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NSCLC IIIB/IV期において2nd-lineのvinflunineは、ドセタキセルに対して非劣性

e0156318_17284859.jpgビンカアルカロイド系新規抗癌剤である、
微小管重合阻害剤vinflunine(商品名JAVLOR)の
既治療NSCLC患者へのフェーズ3試験がJCOから発表された。
ASCO2007年で既に発表されているので、
御存知の方も多いはずだ。ドセタキセルと違って、
ステロイドのプレメディケーションが必要ないのが魅力的。

Phase III Trial Comparing Vinflunine With Docetaxel in Second-Line Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer Previously Treated With Platinum-Containing Chemotherapy
Journal of Clinical Oncology, Vol 28, No 13 (May 1), 2010: pp. 2167-2173


目的:
 ファーストラインで白金製剤による化学療法が投与されたIIIB/IV期のNSCLC患者
 において、ドセタキセルとvinflunine (VFL) の比較をおこなった。

患者および方法:
 551人の患者が登録、vinflunine 320 mg/m2 あるいはドセタキセル 75 mg/m2
 (いずれも21日ごと)に割りつけられた。投与はPDあるいは重篤な毒性があるまで
 続けられた。プライマリエンドポイントは、PFS。
 セカンダリエンドポイントはORR、奏効期間、OS、臨床的ベネフィット、
 QOL、安全性とした。

結果:
 PFS中央値はいずれも2.3ヶ月(HR, 1.004; 95% CI, 0.841 to 1.199)であった。
 ORR、SD、OS中央値はそれぞれ、4.4% VS 5.5%、36.0% VS 39.6%、
 6.7 VS 7.2ヶ月であった(HR, 0.973; 95% CI, 0.805 to 1.176)。
 (前者がvinflunine、後者がドセタキセル)
 臨床的ベネフィットとQOLには有意差はみられなかった。グレード0を超える
 副作用としては、貧血(82.1% v 79.8%)、好中球減少(49.3 v 39.02%)、
 血小板減少(30.6% v 14.3%)、FN(3.3% v 4.7%)、便秘(39.2% v 11.7%)、
 疲労感(36.6% v 33.9%)、点滴部位反応(31.9% v 0.7%)、悪心(26.7% v 23.7%)、
 嘔吐(23.8% v 14.2%)、脱毛(19.8% v 35.4%)、胃炎(19.4% v 12.4%)、
 腹痛(20.1% v 3.6%)、筋肉痛(14.7% v 6.6%)、末梢神経障害(10.7% v 15.0%)、
 関節痛 (7.0% v 7.7%)、下痢(6.2% v 12.4%)、浮腫(1.5% v 5.4%)、
 爪障害(1.1% v 5;1%)が観察された。
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結論:
 白金製剤によるファーストラインの後のIIIB/IV期NSCLC患者において
 セカンドラインのvinflunineは、ドセタキセルに対して非劣性である。
 貧血、腹痛、便秘、疲労感は有意にvinflunineに多かった。

by otowelt | 2010-04-30 17:27 | 肺癌・その他腫瘍

EML4-ALK陽性肺腺癌

以前も紹介したトピック。
肺癌治療におけるALK阻害薬の可能性
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日本人の非小細胞肺癌の約5%がanaplastic lymphoma kinase(ALK)
融合型癌遺伝子陽性であり、同融合遺伝子は感度良好に同定が可能であり、
今後の肺癌の分子診断法および分子標的治療のターゲットになりうることが
わかっている。先日の呼吸器学会でもALK-Lung Cancer Study Group(ALCAS)
から報告されている。

微小管会合蛋白echinoderm microtubule associated protein-like 4(EML4)と
受容体型チロシンキナーゼanaplastic lymphoma kinase(ALK)が融合した
新しい癌化キナーゼ、EML4-ALKが非小細胞肺癌(NSCLC)の約5%に発現している。
Identification of genotype-correlated sensitivity to selective kinase inhibitors by using high-throughput tumor cell line profiling.
Proc. Natl. Acad. Sci. U S A, 104: 19936-19941, 2007.


