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Black bronchoscopy:黒色気管支鏡所見

 気管支鏡中に黒くなる所見といえば、気管支鏡の破損くらいしかお目にかかったことがありません(誰しも経験したくありませんが)。ご紹介するのは、煤(すす)による症例報告ですが、ほかにもメラノーマの転移(J Bronchology Interv Pulmonol. 2010 Apr;17(2):146-8.、Respiration. 2003 Mar-Apr;70(2):206.)が報告されています。

Ribeiro, Carla, et al.
"The Black Bronchoscopy": A Case of Airway Soot Deposition
Journal of Bronchology & Interventional Pulmonology. 20(3):271-273, July 2013.


 ”black bronchoscopy(黒色気管支鏡所見)”という言葉は、気道に黒色の沈着がみられるときに使用する。いくつかの原因があるが、きわめてまれな所見である。
 われわれは71歳の女性主婦で、在宅の火事によって起こった大量の煤(すす)が沈着した”black bronchoscopy”の症例を経験した。
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(文献より引用)


by otowelt | 2013-07-31 00:31 | 気管支鏡

システマティックレビュー:胸部鈍的外傷に対する非侵襲的換気は挿管を回避できる可能性がある

e0156318_16405575.jpg お詫び: 当ブログは多くの記事があるのですが、その過去の記事のいずれかに1日いくつものコメントあるいは相談が書き込まれます。最近はそのコメント数が増加傾向にあり、すべてに対処することが難しくなりました。そのため、コメントができない設定に変更させていただきます。色々コメントをくださった方には、心よりお詫び申し上げます。

 胸部外傷に対する非侵襲的換気(NIV)についてのシステマティックレビューです。

Abhijit Duggal, et al.
The safety and efficacy of noninvasive ventilation in patients with blunt chest trauma: a systematic review
Critical Care 2013, 17:R142 doi:10.1186/cc12821



背景:
 この論文は、急性肺傷害(ALI)のリスクが高い胸部鈍的外傷患者に対する非侵襲的陽圧換気(NPPV)、持続性陽圧換気(CPAP)を含んだ非侵襲的換気(NIV)の安全性と効果を検証したシステマティックレビューである。

方法:
 MEDLINE, EMBASE, CENTRALデータベースを検索した。信頼性のある臨床データを有する臨床試験を抽出し、ニューキャッスル・オタワ・スケールを用いて比較試験の質を評価した。

結果:
 このシステマティックレビューでは9試験が登録された(3つがランダム化比較試験、2つがレトロスペクティブコホート試験、4つが比較群のない観察研究)。外傷重症度、低酸素血症の程度、登録のタイミングなどで有意な異質性が確認された。1試験は呼吸不全に陥る前からNPPVを使用していたが、そのほかの試験はすべて呼吸不全に陥ってからNPPV/CPAPを使用していた。
 NIV群の18%の患者が挿管を要した。NIVの期間は試験によってまちまちであったが、NIV使用そのものは有意な死亡リスク上昇にはつながらなかった。4つの観察研究では、NIVと挿管・人工呼吸管理を比較した場合、ICU在室期間の短縮(5.3-16日 vs 9.5-15日)、合併症の減少(0-18% vs 38-49%)、死亡率の減少(0-9% vs 6-50%)に寄与していた。

結論:
 呼吸不全を有していなくても胸部鈍的外傷に対する早期のNIVは挿管を回避できる可能性があり、合併症やICU在室期間を減らすことができる。挿管を回避するためにNIVを使用すべきかどうかは議論の余地があり、現時点では高いエビデンスは得られない。


by otowelt | 2013-07-30 00:12 | 集中治療

救命救急センターにおける医原性気胸の約半数は中心静脈カテーテル挿入後に起こっている

e0156318_23212340.jpg 報告するにはなかなか勇気の必要な論文です。呼吸器科的には気管支鏡後やCTガイド下生検後の気胸の方がコモンですが、救命救急センターでの気胸については中心静脈カテーテル挿入後の気胸が多いようです。

El Hammoumi MM, et al.
Iatrogenic pneumothorax: experience of a Moroccan Emergency Center.
Rev Port Pneumol. 2013;19(2):65-9.


