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ATTRACT-1試験(ASA404)が中止

個人的には興味のある試験だったのだが、中間解析で脱落した。

腫瘍血管を選択的に破壊する低分子抗癌剤ASA404の未治療非小細胞肺癌を対象とした、フェーズ3試験ATTRACT-1試験が中止された。英Antisoma社が3月29日に発表した。
 中間解析の結果、生存期間の改善効果が認められないことが分かった。ATTRACT-1試験には日本からも参加している。
 ATTRACT-1試験は、進行未治療の非小細胞肺癌患者を化学療法(カルボプラチン、パクリタキセル)に、ASA404を加える群とプラセボを加える群に1対1に割り付けて行われていた。

by otowelt | 2010-03-31 15:46 | 肺癌・その他腫瘍

原発性肺多形癌

●原発性肺多形癌とは
 ①低分化な非小細胞癌であり、紡錘細胞あるいは巨細胞
  10%以上の割合で含む腫瘍
 もしくは
 ②紡錘細胞と巨細胞のみからなる腫瘍
 臨床的特徴として、画像上末梢型の腫瘤影を呈することが多く
 腫瘍の増大速度が速く、胸膜や胸壁への浸潤が多い。

●原発性肺多形癌の疫学
 原発性肺多形癌は発症平均年齢はおおよそ65 歳で、
 男女比4.5:1 と高齢男性に多い。
 喫煙との因果関係があると言われている。

●原発性肺多形癌の症状
 喀血:49%、咳嗽:19~46%、胸痛・背部痛:14%
 発熱:3~5%、体重減少:3~12%
   Am J Surg Pathol 2008 ; 32 :1727―1735.
     Cancer1994 ; 73 : 2936―2945.


●画像所見
 多形癌の画像所見については、77%が上葉にみられている。
 腺癌細胞と巨細胞もしくは紡錐形細胞の混合の多形癌症例7例中6例が
 末梢の病変であった。また中心部の低吸収領域を認めていた例も多かった。
        Am J Roentgenol 2005 ; 185 : 120―125. 

●化学療法
 多形癌に対する化学療法は、抵抗性で予後不良とされている。
 手術検体を用いた肺多形癌の抗癌剤薬剤感受性を検討では、
 タキサン系の感受性が高いことが報告されている。
        肺癌2008 ; 48 : 106―111.

by otowelt | 2010-03-23 19:02 | レクチャー

AEDの普及により、除細動頻度と最小神経機能障害での生存率改善

AEDに関する、京都大学からの論文。
研修医の頃は、よく京都駅を利用していたが、
AEDは構内に結構多かった記憶がある。

Nationwide Public-Access Defibrillation in Japan
N Engl J Med 2010;362:994-1004.


背景:
 公共に自動体外式除細動器(AED)の設置が拡大することによって
 院外心停止患者の生存率が改善するかどうかは明らかになっていない。

方法:
 前向き観察研究として、2005年1月1日~2007年12月31日に日本全域で
 救急隊による蘇生が試みられた院外心停止患者を対象に、国家規模の
 AED普及が院外心停止後の生存率に及ぼす影響を検討。
 プライマリエンドポイントは、最小神経機能障害(神経機能障害なし
 あるいは軽度)での1ヵ月生存率。
 多変量ロジスティック回帰分析を用いて、
 良好な神経学的転帰と関連する因子を検討。

結果
 対象となった成人の院外心停止患者312,319 例のうち、12,631例が
 心室細動を伴う心原性心停止で、居合わせた人に目撃されていた。
 うち462 例(3.7%)で、一般市民により公共のAEDを用いた除細動が
 行われていた。一般市民により除細動が行われる割合は、公共AEDの
 設置数の増加に伴い、1.2%から6.2%に上昇した。(P<0.001)
 最小神経機能障害での1 ヵ月生存率は
 居合わせた人に目撃された心室細動を伴う心原性心停止患者では14.4%、
 公共のAED による除細動を受けた患者では31.6%であった。
 早期の除細動は、ショックを行う者(市民もしくは救急隊)にかかわらず
 心室細動を伴う心停止後の良好な神経学的転帰と関連していた
 (電気ショックまでの時間が1 分遅れるごとの生存率に対する調整オッズ比
 0.91,95%CI 0.89~0.92,P<0.001)
 公共 AED の設置数が居住地域1km2あたり1 台未満から
4 台以上へ増加するのに伴い、電気ショックまでの時間は平均で
 3.7分から2.2分に短縮、最小神経機能障害で生存する心停止患者数は
 年間1,000 万人あたり2.4 人から8.9 人へ増加。
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結論:
 国家規模の公共AEDの普及により、日本では一般市民による除細動が
 より迅速に行われるようになった。
 院外心停止後の最小神経機能障害での1 ヵ月生存率も上昇した。