呼吸器学会の報告では、EML4-ALK陽性は11人(平均年齢48.2歳、男性4人)で、
全員が腺癌であった。症例数としては、予想通り総症例数の5%に相当していた。
陽性例は陰性例(平均年齢66歳)と比べて年齢が若かった(p=0.004257)。

現在のコンセンサスとしては、
1)若年発症の肺腺癌
2)非喫煙者
3)粘液産生を伴い、腺房状構造を示す低分化腺癌
4)BACパターンが見られない
5)EGFRおよびRAS変異陽性例にはほとんどみられない

以上の特徴をEML4-ALK-adenocarcinomaは有する。
ただ、BACパターンでもEML4-ALK positiveの症例も報告されている。
EML4-ALK lung cancers are characterized by rare other mutations, a TTF-1 cell lineage, an acinar histology, and young onset.
Mod Pathol 2009, 22: 508-515
The EML4-ALK fusion gene is involved in various histologic types of lung cancers from nonsmokers with wild-type EGFR and KRAS. Cancer. 2009 Apr 15;115(8):1723-33.

by otowelt | 2010-04-28 12:19 | 肺癌・その他腫瘍

血清YKL-40レベルは、喘息の急性発作、血清IgEおよび好酸球と関連

キチナーゼは環境的に多糖キチンの豊富な開裂する能力を持ったhydrolaseを
もつファミリーである。
ほ乳類におけるキチナーゼは、Th2細胞由来の炎症に対して重要な役割を
果たすことが知られており、喘息患者の組織で過剰発現が確認されている。

キチンかチキンかワケがわからなくなってくるが、
YKL-40はNEJMにも掲載されているほど重要なトピックである。
NEJMでは、YKL-40の値増加は有意に頻回の吸入回数、
頻回の経口ステロイド使用回数、頻回の入院率が多いという結論に至っている。
Chitinase-like Protein in the Lung and Circulation of Patients with Severe Asthma
NEJM Vol. 357:2016-2027 Nov. 15, 2007 No. 20


YKL-40をコードする遺伝子CHI3L1は、プロモータ領域での-131C->G変異が
YKL-40蛋白の増加および1秒率(FEV1)の悪化と相関している。
これもNEJMより報告されている。
Effect of Variation in CHI3L1 on Serum YKL-40 Level, Risk of Asthma, and Lung Function
NEJM, 358, 1682, 2008


今回はERJからの論文。

背景および方法:
 血清YKL-40が中国人の喘息における急性増悪、血清総IgEレベル、
 血清好酸球値、呼吸機能と相関するかを調べた。
 コントロール群を用いて検討。

結果:
 コントロールおよび安定喘息小児と比べて、
 血清YKL-40レベルは有意に急性増悪で上昇していた。
 同様に、IgEレベル、好酸球値も上昇していた。
 しかしながら、呼吸機能とは関連していなかった。
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結論:
 血清YKL-40レベルは、喘息の急性発作、血清IgEおよび好酸球と関連していた。

by otowelt | 2010-04-28 12:03 | 気管支喘息・COPD

血液培養時の消毒のエビデンス イソジンVSアルコール綿

血液培養を採取する場合、アルコール綿だけでよいのか、
イソジンをした方がよいのかという現在のエビデンス


まず、IDSAガイドラインでは以下のような記載がある。

・皮膚から採血する場合の皮膚消毒は注意深く行うべきで、
 アルコールまたはヨードチンキ、アルコール性クロルヘキシジン
 (0.5%以上)を使って(ポピドンヨードはあまりよくない)消毒して、
 血液培養のコンタミネーションを防ぐため、十分な皮膚への接触時間
 および乾燥時間をとるべきである(A-I)。
このIDSAの記載の元になった論文は、2000年よりも前の2論文である。
・A randomized trial of povidone-iodine compared with iodine tincture for venipuncture site disinfection: effects on rates of blood culture contamination.
Am J Med 1999; 107:119–25.
(ヨードチンキをすすめる論文)
・Chlorhexidine compared with povidone-iodine as skin preparation before blood culture: a randomized, controlled trial.
Ann Intern Med 1999; 131:834–7.
(クロルヘキシジンをすすめる論文)
上記2つの論文では、イソジン(ポピドンヨード)の乾燥時間が十分に
とれていなかったため、いずれもイソジンが必ずしも劣るわけではないかも
しれないと考察されている。

Calfee医師が、以下の論文を2002年に出した。
・Comparison of Four Antiseptic Preparations for Skin in the Prevention of Contamination of Percutaneously Drawn Blood Cultures: a Randomized Trial
Clin. Microbiol. 2002;40:1660-1665.

