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ALIの治療戦略

Therapeutic strategies for severe acute lung injury
Crit Care Med 2010 Vol. 38, No. 8


Crit Care MedからALIの治療戦略というレビューが出ていた。
本レビューではprone positionをある状況下では推奨していた。
(気道内圧の高い例において、1日20時間以上)
prone positionは、結構手間ひまがかかるのだが、当院でも
背側のコンソリデーションが強いARDS例などでは実施することがある。
ただ、このprone position療法は生存率に差がみられていないことが
2009年JAMAで報告されている。
prone positionについては、以下の4論文が有名。
・Effect of prone positioning on clinical outcomes in children with acute lung injury:A randomized controlled trial. JAMA 2005; 294:229–237
・A multicenter trial of prolonged prone ventilation in severe acute respiratory distress syndrome. Am J Respir Crit Care Med 2006;173:1233–1239
・Effect of prone positioning on the survival of patients with acute respiratory failure. N Engl J Med 2001; 345:568–573
・Prone positioning in patients with moderate and severe acute respiratory distress syndrome: A randomized controlled trial. JAMA 2009; 302: 1977–1984
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by otowelt | 2010-06-27 07:38 | 集中治療

気管内チューブ温度測定は体温を反映する

Temperature monitored on the cuff surface of an endotracheal tube reflects body temperature
Crit Care Med 2010 Vol.38, No.7


目的:
 CPAの患者の治療において、軽度の低体温療法がおこなわれるとき
 簡単に体温が測定できることが望ましい。このスタディは、気管内チューブの
 温度が体温測定において正確かつ安全かどうかを検証したものである。

デザイン:観察コホート試験

セッティング:大学病院におけるER

患者:軽度の低体温療法をおこなったCPA蘇生患者

インターベンション:
 カフ表面に体温センサーのついた気管チューブを挿入。低体温療法中、
 体温は分ごどに記録された。これらのデータは、食道、血液の体温プローブと
 比較された。この後、気管内の観察がおこなわれ、粘膜損傷などがないか
 チェックされた。

結果:
 おおよそ1患者あたり2000ポイントの測定がおこなわれた。
 21人の患者で記録された。血液温との間の平均バイアスは、
 -0.16°C (limits of agreement-0.36°C to 0.04°C)。
 食道温との平均バイアスは-0.22°C (limits of agreement:-0.49°C to 0.07°C)。
 気管支粘膜損傷はこの気管温測定において認められなかった。
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結論:
 気管内チューブカフ表面の温度測定は、蘇生後低体温療法中の患者において
 体温を正確に反映しておりかつ安全と考えられる。

by otowelt | 2010-06-26 11:17 | 集中治療

EGFR遺伝子変異に基づいて選択した進行NSCLCのファーストラインでゲフィチニブはPFS延長

日本のNEJSGからの報告。
EGFR遺伝子変異の結果に基づいてイレッサを初回から用いる個別化治療の論文。
イギリスのNICEは、EGFR変異陽性の場合イレッサによる初回治療を
1つの選択肢として、推奨することとした。

Gefitinib or Chemotherapy for Non–Small-Cell Lung Cancer with Mutated EGFR
N Engl J Med 2010;362:2380-8.


背景:
 EGFRに感受性の遺伝子変異を伴うNSCLCは、ゲフィチニブを含めた
 EGFR-TKI反応性が高いとされている。しかし、有効性と安全性に関する
 標準的化学療法との比較はあまり行われていない。

方法:
 化学療法治療歴のない、かつ転移を伴うEGFR+のNSCLC230人を
 ゲフィチニブ投与群、カルボプラチン+パクリタキセル投与群にランダムに
 割り付けた。プライマリエンドポイントはPFSとし、
 セカンダリエンドポイントはOS、RR、毒性など。

