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ASCO2011:EGFR変異陽性患者における1stライン治療でエルロチニブは生存上利益をもたらす可能性

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そういえばこれアップしてなかった。

Erlotinib vs chemotherapy (CT) in advanced non-small-cell-lung cancer(NSCLC) patients with epidermal growth factor receptor (EGFR) activating mutations: Interim results of the European Tarceva vs Chemotherapy (EURTAC) phase III randomized trial

目的:
 ファーストライン治療としてのerlotinib単剤と標準的化学療法を
 比較する第III相試験である。

方法:
 18歳以上白人で化学療法施行歴のないEGFR変異陽性
 (exon19 deletion or exon 21 L858R mutation)の
 IIIB/IV期のNSCLC患者173例をランダムに割り付け。
 erlotinibは150mg/日の経口投与を1日1回、
 PDになるまで続けた。標準化学療法は、白金ベースの2剤併用を
 3週ごとに4コース実施。
 プライマリエンドポイントはPFS、セカンダリエンドポイントは
 ORR、OS、安全性とした。
 
結果:
 86例がerlotinib群、87例が標準化学療法群に割り付けられた。
 年齢中央値はともに65歳で、各群とも女性(67%、78%)、
 非喫煙者(66%、72%)が3分の2以上を占め、EGFR変異は
 66%、67%にexon 19 deletion、34%、33%にL858Rが
 認められた。その結果、PFSはerlotinib群で9.7ヶ月、標準化学療法群で
 5.2ヶ月と有意に前者での延長がみられた(HR0.37、P<0.0001)。
 サブグループ解析において年齢、性別、PS、EGFR変異のタイプによる
 いずれのサブグループにおいてもerlotinib群では化学療法を
 上回るPFSの改善効果がみられた。喫煙状況によるサブグループ
 解析では、喫煙歴のあに症例群においてのみerlotinibによる
 PFSの有意な改善がえられた。OSはnot reached。

結論:
 白人のEGFR変異陽性の進行NSCLC患者における
 ファーストライン治療としてのerlotinib単剤治療は、
 従来の白金ベースの2剤併用化学療法に比べて
 生存利益が大きい可能性がある。
 

by otowelt | 2011-06-30 06:47 | 肺癌・その他腫瘍

エコーガイド下鎖骨下静脈カテーテル挿入法は、ランドマーク法より優れている

感染の面からは鎖骨下が一番良いとされているが、
鎖骨下アプローチがキライという人も実は多い。
理由は、血管の走行が頭で構築しにくいからだと思う。
個人的にも大腿や内頚よりは成功率が低いので、エコーを使うようにしている。

Real-time ultrasound-guided subclavian vein cannulation versus the landmark method in critical care patients: A prospective randomized study
Crit Care Med 2011; 39:1607–1612


目的:
 鎖骨下静脈へのカニューレ挿入は、さまざまな合併症を起こす可能性がある。
 われわれは、リアルタイムエコーガイド下鎖骨下静脈CV挿入と
 従来のランドマーク法による挿入法を集中治療患者において比較した。

デザイン・セッティング:
 プロスペクティブランダム化試験、三次医療センターのICU

患者:
 463人の人工呼吸装着患者で、ISRCTN試験登録患者をランダムに割りつけ
 (ISRCTN-61258470)

インターベンション:
 われわれはエコーガイド下の鎖骨下静脈への中心静脈カニューレ
 挿入(200人)と、ランドマーク法(201人)を比較した。
 ※infraclavicular needle insertion point in all cases
 カテーテル挿入は、緊急的ではないICUでの挿入とした。 
 ランダム化はコンピューターによる。

