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メモ:結核疫学

耐性菌は塗沫陽性患者のうち2%くらいということになる。

●新規結核患者のうち
・診断された場所は、
  医療機関:79%
  定期健康診断:13%
  接触者健康診断:3%
  個別健康診断:3%
・60歳以上が65%
・78%は肺結核、22%は肺外結核
・肺結核のうち40%は喀痰塗抹陽性、
 25%はその他の検査で判明した結核菌陽性
・菌陽性者のうち、18%で感受性が把握され、うち11%には何らかの耐性がある
・13%が糖尿病を合併し、HIVの合併は1%未満
・外国籍が4%、そのうち半数は入国5年以内の発病

●活動性肺結核患者のうち
・51%は治癒または治療を完了
・10%は1年以上の治療継続が必要
・14%が死亡

by otowelt | 2011-08-31 06:26 | 感染症全般

ALK阻害薬crizotinibがアメリカで承認

アメリカでついに承認となった。

(日経メディカルオンラインから)
 アメリカFDAは8月26日、ALK遺伝子に異常を有する局所進行または転移を有する非小細胞肺癌(NSCLC)を対象に経口ALK阻害剤crizotinibの販売承認を行ったと発表した。また同時にALK遺伝子異常を判別するコンパニオン診断薬Vysis ALK Break Apart FISH Probe Kitの承認を行った。
 ALK阻害剤が承認されたのは初めて。日本でも申請が行われている。

by otowelt | 2011-08-29 13:50 | 肺癌・その他腫瘍

O104大腸菌による溶血性尿毒素症候群への血漿交換療法

ドイツで話題になったO104の話。

Management of an acute outbreak of diarrhoea-associated haemolytic uraemic syndrome with early plasma exchange in adults from southern Denmark: an observational study
Lancet 2011; DOI: 10.1016/S0140-6736(11)61145-8.


背景:
 下痢関連溶血性尿毒素症候群は、成人において致命的な病態であるが
 急性の溶血性貧血、血小板減少、腎障害をきたすきわめて稀な
 多臓器にわたる疾患である。われわれは、
 これについて血漿交換療法によるマネジメントの成功について評価をした。

方法:
 下痢関連溶血性尿毒素症候群と診断された、南デンマークの患者において
 毎日の血漿交換を施行。便培養、血清学的検査がおこなわれ
 血小板、GFR、LDHなどの項目が評価された。

結果:
 2011年5月25-28日、5名の中央値62歳の患者(range 44-70)の
 大腸菌O104:H4患者で、HUSを合併した下痢の患者を対象におこなわれた。
 大腸菌はESBL産生。血漿交換後、血小板数、GFRは増加し、LDHは減少、
 また神経学的所見の改善が見られた。
 血性の下痢から血漿交換開始までの時間と、LDH濃度減少は
 逆相関していた(p=0.02)。同様のパターンは、血小板数でもみられた。
 血漿交換開始後から中央値7日目(5-8日)で神経学的所見正常が確認された。

結論:
 成人における下痢関連溶血性尿毒素症候群において早期の血漿交換は
 効果的かもしれない。ただし、ランダム化比較試験が必要になるだろう。

by otowelt | 2011-08-29 05:14 | 感染症全般

アジスロマイシン1年間内服によりCOPD急性増悪のリスクが減少

呼吸器内科必読。
当然ながらこの論文のディスカッションでは、耐性菌の話も書いている。

Azithromycin for Prevention of Exacerbations of COPD
N Engl J Med 2011;365:689-98.


背景:
 COPD患者における急性増悪は悪影響を及ぼす。マクロライド系抗菌薬は
 いろいろな炎症性気道疾患がある患者に利益があるとされている。

方法:
 COPD増悪リスクは高いが、聴覚障害・安静時頻脈がなく
 補正QT間隔延長リスクもないCOPD患者を対象に
 アジスロマイシンによってCOPD増悪の頻度が低下するかどうか検討。