結果:
 最初の200例のデータで中間解析を行った。
 PFSはゲフィチニブ群で標準的化学療法群より有意に延長(HR 0.36、
 P<0.001)したため、試験を早期に終了した。ゲフィチニブ群がPFS中央値
 が有意に長く(10.8Mvs 5.4M, HR0.30, 95%CI 0.22~0.41,P<0.001)
 RRも高かった(73.7% vs 30.7%,P<0.001)。OS中央値は、
 ゲフィチニブ群30.5M、化学療法群23.6Mだった(P=0.31)。
 高頻度にみられた有害事象は、ゲフィチニブ群で
 皮疹:71.1%、アミノトランスフェラーゼ値上昇:55.3%。
 化学療法群では好中球減少:77.0%、貧血:64.6%、食欲不振:56.6%、
 感覚性ニューロパチー:54.9%。
 ゲフィチニブ群ではILDによる死亡が1例報告された。
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結論:
 EGFR遺伝子変異に基づいて選択した進行NSCLCへの
 第一選択薬としてゲフィチニブを投与した場合、
 標準的化学療法と比較してPFSを改善し、かつ毒性も許容範囲内だった。

by otowelt | 2010-06-25 16:28 | 肺癌・その他腫瘍

自己免疫性PAPに対してGM-CSF吸入療法は有用

今回のAJRCCMに掲載されることがわかっていた重要な論文。

肺胞蛋白症は当院ではcommon diseaseになっている。
臨床試験のために集まるからかもしれないが…
全身麻酔下で全肺洗浄を行うこともあるが、
こちらはまだエビデンスがなかったように記憶している。

Inhaled Granulocyte/Macrophage–Colony Stimulating Factor as Therapy for Pulmonary Alveolar Proteinosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 181. pp 1345–1354, 2010


背景:
 吸入GM-CSF治療は、肺胞蛋白症(PAP)の治療の画期的治療であるが、
 まだ適切な臨床試験はおこなわれていない。

目的:
 軽快しない、あるいは進行するPAPに対しての
 吸入GM-CSF治療の安全性と効果について検証する。

方法:
 国際多施設phaseII臨床試験を日本の9の呼吸器センターで実施。
 肺生検および細胞診でPAPと診断された患者において、
 12週間の観察期間の間、GM-CSF抗体が上昇し、PaO2が
 75mmHg未満である症例を登録。
 観察期間中にA-aDo2の改善などがみられたものは除外した。
 登録症例において
 高用量(250 mg Days 1–8, none Days 9–14; ×six cycles; 12 wk)
 低用量(125 mg Days 1–4, none Days 5–14; ×six cycles; 12 wk)
 フォローアップ(52 wk)とした。

結果:
 50のPAP患者がスタディに登録した。
 観察期間のうち、9人が改善、2人が取りやめ、で除外となった。
 35人が高用量→低用量レジメンを施行できたた。
 24人が改善し、ORRは62%であった(ITT解析で24/39)。
 A–aDO2減少は、12.3mmHg (95%CI 8.4–16.2; n=35, P,0.001)。
 重篤な副反応は起こらなかった。血清GM-CSF抗体は変化がみられなかった。
 治療によりみられた点としては、A-aDO2、DLCO、HRCTでのGGO改善
 に関連性がみられた。35人のうち、29人が治療1年をこえて安定している。
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結論:
 自己免疫性PAPに対して、吸入GM-CSF治療は安全性があり効果がある。

by otowelt | 2010-06-24 14:36 | びまん性肺疾患

zygomycosis (ムコール症;mucormycosis)

●zygomycosis
zygomycosisは真菌感染の3~4%を占め、
Mucor症は全体の約20%を占めるとされている。
           Ann Intern Med 1980;93:93―108.
zygomycetes網mucorales目によって起こることが多いため、
zygomycosis=mucormycosisと考えるケースがほとんどである。
クモノスカビ(Rhizopus)、リゾムコール(Rhizomucor)、
アブシディア(Absidia)、バシディオボールス(Basidiobolus)などの
様々な真菌種による感染症の総称と考えるべきである。
”ムコール症”と”ムーコル症”と2種類の日本語表記があるが、
Google検索でヒットが多いのは、”ムコール症”の方である。
CID2005にわかりやすいレビューがあるので、参考にしたい。
癌と血液疾患では半数が肺型であり、ものの文献では全体の半数以上に
肺zygomycosisがみられるとの報告もある。
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松島らは宿主の要因により肺ムーコル感染症を健常人に発症した一次性、
重篤な基礎疾患があり免疫抑制剤が使用されている患者に発症してくる二次性、
肺内の空洞などの病的空間に菌が付着・増殖する腐生性
の3つに分類している。しかしながら、文献が古すぎる。
           日胸疾会誌1979 ; 17 : 791―797.