これは、イソジン、アルコール、ヨードチンキ、イソジンアルコールの4種類とも
同等の効果であることを示す論文である。
IDSA2009年ガイドラインでこれが採択されなかった理由がわからないが、
こちらはイソジンの乾燥時間をしっかりと保ったクロスオーバーRCTである。

IDSAガイドラインでは採択されなかった論文は、
Cumitechガイドラインには採用されており、同血液培養ガイドラインでは
イソジンの使用はクロルヘキシジンとともにファーストチョイスになっている。
Principles and Procedures for Blood Cultures: Approved Guideline.
CLSI 2007 Cumitech Blood Cultures IV.


やや、IDSAとCumitechで差がある。


現在の血液培養時の消毒のエビデンスとしては、
アルコールでも構わないし、イソジンでも構わないと考えていいのではないか。
「絶対にこちらを使うべきだ」という積極的なデータはないと思われる。

ただ、イソジンは即効性は(―)です(30秒以上乾かすあるいはふき取る)が、
持続性があるのが利点。逆にアルコールは即効性はあるが、全く持続性はない。

「臨床に直結する感染症のエビデンス」では、
以下のようなまとめがなされている。

1.イソジン:
  利点:持続性+、穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
  欠点:即効性―、穿刺までの時間を十分取らなければならない
  推奨される臨床場面:穿刺まで十分時間をとれる
               術者の習熟度問わない
2.アルコール:
  利点:即効性+、すぐ穿刺可能、コスト安い
  欠点:持続性―、穿刺に手間取ると雑菌混入のリスク上昇
  推奨される臨床場面:穿刺に時間がかけられない緊迫した状況
               術者がベテラン
3.クロルヘキシジン:
  利点:即効性と持続性をあわせもつ、すぐ穿刺可能
      穿刺に手間取っても雑菌混入のリスク上昇しない
  欠点:コストが高い
  推奨される臨床場面:コストが許せばさまざまな場面で使用可能


そのため、自信があればアルコールでも構わないと考えられる。
文責 "倉原優"

by otowelt | 2010-04-27 17:36 | 感染症全般

肺癌の予後(第50回日本呼吸器学会学術講演会)

肺癌登録合同委員会による報告。
全国から18552人が登録、予後が把握できた14695人について解析。

●男女比
 2:1

●平均年齢
 手術あり群:66.4歳
 手術なし群:68.2歳

●PS
 手術あり群:1~2
 手術なし群:3以上が30%

●予後
 1年生存率:73%
 2年生存率:59%
 3年生存率:51%
 4年生存率:47%
 5年生存率:44%

 臨床病期別5年生存率:
  IA期:79%
  IB期:56%
  IIA期:47%
  IIB期:42%
  IIIA期:29%
  IIIB期:16%
  IV 期:6%

by otowelt | 2010-04-27 14:31 | 肺癌・その他腫瘍

ST合剤はワーファリン服用者において消化管出血のリスクを上昇させる

ST合剤がワーファリンの出血リスクを上昇させるかもしれない。
ワーファリンとバクタを結構飲んでいる人いるけどなぁ…。
バクタ1錠の予防投与もよろしくないのだろうか…???
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Hemorrhage During Warfarin Therapy Associated With Cotrimoxazole and Other Urinary Tract Anti-infective Agents: A Population-Based Study
Arch Intern Med. 2010;170(7):617-621.


背景:
 市中尿路感染は高齢者にしばしば見られるが、治療に用いられる抗菌薬の中には
 ワーファリンとの相互作用のため、出血リスクを上昇させる薬剤が含まれている。
 最も多く処方されるST合剤(コトリモキサゾール)もその1つである。

方法:
 オンタリオ州の医療データベースに97年4月1日から07年3月31日までに
 登録された情報の中から、ワーファリンを180日以上継続使用している
 66歳以上の高齢者を抽出した。上部消化管出血によって入院した人々をケースとし、
 ケースのそれぞれについて、年齢と性別がマッチするワーファリン使用者で、
 上部消化管出血による入院を経験していなかった人々を最高10人まで選び、
 この患者らをコントロールとした。
 出血前14日間の、コトリモキサゾール、アモキシシリン、アンピシリン、
 シプロフロキサシン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシンの使用の有無を調べた。

結果:
 134637人のワーファリン使用者を同定した。分析対象とした抗菌薬を1回以上
 処方されていた患者は45972人(34.1%)。9751人(7.2%)が
 コトリモキサゾールの処方を受けていた。
 上部消化管出血で入院した患者で条件を満たしたのは2151人(年齢中央値80歳)。
 うち2135人(99.3%)についてマッチドコントロールを10人同定できた
 (マッチドコントロールは21434人)。
 コントロールに比べケースで、コトリモキサゾールを処方されていた患者の割合が
 有意に高かった。出血により入院していた2151人のうち25人(1.2%)が
 コトリモキサゾールを使用していた。コントロールでは21434人中56人(0.3%)で
 多変量調整ORは3.84(95%CI2.33-6.33)となった。

