<  2012年 01月   >この月の画像一覧

  • メタアナリシスにおけるバイアスの軽視
    [ 2012-01-31 16:19 ]
  • 妊婦へのSSRIと新生児肺高血圧症の関連性
    [ 2012-01-31 16:17 ]
  • IPFにおいて食道裂孔ヘルニアの合併は多い
    [ 2012-01-30 18:56 ]
  • アトバコン製造承認
    [ 2012-01-30 11:51 ]
  • NSCLCにおけるT790Mの頻度と臨床的影響
    [ 2012-01-29 11:51 ]
  • CATはCOPD急性増悪後ステータスや呼吸リハビリテーションの反応性に有用
    [ 2012-01-27 11:16 ]
  • ASVはCPAPと比較してCSA/CSRとBNPの改善をもたらす
    [ 2012-01-27 06:18 ]
  • ダビガトランは心筋梗塞、急性冠症候群のリスク
    [ 2012-01-26 06:23 ]
  • クリソタイル石綿労働者は癌死・呼吸器疾患死のリスク
    [ 2012-01-25 07:46 ]
  • ナウゼリンとプリンペランの違い:メモ
    [ 2012-01-23 14:42 ]

メタアナリシスにおけるバイアスの軽視

『結果がイマイチの臨床試験は出版されにくい』
簡単に言うと、こういう類のバイアスを出版バイアスという。
臨床試験屋が「negative study」と言及するのがこれだ。
negative studyは採択されにくい現状もあり、
これも重大な医学論文のバイアスの1つである。

出版バイアスを評価するとき、論文中ではfunnel plotを
用いることが多く、これは読者にも視覚的にもわかりやすい。
X軸にエフェクトサイズ、Y軸に標本の大きさ(分散の逆数)を
とることで、対称性であれば出版バイアスが少なく
非対称性であれば出版バイアスが大きいということを意味する。
上が対称性、下が非対称性。
臨床試験をやっている先生に聞いてみると、
回避できない出版バイアスがあると
「出版バイアスがあるメタテーマを選んだあなたが悪い」と
言われている気がするらしい。。。

BMJからメタアナリシスにおける出版バイアス、選択バイアスについて
興味深い論文が出ていたが、めんどくさくてずっと読んでいなかった。
読んでみたが、とにかく長い!
……途中ほとんどすっ飛ばしてしまったので、後日また読もうと思う。
メタアナリシスだからといって信頼できるものじゃないという
可能性を私たちは知っておく必要がある。

Ikhlaaq Ahmed, et al.
Assessment of publication bias, selection bias, and unavailable data in meta-analyses using individual participant data: a database survey
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d7762


目的:
 潜在的な出版バイアス、データ採用バイアス、レビュアー選択バイアス
 が近年出版されたメタアナリシスにおいて調査する。

デザイン:
 1991年から2009年3月までに出版されたメタアナリシス383のうち
 31の最も最近出版されたランダム化試験のメタアナリシスをサーベイした。

結果:
 31のメタアナリシスのうち9つのみが”grey literature(無出版研究)”を
 含んでおり、出版バイアスの可能性が記載・検討されたのは
 たった10(32%)のみであった。
 メタアナリシス16つ(52%)が個別の被験者データを入手できておらず、
 さらにこれらのうち5つ(31%)は、検討のlimitationにも触れてない。
 また、わずか6つ(38%)が個別データがない臨床試験が解析後の結論に
 どれだけ影響を与えるかについて言及しているだけであった。
 メタアナリシスレビュアー選択バイアスの9つ(29%)は問題があり、
 試験同定方法が記載されてない/故意選別的/非システマティックであった。