●肺Mucor症の病態生理
肺Mucor症は胞子の吸入により発症する。
健常人で発症することは稀でであり、糖尿病や腎不全、白血病などの
免疫不全をきたす基礎疾患を持つ患者に発症する。
経過は急速であり、また血管侵襲性が強いため、生前診断が困難で予後不良である。
血管浸潤による血栓形成と梗塞を特徴とした、壊死性血管炎が特徴的である。
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●zygomycosisの症型・症状
・rhinocerebral zygomycosis(鼻脳型)e0156318_21564420.jpg
 鼻脳型は、もっともよくみられるパターンである。
 糖尿病のある患者において、50%のzygomycosisが
 このタイプである。脳感染症は通常重度で、高頻度に致死性。
 壊死性病変が鼻粘膜、しばしば口蓋にみられる。菌糸による
 血管侵入は、鼻中隔~副鼻腔の骨を進行性に組織壊死させる。
 症状として疼痛、発熱、眼窩蜂巣炎、眼球突出、膿性鼻汁など。
 海綿静脈洞血栓症、失語症、片麻痺などの症状を起こすことも。

・pulmonary zygomycosis(肺型)
 侵襲性アスペルギルス症に類似する症状である。
 発熱、咳嗽、血痰、胸痛、呼吸困難など。

・gastrointestinal zygomycosis(消化管型)
 腹痛、悪心、嘔吐、下痢、血便など。
 zygomycosisの表現型としては最も少ないタイプである。
              Clin Infect Dis. Sep 1 2005;41(5):634-53

・cutaneous zygomycosis(皮膚型)
 全zygomycosisの20%を占める。血液疾患に続発するケースもあるが、
 多くは皮膚になにかしらの外傷を負ったケースである。
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・disseminated zygomycosis(播種性)
 肺zygomycosisが全身に播種することが一般的で、中枢神経系や血中に
 散布される。肺zygomycosis患者が、頭痛、複視などを訴え始めた場合には
 これを考える必要がある。deferoxamine治療の患者はこのタイプの
 リスクファクターである。(鉄キレート剤)
 
●zygomycosisの診断
 β-Dグルカンは陰性である。抗原検査もない。
 なので、痰や気管支鏡で直接病原体を検出するしかないのが現状である。
 血液疾患患者において疑われた症例でも、半数以下しか診断できなかった。
          Haematologica. 2000;85(10):1068-71.
 アスペルギルスの可能性を考えた場合に、必ずcriticalな経過をたどる
 zygomycosisを頭に入れておくことが大事である。
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 HE染色とGrocott染色(肝zygomycosis)

●胸部の画像所見
 肺zygomycosisは上葉に起こることが多い。
          J Comput Assist Tomogr. 1995;19(5):733-8. 
 画像所見としてはIPAと非常に類似している。
 境界のはっきりした結節影とconsolidationが認められる。
 consolidationが66%、caviationが40%にみられる。
          Arch Intern Med. 1999;159(12):1301-9.
 本症を疑ったら、頭~副鼻腔MRIを撮影する必要がある。
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●zygomycosisの治療
血球異常や血糖異常はすぐに是正すべきである。
これにより予後は改善する。
本症の治療としては外科的治療またはAMPH-B の投与が有効とされている。
病変が限局し、全身状態が改善した例では外科治療の対象となる。
           Ann Thorac Surg 1994 ; 57 : 1044―1050.
アムホテリシンBの総使用量1000 mg 以上を用いた方が予後が良いとされている。
フルコナゾールや5-FCについては、アムホテリシンBとの併用投与で
効果を報告した文献もあるが、あくまで報告例である。

ポサコナゾールはin vivoでもin vitroでも効果が証明されている。
           Antimicrob Agents Chemother. May 2002;46(5):1581-2
           J Antimicrob Chemother. Jan 2003;51(1):45-52
           Int J Clin Pract. Jun 2004;58(6):612-24.

現実的には、アムホテリシンBのde-escalationの役割として
用いられていることが多いようである。

●zygomycosisの予後
かつて死亡率は80~90%と高かったが、2000年に入るまでに早期診断により
20~40% にまで低下している。
           Arch Intern Med 1999;159:1301―9.
           Ann Thorac Surg 1994;57:1044―50.