結果:
 挿入におけるリスク因子について差はみられなかった。
 鎖骨下静脈挿入は、エコーガイド下法の場合100%の患者で達成できた
 ものの、ランドマーク法の場合87.5%で達成できた(p < .05)。
 アクセス時間は、エコーガイド下のほうがよかった(p<.05)。
 ランドマーク法の場合、動脈穿刺と血腫が5.4%にみられ、血胸4.4%、
 気胸4.9%、腕神経叢障害2.9%、横隔神経障害1.5%、
 心タンポナーデ0.5%がみられた(p<.05)。カテーテルの留置ミスは
 両群とも差はみられなかった。
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結論:
 エコーガイド下の鎖骨下静脈カテーテル挿入は、
 集中治療患者においてランドマーク法よりも有意に優れており
 標準法の選択肢にすることがのぞましい。

by otowelt | 2011-06-26 08:48 | 集中治療

アクトス-膀胱癌問題

話題になっているネタ。

(日経メディカルオンラインより)
武田薬品工業が販売する2型糖尿病治療薬ピオグリタゾン(商品名:アクトス)およびその合剤について、海外で膀胱癌リスク上昇の可能性が指摘されている問題で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は6月23日、膀胱癌のリスクに関連する情報を添付文書に追記することを決めた。対象となるのは、アクトス、ソニアス配合錠、メタクト配合錠および6月24日に薬価収載予定のアクトス後発品。フランスや米国で実施された疫学研究データなどに基づき判断した。
 今回の改訂では、「海外で実施した糖尿病患者を対象とした疫学研究において、本剤を投与された患者で膀胱癌の発生リスクが増加する恐れがあり、また、投与期間が長くなるとリスクが増える傾向が認められている」として、以下の点を「重要な基本的注意」欄に追記する予定。

(1)膀胱癌治療中の患者には投与を避けること。また、特に、膀胱癌の既往を有する患者には本剤の有効性および危険性を十分に勘案した上で、投与の可否を慎重に判断すること。
(2)投与開始に先立ち、患者又はその家族に膀胱癌発症のリスクを十分に説明してから投与すること。また、投与中に血尿、頻尿、排尿痛などの症状を認めた場合は、直ちに受診するよう患者に指導すること。
(3)本剤投与中は、定期的に尿検査などを実施し、異常が認められた場合は、適切な処置を行うこと。また、投与終了後も継続して、十分な観察を行うこと。

 上記のうち(1)(2)は、米国食品医薬品局(FDA)による注意喚起と共通するが、FDAでは(3)の定期的な尿検査の実施は求めておらず(関連記事:2011.6.16「FDA、アクトスの1年以上の長期処方に懸念」)、その点ではより踏み込んだ内容になっているといえる。尿糖の検査を行う際に、血尿などの有無を確認することが現場での実際の対応となりそうだ。なお、フランスとドイツの当局は、ピオグリタゾンを新規の患者に処方しないように求めている。
 また、添付文書には海外の疫学研究のデータも「その他の注意」欄に記載する。
 1つ目は、米国で行われた疫学研究の中間解析で、全体解析では膀胱癌の発生リスクに有意差は認められなかったが(ハザード比 1.2、95%信頼区間[CI] 0.9-1.5)、層別解析において投与期間が2年以上の群で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.4、95%CI 1.03-2.0)。
 2つ目はフランスでのデータで、ピオグリタゾン投与患者で膀胱癌の発生リスクが有意に増加し(ハザード比 1.22[95%信頼区間 1.03-1.43])、投与期間が1年以上で膀胱癌の発生リスクが有意に増加した(ハザード比 1.34[95%信頼区間 1.02-1.75])。
 一方、膀胱癌のリスクを上げないとする疫学研究も複数報告されているが、今回の改訂案にはその情報は含まれていない。また、日本での大規模な疫学研究のデータはなく、今後何らかの調査を実施できないかを検討する必要性が、審議会でも議論された。
 厚労省は、「疫学研究における限界も踏まえて慎重にリスク評価をすべき」とし、今後リスクに関する説明用資材の提供を製造販売業者に求めていくとともに、情報収集を行いながら必要に応じて追加対策を検討するとしている。
 現在、日本人の膀胱癌の年齢調整罹患率は、10万人当たり12人(男性)、白人では10万人当たり20人程度とされている。ピオグリタゾンの国内における2009年度の年間推定使用患者数は約132万人。

by otowelt | 2011-06-25 09:01 | 内科一般

ゲフィチニブとエルロチニブの違い

イレッサとタルセバは同じEGFR-TKIだが、一体何が違うのか、
イレッサでPDになったらタルセバは使えるのかどうなのか???
この疑問をずっと持っていたのだが、わかりうる範囲で勉強したい。

