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5月31日:世界禁煙デー

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5月31日は世界禁煙デーです。

Wikipediaより引用
「毎年5月31日が世界禁煙デーとなっており、国際デーの1つである。(中略)1995年時点で世界の喫煙者は10億1000万人であり、約5人に1人の割合となっている。毎年世界で300万人が喫煙が原因とみられるがんや心臓病で亡くなっており、このままでは2030年代初頭には喫煙による死亡者が年間1000万人に達するとWHOは警告している。」

 医療従事者の喫煙率もまだまだ低いとは言えません。

医師と看護師の喫煙率


by otowelt | 2013-05-31 06:57 | 内科一般

額のパルスオキシメーターは動脈血酸素飽和度をより反映している

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 毛細血管血単独の酸素飽和度は日本ではあまり頻繁に測定されていないと思います。SaO2よりもやや低めに検出されます。

Stephanie Wilson, et al.
Comparing finger and forehead sensors to measure oxygen saturation in people with CHRONIC OBSTRUCTIVE PULMONARY DISEASE
Respirology, in press, DOI: 10.1111/resp.12129


背景:
 動脈血酸素飽和度はパルスオキシメーターを用いて指のセンサーで測定される(SpO2)。われわれは、SpO2を指で測定する場合と額で測定する場合を労作中のCOPD患者において比較した。

方法:
 有酸素運動を課した状態で、2つのパルスオキシメーターを指および額に装着しSpO2を測定した。運動前後において動脈化毛細血管血酸素飽和度が血液ガス分析によって測定された。登録されたCOPD患者の適格基準は、安静時から歩行時へのSpO2低下4%超で90%未満であることとした。喫煙者と酸素吸入をおこなっている患者は除外された。

結果:
 14人の患者がこの試験を完遂した(一秒量=35±10%[予測値])。動脈化毛細血管血酸素飽和度と比較して、指で測定したSpO2は2%低く(誤差の許容範囲[LOA]3%)、額で測定した場合2%高かった(LOA 4%)。
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 労作時の酸素飽和度の変化は指で測定した場合(-7; 95%信頼区間-4 to -10%)、額で測定した場合(-7; 95%信頼区間 -3 to -10%)および動脈血酸素飽和度の場合(-6; 95%信頼区間 -3 to -9%)では同等の変化であった。

結論:
 額でSpO2を測定すると、動脈化毛細血管血酸素飽和度よりも高めに数値が検出される。動脈化毛細血管血酸素飽和度が動脈血よりもやや低い値をとることを想定すると、額でのSpO2の測定は動脈血との相関がより高いのではないかと考えられる。いずれの測定法も労作による酸素飽和度の低下を同定できた。


by otowelt | 2013-05-31 00:31 | 呼吸器その他

カルバゾクロム(アドナ®)に止血効果はあるのか

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●はじめに
 呼吸器科医のみならず、出血のエピソードに遭遇したときに、カルバゾクロム(アドナ®)、トラネキサム酸(トランサミン®)を併用することが多いと思います。呼吸器科医の場合、抗酸菌感染症、肺アスペルギルス症、肺胞出血の際に用いることが多いでしょう。
 トラネキサム酸は、有名な試験ではCRASH-2試験という外傷の臨床試験でその早期投与の有用性が報告されています。
Roberts I et al. Effect of tranexamic acid on mortality in patients with traumatic bleeding: prespecified analysis of data from randomised controlled trial. BMJ 2012;345:e5839.

トラネキサム酸も古くから信頼性のある止血剤として多くの国々で使用されてきました。そのため、トラネキサム酸とカルバゾクロムを併用することに関してはいくつか有用性が報告されています。
・Ipema HJ, et al. Use of topical tranexamic acid or aminocaproic acid to prevent bleeding after major surgical procedures. Ann Pharmacother. 2012 Jan;46(1):97-107.
・Onodera T, et al.Risk of deep venous thrombosis in drain clamping with tranexamic acid and carbazochrome sodium sulfonate hydrate in total knee arthroplasty.J Arthroplasty. 2012 Jan;27(1):105-8.


