しているかを明らかにするには第III相試験が必要だろう。

by otowelt | 2010-02-23 12:28 | 肺癌・その他腫瘍

定量的CTによって呼吸症状を評価する

定量的CTによって呼吸症状の評価が可能になるかもしれないが、
このスタディによる、今後の展望がよくわからない。

Quantitative Computed Tomography Measures of Emphysema and Airway Wall Thickness Are Related to Respiratory Symptoms
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 353–359, 2010


背景:呼吸器症状と定量的HRCTにおける気腫と気道壁厚の評価の関連性は
  よくわかっていなかったので、これを調べた。

目的:COPD患者、非COPD患者において気腫性病変と気道壁の厚さは
  呼吸器症状に関連するのかを検討した。

方法:463人のCOPD患者(男性65%)、488人の非COPD患者(男性53%)
 で検証。CTで気腫が認められる患者のうち
 (1)白人 (2)40歳以上
 (3)current あるいは former smokerで2.5pack-years以上の喫煙歴
 (4)α1アンチトリプシン欠損症がない
 を満たすもののみをエントリーした。
 患者全員に呼吸機能検査とHRCTを施行し、ATS質問票によって呼吸器症状を調査。

結果:2950HU以下のLAAを満たす領域は、COPD患者で平均7%、
  非COPD患者で0.5%であった。平均気道壁厚(AWT)は、
  COPD患者で4.94mm、非COPD患者で4.77mm。
  %LAAとAWT-Pi10はCOPD患者において有意に呼吸困難症状と関連しており、
  AWT-Pi10はCOPD患者において咳嗽とwheezeに関連していた。
  オッズ比 (95%CI)は、COPD患者および非COPD患者において呼吸困難は
  %LAAが10%増えるごとに、1.9 (1.5–2.3) と1.9 (0.6–6.6)、
  AWT-Pi10が0.1mm増えるごとに、1.07 (1.01–1.14)と1.11 (0.99–1.24)。
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結論:
 定量的CTによる気腫および気道壁厚の評価は、
 呼吸機能検査単独よりも、呼吸器症状の評価と有意に関連している。

by otowelt | 2010-02-23 12:14 | 気管支喘息・COPD

悪性疾患によるニューモシスティス肺炎は、AIDSによる場合よりコンソリデーションを混じやすい


個人的にはIFの高い論文しか読まないが、
興味のある論文だったので。

Comparison of Clinical and Radiological Features of Pneumocystis Pneumonia Between Malignancy Cases and Acquired Immunodeficiency Syndrome Cases: A Multicenter Study
Inter Med 49: 273-281, 2010


背景:
 ニューモシスティス肺炎(PCP)は免疫抑制状態の具合によって症状が
 さまざまである。AIDS患者での症状はさまざまな論文で記載があるが
 非AIDS症例、特に悪性疾患などではその記載が乏しい。

目的: 
 AIDS患者におけるPCPと悪性疾患患者におけるPCPの差をみる。

デザイン:
 A multi-center retrospective study

患者および方法:
 PCPであろうと思われる悪性疾患患者21人とAIDS患者17人で
 検討。臨床症状、血清マーカー、酸素化能、CT所見によってアウトカムを出した。
 PCPは、発熱や咳嗽などの症状に加えて、画像上両側の陰影がみられ、
 かつ以下の基準を満たすものとした。
 a)気道検体におけるP. jiroveciiの染色での同定
   (Grocott-Gomori methenamine染色あるいはCalcofluor white染色)
 b) 気道検体におけるP. jiroveciiのPCR陽性かつ血清(1→3)-β-D-glucanの上昇