胃潰瘍に対してラベプラゾールとオメプラゾールは同じPPIなのに
何が違うかというのとなんだか似ているような気もするのだが、
エビデンスが集積されたオンコロジーという分野であるため
その差異にはオンコロジストは慎重にならないといけない。

●ゲフィチニブとエルロチニブの違い (↓クリックすると見やすく拡大)
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ゲフィチニブとエルロチニブを比較すると、HER1/EGFRに対する
IC50値ではゲフィチニブ23nM、エルロチニブは2nMである。
すなわち、よりエルロチニブの方が低用量でEGFRに対する阻害作用を有する
          Cancer Res 1997; 57: 4838-48
          Expert Opinion Drug Evaluation 2005; 6: 985-93

AUCの比較では、エルロチニブ標準用量150mg/日のCmaxと同等のAUCを
ゲフィチニブで達成するには、臨床用量の約3倍である700 mg/日の投与が必要。
          J Clin Oncol 2001; 19: 3267-79
          J Clin Oncol 2002; 20: 2240-50

EGFR遺伝子変異陰性の肺癌の増殖抑制において、ゲフィチニブ250mg/日投与
ではトラフ値が0.4μMと、増殖抑制に必要な2.0μMには到達しない。
          N Engl J Med 2004; 350: 2129-39
しかしながら、エルロチニブにおいては増殖抑制に必要である3μMに対して
150 mg/日投与のトラフ値が3.5μMと増殖抑制が期待できる。
          J Clin Oncol 2006; 66: 8163-71
また、EGFR遺伝子変異陰性ではエルロチニブの方がゲフィチニブよりKd値が
小さく、EGFRに結合しやすい可能性がある(解離しにくい)。
          Nat Biotechnol 2008; 26: 127-32
実際にBR.21試験とSATURN試験においてPFSとOSの延長が認められており、
エルロチニブはEGFR遺伝子変異陰性例に対しても有用であると考えられている。
          J Clin Oncol 2008; 26: 4268-75
          The Lancet Oncology. May 20, 2010.

ゲフィチニブ治療で奏効後耐性化してからエルロチニブに感受性を示した報告
では耐性となった時点でもともと有していたL858R の変異に加え
L747S変異が生じていた。
          J Clin Oncol. 2008;26:1182-1186.
逆にエルロチニブで耐性化後、ゲフィチニブ感受性を示した報告では
L858R に加えE884K変異が加わっていた。
          Nat Clin Pract Oncol. 2006;3:50-57.
ゆえに、EGFR遺伝子変異において
L858R+L747S:エルロチニブ>ゲフィチニブ
L858R+E884K:ゲフィチニブ>エルロチニブ
という可能性も考えられる。

ゲフィチニブで効果がみられない・耐性であった場合にもエルロチニブが
効果を発揮する報告もあるが、現段階ではエビデンスとしては不明である。
          J Clin Oncol. 2007;25:2528-2533.
          J Clin Oncol.2008;26:1184-1186.


