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鋳型気管支炎(plastic bronchitis)

●鋳型気管支炎(plastic bronchitis)
 鋳型気管支炎は、気道内の鋳型粘液栓により呼吸症状をきたす疾患。
 既存に喘息や先天性心疾患があったり、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症
 が関与することがあるため全体的に小児科領域の報告が多いが、
 新型インフルエンザに罹患したとき同疾患群を呈することがあるため、
 呼吸器内科医としては知っておきたい疾患の1つである。
 また呼吸器内科医であれば、ABPAのときのmucoid impactionを思い出せば、
 この疾患の理解がしやすいと思う。
 鋳型気管支炎は、しばしば致死的な転帰をたどるとされている。
Plastic bronchitis in children: a case series and review of the medical literature. Pediatr Pulmonol. 2002;34:482-487.
 気道異物による症状との鑑別および治療のため、気管支鏡を必要とする。

●鋳型気管支炎の病態
 粘液栓の組織学的所見から二つに分類されている。
Bronchial casts in children:a proposed classification based on nine cases and a
review of the literature. Am J Respir Crit Care Med. 1997;155:364-370.

 ・I型鋳型気管支炎(cellular)
  気管支病変に由来する好酸球などの炎症細胞浸潤を主体とした粘液栓による
  鋳型気管支炎。
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 ・II型鋳型気管支炎(acellular)
  心臓手術後(Fontanなど)にリンパ流のうっ滞を起こしすために
  粘液産生が増加し、粘液栓が形成されるタイプの鋳型気管支炎。
Bronchial casts in children with cardiopathies: the role of pulmonary lymphatic abnormalities Pediatr Pulmonol 1999;28:329-336
 気管支吸引痰があたかもラーメンのようにみえるので
 食物を誤飲したことによる疾患であると当初考えられていた。
Plastic bronchitis: large branching mucoid bronchial casts in children. AJR Am J Roentgenol 1985;144:371-5.
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●鋳型気管支炎の治療
 自己排痰が可能なケースもあるが、全身麻酔下での気管支鏡による
 粘液栓の吸引が必要なことが多いとされている。
 そもそもが診断が気管支鏡に基づいてなされることが多いため、
 いずれにせよ現段階では気管支鏡がないと診断も治療もできないと
 考えたほうがよい。
Plastic bronchitis:a management challenge. Am J Med Sci 2008;335:163-9.

●鋳型気管支炎の予後
 死亡率は、炎症性疾患に伴う粘液栓は6-50%、非炎症性の場合は
 28-60%であるとされている(後者は心疾患合併例が多いため)。
文責"倉原優"

by otowelt | 2011-01-31 06:07 | レクチャー

院外CPAではVFまたはpulseless VTが多い

AEDを公共の場で普及させる上で、かなり重要な試験である。
大阪とコペンハーゲンでも同様の結果が出たことがある。
・Outcome and characteristics of out-ofhospital cardiac arrest according to location
of arrest: a report from a large-scale, population-based study in Osaka, Japan. Resuscitation 2006;69:221-8.
・Differences between out-of-hospital cardiac arrest in residential and public locations and implications for public-access defibrillation. Circulation 2010;122:623-30.


NEJMから。

Ventricular Tachyarrhythmias after Cardiac Arrest in Public versus at Home
N Engl J Med 2011;364:313-21.


背景:
 院外における心停止後、最初に記録される心拍異常としてVFまたは
 pulseless VTが発生する率は、予想以上に低下してきている。
 これは、一般市民によるAEDが普及していることから、VFまたはpulseless VT
 が公共の場での心停止が発生した場合に、頻繁にみられる心拍異常である
 可能性が示唆される。

方法:
 2005年~2007年に、北アメリカの10地域の成人を対象とした
 院外心停止に関する前向きコホート研究をおこなった。
 VFまたはpulseless VT発生率と生存退院率を、心停止が
 自宅で発生した場合と公共の場で発生した場合とで比較。

結果:
 12930の院外心停止のうち、2042が公共の場で発生し、9564が自宅発生。
 自宅で発生した場合のVFまたはpulseless VT発生率は、救急隊員が
 心停止を目撃した場合は25%、一般市民が心停止を目撃した場合35%、
 一般市民がAEDを使用した場合は36%。公共の場で発生した場合は、
 上記はそれぞれ38%,60%,79%。公共の場で発生した場合、
 最初にVFまたはpulseless VTがみられる補正ORは、自宅で発生した場合と
 比べると、一般市民が心停止を目撃した場合は2.28であり
 (95%CI 1.96~2.66,P<0.001)、一般市民がAED を使用した場合は
 4.48(95% CI 2.23~8.97,P<0.001)であった。生存退院率は
 心停止が公共の場で発生し一般市民がAEDを使用した場合34%であったが、
 自宅で発生した場合は12%(補正OR2.49,95% CI 1.03~5.99,P=0.04)。
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結論:
 院外心停止が誰によって目撃されたかどうか、また一般市民により
 AEDが使用されたかどうかを問わず、最初にVFまたはpulseless VTが
 みられる心停止の割合は、発生場所が公共の場の方が自宅よりもかなり高い。

by otowelt | 2011-01-30 06:01 | 救急

サルコイドーシスの治療

ハイライトに掲載されているのでご存知かもしれないが、
JAMAにサルコイドーシスのレビューが掲載されている。
Sarcoidosis Clinical Presentation, Immunopathogenesis, and Therapeutics
JAMA. 2011;305(4):391-399.