白血病などを基礎疾患として発症した場合、
出血性梗塞で急速な経過をたどり多くは2 週以内に死亡すると言われている。
しかし、重症の基礎疾患がない場合、慢性の経過をとるとされている。
           日胸疾会誌1988;57:116―8.
30 年間の肺ムーコル症をまとめた論文では、
内科治療のみの31 例の死亡率は55%、外科治療を行った30例の死亡率は27%。
           Arch Internal Medicine 1999 ;159 : 1301―1309.
文責"倉原優"

by otowelt | 2010-06-20 22:04 | レクチャー

低IQの精神症状のない成人男性において自殺企図リスクは高い

スタディの人数がものすごい。

Psychosis alters association between IQ and future risk of attempted suicide: cohort study of 1 109 475 Swedish men
BMJ 2010;340:c2506


目的:
 成人におけるIQの測定と、その後の自殺企図の関連性を調べる。
 精神症状の役割を明らかにし、IQと自殺方法についての関連性を説明する。

デザイン:コホ-トスタディ

患者および方法:
 1109475人のスウェーデン人男性におけるIQ測定を成人早期に行い、
 平均24年間フォローした。 主要転帰項目は、自殺企図における入院。

結果:
 17736人(1.6%)が自殺企図によって最低でも1回入院した。
 年齢調整および社会的なステーテタスによる調整をおこなったところ、
 低いIQスコアは自殺企図のリスクを上昇させた。
 (HR per standard deviation decrease in IQ=1.57, 95%CI 1.54-1.60)
  すべてのIQにおいて段階的にリスクは増加 (P for trend<0.001)する。
 同様の経口がいかなる自殺方法においても認められた。
 個別解析で、IQと自殺企図の相関は、精神症状がない患者に限定されている。
 また、IQは精神症状がある患者では自殺企図に影響を与えないことがわかった。
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結論:
 IQスコアが低い場合、精神症状のない成人男性において自殺企図リスクを上昇。

by otowelt | 2010-06-18 23:57 | 内科一般

β-Dグルカン

●β-Dグルカンとは
 βグルカンは真菌や植物などが保有する細胞壁成分多糖で、β配位した
 グルコピラノースを構成糖とする。結合様式から、1→3、1→6
 の2種類が真菌では知られている。
 β-D-グルカンと単に言うときは、1→3を指しているものと考えてよい。
 真菌に特徴的な細胞膜を構成している多糖体で、菌糸型接合菌を除く
 すべての真菌に共通して認められるものである。
 当然ながら、正常なヒトには存在しない物質である。
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●β-Dグルカン測定法
 血漿β-グルカン測定法は1995 年生化学工業(株)により初めて発表された
 リムルス反応を応用した深在性真菌症の診断法である。
               Lancet 1995 ;345:17―20.
 どの方法も、カブトガニ血球中のβ-グルカン感受性物質の
 体液凝固反応を応用したものである。β-Dグルカンの測定法と、
 エンドトキシンの測定法は紙一重でありこれらの検査法を理解するためには
 その歴史を学ぶ必要がある。1973年にプレゲルが発売され、ng/mlオーダーで
 エンドトキシンの検出が可能になったが、この方法はゲル化を目で判定するので、
 バイアスが大きかった。つまり、陽性と陰性の判定が容易ではなかった。
 ライセート凝固に関与する因子であるクロッティングエンザイムや
 基質コアギュローゲンが明らかになり、最初の定量法として
 1978年に発色合成基質法が開発された。
            Haemostasis; 7:183, 1978
 1981年にβ-(1→3)-D-グルカンがライセートを凝固させることがわかった。
             Biochem Biophys Res Commun101; 434 ,1981
 ここからリムルス、発色合成基質法が発達していった。
 β-Dグルカンとエンドトキシンの測定法は特異的に発達を遂げる。

 ところで、β-Dグルカンは国内外でのアッセイの方法に違いが少々あり、
 カットオフ値も異なるので、論文を読むときはその点に注意した方がよい。
 測定法としては発色合成基質法とゲル化時間を測定する比濁時間分析法がある。
 臨床で主に用いられているものに
 ファンギテックGテストMK(発色合成基質法;生化学工業(株))と
 β-グルカンテストワコー(比濁法;和光純薬工業(株))の2 種類があったが、
 最近マルハ(発色合成基質法;マルハニチロ食品(株))で登場した。
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・発色合成基質法(ファンギテックG MK/カットオフ値20pg/ml)
 カブトガニG因子系の反応試薬にβ-D-グルカンが
 作用すると連鎖反応が起こり、最終的に活性化された凝固酵素が発色合成基質を
 加水分解する。その結果遊離されるパラニトロアリニン(PNA)の吸光度を
 経時的に測定することにより、自動的に検体中のβ-D-グルカン濃度が算出される
 (カイネティック自動比色測定法)。
 サルファ剤は芳香族アミンを基本構造をもっているが、これが
 パラニトロアニリンと同じくにジアゾカップリングされる。
 そのため、血中にサルファ剤が含まれると偽陽性反応になることがある。
 マルハの発色合成基質法では異なる基質を用いておりこの問題はない。
 ファンギテックMK法が最も感度がよいとされ、かつワコーよりも
 数値が高めに出る点は覚えておきたい。
 しかし、ワコー法とマルハ法は特異度に優れているとされている。


