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聴診器は普段どのように消毒しているか

聴診器は呼吸器内科医に限らず全ての医師にとって必須の“武器”でありますが、時にそれが病原微生物の伝播につながることがあります。

・MDQAで質問
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 MDQA(http://www.mdqa.jp/)において、現場で働く医師に対して質問させていただいたところ、以下のような回答が得られました。内容は、一部編集・省略しています。

 小児病院での場合ですが、入院患児については、全員ベッドに聴診器を備え付けにして、患児個人使用にしています。退院したらアルコールで拭いて消毒です。外来についてもブースごとの設置で持ち歩かないようにしています。感染制御的には、アルコールで不活化できない微生物を除いて、血管穿刺とかに使うアルコール綿で清拭するようにしています。アルコールで不活化できないノロ、ロタ、クロストリジウム・デフィシルがやっかいです。外来は、ちょっと難しいですがアルコール綿などで物理的に拭い落とす(次亜塩素酸の設置まではできていません)、入院でこれらの患者さんは、聴診器は患者個人持ちにするのがよいと思います。

 もう15年前の話ですが、小児科の回診に同行していました、癌病棟だったので感染には敏感な病棟でした。医長は回診して聴診器を当ると、患者毎に酒精綿で清拭していました。今は、患者毎に聴診器を用意するようになっているのですね。


by otowelt | 2013-11-30 00:40 | その他

ヘルペスウイルス・サイミリが特発性肺線維症の発症に関与か

海外のツイッターで知りました。欧米のびまん性肺疾患を診療している医師の間で話題のようです。ヘルペスウイルス・サイミリはIPFのモデルマウスで有名だったような記憶が・・・。

Virginia A Folcik, et al.
Idiopathic pulmonary fibrosis is strongly associated with productive infection by herpesvirus saimiri
Modern Pathology advance online publication 15 November 2013; doi: 10.1038/modpathol.2013.198


概要:
 2施設の特発性肺線維症(IPF)患者21人から肺検体を抽出した。IPFの診断はATS/ERSの基準にのっとった。平均年齢は60.6歳で、男性が14人、女性が7人だった。研究当初、13人を分子病理学的解析によってスクリーニングしたところ、γ-ヘルペスウイルス、単純ヘルペスウイルスI / II、EBウイルス、サイトメガロウイルス、カポジ肉腫ヘルペスウイルスは陰性だったが、ヘルペスウイルス・サイミリDNAが陽性だった。21人に拡大して検査したところ全例が陽性だったが、年齢をマッチさせたコントロール患者21人では全例陰性だった。リアルタイムPCRで、IPFにおけるサイクリンD RNAが、ヒトではなくヘルペスウイルス・サイミリであることが示された。IPF検体から、ヘルペスウイルス・サイミリ遺伝子に対応するゲノムDNAポリメラーゼをクローニングしたところ、既知のウイルス配列と完全に一致した。
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(文献より引用)



by otowelt | 2013-11-29 00:16 | びまん性肺疾患

ナッツ類の摂取と死亡リスクの低下

e0156318_17255138.jpg ナッツと死亡リスクの関連についての論文です。

Ying Bao, et al.
Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality
N Engl J Med 2013; 369:2001-2011


背景:
 ナッツの摂取が多ければ、心血管疾患や2型糖尿病といった主要な慢性疾患のリスクが低くなるとされている。しかしながら、ナッツの摂取と死亡との関連ははっきりしていない。

方法:
 看護師の健康調査(1980~2010年):女性76464人および医療従事者の追跡調査(1986~2010 年):男性42498人を対象に、ナッツの摂取とその後の全死亡・各死因別死亡との関連を調査した。
 癌、心疾患、脳卒中の既往がある人は除外された。ナッツの摂取はベースラインの時点で評価して、2~4年ごとに更新した。

結果:
 合計3038853人年の追跡において、女性16200人、男性11229人が死亡した。既知のリスク因子、または疑われるリスク因子について補正後、男女両方でナッツの摂取と全死亡とのあいだに負の相関関係があった。ナッツを摂取した参加者における摂取しなかった参加者と比較した場合、死亡の多変量ハザード比は摂取が週1回未満で0.93(95%信頼区間0.90~0.96)、週1回で0.89(95%信頼区間0.86~0.93)、週2~4回で0.87(95% 森羅区間0.83~0.90)、週5~6回で0.85(95%信頼区間0.79~0.91)、週7回以上で0.80(95%信頼区間0.73~0.86)であった(P<0.001)。ナッツの摂取と、癌、心疾患、呼吸器疾患による死亡とのあいだにも、有意な負の相関関係があった。