背景および方法:
 教育病院の救命救急センターでの医原性気胸(IPx)の頻度は、侵襲的な処置が多くなるにつれて増加している。そのため我々はレトロスペクティブ試験において、本センターにおけるIPx症例を同定した。

結果:
 2011年1月から2011年12月までの間、36人の患者が侵襲性処置後のIPxと診断された。平均年齢は38歳(19~69歳)であり、患者のうち21人(58%)が男性、15人(42%)が女性だった。6例が診断的処置後のIPxであり、30例が治療的処置後のIPxであった。8人(22%)が基礎の肺疾患に対する処置であり、28人(78%)が肺以外の疾患に対する処置後のIPxであった。
 IPxを起こした処置として最も多かったものは、中心静脈カテーテル挿入(20人:55%)であり、人工呼吸器装着が8例(22%)であった(そのうち3例は両側気胸)。また胸腔穿刺後のIPxが6例(16%)、救命目的の緊急気管切開後のIPxが2例みられた。
 ほとんどの患者は細径の胸腔ドレーンを留置された。平均ドレナージ期間は3日(1~15日)だった。残念ながら、気管切開後の患者は脳の虚血によって15日後に死亡した。

結論:
 教育病院におけるIPxの頻度は侵襲的な処置が多くなるにつれて増加しているため、十分な監督下でおこなわれるべきである。


by otowelt | 2013-07-29 00:03 | 救急

CHEST-1試験、PATENT-1試験:新規肺高血圧症治療薬リオシグアトの有効性

e0156318_1116566.jpg sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激薬は、慢性肺血栓塞栓症に続発する肺高血圧症の治療薬として期待されている薬剤です。近い将来市場に出回ると思います。NEJMから2試験が論文化されています。
 私の記憶が正しければ、現在使われている3系統の肺高血圧症治療薬すべては、6分間歩行距離をプライマリエンドポイントにした第3相試験の結果をもって有効性が確認されています。全例心カテをおこなうわけにもいかないので、6分間歩行距離がきわめて重要なサロゲートマーカーあることは理解しているのですが、・・・なんというか、6分間歩行距離って”気合い”で変わるんじゃないかと思ってしまいます。たとえば450m歩けた患者さんであっても次の日には480m歩けることがあるわけで。6分間歩行試験を何度も繰り返していると、「なんかもう歩くの適当でいいや」とか「前回の記録を抜くぞ!」といった意気込みも大きなバイアスになってきます。もちろん複数日に分けて複数回検査してその平均を出せば信頼性は上がるのでしょうが・・・。まぁこれを言ってしまえば、QOLや呼吸困難感のスケールなんてもっとバイアスが大きいのでしょう。

Hossein-Ardeschir Ghofrani, et al.
Riociguat for the Treatment of Chronic Thromboembolic Pulmonary Hypertension
N Engl J Med 2013; 369:319-329


概要:
 CHEST-1試験は、手術不能の慢性血栓塞栓性肺高血圧症の患者または肺動脈内膜摘除術後に肺高血圧症の持続や再発がみられる患者261人を、プラセボ投与とリオシグアト投与にラダムに割り付けた第3相試験である。
 治療開始16週目までに、6分間歩行距離はリオシグアト群で平均39m増加したのに対して、プラセボ群では平均 6m減少(最小二乗平均差46m、95%信頼区間25~67、P<0.001)。肺血管抵抗は、リオシグアト群で226 dyn・sec・cm-5 低下し、プラセボ群では 23 dyn・sec・cm-5 上昇(最小二乗平均差 -246 dyn・sec・cm-5 、95%信頼区間-303~-190、P<0.001)。またリオシグアトはNT-proBNP濃度(P<0.001)およびWHO機能分類(P=0.003)も有意に改善した。



Hossein-Ardeschir Ghofrani, et al.
Riociguat for the Treatment of Pulmonary Arterial Hypertension
N Engl J Med 2013; 369:330-340


概要:
 PATENT-1試験は、症候性肺動脈性肺高血圧症(PAH)患者443人を、プラセボ群、リオシグアト2.5mg1日3 回を最大として個別調節投与する群(最大2.5mg群)、リオシグアト1.5mg1日3回を最大として個別調節投与する群(最大1.5mg群)にランダムに割り付けた第3相試験である。
 治療開始12週目までに、6分間歩行距離は最大2.5mg群では平均30m増加し、プラセボ群では平均6m減少(最小二乗平均の差36m、95%信頼区間 20~52、P<0.001)。これは、エンドセリン受容体拮抗薬またはプロスタノイドを投与されている患者でも効果が確認された。また、肺血管抵抗(P<0.001)、NT-proBNP 濃度(P<0.001)、WHO機能分類(P=0.003)、臨床的なPAH増悪までの期間(P=0.005)、Borg呼吸困難感スコア(P=0.002)をリオシグアトは有意に改善させた。


by otowelt | 2013-07-28 00:03 | 呼吸器その他

pneumonia(肺炎)とpneumonitis(肺臓炎)の違いとは?

