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子宮体癌における腹腔鏡は、再発率・生存において開腹術に非劣性

今週のJCO、記事少なくないか?

珍しくRapid Communicationがあったので、他分野だが読んでみた。
LAP2は婦人科系では有名なスタディらしく、その生存データの結果が
長らく望まれていた(その他のアウトカムはすでに報告済)。

Joan L. Walker, et al.
Recurrence and Survival After Random Assignment to Laparoscopy Versus Laparotomy for Comprehensive Surgical Staging of Uterine Cancer: Gynecologic Oncology Group LAP2 Study
JCO March 1, 2012 vol. 30 no. 7 695-700


目的:
 この研究の目的は、子宮体癌の外科ステージング後の再発に
 際して腹腔鏡が開腹手術に非劣性であることを確立するためである。

患者および方法:
 stage I- IIAの患者をランダムに腹腔鏡(n = 1,696)と
 開腹(n = 920)に2:1割り付けを行った。手術内容は
 広汎子宮摘出、附属器切除術、腹腔細胞診、骨盤~傍大動脈リンパ節郭清。
 プライマリエンドポイントは、無再発期間の非劣性とした
 (再発リスクが40%増加を超えないこと)

結果:
 フォローアップ期間は59ヶ月で2181人の患者が生存。
 309人が再発した(210人:腹腔鏡、99人:開腹)、
 350人が死亡した(229人:腹腔鏡、121 人:開腹)。
 腹腔鏡のハザード比は1.14 (90% lower bound, 0.92;
 95% upper bound, 1.46)であった。しかしながら、
 実際の再発率は危惧していたよりも低いものであり、 
 3年再発率は腹腔鏡で11.4%、開腹で10.2%であった。
 差1.14% (90% lower bound, −1.28; 95% upper bound, 4.0)。
 5年生存率は両群とも理想的で89.8%であった。

結論:
 子宮体癌における腹腔鏡による外科マネージメントは
 短期的には安全性と在院日数という点で有益であると考えられる。
 再発リスクを潜在的に孕むものの、その差は開腹と比べて
 微々たるものであり、子宮体癌の女性患者の意思決定における
 正確な情報をもたらすものである。

by otowelt | 2012-02-29 05:18 | 肺癌・その他腫瘍

敗血症性ショックにおけるドパミン投与はノルエピネフリン投与よりも死亡・不整脈リスクが高い

話題の論文。

De Backer, et al.
Dopamine versus norepinephrine in the treatment of septic shock: A meta-analysis
Critical Care Medicine March 2012 - Volume 40 - Issue 3 - p 725–730


目的:
 ショックにおいて、ノルエピネフリンのドパミンに対する優位性の
 可能性については長らく議論されてきた。
 このスタディの目的は、ノルエピネフリンとドパミンの効果と副作用を
 敗血症性ショックの患者において比較することである。

データソース:
 MEDLINE, Embase, Scopus, CENTRAL databases,
 Google Scholarによる文献抽出(2011年6月30日まで)

スタディ選択:
 敗血症性ショックでドパミンとノルエピネフリンを比較して治療された
 情報を有するスタディを全て登録した。
 観察研究とランダム化試験が別個に解析された。
 アウトカム考察の時期がそれぞれに異なっていたため、
 われわれは28日死亡率あるいはcloset estimateを評価した。
 スタディにおけるheterogeneityは、Cochrane Q homogeneity testで
 評価された。潜在的な出版バイアスについてはfunnel plotsを用いて評価。
 
 ※Cochran Q homogeneity testは、投入されたそれぞれの
  研究結果データを比較して、最終的にP値で表現される
  (P<0.1で統計的に有意)。
 有意なhomogeneityがあるとき(P<0.1)は、それぞれの
 研究間のheterogeneityが確認され、ランダム効果メタアナリシスを
 用いる。しかし、同homogeneity解析は、対象研究数が
 少ないと、統計的な力が弱まるという点は覚えておきたい。

