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COPDのFEV1変化率は、喫煙者や気管支拡張薬の可逆性がその影響を強くする

FEV1低下率に着目したスタディ。

Jørgen Vestbo, et al. Changes in Forced Expiratory Volume in 1 Second over Time in COPD
N Engl J Med 2011;365:1184-92.


背景:
 COPDの主たる特徴は、FEV1低下率が速いことだが
 疾患が確立してしまった患者におけるFEV1変化のばらつきや
 COPD決定因子のデータは少ない。

方法:
 COPD2163人の気管支拡張薬投与後のFEV1変化を3年にわたり解析。
 ランダム係数モデルを用い、FEV1値とその経時的変化の双方を
 予測することができると思われる因子を評価。

結果:
 FEV1変化率は平均(±SE)で33±2mL/年低下した。
 患者間で有意なばらつきがみられた。低下率の患者間標準偏差は
 59 mL/年。3年の期間で、全体の38%でFEV1は40 mL/年を
 超えて低下したと考えられ、31%では 21~40 mL/年低下、
 23%では20 mL/年低下~20 mL/年上昇の範囲におさまり
 8%では20 mL/年を超えて上昇。平均FEV1低下率は、現喫煙者では
 現非喫煙者よりも21±4 mL/年高く、COPD患者では非COPD患者より
 13±4 mL/年大きく、気管支拡張薬可逆性がある患者では
 そうでない患者よりも17±4 mL/年大きかった。

結論:
 COPDのFEV1変化率にはばらつきがかなりあり、現喫煙者や
 気管支拡張薬可逆性がある患者では低下率が高くなってしまう。

by otowelt | 2011-09-29 15:24 | 気管支喘息・COPD

カフェイン消費量の増大は、うつ発症リスクの減少と関連

Michel Lucas, et al. Coffee, Caffeine, and Risk of Depression Among Women
Arch Intern Med. 2011;171(17):1571-1578


背景:
 カフェインは世界的に中枢神経刺激をもたらす消費物であり
 およそ80%がコーヒーとして摂取されている。しかしながら、
 コーヒーあるいはカフェイン消費がうつのリスクと関連しているか
 どうかのプロスペクティブな解析はなされていない。

方法:
 合計50739人のイギリス人女性(平均63歳)でうつ症状がないものを
 ベースラインに組み込み(1996年)、2006年6月1日までフォローアップした。
 カフェインの消費量についてはアンケートを用いて1980年5月1日から
 2004年4月1日まで聴取。うつは自己申告での症状による
 医師診断と抗うつ薬の使用によって定義した。Cox比例ハザード回帰モデル
 を用いた解析をおこなった。

結果:
 10年フォローアップ期間中、2607の”うつ”が発生した。
 1日1カップ以下のカフェイン入りコーヒー飲料比較して、一日2-3カップで
 ハザード比0.85(95%CI 0.75-0.95) 、4カップ以上で
 0.80(0.64-0.99; P for trend <.001)であった。
 多変量相対リスクは、5カフェイン量比較において、最大と最小の比較では
 HR0.80(95%CI, 0.68-0.95; P for trend = .02)であった。
 カフェインのないしコーヒーではうつリスクとは関連しなかった。

結論:
 カフェイン消費量の増大は、うつ発症リスクの減少と関連する。

by otowelt | 2011-09-28 17:05 | 内科一般

院内設備の清掃は誰がおこなうべきか?

R.E. Anderson, et al. Cleanliness audit of clinical surfaces and equipment: who cleans what?
Journal of Hospital Infection Volume 78, Issue 3, 2011, Pages 178-181


背景:
 現ガイドラインは、病院の設備の定期的な清掃を推奨している。
 外科部門における物品について、使用者、手指の接触頻度、
 清掃責任者、有機物質汚染レベルを観察。設備の清浄度について
 Hygiena® ATP システムを用いて3回ずつ測定し、
 100相対発光量(RLU)をbenchmarkとして評価。
 
方法:
 評価対象は44種類で、うち21は臨床補助員、
 5はハウスキーピング担当者、3は看護師、3は医師が清掃を行った。
 12は清掃責任者の指定がなかった。

結果:
 ハンドジェル容器、ベッドのコントローラ、血圧計のカフ、診療録など
 小型のものの100cm2あたりRLU幾何平均は60~550で、心電図、
 除細動器、救急カート、テーブルなどの大型のものでも80~540と同等。
 全表面における100cm2あたりRLU幾何平均は249、84%の物品
 (44中37)がbenchmark100 RLU を超えていた。
 医療従事者が清掃した89%と、清掃責任者が指定されていなかった92%
 がbenchmarkに到達しなかった。
 ハウスキーピング担当者が清掃した表面の平均 log10 RLU は、
 臨床補助員が清掃した表面と比較して64%低かった(95%CI35%~80%、
 P = 0.019)。