結果:
 スクリーニング1577例のうち1142例(72%)を1年にわたって
 標準治療に加えてアジスロマイシン250mg/日を投与する群(570 例)と
 プラセボを投与する群(572例)にランダムに割り付。
 1年間追跡を完了した患者の割合は、アジスロマイシン群89%、
 プラセボ群90%だった。初回のCOPD増悪までの期間の中央値は
 アジスロマイシン群で266日(95%CI 227~313)であり、
 プラセボ群では174日(95% CI 143~215)であった(P<0.001)。
 COPD増悪の頻度は、アジスロマイシン群で患者年あたり1.48回であった。
 また、プラセボ群では患者年あたり1.83回であり(P=0.01)、
 前者のCOPD急性増悪発生HR0.73(95% CI 0.63~0.84)(P<0.001)。
 St. George呼吸器質問票スコアの改善は、アジスロマイシン群のほうが
 プラセボ群よりも大きかった(低下平均 [±SD] 2.8±12.8 vs 0.6±11.4、
 P=0.004)、最小の有意差である4以上の低下がみられた患者は
 アジスロマイシン群で43%、プラセボ群で36%(P=0.03)。
 聴力低下はアジスロマイシン群で有意に多くみられた(25% 対 20%,P=0.04)。
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結論:
 安定したCOPD患者において、標準治療にアジスロマイシンを1年間
 毎日服用することで、COPD増悪の頻度が低下しQOLも改善した。
 少数の患者で聴力低下が生じた。
 この試験によって病原微生物の薬剤耐性様式が変化する可能性もある。

by otowelt | 2011-08-26 11:34 | 気管支喘息・COPD

発展途上国における小児市中肺炎の治療

個人的な勉強メモです。


発展途上国における小児市中肺炎の治療

World Health Organization. Pocket Book of Hospital Care for Children. Guidelines
for the Management of Common Illnesses with Limited Resources. WHO Press,
2005:72-81.


重症市中肺炎:
 ・ベンジルペニシリンIM or IV 最低でも3日間。
  小児の状態が改善すれば、経口アモキシシリンを合計5日となるよう
  投与する。
 ・小児の状態が改善しなければ、48時間以内あるいは悪化するまでに
  合併症精査と治療続行(高用量アモキシシリン・クラブラン酸±マクロライド)
  をおこなう。合併症がなさそうであれば、クロラムフェニコール
  75 mg/kg/day IM or IVにスイッチし、小児の状態が改善するまで続ける。
  それから経口にして合計10日間の治療となるようにする。

超重症市中肺炎:
 ・アンピシリンIM or IVにゲンタマイシンIM or IVを5日間併用する。
  もし改善がみられた場合、経口アモキシシリンにゲンタマイシンIMを
  さらに5日間併用する。
  代替療法として
   (a)クロラムフェニコールIM or IVを、小児の状態が改善するまで続け
    それから経口にして合計10日間の治療とする
   (b)セフトリアキソンIM or IV1日1回を10日間
 ・標準治療あるいは代替治療をおこなっても48時間後に改善がみられない場合
  ゲンタマイシンIM or IVとクロキサシリンあるいはディクロキサシリンあるいは
  フルクロキサシンあるいはオキサシリンIM or IVを併用する。
  改善がみられた場合クロキサシリン(あるいはディクロキサシリン)を
  合計3週間となるよう続ける。


Management of severe community-acquired pneumonia of children in developing and developed countries
Thorax 2011;66:815-822


○出生~生後3週間まで
・主たる病原菌
 Group B streptococci, Gram-negative enteric bacteria,
 Listeria monocytogenes, Staphylococcus aureus
・アンピシリンIVとゲンタマイシンIVあるいはセフロキシムIVあるいはセフォタキシムIVの
 併用(要領は出生齢と出生体重に基づく)を10日間

○生後4週間から3ヵ月
・主たる病原菌
 Streptococcus pneumoniae, Chlamydia trachomatis,
 Bordetella pertussis,Staphylococcus aureus
・熱がみられないのであれば、経口あるいは末梢静脈からのエリスロマイシンあるいは
 経口あるいは末梢静脈からのクラリスロマイシンを10~14日間
 もしくは経口アジスロマイシン3~5日間。
 熱が見られる場合は、セフロキシムIVあるいはセフォタキシムIVあるいは
 セフトリアキソンIVを熱がみられなくなるまで続ける。その後経口の
 セフロキシムかアモキシシリン・クラブラン酸に移行し、合計10~14日間
 となるようにする。

○出生4ヶ月から18歳まで
・主たる病原菌
 Streptococcus pneumoniae, Mycoplasma pneumoniae,
 Haemophilus influenzae
・セフロキシムIVあるいはセフォタキシムIVあるいはセフトリアキソンIVを
 熱がみられなくなるまで続ける。その後、経口セフロキシムあるいは
 アモキシシリン・クラブラン酸に移行し、合計10~14日間となるようにする。
 経口あるいは末梢静脈のエリスロマイシン、クラリスロマイシン10~14日間
 もしくはアジスロマイシン3~5日間を組み合わせてもよい。

by otowelt | 2011-08-23 05:50 | 感染症全般

胸郭外悪性腫瘍におけるEBUS-TBNAの有用性

NPVが低いのは、スタディ特性上やむを得ないのか?