結果:
 悪性疾患のPCPの場合、症状がPCPと診断される前は期間としては短かった。
 血清マーカーと酸素化インデックスに差はなかった。
 CTはびまん性の広汎なGGOを呈した。
 AIDS患者ではコンソリデーションは1例もなかった。
 悪性疾患ではコンソリデーションを混じる例があったため
 GGOスコアはAIDS患者で高かった。
 AIDS患者はPCP治癒したが、悪性疾患患者ではPCP発症1か月以内に死亡。
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結論:
 悪性疾患PCPとAIDSのPCPでは画像所見がやや異なる。
 悪性疾患による場合はGGOにコンソリデーションを混じる傾向にあり、
 AIDS症例の場合はGGOスコアが高い。

by otowelt | 2010-02-23 11:47 | 感染症全般

肺非小細胞癌に対するEGFR-TKIのILD(間質性肺疾患)の頻度とパターン

JTOのこの論文を読んで、タルセバの方がILDが少ないのか???
と思ったが、結局のところ呼吸器内科医の成長があったからこそ
ILDが減ったのだ!という結論がなされている。
岡山大学の堀田先生の論文である。

個人的には、患者様にはどちらも5%前後と患者さんには説明しているが、
現段階では、症例淘汰によって実際には1~2%にとどまるのかもしれない。
ただ、ごく最近タルセバによる薬剤性肺炎を経験しているので
やはり油断はできないなぁと痛切に感じる。

Comparison of the Incidence and Pattern of Interstitial Lung Disease During Erlotinib and Gefitinib Treatment in Japanese Patients with Non-small Cell Lung Cancer: The Okayama Lung Cancer Study Group Experience
Journal of Thoracic Oncology:
February 2010 - Volume 5 - Issue 2 - pp 179-184


背景:
 NSCLC患者で、エルロチニブとゲフィチニブによるILD(間質性肺疾患)の
 頻度を比べたデータは少ない。日本人の患者においてこれらを検証。

方法:
 エルロチニブによって治療をうけている209人(A群)、ゲフィチニブによって
 治療を受けている330人(B群)で検証。1か月以内の毒性によってこれを観察。

結果:
 A群と比べてB群では既存の肺線維症やPS不良症例が多く含まれていた。
 ILDはA群で2例(Gr1:1例、Gr2:1例、計1.0%)、B群では
 8例(Gr3:1例、Gr4:1例、Gr5:6例、計2.4%)で認められた。多変量解析で、
 PS不良や既存の肺線維症はILD発症を有意に増加させる因子であったが、
 EGFR-TKIのタイプは同イベントに有意に影響を及ぼさない結果が得られた。

結論:
 エルロチニブの方が、イレッサよりILDが少ないが、
 統計学的に少ないわけではない。
 EGFR-TKIのタイプはILD出現に影響を及ぼさなかったが、B群と比べて
 A群の方がややILD発症率は低く、肺癌治療を行っている医師が
 投与対象を効率的に選択するようになってきた可能性が示唆された。

by otowelt | 2010-02-16 18:32 | 肺癌・その他腫瘍

早期肺癌と診断された時点で禁煙しても、全死因死亡や再発リスクは低下する

「肺癌になってしまったから、もういまさら禁煙してもダメだわ」
なんておっしゃる患者さんも多い。
このBMJの論文によって、自信を持って
「禁煙すれば、死亡率が下がる」と伝えることができる。

Influence of smoking cessation after diagnosis of early stage lung cancer on prognosis: systematic review of observational studies with meta-analysis
BMJ 2010;340:b5569
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背景:
 喫煙者の肺癌リスクは非喫煙者に比べて高いが、禁煙によって
 ほとんどの組織型の肺癌リスクは低下する。リスク低下が最も大きいのは
 小細胞肺癌と扁平上皮癌であるが、癌と診断された後で禁煙した場合に
 はたして利益が得られるかどうかについては、明らかではなかった。

方法:
 系統的レビューとメタ分析を実施。
 CINAHL、Embase、Medline、Web of Science、CENTRALに、
 2008年12月までに登録された研究の中から、無作為化比較試験または
 観察研究で、肺癌診断後の禁煙が全死因死亡、癌死亡、
 二次性原発腫瘍の発生、再発に及ぼす影響を調べた研究を検索。
 予後に関連する交絡因子(年齢、性別、組織型、腫瘍の大きさ、病期、
 術式、術後放射線治療、化学療法、癌の既往、累積喫煙量など)で調整したのち、
 禁煙者と比較した喫煙継続患者のハザード比(HR)を算出。