結果:
 われわれは5つの観察研究(1360人)と6つのランダム化試験(1408人)、
 合計2768人(1474人がノルエピネフリン、1294人がドパミン)が登録された。
 観察研究において、有意なheterogeneityが認められた(p < .001)。
 死亡率については差はみられなかった(RR1.09;CI0.84–1.41; p = .72)。
 感度解析では1試験がheterogeneityの原因となっていた。
 この試験を除外後、heterogeneityは確認されず、ドパミン投与は
 有意に死亡リスクを上昇させた(RR 1.23; CI 1.05–1.43; p < .01)。
 ランダム化試験において、heterogeneityないし出版バイアスは同定されず
 (p=.77)、ドパミンは死亡リスクと関連(RR1.12; CI1.01–1.20; p=.035)。
 2試験において不整脈の報告があったが、ドパミンのほうがノルエピネフリン
 よりも高頻度にみられた(RR 2.34; CI 1.46–3.77; p = .001)。

結論:
 敗血症性ショックにおいて、ドパミン投与はノルエピネフリンと比較すると
 死亡リスクを上昇させ不整脈の頻度を高くする。

by otowelt | 2012-02-25 04:00 | 感染症全般

外科医の15.4%がアルコール乱用・依存であり、医療ミスのリスク

あくまでアメリカの報告だが。

Michael R. Oreskovich, et al.
Prevalence of Alcohol Use Disorders Among American Surgeons
Arch Surg. 2012;147(2):168-174.


目的:
 現役の外科医におけるアルコール乱用と依存の
 ある時点での頻度を調査する。

デザイン:cross-sectional study

セッティング:アメリカ合衆国

参加者:アメリカ外科学会会員

アウトカム:アルコール濫用と依存

結果:
 2010年10月、アメリカ外科学会が使用可能e-mailアドレスを
 持っている現役外科医25073人に対してアンケートを送り、
 7197人(28.7%)が回答。質問は70の項目から構成され、
 参加者は盲検化された。AUDIT-C分析では、アルコール乱用および依存
 を示したのは1112人(15.4%)で、男性13.9%、女性25.6%。
 若年外科医、パートナーに不満があり子どもがいない、といった場合に
 その割合が高く、経験年数が長い外科医、週労働時間が長い外科医、
 夜間コールが多い場合では逆に割合が低かった。アルコール乱用および依存者
 は、過去3ヶ月での医療ミスの報告者の77.7%を占めた。
 アルコール乱用および依存者の医療ミスのOR1.45(P<0.001)。

結論:
 アルコール濫用と依存はアメリカ外科医におけるゆゆしき問題である。
 組織によるアルコール消費問題の早期同定と介入が望まれる。

by otowelt | 2012-02-23 05:43 | その他

気管支喘息における洞窟療法(岩塩)

ザ!世界仰天ニュースというテレビ番組で
岩塩坑に作られた地下288mの病院で
岩塩による閉鎖空間が喘息などのアレルギー疾患を
寛解させるという内容が紹介されていた。

呼吸器内科医のはしくれとして、その機序が
知りたかったのだが、どうやらよくわからないらしい。

PubMedで"asthma"+"rock salt" or "salt mine"で検索したところ
いくつかヒットした。
検索して気付いたのだが、どうやらこういった治療を
speleptherapy(洞窟療法)というらしい。
改めて上記の専門用語で検索したところ、喘息に関連したものは
英語文献に限定するといくつかヒットした。

結論的には、よくわからなかった・・・。

Horvath T.
Speleotherapy: a special kind of climatotherapy, its role in respiratory rehabilitation.
Int Rehabil Med. 1986;8(2):90-2.

4000人以上の小児喘息を治療した経験を記録したハンガリーの論文だが、
Abstractには肝心の結果が記載されていない。

Karakoca Y,et al.
Speleotherapy in asthma and allergic diseases.
Clin Exp Allergy. 1995 Jul;25(7):666-7.

読めない。

Beamon S,
Speleotherapy for asthma.
Cochrane Database Syst Rev. 2001;(2):CD001741.

