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WDNETsにおけるProGRPの有用性

C. M. Korse, et al.
An elevated progastrin-releasing peptide level in patients with well-differentiated neuroendocrine tumours indicates a primary tumour in the lung and predicts a shorter survival
Ann Oncol (2011) 22 (12): 2625-2630.


背景:
 ProGRPは、小細胞肺癌に対するバイオマーカーとして近年
 同定されたものである。高分化の神経内分泌腫瘍(WDNETs)において
 このスタディはProGRPと腫瘍性格の関連性、予後についてのProGRPと
  chromogranin A (CgA)の比較などをおこなった。

患者および方法:
 血清サンプルをWDNET患者282人から採取。
 ROCカーブによって、原発腫瘍部位を同定するための感度・特異度を求めた。
 Cox比例ハザードモデルとKaplan–Meierカーブによって
 患者の特徴と腫瘍マーカーデータを生存の観点から解析。

結果:
 ProGRPでは、ROCカーブからカットオフ値90 ng/lで
 特異度99%、感度43%で他の部位と肺原発腫瘍との鑑別ができた。
 多変量Coxモデルでは、ProGRPとCgAの双方ともが
 生存と強く関連していた(P < 0.0001 for both variables)。
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結論:
 高いProGRP値がWDNET患者でみられた場合、肺原発であることが
 示唆される。神経内分泌腫瘍において、ProGRP、CgAともに
 予後と治療モニタリングに有用な補足的腫瘍マーカーである。

by otowelt | 2011-11-30 12:15 | 肺癌・その他腫瘍

免疫不全者の呼吸器感染症

最近刊行されたこの本、結構クオリティが高い。
呼吸器内科医と感染症科医は必読。
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by otowelt | 2011-11-30 07:51 | 感染症全般

イレッサ承認事項一部変更承認取得

イレッサ錠250mg(アストラゼネカ)の添付文書が
先日改訂された(2011年11月25日付)。
効能・効果が「EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌」
という内容に変わった。
副作用の部分にもIPASS試験の副作用について追記がなされている。

by otowelt | 2011-11-28 17:17 | 肺癌・その他腫瘍

制酸剤とCDIの関連性

CDIになったとき、再発予防のためには
PPIを中止すべきなのだろうか、といつも悩む。

Risk Factors Associated With Complications and Mortality in Patients With Clostridium difficile Infection
Clin Infect Dis. (2011) 53 (12): 1173-1178


背景:
 Clostridium difficile感染症(CDI)は、頻度・重症度ともに
 この10年間で増加している。調整可能な疾患重症度のリスクファクター
 を理解することは、臨床的に重要である。

方法:
 レトロスペクティブに485人の1歳から99歳までの患者をレビュー。
 (Naval Medical Center San Diego:2004年11月から2008年12月)
 われわれは、CDI合併症(巨大結腸症、外科手術、ICU滞在、死亡)と
 リスクファクターとの関連性を比較した。

結果:
 47人(9.8%)が1つ以上の合併症を有した。23人(4.7%)が死亡。
 われわれは、CDI合併症と以下のものの間に独立した相関性を同定した。
 制酸剤:OR, 2.4; 95%CI 1.2–4.79
 CDIによる入院:OR, 4.14; 95% CI, 2.17–7.92
 高齢:≥80 years; OR, 3.14; 95% CI, 1.46–6.73
 ステロイド使用:OR, 2.09; 95% CI, 1.01–4.35
 80歳以上の高齢(OR, 5.51; 95% CI, 2.25–13.49)と
 制酸剤(OR, 4.74; 95% CI, 1.57–14.37)は死亡リスクの増加と関連。

結論:
 制酸剤はCDI発症とその再発のリスクとなることを示唆している。

by otowelt | 2011-11-27 15:58 | 感染症全般

早期経腸栄養に経静脈栄養を追加しても臨床的なアウトカムは変わらない

早期経腸栄養が重要であることはすでにわかっているが、
経静脈栄養を追加することの利益について論じている。

Kutsogiannis, Jim , et al.
Early use of supplemental parenteral nutrition in critically ill patients: Results of an international multicenter observational study
Critical Care Medicine: December 2011 - Volume 39 - Issue 12 - pp 2691-2699