結論:
 清掃責任者を指定しつつ職員に対する教育を実施するとともに、
 臨床設備の清掃方法の評価を行う必要がある。

by otowelt | 2011-09-27 06:41 | 感染症全般

縦隔内リンパ節腫大に対する結核診断にEBUS-TBNAは有用

Neal Navani, et al. Utility of endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration in patients with tuberculous intrathoracic lymphadenopathy: a multicentre study
Thorax 2011;66:889-893


背景:
 EBUS-TBNA:Endobronchial ultrasound-guided
 transbronchial needle aspirationは、肺癌診断において重要な
 ツールになったが、結核の縦隔内リンパ節診断の役割は
 確立されていない。このスタディの目的は、EBUS-TBNAを結核による
 縦隔リンパ節腫大の診断に有用かどうかを調べたものである。

方法:
 156人の連続した患者で結核による縦隔内リンパ節腫脹がみられる
 ものをスタディに登録し、4施設で2年以上にわたり調査した。
 最低でも6ヵ月の抗結核治療後フォローアップがあり、診断が確定されており
 臨床的・放射線学的反応がみられたものをスタディに登録している。
 全患者は、CTをEBUS-TBNA前に施行している。

結果:
 EBUS-TBNAは、146人の患者においてTB診断ができた
 (94%; 95% CI 88% to 97%)。病理学的所見は 
 134人(86%)で結核に合致していた。微生物学的な所見としては
 74人(47%)の患者で結核培養陽性であり、陽性までの中央日数は
 16日であった(range 3-84)。8人が薬剤耐性であった(5%)。
 10人(6%)は、EBUSにおいて特異的な診断所見が得られず
 4人は縦隔鏡を施行し、結核と診断された。6人は、経験的に
 結核治療に踏み切って、反応がみられた。入院を要する合併症は
 1人にみられた。

結論:
 EBUS-TBNAは、縦隔リンパ節腫大のある結核の診断において
 安全かつ効果的な方法である。

by otowelt | 2011-09-26 09:42 | 抗酸菌感染症

特発性肺線維症に対するBIBF 1120 の有用性

呼吸器内科医の間では有名な話である。

L. Richeldi, et al. Efficacy of a Tyrosine Kinase Inhibitor in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
N Engl J Med 2011; 365 : 1079 - 87


背景:
 特発性肺線維症は死亡率の高い進行性肺疾患である。
 複数のチロシンキナーゼ受容体によって活性化される
 シグナル伝達経路と肺線維症の関連があり、この受容体の
 阻害によって特発性肺線維症の進行を遅らせることが
 できるかもしれない。

方法:
 12ヶ月におよぶの第2相試験において、特発性肺線維症患者
 にチロシンキナーゼ阻害薬であるBIBF1120の4通りの用量の
 経口投与をプラセボと比較し有効性と安全性を評価した。
 プライマリエンドポイントは、努力肺活量(FVC)の年間低下率。
 セカンダリエンドポイントは、急性増悪、QOL(SGRQ評価)、
 全肺気量など。

結果:
 合計432例を、BIBF1120の4通りの用量
 1.50 mg 1日1回
 2.50 mg 1日2回
 3.100 mg 1日2回
 4.150 mg 1日2回
 のいずれかを投与する群と、プラセボを投与する群に
 ランダムに割り付け。FVC低下率は、BIBF1120を
 150 mg 1日2回群で0.06 L/年であったのに対して
 プラセボ群では 0.19 L/年であり、BIBF 1120 により
 68.4%抑制された。急性増悪発生率も、150 mg 1日2回群で
 プラセボ群よりも低下した(P=0.02)。
 SGRQ スコアは、150 mg 1日2回群でわずかに低下したが
 プラセボ群では上昇(-0.66 vs 5.46,P=0.007)。
 150 mg 1日2回群では、消化器症状、
 肝アミノトランスフェラーゼ上昇の頻度が高かった。

結論:
 特発性肺線維症に対するBIBF 1120 150mg 1日2回投与は
 プラセボと比較して肺機能低下が抑制される傾向にあり、
 急性増悪は減少し、またQOLは保たれた。

by otowelt | 2011-09-23 20:23 | びまん性肺疾患

ステロイド抵抗性喘息にlebrikizumabは有用

ペリオスチンというのは、IL-13により
誘導されるタンパクで、細胞外マトリクス構成タンパクの一つ。

J. Corren, et al. Lebrikizumab Treatment in Adults with Asthma
N Engl J Med 2011; 365 : 1088 - 98.


背景:
 喘息患者は、吸入グルココルチコイドによる治療によっても
 コントロール不良であることがしばしばある。治療効果の違う
 原因の一つとして、喘息の臨床表現型におけるIL-13
 発現の役割の不均一性であると思われる。
 われわれは、IL-13 活性がある喘息患者に
 抗IL-13療法が有効であるという仮説を検証した。