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・はじめに
 一般的な肺炎のことをpneumoniaと英語表記することはご存知と思いますが、pneumonitis(肺臓炎)という類似の病態があります。代表的なものが過敏性肺炎(hypersensitivity pneumonitis)です。昔は過敏性肺臓炎と呼ばれていましたが、現在では”臓”という文字を省略し、過敏性肺炎と呼びます。日本呼吸器学会もこの呼び名を使用しています(http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=16)。そのほかにも放射線肺臓炎は放射線肺炎、薬剤性肺臓炎は薬剤性肺障害と呼ばれるようになりました。

 日本では、基本的にはpneumoniaもpneumonitisも”肺炎”と表記するようになりました。しかし、これら2つの用語の違いは、私たち呼吸器科医にとっても”呼吸器内科7不思議”の1つといっても過言ではありません。果たしてこれらの違いとは一体何なのでしょうか?


・語源の違い
 そもそもpneumoniaの「-ia」は「制限される」という意味が語源になっています。マラリア(Malaria)、貧血(anemia)なども同じ語源です。そのため、肺(pneumo-)が何らかの原因で制限されている病態を漠然とあらわした言葉であり、元来肺炎を意味する言葉ではありません。一方pneumonitisの「-itis」は「炎症」を表す言葉であることはご存知のことと思います。語源としては後者の方がより具体的ではあります。

 pneumoniaは病理学的な情報を含んでいないというエキスパートオピニオンがあります。一方で、pneumonitisは”肺(実質間質を問わず)に炎症が起こっていること”を表す単語に過ぎず、それは病理学的な意味合いも包括すると考えられることがあります。もう少し噛み砕くと、「細菌感染が肺に起こっている、治療が必要な状態である」というものを典型的なpneumonia、「原因はともかくとして、肺に炎症が起こっている」というものを典型的なpneumonitisと呼ぶのが最初の起源だったようです。
Coope R. Pneumonitis. Thorax 1946;1:26-29.

 極端な場合、炎症が起こっていないpneumoniaというのもありえた時代があったのかもしれません。現在では上記の起源は薄まり、pneumoniaは「感染」を意味し、pneumonitisは「炎症」を意味するように変遷を遂げました。これについては後で述べます。


・病変の場所が違う
 欧米の医師がpneumoniaとpneumonitisを使い分けているポイントは、2つあります。その1つが病変の場所が違うという点です。基本的に細菌性肺炎などのように肺胞性の炎症が起こる場合をpneumoniaと表記し、肺胞以外の間質などに炎症を起こす場合をpneumonitisと使い分けています。

 過敏性肺炎は、吸入抗原によって起こる病態ですから、肺胞腔内に器質化所見がみられ細気管支炎の像も観察されます。典型例だとリンパ球性胞隔炎がみられ、今述べたようなpneumonitisという表記で矛盾のない病態でもあります。慢性化すると細気管支中心性の間質性肺炎像がみられ、小葉中心性の線維化が進行するため、pneumonitisの表記にふさわしい疾患に変貌を遂げます。

 しかしながら、間質性肺炎の場合「interstitial pneumonia」と記載します。間質に病変の主座を置くこの疾患が、なぜpneumonitisではなくpneumoniaなのでしょうか?これは、間質性肺炎が認知され始めた初期に、病変の主座がわからず胸部レントゲンで認識される原因不明のスリガラス影として捉えられていた歴史があるためと考えられています。そのため、医学が進歩して間質の炎症であることがわかった後、pneumoniaという表記は間違いではないかという論争もありました。
Spencer H. Interstitial Pneumonia. Annual Review of Medicine 1967; 18:423-440.