勉強して感じたのは、基本的にはEGFR-TKIであるが違う構造物であることは
化学式から明らかである。そのため、エビデンスの集積は個々の薬剤別に行われ
用量設定も個々におこなわれている。ゆえに、イレッサが効かなかった場合に
タルセバが効くのか効かないのかという議論は、現段階ではエビデンス不足であると
考えられる。

by otowelt | 2011-06-24 17:13 | 肺癌・その他腫瘍

IPF急性増悪の少数例にウイルス感染が関与する可能性

TTウイルスとは懐かしい…。

Viral Infection in Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 1698–1702, 2011


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、進行性の一様な致死的肺疾患である。
 IPF急性増悪は、特定の疫学的原因の同定がなく急性呼吸不全を
 きたすエピソードである。
 偶発的なウイルス感染が、この原因になっている可能性が示唆される。
 
目的:
 unbiased genomics-based discovery methodsを用いて
 IPF急性増悪にウイルスが関与するかどうかを調べる。

方法:
 IPF急性増悪をきたした患者、安定した病態の患者、
 ALIに至った患者において、BALおよび血清を採取し
 ウイルス核酸PCR、汎ウイルスマイクロアッセイ等で
 ウイルス学的検索をおこなった。

結果:
 45人のIPF急性増悪をきたした患者のうち4人に
 一般的な気道ウイルス感染の同定がなされた
 (parainfluenza [n=1], rhinovirus[n=2], coronavirus [n=1])。
 安定した患者においてはBALでは何も検出されなかった。
 汎ウイルスマイクロアッセイでは、IPF急性増悪患者において
 さらにウイルス感染の根拠を明らかにした
 (herpes simplex virus[n=1], Epstein-Barr virus [n=2],
 torque teno virus [TTV] [n=12])。
 TTV感染症は急性増悪患者において有意に多くみられた(P=0.0003)が、
 ALIコントロール群とは同等であった。
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結論:
 IPF急性増悪において多くの場合ウイルス感染は同定されなかった。
 少数例ではあるがTTV感染は比較的有意にみられ、ALI患者でも
 この傾向があった。

by otowelt | 2011-06-23 05:54 | びまん性肺疾患

市中肺炎にデキサメタゾン5mg×4日間を加えることで、入院期間短縮・QOL向上

感染症がお好きな医師には、”もうそれ読んだ”というくらい
有名な論文だが、ちょっと時間があいてしまったものの
ステロイドと肺炎の大事なスタディなのでしっかり読んだ。

電解質バランス異常が少ないためにデキサメタゾンを使用したのだろうか?

Dexamethasone and length of hospital stay in patients with community-acquired pneumonia: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial
The Lancet, Volume 377, Issue 9782, Pages 2023 - 2030, 11 June 2011


背景:
 集中治療室に入らないような市中肺炎にステロイドを用いることの
 利益についてはいまだよくわかっていない。

方法:
 オランダの2教育病院のERで、市中肺炎の確定例と診断された
 18歳以上の患者を登録した。それらをランダムにデキサメタゾン5mg
 またはプラセボに割り付け、入院から12時間以内とその後3日間1日1回の
 合計4回静脈内点滴投与した。抗菌薬の投与は、割り付け薬投与より前に
 投与された。
 ※除外基準:免疫不全状態、ICU入院、ステロイド投与中、免疫抑制剤投与中

 プライマリエンドポイントは、入院から退院または死亡までの入院日数とした。
 登録した患者全員を分析対象にした(ITT)。
 入院が午前0時から正午までだった患者は入院した日も1日と数え、
 正午以降だった患者は0.5日と計算した。
 セカンダリエンドポイントは全死亡、ICU入院など。

結果:
 2007年11月から2010年9月までに合計304人の患者を登録。
 151人(平均年齢64.5歳)がデキサメタゾン群、
 153人(62.8歳)がプラセボ群となった。全体の47%(143人)は
 PSI4~5に分類された。両群に用いられた抗菌薬レジメンに差はなかった。
 スタディドラッグ4日間の投与を完了したのは、
 デキサメタゾン群87%、プラセボ群88%。
 入院期間の中央値は、デキサメタゾン群6.5日(IQR5.0~9.0日)、
 プラセボ群が7.5日(IQR5.0~11.5日)(P=0.0480)であった。
 患者特性で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてプラセボと
 比較したデキサメタゾンの退院のHRは1.46(1.13-1.89)で、
 デキサメタゾンの方が早期に退院する可能性が有意に高かった。
 院内死亡、ICU入院、入院後30日の呼吸機能検査にも差はなかった。
 QOLに関しては(RAND-36)、入院30日目にデキサメタゾン群の
 社会的機能改善の寄与が大きかった(P=0.0091)。