ただし、トラネキサム酸は止血に関するスタディはいくつかあるものの、カルバゾクロムの有用性についてはよくわかっていません。


●カルバゾクロム(アドナ®)の臨床試験
 古くから、アドレナリンが体内で酸化されてできたアドレノクロムが止血効果を発揮しているのではないかと考えられてきました。アドレノクロムは確かにin vitroで止血効果をもたらすことがわかり、これは不安定な物質であるため、同様の効果を持ち安定性を持たせたカルバゾクロムスルホン酸ナトリウムを開発することができました。これが止血剤の代表薬として臨床現場に登場しました。
 実に半世紀以上前から、カルバゾクロムは止血剤として使用されてきた歴史があります。
・BACALA JC. The use of the systemic hemostat carbazochrome salicylate.West J Surg Obstet Gynecol. 1956 Feb;64(2):88-95.
・DYKES ER, et al.Carbazochrome salicylate as a systematic hemostatic agent in plastic operations. A clinical evaluation.JAMA. 1961 Sep 9;177:716-7.
・McLean WM, et al. Carbazochrome salicylate as a parenteral hemostat in tonsillectomy.Can J Surg. 1973 Sep;16(5):333-4.
・De Rosa E.Treatment of massive upper gastrointestinal hemorrhage with carbazochrome salicylate.Int Surg. 1970 Dec;54(6):428-31.


 カルバゾクロムは組織プラスミノーゲン活性化因子を減らし、毛細血管の透過性を減少させるとされていますが、詳細な作用機序は明らかになっていません。「血管壁を強化・補強」などという医学的に判然としない言葉で片付けられていることもあります。これは、モルモットやウサギ、動脈硬化を有するヒトでの血管抵抗値を増強するという報告に基づいているのですがイコール「強化」と言葉は何だか語弊を招くような気もしますがいかがでしょうか。
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・堀慶久ら.臨牀と研究 1974;51(7):1953-1965
・Sendo T, et al. Carbazochrome sodium sulfonate (AC-17) reverses endothelial barrier dysfunction through inhibition of phosphatidylinositol hydrolysis in cultured porcine endothelial cells.Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2003 Sep;368(3):175-80.
・Matsumoto Y, et al. Carbazochrome sodium sulphonate (AC-17) decreases the accumulation of tissue-type plasminogen activator in culture medium of human umbilical vein endothelial cells. Blood Coagul Fibrinolysis. 1995 May;6(3):233-8.


 健康成人男子に50mg静脈内投与した場合、血中濃度の半減期は約40分とされています。また、投与後およそ30~60分で効果を発揮し、3時間程度止血効果が持続すると言われています。実臨床ではアドナ単独で止血剤を用いることは多くなく、自然経過で止血しているかどうかもわかりませんので、この実感はありません。
大本武千代ら. 診療と新薬 1965;2:421-426

 そのため2013年現在、ヒトに対するカルバゾクロムのまともな臨床試験はありません。呼吸器系の出血に対して使用されたのは1961年の報告が最も古いものだと思われます。
Patel RB. Carbazochrome salicylate in the treatment of pulmonary haemorrhage. J Indian Med Assoc. 1961 Apr 16;36:327-30.

 ウマの有名な病気に運動誘発性肺出血(Exercise-induced pulmonary hemorrhage: EIPH)というものがあります。これに対して、フロセミドにカルバゾクロムを追加投与した報告がありますが、フロセミド単独と有意差はみられませんでした。
Perez-Moreno CI, et al.Effect of furosemide and furosemide-carbazochrome combination on exercise-induced pulmonary hemorrhage in Standardbred racehorses. Can Vet J. 2009 Aug;50(8):821-7.