結論:
 看護師やその他の医療従事者から構成される独立した2コホートにおいて、ナッツ摂取の頻度に死亡やその他の予測因子とは独立して、全死亡・各死因別死亡との負の相関関係があった。


by otowelt | 2013-11-27 00:11 | 内科一般

大気汚染はIPF急性増悪のリスクを増加させる

e0156318_12423430.jpg IPFの急性増悪のリスクを1つ1つ吟味していくことで、何がどう関わっているのか明らかになる日がくるかもしれませんね。大気汚染は避けようがありませんが・・・。

Kerri A. Johannson, et al.
Acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis associated with air pollution exposure
ERJ October 31, 2013 erj01222-2013


背景:
 特発性肺線維症(IPF)の急性増悪は高い死亡率であるが、その原因はよくわかっていない。また、大気汚染の間質性肺疾患に対する影響についてもよくわかっていない。この研究は、大気汚染曝露とIPF急性増悪の関連を調べたものである。

方法:
 縦断的コホートからIPF患者および大気汚染データを同定した。大気汚染は、ジオコーディングによる住所情報からオゾン、一酸化窒素、粒子状物質、二酸化硫黄、二酸化炭素について調べられた。Cox比例ハザードモデルによって大気汚染とIPF急性増悪の関連を推定した。

結果:
 IPF急性増悪は、前6週間のオゾン濃度の平均レベル、最大レベル、過剰レベル(標準範囲を超えたもの)の影響と関連していた(それぞれハザード比1.57、95%信頼区間1.09–2.24; ハザード比1.42、95%信頼区間1.11–1.82; ハザード比1.51、95%信頼区間1.17–1.94)。二酸化窒素についても同様の結果が得られた(ぞれぞれハザード比1.41、95%信頼区間1.04–1.91; ハザード比1.27、95%信頼区間1.01–1.59; ハザード比1.20、95%信頼区間1.10–1.31) 。
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(文献より引用)

結論:
 6週間の間オゾンおよび一酸化窒素の曝露が増えることで、その後のIPF急性増悪のリスクが増加する。IPF患者において、大気汚染は臨床的に意味のあるイベントを起こす可能性が示唆される。


by otowelt | 2013-11-26 00:37 | びまん性肺疾患

加湿器用消毒剤による小児間質性肺疾患、死亡率58%

e0156318_12151180.jpg 韓国で起こった、いたましい小児の間質性肺疾患についての論文です。国際学会でも取り上げられたのでご存知の呼吸器内科医も多いと思いますが、びまん性肺疾患の診療をしている私たちにとって衝撃的な報告でした。
 それにしてもchILDと書くと、CHILD(チャイルド)になるのですね。

Kyung Won Kim, et al.
Humidifier Disinfectant-Associated Children’s Interstitial Lung Disease
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, in press.


背景:
 2006年初頭、毎年春になると韓国で観察される原因不明の小児の肺傷害が報告された。近年、この小児の間質性肺疾患(chILD)は加湿器用消毒剤の使用と関連していることがわかった。

目的:
 chILDの臨床的特徴を同定し、2011年秋の加湿器用消毒剤の売上国内調査がその発症に与えた影響を調査した。

方法:
 2006年から2011年までの間、国内でのレトロスペクティブの調査によって当該事例の臨床的特徴が抽出された。

結果:
 合計138人がchILDと診断された。この臨床的特徴として、急速進行性、高い死亡率、春に多い、家族性があること、が挙げられた。2011年まで季節性の発症が増加していたが、2011年11月11日に加湿器用消毒剤6製品の回収命令を出した。その翌年の2012年には当該事例の発症はなくなった。
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(文献より引用:加湿器用消毒剤による小児間質性肺疾患の発症)

 小児の平均年齢は30.4ヶ月だった。もっともよくみられた症状は咳嗽と呼吸困難だった。病状が悪化するにつれて、エアリークを合併するようになった。80人の小児(58%)が死亡した。
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(文献より引用:加湿器用消毒剤による小児間質性肺疾患の年齢分布)

