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平均肺線量15Gy超、下葉の腫瘍は放射線肺炎のリスク因子

放射線肺炎のリスク因子として、高齢、V20高値、カルボプラチン+パクリタキセルで治療した患者などがすでに知られています。

高齢者非小細胞肺癌のカルボプラチン+パクリタキセルへの放射線治療併用は放射線肺炎のリスク

個人的に下葉腫瘍というのはそこまで気にかけていませんでした。

Park YH, et al.
Predictors of radiation pneumonitis and pulmonary function changes after concurrent chemoradiotherapy of non-small cell lung cancer.
Radiat Oncol J. 2013 Mar;31(1):34-40,doi: 10.3857/roj.2013.31.1.34. Epub 2013 Mar 31.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、放射線肺炎(RP)の予測因子を評価し、化学放射線治療(CCRT)後の呼吸機能を解析すること。

方法:
 60人のNSCLC患者でCCRTを受けた患者をレトロスペクティブに登録した。容積線量パラメータ、臨床的特長、呼吸機能検査データが抽出された。RPはCTCAE ver 4.0に準じてグレード分類された。線量閾値(Vdose)を受けた肺容積のパーセンテージと平均肺線量(MLD)が解析された。呼吸機能検査は、放射線治療前、治療後3,6,12ヵ月後に検査された。

結果:
 22人(37%)の患者がグレード2以上のRPを発症した。臨床的因子の間では、腫瘍が下葉にあるものがRP発症と関連していた。MLDが15Gy超の場合、グレード2以上のRPと関連していた。このRP患者集団では呼吸機能検査の有意な減少が確認された。V10は12ヶ月時の努力性肺活量の変化と関連しており、V20およびV30は6ヶ月時点での一秒量の変化と12ヶ月時の努力性肺活量の変化と関連していた。

結論:
 NSCLC患者のCCRTに際して、MLD15Gy超および下葉の腫瘍はグレード2以上のRPの予測因子である。CCRTによって呼吸機能の減少も観察された。


by otowelt | 2013-04-30 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

中国農村部の土壌伝播蠕虫に関するアニメビデオは児童の感染発生率を低下させる

 NEJMの論文を読んでアニメビデオを見るとは思いもしませんでした。最初に仙人のようなおじいさんが出てくるのですが、「医者かよ!」と突っ込んでしまいそうになりました。
 論文の内容も結構面白く、読み応えがあります。

Franziska A. Bieri, et al.
Health-Education Package to Prevent Worm Infections in Chinese Schoolchildren
N Engl J Med 2013;368:1603-12.


背景:
 土壌伝播蠕虫(soil-transmitted helminths)は、最も頻度の多いヒト感染寄生虫の1つである。これらの寄生虫が蔓延している中国湖南省臨湘市区の農村部の学校で、教育パッケージの効果を検証した。この介入の目的は、土壌伝播蠕虫に関する知識を向上させ、その行動変化によって感染率を低下させることである。

方法:
 中国湖南省臨湘市区の38の学校で、1学年度の間に9~10歳児童1718人を対象とした単盲検非マッチクラスターランダム化介入試験をおこなった。対象となった学校で、アニメビデオ(The Magic Glasses)を用いる衛生教育と教育ポスターを掲示するだけのコントロール群にランダムに割り付けた。 アニメビデオは、寄生虫を見えるメガネをつけた少年を主人公にした話。
 これらの介入前後に感染率、土壌伝播蠕虫に関する知識(アンケート:43点満点で評価)、手洗い行動を評価した。アルベンダゾールはベースラインで全児童に投与し、学年終了時の追跡評価の際に土壌伝播蠕虫の感染陽性が判明したすべての児童に投与した。