 以下のごとく、個々のメタアナリシスについてfunnel plotを提示して
 バッサリ切っている。(下図はDe LucaらのSTEMIに対する
 Gp IIb-IIIa阻害薬の早期投与に関するメタアナリシス)
De Luca G, et al.Early glycoprotein IIb-IIIa inhibitors in primary angioplasty (EGYPT) cooperation: an individual patient data meta-analysis. Heart 2008;94:1548-58
結論:
 メタアナリシスの出版バイアス等の各バイアスについて、
 レビュアーが調査、検討を怠っている。

by otowelt | 2012-01-31 16:19 | 内科一般

妊婦へのSSRIと新生児肺高血圧症の関連性

肺高血圧がらみで読んでみた。この論文の書き方だと、
フルボキサミンが妊婦に安心なのかとついつい思ってしまう。
オッズ比はそれなりの数字に見えるが、新生児肺高血圧自体が
極めて稀な事象であるため、何とも言えない。

Helle Kieler, et al.
Selective serotonin reuptake inhibitors during pregnancy and risk of persistent pulmonary hypertension in the newborn: population based cohort study from the five Nordic countries
BMJ 2012; 344 doi: 10.1136/bmj.d8012


目的:
 妊娠後期のSSRIの使用と新生児肺高血圧症(PPHN)の
 リスクを評価する。

方法:
・Population based cohort study(国民健康登録による)
・デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデンの
 国民健康登録から、1996~2007年において妊娠33週以降の
 単生児出産の母/小児1618255組の情報を収集した。
・プライマリ評価指標は、妊娠後期SSRI曝露と生後7日以内の
 新生児のPPHN診断の関係。
・交絡因子の補正候補として、母の喫煙、年齢、BMI、NSAIDs、
 糖尿病治療薬の使用、妊娠中の病歴、出産病院/国/年/順位。
 SSRIを曝露していない小児に対する曝露小児のORを算出した。

結果:
 およそ30000人が妊娠中にSSRIを使用しており、そのうち
 妊娠20週以降にSSRIを使用していた妊婦は11014人、
 妊娠初期にだけSSRIを使用していた妊婦は17053人であった。
 妊娠後期曝露群の11014人の新生児のうち、33人がPPHN。
 そのうち3人には胎便吸引が確認されている。ゆえに、
 SSRI曝露群のPPHNの絶対リスクは、新生児1000人あたり3人。
 またSSRI曝露がなかった妊婦は1588140人で、
 同様に曝露小児のPPHNの絶対リスクは1000人あたり1.2人。
 以上より、SSRIに曝露していない小児と比較した曝露小児の
 調整ORは2.1(95%CI 1.5-3.0)となった。
 それぞれのSSRIのPPHNリスクは同等であった。
 妊娠後期にフルオキセチン(プロザック)を使用した場合、小児の
 PPHNの調整ORは2.0(1.0-3.8)、シタロプラム(セレクサ)は
 2.3(1.2-4.1)、パロキセチン(パキシル)は2.8(1.2-6.7)、
 セルトラリン(ジェイゾロフト)は2.3(1.3-4.4)であった。
 エスシタロプラム(レクサプロ)は有意なリスク上昇はなかった
 (1.3、0.2-9.5)。フルボキサミン(デプロメール、ルボックス)では
 曝露後にPPHNと診断された小児はいなかった。

結論:
 妊婦へのSSRIが新生児肺高血圧症をもたらすリスクは低いが、
 妊娠後期の使用ではリスクが2倍を超える。
 リスク上昇はクラスエフェクトと考えられる。

by otowelt | 2012-01-31 16:17 | その他

IPFにおいて食道裂孔ヘルニアの合併は多い

食道裂孔ヘルニアとIPFの話題。
ヘルニアそのものが呼吸機能を悪化させるわけではないが、
他の閉塞性肺疾患に比べるとIPFでの合併頻度が高いという報告。

Imre Noth, et al.
Prevalence of hiatal hernia by blinded MDCT in patients with IPF
ERJ Feb 1 2012; 39 (2)


背景:
 食道裂孔ヘルニアHiatal hernia (HH)は、胃食道逆流(GER)、GERDを
 合併し、IPFに寄与するかもしれない。われわれは
 CTで評価されたHHが喘息やCOPDよりもIPFによくみられるという
 仮説をたてた。また、GERに関してはpHプローブテストの異常値と関連させた。
 