 しかし近年では、すでにpneumonitisという単語が”外因性”という特性を色濃く持つようになったことから、特発性間質性肺炎はpneumonitisにはなりえませんでした。
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・原因が違う
 もう1つのポイントは、原因が異なることです。基本的にはpneumoniaは前述のごとく感染症によるもので、pneumonitisはそれ以外を指します。特に化学性のものは後者に位置付けられるべきという国際的コンセンサスがあるため、放射線肺炎や大量誤嚥によるMendelson症候群はpneumonitisと表記するようになっています。

 誤嚥性肺炎では原因や発症機序によってその用語を使い分ける必要がありますので、誤嚥性肺炎と言っても「aspiration pneumonia」と「aspiration pneumonitis」のどちらを指しているのか、欧米では明確に区別しているようです。純粋に感染症を示唆する場合には前者、化学性肺炎や間質性肺炎に至るケースは後者と考えています。
Marik PE. Aspiration pneumonitis and aspiration pneumonia. N Engl J Med. 2001 Mar 1;344(9):665-71.

 そのため、「pneumonitis」という言葉を聞いたとき、その接頭語として「chemical(化学性)」や「extrinsic(外因性)」という言葉を想起することが一般的になりました。


・おわりに
 肺臓炎という言葉が肺炎に統合されることが多くなり、日本ではpneumoniaとpneumonitisの区別があまりされなくなりつつあります。しかしながら一言で”肺炎”といっても、肺胞がおかされているのか、間質がおかされているのか、はたまた細気管支がおかされているのか、といったディスカッションは呼吸器科医として極めて重要な診療スタイルだと思っています。


by otowelt | 2013-07-26 00:57 | コントラバーシー

慢性過敏性肺炎で抗原が同定できなければ生存期間が短い

e0156318_1063321.jpg CHPの論文です。CHP自体あまり論文が出ないので、珍しいと思います。

Evans R, et al.
Identifying an Inciting Antigen is Associated with Improved Survival in Patients with Chronic Hypersensitivity Pneumonitis
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.12-2685


背景:
 過敏性肺炎に対する疑わしい抗原の同定はしばしば困難をきわめる。

目的:
 慢性過敏性肺炎(CHP)における抗原の同定が、生存に影響を与えるかどうか検証すること。

方法:
 CHP患者の患者背景および抽出した臨床的データから、抗原の同定が生存におよぼす影響を調べた。Cox比例ハザードモデルを用いて、ハザード比を算出した。

結果:
 抗原が同定できた患者(67人)と同定できなかった患者(75人)では、抗原が同定できた患者では年齢が若かった(p=0.01)。それ以外の臨床的パラメータ(呼吸機能、胸部HRCTでの線維化所見)は同等であった。
 一方、生存した患者と死亡した患者の2群で比較すると、生存した患者の多くは抗原が同定できていた(66%)。しかしながら、死亡した患者の68%は抗原が同定できていなかった(p < 0.01)。また生存した患者ではCHPによる胸部HRCT上の線維化が少なかった(21% vs 50%, p < 0.01)。
 多変量解析では、患者年齢(ハザード比1.04、95%信頼区間1.01~1.07、p=0.005)、過去の喫煙歴(ハザード比2.01、95%信頼区間1.15~3.50、p=0.014)、抗原が同定できなかったこと(ハザード比1.76、95%信頼区間1.01~3.07、p=0.046)、FVC%(ハザード比1.36、95%信頼区間1.10~4.35、p=0.004)、肺線維症(ハザード比2.43、95%信頼区間1.36~4.35、p=0.002)が生存を短くする有意なリスク因子であった。
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(文献より引用)

 Kaplan-Meier曲線では、抗原の同定できた患者の生存は有意に延長していた。肺線維化のない場合、さらに生存的な利益が得られた。
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(文献より引用)

結論:
 CHPにおける抗原同定は生存期間を有意に変える独立因子である。抗原を同定し、回避することが肝要と考えられる。


by otowelt | 2013-07-25 00:12 | びまん性肺疾患

FASTACT-2試験:非小細胞肺癌のファーストラインに対してエルロチニブは上乗せ効果あり

e0156318_1083168.jpg 2012年ESMOで報告された内容です。今年のASCOでもEGFR-TKIの併用については日本から別の報告があったように記憶しています。

Wu YL, et al.
Intercalated combination of chemotherapy and erlotinib for patients with advanced stage non-small-cell lung cancer (FASTACT-2): a randomised, double-blind trial.
Lancet Oncol. 2013 Jul;14(8):777-86.