コクランデータベースのレビュー。

背景:
 洞窟療法は、慢性閉塞性気道疾患の治療選択肢の1つである。
 イギリスやアメリカにおいて認知されていないが、中東ヨーロッパ
 において認知されている。

目的:
 喘息治療における洞窟療法の効果のエビデンスをレビューする。

方法:
 電子データベース(Medline, Embase, Cochrane Airways database)、
 洞窟療法センターや専門家への連絡、会報のハンドサーチ、
 信頼できる出版の文献目録のチェック等。
 洞窟療法とその他の介入あるいは非介入を比較した慢性喘息に対する
 対照化試験を本レビューへ登録。
 患者情報、介入、結果、試験手法が2人の独立したレビュアーにより検証。

結果:
 3試験124人の喘息小児が基準を満たしたが、
 1試験のみが理想的な試験手法とクオリティであった。
 2試験は洞窟療法の短期的治療での呼吸機能の利益をみたものであった。
 他のアウトカムは信頼できる手法で解析されていなかった。
 2000年7月にさらなる検索をおこない、1論文がさらに除外された。

結論:
 現時点では信頼できる結論を導き出すほどのエビデンスは
 洞窟療法にはないものと考えられる。
 長期フォローアップによるランダム化比較試験が望まれる。

by otowelt | 2012-02-22 22:33 | 気管支喘息・COPD

VAPに対するコリスチンは安全で効果的

統計解析が難しいので、Abstractしか読んでません。

Diana F. Florescu, et al.
What Is the Efficacy and Safety of Colistin for the Treatment of Ventilator-Associated Pneumonia? A Systematic Review and Meta-Regression
Clin Infect Dis. (2012) 54 (5): 670-680.


背景:
 嚢胞性線維症ではない患者における
 静注や吸入のコリスチンは人工呼吸器関連肺炎(VAP)の経験は限られている。
 われわれは、VAPにおけるコリスチンの安全性と効果を評価した。

方法:
 MEDLINE、Cochrane Databaseにおいて
 コリスチンと他の薬剤を比較したVAP患者(嚢胞性線維症を除く)の
 スタディを組み込んだ。QUOROMガイドラインを用い、
 異質性の評価にはI2統計量を用いた。また、
 ランダム効果モデルをオッズ比算定に用いた。

結果:
 6つの対照化試験が組み込まれた。
 臨床的反応はコリスチンとコントロール群において異なっていなかった。
 (OR, 1.14; 95%CI, .74–1.77; P = .56; I2 = 0%)。
 コリスチンの効果はスタディデザインとは独立していた
 (prospective OR, 0.89 [95% CI, .48–1.66; P = .71; I2 = 0%];
 retrospective OR, 1.45 [95% CI, .79–2.68; P = .23; I2 = 0%])。
 また、併用抗菌薬によるコントロール後の臨床的反応における
 有意な変化は示唆されず(intercept, 0.121; slope, 0.0315; P=.95)。
 コリスチン治療とコントロール群において院内死亡率に差はみられなかった
 (OR, 0.92; 95% CI, .50–1.67; P = .78; I2 = 34.59%)。
 腎機能障害についても差はなし(OR, 1.14; 95% CI, .59–2.20;
 P = .69; I2 = 0%)。14のシングルアーム試験が解析されたが、
 対照化試験の結果と一致していた。