方法:
 観察研究、非ランダム化試験。
 HHの頻度は3コホートにより比較された。
 IPF (N=100), COPD (N=60)、喘息(N=24)。

結果:
 HHはCOPD (13.3%, p<0.0001) や喘息(16.67%,p<0.02)よりも
 IPFにおいて多くみられた(39%)。
 HHの観察者間診断一致はIPF (k 0.78)、喘息(k 0.70)、
 中等度COPD(k 0.42)であった。IPFにおいて、HHは
 GER治療を受けている患者を除いて呼吸機能との相関性はなかった。
 上記GER治療を受けている患者はDLCOも(p<0.04)CPIも(p<0.04)
 良好であった。HHはDeMeesterスコアからGERと相関があった(p<0.04)。

結論: 
 IPFにおいてHHは、COPDや喘息よりも高頻度にみられる。
 IPFコホートにおいてHHは高いDeMeesterスコアと関連していた。 
 HH単独の存在は呼吸機能の減少との関連性はなかった。 

by otowelt | 2012-01-30 18:56 | びまん性肺疾患

アトバコン製造承認

日経メディカルオンラインより有益な情報。
アトバコン(メプロン)に奔走する必要がなくなるのは嬉しい。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201201/523374.html

 2012年1月18日、ニューモシスチス肺炎治療薬のアトバコン(商品名サムチレール内用懸濁液15%)が製造承認を取得した。適応菌種は「ニューモシスチス・イロベチー」で、「ニューモシスチス肺炎とその発症抑制」が適応となる。治療目的では、食後に1回5mL(アトバコン750mg)を1日2回21日間、発症抑制の目的では1回10mL(アトバコン1500mg)を1日1回、どちらも食後に投与する。
 (中略)PCPの治療は、欧米においてはスルファメトキサゾール/トリメトプリム(ST合剤)が第一選択薬であり、第二選択薬としては、ペンタミジン(商品名ベナンバックス)が標準治療法として位置づけられている。しかし、HIV感染者にこれらを使用すると、半数以上に副作用が発症し投与継続困難になることが問題となっていた。
 今回、承認されたアトバコンは、ニューモシスチス・イロベチーのミトコンドリア電子伝達系を選択的に阻害することで、抗ニューモシスチス活性を示すユビキノン類似体である。すでに海外で発売されているこの薬剤は、これまでエイズ治療研究目的で個人輸入されてきたが、日本エイズ学会より「医療上の必要性が高い未承認の医薬品」として開発要請が出されていた。
 アトバコンの承認に当たっては、PCPの重篤性が考慮され、PCPを対象とした海外臨床研究で有用性が確認されていること、個人輸入などにより日本人に対する十分な使用実績があることなどを根拠に申請が行われており、日本人を対象とした臨床試験は実施されていない。厚生労働省は、PCP治療及び発症抑制において、アトバコンに既存の薬剤と同程度の有効性が認められること、既存薬に比べて高い忍容性が確認されたことを評価し、今回の承認に至っている。アトバコンは、2011年12月現在、世界20カ国以上で、PCPに対する標準的な治療及び発症抑制薬として承認されている。
 使用に際しては、対象が「副作用により第一選択薬(ST合剤)の使用が困難な場合」と限定されていることを十分把握しておかなければならない。また、海外での臨床試験において、アトバコンとの因果関係は不明なものを含めると、何らかの有害事象が68%に認められているので注意が必要である。主な有害事象は、悪心(24%)、発疹(22%)、下痢(21%)、頭痛(17%)、嘔吐・発熱(各14%)であり、重大な副作用としては、皮膚粘膜眼症候群、多形紅班、重度の肝機能障害などが認められている。