直接的な止血アウトカムの改善以外の臨床試験ですと、デング出血熱をきたしている場合、ショックや胸水のアウトカムを改善させることはできなかったという報告があります。
Tassniyom S, et al. Failure of carbazochrome sodium sulfonate (AC-17) to prevent dengue vascular permeability or shock: a randomized, controlled trial. J Pediatr. 1997 Oct;131(4):525-8.

●まとめ
 結論として、少なくともカルバゾクロム単独が日常臨床で出合う出血性エピソードを有意に抑制できるかどうかは不明と考えられます。血管抵抗値を増加させ、血管透過性を減少させる効果はあるのかもしれませんが、喀血や吐血といったエピソードにどの程度効果を発揮しているのかどうかを知るためには、たとえばトラネキサム酸とトラネキサム酸+カルバゾクロムを比較する臨床試験を組む必要があるように思います。



by otowelt | 2013-05-30 00:07 | コントラバーシー

嚢胞性線維症の生後早期のBAL中の好中球エラスターゼ活性が気管支拡張症の早期発症と関連

e0156318_16412780.jpg 小児科領域の嚢胞性線維症の歴史において重要な報告だと思います。

Peter D. Sly, et al.
Risk Factors for Bronchiectasis in Children with Cystic Fibrosis
N Engl J Med 2013;368:1963-70.


背景:
 気管支拡張症は嚢胞性線維症の発症初期にみられ、時に生後10週の新生児にも同定されることが知られている。われわれは気管支拡張症発症の危険因子を同定するため、Australian Respiratory Early Surveillance Team for Cystic Fibrosis:AREST CFサーベイランスプログラムのデータで検討した。

方法:
 連続した127人の新生児スクリーニング後の嚢胞性線維症患者を登録した。生後3ヶ月、1歳、2歳、3歳時点で、病態が安定しているときに胸部CTおよび気管支肺胞洗浄(BAL)を施行した。生後3ヶ月から3歳までに同定できた気管支拡張症に関連するリスクファクターを調べた。

結果:
それぞれの時期における気管支拡張症の点有病率は、生後3ヶ月時の29.3%から3歳時ので61.5%まで上昇傾向にあった。多変量解析において、気管支拡張症のリスクファクターは、胎便イレウスを発症していること(オッズ比 3.17、95%信頼区間1.51~6.66、P=0.002)、胸部CTおよびBAL実施時の呼吸器症状(オッズ比 2.27、95%信頼区間1.24~4.14、P=0.008)、BAL液中の遊離好中球エラスターゼ活性(オッズ比 3.02、95%信頼区間1.70~5.35、P<0.001)、胸部呼気CTでのエアトラッピング像(オッズ比 2.05、95%信頼区間1.17~3.59、P=0.01)だった。
 生後3ヶ月時点でのBAL中の遊離好中球エラスターゼ活性は、遷延性の気管支拡張症(合計2回の連続胸部CTでの同所見があること)と関連しており、生後12ヶ月で7倍、3歳で4倍のオッズ比だった。
結論:
 嚢胞性線維症の患児における生後早期のBAL中の遊離好中球エラスターゼ活性が、気管支拡張症の早期発症と関連していることがわかった。


by otowelt | 2013-05-29 00:21 | 呼吸器その他

結核診療で使用されているリファンピシンの用量は少なすぎる

e0156318_13262050.jpg先のATSでもリファンピシンの妥当な用量について発表がありました。ヒトにおいては35mg/kg/日あたりまでは問題なさそうです。実臨床で高用量投与が可能になるのはずいぶん先の話でしょうが。

ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?

AJRCCMから、マウスにおける高用量リファンピシンの報告です。ちなみに、リファンピンとリファンピシンは同じです。前者がアメリカ表記で、後者が国際表記だと認識しています。

Jurriaan E. M. de Steenwinkel, et al.
Optimization of the Rifampin Dosage to Improve the Therapeutic Efficacy in Tuberculosis Treatment Using a Murine Model
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 187, No. 10 (2013), pp. 1127-1134.