結論:
 われわれの解析によれば、VAPに対するコリスチンは
 標準的な抗菌薬と同様に安全で効果的であるかもしれない。

by otowelt | 2012-02-21 05:16 | 感染症全般

ジフルカンドライシロップ製造承認

話題のジフルカンドライシロップはオレンジ風味らしい。

日経メディカルオンラインより

 2012年2月14日、深在性真菌症治療薬のフルコナゾールのドライシロップ製剤(商品名ジフルカンドライシロップ350mg、同ドライシロップ1400mg)が製造承認を取得した。フルコナゾール製剤は、既に1989年からカプセル剤と静注液として、カンジダ属及びクリプトコッカス属による各領域での深在性真菌症治療に使用されているが、今回承認されたのは、そのドライシロップ製剤である。
 近年、フルコナゾールに対して、「造血幹細胞移植を施行する患者の真菌感染症予防」(日本小児血液学会/日本小児がん学会)や「小児用法・用量」(日本感染症学会/日本小児血液学会/日本小児がん学会)の追加承認を求める声が出てきたことから、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で検討された。その後、これらの適応および用法・用量については、2011年に公知申請され、既存の剤形において承認されている。
 今回、承認されたドライシロップ製剤は、乳幼児でも服用しやすい
オレンジ風味となっている。ドライシロップ製剤の承認に当たっては、海外データなどでカプセル剤との生物学的同等性が確認されていることから、承認に当たっての新たな臨床試験は行われていない。
 なお既存製剤では、服用による副作用(臨床検査値異常を含む)が6.37%(カプセル剤)、11.28%(静注液)に認められているので注意したい。また、薬剤使用に際しては、あらかじめ水を加えた状態で患者に渡し、体重換算で算出された1回量を附属のシリンジで服用させることが必要となる。こうした服用方法は、一般的なドライシロップの服用方法と異なることから、患者や患者家族に十分に説明や服薬指導を行わなければならない。

by otowelt | 2012-02-19 10:55 | 感染症全般

ガーダシルによる失神の注意喚起

http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201202_1.pdf

2012年2月14日、MSDは4価ヒトパピローマウイルスワクチンである
ガーダシルの接種後の失神例の66件の報告とともに、
接種後30分はなるべく立位にならないよう注意喚起した。

MSDの発表によると、2011年末時点で
33万7000人の接種例のうち、66例がガーダシル接種後に
失神していたことが報告されていた。
80%は接種直後あるいは接種後5分以内に起きており、
10代が過半数を占めるとのことである。

by otowelt | 2012-02-18 22:07 | 感染症全般

癌化学療法を受けている患者へのセムロパリンは静脈血栓塞栓発生率を減少させる

癌患者さんに対する静脈血栓予防については、現時点では
3つのガイドラインが存在するが、手術等の際の基準が
定められているのみで、ルーチンの抗癌剤投与時への
ヘパリン投与については特に推奨していない。
・Lyman GH, et al. American Society of Clinical Oncology guideline: recommendations for venous thromboembolism prophylaxis and treatment in patients with cancer. J Clin Oncol 2007;25:5490-505.
・Mandalà M, et al. Venous thromboembolism in cancer patients: ESMO Clinical Practice Guidelines for the management. Ann Oncol 2010;21: Suppl 5:v274-v276.
・Antithrombotic Therapy and Prevention of Thrombosis, 9th ed: American College of Chest Physicians Evidence-Based Clinical Practice Guidelines. CHEST 2012; 141: 2 suppl

↑ACCPから最近第9版のガイドラインが出版された。
※ACCP9版の主な変更点
 ・整形外科領域における静脈血栓塞栓症予防に
  新規の経口Xa阻害薬やダビガトランが推奨
 ・ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)のリスクとしての
  脱水や飲酒などは明らかなエビデンスがないとする

化学療法時におけるヘパリン投与についてのNEJMからの論文。
しかし、全世界的にもケモだけでヘパリンを投与している医師は少ない。

G. Agnelli, et al.
Semuloparin for Thromboprophylaxis in Patients Receiving Chemotherapy for Cancer
N Engl J Med 2012;366:601-9.


背景:
 化学療法を受けている癌患者は静脈血栓塞栓症のリスクが高い。
 これまでのデータから、抗血栓薬予防の有益性が示唆されている。

方法:
 二重盲検試験で、化学療法を受けている癌患者の
 静脈血栓塞栓症予防する上で超低分子ヘパリンの
 セムロパリン(semuloparin)の有効性・安全性を評価。
 転移性または局所進行性の固形癌があり、
 化学療法が変更されるまでセムロパリン20mg1日1回皮下投与群と、
 プラセボ群にランダムに割り付け。プライマリアウトカムは、
 深部静脈血栓症、非致死的肺塞栓症、静脈血栓塞栓症関連死亡複合。
 臨床的な出血事象を主な安全性アウトカムとした。