by otowelt | 2010-03-20 13:50 | 救急

細い胸腔ドレーンの方が、胸水感染症のアウトカム改善と疼痛軽減のためにはよい

CHESTの論文で、胸水感染(膿胸と考えてよいのか?)のある患者において
チェストチューブの太さがアウトカムと関連するかを考察した論文が出た。

外科の先生なんかが28Frドレーンを膿胸に放り込んでるのを見ると
「うっわーカッケー!」とか思ったりしたものだが、
8Frとかでもよいということになる。
ただ、8Frだとやはりドレーンが”つまる”印象がある。
フィブリン何かがペチョっとひっついて、つまる印象がある。
(データはないが、個人的な印象として)

アブストラクトを翻訳するのがめんどくさかったので、要点だけ。

結論としては、チェストチューブサイズを太くしても
臨床的なアウトカムに差はみられず、むしろ細い方(10Fr未満)が
痛みが少ないという結果
が出た。
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by otowelt | 2010-03-16 12:50 | 感染症全般

小児の急性喘息エピソードに、短期経口ステロイド治療は症状軽減に有用

小児を対象としている論文なので、
成長阻害という問題が立ちはだかるのはやむを得ないか。

Parent initiated prednisolone for acute asthma in children of school age: randomised controlled crossover trial
BMJ 2010;340:c843


背景:
 学齢期の小児の急性喘息エピソードには、受診後の経口ステロイド治療が
 有効だが、投与開始が遅れると効果は低下する。そのため
 症状発現時に家庭内で治療を開始する方法は有益と考えられ、
 オーストラリアでは、親による経口ステロイド治療が行われている。
 ただ、喘息の小児に対するステロイド適用が増えると、身長の伸びが
 抑制される可能性がある。

方法:
 オーストラリアのビクトリア州で、過去1年間に
 気管支拡張薬を24時間以上必要とする急性喘息エピソードを4回以上
 経験していた5~12歳の小児を登録。
 割り付けは、喘息のエピソードを対象とした。エピソードごとに個々の患児が
 ステロイド(プレドニゾロン1mg/kg/日)またはプラセボを交互に
 用いることになるよう割り付けた。
 親には以下のように指示した。これまでの経験から、今回の発作がより
 重症であると思ったら、または発作治療薬(レリーバー)を6~8時間適用
 しても症状の改善が見られなかったら、迅速に試験薬の使用を開始し、
 症状を観察しながら3~5日間投与を継続する。

 プライマリエンドポイントは、7日間の昼間の症状スコアの平均。
 これは「今日の昼間、どの程度の息苦しさを感じましたか」という問いにして
 「全くなし」(スコア0)、「少し」(スコア1)、「時々」(スコア2)、
 「かなりの時間」(スコア3)、「ほとんどの時間」(スコア4)、
 「常に」(スコア5)のいずれかから患者が選択し記録したものを基に評価。

結果:
 230人の小児を登録。試験薬が1回以上用いられたエピソードが分析対象。
 2005年3月14日から2008年5月24日までの2年間に、親の手による
 短期ステロイド治療を必要とした喘息エピソードは、131人(57%)に
 トータル308回発生していた(55人が1回、29人が2回、23人が3回、
 9人が4回、8人が5回、1人が6回、4人が7回、2人が8回)。308回中、
 155エピソードがステロイドに、153エピソードがプラセボに割り付けられた。
 7日間のスコアの平均は、ステロイド使用エピソードが1.19。プラセボ
 使用エピソードが1.35で、幾何平均比は0.85(95%CI0.74-0.98、p=0.023)
 となり、プラセボに比べステロイド使用エピソードでは日中の症状スコアが
 15%低いことが明らかになった。
 ステロイド治療は、夜間の症状スコアも16%低下させた。
 幾何平均比は0.84(0.70-1.00、p=0.050)だった。
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結論:
 小児の急性喘息エピソードに対する、親の手による短期経口ステロイド治療は
 喘息の症状を軽減させる。