結果:
 学年終了時の追跡評価の段階で、蠕虫に関する知識の平均スコア(Knowledge, Attitudes, and Practices [KAP])は、介入群のほうがコントロール群よりも90%高く(63.3 vs 33.4、P<0.001)、トイレ後に手を洗う児童の割合は、介入群のほうが2倍程度高く(98.9% vs コントロール群 54.2%、P<0.001)、土壌伝播蠕虫感染の発生率は介入群のほうがコントロール群よりも50%低かった(4.1% vs 8.4%、P<0.001)。アルベンダゾール投与15分以内に有害事象はなかった。結論:
 中国農村部の衛生教育によって、1学年度で児童の土壌伝播蠕虫に関する知識が高まり、感染発生率の低下がもたらされた。


by otowelt | 2013-04-28 00:01 | 感染症全般

非小細胞肺癌におけるK-RAS遺伝子変異は全生存期間を短縮

 K-RAS遺伝子変異を有する非小細胞肺癌の治療については、Lancet Oncologyに掲載された、Selumenibとドセタキセルの臨床試験が記憶に新しいですね。
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Jänne PA, et al.
Selumetinib plus docetaxel for KRAS-mutant advanced non-small-cell lung cancer: a randomised, multicentre, placebo-controlled, phase 2 study.
Lancet Oncol. 2013 Jan;14(1):38-47.


Lung Cancerから、KRAS遺伝子変異を有する非小細胞肺癌の報告です。

Meng D, et al.
Prognostic value of K-RAS mutations in patients with non-small cell lung cancer: A systematic review with meta-analysis.
Lung Cancer. 2013 Apr 19, in press.


背景:
 K-RAS遺伝子変異は非小細胞肺癌(NSCLC)の20~30%にみられ腺癌に最もよくみられるものの、予後への影響については確定的な結論は出ていない。

方法:
 われわれは、K-RAS遺伝子変異のNSCLCの予後への影響を調べるために、システマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。生存についてのデータを抽出し、全生存期間におけるハザード比および95%信頼区間を算出した。

結果:
 41試験(6939患者)が解析に組み込まれ、K-RASのNSCLCに対する生存への影響は全生存期間を短縮する方向へはたらき、ハザード比は1.45 (95%信頼区間1.29-1.62)であった。
 人種についてのサブグループ解析では、アジア人のハザード比は1.97 (95%信頼区間1.58-2.44)、非アジア人では1.37 (95%信頼区間1.25-1.5)であった。組織型におけるサブグループ解析では、腺癌ではハザード比1.39 (95%信頼区間 1.24-1.55)であった。病期では、stage Iではハザード比1.81(95%信頼区間 1.36-2.39)、stageI-IIIaではハザード比1.68(95%信頼区間1.11-2.55)であったが、進行期(stage IIIb-IV)ではK-RAS遺伝子変異が生存に影響をおよぼすことはなかった(ハザード比1.3、95%信頼区間0.99-1.71)。

結論:
 NSCLCにおけるK-RAS遺伝子変異は、特に腺癌や早期癌では生存期間を短縮する。


by otowelt | 2013-04-27 00:28 | 肺癌・その他腫瘍

肺がんWEB討論2013

 アストラゼネカ社の宣伝をしているわけではありませんが、「激録!×5 肺がんWEB討論2013」が結構面白いです。EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺癌の治療でイレッサ®をどのタイミングで入れるのがベストなのかというエキスパートの先生方の意見が興味深いです。
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http://azcb.m3.com/ck9a56e63b1c6c5330e574e9e5259ed00855c/contents/2013/gekiroku/01/index.html?cid=201304GBNF


by otowelt | 2013-04-26 00:22 | 肺癌・その他腫瘍

SPARK試験:QVA149(オンブレス/シーブリ)はシーブリ単独、スピリーバ単独と比べてCOPD急性増悪を抑制

e0156318_23175684.jpg 外来でシーブリ®の処方が増えてきている呼吸器科医も多いと思います。スピリーバ®もとても有効な薬なので、臨床的にはあまりこれらの差を感じることはありません。キャップを紛失しないという点ではスピリーバ®の方が使い勝手がよいのではないかとも思っています(シーブリ®はキャップが外れます)。
 呼吸器科医にとってUPLIFT試験などのように重要な試験名は記憶に残りますが、このSPARK試験もおそらくCOPD治療にとって大きな転換となる臨床試験の1つなので、呼吸器科医はその概要を知っておく必要があります。QVA149についてはILLUMINATE試験も記憶に新しいですね。

ILLUMINATE試験:中等度以上のCOPDに対してQVA149はアドエア®より有効

 この試験は、QVA149(インダカテロール[オンブレス®]110μg/グリコピロニウム[シーブリ®]50μg)が、グリコピロニウム50μgおよびチオトロピウム(スピリーバ®)18μgと比較して、COPD急性増悪の抑制効果に優れたという試験です。COPD治療でノバルティスファーマの躍進が続きます。

Wedzicha JA, et al.
Analysis of Chronic Obstructive Pulmonary Disease Exacerbations with the Dual Bronchodilator QVA149 Compared with Glycopyrronium and Tiotropium (SPARK): a Randomized, Double-blind, Parallel-group Study.
Lancet Respir Med 2013, in press.


