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COPDの男性患者において吸入抗コリン薬は急性尿閉のリスクに関連

外来でスピリーバやテルシガンを処方するときに
前立腺肥大と緑内障のことは聞くようにしているが、
吸入薬なのでそこまで全身作用はないだろうとタカをくくっていた部分もある。

Arch Intern Medから、COPD患者への吸入抗コリン薬の
尿閉のリスクの論文が出ていた。
症例対照研究でオッズ比1.4か…。うーん。

Inhaled Anticholinergic Drug Therapy and the Risk of Acute Urinary Retention in Chronic Obstructive Pulmonary Disease. A Population-Based Study
Arch Intern Med. 2011;171(10):914-920.


背景:
 吸入抗コリン薬(IAC)は、広くCOPDの治療に用いられている。
 IACによる全身的な抗コリン副作用についてはあまり検討されていない。
 このスタディは、COPDにおけるIACによる急性尿閉(AUR)の
 リスクについて評価したものである。

方法:
 症例対照研究。
 COPDで66歳以上の成人で、2003年4月1日から2009年3月31日まで
 カナダのオンタリオ州における住民基礎データベースを用いて
 このスタディを施行した。入院、同日手術、AURによる救急受診について
 5つのコントロールを設定して評価。条件付きロジスティック回帰分析が
 IACとAURの関連性についておこなわれた。

結果:
 565073人のCOPDで、9432の男性、1806の女性がAURに陥った。
 男性において、IAC使用者は非使用者に比べてAURのリスクが高かった
 (調整OR 1.42; 95%CI 1.20-1.68)。前立腺肥大のある男性において
 このリスクはさらに上昇(OR, 1.81; 95% CI, 1.46-2.24)。
 短時間と長時間作用型IACを使用している男性は、有意に単剤使用に比べて
 AURのリスクが高く(OR, 1.84; 95% CI, 1.25-2.71)、非使用者と比べても
 高リスクであった(2.69; 1.93-3.76)。

結論:
 短時間および長時間作用型の吸入抗コリン薬は
 COPDの男性における急性尿閉症状のリスクに関連する。
 短時間作用型と長時間作用型の吸入抗コリン薬の併用や
 前立腺肥大の既往は、尿閉の最も高いリスクである。
 

by otowelt | 2011-05-31 15:51 | 気管支喘息・COPD

HIV合併NSCLC患者のCD4レベルは予後予測因子である

JTOから、HIV感染と肺癌の関連についての論文。

Human Immunodeficiency Virus Infection and Non-small Cell Lung Cancer: Survival and Toxicity of Antineoplastic Chemotherapy in a Cohort Study
Journal of Thoracic Oncology. 6(6):1022-1029, June 2011.


目的:
 HIVに感染した非小細胞肺癌(NSCLC)患者の生存に関する因子を
 記載し、化学療法と抗ウイルス治療によって起こる毒性を解析する。

デザイン:
 HIVに感染したNSCLC患者をレトロスペクティブ解析
 少なくとも1サイクルの化学療法を施行した患者において毒性を解析。

方法:
 生存はCoxモデルを用いて解析した。毒性サブスタディにおいて、
 抗ウイルス薬と化学療法の併用のエピソードのあるgrade4血液毒性に
 関する因子は、ロジスティック回帰モデルを用いて解析された。

結果:
 52人の患者が登録された。42人が男性で年齢中央値は48歳であった。
 98%が喫煙者で、中央喫煙歴は30pack yearsであった。
 CD4中央値は300 cells/μlであり、生存期間の中央値は12ヵ月であった。
 NSCLC診断時CD4が≥200 cells/μlの場合HR = 0.29, 95%CI0.10–0.89、
 PSが2以下でHR = 0.32, 95% CI 0.15–0.68、HAARTを受けた場合
 HR = 0.26, 95% CI 0.09–0.74で、生存への寄与がみられた。
 40人は毒性解析が可能で、68の異なる抗癌剤併用に対して14のエピソードが
 grade4の血液毒性を合併した。プロテアーゼ阻害剤の使用は
 有意にgrade4血液毒性と関連していたOR = 5.22, 95% CI 1.07–25.38。

結論:
 HIVに感染したNSCLC患者において、NSCLC診断時CD4レベルは
 生存の予後予測因子である。HAARTを用いることは妥当であるが、 
 プロテアーゼ阻害剤を使用する場合には血液毒性に注意が必要である。

by otowelt | 2011-05-30 13:36 | 肺癌・その他腫瘍

IIIB/IV期NSCLCにおけるBIBF1120のphaseII試験

BIBF1120は血管新生阻害剤の一種で、VEGFR、PDGFR、FGFR
の3つを同時に阻害する薬剤である。
phase II試験の結果は、既に世界肺癌学会で公表されているものである。