今朝は治療に重きを置いて文献を読んでみた。
少し気になったところを文献を引用して、個人的にまとめてみた。

●サルコイドーシスの治療概論
そもそも肺病変のあるサルコイドーシスで、I期の60~80%、II期の50~60%、
III期の30%が自然寛解するといわれている。
Sarcoidosis. N Engl J Med 1997; 336:1224.
ただ、どういった因子によってこの自然寛解が起こるのかどうかすら
わかっていないため、治療そのものが効果があったのか
自然寛解によるものなのかを判断するのが極めて難しい。

●ステロイド
ステロイドは細胞内のグルココルチコイド受容体と結合して核内に入り、
IL-1, IL-2, IL-3, IL-4, IL-5, IL-6 などのサイトカインの遺伝子の転写を
抑制する。この作用がIV型アレルギーによる肉芽腫反応を抑制するのではないかと
考えられている。歴史的に、自然寛解がある場合にはむやみに使用しないが、
臓器障害をきたさないためには早期に治療したほうがよいというジレンマがある。
副作用を防ぐためにはなるべく治療導入を遅らせるという考えが定着している。
stage I, IIの症例に関しては、ステロイドはプラセボ群と比べて
改善がみられたという論文が多いが、長期的な観察では両群に有意差はみられていない。
BHLのみの若年症例で、ステロイドはBHLの陰影消失率を低下させるという
考えがあるが、これは以下の論文に基づいている。
Pulmonary sarcoidosis:clinical course. Curr Opin Respir Med 1999; 5:293-298.
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ステロイドの効果を示唆する最も大きなスタディとしては、13のランダム化試験を
含むシステマティックレビューである。用量はプレドニゾロン換算で
4~40mg/日を3~24ヶ月と記載されている。
Corticosteroids for pulmonary sarcoidosis. Cochrane Database Syst Rev 2010; :CD001114.
このシステマティックレビューでは、経口ステロイドはレントゲン異常の改善
(RR 1.46 、95CI 1.01 to 2.09)、症状改善、呼吸機能の改善がみられた。
他のシステマティックレビューでは呼吸機能の改善に関しては
まだ異論もあるため、結論はついていない。
・Corticosteroid therapy in pulmonary sarcoidosis: a systematic review. JAMA 2002; 287:1301.
・Corticosteroids for pulmonary sarcoidosis. Cochrane Database Syst Rev 2005; :CD001114.

ステロイド治療で問題になるのは、サルコイドーシスの再発率が高いことである。
治療導入症例において、プラセボと比べると再発率が高い傾向にあるのは
どの論文も同じである。そのため、ステロイド導入そのものが再発の
独立危険因子である可能性がある。
Statement on Sarcoidosis. Am J Respir Crit. Care Med 160: 736-755,1999.
また、吸入ステロイドについても研究がなされているが、結論は出ていない。
・Oral prednisolone followed by inhaled budesonide in newly diagnosed pulmonary sarcoidosis: a double-blind, placebo-controlled multicenter study. Finnish Pulmonary Sarcoidosis Study Group. Chest 1999; 116:424.
・randomized trial of inhaled fluticasone propionate in chronic stable pulmonary sarcoidosis: a pilot study. Eur Respir J 1999; 13:1345.
・No effect of high-dose inhaled steroids in pulmonary sarcoidosis: a double-blind, placebo-controlled study. J Intern Med 1994; 236:285.


●ステロイド投与基準と投与量
上記の2011年JAMAの論文に罹患臓器別の治療オピニオンが掲載されている。
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また日本サルコイドーシス学会によれば、
1) stageIで重大な肺外病変のない場合、リンパ節腫大の悪化・持続のみで
 経口ステロイド剤投与の適応にはならない。
2) サルコイドーシス肺病変(stageII,III)による自覚症状(特に息切れと咳)
 が強い場合にはステロイド剤投与の適応となる。ただし胸部レントゲンで
 肺野の粒状影や綿花状陰影が主体で、症状が咳嗽のみの場合には
 その多くはステロイド剤を投与せずとも軽快する。
3) サルコイドーシス肺病変(stageII,III)によって明らかな呼吸機能障害
 をきたしている場合にはステロイド剤投与の適応となる。
4) 画像所見の悪化とともに自覚症状(とくに息切れ)が増強している場合や
 呼吸機能障害の程度が悪化しつつある場合にはステロイド剤の投与を考慮する。
5) 自覚症状や呼吸機能障害の程度が軽く画像所見のみが悪化する場合は
 ステロイド剤の投与は慎重に行う。胸部レントゲンで肺野の粒状影や
 綿花状陰影のみの増強は無治療で改善することが多い。胸部CTでの
 太い気管支血管周囲の肥厚、気管支の変形拡張や無気肺の悪化(特に上葉)
 が投与開始の指標となる。従ってステロイド剤投与の前に胸部C T 撮影
 (HRCTを含む)を施行することが必要である。
5) 一般的にプレドニゾロン30mg/日連日または60mg/ 日隔日で開始して
 1カ月間継続する。
6) 4~8週毎に5~10mg/日連日または10~20mg/日隔日ずつ減量する。
7) 維持量は2.5~5mg/日連日または5~10mg/日隔日とする。
 全体の治療期間が1~2年となった時点で終了してみてもよい。
8) 再燃時の投与量および投与期間再燃は維持量投与中、投与与終了後
 6カ月以内に出現し易く、再燃時には原則として初回投与量くらいまで
 増量し、以後上記投与スケジュールで投与する。

海外の意見では、ステロイド投与基準は以下のごとく記載されている。
1)症状に悩まされている場合(咳、息切れ、胸痛、血痰など)
2)3~6ヵ月ごとの検査で呼吸機能が悪化している場合
 特に以下の1つ異常を満たす場合
 ・TLCが10%以上低下
 ・FVCが15%以上低下
 ・DLCOが20%以上低下
 ・安静時ないしは運動時のガス交換能の悪化(SaO2,SpO2で4%以上の低下)
3)胸部レントゲンの悪化
・Interstitial lung disease guideline: the British Thoracic Society in collaboration with the Thoracic Society of Australia and New Zealand and the Irish Thoracic Society. Thorax 2008; 63 Suppl 5:v1.
・3.Statement on sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 1999; 160:736.