Endobronchial Ultrasound-Guided Transbronchial Needle Aspiration for the Diagnosis of Intrathoracic Lymphadenopathy in Patients with Extrathoracic Malignancy: A Multicenter Study
Journal of Thoracic Oncology: September 2011 - Volume 6 - Issue 9 - pp 1505-1509


概要:
 胸郭外悪性腫瘍患者における縦隔リンパ節腫大は、臨床現場ではよく
 みられる。胸郭内のリンパ節は、侵襲的に縦隔鏡や内視鏡的エコーガイド下
 針生検で採取されることがある。肺癌やサルコイドーシスの診断において
 EBUS-TBNAは、縦隔鏡と同等とされている。胸郭外悪性腫瘍における
 EBUS-TBNAの評価をおこなった。
 胸郭外悪性腫瘍があり胸郭内リンパ節腫大がみられている
 連続した患者において、EBUS-TBNAを施行。
 5つのイギリスにおける施設において3年間の期間施行された。
 感度、悪性腫瘍に対するNPV、EBUS-TBNAの精度(正診率)は
 それぞれ87%, 73%, 88%であった。

by otowelt | 2011-08-22 08:34 | 肺癌・その他腫瘍

ALK陽性患者においてペメトレキセドは効果的

ALKとアリムタの話。

Anaplastic Lymphoma Kinase Translocation: A Predictive Biomarker of Pemetrexed in Patients with Non-small Cell Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: September 2011 - Volume 6 - Issue 9 - pp 1474-1480


背景:
 このスタディは、ALK陽性とALK陰性の非小細胞肺癌患者において
 ペメトレキセドの効果を比較したものである。

方法:
 セカンドラインとしてペメトレキセドを受けた進行NSCLCの患者
 (2007年3月~2010年4月)において、EGFRおよびALKのスクリーニングを
 ソウル大学病院で施行した。臨床的あるいはin vitroのペメトレキセドの効果
 についてそれぞれの遺伝子型グループにおいて評価された。

結果:
 95人のNSCLC患者における遺伝子型は以下の通りであった。
 43 (45%) EGFR mutation、15 (16%) ALK translocation,
 37 (39%) 野生型。全奏効率(ORR)は、ALK陽性患者ではEGFR陽性あるいは
 野生型の患者よりも高かった(46.7 vs 4.7 vs 16.2%, p = 0.001)。
 ALK陽性患者は、TTPも長かった(9.2 vs 1.4 vs 2.9 months, p = 0.001)。
 ALK陽性は有意にORR(HR0.07,95%CI:0.01–0.32; p = 0.001)と
 TTP(HR 0.44, 95% CI: 0.24–0.80; p=0.007)と関連する予測因子である。
 ALK陽性は治療ラインにかかわらず独立して有意な予測因子であった
 (HR 0.43, 95% CI: 0.24–0.77; p = 0.005)。
 ALK陽性細胞におけるthymidylate synthase mRNA レベルは
 コントロールに比べると有意に低かった(p < 0.05)。

結論:
 ペメトレキセドは、ALK陽性のNSCLCに対して効果的な治療法である。
 ALK陽性は、NSCLC患者へのペメトレキセドの効果における独立予測因子である。

by otowelt | 2011-08-22 06:50 | 肺癌・その他腫瘍

イギリスにおけるMRSAユニバーサルスクリーニングは妥当か

Review of a three-year meticillin-resistant Staphylococcus aureus screening programme
Journal of Hospital Infection Volume 78, Issue 2, June 2011, Pages 81-85


 Newcastle upon Tyne Hospitals NHS Foundation Trust(NuTH)
 は2006年に、MRSAの保菌および感染を最小限に抑えるために
 seek and destroy;S&Dプログラムを開始した。
 これを段階的に導入し、2008年9月までに全診療科を計画に入れた。
 これはイギリス保健省による全患者のスクリーニングの義務化より
 以前のプログラムである。