目的・デザイン:
 追加経静脈的栄養の効果を、早期経腸栄養単独と比較して
 栄養・臨床的アウトカムを評価する多施設共同観察研究。
 29ヶ国、226ICUから登録。

患者:
 ICUに72時間を超えて入室している成人の人工呼吸器装着患者で
 入院して48時間以内に早期栄養を開始された患者を対象とする。
 
介入:
 患者の特徴に関するテーダを収集し、日ごとの栄養評価を
 12日目まで記録。患者アウトカムは60日後まで記録された。

結果:
 早期に経腸栄養単独の群と、早期経腸栄養+早期経静脈栄養の群、
 早期経腸栄養+後期経静脈栄養(入院後48時間よりあと)の群を比較。
 栄養戦略の効果を決定するためにCox回帰分析がおこなわれた。
 2920人の患者がこのスタディに登録され2562人(87.7%)が
 早期経栄養群、188人(6.4%)が早期経静脈栄養群、170人(5.8%)が
 後期経静脈栄養群であった。カロリーとタンパクの適正度合いは
 早期経静脈栄養群で最もたかかった(81.2% and 80.1%)が、
 早期経腸栄養群で最も低かった(63.4% and 59.3%) (p < .0001)。
 60日死亡率は早期経腸栄養群27.8%、早期経静脈栄養群34.6%、
 後期経静脈栄養群35.3%であった(p = .02)。

結論:
 経静脈栄養を加えることによって、カロリーとタンパクの
 供給が改善するかもしれないが、臨床的な利益と関連はしていない。

by otowelt | 2011-11-23 21:59 | 集中治療

胸部外科手術を受けやすい病院への初診は非小細胞肺癌のOSの決定因子

詳しい概要は読んでいないが、観点が興味深い。
いくら先進国であろうと、診断がついた翌日に手術できるわけではないので
不可避な”手術の遅れ”というのは必ず発生する。
それを数値にしてくれるとさらに面白かったのだが・・・。

Anna L Rich, et al.
Inequalities in outcomes for non-small cell lung cancer: the influence of clinical characteristics and features of the local lung cancer service
Thorax 2011;66:1078-1084


イギリスにおいて、データサーバから、組織学的に
非小細胞肺癌(NSCLC)と診断された全患者を登録し解析した以下の結果。

34513人のNSCLCを登録した。
年齢、性別、PS、病期、Charlson Indexなどで調整したところ
患者が初診で胸部外科センターに行った場合、非胸部外科センターよりも
より外科手術を容易に受けやすいという結果であった
(調整OR 1.51, 95% CI 1.16 to 1.97)。
外科手術は最も強力なOSの決定因子であった(調整HR 0.41, 95% CI 0.39 to 0.44)。

by otowelt | 2011-11-21 14:19 | 肺癌・その他腫瘍

超音波気管支鏡にバーチャル気管支鏡を併用することで末梢肺病変の診断率が向上する

当然の結果だが、論文にすることは大事だ。

Takashi Ishida,et al.
Virtual bronchoscopic navigation combined with endobronchial ultrasound to diagnose small peripheral pulmonary lesions: a randomised trial
Thorax 2011;66:1072-1077


背景:
 超音波気管支鏡(EBUS)は、末梢肺病変に有用である。
 しかしながら、生検部位の同定ができても、気管支鏡を
 同部位へ到達させることができないこともある。
 バーチャル気管支鏡(VBN)は、気管支鏡をコンピュータ上で
 到達させることができるが、これを併用することの意味については
 まだわかっていない。

方法:
 プロスペクティブ多施設共同試験で、
 VBNによるEBUSを末梢肺病変において施行。
 199人の患者で直径が30mm以下の患者を登録した。
 患者を、VBNによるEBUS群(VBNA)と、非VBN群(NVBNA)に
 ランダムに割り付けた。

結果:
 診断は、VBNAのほうがNVBNAよりも高かった(80.4% vs 67.0%; p=0.032)。
 検査時間についても前者のほうが短かった(median (range), 24.0(8.7-47.0)
 vs 26.2 (11.6-58.6) min, p=0.016)。
 サンプル採取までの時間も同様に、8.1(2.8-39.2) vs 9.8 (2.3-42.3) min,
 p=0.045)であった。軽度の気胸が有害事象としてNVBNAでみられた。