 有害事象としては、デキサメタゾン群における高血糖がみられたが、
 血糖降下薬を要するほどのものではなかった(P=0.57)。


結論:
 免疫機能が正常な市中肺炎の患者にデキサメタゾンを投与することで
 入院期間が短縮し、30日後のQOLも良好となる。

by otowelt | 2011-06-20 04:59 | 感染症全般

カテーテルは全て培養に出すべきか?

Prospective, randomised study of selective versus routine culture of vascular catheter tips: patient outcome, antibiotic use and laboratory workload
Journal of Hospital Infection (2011) 77, 309-315


目的:
 血培陰性患者における血管カテーテルの先端培養の意義を評価する。

方法:
 入院患者のすべての先端部試料を、カテーテルの2種類の日常的処理法に
 プロスペクティブにランダム化割り付けをし、全患者の先端部を
 培養する群(A群)と菌血症または真菌血症を併発する患者の先端のみ
 を培養する群(B群)とを比較。

結果:
 9ヵ月の登録期間により、A群には318人からのカテーテル426本、
 B群には322人429 本をランダムに割り付けた(n=640)。
 アウトカムおよびコストを両群で比較。
 人口統計データ、死亡率、入院期間、抗菌薬の使用には、
 有意差はみられなかった。非菌血症/真菌血症患者(517人)での
 カテーテル抜去後の抗菌薬治療日数は、A群
 (中央値10.0 日、IQR6.0~14.0)が、B群(8.0 日、IQR4.7~12.2)
 よりも有意に長かった(P =0.03)。抗菌薬の1日規定用量(DDD)は、
 A群10.8 DDD(IQR 2.4~26.9)、B群7.5 DDD(IQR 1.5~20.0)
 であった(P = 0.03)。治療を受けた患者1人あたりの抗菌薬の費用も
 A群のほうが高かった(P = 0.05)。
 全患者の血管カテーテル先端部をB法で処理した場合、
 微生物学的検査作業負担は、77%に減少。

結論:
 菌血症または真菌血症ではない患者において、全カテーテル先端部の
 日常的な培養による微生物学的検査を実施すべきではない。

by otowelt | 2011-06-19 15:26 | 感染症全般

ER受診後に入院せずに帰ると、待ち時間が長い患者ほど有害事象イベントリスクが高い

Association between waiting times and short term mortality and hospital admission after departure from emergency department: population based cohort study from Ontario,Canada
BMJ 2011;342:d2983


背景:
 待ち時間が長い時間帯にERを受診し、長い待ち時間のあとに
 結局入院せずに帰宅した患者における有害イベントの発生リスクについて検討。

方法:
 住民ベースのレトロスペクティブコホート試験。
 2003年4月~2008年3月までに、カナダのオンタリオ州の
 ベッド数が多い病院でのERを受診後に、結局入院せずに
 帰宅した患者を対象とした。
 すなわち、
 1.医師の診察を受けた後に帰宅した場合
 2.医師と会わずに診断、治療を受けずに帰宅した場合 
 を含める。プライマリエンドポイントはメイン背景因子
 (患者、受診時間帯、施設)で調整後の有害事象リスク
 (7日以内の入院あるいは死亡)とした。