結果:
 薬剤投与期間中央値は3.5ヶ月。静脈血栓塞栓症は、
 セムロパリン群で1608人中20人(1.2%)で発生、
 プラセボ群では1604人中55人(3.4%)で発生
 (HR 0.36,95%CI 0.21~0.60,P<0.001)。
 原発部位、病期、ベースライン静脈血栓塞栓症リスクでの
 サブグループ解析でも有効性が確認された。
 出血事象の発生率は、セムロパリン群2.8%、プラセボ群2.0%
 (HR 1.40,95% CI 0.89~2.21)。重大な出血は
 セムロパリン群で1.2%、プラセボ群で1.1%
 (HR 1.05,95% CI 0.55~1.99)。

結論:
 セムロパリンにより、癌化学療法を受けている患者の
 静脈血栓塞栓発生率を低下させることができる。
 また、出血合併症の明らかな増加はなかった。

by otowelt | 2012-02-17 12:14 | 肺癌・その他腫瘍

HSCTにおけるサイトメガロウイルスワクチン(TransVax)の効果

Kharfan-Dabaja MA, et al
A novel therapeutic cytomegalovirus DNA vaccine in allogeneic haemopoietic stem-cell transplantation: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 2 trial
Lancet Infect Dis. 2012 Jan 9. [Epub ahead of print]


背景:
 サイトメガロウイルスの再活性化は、造血幹細胞移植後6ヶ月の間に
 サイトメガロウイルス血清陽性患者の60-70%に起こる。
 主たる原因は移植処置による免疫抑制であると考えられる。
 ウイルスに対するpre-emptive療法はサイトメガロウイルス疾患を
 減らすことができるが、毒性がみられる。サイトメガロウイルスDNAワクチンを
 プラセボと比較して安全性と効果を検証。

方法:
 double-blind, placebo-controlled, parallel group, phase 2 trial。
 donor-recipient pairが80人、umpaired recipientsが80人まで、
 HSCTをアメリカ16の施設で受けた。
 レシピエントはサイトメガロウイルス血清陽性、18~65歳、
 ハイリスク合併疾患がない、T-cell depletionしていない、
 サイトメガロウイルスワクチンの前投与や自己免疫疾患がないこととする。
ランダムに患者を、サイトメガロウイルスDNAワクチン
 (TransVax; Vical, San Diego, CA, USA)とプラセボ群に割り付け。
 移植前処置前、移植後1、3、6か月に投与した。
 ワクチンはサイトメガロウイルスpoloxamer CRL1005と
 benzalkonium chloridで処理されたglycoproteinBと
 phosphoprotein65コードプラスミドを含む。
 試験ランダム化はPocock and Simon’s methodで行われ、
 ドナーとレシピエントのHLA一致とドナーサイトメガロウイルス血清
 ステータスによって層別化された。
 プライマリアウトカムは臨床的に有意なウイルス血症を発症して、
 特異的な抗ウイルス治療を開始することとした。

結果:
 108人(94人:HSCTレシピエント、14人:paired donors)を
 2006年6月29日から2009年12月11日の間登録。
 pareid armは2008年2月に論理的理由(logistical reasons)から登録を
 中止した。安全性は全参加者で評価。効果は74人unpaired レシピエントで
 のみ評価された。40人中19人(48%)のワクチン接種レシピエントは
 特異的抗ウイルス療法を必要としたが、コントロール群は
 34人中21人(62%)であった(P=0.145)。
 フォローアップ期間中のサイトメガロウイルスワクチンはウイルス血症と
 その再発を減少させるのに重要で、プラセボ群と比較しても
 ウイルス血症のtime-to-eventを改善させた。
 一人の患者がワクチンによるアレルギーで中止した。
 HSCT後GVHDや二次感染などの有害事象は群間差はみられなかった。

結論:
 HSCTにおいてサイトメガロウイルスワクチン(TransVax)の効果を証明した。
 この安全性と有効性は第3相試験の実施を支持するものである。
 この試験では、プラセボ群と比較してサイトメガロウイルス治療そのものの
 減少は証明できなかった。

by otowelt | 2012-02-17 06:48 | 感染症全般

成人副鼻腔炎に対するアモキシシリンのプラセボ対照ランダム化比較試験

Jane M. Garbutt, et al.
Amoxicillin for Acute Rhinosinusitis A Randomized Controlled Trial
JAMA. 2012;307(7):685-692