結論:
 末梢の肺小病変は、EBUSにVBNを併用することにより診断率を上昇させることができる。

by otowelt | 2011-11-21 06:35 | 気管支鏡

市中発症あるいは高齢者のノロウイルスは死亡率が高い

ノロウイルスの季節。

L. Gustavsson, et al.
Excess mortality following community-onset norovirus enteritis in the elderly
Journal of Hospital Infection (2011) 79, 27-31


背景:
 ノロウイルスは死亡の増加をもたらす感染症である。
 ノロウイルス腸炎後の死亡率に関すてレトロスペクティブに
 研究をおこなった。

方法:
 スウェーデンSahlgrenska大学病院で2008年8月~2009年6月に
 PCR法で便からノロウイルスgenogroup II 陽性が確認され、
 その治療を受けたすべての成人入院患者を登録した。
 結果、n=598、年齢18~101 歳であった。
 コントロール群として腸炎症状のない成人1196人を登録した。
 ノロウイルスPCR陽性となった検体採取日から90日後までの死亡、
 合併疾患、入院期間を記録。30日・90日生存率を算出。

結果:
 30日死亡率は7.6%であり、18~59歳の若い年齢層においては
 死亡はなかった。60~101歳において、基礎疾患がある症例の
 30日死亡率は、合併疾患のない症例と比べ高かった
 (30 日生存率 89.5% vs 94.7%、P < 0.05)。
 80歳を超える年齢においては、市中発症ノロウイルス腸炎患者
 (64人)の死亡率は病院発症ノロウイルス腸炎患者(305人)よりも高く
 (30日生存率 81.2% vs 90.2%、P < 0.05)、コントロール群
 (128人)と比べても高かった(30 日生存率 81.2%vs 91.4%、
 P < 0.05)。

結論:
 入院が必要な市中発症ノロウイルス腸炎は、
 病院発症ノロウイルス腸炎あるいは高齢入院患者のコントロール群と
 比べて死亡率が高い。

by otowelt | 2011-11-19 21:31 | 感染症全般

切除不能進行胸腺癌に対するADOCは有効かつ忍容性が高い

胸腺癌の治療に抗癌剤の併用を用いることはしばしばあるが、
まれな疾患であるため、大規模な臨床試験がないのが現状である。

たとえば、以下のような治療法がある。

•シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファマイドに
 プレドニゾロンを併用/非併用というレジメン
Loehrer PJ Sr, et al. Cisplatin plus doxorubicin plus cyclophosphamide in metastatic or recurrent thymoma: final results of an intergroup trial. The Eastern Cooperative Oncology Group, Southwest Oncology Group, and Southeastern Cancer Study Group. J Clin Oncol 1994; 12:1164.
•シスプラチン、ドキソルビシン、サイクロホスファマイド、ビンクリスチン併用(ADOC)
・Berruti A, et al. Primary chemotherapy with adriamycin, cisplatin, vincristine and cyclophosphamide in locally advanced thymomas: a single institution experience. Br J Cancer 1999; 81:841.
・Fornasiero A, et al. Chemotherapy for invasive thymoma. A 13-year experience. Cancer 1991; 68:30.

•シスプラチンとエトポシドの併用
・Giaccone G, et al. Cisplatin and etoposide combination chemotherapy for locally advanced or metastatic thymoma. A phase II study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Lung Cancer Cooperative Group. J Clin Oncol 1996; 14:814.
•シスプラチン、エトポシド、イフォスファミド併用(VIP)
Loehrer PJ Sr, et al. Combined etoposide, ifosfamide, and cisplatin in the treatment of patients with advanced thymoma and thymic carcinoma: an intergroup trial. Cancer 2001; 91:2010.