背景:
 FASTACT試験は進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するランダム化プラセボ対照第2相試験で、化学療法に対するエルロチニブの無増悪生存期間(PFS)の上乗せ効果が示唆されている。FASTACT-2試験は、これらの患者群に対する第3相試験である。

方法:
 第3相試験において、未治療のIIIB/IV期のNSCLC患者がランダムに1:1で6サイクルのゲムシタビン+カルボプラチン+プラセボおよび、ゲムシタビン+カルボプラチン+エルロチニブに割り付けられた(化学療法は4週間ごと)。エルロチニブおよびプラセボは15-28日に挿入する形をとった。病勢増悪あるいは毒性に容認できないあるいは死亡するまでエルロチニブあるいはプラセボは続けられた。なお、プラセボ群の病勢増悪時にはエルロチニブ使用が推奨された。
 プライマリエンドポイントはITT(intentio-to-treat)でのPFSとした。
  
結果:
 2009年4月29日から2010年9月9日までの間、451人の患者がランダムに化学療法+エルロチニブ(226人)、化学療法+プラセボ(225人)に割り付けられた。
 PFS中央値はエルロチニブ併用群で有意に延長した(7.6ヶ月 vs 6.0ヶ月、ハザード比0.57、p < 0.0001)。また、全生存期間中央値も延長した(18.3ヶ月 vs 15.2ヶ月、ハザード比0.79、p = 0.0420)。これらの利益は、EGFR遺伝子変異がある場合に顕著にみられた(PFS中央値16.8ヶ月 vs 6.9ヶ月、ハザード比0.25、p < 0.0001およびOS中央値31.4ヶ月 vs 20.6ヶ月、ハザード比0.48、p = 0.0092)。
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 重篤な有害事象は、それぞれ34%、31%であった。grade3以上の有害事象は、好中球減少(29% vs 25%)、血小板減少(14% vs 14%)、貧血(12% vs 9%)だった。

ディスカッション:
・EGFR遺伝子変異陽性の頻度が影響を与えたのではないか:本試験では、53%にEGFR遺伝子変異がみられた。両群ともにこれらの差はなく、割り付けの時点でのバイアスは否定される。
・プラセボ群の後治療としてエルロチニブが使用されていなのではないか:85%がクロスオーバーしており、15%の逸脱によって生存曲線に有意な差が出るとは考えにくい。しかしながら、プラセボ群でOSとPFSの解離については、クロスオーバーの結果生じた可能性は否定できない。

結論:
 NSCNCにおけるファーストラインの化学療法に対して、エルロチニブはPFSおよびOSを延長させる。



by otowelt | 2013-07-24 00:43 | 肺癌・その他腫瘍

新生児を飛行機に乗せた場合、酸素飽和度最低値は中央値で87%

e0156318_956493.jpg ギャン泣きしている赤ちゃんではデータの信頼性が乏しくなるため、基本的におとなしくしているかスヤスヤ寝ている新生児のSpO2が有用なデータとして用いられるべきなのは容易に想像できると思います。この論文はResearch letterなので文章がとても少ないです。
 小児では2500mを超える場所で睡眠をとらないよう方がよいとされています。なお、機内の気圧は高度2000m程度と同じになるように与圧されています。

Mansi Khanna, et al.
Evaluating hypoxia during air travel in healthy infants
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2013-203905


背景:
 航空機内では、低出生体重時ではSpO2の低下を招くことが知られている。酸素補充の必要性を考慮する上で、低酸素試験:hypoxia challenge test (HCT)が推奨されているが、健康な新生児における報告はない。

目的:
 新生児(生後2.3–44.6週)において、航空機内の低酸素への反応とHCTについて検討した。

結果:
 航空機へ搭乗する前に、新生児24人(男児15人)がHCTを受け、SpO2を測定された。フライト中のSpO2最低値の中央値は87%であり、HCTにおける最低値の92%よりも有意に低かった(p < 0.001)。
 複数のフライトを経験した6人におけるSpO2を詳細に記録した。
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(文献より引用)
 