方法:
 吸入グルココルチコイド療法をしているにもかかわらず
 コントロール不良の喘息がある成人患者219人を対象に
 IL-13 に対するモノクローナル抗体であるlebrikizumabの
 ランダム化二重盲検プラセボ対照研究おこなった。
 プライマリエンドポイントは、ベースラインから
 12週までの気管支拡張薬投与前のFEV1の相対的な変化。
 セカンダリエンドポイントは、24週までの喘息発作率など。
 患者サブグループを、ベースラインの2型Th2の状態と
 血清ペリオスチン濃度によって規定。

結果:
 ベースライン平均FEV1は、予測値の65%で、
 吸入グルココルチコイドの平均用量は580μg/日だった。
 80%は長時間作用性β刺激薬も使用していた。
 12週の時点で、FEV1増加平均は介入群のほうがプラセボ群より
 5.5%ポイント高かった(P=0.02)。ペリオスチン濃度高値の
 サブグループでは、ベースラインからのFEV1増加は
 介入群のほうがプラセボ群より8.2%ポイント高かった
 (P=0.03)。ペリオスチン濃度低値のサブグループでは
 ベースラインからのFEV1増加は、介入群のほうがプラセボ群より
 1.6%ポイント高かった(P=0.61)。筋骨格系の副作用頻度は、
 介入群のほうがプラセボ群より高かった(13.2% vs 5.4%,P=0.045)。
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結論:
 喘息において、lebrikizumabは肺機能の改善と関連する。
 治療前の血清ペリオスチン高値例では、低値例と比較して
 lebrikizumabによる肺機能の改善が大きかった。

by otowelt | 2011-09-23 19:24 | 気管支喘息・COPD

EGFR遺伝子変異陽性腫瘍はin vitroでドセタキセルの効果が薄い可能性

Epidermal Growth Factor Receptor Mutations Are Associated with Docetaxel Sensitivity in Lung Cancer
Journal of Thoracic Oncology: October 2011 - Volume 6 - Issue 10 - pp 1658-1662


背景:
 近年の肺癌におけるランダム化比較試験によって
 EGFR遺伝子変異陽性患者の予後は、
 EGFR-TKIであるゲフィチニブにより
 殺細胞性抗癌剤に比べ改善してきた。
 EGFR遺伝子変異陽性の肺癌は、EGFR-TKIの感受性が高いが、
 過去の試験において、EGFR遺伝子変異は殺細胞性抗癌剤の
 効果についても予測できるかもしれないと示唆されている。

方法:
 46の腫瘍組織(32:腺癌、14:非腺癌)が肺癌患者から外科的に採取された。
 EGFR遺伝子変異がPCRインベーダーアッセイによって同定された。
 in vitroにおいて薬剤感受性テストを実施した。
 シスプラチン、ドセタキセル、ビノレルビン、ゲムシタビンによる阻害率を測定。

結果:
 14患者の検体(全て腺癌)においてEGFR遺伝子変異が同定された。
 EGFR陽性腫瘍におけるシスプラチンの阻害率(group M)は、
 34.8 ± 15.5%であり、野生型よりもひくかった(p = 0.0153)
 (group W; 46.6 ± 14.0%)。ドセタキセルの阻害率は
 group M (18.8 ± 13.4%) であり、これも野生型よりも低かった
  (p = 0.0051)(35.4 ± 19.1%)。ゲムシタビンとビノレルビンについては
 両型において差はみられなかった。

結論:
 in vitroにおいてEGFR遺伝子変異陽性の肺癌患者は、EGFR野生型の腫瘍に
 比べてドセタキセルの感受性が低いと考えられる。

by otowelt | 2011-09-21 15:04 | 肺癌・その他腫瘍

パラコート中毒による肺線維症をアンブロキソールが軽減できる可能性がある

農薬を飲んで救急車で搬送され、その時は助かってよかったと
一瞬頭をよぎったとしても、のちに到来する重篤な肺傷害を
止められずに絶命することが多いのが、パラコート中毒である。
農薬を飲んだあと、緑色の嘔吐を繰り返すので
診断は比較的容易である。

Protective Effect of Ambroxol against Paraquat-induced Pulmonary Fibrosis in Rats
Intern Med 50: 1879-1887, 2011