背景:
 重症あるいは超重症のCOPD患者における急性増悪に対する長期吸入薬の治療効果を検証した。

方法:
 この並行群間試験では、2224人の患者(40歳以上、GOLD III-IV、1回以上の中等度のCOPD急性増悪を過去1年間に経験している)を登録し、ランダムに1:1:1の割合で1日1回のQVA149、グリコピロニウム50μg、チオトロピウム18μgに64週間割り付けた。チオトロピウムはオープンラベルのものを使用し、QVA149およびグリコピロニウムは二重盲検とした。
 プライマリ効果アウトカムは、グリコピロニウム50μgに対するQVA149の優越性とした。セカンダリ効果アウトカムは、投与期間中の中等度以上のCOPD増悪の発現頻度、チオトロピウムに対するQVA149の優越性とした。

結果:
 2010年4月27日から2012年7月11日までの間、741人の患者がQVA149、741人の患者がグリコピロニウム、742人がチオトロピウムに割り付けられた。
 QVA149群で、中等度以上のCOPD増悪の発現頻度がグリコピロニウム投与群と比較して12%減少した(年間急性増悪率 0.84 [95%信頼区間0.75—0.94] vs 0.95 [0.85—1.06]、率比0.88, 95%信頼区間0.77—0.99,p=0.038)。また、QVA149群ではチオトロピウム群と比較して有意ではないものの急性増悪率が低い傾向がみられた(p=0.096)。
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 またトラフ1秒量について、QVA149群ではグリコピロニウム群(p<0.0001)やチオトロピウム群(p<0.0001)と比べて、いずれの時点においても有意に高値であった。
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 QOLについては、QVA149群ではSGRQ(St George's Respiratory Questionnaire)の合計スコアで、グリコピロニウム群(p<0.01)およびチオトロピウム群(p<0.05)と比較して低いスコアであった。
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 いずれの投与群でも許容できる安全性プロファイルであった。重篤な有害事象は全群間同等であった(23% vs 24% vs 22%)。

結論:
 2種類の気管支拡張薬を有するQVA149は、グリコピロニウム単独と比較して中等度以上のCOPD急性増悪を抑制する効果がある。QVA149は重症から超重症のCOPD患者の治療オプションとして有用であると考えられる。


by otowelt | 2013-04-25 00:09 | 気管支喘息・COPD

MRIで中枢性肺癌と無気肺の鑑別が可能

e0156318_1528968.jpg PET-CTはどこの施設にでも置いてあるわけではありませんので。

Yang RM, et al.
Differentiation of Central Lung Cancer from Atelectasis: Comparison of Diffusion-Weighted MRI with PET/CT.
PLoS One. 2013 Apr 4;8(4):e60279


目的:
 中枢性肺癌を無気肺と鑑別するためのMRIの拡散強調画像の有用性を検証する。

方法:
 中枢性肺癌と無気肺が胸部CTで鑑別困難である38人の連続肺癌患者(26人:男性、12人:女性、平均年齢49歳[28-71歳])を登録した。MRIは1.5テスラで、T1強調、T2強調、拡散強調画像を撮影できるものを用いた。