・比濁時間分析法(β-グルカンテストワコー/カットオフ値11 pg/ml)
 前処理した試料をリムルス試薬と反応させると、(1→3)-β-D-グルカンは
 ファクターGより始まるカスケード反応を開始させ、濁りを伴うゲル化を起こす。
 試料中の(1→3)-β-D-グルカン量と反応液があらかじめ設定された濁度に
 達するのに要した時間との間の用量反応関係に基づき、試料中の
 (1→3)-β-D-グルカン量を求めることが可能である。
 
●β-Dグルカンの偽陽性
・透析でのセルロース膜使用者
・アルブミン製剤やグロブリン製剤使用者
・多発性骨髄腫
・レンチナン、シゾフィランなどのグルカン抗悪性腫瘍薬使用中
・アガリクスなどのキノコ類大量摂取
・サルファ剤
・ピシバニール
・ガーゼを使用した
・溶血
ファンギテックG MKを使用している病院では、
たとえばICU患者さんがグロブリン・アルブミン製剤を点滴していたり
すると、β-Dグルカンの数字の判断を安易にしてはならないということになる。

●PCP診断
 ファンギテックGテストMKでは、
 23.2pg/mlをカットオフとして感度96.4%、特異度87.8%(+LR 7.9, -LR 0.04)。
 また、β-DグルカンはPCPの重症度を反映せず、治療効果の判定に使えない
 CIDでは、8割以上の患者が臨床的改善後もβ-Dグルカンが正常化しなかった。
 β-Dグルカン(ワコー)では、31.1pg/mlをカットオフとした場合、
 感度92.3%、特異度86.1%、PPV61%、NPV98%であった。
              Chest (2007) vol. 131 (4) pp. 1173-80


by otowelt | 2010-06-16 09:58 | 感染症全般

肺移植後の長期valganciclovirはCMV疾患を減少させる

IDATENでも話題になっているサイトメガロウイルスだが、
Arch Inten Medで、universal prophylaxisについての論文が出ていた。
これは、valganciclovirを12ヵ月長期に投与する方がよいというものである。

CMVの治療には抗ウイルス薬であるガンシクロビル(デノシン)が広く
使用されているが、腎移植時に十分な尿量が必要であることや
骨髄抑制がみられるなどの問題点がある。
ガンシクロビルの経口プロドラッグ製剤であるvalganciclovirは、
これまでの経口ガンシクロビルの約10倍の吸収率に加えて、
一日の投与量を減量しながらも注射剤と同等の血中濃度が維持できるので
非常に長期投与がしやすい。
           Antimicrob Agents Chemother 44:2811―2815, 2000

抗CMV薬のpreemptive therapyとuniversal therapyのどちらがよいか
というのが問題になるのだが、主流はuniversal therapyである。
腎移植後の検討では差がみられなかったとするものと、
移植後4年の長期のグラフト生存率は予防群の方がよかったとするものがある。
           Am J Transplant. 2006;6(9):2134-2143.
           Am J Transplant. 2008;8(5):975-983.

ちなみに、preemptive therapyのメタアナリシスとしては以下が有名。
           Lancet. 2005;365:2105-2115.
           Ann Intern Med. 2005;143:870-880.
           Clin Infect Dis. 2006;43:869-880.


