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来年もよろしくお願いします。

研修医時代、「1日1論文」ということを義務づけていた後輩がいたので
私はそれに触発されて、朝に早起きしてできる限り1日1論文という
日課を続けています。それでも2010年は300程度の論文しか読めませんでした。
ただ、私は記憶力が極めて乏しく、メモしないと覚えられません。
勉強したことをメモすることで、いつでも引き出せるのが
ブログという媒体のよいところでした。
ただ、全ての論文を記載してアップロードするにはやはり労を要しますので、
アップロードできたのは部分的なものだけでした。
その勉強した内容を積み重ねて、自分の患者さんに還元したいと
いう初志で始めたメモであり、その気持ちは今も変わっていません。

勉強メモのつもりだったのが、いつの間にか1日のアクセス数が
途方もない数字になってきました。
呼吸器内科医だけでなく、誰に見られても恥じないような
勉強・論文メモのブログであり続けたいと思います。

来年もよろしくお願いします。

by otowelt | 2010-12-30 11:05 | その他

集中治療室における、電子デバイスを用いた非内視鏡的空腸チューブ留置は迅速かつ安全

ICUなどで胃ではなく空腸にチューブを留置することがあるが、これについては
「胃管に耐えうることができない症例においては推奨」とガイドラインに記載されている。
・ESPEN Guidelines on Enteral Nutrition: Intensive care. Clin Nutr 2006; 25:210–223
・Guidelines for the Provision and Assessment of Nutrition Support Therapy in the Adult Critically Ill Patient: Society of Critical Care Medicine (SCCM) and American Society for Parenteral and Enteral Nutrition (ASPEN).J Parenter Enteral Nutr 2009; 33:277–316
・Canadian clinical practice guidelines for nutrition support in mechanically ventilated, critically ill adult patients. J Parenter Enteral Nutr 2003; 27:355–373


全例ではないが、集中治療の現場では空腸チューブが選択されることにメリットが
あると考えられている流れがある。しかしながら、費用対効果の点からカメラを
つっこんでまで空腸にチューブを留置するメリットも多くないのではという意見もある。
Endoscopic placement of enteral feeding catheters. Curr Opin Gastroenterol 2006; 22:546–550

CORTRAK®という、空腸チューブ留置を容易にするデバイスがある。 これは、
デジタル画面でリアリタイムにチューブが挿入されているのを見ながら用手的に
入れることのできるものであり、侵襲的な内視鏡処置が不要である。
夢のような機械だが、空腸に限らず胃管もこれで挿入できそうだ。
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CORPAK MedSystems
URL: http://www.corpakmedsystems.com/Product_Main/cortrak.html

Crit Care Medから、CORTRAK®と通常内視鏡による栄養チューブの
空腸留置におけるガチンコ対決の論文が出た。どうでもいいが、
「head-to-head comparison」は「ガチンコ対決」という訳が個人的にしっくりくる。
選択基準は、ガイドライン通り”胃内チューブ栄養に耐えられない者”となっている。

Jejunal tube placement in critically ill patients: A prospective, randomized trial comparing the endoscopic technique with the electromagnetically visualized method
Crit Care Med 2011; 39:73–77


目的、デザイン、セッティング:
 新しい電子ビジュアル空腸チューブ留置(CORTRAK®)と、通常の
 内視鏡的空腸チューブ留置を直接比較(head-to-head comparison)した。
 これはプロスペクティブランダム化試験であり、大学病院ICU2施設でおこなわれた。

患者およびインターベンション:
 合計66人の重症患者で、胃内栄養に耐えられないものを対象とした。
 電子デバイス群と通常内視鏡群に2:1に割り付けた。
 正しく空腸に24時間後に留置されているかどうかで判断した。

結果:
 通常内視鏡方法22人の患者のうち、21人の患者が正しく空腸留置できた。
 電子デバイス群44人の患者のうち、40人の患者が正しく空腸留置できた。
 (95% vs. 91%; relative risk 0.9524, CI 0.804–1.127, p = .571)
 残りの4人はその後内視鏡で正しく留置できた。
 正しく留置するまでに要した時間は両群ともに差がみられず、鼻出血も同等であった。
 電子デバイスの場合、最初のトライで成功する傾向にあった。 
 この成功の原因として、BMIが高値であること、嘔気がないことが挙げられる。
 ※BMIが高値の場合内視鏡も容易になることはすでに知られている。
  Significance of colonoscope length in cecal insertion time. Gastrointest Endosc 2009; 69:503–508