by otowelt | 2012-01-30 11:51 | 感染症全般

NSCLCにおけるT790Mの頻度と臨床的影響

JCOから、T790Mに関する論文が出ていた。


いわゆる第2世代EGFR-TKIとされている薬剤があるが、
これらはEGFR-TKI耐性を克服する目的もある。
HKI-272[neratinib], BIBW-2992 [afatinib], PF-0299804
などがその薬剤である。しかしながら、残念ながら臨床試験において
その効果は示されていない。EGFR-TKI耐性患者に効果があった
ものとして、afatinibにcetuximabを併用した場合、EGFR-TKI耐性例
で効果がみられたという報告がある。(しかしT790Mのサブセット解析はなし)
Janjigian YY, et al. Activity and tolerability of afatinib (BIBW 2992) and cetuximab in NSCLC patients with acquired resistance to erlotinib or gefitinib. J Clin Oncol 29:482s, 2011 (suppl; abstr 7525)




Kang-Yi Su, et al.
Pretreatment Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) T790M Mutation Predicts Shorter EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Response Duration in Patients With Non–Small-Cell Lung Cancer
JCO February 1, 2012 vol. 30 no. 4 433-440


目的:
 EGFR遺伝子変異があるNSCLC患者では、EGFR-TKIが効果を
 発揮するが、T790M変異においてはEGFR-TKIが耐性を持つ
 ことが知られている。このスタディにおいて、EGFR-TKI開始前に
 高感度の方法でT790Mを同定し、T790Mの頻度と臨床的アウトカムを
 調査した。

患者および方法:
 ダイレクトシークエンス、MALDI-TOF MSおよび次世代シークエンス(NGS)を
 T790M同定のために使用。以下の2コホートを設定。
 EGFR-TKI未投与例107人、投与例85人。結果は、EGFR-TKIの治療による
 奏効と生存をみた。

結果:
 MALDI-TOF MSは、EGFR活性化遺伝子変異やT790M同定に
 おいて高い感度であった(detection limits, 0.4% to 2.2%)。
 MALDI-TOF MSは、NSCLCにおいてEGFR-TKI未投与例において
 T790M同定をダイレクトシークエンスに比べて、より同定することができた
 (27/107 pts, 25.2% v 3/107 pts, 2.8%, respectively; P< .001)。
 EGFR-TKI治療例でも同様の結果
 (before TKI: 23/73 pts, 31.5% v 2/73 pts, 2.7%,
 respectively; P<.001; and after TKI: 10/12 pts, 83.3%
 v 4/12 pts, 33.3%, respectively; P=.0143)。
 EGFR遺伝子変異とその頻度をNGSにより同定。
 T790Mは、NSCLCでEGFR-TKIを受けた患者におけるPFS減少の
 独立予測因子であった(P=.05, 多変量Cox回帰分析)。

結論:
 T790Mは、NSCLC患者でEGFR活性化遺伝子変異を有していて
 EGFR-TKIの治療されている場合においても、その治療前後の
 いずれにおいても稀なものではない。治療前のT790MはPFSの減少に
 関連していた。

by otowelt | 2012-01-29 11:51 | 肺癌・その他腫瘍

CATはCOPD急性増悪後ステータスや呼吸リハビリテーションの反応性に有用

CATの存在は知っているが、皆さんは臨床で使用しているだろうか。
この筆頭著者はCATの論文を結構(というかほとんど)書いている。
グラクソ・スミスクラインが主に援助している。
・Jones PW, et al. Development and first validation of the COPD Assessment Test . Eur Respir J 2009; 34: 648-54.
・Jones PW. et al. Improving the process and outcome of care in COPD: development of a standardised assessment tool. Prim Care Resp J 2009; 18 (3): 208-15.