結果:
 38人全員で腫瘍と無気肺の区別が可能であったが、T2強調画像では9例で鑑別困難であった。T2強調画像と拡散強調画像の比較では、拡散強調画像では無気肺よりも中枢性肺癌でより信号雑音比 (signal-noise ratio)が高いことが示唆された。ADCマッピングでは、平均ADCは中枢性肺癌で有意に低かった(1.83±0.58 vs. 2.90±0.26 mm2/s, p<0.0001)。また、肺小細胞癌では、肺扁平上皮癌や肺腺癌よりも高いADC値であった(p<0.0001 for both)。
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結論:
 通常のMRIにおける拡散強調画像は、中枢性肺癌と無気肺を鑑別できる。これはPET-CT検査の代替としても有用であると考えられる。


by otowelt | 2013-04-24 10:27 | 肺癌・その他腫瘍

ペラルゴニウム・シドイデス(EPs 7630)はCOPD急性増悪抑制に有効

e0156318_89554.jpg うーん・・・。個人的に、植物関係のスタディは基本的に懐疑的な立場です。機序が判ってこそサイエンスなので、先に結果が出てしまうとどうしても賛否両論になるからです。
 Abstractしか読めなかったので、この薬草の具体的な薬効成分が何なのかはわかりませんでした。

Heinrich Matthys, et al.
Randomised, double-blind, placebo-controlled trial of EPs 7630 in adults with COPD
Respiratory Medicine, Volume 107, Issue 5 , Pages 691-701, May 2013


背景:
 COPD治療において急性増悪を予防しマネジメントすることは非常に重要なコンポーネントの1つである。われわれは、Pelargonium sidoides(フウロソウ科多年草)の根から抽出されたEPs 7630がCOPDのII~III期患者における急性増悪までの期間を延長させることができるかどうか検証した。

方法:
 このランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験では、患者はランダムに経口で1回30滴1日3回のEPs 7630を追加する群(99人)とプラセボ(101人)を追加する群に割り付けられ24週治療を受けた。
 プライマリエンドポイントは最初のCOPD急性増悪までの期間とした。セカンダリエンドポイントは、急性増悪の回数、抗菌薬の消費、QOL、患者満足度、労務不能、忍容性とした。

結果:
 急性増悪までの中央期間は有意にEPs 7630群で延長した(57日 vs 43日; p = 0.005)。EPs 7630の優越性はセカンダリエンドポイントでも同様の結果であった。すなわち、急性増悪の回数や抗菌薬使用が少なく、QOL、満足度を改善させ、労務不能日数を減らした。軽度の消化器系副作用はEPs 7630群で増加した。

結論:
 EPs 7630を中等度から重度のCOPD患者治療に追加することで、プラセボと比較して統計学的に有意な臨床的優越性をもたらし、長期的忍容性があることが明らかとなった。EPs 7630はCOPD急性増悪までの期間を延長させ、増悪の頻度や抗菌薬使用を減少させた。


by otowelt | 2013-04-23 07:52 | 気管支喘息・COPD

EGFR-TKIで治療されたEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌患者では、CYFRA21-1が高いとPFSが短縮する

e0156318_7422892.jpg 日本からの論文です。扁平上皮癌だけに絞った考察もしており、非常に勉強になる論文です。

Tanaka K, et al.
Cytokeratin 19 Fragment Predicts the Efficacy of Epidermal Growth Factor Receptor–Tyrosine Kinase Inhibitor in Non–Small-Cell Lung Cancer Harboring EGFR Mutation
Journal of Thoracic Oncology, in press, doi: 10.1097/JTO.0b013e31828c3929


背景:
 EGFR遺伝子変異は、性別や喫煙歴にかかわらずEGFR-TKI治療を受けている非小細胞肺癌(NSCLC)患者の良好な反応と独立して関連している。EGFR遺伝子変異陽性の扁平上皮癌は腺癌患者と比較するとEGFR-TKIの反応性は悪い(Cancer Sci 2011;102:1032–1037.)。われわれは、血清サイトケラチン19フラグメント(CYFRA21-1)がEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者へのEGFR-TKIの効果と関連しているのではないかと仮説を立てた。

方法:
 先端医療センター病院あるいは神戸市立医療センター中央市民病院において、われわれはレトロスペクティブに、1992年から2011年の間にゲフィチニブあるいはエルロチニブを投与した160人のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者をスクリーニングした。全ての患者はIIIB期、IV期、術後再発でEGFR遺伝子変異を有しているものとした。EGFRはPNA LNA PCR-Clamp法で同定した。組織学的分類はWHO分類に準じた。胸部CTは治療開始前28日以内に撮影され、以後2~3ヶ月ごとに繰り返された。
 患者から臨床的特徴、EGFR-TKIの効果、初診断時の腫瘍マーカー(CEA、CYFRA21-1)のデータを抽出した。