結論:
 直接比較により、電子デバイスを用いた非内視鏡的空腸チューブ留置は
 通常の内視鏡処置と同様に、迅速かつ安全にICU患者において処置が可能である。

by otowelt | 2010-12-27 06:48 | 集中治療

肺結核患者は肺癌発症のリスクが高い

肺結核患者の喀痰から抗酸菌だけでなく癌細胞が出た経験がある。
気管支鏡をして、結核と癌が混在していたこともある。
それだけに、このJTOの論文は興味深い。

Increased Lung Cancer Risk among Patients with Pulmonary Tuberculosis: A Population Cohort Study
Journal of Thoracic Oncology: January 2011 - Volume 6 - Issue 1 - pp 32-37


背景:
 世界では、総人口の約3分の1が結核に感染している。
 結核と肺癌の関連を正確に記述することは重要である。
 このスタディは、収縮性肺結核が肺癌のリスクとなるかどうかを調べたものである。

方法:
 コホートに肺癌のない20歳以上の716872件のサブジェクトを調べた。
 1998年~2000年の間で、4480人の患者で新たに肺結核と診断された患者を
 解析し、その後の肺癌発症のハザード比を算出する。

結果:
 肺癌発症は、非結核患者よりも結核患者において11倍多かった。
 (26.3 versus 2.41 per 10,000 person-years)
  Cox比例ハザード回帰分析では、社会人口学的調整を加えて
 結核患者の肺癌発症ハザード比は4.37 (95%CI: 3.56–5.36)、
 COPDや喫煙関連非肺癌で補正した場合は3.32 (95% CI: 2.70–4.09)であった。
 COPD合併例の場合、ハザード比は6.22 (95% CI: 4.87–7.94)まで上昇し、
 喫煙関連非肺癌合併例では15.5 (95% CI: 2.17–110)まで上昇。

結論:
 このスタディでは、結核患者において肺癌発症リスクは高いと言える。
 COPDや喫煙関連非肺癌合併例ではさらにそのリスクは上昇する。

by otowelt | 2010-12-26 08:41 | 抗酸菌感染症

肺腺癌におけるALK増幅の役割

神経芽細胞腫の約10%の症例で、ALK遺伝子に増幅もしくはミスセンス変異がある。
神経芽細胞腫ではALKの酵素の機能が過剰に働くことが、細胞のがん化に
つながっていると考えられる。

Increased ALK Gene Copy Number and Amplification are Frequent in Non-small Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: January 2011 - Volume 6 - Issue 1 - pp 21-27


背景:
 anaplastic lymphoma kinase(ALK)遺伝子が染色体転座により融合した
 遺伝子を有する非小細胞肺癌(NSCLC)患者においてALK阻害薬が有用であることが
 わかっている。ALKコピー数変化と増幅は、神経芽細胞腫などにおいてその役割が
 明らかであるが、非小細胞肺癌における役割はよくわかっていない。
 われわれは、ALKコピー数変化有病率とALK蛋白発現との関連性、EGFR遺伝子との
 関連性、臨床病理的なデータとの関連性を調べた。

方法:
 ALKステータスは、fluorescence in situ hybridization (FISH)によって同定した。
 ALKの転座に起因する遺伝子として、
 echinoderm microtubule-associated protein-like 4 (EML4), KIF5B, TFGの
 ステータスを調べた。ALK発現は免疫組織化学的に調べた。EGFR遺伝子と蛋白の
 ステータスは、腺癌のものにおいて調べた。また、生存の解析もおこなった。

結果:
 107のNSCLC症例が評価された。2症例がEML4-ALK転座があり、1例が
 ALKのatypicalな転座を認めた。EML4-ALKの2例ともALK蛋白発現があり
 残りの症例ではALKは同定されなかった。11例(10%)にALK増幅がみられ、
 68例 (63%)にコピー数の過剰がみられた。ALk増幅とEGFR-FISH陽性とに
 関連性がみられた(p < 0.0001)が、予後とは関連していなかった。
 
結論:
 肺腺癌においてALK増幅頻度は有意に多く、EGFR-FISH陽性と関連していた。
 これらのことから、ALK増幅がALK阻害薬単独あるいはEGFR阻害薬との併用において
 将来的に重要な役割と関連している可能性が示唆される。

by otowelt | 2010-12-26 08:02 | 肺癌・その他腫瘍

吸入ステロイドは糖尿病発症あるいは増悪のリスク

呼吸器内科医にとっては若干凹む内容の臨床試験結果。
吸入ステロイドですら、糖尿病リスクとなる可能性を孕む。

Inhaled Corticosteroids and the Risks of Diabetes Onset and Progression
The American Journal of Medicine, Vol 123, No 11, November 2010