A phase II double-blind study to investigate efficacy and safety of two doses of the triple angiokinase inhibitor BIBF 1120 in patients with relapsed advanced non-small-cell lung cancer
Annals of Oncology 22: 1374–1381, 2011


背景:
 IIIB/IV期非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるBIBF1120の
 効果、安全性、忍容性、薬理動態を評価する。

方法:
 IIIB/IV期NSCLC(ECOG-PS 0-2)73例を対象とし、
 BIBF 1120を250mgを1日2回投与する群(36例)と
 150mgを1日2回投与する群(37例)にランダム割り付けをした。
 プライマリエンドポイントはPFS、奏効率で、
 セカンダリエンドポイントはOSとした。

結果:
 PFS中央値は6.9週で、治療投与量によって差はみられなかった。
 OS中央値は21.9週であった。ECOG-PSが0-1の患者56人において
 PFS中央値は11.6週で、OS中央値は37.7週であった。DCRは
 46%の患者でみられた(ECOG 0–1では59%)。
 250mg群において一人CRがみられた。
 有害事象は、悪心57.5%、下痢47.9%、嘔吐42.5%、食欲不振28.8%、
 腹痛13.7%、ALT上昇13.7%、AST上昇9.6%。

結論:
 BIBF1120の治療において忍容性は良好で、効果に関しては
 両群とも差がみられなかった。PFSと奏効率に関しては今後の探索に期待したい。

by otowelt | 2011-05-30 06:53 | 肺癌・その他腫瘍

気管支喘息における気道リモデリングは、気管支収縮によって誘発される事象である

「気管支リモデリングがどーのこーの」というのは
研修医の先生に喘息の講義をするときに絶対登場するキーワードだが
実はその本態は、教えている指導医はわかっていなかったりするものだ。(笑)

気道収縮が上皮ストレスと組織反応を起こし、気道の構造変化を
もたらすというNEJMからの極めて重要な論文。
eosinophilの役割がさほど高くないことの証明と考えてよいだろうか。
サイトカインがどーのこーのと論じられてきた分野だが、
物理的な作用が大きく寄与しているという点に非常に驚かされた。

Effect of Bronchoconstriction on Airway Remodeling in Asthma
N Engl J Med 2011; 364:2006-2015


背景:
 気管支喘息の病理学的な特徴は、気道リモデリング、
 すなわち気道の構造変化である。こういった変化は
 より不良な長期臨床アウトカムに関連し、原因として好酸球性の
 気道炎症によると考えられている。しかしながらin vitro試験で、
 気管支が収縮する際に生じる機械的な圧縮力が、炎症とは関係なく
 リモデリングを誘発する可能性が示唆されている。
 この研究において、われわれは気管支喘息患者に
 実験的に誘発した反復的な気管支収縮が気道の構造変化に及ぼす影響を評価した。

方法:
 気管支喘息患者48人を、1種類の吸入物質による喘息誘発を
 48時間間隔で合計連続3回施行した。4パターンの
 吸入誘発試験プロトコルのどれかにランダムに割りつけた。
 誘発群としては
 ・チリダニアレルゲン群(気管支収縮と好酸球性気道炎症を引き起こす)
 ・メサコリン群(好酸球性気道炎症を伴わずに気管支収縮を引き起こす)の
 2パターンとした。コントロール非誘発群は、
 ・生食を用いる群、
 ・アルブテロール(サルブタモール)のあとにメサコリンを用いる群 の
 2パターンとした。誘発試験の実施前と終了4 日後に、気管支生検標本を採取。

結果:
 アレルゲンとメサコリンにより、同程度の気管支収縮が即時に誘発。
 好酸球性の気道炎症はアレルゲン群のみで増悪したが、
 有意な気道リモデリングはアレルゲン群とメサコリン群でみられた。
 コントロール群ではみられなかった。上皮下コラーゲン層の厚さは、
 アレルゲン群で中央値2.17 μm(IQR 0.70~3.67)、
 メサコリン群で中央値1.94 μm(IQR 0.37~3.24)増加
 (誘発群2群のコントロール群2群との比較でP<0.001)。
 PAS染色範囲も増加、その中央値はアレルゲン誘発群2.17%point
 (IQR 1.03~4.77)、メサコリン誘発群2.13%point
 (IQR 1.14~7.96)であっり、コントロール群との比較でP=0.003。
 アレルゲン誘発群とメサコリン誘発群との間に有意差はなかった。
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結論:
 気管支喘息患者では、新規の好酸球性炎症を生じない
 気管支収縮によって気道リモデリングが誘発されるものと推察される。

by otowelt | 2011-05-27 05:44 | 気管支喘息・COPD

アセトアミノフェンの長期常用は血液腫瘍の発症リスクを上昇させる

PPIもアセトアミノフェンもそうだが、
一つの薬剤が一つの疾患の発症ハザード比を有意に上昇させる
可能性は多分にあるわけで、それを発見したからといって
臨床医の対応が変わるわけではない。