 NuTH はchromogenic culture methodによれば、
 1ヵ月あたり約15000例の鼻、咽喉、陰部の
 スクリーニングを行った。結果、MRSA陽性率は平均2.4%だった。
 微生物・感染管理サービスを週7日体制で提供し、除菌療法までに
 要する時間を24時間未満とした。168073にのぼる試料解析結果から、
 MRSAの検出率を向上させるためには、3 か所スクリーニング部位の
 全部を対象とする必要があることがわかった。

 典型的な1ヵ月間のデータのレビューから、MRSA保菌者であることが
 同定できなかったであろう患者数は、イギリス保健省の
 ユニバーサルスクリーニングとの比較で、日帰り入院の7例のみ。
 これらの患者を追加的に検出するために要する検査費用の総額は
 1ヵ月で20000ポンドであり、そののちに発生するMRSA陰性患者は
 4200例だった。

 リスクに基づくスクリーニング方策は、イギリスで求められている
 ユニバーサルプログラムよりも実用的かつ費用対効果が高いのではないか。

by otowelt | 2011-08-21 17:16 | 感染症全般

術後の発熱と無気肺に関連性はない

1988年のスタディのみが有意差があるもので、
それ以外は有意差がもともとないため、forest plotを
しても95%CIは1.0に乗ってしまうのは当たり前かもしれない。

Atelectasis as a Cause of Postoperative Fever. Where Is the Clinical Evidence?
CHEST 2011; 140(2):418–424


背景:
 無気肺は、術後早期における発熱の原因と考えられているが
 エビデンスについては議論の余地がある。
 われわれは、無気肺が術後の発熱に関与しているかどうかを調べた。

方法:
 PubMed、Scopusデータベースにおいて
 システマティックな検索を施行。
 無気肺と発熱の関連についてのスタディを同定した。

結果:
 8のスタディで998人の外科手術をうけた患者を解析に組み込んだ。
 1のスタディのみが有意に術後無気肺と発熱を関連づけていたが、
 他のスタディは関連性がないものとしていた。
 forest plotで有意はなく、OR, 1.40; 95% CI, 0.92-2.12。
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結論:
 術後無気肺が発熱の原因となることは臨床的なエビデンスとして
 明確ではないことがわかった。

by otowelt | 2011-08-17 04:33 | 呼吸器その他

肥満はインフルエンザシーズンにおける呼吸器疾患による入院のリスク

10年以上におよぶ、インフルエンザの大規模コホート試験。

Obesity and Respiratory Hospitalizations During Influenza Seasons in Ontario, Canada: A Cohort Study
Clinical Infectious Diseases 2011;53(5):413–421


背景:
 以前のスタディでは、肥満はインフルエンザA(H1N1)感染における
 合併症のリスク因子であると示唆されている。
 われわれは、肥満と呼吸器病院への入院との関連性について
 季節性インフルエンザ流行期に調査をおこない、
 個々において、確立された重篤なリスク因子を除いて
 このリスクに対する関連性があるかどうか調べた。

方法:
 12インフルエンザシーズン(1996 –1997 から2007–2008)における
 大規模コホート試験において82545人(18歳ー64歳)を登録した。
 (カナダ、オンタリオ州)
 18歳から64歳までのサーベイランスを受けた成人で、
 ロジスティック回帰分析をおこない、自己申告BMIと選択された呼吸器疾患
 による入院との関連性を調べた。
 (肺炎、インフルエンザ、ARDS、慢性肺疾患:ICD-10コードで検索)

結果:
 肥満のclass I (BMI, 30–34.9) (OR, 1.45 [95% CI, 1.03–2.05])、
 class II or III (BMI≧35)(OR, 2.12 [95% CI, 1.45–3.10])は
 インフルエンザ期における呼吸器病院への入院のリスクであった。
 肥満class II or IIIにおいて、過去に同定されたリスク因子をのぞく
 個々の患者においても同様のリスクが認められた
 (OR, 5.10 [95% CI, 2.53–10.24])。これはリスク因子が1つあった場合も
 同様であった(OR, 2.11 [95% CI, 1.10–4.06])。
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結論:
 他の慢性リスク因子がない重度の肥満の成人において、
 インフルエンザシーズンは呼吸器病院への入院リスクを増加させる。
 この群において、ワクチン、抗ウイルス療法などインフルエンザ対策の
 優先度を考慮する必要があるだろう。

by otowelt | 2011-08-16 10:45 | 感染症全般