背景および方法:
 全身的なコルチコステロイドの作用が糖尿病リスクを上昇させることが
 わかっているが、高用量吸入ステロイドが悪化させるかどうかはまだ
 わかっていない。われわれは、高用量ステロイド吸入が糖尿病発症リスク
 となるかどうかを調べた。1990年から2005年の間に
 the Quebec health insurance databasesにより吸入ステロイドを
 呼吸器疾患で処方された患者を2007年までフォローアップした。
 また、上記患者において血糖降下薬を使用した患者についても同様にフォローアップ。

結果:
 388584人の患者で、30167人が5.5年のフォローアップ中に糖尿病を発症
 (incidence rate 14.2/1000/year)、2099人が経口血糖降下剤から
 インスリンへの移行(incidence rate 19.8/1000/year)した。
 吸入ステロイドを使用することで34%糖尿病率増加(RR1.34;95%CI 1.29-1.39)、
 糖尿病増悪率増加(RR 1.34; 95% CI, 1.17-1.53)と関連
 リスクは、吸入ステロイド使用量が最も多い群(FP 1000μg/d以上)で多かった
 (RR 1.64; 95% CI, 1.52-1.76 and RR 1.54; 95% CI, 1.18-2.02)。
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結論:
 呼吸器疾患において、吸入ステロイドを使用することは
 糖尿病発症あるいは糖尿病増悪のリスクと関連する。

by otowelt | 2010-12-21 11:37 | 肺癌・その他腫瘍

FLEX試験サブグループ解析:セツキシマブに1コース目皮疹が出た場合生存は有意に改善する

「タルセバで皮疹がよく出るほど効果がありますよ」と患者さんに
説明することがよくあるが、副作用が出るほど効果があるというのも
なんだかおかしな話だという顔をよくされる。

セツキシマブのFLEX試験のサブグループ解析で
似たような結果が出たので、Lancet Oncologyに掲載された。

●FLEX試験の復習
 FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、
 EGFRを発現している3B期/4期の進行NSCLC患者を
 シスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)と
 シスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(併用群)
 セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与。
 セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。
 セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付け。
 化学療法のみ群、セツキシマブ併用群とも化学療法のサイクルの中央値は4。
 試験の結果、OS中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、
 化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、
 化学療法のみ群では42%だった。ハザード比は0.871
 (95%CI:0.762-0.996、p=0.044)で有意にセツキシマブ群の延長が認められた。
 奏効率はセツキシマブ併用群が36%、化学療法のみ群が29%で有意に
 セツキシマブ群の方が優れていた。治療成功期間もセツキシマブ併用群が4.2カ月
 に対し、化学療法のみ群は3.7カ月で、ハザード比0.860(95%CI:0.761-0.971)で、
 セツキシマブ併用群の方が優れていた。ただし、PFSは両群とも4.8カ月で有意差なし。

First-cycle rash and survival in patients with advanced non-small-cell lung cancer receiving cetuximab in combination with first-line chemotherapy: a subgroup analysis of data from the FLEX phase 3 study
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 20 December 2010


背景:
 ランダム化III相試験であるFLEX試験は、
 セツキシマブを、シスプラチン+ビノレルビンに加えることで
 進行NSCLCにおいてOSが有意に改善した臨床試験である。
 セツキシマブにおけるおもな有害事象はアクネ様の皮疹である。
 ここでアクネ様皮疹における臨床的ベネフィットを提示する。

方法:
 われわれはFLEX試験のサブグループ解析をおこなった。
 1コース目の初期21日以内に皮疹が出現した患者の臨床アウトカムを解析。 
 21日目まで生存していた患者をITT解析した。
  