●メソトレキセート
”ステロイド節約効果”があるという報告は多い。
下記の論文では、12ヵ月時にプレドニゾロンの量が
MTX:8.3mg/d vs Placebo:16 mg/d 、 P<.001 であった。
Methotrexate is steroid sparing in acute sarcoidosis: results of a double blind, randomized trial. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2000; 17:60.
ただ、MTX単独によるサルコイドーシス治療を裏付けるデータは
今のところ乏しいと考えてよい。
Treatments for pulmonary sarcoidosis. Respir Med 2008; 102:1.

●アザチオプリン
プレドニゾロンとの組み合わせで治療できたという報告はある。
プレドニゾロン単独に比べ、より治療効果があり
再燃率も低下させることが可能で、比較的安全に使用できる免疫抑制薬である。
・Treatment of chronic sarcoidosis with an azathioprine/prednisolone regimen. Eur Respir J 1999; 14:1117.
・zathioprine treatment of chronic pulmonary sarcoidosis. Sarcoidosis 1985; 2:107.
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●エタネルセプト
病勢の悪化により、効果なしとされている。
Etanercept for the treatment of stage II and III progressive pulmonary sarcoidosis. Chest 2003; 124:177.
また、難治サルコイドーシスのスタディもあるが
効果は見いだせなかった。
Etanercept for refractory ocular sarcoidosis: results of a double-blind randomized trial. Chest 2005; 128:1062.

●インフリキシマブ
プラセボ、高用量インフリキシマブ、低用量インフリキシマブで比較した
試験があるが、低用量のときにFVCが増えたという論文はある。
Infliximab therapy in patients with chronic sarcoidosis and pulmonary involvement. Am J Respir Crit Care Med 2006; 174:795.
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ステロイド無効のサルコイドーシスに対して24週時に
やや臨床的な改善を認めたものの、24ヶ月時には差はみられなかった。
Efficacy of infliximab in extrapulmonary sarcoidosis: results from a randomised trial. Eur Respir J 2008; 31:1189.
びまん性浸潤型皮膚サルコイドーシス(Lupus pernio)に有効であるという報告も。
The Treatment of Lupus Pernio.Chest February 2009 135:468-476;

●アダリムマブ
症例報告がいくつかあるのみである。
・Recalcitrant cutaneous sarcoidosis responding to adalimumab but not to etanercept. Clin Exp Dermatol 2010.
・Systemic sarcoidosis with bone marrow involvement responding to therapy with adalimumab: a case report. J Med Case Reports 2009; 3:8573.
・Adalimumab for treatment of cutaneous sarcoidosis. Arch Dermatol 2006; 142:17.


●Pentoxifylline
ホスホジエステラーゼ阻害を行う。
2000mg/日の使用でpost hoc解析ではプラセボより効果があった。
このスタディでもステロイド節約効果がみられた。
Steroidsparingeffects of pentoxifylline in pulmonarysarcoidosis. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2009;26(2):121-131.
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●クロロキン
FEV1の値と、再発率にやや寄与したという結果の論文はある。
Randomized trial of prolonged chloroquine therapy in advanced pulmonary sarcoidosis. Am J Respir Crit Care Med 1999; 160:192.
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●シクロホスファミド、シクロスポリン
3rdラインと位置付けられているものであり、毒性と利益の観点から
すすめられるものではない。

●テトラサイクリン
皮膚サルコイドーシスでやや効果がみられたとする論文がある程度である。
The use of tetracyclines for the treatment of sarcoidosis. Arch Dermatol 2001; 137:69.

●サリドマイド
10人の患者に投与した2006年の論文があるが、効果はみられなかった。
The effect of thalidomide on corticosteroid-dependent pulmonary sarcoidosis. Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis 2006; 23:51.

by otowelt | 2011-01-28 06:17 | サルコイドーシス

重症貧血のある患者に術中輸血をすることは死亡率・罹患率のリスク

輸血をしないことの出血のリスクが当然あるので、
論文を読み違えないようにしたい。
慢性貧血の患者には手術といえど積極的に輸血をしない方がよいということだろうか。

Association between Intraoperative Blood Transfusion and Mortality and Morbidity in Patients Undergoing Noncardiac Surgery
Anesthesiology. 114(2):283-292, February 2011.


背景:
 貧血のある患者の非心臓手術における術中の赤血球輸血の
 アウトカムについてはよくわかっていない。このスタディの目的は
 重症貧血(Ht30未満)の患者の術中輸血(1ないし2単位)と、
 死亡率と罹患率の関連性を調べることである。

方法:
 これは、10100人の一般外科、血管、整形外科手術を受けた患者における
 輸血と30日死亡率・罹患率のレトロスペクティブ解析である。
 われわれは、30日死亡率・罹患率の多変量ロジスティック回帰モデルを推定した。