Long-Term Use of Acetaminophen, Aspirin, and Other Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs and Risk of Hematologic Malignancies: Results From the Prospective Vitamins and Lifestyle (VITAL) Study
JCO.2011.34.6346


背景:
 これまでの研究で、アスピリンおよびイブプロフェンなどの
 アスピリン以外のNSAIDsが大腸癌および特定の種類の癌の
 リスクを減少させる可能性があることが示唆されている。
 
方法:
 NSAIDs、アセトアミノフェンと血液腫瘍リスクの関連を調べるため、
 Vitamins and Lifestyle(VITAL)試験で得られたデータを検討。
 50歳から76歳までの64000人以上を登録。
 いずれの患者も試験開始時に癌の既往歴はなかった。
 約6年半の追跡期間中に、577人(0.9%)が血液腫瘍を発症。
 いずれの薬剤(アセトアミノフェン、アスピリン、NSAIDs)についても
 高頻度の使用とは、少なくとも4年間にわたる週4回以上の使用と定義。

結果:
 アセトアミノフェンを高頻度で使用している患者は、
 アセトアミノフェンを使用していない患者と比べて、
 血液腫瘍の発症リスクが上昇した
 (HR, 1.84; 95% CI, 1.35 to 2.50 for high use; P trend =004)。
 特に骨髄性疾患(骨髄異形成症候群、急性骨髄性白血病など)(HR, 2.26;
 95%CI, 1.24 to 4.12)、非ホジキンリンパ腫(HR, 1.81;
 95%CI, 1.12 to 2.93)および形質細胞障害(HR, 2.42;
 95% CI, 1.08 to 5.41)のリスクが上昇したが、
 慢性リンパ性白血病、小リンパ球性リンパ腫のリスクは上昇させなかった。

結論:
 長期にわたる日常的なアセトアミノフェンの使用は、
 白血病やリンパ腫の発症リスクを上昇させる可能性がある。

by otowelt | 2011-05-25 21:45 | 肺癌・その他腫瘍

呼吸器寄生虫感染症のレビュー

呼吸器寄生虫感染症のレビューが出ていた。
必読なのだが、肝心の治療に関しては用量がほとんど記載されておらず
ただの読み物になっている。

日本の場合、熱帯病治療薬研究班からガイドラインが出ているので
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/orphan/HTML/page-DL.html
それを参照にすることがほとんどであろう。

Parasitic infections of the lung: a guide for the respiratory physician
Thorax 2011;66:528-536


↓クリックすると拡大します
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Hydatidosis:包虫症
Dirofilariasis:イヌ糸状虫症
Paragonimiasis:肺吸虫症
Amoebiasis:アメーバ症
Ascariasis:回虫症
Hookworm infection:鉤虫感染
Toxocariasis:トキソカラ症
Schistosomiasis:住血吸虫症
Strongyloidiasis:糞線虫症

by otowelt | 2011-05-25 05:28 | 感染症全般

進行胸腺腫・胸腺癌におけるカルボプラチン+パクリタキセルは、効果が乏しい

呼吸器内科医としては、シスプラチン+エトポシドが
使い慣れたレジメンである胸腺癌であるが…。
なにせ症例が少ないため、知識の積み重ねは机上となってしまう。
サンドスタチンによる治療が少し話題を呼んだのは記憶に新しい。

Masaoka分類をメモしておく。
Stage I :
 intact thymic capsule 5年生存率94-100%
Stage II :
 capsular invasion into adjacent mediastinal fat or pleura 5年生存率86-95%
Stage III :
 mascroscopic invasion into adjacent organs, vessels 5年生存率56-60%
Stage IV :5年生存率11-50%
 IV a : dissemination in thoracic cavity (ex: pleural or pericardial implants)
 IV b : distant metastases



JCOから進行胸腺腫および胸腺癌の化学療法のphase II試験の報告。

Phase II Study of Carboplatin and Paclitaxel in Advanced Thymoma and Thymic Carcinoma
JCO May 20, 2011 vol. 29 no. 15 2060-2065