結果:
 518人の患者がセツキシマブ群であり、そのうち290人が1コース目で
 皮疹が出現した。この皮疹が出現した患者は、有意にOSが延長していた。
 (OS中央値 15.0 months [95% CI 12.8-16.4] vs 8.8 months [7.6-11.1];
 HR 0.631 [0.515—0.774]; p<0·0001)
 PFSも同様に相関していた。
 (PFS中央値 5.4 months [5.2—5.7] vs 4.3 months [4.1—5.3];
 HR 0.741 [0.607—0.905]; p=0.0031)
 奏効率 (rate 44.8% [39·.0—50.8] vs 32.0% [26.0—38.5];
 OR 1.703 [1.186—2.448]; p=0·0039)
 1コース目で皮疹が出なかった患者のOSは、セツキシマブ群と非セツキシマブ群で
 差はみられなかった(OS中央値 8.8 months [7.6-11.1] vs 10.3 months
 [9.6-11.3]; HR 1.085 [0.910-1.293]; p=0.36)。
 OSに有意差があった、セツキシマブ皮疹群の組織別解析では
 adenocarcinoma (median 16.9 months, [14.1—20.6] vs
 9.3 months [7.7-13.2]; HR 0.614 [0.453-0.832]; p=0.0015)
 squamous-cell carcinoma (median 13.2 months [10.6—16.0] vs
 8.1 months [6.7—12.6]; HR 0.659 [0.472-0.921]; p=0.014)、
 他の組織型(median 12.6 months [9.2—16.4] vs 6.9 months [5.2-11.0];
 HR 0.616 [0.392—0.966]; p=0.033)であった。

結論:
 進行NSCLCにおいて、シスプラチン+ビノレルビンの化学療法に
 セツキシマブを併用すると、1コース目に皮疹が出現した場合
 OSおよびPFSは有意に改善する。

by otowelt | 2010-12-21 06:39 | 肺癌・その他腫瘍

癌患者におけるH1N1インフルエンザのICU入室症例

選択基準がICU入室したH1N1インフルエンザの癌患者なので、
必然的に重症になるのは当たり前だと思うが・・・。
癌という因子とインフルエンザという因子とICU入室が必要な呼吸不全症例という因子と
複数の因子が組み合わさっているので、こればかりは
どの因子がどの程度DADの発症に寄与しているか知る由もない。

Severe novel influenza A (H1N1) infection in cancer patients
Annals of Oncology 21: 2333–2341, 2010


背景:
 癌患者における重症のH1N1インフルエンザ感染症はまだよく特徴がわかっていない。
 われわれは、癌患者においてH1N1インフルエンザでICUに入室した患者8症例を
 ここに報告する。

患者および方法:
 臨床的データは入室した新型H1N1インフルエンザで呼吸不全に陥ったもの全員から
 抽出した。肺組織はウイルスあるいは細菌学的検索をリアルタイムPCRで行うために
 採取され、剖検は死亡した全症例で施行した。

結果:
 8症例が入室し、年齢は55~65歳であった。固形癌が5人(62.5%)で、
 血液腫瘍が3人(37.5%)だった。5人の患者が人工呼吸器を使用したが、全員死亡した。
 4人は細菌性気管支肺炎を有していた。死亡者はすべて多臓器不全によるものであった。
 生存症例3人は肺疾患があったものの非常に臨床像がマイルドであった。
 肺組織が検証されたが、ほとんどの患者ではDADパターンであった。
 他の肺組織所見として、壊死性細気管支炎、肺胞出血などがみられた。 
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結論:
 癌患者におけるH1N1インフルエンザウイルス感染は重症であり、
 ARDSから死に至る可能性がある。

by otowelt | 2010-12-16 09:13 | 感染症全般

LETS試験:進行NSCLCに対してCBDCA+S-1はCBDCA+PTXに非劣性

11月に出たのに、読めてなかった論文。
LETS(Lung cancer Evaluation of TS-1)試験として有名である。
パクリタキセルによる副作用がないこと、点滴時間が少ないことなどから
外来化学療法の選択肢としてCBDCA+TS-1は有効であると考えられている。
血小板減少の有害事象がやや多くみられている点は覚えておきたい。

Phase III trial comparing oral S-1 plus carboplatin with paclitaxel plus carboplatin in chemotherapy-naive patients with advanced non-small-cell lung cancer:results of a West Japan Oncology Group study.
JCO November 15, 2010


背景:
 この多施設ランダム化第III相試験の目的は、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の
 1st-lineでカルボプラチンと経口フッ化ピリミジン誘導体S-1の併用がOSで
 カルボプラチン+パクリタキセルに対し非劣性を示すかを検討することである。

方法:
 564例を
 CBDCA(AUC 5)day 1+S-1(40mg/m2、1日2回)day 1~14
 またはCBDCA(AUC 6)+PTX(200mg/m2)day 1、21日毎
 にランダムに割りつけ。