結果:
 術中の赤血球輸血は死亡リスクと関連していた(OR, 1.29; 95%CI, 1.03–1.62)。
 術中輸血を受けた患者は呼吸器、敗血症性、創部、血栓塞栓の合併症を
 より起こしやすかった。
 呼吸器合併症(OR, 1.76; 95% CI, 1.48 –2.09),
 敗血症性合併症(OR,1.43; 95% CI, 1.21–1.68),
 血栓塞栓性合併症(OR, 1.77; 95% CI, 1.32–2.38)、
 創部合併症(OR, 1.87; 95% CI, 1.47–2.37)。
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結論:
 重症貧血患者に一般外科手術中に赤血球輸血をおこなうことは、
 死亡・罹患リスクを高める。

by otowelt | 2011-01-27 07:04 | 内科一般

イレッサ訴訟の和解勧告に異論


日経メディカルオンラインより

 回答期限が1月28日に迫っているイレッサ訴訟の和解勧告について、関係学会や医療機関は1月24日、国や製薬企業の責任を問うべきでないなどとする見解を相次いで発表した。
 日本臨床腫瘍学会は、「承認前に得られる情報には限りがあり、承認後に行われた医療行為の結果について、承認時の医学的・科学的判断がそのまま常に当てはまるわけではない」と主張。
 日本肺癌学会も、ゲフィチニブ(商品名イレッサ)の効果や副作用については承認後、多くの患者に使用された結果明らかになったものであり、「重篤な間質性肺炎発生の可能性を承認前や、承認後ごく早期に予見することは極めて困難であったと思われる」との見解を示した上で、承認後に蓄積された知見に基づいて、承認前や承認直後の国や製薬企業の判断や対応に責任を問うことについて、「極めて慎重であるべき」などとした。
 このほか、国立がん研究センターも同日、同様の見解を発表。理事長の嘉山孝正氏は緊急会見で、「イレッサ訴訟は過去の薬害などとは異なる。間質性肺炎はゲフィチニブの副作用であり、その副作用について誰かの責任を問うと、医療そのものが成り立たなくなる。また、和解勧告に応じることは、国や製薬企業の違法性を認めることであり、今後の薬事行政の萎縮をもたらす」などと訴えた。その上で、抗癌剤が現在、医薬品副作用被害救済制度の対象外となっていることに触れ、「不幸にも抗癌剤の副作用で死亡した患者などについては救済制度などで補償すべきであり、そのための国民的な議論を行うべきだ」と話した。
 イレッサ訴訟は、非小細胞肺癌治療薬であるゲフィチニブの副作用で間質性肺炎を発症して死亡したなどとして、遺族や患者が国と輸入販売元であるアストラゼネカに損害賠償を求めているもの。
 ゲフィチニブは2002年7月に世界に先駆けて日本で承認された。発売後、国内ではゲフィチニブを服用して、間質性肺炎などの肺障害を発症する患者が続出。04年には、肺癌治療のためにゲフィチニブを服用し、間質性肺炎などの副作用で死亡または増悪したなどとする患者6人の遺族と患者1人が、国とアストラゼネカを相手取り、合計1億8150万円の損害賠償を求めて大阪地裁と東京地裁に提訴した。
 間質性肺炎は、ゲフィチニブの承認前からアストラゼネカや医薬品医療機器総合機構(PMDA)が副作用の1つとして認識しており、承認時の添付文書でも「重大な副作用」欄の4番目に間質性肺炎を挙げていた。これについて原告は、間質性肺炎は致死性の副作用であり、承認時の添付文書では注意喚起が不十分だったなどと主張している。
 東京地裁と大阪地裁は1月7日、イレッサ訴訟で和解を勧告。これまでの新聞報道などによれば、両地裁は承認時点での添付文書で副作用の1つである間質性肺炎についての注意喚起が十分でなかったとの見解を示したとされている。1月12日には原告が和解勧告の受け入れを表明し、原告全員の救済と謝罪に加え、抗癌剤の副作用で死亡した患者を救済する公的制度の創設や、再発防止に向けた取り組みなどを求めている。

by otowelt | 2011-01-27 06:34 | 肺癌・その他腫瘍

IIIB/IV期NSCLCにおいてゲムシタビン・オキサリプラチンとパクリタキセル・カルボプラチンの効果は同等

ASCO2008で発表されたGEMOXの生存に関するデータ。
本文を読む術がないため、Abstractの意味がよくわからない部分がある。

A Phase III Randomized Trial of Gemcitabine–Oxaliplatin versus Carboplatin–Paclitaxel as First-Line Therapy in Patients with Advanced Non-small Cell Lung Cancer
nal of Thoracic Oncology: February 2011 - Volume 6 - Issue 2 - pp 358-364


目的:
 この第III相試験は、IIIB/IV期の非小細胞肺癌に対して
 ゲムシタビン・オキサリプラチン(GEMOX)の効果と忍容性
 をパクリタクセル・カルボプラチン(PCb)と比較するものである。

患者および方法:
 18歳以上の患者をPCb(paclitaxel 225 mg/m2 、carboplatin AUC= 6、3週ごと)
 ないしはGEMOX (gemcitabine 1,000 mg/m2 days 1,8、
 oxaliplatin 130 mg/m2 day 1 、3週ごと)を6サイクルまで施行。
 プライマリエンドポントはPFSとし、セカンダリエンドポイントはRR、OS、QOL。

結果:
 383の患者がランダムに割り付けられ、371人が治療を受けた。
 184:GEMOX、187:PCb。55%が男性、52%が65歳未満、91.6%が白人だった。
 PFS中央値はGEMOX:4.44ヶ月、PCb:4.67ヶ月であった
 RRはGEMOX:15.2%、PCb:22.4%であった。
 OS中央値はGEMOX:9.90ヶ月、PCb:9.24ヶ月。
 PFSは腺癌患者で同等であったが、OSに関してはGEMOXの方がよい傾向にあった。
 QOLは両群ともベースラインからの改善は同等であった。毒性も同等であった。
 好中球減少 (32.9%)血小板減少(17.3%)が最もよくみられたGrade4有害事象だった。

結論:
 PFS,OS、RRはGEMOXはPCbと同等であった。
 ※毒性はこのレジメンのルーチンの使用を制限するかもしれない。

by otowelt | 2011-01-26 05:29 | 肺癌・その他腫瘍

2011年 発熱性好中球減少症 IDSAガイドライン

IDSAから発熱性好中球減少症が出ていたので、個人的に訳してみた。
最後の52の意味がよくわからなかった…。
寝起きに突っ走って翻訳したので、間違い等があればご指摘お願いします。

Clinical Practice Guideline for the Use of Antimicrobial Agents in Neutropenic Patients
with Cancer: 2010 Update by the Infectious Diseases Society of America
CID 2011:52 (15 February)


I.発熱性好中球減少症患者における高リスクあるいは低リスク患者の区別、
 またはリスクアセスメントの役割とは何か?