結果:
 91人(57%)が女性で97人(61%)が非喫煙者であった。年齢は33歳から90歳までで中央値は67歳だった。8人の扁平上皮癌と1人の大細胞癌以外はすべて腺癌と診断された。153人が主要なEGFR遺伝子変異を有していた(exon 19 deletion、L858R mutation)。残りの7人はまれなEGFR遺伝子変異であった(1人:L861Q in exon 21、6人:G719X in exon 18)。
 132人がゲフィチニブ、28人がエルロチニブで治療された。これらEGFR-TKIで治療された160人の患者のうち、CYFRA21-1が2ng/ml超の高値であった77人は無増悪生存期間(PFS)がCYFRA21-1が正常値であった83人より有意に短かった。(PFS中央値 7.5ヶ月 vs 13.3ヶ月、p< 0.001)。CEAの高値ではPFSに差はみられなかった(PFS中央値 8.6ヶ月 vs 11.2ヶ月、p= 0.242)。多変量解析ではCYFRA21-1の高値はPFS短縮の独立因子であった(ハザード比1.27、p=0.002)。
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 ただ、全生存期間(OS)については有意差がみられなかった(OS中央値 24.8ヶ月 vs 39.1ヶ月、p= 0.104)。
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 なお、EGFR-TKIで治療された8人の扁平上皮癌の患者のうち、4人がPD、2人がSD、2人がPRだった。EGFR遺伝子変異陽性の扁平上皮癌については、過去の報告でも同様にPFSの短縮が報告されている(Cancer Sci 2011;102:1032–1037.)。本試験では、腺癌の傾向と同じくCYFRA21-1が低い場合にはPFSが長くなるという現象が観察された。

limitations:
・195人の連続EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者を検索したが、35人はCYFRA21-1が測定されていなかったため除外された。これは選択バイアスの可能性がある。
・50%の患者が存命であるため、OSの解析が十分できなかった。
・CYFRA21-1が扁平上皮癌のコンポーネントを含むのかどうかははっきりしない。

結論:
 CYFRA21-1が高値である患者は有意にPFSが短い。EGFR-TKI治療を受けているEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において、CYFRA21-1は予後規定因子ではないが予測マーカーとして使用できる。


by otowelt | 2013-04-22 10:53 | 肺癌・その他腫瘍

妊娠中の長時間作用型β2刺激薬および低用量吸入ステロイド薬の使用は胎児の発育へ悪影響なし

e0156318_175567.jpg ときに妊婦の気管支喘息が紹介されることがあります。リスクを最優先した治療選択の場合、FDA分類にのっとってブデソニド(パルミコート®タービュヘイラー)を使用しています。個人的には、よほどコントロール不良か重症でなければ長時間作用型β2刺激薬は併用しないようにしていました。
 妊婦に限らず軽症からLABAとの合剤を使用しているケースをよく目にしますが、基本的に中等症以上のケースでやむなく使用するスタンスでいるべきだと思います(J Allergy Clin Immunol 2005;115:34–46.)。
 Thoraxのonline firstから、胎児の出生体重に関するスタディが報告されています。

Benoit Cossette, et al.
Impact of maternal use of asthma-controller therapy on perinatal outcomes
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2012-203122


背景:
 妊娠中の気管支喘息は通常長期管理薬治療を必要とする。このスタディの目的は、長時間作用型β2刺激薬(LABA)の使用および吸入ステロイド薬の用量が妊娠中の低出生体重児(LBW)、早産(PB)、胎児発育遅延:small for gestational age(SGA)に与える影響を調べることである。

方法:
 本試験は、カナダのケベック州の入院データベース(the Régie de l’assurance-maladie du Québec and the MED-ECHO databases)において1998年から2008年までに出産した気管支喘息の女性コホートを用いておこなわれた。試験の適格基準は45歳以下の女性で、単胎であることとした。また、1回以上気管支喘息として診断登録され、1回以上気管支喘息の治療薬を使用されていることを条件とした。吸入ステロイド薬を用いずにLABA単独使用のケースはすべて除外した。
 LBWは出生体重2500g未満と定義され、PBは37週以前の出生、SGAは出生体重が10パーセンタイル以下とした。吸入ステロイド薬はフルチカゾン相当量で以下のように分類した。すなわち、低用量: >0–62.5μg/日, >62.5–125μg/日, >125–250μg/日; 中等量:>250–500μg/日;、高用量:>500μg/日。妊娠中のLABAの使用と吸入ステロイド薬の用量の影響は、一般化推定方程式モデル(generalised-estimating-equation models)によって同定された。