目的:
 このスタディの目的は、カルボプラチン+パクリタキセルを
 進行期の既治療胸腺腫および胸腺癌患者に対するインパクトを
 評価するものである。

患者および方法:
 われわれは、プロスペクティブ多施設共同試験を切除不能胸腺腫(n=21)
 あるいは胸腺癌(n=23)において実施した。患者はカルボプラチン(AUC6)
 とパクリタキセル(225 mg/m2)を3週ごとに最大6サイクル施行する
 レジメンを受けた。プライマリエンドポイントは客観的奏効率(ORR)。

結果:
 2001年2月から2008年1月まで、合計46人の患者が登録された。
 13人の患者がGrade4かそれ以上の毒性を呈した(ほとんど好中球減少)。
 胸腺腫においてRECIST判定(version 1.0)において、CRが3人、PRが6人。
 すなわち、ORRは42.9%; 90% CI, 24.5% to 62.8%。
 胸腺癌ではCRはおらず、PRは5人でORR, 21.7%; 90% CI, 9.0%to 40.4%。
 PFSは胸腺腫で16.7ヶ月(95% CI, 7.2 to 19.8)、胸腺癌で5.0ヶ月
  (95% CI, 3.0 to 8.3)であった。期間中
 胸腺腫の7人の患者(33.3%)、胸腺癌の16人の患者(69.6%)が死亡した。
 生存期間中央値は胸腺癌で20.0ヶ月(95% CI, 5.0 to 43.6months)で
 あったが、胸腺腫は解析に達しなかった。
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結論:
 カルボプラチン+パクリタキセルは、胸腺悪性腫瘍において
 臨床的にやや活性がみられるものの、アントラサイクリン系薬剤による治療
 で予測していたよりも効果は乏しかった。胸腺癌患者は胸腺腫と比較して
 PFSおよびOSの予後は不良である。

by otowelt | 2011-05-23 16:06 | 肺癌・その他腫瘍

肺腺癌においてBRAF変異は3%、喫煙例に多く、G469A、D594Gは比較的特異性が高い

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肺腺癌においてALKが脚光を浴びたが、
JCOからBRAFに焦点を当てた論文が出ていた。
BRAFは肺腺癌の約3%に変異がみられるとされていた。
BRAFand RAS Mutations in human lung cancer and melanoma.Cancer Res 62:6997-7000, 2002

2002年、悪性黒色腫の約半数にBRAF遺伝子を活性化する
V600E変異が存在していることが発見された。
sorafenib(非特異的BRAF阻害薬)は、悪性黒色腫において試験されたが
期待された結果は得られなかった。皮膚科領域においては、
vemurafenibが有望なBRAF阻害薬として注目されている。
ちなみにV600E変異は肺癌と悪性黒色腫のいずれでも観察されるが
G469A(G→C transversion)とD594Gは肺癌に特異度が高い、という
記載が本論文に記載されていた。

Clinical Characteristics of Patients With Lung Adenocarcinomas Harboring BRAF Mutations
JCO May 20, 2011 vol. 29 no. 15 2046-2051


背景:
 BRAF遺伝子変異は非小細胞癌に起こる。治療的標的としての
 BRAF遺伝子変異は近年同定された。われわれは、BRAF遺伝子変異を
 もつ肺腺癌患者の臨床的特徴を同定するためこのスタディをおこなった。

患者および方法:
 われわれは、BRAF、EGFR、KRAS遺伝子変異およびALK再構成
 の同定をおこなった肺腺癌の連続症例のデータをレビューした。
 患者の臨床的性格として、年齢、性別、人種、PS、喫煙歴、
 病期、治療歴、全生存期間が抽出された。

結果:
 697人の肺腺癌患者において、BRAF変異は18人(3%;95%CI, 2%-4%)
 にみられた。同定されたBRAF変異はV600E (50%), G469A (39%),
 D594G(11%)であった。24%がEGFRに遺伝子変異がみられ、KRASは
 25%、ALKは6%にみられた。非喫煙者であることが多い
 EGFR変異およびALK再構成の患者と比較すると、BRAF変異がみられた患者は
 現ないし既喫煙者が多かった(P<.001)。
 進行期患者でBRAF変異がみられた患者のOS中央値は、他の変異と比較して
 有意な差がみられなかった。BRAFとその他の変異は相互排他的であった。
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結論:
 BRAF遺伝子変異は3%の肺腺癌患者にみられ、現ないしは既喫煙者に
 よくみられるものである。V600E以外のBRAF遺伝子変異は
 悪性黒色腫よりも肺癌に有意に多くみられる。