CHESTのpublished before printから、CATの新しい論文。

Paul W. Jones, et al.
Tests of the Responsiveness of the Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) Assessment TestTM (CAT) Following Acute Exacerbation and Pulmonary Rehabilitation
CHEST Published online before print January 26, 2012, doi: 10.1378/chest.11-0309


背景:
 COPDアセスメントテストTM(CAT)は
 8項目の質問によりCOPDの状態が患者の健康と日常生活に
 どの様な影響を与えているかを把握するためのツールである。

方法: 
 Study 1では、 COPD急性増悪の状況にある67人の患者の健康状態
 における反応性の変化を観察した(Days 1-14)。
 Study 2では、呼吸リハビリテーションを行っている64人の患者において
 反応性を観察した(Days 1-42)。CATとアウトカムの相関性を調べた。

結果:
 Study 1では、平均CATの14日目での改善は–1.4 units ± 5.3(p=0.03)
 であった。臨床医がこの患者は反応性ありと判断した場合では
 スコアは–2.6 ± 4.4で、非反応性と判断した場合–0.2 ± 5.9であった。

 Study 2では、CATの改善平均スコアは–2.2 ± 5.3 (p=0.002)。
 変化の効果量(effect size)は–0.33であった。
 the Chronic Respiratory Questionnaire–Self Administered
 Standardized form (CRQ-SAS) domain scoresの変化効果量は
 –0.02 to 0.34であった。6分間歩行距離の変化は41 ± 55 mだった。
 CATとCRQ-SAS domain scoresはベースラインにおいて相関性があり
 (r = –0.54 to –0.69, p < 0.0001)、呼吸リハビリテーション後の変化
 においても相関性がみられた(r = –0.39 to –0.63, p < 0.01)。

 相関性は、Study 1においてCATとSGRQ間での変化ではあまり強くなく
 Study 2においては6分間歩行距離において同様であった(r<0.11)。

結論:
 これらの試験によりCATは急性増悪後ステータスや呼吸リハビリテーションに
 おける反応性として感受性が高いものと考えられる。

by otowelt | 2012-01-27 11:16 | 気管支喘息・COPD

ASVはCPAPと比較してCSA/CSRとBNPの改善をもたらす

呼吸器内科医であれば、最近ASVを使うことも増えてきただろう。
実はこのASV、あまり大きな臨床試験がないのが現状。
Pepperell JC, et al. A randomized controlled trial of adaptive ventilation for Cheyne-Stokes breathing in heart failure. Am J Respir Crit Care Med. 2003;168(9):1109-14.

・ASV
ASVは従来のBiPAPと同様にIPAPとEPAPを設定でき、バックアップ換気の回数も設定することができる。その際にIPAP の最大と最小を設定し直前の呼吸フローから計算し供給圧を自動的に変動させる人工呼吸器である。




CHESTのpublished online before printに
ASVの試験が掲載されていた。

Winfried J. Randerath, et al.
Long-term auto servo-ventilation or constant positive pressure in heart failure and co-existing central with obstructive sleep apnea
Chest Published online before print January 26, 2012, doi: 10.1378/chest.11-2089


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と中枢性睡眠時無呼吸(CSA)、
 チェーンストークス呼吸(CSR)は心不全患者でよくみられる。
 持続的陽圧呼吸(CPAP)はCSA/CSRへの臨床的アウトカム改善効果
 がある。Auto Servo-Ventilation (ASV)の効果は
 心不全患者におけるCSA/CSRを抑制するとされているが、
 OSAとCSA/CSR合併例に対する試験はほとんどない。
 
目的:
 心不全患者で睡眠障害呼吸を合併した患者に対する
 ASVとCPAPの効果をランダム化対照試験によって
 呼吸障害を軽減し、心パラメータを改善するか調べる。

方法:
 両群ともBiPAP autoSV®, Respironics, USAを12ヶ月以上使用。
 70患者(男性63人、66.3±9.1歳, BMI 31.3±6.0 kg/m2)が
 OSAとCSA/CSRの合併、高血圧、冠動脈疾患ないし心筋症とNYHA II-IIIを
 有していた。ポリソムノグラフィ、BNP、スパイロメトリー、心エコーが
 ベースライン、3ヵ月後、12ヵ月後で検査された。