by otowelt | 2010-03-16 11:59 | 気管支喘息・COPD

一般的な感染防止5項目の順守により、長期的にCRBSIを減少させる

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Sustaining reductions in catheter related bloodstream infections in Michigan intensive care units: observational study. BMJ. 2010 Feb 4;340:c309. doi: 10.1136/bmj.c309.

方法:
 ミシガン州にある67病院、103ユニットのICUで、
 介入の具体的な内容は、カテーテル関連血流感染症発生率を低下させるための
 エビデンスに基づいた5つの推奨項目
 (手洗いの実行、穿刺部の完全消毒、クロルヘキシジンによる皮膚消毒、
 大腿部を避ける、不必要なカテーテルの抜去
)を医療従事者に順守させる。
 感染率の測定とフィードバックが指示された。
 介入の継続期間中は、スタッフ・オリエンテーションで繰り返し介入内容の確認を
 行うよう求め、院内感染対策スタッフから感染率の月次データを回収し、
 関係者に報告を行った。
 プライマリエンドポイントは、継続期間(介入実施後19~36ヵ月)中、
 四半期ごとの1,000カテーテル・日当たりのカテーテル関連血流感染症発生率。

結果:
 103ユニットのうち90ユニット(87%)が参加し、継続期間中の集中治療期間は
 1,532ヵ月、30万310カテーテル・日分のデータが報告。
 カテーテル関連血流感染症発生率の平均値と中央値は、ベースラインでは
 7.7と2.7(四分位範囲0.6~4.8)だったものが、介入実施後16~18ヵ月には
 1.3と0(四分位範囲:0~2.4)、34~36ヵ月には
 1.1と0(四分位範囲:0.0~1.2)まで低下した。

 回帰分析の結果、介入実施後の血流感染症罹患率比は0~3ヵ月に
 0.68(95%CI:0.53~0.88)に、16~18ヵ月には0.38(95%CI:0.26~0.56)に、
 34~36ヵ月には0.34(95%CI:0.24~0.48)に低下。また、継続期間中の
 平均血流感染率は、最初の介入実施後18ヵ月以降は有意な変化なし。
 (-1%、95%CI:-9%~7%)。
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結論:
 一般的な感染防止5項目の順守により、長期的にCRBSIを減少させる。

by otowelt | 2010-03-14 10:34 | 感染症全般

胸腔穿刺時に超音波ガイダンスを用いると、気胸の発生リスクが7割減少

e0156318_2311243.jpg個人的には、リアルタイム超音波ガイド下で
おこなう穿刺は、本当に5~6mmくらい
の間隙スペースしか胸水がないときにしか
使っていない。患者さんの安全のためには
穿刺時にエコーを全例
用いるべきなのだろうか?

Pneumothorax Following Thoracentesis ;A Systematic Review and Meta-analysis.
Arch Intern Med. 2010;170(4):332-339.


背景:
 胸腔穿刺後気胸は、合併症リスクや死亡リスクを高め、入院期間を延ばす。
 修飾可能な危険因子が同定できれば、胸腔穿刺の安全性向上に利用
 できると考えられた。

方法:
 1966年1月1日から2009年4月1日までにMedlineに登録されたスタディから、
 10人以上の患者を登録し、胸腔穿刺後の気胸発生について報告した研究を選出。
 気胸発生率、気胸の危険因子、研究の方法論的な質に関するデータを抽出。
 気胸の危険因子候補は、患者側の要因と胸腔穿刺施行にかかわる要因に分別。
 患者要因として、性別、胸水量、多房性胸水、胸腔穿刺を受けた場所など。
 施行にかかわる要因としては、施行中の超音波ガイダンス、
 施行者の経験レベル、穿刺回数、診断目的か治療目的かといった情報を収集、
 気胸発生との関係を分析した。