結論:
 小児に対する加湿器消毒剤の吸入は、エアリーク、急速進行性、治療反応性不良、高い死亡率といった特徴を有するchILDを引き起こす。

コメント:
 回収命令の対象となった製品は、PHMG (polyhexamethylene guanidine) あるいはPGH (Oligo(2-(2-ethoxy)ethoxyethyl guanidinium chloride) を主成分としている。これらは、韓国毒性学研究所(Korea Institute of Toxicology)で実施されたマウスの吸入毒性試験において、気管周囲の炎症、気管支上皮脱落、肺の線維化、炎症細胞浸潤を起こすとされている。


by otowelt | 2013-11-25 00:44 | びまん性肺疾患

喀痰の抗酸菌塗抹が陽性の場合、どの時点で結核病棟を有する病院に相談すべきか

e0156318_10415347.jpg・はじめに
 喀痰の抗酸菌塗抹が陽性の場合、肺結核か非結核性抗酸菌症(NTM)のいずれかと考えられます。特に肺内に空洞性病変がある場合などでは排菌量が多いため、PCRを待たずに肺結核として対処することが一般的です。一方で、中年女性のいわゆる“中葉舌区症候群”の画像所見の場合、NTMの可能性が高いため、PCRの結果が出るまで自宅安静とする選択肢もあります。

 法的にはどの時点で結核として対処すべきかという明確な線引きがないため、喀痰の抗酸菌塗抹が陽性になった時点からPCRが判明するまでのグレーゾーンの期間、どう対処すればよいのかという明解がありません。

 肺結核かNTMか判然としない場合、個室があればそちらに移ってもらうのがベターですが、満床であり個室の確保ができないケースもあるでしょう。そのため、病院によってもルールが定まっていない現状があります。

・MDQAで質問
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 MDQA(http://www.mdqa.jp/)において、現場で働く医師に対して質問させていただいたところ、以下のような回答が得られました。内容は、一部編集・省略しています。

 確かに画像診断で全てが鑑別は出来ないと私も思います。患者背景、喫煙歴、臨床経過など色々なものを加味しての判断になります。画像でいわゆる肺結核の好発部位である上・下葉の高い部分に病巣がある場合や栄養状態などから可能性が極めて高い場合にはPCRを待たずにご紹介します。逆に非喫煙者、MACの好発部位である中葉・舌区に病変が気管支拡張性変化も伴ってある場合にはPCRを待つことが多いです。
 悩ましいのは高齢者で本人が訴える事が出来ない患者さんで救急室で提出した喀痰が塗抹陽性で胸部CTでも典型的な肺結核やMACの画像所見もない場合です。気管支結核は中年までの女性や石灰化リンパ節腫脹を伴う事が多いので、ある程度疫学的に鑑別しています。従って関連する症状に乏しい高齢者で塗抹陽性の場合には念のため、個室隔離にして3回喀痰を提出してPCRの結果まで待っての対応にしています。



by otowelt | 2013-11-23 00:52 | 抗酸菌感染症

肺結核患者におけるリファンピシンの血清濃度は低い

e0156318_21313252.jpg リファンピシンの血清濃度が現在の使用量では少ないのではないかという報告が増えています。

結核診療で使用されているリファンピシンの用量は少なすぎる
ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?

F. Fahimi, et al.
Isoniazid, rifampicin and pyrazinamide plasma concentrations 2 and 6 h post dose in patients with pulmonary tuberculosis
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 17, Number 12, 1 December 2013 , pp. 1602-1606(5)


背景:
 抗結核薬の濃度が低くなると、薬剤耐性や治療失敗が起こりうる。

目的:
 抗結核薬の血清濃度低値の頻度を調べること。

方法:
 この研究はイランのテヘランの病院において60人の肺結核患者で行われた。薬剤濃度はイソニアジド、リファンピシン、ピラジナミド投与後2時間および6時間後のデータを用いて測定された。血清薬剤濃度、治療期間、年齢、性別、肝逸脱酵素値、薬剤投与量、喫煙歴について評価した。