結論:
 ワーファリンを使用している高齢者がコトリモキサゾールを使用すると、
 他の一般的な抗菌薬を用いた場合に比べ上部消化管出血のリスクが上昇する。

by otowelt | 2010-04-21 16:28 | 感染症全般

マイナーNTM特徴覚え書き

いつまでたっても覚えられないので、
表を作って覚えることにした
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by otowelt | 2010-04-20 16:26 | 抗酸菌感染症

SWOG9900試験:早期NSCLCの術前化学療法はOSとPFSが良好であった(ただ術後化学療法の方がすぐれる?)

肺癌の世界における術後化学療法の有効性が示されたのは、結構最近である。
これは、2003年のASCO以降の報告が相次いだことによる。
きっかけになったのは、The IALT Collaborative Groupの報告である。
I期~III期の非小細胞肺癌に対するcisplatin併用化学療法によって5年生存率が
4.1%改善したというものだ。そのIALTのあとも、NCI-C JBR.10、CALGB-9633、
ANITA・・・など統計学的に有意な生存率改善がみられる術後化学療法の報告が相次いだ。

じゃあ術前化学療法はダメなのか、と問われると議論の余地がある。
結論的には、EBMは術後化学療法を推奨している。理由は術前化学療法における
手術の合併症と術後死亡率の高さと考えられる。
術前化学療法では、NATCH試験とLU22試験が有名である。
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今回JCOに掲載されているSWOG9900試験は、術前化学療法にカルボプラチン+
パクリタキセルを使用した過去の論文データを正式に公表したものである。

Surgery With or Without Preoperative Paclitaxel and Carboplatin in Early-Stage Non–Small-Cell Lung Cancer:Southwest Oncology Group Trial S9900, an Intergroup, Randomized, Phase III Trial
J Clin Oncol 2010 Mar 15(Epub ahead of print)


背景:
 早期非小細胞肺癌(NSCLC)患者の予後は完全切除ができた場合でも不良である。
 これまでに行なわれた試験で切除可能NSCLCに対する術前(導入)化学療法は
 実施可能であり、有望な生存データも示されている。本無作為第III相試験では、
 早期NSCLC患者において術前パクリタキセル+カルボプラチン療法後の手術施行
 と手術単独の場合のOSの比較を試みた。

方法:
 Stage IB~IIIA NSCLC(肺尖部胸壁浸潤がんおよびN2症例を除く)の適格患者
 を手術単独群またはパクリタキセル(225mg/m(2))+
 カルボプラチン(AUC 6)3サイクル後の手術施行群に無作為に割りつけた。
 プライマリエンドポイントはOS、セカンダリエンドポイントはPFS、
 腫瘍縮小効果および毒性である。

結果:
 試験は患者354例を登録した時点で、他の試験により術後化学療法の生存に
 対する有用性が報告されたため早期に終了となった。OS中央値は
 手術単独群41ヵ月、術前化学療法群62ヵ月
 (HR 0.79;95%CI 0.60-1.06;p=0.11)、PFS中央値はそれぞれ
 20ヵ月と33ヵ月(HR 0.80;95%CI 0.61-1.04;p=0.10)であった。
 化学療法の奏効率は41%であった。予期しない毒性は認められなかった。
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結論:
 今回の試験は術後化学療法を支持する明確なエビデンスが示されたため早期に
 終了となった。OSとPFSは術前化学療法群で良好であったが統計的有意差には
 達しなかった。現状においては、早期NSCLCに対しては術後化学療法のほうが
 より強固なエビデンスが存在するというべきである。

by otowelt | 2010-04-20 11:58 | 肺癌・その他腫瘍

肺類上皮血管内皮腫(pulmonary epithelioid hemangioendothelioma)