結果:
 24の研究が条件を満たし、そのうち12件が方法論的な質は高いと判定。
 胸腔穿刺は6605件行われており、その後の気胸の発生は349件だった。
 個体では気胸の発生率は6.0%(95%CI4.6%-7.8%)で、
 そのうち34.1%が胸腔チューブの挿入を必要とした。
 超音波ガイダンスの使用は気胸リスクを有意に減少。
 使用した場合の気胸発生率は0.4%、使用しない場合は9.3%(p=0.001)、
 OR0.3(0.2-0.7)。
 経験豊富な医師の場合は3.9%、経験が少ない医師の場合は8.5%(p=0.04)。
 気胸は、診断目的の穿刺より、治療のための穿刺の後に発生しやすく
 (OR2.6、1.8-3.8)、より太い穿刺針またはカテーテルを用いた方が、
 より細い針を使用した場合より高リスクだった(OR2.5、1.1-6.0)。
 胸腔穿刺前後に咳、呼吸困難、胸痛のいずれかがあった患者では、
 気胸リスクが顕著に高かった(OR26.6、2.7-262.5)。
 胸腔内に空気の流入した場合の気胸リスクも高かった(OR104.0、2.0-5355.0)。
 また、人工呼吸管理患者でリスクが高い傾向が見られた(OR4.0、0.95-16.8)。
 穿刺回数が2回以上だった場合と1回だった場合を比較したところ、
 複数回の穿刺による気胸リスク上昇が(OR2.5、0.3-20.1)。

結論:
 医原性気胸は胸腔穿刺のよくみられる合併症であり、
 しばしばドレーン挿入を必要とする。
 リアルタイム超音波ガイダンスは気胸リスクを減少させる。
 治療目的の穿刺と人工呼吸管理下では気胸リスクを増大させる。
 経験豊かな医師による穿刺は気胸リスクを減少させる。

by otowelt | 2010-03-07 00:44 | 呼吸器その他

 冠動脈の側副血行路の発達が閉塞性睡眠時無呼吸の患者でみられる

OSASと心血管イベントは避けて通れないが、
側副血行路の論文はあまり目にしたことがなかった。

Expand+Occurrence of Coronary Collateral Vessels in Patients With Sleep Apnea and Total Coronary Occlusion
CHEST March 2010 vol. 137 no. 3 516-520


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸 (OSA)は、冠動脈イベントのリスクファクターであると
 考えられている。
 間欠的な低酸素が心血管系に影響を及ぼしていると思われる。
 OSASは冠動脈閉塞のある患者において、側副血行路を発達させる
 可能性があると考えた。

方法:
 AHIによって分類された、34人の冠動脈閉塞のある患者を集めた。
 側副血行路はvisual analysisによってスコア化され、
 Cohen and Rentrop grading systemによって評価。

結果:
 年齢、性別、高血圧の存在、喫煙、糖尿病に関しては
 OSASとnon-OSASで明らかな違いはみられなかった。
 EFも差がみられなかった(EF 53% ± 20% vs 61% ± 20%, P = .29)。
 左室拡張期圧も変化なし(22.6 ± 8.5 mm Hg vs 18.5 ± 7.7 mm Hg, P = .41)。
 OSASは、non-OSASに比べてRentropが高かった
 (1.61 ± 1.2 vs 2.4 ± 0.7, P = .02).。
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結論:
 冠動脈の側副血行路の発達が閉塞性睡眠時無呼吸の患者でみられる。

by otowelt | 2010-03-06 15:17 | 呼吸器その他

IPFにおいてイマチニブは生存率と肺機能を改善しない

イマチニブは、bcr-abl、c-kit、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体の
チロシンキナーゼ阻害活性を有する癌分子標的治療薬であり、
慢性骨髄性白血病、消化管間質性腫瘍に対して承認されている。
その一方で、特発性肺線維症(IPF)における線維化病態にはPDGFが
関与しており、イマチニブの有用性が期待されてきた。
肺線維症モデルにおけるイマチニブの肺線維化抑制効果が報告されていたが、
このランダム化試験によりイマチニブの有用性は否定的となった。

Imatinib Treatment for Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Randomized Placebo-controlled Trial Results
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 604–610, 2010