by otowelt | 2011-05-23 15:40 | 肺癌・その他腫瘍

人工呼吸器関連気管炎(VAT)へ7日以上抗菌薬投与をおこなってもHAP・VAPを予防しない

この論文における人工呼吸器関連気管炎(VAT)の定義は以下の通りである。
(1) 発熱38℃を超えるものあるいは36℃未満の低体温、
 白血球数が>12000/mm3あるいは<4000/mm3、
 気管内分泌物が膿性である新しいオンセット
(2) Gram染色において中等度~重度の細菌発育を伴う
 中等度~重度の多核白血球がみられる
(3)レントゲンにおいて肺に陰影がみられない
・Ventilator-associated tracheobronchitis and pneumonia: thinking outside the box. Clin Infect Dis 2010; 51(Suppl. 1):S59–S66.
・Hospital-acquired pneumonia, health care-associated pneumonia, ventilator-associated pneumonia, and ventilator-associated tracheobronchitis: definitions and challenges in trial design. Clin Infect Dis 2010; 51(Suppl. 1):S12–S17.
・Ventilatorassociated tracheobronchitis (Vat) in a mixed surgical and medical ICU population. Chest 2010; 139:513–518.


小児におけるVATのスタディだが、成人でもおそらく同じような議論が
できることと思う。ただ個人的には、VATという存在が
どうもゴミ箱的な位置付けのような気がしてならない。

Ventilator-Associated Tracheitis in Children: Does Antibiotic Duration Matter?
Clinical Infectious Diseases 2011;52(11):1324–1331


背景:
 人工呼吸器関連気管炎(VAT)の適切な抗菌薬治療期間は定まっておらず
 不必要に長期の抗菌薬にさらされる結果となっているかもしれない。
 このスタディの主要目的は、VATへの長期(7日以上)の治療が
 短期(7日未満)に比べて院内肺炎(HAP)と人工呼吸器関連肺炎(VAP)を
 予防できるかどうかを検証したものである。副次的な目的として
 長期的抗菌薬投与がより耐性を獲得しやすいかどうかを検証。
 
方法:
 レトロスペクティブコホート試験を18歳以下で
 ICUに挿管48時間以上で滞在した小児を登録。
 2007年1月から2009年12月までVATに対して抗菌薬を用いたものとした。

結果:
 1616人の患者が少なくとも48時間挿管されており、150人がVATを
 疑って抗菌薬を投与されていたが、118人がVATの基準を満たしていなかった。
 長期的抗菌薬は引き続くHAPやVAPを予防しなかった
 (HR, 1.08; 95% CI, 0.40–2.91)。耐性菌コロナイゼーションや感染は
 長期的抗菌薬(HR, 5.15; 95% CI, 1.54–7.19)、抗菌薬併用
 (HR, 3.24; 95% CI, 1.54–6.82)、抗菌薬完遂する前に医療機関濃厚接触
 の日数が長いこと(HR, 1.08; 95% CI, 1.04–1.12)と関連していた。
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結論:
 長期的抗菌薬をVATに用いることは、短期的に抗菌薬を投与する場合と
 比較するとHAPやVAPを予防するものではない。さらに、長期的抗菌薬は
 耐性菌獲得と有意に関連する。

by otowelt | 2011-05-20 12:13 | 集中治療

Leeuwenhoek's disease(横隔膜粗動)

AJRCCMのデザインがかわったのか、非常に見にくくなったと感じるのは
私だけだろうか?Case reportでLeeuwenhoek's disease(横隔膜粗動)
がビデオつきで紹介されていたが、不勉強のためこの病態を知らなかった。

van Leeuwenhoek's Disease
Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2011; 183: 1434


横隔膜粗動は、顕微鏡で有名なLeeuwenhoekが本症に罹患したため
この病名がついたとされているが、報告例が少ない。
AJRCCMのビデオをみてわかる通り、非常に小刻みな横隔膜の痙攣が
みられ、これにより過換気症候群のような呼吸様式になっている。
本来の概念は、横隔膜が呼吸運動とは異なった高頻度の不随意運動を
反復する症候群であるが、1973年PhillipsとEldridgeは横隔膜以外の
吸気筋の不随意運動をも含む症例を報告し、やや概念としては広く
考えられているようである。
診断は、X線透視により非対称性の両側横隔膜の不規則な運動を観察する
ことで確定となる。
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吃逆とどう違うのか、と問われると
これらの詳しい概念を存じ上げないので明確な定義上の違いは
不明だが、映像を見る限りでは、この粗動はかなりの速度であり
吃逆とは性質を異にしているように思える。

by otowelt | 2011-05-20 06:49 | 呼吸器その他