結果:
 どちらのモードの治療も有意に呼吸障害、酸素飽和度の低下、中途覚醒を
 改善した。CPAPと比較してASVはthe central AHIを有意に改善
 (ベースラインCPAP 21.8±11.7,ASV 23.1±13.2,
 12ヶ月CPAP 10.7±8.7, ASV 6.1±7.8, p<0.05)、また、BNPレベルも
 改善(ベースラインCPAP 686.7±978.7ng/ml, ASV 537.3±891.8,
 12ヶ月CPAP 847.3±1848.1, ASV 230.4±297.4, p<0.05)。
 運動耐容能と心エコーパラメータには両群とも差はみられなかった。

結論:
 ASVはCPAPと比較してCSA/CSRとBNPの改善をもたらす。

by otowelt | 2012-01-27 06:18 | 呼吸器その他

ダビガトランは心筋梗塞、急性冠症候群のリスク

Arch Intern Med のダビガトランのメタアナリシスを読んだ。
プラザキサについては、個人的にまだ答えが出ていない。

その前に、医学界新聞で素晴らしいコラムをお書きになっている
植田真一郎先生(琉球大学大学院教授)の文章を紹介させていただく。
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02928_07

 ワルファリンに対するダビガトランの優越性は、一見150mgで証明されているように見えます。しかしRELY試験では、ワルファリンの用量調節が必ずしも成功しているとは言えません。というのは、INRが治療域に達していた期間は64%に過ぎないからです。論文には記載されていませんが、FDAの資料では用量調節が適切なINR患者では、「脳卒中,全身性塞栓症,大出血のいずれのリスクもワルファリン群とダビガトラン150mg群では差がない」とされています。
 確かにITT解析で現実のワルファリン使用患者のアウトカムを評価するという意味ではINRが治療域にない患者は存在するわけですから、集団としてのアウトカムはダビガトラン150mgのほうが優れていると言えます。しかし、個々の患者を診療する立場になると、ワルファリンでうまくコントロールできている患者までダビガトランに変更しなければならないような優越性はなかったと言えるのではないでしょうか。
 INRの定期的なモニタリングと、それに応じた用量調節を必要としないことがダビガトランのメリットであると強調されていますが、それは集団の論理であり、個々の患者における治療ではむしろデメリットになることを、臨床医は忘れるべきではないと思います。















本題は、ダビガトランとMI、ACSとの関連性についてのメタアナリシス。

Uchino K, et al.
Dabigatran Association With Higher Risk of Acute Coronary Events
Meta-analysis of Noninferiority Randomized Controlled Trials
Arch Intern Med January 9, 2012.


目的:
 ダビガトランの内服と心筋梗塞または急性冠症候群のリスク関連を
 評価する。

方法:
 Pub Med、Scopus、Web of Scienceを用いた。
 プライマリアウトカムは心筋梗塞または急性冠症候群、
 セカンダリアウトカムは全死亡とした。ダビガトラン内服群と
 用いられた薬剤にかかわらず非ダビガトラン群をコントロール群に設定した。
 29RCTのうち、7RCT、30514人を解析対象とした。

結果:
 7RCT中、2つはAf患者の脳卒中予防試験:PETRO試験、RE-LY試験
 コントロール薬はワルファリンであった。
 1つは急性VTEにおけるワルファリンとの比較:RE-COVER試験、
 1つは急性冠症候群でのプラセボ対照試験:RE-DEEM試験、
 3つは整形外科的な関節置換手術後のVTE予防での試験:
 RE-NOVATE試験、RE-MODEL試験、RE-NOVATE II試験、
 コントロール薬はエノキサパリン。
 全てにおいて、ベーリンガーインゲルハイムからの資金提供を受けていた。
 Jadadスケールでは上記のうち6RCTが質の高い研究だった。
 メタアナリシスでは、ダビガトラン群はコントロール群より
 心筋梗塞または急性冠症候群のリスクが高かった
 (ダビガトラン群1.19% v コントロール群0.79%、OR1.33、
 95%CI:1.03-1.71、P=0.03)。出版バイアスはなかった(P=0.60)。
 また、全死亡についてはダビガトラン群はコントロール群よりも死亡率が 
 有意に低かった(ダビガトラン群4.83%v コントロール群5.02%、
 OR0.89、95%CI:0.80-0.99、P=0.04)。
 Jadadスケール2点の1RCTを除外しても、心筋梗塞または急性冠症候群の
 リスクは変わらなかった(OR1.34、95%CI:1.04-1.67、P=0.03)。