背景:
 リファンピンの用量10 mg/kg/日は現在結核治療に用いられている用量であるが、適切な用量設定というわけではない。リファンピンの用量を増加させることで、治療期間の短縮が可能になるかもしれない。

目的:
 副作用のない最大効果の得られるリファンピンの用量をマウスにいて同定すること。

方法:
 北京株の肺結核に感染したマウスを用いた。3週間にわたるリファンピンの単剤治療の用量依存性効果を観察した。イソニアジドとピラジナミドのレジメンにリファンピンを上乗せする形で最大効果の用量範囲を調べた。

結果:
 結核に感染したマウスにおける忍容できるリファンピンの最大用量は、160mg/kg/日であった。イソニアジドとピラジナミドとの併用で、リファンピン10mg/kg/日の場合および160mg/kg/日の場合で、Cmax16.2、157.3 mg/Lであり、AUC0–24hは132、1,782 h·mg/L、AUC0–24h/最小阻止濃度 比は528、7129であった。感染再発がなく効果的なレジメンとして、9週間のHRZ(リファンピン用量80mg/kg/日)の投与が挙げられる。

結論:
 結核診療において現在使用されているリファンピンの用量は低すぎると考えられる。マウスの実験では、リファンピン80mg/kg/日は副作用を増加させることなく治療期間を短縮できる結核治療効果が得られるものと推察される。


by otowelt | 2013-05-27 00:11 | 抗酸菌感染症

症例報告:難治性気胸に対して気管支鏡的自己血注入が奏効した症例

症例報告を紹介します。

Wiaterek, Gregory, et al.
Bronchoscopic Blood Patch for Treatment of Persistent Alveolar-Pleural Fistula
Journal of Bronchology & Interventional Pulmonology:April 2013 - Volume 20 - Issue 2 - p 171-174


 人工呼吸器を装着したCrohn病を有する56歳の両側難治性気胸で、気管支鏡下に3mlの自己血を注入し、エアリークを止めたという症例報告。

 難治性気胸でEWSが効果を発揮することが知られていますが、自己血を注入するという観点もあるのだと感心しました。50%ブドウ糖液を注入したらどうなるんでしょうか。


by otowelt | 2013-05-26 11:47 | 気管支鏡

肺癌患者の自殺率は一般人口集団より高く、特に診断から3ヶ月以内は顕著

e0156318_16312716.jpg 自殺に関する問題にはなかなか踏み込めない研究者が多いのですが、CHESTから肺癌と自殺の関連について報告がありました。


Urban D, et al.
Suicide in lung cancer: Who is at risk?
Chest. 2013 May 16. doi: 10.1378/chest.12-2986.


背景:
 肺癌患者における自殺率は一般人口集団よりも高い。このスタディでは、肺癌患者における自殺に関連した患者・疾患特性を調べることにある。

方法:
 1973年から2008年の間、SEERデータベースを用いて原発性肺癌と診断された患者を抽出した。

結果:
 871230人の患者が肺癌と診断され、1184人が自殺した。自殺率は、1973年~1979年の1万人あたり8.83と2000年から2009年の1万人あたり7.17で有意に差はみられなかった。コホート全体での標準化死亡比(SMR)は4.95であり、癌の診断から3ヶ月以内では13.4であった。
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 ほとんどのサブグループでは一般人口集団よりSMRが高かったにもかかわらず、サブグループ内ではリスクに幅広く差がみられた。たとえば気管支肺胞上皮癌と小細胞がんではそれぞれSMRが1.58、7.28だった。もっとも高いSMRは、高齢者、進行期、転移がある患者でみられた。転移のある患者では高いSMRだったが、50%を超える自殺者は局所の癌で潜在的に治療可能な患者にみられた。