方法:
 119人の患者で検討。
 多施設共同二重盲検臨床試験で、96週間にわたりイマチニブとプラセボを服用。

結果:
 96週間のフォローアップによって、イマチニブはプラセボに比べて
 プライマリエンドポイントであるdisease progression(%FVCの10%減少)
 および死亡までの期間に影響を与えなかった(log rank P = 0.89)。
 イマチニブによって、FVCは48,72,96週におけるどの時点でも
 変化がみられなかった。(P > 0.39 at all time points)
 DLCOも変化なし(P>0.26 at all time points)
 安静時PaO2はイマチニブ群で48週時点ではよかった(P = 0.005) が、
 96週目では変化なし(P = 0.074)。
 96週で、イマチニブ群で8人の死亡、プラセボ群で10人の死亡がみられた。
 29%の患者がプライマリエンドポイントに到達することなくトライアルオフした。
 (イマチニブ, 32%; placebo, 27%; P = 0.51)
 イマチニブ群において有意な有害事象は観察されなかった。
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結論:
 ランダム化プラセボ対照比較試験において、
 mild to moderateのIPF患者では、イマチニブは
 生存率および肺機能に影響しない。

by otowelt | 2010-03-06 14:59 | びまん性肺疾患

DLSTは薬剤アレルギーに有用なのか?

呼吸器内科医はMTX肺炎(のような症例)に遭遇することが多いが、
MTX肺炎疑いに、MTXのDLSTを提出することは無意味である。
これはMTX-DLSTの陽性所見に意味がないという、
積み重ねてきたデータがあるためである
MTX服用RA患者のうち、何の有害事象もない患者の58%がDLST陽性)。
基本的に呼吸器学会も、DLST陽性は重要視していない。
あまりに偽陽性が多いため、誤診を招く可能性があるためだ。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

そもそも、どの論文もガイドラインも、”DLST自体の解釈には注意を要する
というなんとも曖昧な指針を出しているのみで、
偽陽性という問題を孕んでいるような不完全な検査であれば
最初から”使うべきではない”とすべきである。
MTXのよう症例が集まればそれはそれでよいが、
1つ1つの薬剤にDLSTのエビデンスを作ることは不可能なので
DLSTそのものの有用性を中途半端な位置づけにしないでほしいものだ。

●薬剤性肺炎診断基準
①原因となる薬剤の摂取歴がある
②薬剤に起因する臨床病型の報告がある
③他の原因疾患が否定される
④薬剤の中止により病態が改善する
⑤再投与により増悪する
以上を満たすものとする。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

●DLSTの依頼
ある検査会社の公開データでは、
3年間のDLST 依頼順位100位以内の薬物で
DLST 陽性率の高いベスト3は、
1.リウマトレックス®(77%)
2.TS-1®(75%)
3.ウコン(71%)
であった。
日本内科学会雑誌2007;96(9)

このうち、リウマトレックス®(MTX)では
DLSTの偽陽性が高率に起こることが報告されている。
Allergy Clin Immunol Int 2005; 17: 156―161

●関節リウマチとMTX肺炎
MTXを服用したことのない関節リウマチ患者10例
およびMTX を服用中であるが何の有害事象も認めない
関節リウマチ患者16例で、リウマトレックス®のDLSTを施行したところ
26 例中15 例(58%)で陽性であったとのことである。
DLSTは、患者リンパ球に薬物を添加してその芽球化を添加した
3H-チミジンの取り込みから判断する検査であるが、
MTX がチミジンのde novo 合成を阻害して細胞内のチミジンプールを
枯渇させるため、MTX を添加した細胞が外因性の3H-チミジンを
取り込んでしまうために、見かけ上DLST が陽性になるのかもしれない。
フルオロウラシルでも同様の機序でDLST の偽陽性がおこる。

●DLST陽性の解釈
DLST は一律にStimulation Index が180% 未満が陰性、
180~200% が偽陽性、200%以上を陽性としている。
DLST陽性であれば薬剤性肺炎の有用な根拠と”なりうる”(ただしMTXは上述のように
DLST陽性をその薬剤性肺炎の根拠とはしない)。
DLSTが重要視されているが、その解釈についてはなんともいえない。
結論としては、有用かどうかすら定かでないあやふやな検査と個人的に考えている。

by otowelt | 2010-03-02 00:04 | 内科一般