 その結果、ばらつきが非常に大きかったが、中にはSpO2が85%を下回ったフライトもあった(20%)。

結論:
 航空機内における新生児のSpO2が85%を下回ることは時に起こりうる。また、HCTはこれを予測することが難しい。


by otowelt | 2013-07-23 00:24 | 呼吸器その他

メタアナリシス:喫煙と術後合併症の関連

e0156318_23262232.jpg 喫煙と術後合併症に関するメタアナリシスです。術前に禁煙することは当然ですが、できれば長期の禁煙を達成してから手術に臨んで欲しいと思うのは外科医の総意だろうと思います。

Grønkjær M, et al.
Preoperative Smoking Status and Postoperative Complications: A Systematic Review and Meta-analysis.
Ann Surg. 2013 Jun 24, in press


目的:
 術前の喫煙ステータスおよび術後の合併症の関連についてのシステマティックレビューをおこなう。

背景:
 術前喫煙歴と術後合併症の関連について調べた論文の結論は個々で異なるため、システマティックレビューおよびメタアナリシスが求められている。

方法:
 MEDLINE、EMBASE、CINAHL、PsycINFOを用いてデータを収集し、システマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。登録された試験は、喫煙歴と術後合併症(術後30日以内)について関連性を報告した原著論文とした。合計9354の試験が同定され、データが抽出された。さまざまな合併症タイプごとにforest plotおよび95%信頼区間を含む相対リスクを算出した。

結果:
 9454の試験のうち、107の試験がメタアナリシスに組み込まれた。157のデータセットが抽出された。
 術前喫煙歴は、さまざまな術後合併症を増加させた。すなわち、一般的合併症発生(相対リスク1.52, 95%信頼区間1.33-1.74)、創部合併症(相対リスク2.15, 95%信頼区間1.87-2.49)、一般的感染症(相対リスク1.54, 95%信頼区間1.32-1.79)、呼吸器系合併症(相対リスク1.73, 95%信頼区間1.35-2.23)、神経学的合併症(相対リスク1.38, 95%信頼区間1.01-1.88)、ICU入室(相対リスク1.60, 95% 信頼区間1.14-2.25)。
 術前喫煙歴は、術後の死亡率、心血管合併症、出血、縫合不全、移植片拒絶反応を増加させなかった。

結論:
 術前の喫煙歴は、一般的な合併症発生、創部合併症、一般的感染症、呼吸器系合併症、神経学的合併症、ICU入室のリスクを増加させた。


by otowelt | 2013-07-22 00:12 | 呼吸器その他

メタアナリシス:EGFR-TKIによる致死的有害事象は1.9%で安全かつ忍容性が高い

 アブストラクトしか読めないのでよくわからなかったのですが、通常の化学療法と比較して致死的有害事象が有意に多いというわけではないという結論のようです。

Qi WX, et al.
Incidence and risk of treatment-related mortality in cancer patients treated with EGFR-TKIs: A meta-analysis of 22 phase III randomized controlled trials.
Respir Med. 2013 Jun 27. pii: S0954-6111(13)00217-5.


背景:
 EGFR-TKIはEGFR遺伝子変異陽性の肺癌の治療の根幹になったが、それだけでなく他の肺癌においても重要な役割を持っており、他の固形癌でも研究が進んでいる。しかしながら、これらの薬剤は動脈・静脈血栓イベントなどの潜在的に致命的な副作用リスクを孕んでいる。

方法:
 われわれは、EGFR-TKI治療を受けた癌患者における致死的有害事象の頻度とリスクをメタアナリシスによって検証した。発症率、相対リスク、95%信頼区間がランダム効果モデルを用いて算出された。

結果:
 合計22試験、13825人の患者が登録された。EGFR-TKIの治療を受けた患者のうち、致死的有害事象は1.9%(95%信頼区間1.2~2.9%)にみられた。コントロールと比較した致死的有害事象の相対リスクは0.99であった(95%信頼区間0.70-1.41, p = 0.97)。事前に規定されたサブグループでも致死的有害事象のリスク増加はみられなかった。加えて、サルベージ療法としてのEGFR-TKIの使用はコントロールと比較して致死的有害事象のリスクを減少させた(相対リスク0.51, 95%信頼区間0.29-0.87, p = 0.013)。

結論:
 進行固形癌におけるEGFR-TKIの使用は、致死的有害事象を増加させず、安全かつ忍容性がある。


by otowelt | 2013-07-21 00:22 | 肺癌・その他腫瘍