結果:
・非小細胞癌
 喫煙の継続は、全死因死亡リスクの有意な増加と関係していた。
 HRは2.94(95%CI1.15-7.54)。
 二次性原発腫瘍のリスクには有意差はなし(HR2.29、0.50-10.58)。
 再発リスクは喫煙者で有意に高かった(HR1.86、1.01-3.41)。

・小細胞癌
 喫煙継続者では、全死因死亡リスク(HR1.86、1.33-2.59)、
 二次性原発腫瘍の発生(HR4.31、1.09-16.98)、
 再発(HR1.26、1.06-1.50)のリスクがすべて有意に高かった。
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早期非小細胞肺癌の5年生存率は、喫煙を続けている場合には33%だった
のに対し、禁煙すれば70%となった。限局型小細胞癌では、
喫煙者の5年生存率が29%、禁煙者は63%となった。
心血管イベントをサブ解析で除外しているので、純粋に喫煙によるものと
考えてよい結果であった。

結論:
 肺癌患者においては、禁煙は、心血管・呼吸器疾患のリスク低減よりも、
 癌の進行抑制を通じて患者に生存利益を与えると考えられた。

by otowelt | 2010-02-14 09:00 | 肺癌・その他腫瘍

セカンドラインにおけるプラチナベース化学療法は有用かもしれない

正直なところ、肺癌化学療法を専門にやっている先生の中でも
セカンドラインにアリムタあるいはドセタキセル単剤を使わずに
白金製剤を使うことがあるのではないだろうか?

High response of second-line chemotherapy with pemetrexed or gemcitabine combined with carboplatin in patients with non-small-cell lung cancer experiencing progression following 6 months after concluding platinum-based chemotherapy.
Med Oncol 2010 Jan 5(Epub ahead of print)


背景:
Stage IV NSCLCに対するプラチナベースファーストラインの治療成績の
改善に伴い、より多数の患者でセカンドラインが考慮されるようになってきた。
プラチナベースのファーストライン終了後の無増悪期間は約10%の患者で
6ヵ月を超えており、これらの患者では2次治療における再度の
プラチナ製剤の投与が高い効果を示す。

方法および結果:
プラチナベース化学療法終了6ヵ月以降に増悪を来たした患者23例に対し
カルボプラチン+ゲムシタビンまたはペメトレキセド併用によるセカンドラインを
施行し、全例について2次治療開始後の全奏効率、無増悪生存期間(PFS)および
全生存期間(OS)を算出した。
ファーストライン後のPFS中央値は12.6ヵ月(95%CI 10.4-14.7ヵ月)であった。
23例中7例に部分奏効が得られ、全奏効率は30.4%(95%CI 11.6-49.0)。
セカンドライン開始後のPFS中央値は5.9ヵ月(95%CI 1-10.9ヵ月)、
OS中央値は12.5ヵ月(95%CI 3.5-21.5ヵ月)、1年生存率は
61.0%(95%CI 29.5-82.0)であった。

結論:
セカンドラインにおけるプラチナ併用療法は進行NSCLCとくに
ファーストライン後の無増悪期間が6ヵ月を超える患者で
一定の意義を有するものと考えられる。

by otowelt | 2010-02-11 16:16 | 肺癌・その他腫瘍

ICUせん妄スクリーニングにはCAM-ICUが最も良い

ICUでのせん妄は、本当の意味で永遠のテーマだと個人的に思う。
「何でおとなしくしてくれへんねん!」と
挿管されている患者さんを見ながら思うことがしばしばある。

せん妄と不穏は異なることを知っておく必要がある。
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Cirt Care MedからICUせん妄のスクリーニングとして何が一番良いかという
検討がなされた論文が発表された。
結論としてはCAM-ICUが一番よかった。

Different assessment tools for intensive care unit delirium: Which
score to use?
Crit Care Med 2010; 38:409 – 418


CAM-ICU、Nu-DESC、DDSが有名だがそれらを以下のアルゴリズムの
ごとく検討をおこない、CAM-ICUに軍配をあげている。
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日本語版CAM-ICUというのもあり、出版されている。
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by otowelt | 2010-02-10 12:56 | 集中治療