結論:
 一般的なアメリカの人口集団よりも肺癌患者において自殺リスクは高く、特に診断から3ヶ月以内は顕著であった。予後不良患者でSMRは高かったが、治療可能な患者でも自殺者数は多いため、これらの死亡原因を予防するための効果的スクリーニング戦略が望まれる。
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 たとえば、NCCNガイドラインでは、Distress thermometer screening toolなどを紹介している。


by otowelt | 2013-05-25 23:07 | 肺癌・その他腫瘍

重症ARDSに対する腹臥位療法は28日死亡率、90日死亡率を減少

e0156318_1332135.jpg 腹臥位療法についての新しい論文です。

Claude Guérin, et al.
Prone Positioning in Severe Acute Respiratory Distress Syndrome
N Engl J Med 2013. DOI: 10.1056/NEJMoa1214103


背景:
 急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者を含んだ過去の臨床試験では、人工呼吸管理中の腹臥位療法の臨床的効果について否定的なものがある(N Engl J Med 2001;345:568-73., JAMA 2004;292:2379-87., Am J Respir Crit Care Med 2006;173:1233-9.,JAMA 2009;302:1977-84.)。われわれは、重症ARDS患者に対して早期から腹臥位療法を適応する効果について検証した。

方法:
 このフランスおよびスペインにおける多施設共同プロスペクティブランダム化比較試験において、われわれは466人の重症ARDS患者を少なくとも16時間の腹臥位療法あるいは仰臥位のままでの治療の2群に割り付けた。重症ARDSは、P/F比が150未満、人工呼吸管理は少なくともFiO20.60、PEEPが少なくとも5cmH2O、一回換気量が6ml/kg[理想体重]の状態にある患者と定義した。プライマリアウトカムは28日時点での総死亡率とした。結果:
 237人の患者が腹臥位群、229人の患者が仰臥位群に割り付けられた。28日死亡率は腹臥位群で16.0%、仰臥位群で32.8%だった(P<0.001)。腹臥位療法の死亡におけるハザード比は0.39だった(95%信頼区間0.25 to 0.63)。非補正90日死亡率は腹臥位群23.6%、仰臥位群41.0%であった(P<0.001)。これについてはハザード比は0.44 (95%信頼区間 0.29 to 0.67)。 有害事象については両群に差はみられなかったが、心肺停止が仰臥位群でやや多くみられた。

結論:
 重症ARDS患者に対する早期の腹臥位療法は有意に28日死亡率、90日死亡率を減少させる。


by otowelt | 2013-05-24 22:01 | 集中治療

患者の好みの音楽をかけることで人工呼吸管理下の不安が軽減

e0156318_23342079.jpg せん妄対策の観点からも、最近は音楽やラジオをかけているICUが多いように思います。先のATSでも音楽に関する演題がありましたね。

ATS2013:ウィーニング時に音楽をかけることで不安を軽減できる

Effects of Patient-DirectedMusic Intervention on Anxiety and Sedative Exposure in Critically Ill Patients Receiving Mechanical Ventilatory Support
A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013;doi:10.1001/jama.2013.5670.


背景:
 鎮静薬の代替としてたとえば音楽は人工呼吸器管理下にある患者の不安をやわらげることができるかもしれない。

目的:
 人口呼吸管理下にある重症患者個人が好む音楽が不安を軽減し、鎮静薬への曝露をも減らすことができるかどうか検証すること。

方法:
 2006年9月から2011年3月までの間、5病院、12のICUから373人の患者を登録した。86%が白人で、52%が女性、平均年齢は59歳だった。平均APACHE IIIスコアは63点であった。音楽療法士が介入し、患者が好む音楽をかける群(126人)、ノイズキャンセルヘッドホンを装着する群(122人)、通常ケア群(125人)の3群に割り付けられた。
 主要アウトカムは、日々の不安アセスメント(VASスコア)および鎮静薬への曝露とした。