目的:
 パラコートによる肺線維症に対してアンブロキソールによる
 治療的効果を評価する。

方法:
 オスの成人Sprague-Dawleyラット(n =144, 200-250 g)を
 4群(Control,Ambroxol, Paraquat, and Paraquat+Ambroxol group)
 に分けて、day 1, 3, 5, 7, 14, 28に生体解析した。
 ストレスマーカーであるMDA, SOD,GSH-PXやMPO活性、サイトカイン
 (TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2, TIMP-1)、炎症細胞数、
 ヒドロキシプロリン含有量、コラーゲンI・III mRNAが解析された。

結果:
 パラコート群において、MDA, MPO活性、ヒドロキシプロリン含有、
 TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2, TIMP-1, collagen I, collagen IIIの
 mRNA発現、総炎症細胞数は肺組織においてup-regulateされていた。
 しかし、SOD・GSH-PX活性はコントロールに比べて
 down-regulateしていた(p<0.05)。パラコート+アンブロキソール群では
 MDA, MPO活性、ヒドロキシプロリン含有、TNF-α, MCP-1, TGF-β1, MMP-2,
 TIMP-1 collagen I, collagen III のmRNA発現、炎症細胞数は
 有意に減少していた。一方、SOD・GSH-PX活性は肺組織において
 パラコート群では増加していた(p<0.05)。
 アンブロキソルは、肺線維症を防ぎ肺組織ダメージを軽減するかもしれない。

結論:
 このスタディにおいて、アンブロキソールは肺組織ダメージを軽減し、
 パラコートによる肺線維症を予防することができるかもしれないと考えられる。

by otowelt | 2011-09-21 05:34 | 呼吸器その他

ペニシリン、セフェムアレルギー:メモ

1.第7位側鎖が類似するペニシリン系抗菌くすりとセフェム系抗菌薬
・ペニシリンGと類似
  セファロチン
・アモキシシリン、アンピシリンと類似
  セファクロル(ケフラール)
  セファレキシン(ケフレックス)
  セファドロキシル(ドルセファン、サマセフ)
  セファトリジン(セフラコール)

2.第7位側鎖が類似するセフェム系抗菌薬
 セフォタキシム(セフォタックス)
 セフチゾキシム(エポセリン)
 セフトリアキソン(ロセフィン)
 セフポドキシム(バナン)
 セフピロム(ケイテン)
 セフェピム(マキシピーム)
 セフテラム(トミロン)

3.第3位側鎖が類似するセフェム系抗菌薬
 セファレキシン(ケフレックス)-セファドロキシル(ドルセファン、サマセフ)
 セフタジジム(モダシン)-セフスロジン
  ※セフタジジムアレルギーではアズトレオナムは使用できない
 セフメタゾール(セフメタゾン)-セフォペラゾン(スルペラゾン)
 セフジニル(セフゾン)-セフィキシム(セフスパン)
 セフチブテン(セフテム)-セフチゾキシム(エポセリン)

by otowelt | 2011-09-18 14:24 | 感染症全般

エアロゾル化ブドウ球菌の伝播の可能性

Aerosol survival of Staphylococcus epidermidis
Journal of Hospital Infection
Volume 78, Issue 3, 2011, Pages 216-220


背景:
 近年の研究から、エアロゾルの拡散はMRSA伝播に
 関与している可能性があるが、エアロゾル中のブドウ球菌の
 生存が可能かどうかを検証した文献は少ない。

方法:
 黄色ブドウ球菌のかわりにエアロゾル中の
 Staphylococcus epidermidisの生存率を計測し、
 生存に対する相対湿度の影響を検討。
 Goldberg drumを用いて、相対湿度が <20%、
 40%~60%、70%~80%、>90%の場合の生存を評価。
 S. epidermidis回収率とエアロゾル中で安定な
 Bacillus atrophaeus芽胞回収率の比を用いて、S.epidermidis
 の経時的な分解率を推計し、エアロゾル希釈/物理的崩壊の影響を補正。
 
結果:
 全相対湿度において、300分後には初回の放出エアロゾルの
 13%(95%CI10.1%~16.2%)が回収された。
 平均生存率比(%S. epidermidis/%B. atrophaeus)は
 47%(95%CI 33.5%~60.5%)だった。
 
結論:
 各湿度における平均生存率比の95%CIが一部分重複して
 いることから、湿度はエアロゾル中のS. epidermidis生存に
 対してあまり影響を与えないかもしれない。
 S. epidermidisは76%湿度で5日後にも回収される可能性がある。
 エアロゾル中でのS. epidermidisが生存することがわかり、
 すなわち院内でのブドウ球菌のエアロゾル伝播が示唆される。

by otowelt | 2011-09-17 20:41 | 感染症全般