Extended Valganciclovir Prophylaxis to Prevent Cytomegalovirus After Lung Transplantation A Randomized, Controlled Trial
Ann Intern Med June 15, 2010 152:761-769;


背景:
 サイトメガロウイルス(CMV)は、肺移植後の日和見感染症としてよくみられる。
 リスクの高い患者において、CMVを予防は難しいのが現状である。

目的:
 肺移植後3カ月の通常予防から、延長した12ヵ月までの間、
 経口valganciclovirを長期投与することによって、
 CMV感染を予防できるかどうかを検証。

デザイン、セッティング:
 プラセボ対照ランダム化比較試験。
 (ClinicalTrials.gov registration number: NCT00227370)
 11のU.S.肺移植センターを含む多施設共同研究。

患者および方法: 
 136人の肺移植レシピエントに対して3カ月のvalganciclovir予防をおこなった。
 その後、さらに9カ月の延長群(n = 70)とプラセボ群(n = 66)に割りつけた。
 プライマリエンドポイントは、CMV疾患(症候群あるいは組織侵入性)の回避。
 セカンダリエンドポイントは、CMV疾患の重症度、CMV感染症、急性拒絶反応、
 日和見感染症、ガンシクロビル耐性、安全性。
 ※CMV diseaseという語句は1臓器だけのinfectionだけでなく、
  症候群と組織侵入性を加味している

結果:
 CMV疾患は、3ヵ月コースで32%、12ヵ月コースで4%であった(P<.001)。
 CMV感染率(64% vs. 10%; P<.001)、疾患重症度
 (110000 vs. 3200 copies/mL, P = 0.009)も長期間投与群で有意に低かった。
 急性拒絶反応、日和見感染、副作用、ガンシクロビル耐性、ラボデータ異常などは
 有意差なし。スタディ完遂6か月後において、CMV疾患頻度は両群とも低かった。

結論:
 肺移植レシピエントにおいて、valganciclovirは3ヵ月よりも12ヵ月の方が
 有意にその感染、疾患重症度を減らした。

by otowelt | 2010-06-15 14:15 | 感染症全般

HCC治療のTACE/TAI後のLVFXはCEZに非劣性

日本の論文だが、興味があったので。

Antibiotic Prophylaxis in Transcatheter Treatment of Hepatocellular Carcinoma: an Open Randomized Prospective Study of Oral Versus Intravenous Administration
Inter Med 49: 1059-1065, 2010


背景:
 transcatheter arterial chemoembolization (TACE) および
 transcatheter arterial infusion chemotherapy (TAI)は、手術不可能な
 肝悪性腫瘍に対して使われる治療手段である。経口あるいは静脈注射の抗菌薬の
 どちらがTACE/TAI後感染予防によいかはわかっていない。
 われわれは、経口レボフロキサシンと点滴セファゾリンの予防効果を
 HCC治療目的にTACE/TAIを受けた患者において比較した。

患者および方法:
 129の患者がTACE/TAIを受け、彼らをランダムに割りつけた。
 CEZが2g/day5日間で、LVFXが300 mg/day5日間とした。ラボデータ、
 抗菌薬投与変更、在院日数、副作用、感染性合併症などが記録された。

結果:
 白血球数と血清CRP値、感染性合併症、薬剤副作用に両群とも差がなかった。
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結論:
 HCC治療のTACE/TAI後のレボフロキサシン予防投与は、
 セファゾリンに劣らない可能性がある。

by otowelt | 2010-06-15 13:02 | 感染症全般

アメリカでのHPVワクチン接種率は3人に1人

Geographic Disparity, Area Poverty, and Human Papillomavirus Vaccination
American Journal of Preventive Medicine;38:5;525-533 (May 2010)


背景:
 ヒトパピローマウイルス(HPV)を予防するワクチンは
 子宮頸癌との強い関連がみられる4種類のHPV株を標的とするもので、
 2006年にFDAに承認された(Gardasilガーダシル、※日本は別製品が承認済)。
 今回の研究で、デラウェア、ニューヨーク、オクラホマ、ペンシルバニア、
 テキサスおよびウエストバージニアの6つの州で13~17歳の1709人の女性の
 HPVワクチン接種率を分析。

方法:
 データは、リスクファクターサーベイランスシステム(BRFSS)と呼ばれる
 全国的な電話調査により収集したもの。

結果:
 この調査ではHPVワクチンに関する部分は任意であり、回答に応じたのは
 6州にとどまった。この6州はアメリカの都市部と郊外、富裕層と貧困層、
 人種および民族構成をよく反映していると考えられた。
 合計34.4%の女性がワクチンを受けていた。
 人種によるワクチン接種率の差は認められなかった。
 高学歴の親をもつ女性はワクチン接種率が高かったが、
 世帯収入が多いほど接種率は低下した。富裕層では子供に
 ワクチンを一切受けさせない選択をする親が増えていた。

by otowelt | 2010-06-15 10:42 | 感染症全般