結果:
 中間解析において、O’Brien-Flemingの有意境界値である0.0080を超え、OSで
 CBDCA+S-1のCBDCA+PTXに対する非劣性が確認された(HR 0.928;
 99.2%CI 0.671-1.283)。OS中央値はCBDCA+S-1群15.2ヵ月、
 CBDCA+PTX群13.3ヵ月、1年生存率はそれぞれ57.3%と55.5%であった。
 CBDCA+PTX群ではgrade 3~4の白血球減少・好中球減少、発熱性好中球減少、
 脱毛、神経障害が多く、CBDCA+S-1群では血小板減少、嘔気・嘔吐、下痢が多かった。
 CBDCA+S-1群ではCBDCA+PTX群に比べ投与の遅れが有意に多くみられた。
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結論:
 進行NSCLC患者において、経口S-1とカルボプラチンの併用は
 カルボプラチン+パクリタキセルに対しOSで非劣性で、有効な治療選択肢になりうる。

by otowelt | 2010-12-16 06:38 | 肺癌・その他腫瘍

市中肺炎におけるセフタロリン vs セフトリアキソンのランダム化二重盲検多施設共同第III相試験

Integrated Analysis of FOCUS 1 and FOCUS 2: Randomized, Doubled-Blinded, Multicenter Phase 3 Trials of the Efficacy and Safety of Ceftaroline Fosamil versus Ceftriaxone in Patients with Community-Acquired Pneumonia.
Clinical Infectious Diseases 2010; 51(12):1395–1405


IDSAで発表された市中肺炎へのセフタロリンについてのCIDの論文だが、
読む時間がなくてほったらかしにしている。あまり他の日本のブログ等でも
取り上げられていない様子。control armがセフトリアキソンでは、
何とも言えないといった感じの感想が欧米のブログでは多かった。
PORT risk class III or IVの市中肺炎の患者において、セフタロリンの効果は
セフトリアキソンに劣らないという論文である。時間があれば全文読みたい。

セフタロリン(Ceftaroline)は第5世代のセフェム系で、
セフトビプロールと同じ世代に属する。基本的にはMRSAまで
カバーをひろげたブロードスペクトラムなセフェム系抗菌薬と考えてよい。

セフタロリンについては8月に
complicated skin and skin structure infections (cSSSI)で述べた。
セフタロリン単独療法はcSSSIへのバンコマイシン+アズトレオナムに対して非劣勢

by otowelt | 2010-12-15 16:37 | 感染症全般

10代の若者における喫煙と喘息の関係

スタディの結果よりも、16~17歳の男性5.7%、女性11.4%が
喫煙しているという結果の方が驚いた。今の世の中、そんなもんか?

Both environmental tobacco smoke and personal smoking is related to asthma and wheeze in teenagers.
Thorax 2011;66:20-25


背景:
 受動喫煙:Environmental tobacco smoke (ETS) は
 小児喘息にとって有意なリスクファクターである。
 成人にとっては、個人的な喫煙は呼吸器症状や呼吸器疾患に
 関連するとされている。ただ、これらの喫煙が10代の若者の
 喘息の有病率あるいはwheezeの頻度に影響するかどうかはまだよくわかっていない。

目的:
 このスタディの目的は、ETSと個人的な喫煙が10代の若者の
 喘息の頻度とwheezeの頻度にどう影響するかを調べるものである。

方法:
 1996年から北部スウェーデンで施行された縦断的研究である。
 喘息あるいはアレルギー性疾患のある7~8歳の小児で
 3430人が年次ごとの質問票でフォローアップされた。
 16~17歳となった2005年になって、82%の参加者を解析した。

結果:
 母からのETSに曝露された場合、内科医診断の喘息・wheezeについては
 有意に高くみられた。多変量解析においても、母からのETSは
 喘息あるいはever wheezeのリスクだった(OR 1.3-1.5)。
 個人的に毎日喫煙している場合、current wheeze のリスクだった(OR 2.0)。
 いずれもの曝露を受けている場合、喘息はOR1.7、ever wheezeはOR2.5。
 ※ever wheezeの定義:以下の質問にyesと答えたもの
 ・Have You ever had wheezing or whistling
       in the chest at any time in the past?
 ※current wheezeの定義:以下の質問にyesと答えたもの
 ・Have You had wheezing or whistling in the chest in the last 12 months?’
 ・In the last 12 months, has Your chest sounded wheezy during
    or after exercise?
 ・In the last 12 months, have You had wheezing
    or whistling in the chest without having a cold?
 あるいは以下の質問に1つ以上該当したもの
 ・How many attacks of wheezing have You had in the last 12 months?
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結論:
 ETSと個人的な喫煙は、10代の若者の喘息およびwheezeの頻度に
 有意に関連している。母体からのETS曝露もそうだが、
 毎日喫煙しているような若者はより強く喘息症状に影響を与える。

by otowelt | 2010-12-15 12:59 | 気管支喘息・COPD