結論:
 ダビガトランは心筋梗塞または急性冠症候群のリスクをはらむ。
 内科医はこういった潜在的な有害事象について考慮する必要がある。


by otowelt | 2012-01-26 06:23 | 内科一般

クリソタイル石綿労働者は癌死・呼吸器疾患死のリスク

塵肺の臨床試験はきわめて少ない。

Xiaorong Wang, et al.
A 37-year observation of mortality in Chinese chrysotile asbestos workers
Thorax 2012;67:106-0110


目的:
 37年におよぶプロスペクティブコホート試験によって
 クリソタイル石綿:chrysotile asbestosに曝露されることによる 
 死亡への影響を調査する。

方法:
 577人の石綿業務にたずさわる労働者と
 435人のコントロール労働者を試験に登録。
 1972年から2008年までフォローアップした。
 フォローアップ率はそれぞれ99%、73%であった。
 死亡率は観察人年に基づいて決定。
 Cox比例ハザードモデルが原因特異的死亡率のハザード比算出
 のために用いられた。

結果: 
 石綿労働者のうち合計259人(45%)が死亡。96人は癌死であった。
 肺癌は53人で非悪性呼吸器疾患は81人。
 コントロールでは9人の肺癌、11人の呼吸器疾患死であった。
 石綿労働者における全原因死亡率、全癌死亡率の
 年齢・喫煙調整ハザード比は、それぞれ2.05 (95% CI 1.56to 2.68)、
 1.89 (1.25 to 2.87)であった。石綿労働者における肺癌、呼吸器疾患の
 死亡はコントロールの3倍を超えた
 (それぞれHR 3.31(95% CI 1.60 to 6.87);
 HR 3.23 (95% CI 1.68 to 6.22)。
 喫煙・非喫煙両方ともに石綿曝露レベルと肺癌死亡率に
 曝露反応関係が観察された。

結論:
 プロスペクティブコホート試験により、石綿曝露は
 癌および呼吸器疾患による死亡リスクと関連していた。

by otowelt | 2012-01-25 07:46 | びまん性肺疾患

ナウゼリンとプリンペランの違い:メモ

●ドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)の違い

1.効果
 メトクロプラミド30mgとドンペリドン30-60mgは有効性に有意差は
 認められていない。
   Br J Clin Pract. 1991 Winter;45(4):247-51.
 また、嘔気に対してドロレプタン1.25mgは有効であることがわかっているが、
 メトクロプラミド10mg、プロクロルペラジン(ノバミン)10mgは
 プラセボと比較するとほぼ同等である。
   Am J Emerg Med. 2006 Mar;24(2):177-82.

2.妊婦
 妊婦に対してドンペリドンは禁忌である。
 添付文書によれば、動物実験(ラット)で骨格、内臓異常等の催奇形作用が報告。
 メトクロプラミドは治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ
 投与するよう注意喚起されている。
   Eur J Clin Pharmacol. 1983;24(3):345-8.
 妊娠悪阻に対する知識として、セロトニン拮抗作用がある生姜も
 産婦人科手術に有効とされている。車酔いにも効果があるとされている。
   Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol. 2003 ;284(3):G481-9.
 妊娠悪阻に対しては生姜はプラセボより効果がみられる。
 投与6日目で嘔吐停止が、20%から67%に改善。
   Obstet Gynecol. 2001 Apr;97(4):577-82

3.授乳婦
 ドンペリドンは大量投与を避けること。メトクロプラミドほど母乳移行は
 多くないとされている。しかしながら、メトクロプラミドは授乳婦の場合
 授乳そのものを避けること。この薬剤は母乳移行する。
   Eur J Clin Pharmacol. 1983;25(6):819-23.

by otowelt | 2012-01-23 14:42 | コントラバーシー