今回のJTOからADOCの論文。

Agatsuma, Toshihiko, et al.
Combination Chemotherapy with Doxorubicin, Vincristine, Cyclophosphamide, and Platinum Compounds for Advanced Thymic Carcinoma
Journal of Thoracic Oncology: December 2011 - Volume 6 - Issue 12 - pp 2130-2134


背景:
 胸腺癌はまれな上皮性悪性腫瘍であり、進行や転移をきたしやすい。
 まれな疾患であるため、切除不可能な進行胸腺癌に対して
 適切な化学療法はまだ確立されていない。
 このスタディの目的は、ドキソルビシン、ビンクリスチン、サイクロホスファマイド、
 白金製剤の併用における効果と忍容性を調べたものである。

方法:
 レトロスペクティブに34人の切除不能胸腺癌患者を登録し、
 上記併用レジメンをおこなった(1996年~2010年)。29人の患者が
 シスプラチン(50 mg/m2)、ドキソルビシン(40 mg/m2):day 1、
 ビンクリスチン(0.6 mg/m2):day 3、
 サイクロホスファマイド(700 mg/m2) :day 4 のレジメンをおこない、
 5人の患者はカルボプラチンをシスプラチンの代替に使用した
 (AUC 3.0 minutes · mg/ml)。

結果:
 34人の患者の奏効率が解析された。
 抗癌剤投与サイクルの中央値は4であった。
 ORRとDSRはそれぞれ50.0%、88.2%であった。
 生存中央期間は21.3 months (95% CI, 15.0–37.2 months)で、
 1年ないし3年生存率はそれぞれ72.7% (95% CI, 56.8–88.6%) 、
 34.4% (95% CI, 16.2–52.6%)であった。もっともよくみられた有害事象は
 白血球/好中球減少であり、非血液毒性は軽度であった。

結論:
 切除不能進行胸腺癌に対する治療として
 ドキソルビシン、ビンクリスチン、サイクロホスファマイド、白金製剤の併用は
 効果的で忍容性もある。

by otowelt | 2011-11-18 06:58 | 肺癌・その他腫瘍

高齢者NSCLCのカルボプラチンとドセタキセルに対してレボフロキサシン予防は感染症発症を減少させる

この結果が是か非かは難しいところ。
感染症屋からすれば、ややネガティブな印象を受けるが
オンコロジストからみれば、有用な論文かもしれない。

Schuette, Wolfgang, et al.
Randomized Phase III Trial of Docetaxel Plus Carboplatin with or without Levofloxacin Prophylaxis in Elderly Patients with Advanced Non-small Cell Lung Cancer: The APRONTA Trial
Journal of Thoracic Oncology. 6(12):2090-2096, December 2011.


目的:
 進行期NSCLCの高齢者に対するカルボプラチンとドセタキセルの
 化学療法の間、レボフロキサシンによる予防が感染率に与える影響を調べる。

方法:
 ランダム化二重盲検第III相試験。
 65歳以上の未治療で、組織学的にIIIB/IV期のNSCLCと
 診断された患者に対してドセタキセル(75 mg/m2)とカルボプラチン
 (AUC 6)を3週間ごとに施行し、1日1回のレボフロキサシン(500 mg orally)
 ないしはプラセボをday5-11に服用する。プライマリエンドポイントは
 grade 3/4の感染あるいは他の追加抗菌薬治療を有するgrade 1/2の感染
 の頻度とした。セカンダリエンドポイントは全感染率、毒性、OS、PFSとした。

結果:
 合計187人の患者が登録され、レボフロキサシン(n = 95)あるいは
 プラセボ(n = 92)にランダムに割り付けられた。grade 3/4の感染の比率
 あるいは追加抗菌薬を要したgrade 1/2の感染の比率(ITT解析)は
 レボフロキサシン群27.5% (95% CI, 19.3–39.0%)、
 プラセボ群36.7% (95% CI, 27.1–48.0%)であった。
 最初の感染までの中央期間はレボフロキサシン群67日、プラセボ群46日。
 grade 3/4の感染はレボフロキサシン群で8.8%に起こり、
 プラセボ群の26.7%で起こった。1例のみgrade 5の感染が両群ともに
 認められた。grade 3以上の毒性として他のものは、
 白血球減少(レボフロキサシン群63.2 versus プラセボ群52.2%)、
 好中球減少(62.1 versus 51.1%), 呼吸困難(12.6 versus 8.7%),
 疼痛(10.5 versus 9.8%)であった。OSやPFSについて差はなかった。

結論:
 レボフロキサシンによる予防は、高齢者でカルボプラチンとドセタキセルを併用した
 患者に対して感染率をプラセボに比べて減少させる効果がある。

by otowelt | 2011-11-17 15:40 | 肺癌・その他腫瘍