1.発熱を呈する患者では重症感染を合併しているリスクのアセスメントが
 おこなれなければならない(A-II)。リスクアセスメントにより、経験的抗菌薬治療が
 どういった形でおこなわれるか(経口か静注か)、治療の場(外来か入院か)、
 抗菌薬の治療期間が決まるかもしれない(A-II)。
2.ほとんどの専門家は、高リスク患者は7日以上続くまたは深刻な好中球減少症
 (抗癌剤治療後、絶対値で<100 cells/mm3)および/または有意な
 医学的合併症、低血圧、肺炎、腹痛、神経学的変化がある患者としている。
 こういった患者は、経験的治療のために入院すべきである。(A-II)
3.低リスク患者、7日未満と短い好中球減少期間が予想され、合併症が全くないか
 ほとんどない患者は、経口の経験的治療が適応となる。(A-II)
4. 公式なリスク分類としては、Multinational Association for
 Supportive Care in Cancer(MASCC)スコアシステムを用いる。(B-I)
i. 高リスク患者はMASCCスコアが21未満である(B-I)。高リスクの全患者は
 入院して経験的治療を受ける必要がある(B-I)。
ii. 低リスク患者はMASCCスコアが21より高いものである(B-I)。
 この患者は経口および/または外来の経験的治療が適応されるかもしれない(B-I)。
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II. 初期アセスメントとして、どのような敗血症の検査、培養がおこなわれるべきか
5.ラボ検査は血球分画を含むCBC、血小板、血清クレアチニン、尿素窒素、
 電解質、肝機能酵素、総ビリルビンが行われるべきである(A-III)。
6.最低でも2セットの血液培養が推奨される。
 中心静脈カテーテルが留置されている場合は、そのルーメンと末梢静脈
 から採血してもよい。中心静脈カテーテルがない場合は、末梢静脈から
 2セット採取すべきである(A-III)。40kg未満の患者の場合、
 血液培養量はトータルの血液量の1%未満におさえるべきである
 (トータル血液量は通常70 mL/kg)(C-III)。
7. 感染が疑われる部位からの培養検体は、臨床的に適応がある場合
 採取されるべきでる(A-III)。
8. 胸部レントゲンは呼吸器症状がある場合に適応となる(A-III)。

III. 発熱性好中球減少症では、どのような経験的抗菌薬治療が妥当か
9. 高リスク患者は静注の経験的治療のために入院を要する。
 抗緑膿菌作用のあるβラクタム剤(cefepime, carbapenem、
 piperacillintazobactam)単剤治療が推奨される(A-I)。
 他の抗菌薬(aminoglycosides, fluoroquinolones, and/or vancomycin)
 を合併症(低血圧、肺炎)管理のため、耐性菌が疑わしい・確定している場合
 に初期治療レジメンに加えてもよい(B-III)。
10. vancomycin(もしくは好気性グラム陽性菌に活性のあるほかの抗菌薬)
 は発熱性好中球減少症の初期治療レジメンとしてはすすめられない(A-I)。
 これらの抗菌薬は、特殊な臨床状況下においてのみ適応されるものであり、
 カテーテル関連感染症、皮膚軟部組織感染症、肺炎、血行動態不安定な
 ときに考慮する。
11. 下記のような耐性菌感染のリスクが考えられる患者においては、
 特に状態が不安定であったり血液培養で耐性菌が陽性になった場合には
 経験的初期治療の変更を考えてもよい(B-III)。すなわち、
 MRSA,VRE,ESBL,KPCを含むカルバペネム耐性菌。
 i. MRSA:vancomycin, linezolid,daptomycin (B-III)
 ii. VRE:linezolid、daptomycin(B-III)
 iii. ESBLs: carbapenem (B-III)
 iv. KPCs: polymyxin-colistin、tigecycline (C-III)
12. ほとんどのペニシリンアレルギー患者はセファロスポリンに忍容性があるが、
 即時型アレルギー反応の既往が有る場合はβラクタム・カルバペネム使用は
 避けるべきであり、ciprofloxacin+clindamycinや
 aztreonam+vancomycinといった組み合わせを用いる(A-II)。
13. 新しい感染症状を呈した無熱性の好中球減少患者は、高リスクとして
 扱う(B-III)。
14.低リスク患者は初期経口あるいは静注の経験的治療を行うが
 特殊な臨床基準をみたせば外来における治療に移行してもよい(A-I)。
i. ciprofloxacin + amoxicillin-clavulanateの組み合わせは経口初期治療
 として推奨される(A-I)。他の経口レジメンとして
 levofloxacin またはciprofloxacinの単剤治療または
 ciprofloxacin+clindamycinがスタディは少ないもののよく使用される(B-III)。
ii. fluoroquinolone予防を受けている患者は経口初期治療として
 fluoroquinoloneを使用すべきでない(A-III)。
iii. 再入院あるいは入院継続は、遷延性発熱や症状持続があれば必要である(A-III)。