結果:
 患者が好む音楽をかける群では、音楽は1日平均79.8分かけた。ノイズキャンセルヘッドホン群では、ヘッドホンを1日平均34.0分装着した。混合モデル解析では、どの時期においても好みの音楽をかけた患者は不安スコアが通常ケア群より低かった(P = .003)。また音楽群において、試験5日目までに不安は36.5%減少した。また、鎮静薬の曝露についても音楽群で有意に減少した。通常ケア群と比較して、音楽群では鎮静薬強度の減少(−0.18ポイント/日 [95%信頼区間 −0.36 to −0.004]、P = .05)および頻度の減少(−0.21ポイント/日 [95%信頼区間 −0.37 to −0.05]、P = .01)がみられた。この傾向は、ヘッドホン群との比較でも同等であった(P = .04)。
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結論:
 急性期の人工呼吸管理を受けているICU患者において、好みの音楽をかけることは不安や鎮静薬の曝露の軽減をもたらすことができる。


by otowelt | 2013-05-23 22:51 | 集中治療

REDUCE試験:COPD急性増悪における5日間の短期的全身性ステロイドは14日間に非劣性

e0156318_13254455.jpg 自著(「寄り道」呼吸器診療)の中で、2011年のコクランレビュー(Walters JA, et al. Cochrane Database Syst Rev. 2011 Oct 5;(10):CD006897.)を加味して、「COPD急性増悪に対する全身性ステロイドは10日程度が妥当か」と書いた後にREDUCE試験が発表されました。短い方がベターである点は賛成です。

Jörg D. Leuppi, et al.
Short-term vs Conventional Glucocorticoid Therapy in Acute Exacerbations of Chronic Obstructive Pulmonary Disease
The REDUCE Randomized Clinical Trial
JAMA. 2013 doi:10.1001/jama.2013.5023.


背景:
 国際的ガイドラインでは、COPDの急性増悪時の経口ステロイド(プレドニゾロン30~40mg)は7~14日間投与することが支持されている。しかしながら、適切な用量や治療期間は不明である。

目的:
 COPD急性増悪に対する短期的な全身性ステロイド(5日間)が非短期間(14日間)の治療に非劣性であることを検証する。

方法:
 2006年3月~2011年2月にCOPDの急性増悪でスイスの5施設の救急部を受診した314人が登録された。患者はプレドニゾロン40mg/日の5日間投与群あるいは14日間投与群にランダムに割り付けられた。いずれも初回ステロイド投与は静注でおこない、2回目以降は経口で薬剤が投与された。5日間群では6日目以降にプラセボが使用された。非劣性条件を5日間群におけるCOPD再増悪の頻度が65%を超えないこと、許容限界値のハザード比1.515と設定。プライマリエンドポイントは、180日以内のCOPDの増悪とした。

結果:
 試験期間中に、314人中289人(92%)が入院した。311人がITT解析、296人がper protocol解析の対象。
 ITT解析における5日間群の14日間群に対する180日以内のCOPD増悪のハザード比は0.95(90%信頼区間0.70~1.29、p=0.006)、per protocol解析におけるハザード比は0.93(90%信頼区間 0.68~1.26、p=0.005)だった。これは非劣性の範囲内であった。
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 5日間群および14日間群の180日以内の推計COPD増悪頻度はそれぞれ37.2%(95%信頼区間29.5~44.9%)、38.4%(95%信頼区間30.6~46.3%)だった。
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 死亡までの期間、増悪または死亡、およびこれらの混合アウトカムについては両群で差は観察されなかった。
 高血糖や高血圧などの治療関連有害事象に有意差はなかった。

結論:
 COPD急性増悪患者に対する5日間の全身性ステロイド治療は、14日間の治療に比べ180日以内のCOPD再増悪について非劣性だった。


by otowelt | 2013-05-23 13:29 | 気管支喘息・COPD