結果:
 5年間で13934542人がERで医師の診察を受けたのち入院せずに帰宅、
 617011人が医師と会わずに帰宅。
 7日以内に有害事象イベントが発生するリスクは、ER平均待ち時間が
 長くなるにつれて上昇。待ち時間が6時間以上の1時間未満に対する
 調整ORは、重症例では死亡が1.79(95%CI1.24~2.59)、
 入院が1.95(95%CI:1.79~2.13)であり、軽症例では死亡が1.71
 (95%CI1.25~2.35)、入院が1.66(95%CI1.56~1.76)。
 医師による診察については、入院せずに帰宅した患者における
 有害事象イベントの発生リスクには寄与しなかった。
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結論:
 ERを受診後に入院せずに帰宅した患者では、待ち時間が長いほど
 将来的な短期的な有害事象イベントの発生リスクが上昇する。

by otowelt | 2011-06-17 12:06 | 救急

樹状細胞ワクチン療法と術後化学療法の併用

樹状細胞ワクチン療法については、データが少ないため
個人的には中立的な立場である。
自己負担で受けられている患者さんも何人かおられる。

でも、なぜ”術後化学療法”にしたのか??

(日経メディカルオンラインより)
メディネットは、6月15日、瀬田クリニック福岡(福岡市)と共同で、原発性肺癌切除後の術後補助化学療法として、樹状細胞ワクチン療法と標準術後補助治療の併用療法に関する臨床試験を開始したと発表した。
 この臨床試験では、瀬田クリニック福岡総院長の安元公正氏を研究責任医師として、手術によって得られた腫瘍抗原をエレクトロポレーション法で取り込ませた樹状細胞ワクチンと標準的な術後補助化学療法の併用療法の安全性と有効性を評価する。
 これまでのメディネットの検討で、エレクトロポレーションを用いることによって樹状細胞の抗原取り込み効率が10倍程度向上し、CTL誘導能が最大20倍程度になることが確認されている。

by otowelt | 2011-06-17 04:38 | 肺癌・その他腫瘍

COPDへのチオトロピウムミスト吸入製剤により死亡リスク上昇の可能性

このスタディ、正直かなり度肝を抜かれたが、
結構内容が難しいので、特に解析のところは全然読み込んでいない。
スピリーバレスピマットはたまに処方することもあるので
このスタディの結果は気になる。

”ミスト吸入”という製剤形態に問題があるのではないかとの指摘。

Mortality associated with tiotropium mist inhaler in patients with chronic obstructive pulmonary disease: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials
BMJ 2011;342:d3215


目的:
 チオトロピウムミスト吸入をCOPD患者に用いることの
 死亡リスクについてシステマティックレビューをおこなう。

方法:
 COPDにおいて、チオトロピウムミスト吸入製剤(Respimat Soft Mist Inhaler,
 Boehringer Ingelheim)とプラセボを比較したランダム化試験を
 レビュー。治療期間は30日以上とし、死亡データを抽出し
 相対リスクを評価した。

結果:
 5のランダム化試験を検討対象としたところ、
 チオトロピウムミスト吸入は有意に死亡率リスク増加と相関した 
  (90/3686 v 47/2836; RR1.52, 95%CI, 1.06 to 2.16;
 P=0.02; I2=0%)。また、チオトロピウムミスト吸入10µg
 (RR2.15, 1.03 to 4.51; P=0.04; I2=9%) および5µg
 (RR1.46, 1.01 to 2.10; P=0.04; I2=0%) のいずれも
 有意に死亡率リスク増加と相関した。
 ランダム効果モデルを使用した5試験fixed effect analysisの感度では、
 変化はみられなかった(RR1.45, 1.02 to 2.07; P=0.04)ものの、
 1年間の期間における3試験に限定しても、RRは1.50, 1.05 to 2.15であり
 他プログラムからのチオトロピウムミスト吸入への追加データを加味しても
 RRは1.42, 1.01 to 2.00であった。
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結論:
 このメタアナリシスによれば、チオトロピウムミスト吸入をCOPD患者に
 おこなうことは、52%の死亡リスク上昇をもたらす可能性がある。

by otowelt | 2011-06-15 12:08 | 気管支喘息・COPD