IV. 発熱性好中球減少の経過でいつあるいはどのようにして抗菌薬を変更するか
15. 臨床的あるいは微生物学的データに基づいて初期抗菌薬レジメンを
 変更する(A-II)。
16. 説明できない遷延性発熱がある患者で状態が安定しておれば
 初期抗菌薬レジメンの変更はあまり必要ないかもしれない。
 もし感染が同定されれば、抗菌薬はそれにしたがって調節すべきである(A-I)。
17.臨床的および/または微生物学的感染は、部位や微生物感受性にあわせて
 適切な抗菌薬で治療されるべきである(A-I)。
18. vancomycinや他のグラム陽性菌をカバーする薬が初期に開始された場合、
 もしグラム陽性菌感染の根拠がない場合には2日後にやめてもよい(A-II)。
19.初期抗菌薬治療によっても血行動態が安定しない患者は耐性菌、嫌気性菌、
 真菌にまでそのカバーを広げて治療を行うべきである(A-III)。
20.入院で静注あるいは経口抗菌薬により治療が開始された低リスク患者は
 臨床経過が安定しておれば治療アプローチを単純化してもよい(A-I)。
 i. IV-to-oralスイッチは臨床的に安定していて消化器吸収不良が問題なければ
  おこなってもよい(A-I)。
 ii. 低リスク基準を満たす入院患者は毎日のフォローアップが可能であれば
  外来に移行可能である(B-III)。もし発熱が48時間以内に再度起これば
  再入院が推奨され、高リスクとして扱う(A-III)。
21. 経験的真菌治療カバーは高リスク患者でブロードスペクトラム
 抗菌薬治療後4~7日後に発熱が遷延する場合、発熱源が同定できない場合
 に考えるべきである(A-II)。

V. 経験的抗菌薬治療期間はどのくらいか
22.臨床的あるいは微生物学的に感染が疑われる患者において、
 治療期間は微生物、感染巣に基づいて決定されるべきである。
 適切な抗菌薬治療は、少なくとも好中球減少の期間(500cells/mm3より
 多くなるまで)あるいは臨床的に必要であれば続けるべきである(B-III)。
23. 説明できない発熱がある患者では初期レジメンは骨髄機能が戻るまでは
 続けるべきである。歴史的にエンドポイントは好中球が500cells/mm3を
 超えるまでである(B-II)。
24. 代替案として、もし適切な抗菌薬治療が終了して
 すべての症状が軽快した場合、好中球減少が残る患者であっても
 経口fluoroquinolone予防は骨髄機能が戻るまで続けてよい(C-III)。

VI. いつ抗菌薬による予防をおこなうべきか、どのような薬を用いるべきか
25. fluoroquinolone予防は、遷延性あるいは深刻な好中球減少
 (100cells/mm3未満が7日より多く続く)がある高リスク患者に
 考えるべきである(B-I)。
 levofloxacinとciprofloxacinは最も総合的に評価され、大雑把には同等であるが
 levofloxacinは口腔粘膜炎関連の侵襲性連鎖球菌感染症のリスクを上昇させる
 場合には好ましい。fluoroquinolone耐性の発育をモニターするために
 全身的な戦略は推奨される(A-II)。
26. グラム陽性球菌をカバーする抗菌薬をfluoroquinoloneの予防に追加することは
 一般的にすすめられない(A-I)。
27. 7日未満の好中球減少の遷延が危惧される低リスク患者に
 抗菌薬予防はルーチンに推奨されない(A-III)。

VII. 経験的あるいは先制的抗真菌治療はどのような役割があるか、
 どの薬剤を使用すべきか

・高リスク
28. 経験的抗真菌治療と侵襲性真菌感染症の検証は、4~7日の抗菌薬治療ののち
 遷延性あるいは再発性の発熱があった場合、または7日以上の好中球減少が
 推定される場合に考慮されるべきである(A-I)。糸状菌予防をすでに受けている患者に
 特異的に使用すべき経験的抗真菌薬のデータは不足しているが、他のクラスの
 糸状菌対応の抗真菌薬にスイッチすることは考えてもいい(B-III)。
29. 先制的な抗真菌薬マネジメントは高リスク好中球減少患者においては
 容認できるものである。ブロードスペクトラム抗菌薬の治療後4~7日後
 に発熱が続いているものの、臨床的に安定しておりレントゲンやCT(胸・副鼻腔)上
 明らかな異常がない場合、血液検査で侵襲性真菌感染症が否定的である場合、
 あらゆる部位からの真菌のリカバリーが無い場合には、抗真菌薬の投与は
 差し控えてもよいかもしれない(B-II)。抗真菌治療は上記のごとく真菌の存在が
 示唆される場合にはおこなわれるべきである。
・低リスク
30. 低リスク患者において、侵襲性真菌感染症のリスクは低く、そのため
 ルーチンに経験的抗真菌治療を投与することはすすめられない(A-III)。

VIII. いつ抗真菌薬による予防を投与すべきか、どの薬剤を用いるべきか
・高リスク
31. Candida感染の予防は、侵襲性真菌感染のリスクがある患者には推奨される。
 たとえば、造血幹細胞移植(HSCT)レシピエント、寛解導入療法中、
 急性白血病のサルベージ治療中など(A-I)。fluconazole, itraconazole,
 voriconazole, posaconazole,micafungin, caspofunginは
 すべて容認できる代替薬である。
32. 侵襲性アスペルギルス症の予防としてposaconazoleは、13歳以上で
 急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)の化学療法下であれば
 予防なしに感染リスクがあるような場合は考慮すべきである(B-I)。
33. Aspergillus感染予防は、移植生着前の同種あるいは自家移植レシピエント
 においては効果的と考えられていない。しかしながら、糸状菌に対する薬剤は
 過去に侵襲性アスペルギルス症にかかったことがある患者にはすすめられ(A-III)、
 少なくとも2週間好中球減少が遷延することが危惧される場合(C-III)、
 HSCT直前に好中球減少期が遷延している場合(C-III)にもすすめられる。
・低リスク
34. 7日未満の好中球減少が予想される患者において、
 抗真菌予防はすすめられない(A-III)。