肺多発末梢病の変鑑別疾患としてよく挙げられるので、知っておきたい。

●概要
類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma:EHE)が肺に発現
した場合、pulmonary epithelioid hemangioendothelioma(PEH)という。
元来intravascular bronchioloalveolar tumor(IVBAT)として提唱され
肺をはじめ、肝臓、骨などにも認められる稀な悪性度の低い腫瘍性疾患である。
1975年、Dail らにより、硝子化と血管内進展を特徴とする細気管支肺胞腫瘍が
新たにIVBATという名称で提唱され、後にこの腫瘍が血管内皮細胞由来で
あることが解明された。1982年にWeiss らにより血管から発生する
軟部組織の低悪性度の腫瘍がEHEとして提唱され、後に肺に発生したEHEと
IVBAT が同一疾患であると考えられた。一般に個々の腫瘍は直径0.3cm~2cm
程度の大きさで、中心部は硝子化し周辺部の腫瘍組織は肺胞壁をのKohn孔を
通して肺胞腔内に突出し肺胞腔内を充填するような像を認める。
Corrinらが電子顕微鏡下にWeibel-Palade body を見いだしたこと、
Weldon-Linne らが腫瘍細胞内に血管内皮細胞により合成される第VIII 因子
関連抗原を証明したことによって、本疾患は血管内皮細胞由来の腫瘍と考えられる。
                        Am J Pathol. 1975;78:6a-7a.
                        Cancer. 1982;50:970-981.
                        Cancer. 1983;51:452-464.
                        J Pathol 1979 ; 128 : 163―167.
                        Arch Pathol Lab Med1981 ; 165 : 174―179.


●疫学
年齢分布は15~74 歳、平均年齢41.2 歳と若年女性に多い傾向である。
様々な臓器に発生しうるが、肺と肝臓の報告例が多い。多臓器に発生することもある。
つまりは、血管内皮細胞の存在するところではどの臓器にも発生する可能性がある。

●症状
本邦のPEH は自覚症状が少なく、検診などで偶然に発見されることが多い。
72.9%が無症状にて発見されている。欧米での報告では息切れ、咳嗽、胸痛
といった有症状での発見の頻度が高くなっており、無症状での発症は
半数以下にとどまるとする報告もある。
                   Thorax 1999 ; 54 : 560―561.

●診断
肺病変の場合、気管支鏡での診断は困難であり、大部分の症例で開胸肺生検
もしくは胸腔鏡下肺生検が必要とされている。この理由として
本疾患では個々の結節の大きさが5~15 mm 程度と小さなものが多く
病変への到達が困難であることが考えられる。

●画像
画像的には多発性の辺縁がはっきりした腫瘤陰影を呈することが多く、
空洞や石灰化所見を認めることは少ない。
また腫瘤同士の癒合や索状構造で連絡して数珠状を呈することがあり
この所見は他の多発結節病変では認めることが少ない。
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●病理
本疾患の病理学的な特徴としては血管内皮細胞マーカーである
第VIII 因子関連抗原およびCD31、CD34 に陽性であることがあげられる。

●治療
確立された有効な治療法はない。完全切除可能で全身状態が良好な症例なら
外科的切除を行うが、一般的には対症療法で経過観察されていることが多い。

●予後
一般に進行は非常に緩徐であるものが多いが、
診断確定からの予後としては6 か月から10 年と症例により大きな差がある。
平均4.6 年という報告がある。
                 日呼吸会誌.2003;41:144-149.
                 Cancer 1983 ; 51 :452―464.

by otowelt | 2010-04-20 08:56 | レクチャー

重症患者において、TRALI発症は長期生存率減少の独立因子である

Long-Term Survival and Quality of Life After Transfusion-Associated Pulmonary Edema in Critically Ill Medical Patients.
CHEST April 2010 vol. 137 no. 4 783-789


背景および方法:
 輸血関連急性肺障害(TRALI)と、輸血関連循環過負荷(TACO)は、
 重症患者においてはよく知られている合併症である。
 TACOとTRALIにしぼった短期間での死亡率のスタディはあるが
 長期間での生存やQOLを観察したものは知られていない。
 TRALIかTACOに陥った患者の生存とQOLを検証した。

結果:
 74のTRALIのケースで入院時、1年後、2年後死亡率をコントロールと比較。
 それぞれ、TRALI vs controlで43.2% vs 24.3% (P = .020)、
 63.8% vs 46.4% (P = .037) 、74.3% vs 54.3% (P = .031)。
 51人のTACOでは同様に、7.8% vs 11.8% (P = .727)、
 38.0% vs 28.0% (P = .371)、44.9% vs 38.8% (P = .512)であった。 
 TRALIは死亡率と有意に相関(HR 1.86; 95% CI, 1.19-2.93; P = .006)。
 TACOは相関しなかった。
 またTRALIもTACOもICUあるいは在院日数に相関。
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結論:
 重症患者において、TRALI発症は長期生存率減少の独立因子である。
 TACOに関連性は認められない。

by otowelt | 2010-04-13 14:00 | 集中治療