背景:
 急性副鼻腔炎に対する抗菌薬治療のエビデンスは限られているが
 いまだに抗菌薬はひろく使用されている。

目的:
 臨床診断における成人急性副鼻腔炎に対する
 アモキシシリンによる治療効果を同定する。

デザイン:
 成人の非複雑性急性副鼻腔炎に対するランダム化プラセボ対照試験
 Missouri between November 1, 2006, and May 1, 2009

介入:
 10日のアモキシシリン(1500 mg/d)あるいはプラセボ。
 全患者は5日から7日の疼痛、発熱、咳嗽、鼻汁などの症状治療を
 受けることができる。

プライマリアウトカム:
 プライマリアウトカムは治療3-4日後の疾患特異的QOL:
 Sinonasal Outcome Test-16スコアとした。
 セカンダリアウトカムはレトロスペクティブ・post hocの
 副鼻腔炎症状の解析、機能ステータス、再発の有無、有害事象。
 アウトカムは電話インタビューで3日目、7日目、10日目、28日目に施行。

結果:
 166人の成人(36% male; 78% with white race)がランダムに割り付け
 された:アモキシシリン(n = 85)、プラセボ(n = 81)。92%が1つ以上の
 症状治療を受けた(アモキシシリン群94% v プラセボ90%; P = .34)。
 ベースラインとして、プラセボ群の方が、high educational statusであり
 喫煙歴も多い傾向にあった。
 Sinonasal Outcome Test-16スコアは3日目に有意差はなかった
 (アモキシシリン群減少 0.59、プラセボ群減少0.54;
 平均群間差0.03 [95% CI, −0.12 to 0.19])。
 10日目も同様に有意差なし(平均群間差0.01 [95% CI, −0.13 to 0.15])。
 7日目においてはアモキシシリン群で良好な結果であった
 (平均群間差 0.19 [95% CI, 0.024 to 0.35])。
 また、3日目における症状改善報告では統計学的な差はみられなかった
 (アモキシシリン37% vs プラセボ34%; P = .67)。10日目も同様
 (78% vs 80%, respectively; P = .71)。しかしながら7日目では
 やはりアモキシシリンにおいて症状改善の報告が多かった
 (74% vs 56%, respectively; P = .02)。特に、鼻閉がある患者
 においては、症状改善はやはり有意でOR4.59 (95% CI, 1.16-18.12)。
 他のセカンダリアウトカムについては有意差はなし。重篤な有害事象もなし。

考察:
 過去に抗菌薬使用によって成人副鼻腔炎症状を改善させたという
 論文はいくつかある。
・Lindbaek M, et al. Randomised, double blind, placebo controlled trial of penicillin V and amoxycillin intreatmentof acute sinus infections in adults.
BMJ. 1996;313(7053):325-329.
・Merenstein D, et al. Are antibiotics beneficial for patients with sinusitis complaints? a randomized double-blind clinical trial. J Fam Pract. 2005;54(2):144-151.
・Stalman W, et al. The end of antibiotic treatment in adults with acute sinusitis-like complaints in general practice? a placebo-controlled double-blind randomized doxycycline trial. Br J Gen Pract. 1997;47(425): 794-799

 一方で効果がみられなかったとする報告もある。
・van Buchem FL, et al. Primary-care-based randomised placebocontrolled trial of antibiotic treatment in acute maxillary sinusitis. Lancet. 1997;349(9053):683-687.
・Williamson IG, et al. Antibiotics and topical nasal steroid for treatment of acute maxillary sinusitis: a randomized controlled trial. JAMA. 2007;298(21):2487-2496.

 このスタディにおいては、症状申告をレトロスペクティブにみたところ
 7日目に有意差が出た。しかしながらSNOT-16スコアをみてみると
 有意差はついているものの、この報告により臨床的で変容をもたらすほど
 の妥当性はないと考えられるほど小さな有意差である。

結論:
 成人急性副鼻腔炎の患者において、10日のアモキシシリンはプラセボと
 比較して3日目の症状改善をもたらさない。

by otowelt | 2012-02-15 10:08 | 感染症全般