IX. 抗ウイルス予防にどのような役割あがるか、どのウイルス感染に治療が必要か
35. 単純ヘルペスウイルス(HSV)の血清学的陽性患者で
 同種HSCTを受けたり白血病の導入療法中の場合には
 acyclovirによる抗ウイルス予防を考慮すべきである(A-I)。
36. HSVあるいは帯状疱疹ウイルス(VZV)の治療は活動性のウイルス疾患があるという
 臨床的あるいは検査的な確証がある時に用いる(C-III)。
37. 呼吸器系のウイルス検査(インフルエンザ、パラインフルエンザ、アデノウイルス、
 RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスの検査)や胸部レントゲンは
 鼻風邪などの上気道症状がある、および/または咳がある場合には適応となる(B-III)。
38. 不活化ワクチンによる季節性インフルエンザワクチン接種は、
 癌治療をおこなう患者すべてにすすめられる(A-II)。
 適切な接種時期は確立されていないが、血清学的な反応は
 化学療法が開始になる2週間より前ないしは化学療法サイクル中(治療後7日を
 超えたあと)には成立していることが望ましいかもしれない (B-III)。
39.インフルエンザウイルス感染は感受性のある株であれば
 ノイラミニダーゼ阻害薬により治療すべきである(A-II)。
 インフルエンザの曝露やアウトブレイクの状況下では、好中球減少患者は
 インフルエンザ様症状があれば治療を経験的に受けるべきである(C-III)。
40.上気道症状のあるRSウイルス感染の治療は、好中球減少患者においても
 行うべきではない(B-III)。

X.発熱性好中球減少症をマネジメントする上でのG-CSFやGM-CSFの役割は何か
41.予防的にコロニー刺激因子(CSFs)を用いることは発熱性好中球減少症の
 リスクが20%を超える場合に考慮すべきである(A-II)。
42. CSFsは発熱性好中球減少患者には一般的にすすめられる(B-II)。

XI. 発熱性好中球減少症患者においてカテーテル関連血流感染症の
 診断とマネジメントはどうすべきか

43. 120分を超えるdifferential time to positivity (DTP) がCVCと末梢静脈の
 血液培養で認められれば、中心静脈カテーテル関連血流感染症(CLABSI)を
 示唆する(A-II)。
44. S.aureusP. aeruginosa、真菌、抗酸菌による
 CLABSIでは、カテーテル抜去は推奨され、なおかつ少なくとも14日の全身的
 抗菌薬治療が必要である(A-II)。カテーテル抜去は、いわゆるトンネル感染、
 ポートポケット部感染、敗血症性血栓、心内膜炎、血行動態不良の敗血症、
 72時間を超える適切な抗菌薬治療にもかかわらず続く血流感染症にも
 推奨される(A-II)。
45. コアグラーゼ陰性ブドウ球菌によるCLABSIの場合、カテーテルは
 全身的抗菌薬治療をしているときは抗菌薬ロック療法の有無を問わず
 抜去を保留してもよいかもしれない(B-III)。
46. 4~6週間の長期治療は複雑性CLABSIには推奨される。
 すなわち、深部組織感染症の存在、心内膜炎、敗血症性血栓(A-II)
 あるいは持続的菌血症や真菌血症が適切な治療下でのカテーテル抜去後
 72時間を超えても存在する場合、と定義される
 (A-II for S. aureus, C-III for other pathogens)。
47. 手指消毒、マキシマムバリアプリコーション、CVC挿入中のクロルヘキシジン
 皮膚消毒は、全CVC挿入手技においてすすめられる(A-I)。

XII. 発熱性好中球減少患者をマジメントする上でのどういった環境的予防策が必要か
48.手指消毒はもっとも効果のある院内感染予防策である(A-II)。
49.標準予防策は全ての患者におこなわれるべきであり、感染特異的隔離は
 確実な徴候・症状がある患者においておこなわれるべきである(A-III)。
50. HSCTレシピエントはプライベートルームに配置すべきである(B-III)。
 同種HSCTレシピエントは1時間に12換気を超え
 high-efficiency particulate air (HEPA)フィルターを有する部屋に配置すべきである(A-III)。
51. 植物、花(ドライであろうとなかろうと)は入院中の発熱性好中球減少患者の
 部屋に持ち込むことを許可すべきではない(B-III)。
52. hospital work exclusion policiesは医療従事者(HCWs)が
 疾患や曝露の報告を奨励するようデザインされるべきである(A-II)。


by otowelt | 2011-01-24 12:51 | 感染症全般

ヨーロッパでは、C.difficile PCRリボタイプ027以外の株が多かった;サーベイランス事業の重要性

C.difficilePCRリボタイプ027の
予後不良という情報や意外に多いんじゃないかという
先行した誤解に歯止めをかける論文である。
大規模なサーベイランス事業が重要であることを強調している。

027株は、トキシンAおよびBの産生量が多いとされている。
Binary toxin(actin-specific ADP-ribosyltransferase)を産生するため
感染症を発症すると従来型のC. difficile による感染症と比べ、
重症な経過をたどり、死亡率が極端に高くなるといわれている。

Clostridium difficile infection in Europe: a hospital-based survey.
Lancet. 2011;377:63-73.