結果:
 7376人の妊婦を本試験に登録した。平均年齢は27.5歳で、80.5%が都市部、56.1%が社会扶助を受けていた。
 8.8%がLABAに曝露され、56.9%が吸入ステロイド薬に曝露されていた。適格基準通り、すべてのLABA使用者は吸入ステロイド薬を併用していた。LBW、PB、SGAの頻度はそれぞれ7.7%、9.5%、13.5%だった。
 LABAの使用は、LBWの頻度(OR 0.81; 95%信頼区間0.58 to 1.12)、PBの頻度(OR 0.84; 95%信頼区間0.61 to 1.15)、SGAの頻度(OR 0.92;95%信頼区間 0.70 to 1.20)を増加させなかった。平均吸入ステロイド薬(フルチカゾン相当)用量が125 μg/日を超える場合、統計学的に有意ではないが次第にLBW、PB、SGAが多くなる傾向がみられた。
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結論:
 コントロール不良、重症喘息、喫煙ステータスといった残余交絡の可能性は残るものの、LABAと低用量吸入ステロイド薬の使用は新生児への当該アウトカムを増加させなかった。妊婦の気管支喘息に対する安全性をより評価するために、高用量吸入ステロイド薬における追加検証が必要だろう。


by otowelt | 2013-04-21 00:11 | 気管支喘息・COPD

特発性肺線維症の陰影を定量化することで予後予測が可能に

e0156318_22115711.jpg びまん性肺疾患で注目を集めているCALIPERを臨床応用した報告です。今年のATSでも画像解析によるIPFの予後予測の演題がいくつか予定されているようです。

Fabien Maldonado, et al.
Automated quantification of radiologic patterns predicts survival in idiopathic pulmonary fibrosis
ERJ April 5, 2013 erj00718-2012


背景:
 特発性肺線維症(IPF)の正確な予後をアセスメントすることは、個々の放射線学的多様性、身体的多様性のために捉えどころがないままである。われわれは、短期間の放射線学的画像の変化が生存予測を可能にすることができるのではないかという仮説を立てた。

方法:
 われわれはMayoクリニックのBiomedical Imaging Resource Labで開発されたソフトウェアツールであるCALIPER (Computer-Aided Lung Informatics for Pathology Evaluation and Rating)を用い、HRCTにおける肺実質の異常を解析・定量化した。
 われわれは、ベースラインとフォローアップ(それぞれタイムポイント1および2)にHRCTをIPF患者55人に撮影し、専門の放射線科医によってCALIPER定量項目を解析し臨床アウトカムとの相関性を調べた。IPFの診断は国際的なコンセンサスに基づいた診断基準を用いた。
 IPF患者はベースラインおよび2回目のHRCTを撮影する30日以内に呼吸機能検査を受けた。
 CALIPERが同定したのは以下の陰影である。すなわち、気腫、スリガラス影、網状影、蜂巣肺である。これらは12の領域に分けて解析された。
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結果:
 平均289日の間隔での、CALIPER定量下での網状影濃度の変化(HR 1.91, P = 0.006)、総間質性陰影の濃度の変化(HR 1.70, P = 0.003)、パーセント間質性陰影の変化(HR 1.52, P = 0.017)はフォロオーアップ期間2.4年後の生存を有意に予測した。
 放射線科医の診断による、特異的な放射線学的特徴のない短期での間質性肺疾患の進行もまた死亡の予後予測が可能であった。
 CALIPER定量による全肺気量と呼吸機能の全肺気量の相関はきわめて良好であった(ベースライン:r=0.77, P <0.001、2回目:r=0.87, P < 0.001)。

結論:
 IPF患者におけるHRCTでの短期間での肺野の変化を定量化することによって、IPFの予後予測が可能になるかもしれない。


by otowelt | 2013-04-19 16:06 | びまん性肺疾患