目的:
 ヨーロッパにおけるC. Difficile感染状況を把握し、
 診断能向上・サーベイランス確立を目的とした調査をおこなう。

方法:
 ヨーロッパの34ヵ国106施設においてネットワークを創設。
 2008年11月1~6施設において、C. Difficile感染が疑われる患者
 や入院後下痢を発症した患者の便検査を施行。
 便中にトキシンが検出された場合、C. Difficile感染と定義した。
 分離株は、各施設の初期10例から収集した。3ヵ月後にデータをフォローアップ。

結果:
 C. Difficile感染の発生率は、1施設10000人年あたりの
 加重平均値が4.1、範囲は0.0~36.3であり、施設間にばらつきがあった。
 509例のうち389例に分離株に65のPCRリボタイプが確認された。
 最も多かったのはPCRリボタイプ014/020の61例(16%)、
 001が37例(9%)、078が31例(8%)と続いた
 予後不良リボタイプである027は19例(5%)と少なかった
 3ヵ月後フォローアップで、22%(101/455例)が死亡。死亡例の
 40%(40例)においてC. Difficile感染が関与したと考えられる。
 交絡因子補正後、重篤なアウトカムと関連のあったリスクファクターとして
 ・65歳以上(OR3.26、95%CI1.08~9.78、p=0.026)、
 ・PCRリボタイプ018(OR6.19、95%CI1.28~29.81、p=0.023)、
 ・PCRリボタイプ056(OR13.01、95%CI1.14~148.26、p=0.039)
 が挙げられた。

結論:
 ヨーロッパにおいて、PCRリボタイプ027以外のリボタイプの
 C. Difficileの院内感染の頻度が多かった。
 C. Difficile感染の検出とコントロールにおいて、複数国による
 サーベイランス事業が重要である。

by otowelt | 2011-01-23 20:56 | 感染症全般

SCLCセカンドラインにおいてamrubicinはtopotecanよりORRが高い

小細胞肺癌の化学療法でトポテカンを使用することもあるが、
正直あまりガツンと効いたことがなく、アムルビシンの切れ味の方が
よい印象を持っている。
Topotecan versus cyclophosphamide, doxorubicin, and vincristine for the treatment of recurrent smallcell lung cancer. J Clin Oncol 17:658-667, 1999

本文中にも書いてあるが、「日本の論文ばっかりやないけ」ということもあり
この論文が組まれた経緯があるようだ。

Randomized Phase II Trial of Single-Agent Amrubicin or Topotecan as Second-Line Treatment in Patients With Small-Cell Lung Cancer Sensitive to First-Line Platinum-Based Chemotherapy
JCO January 20, 2011 vol. 29 no. 3 287-293


目的:
 このphase II試験は、amrubicinとトポテカンをファーストライン感受性であった
 小細胞肺癌(SCLC)に用いることの安全性と効果を評価するものである。

患者および方法:
 患者は2:1にamrubicin (40 mg/m2/d 5分でIV、day1-3、21日ごと)あるいは
 topotecan (1.5 mg/m2/d 30分でIV、day1-5、21日ごと)に割りつけられた。
 プライマリエンドポイントはアムルビシンのoverall response rate (ORR)、
 セカンダリエンドポイントはtime to progression、progression-free survival
 (PFS)中央値、overall survival (OS)中央値とした。

結果:
 76人の患者が登録し、50人がamrubicin、26人がtopotecanにランダムに割り付け。
 amrubicin治療は、topotecanよりもORRが高かった(44%v15%; P=.021)。
 PFS中央値、OS中央値はamrubicinで4.5ヶ月、9.2ヶ月であり
 topotecanで3.3ヶ月、7.6ヶ月であった。
 忍容性は両群とも同等であった。しかしながら、grade3以上の好中球減少および
 血小板減少はtopotecan群においてより多くみられた
 (好中球減少:78%v61%、血小板減少:61%v39%)。
e0156318_13131126.jpg
結論:
 amrubicinは、ファーストライン感受性のSCLCにおいて
 ORR44%であり、topotecanのORR15%よりも高い治療効果を有する可能性がある。
 安全性プロファイルについては両群とも同等であるが、grade3以上の好中球減少と
 血小板減少はtopotecanにおいてより多くみられた。

by otowelt | 2011-01-20 20:17 | 肺癌・その他腫瘍

帯状疱疹ウイルスワクチンは帯状疱疹罹患を有意に低下させる

帯状疱疹ウイルスワクチンについてのJAMAからの報告。
ZOSTAVAXという商品名だが、日本にはまだない。

Herpes Zoster Vaccine in Older Adults and the Risk of Subsequent Herpes Zoster Disease
JAMA. 2011;305(2):160-166.


背景および目的:
 アメリカでは年間おおよそ100万人の帯状疱疹患者がいる。
 特定の条件のみの選択的なpopulationで帯状疱疹ワクチンのエビデンスが
 みられるが、一般的な臨床現場におけるこのワクチンのリスク評価を行う必要がある。

デザインおよびアウトカム:
 レトロスペクティブコホート試験(2007年1月1日から2009年12月31日まで)。
 Kaiser Permanente Southern California health planに登録した患者。
 患者は免疫不全がなく、60歳以上の成人とした。
 75761のワクチン接種者が、1:3のマッチでワクチン非摂取者227283人と
 比較された。主要アウトカムは、帯状疱疹発症とした。

結果:
 ワクチン接種者は828/130415 人年 (6.4 per 1000 人年; 95%CI 5.9-6.8)、
 非接種者では 4606 in 355659 人年 (13.0 per 1000 人年; 95% CI, 12.6-13.3)。
 ワクチンを接種した場合、非摂取者と比較した補正後のリスクは
 半減以下であった (HR 0.45; 95% CI, 0.42-0.48)。
 眼帯状疱疹では、HR 0.37( 95% CI, 0.23-0.61)のリスク低下がみられ
 帯状疱疹による入院はHR 0.35( 95% CI, 0.24-0.51)と低下。

結論:
 免疫正常な60歳以上の成人において、帯状疱疹ウイルスワクチンは
 帯状疱疹罹患を有意に低下させる。

by otowelt | 2011-01-20 06:10 | 感染症全般