結果:
 本研究には60人の患者が登録された。平均年齢(±標準偏差)は54.2歳(±20.9歳)で、39人が女性だった。イソニアジドの用量中央値は275mg/日(IQR250–300)、リファンピシンは600mg/日(IQR450–600)、ピラジナミドは1000mg/日(IQR1000-1000)だった。
 イソニアジド、リファンピシン、ピラジナミドの血清薬剤ピーク濃度(Cmax)中央値はそれぞれ2.5μg/mL、4.0μg/mL、43.6μg/mLであった。またそれぞれの49.1%、92.5%、8.7%の患者が低濃度であった。

結論:
 ほとんどの患者においてリファンピシンの血清濃度は標的濃度よりも低いことが示唆された。その一方でピラジナミドは標的範囲におさまった。


by otowelt | 2013-11-22 00:47 | 抗酸菌感染症

線維性サルコイドーシスの患者における悪化イベント

e0156318_11333269.jpg サルコイドーシスの患者さんで間質性陰影を有する人は少なくありません。

Robert P. Baughman, et al.
Frequency of acute worsening events in fibrotic pulmonary sarcoidosis patients
Respiratory Medicine, in press.


背景:
 線維性サルコイドーシスのある患者は、さまざまな理由で呼吸器症状の悪化をきたす。われわれは、期間制限的な抗菌薬の使用あるいは呼吸器症状の改善のための4週間以内のステロイド増量といった急性の悪化イベントを調べた。

方法:
 線維性サルコイドーシス患者における急性の悪化イベントの頻度を調べた。われわれのクリニックにおいて4ヶ月の間に740人のサルコイドーシス患者が来院した。そのうち、129人(17%)が線維性サルコイドーシスを有していた。われわれは、年齢、人種、性別、胸部CT結果、呼吸機能検査(努力性肺活量、一秒量、一秒率)のデータを得た。

結果:
 レトロスペクティブな評価で、線維性サルコイドーシス患者は過去1年間に中央値で3回の悪化イベントを経験していることがわかった。胸部CTで気管支拡張所見があったのは129人中63人(49%)であった。
 気管支拡張症のある線維性サルコイドーシス患者は、気管支拡張症のない患者と比較して悪化イベントの頻度が高かった(3 vs. 2, p = 0.0001)。TNF阻害薬の投与を受けていた16人の患者は、投与されていない患者と比較して急性の悪化イベントが多かった(p = 0.0297)。
 人種、性別、喫煙歴、呼吸機能検査による差はみられなかった。

結論:
 線維性サルコイドーシス患者における急性の悪化イベントはよくみられる。また、気管支拡張症のある患者やTNF阻害薬投与中の患者ではその頻度はより高かった。


by otowelt | 2013-11-21 00:44 | サルコイドーシス

ドルテグラビル+アバカビル/ラミブジンはHIV-1治療薬として安全かつ有効

e0156318_1427421.jpg 呼吸器内科医としてはHIV感染症は、結核かやニューモシスティス肺炎の合併例しか診察しませんが、発展が著しいこの分野についてはくじけずに勉強し続けるよう努力したいです。

Sharon L. Walmsley, et al.
Dolutegravir plus Abacavir–Lamivudine for the Treatment of HIV-1 Infection
N Engl J Med 2013; 369:1807-1818


背景:
 1日1回でブーストなしの投与が可能なインテグラーゼ阻害薬ドルテグラビル(S/GSK1349572)は、他の抗レトロウイルス薬と併用して用いるHIV-1の治療薬としてアメリカで承認された。ドルテグラビルをアバカビル/ラミブジンと併用すると、治療レジメンが簡略化できるかもしれない。

方法:
 HIV-1感染への治療歴がなく、HIV-1のRNAが1000コピー/mL以上の成人を対象としたランダム化二重盲検第試験を行った。患者をドルテグラビル50mg+アバカビル/ラミブジン1日1回投与する群(DTG/ABC/3TC群)、エファビレンツ/テノホビル/エムトリシタビンを1日1回投与する群(EFV/TDF/FTC 群)にランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは48週時にHIV-1のRNAが50コピー/mL未満だった患者の割合とした。セカンダリエンドポイントは、ウイルス抑制までの期間、CD4T細胞数のベースラインからの変化、安全性、ウイルスの耐性など。

結果:
 合計833人が試験薬の投与を1回以上受けた。48週時にHIV-1のRNAが50コピー/mL 未満であった患者の割合は、DTG/ABC/3TC群の方がEFV/TDF/FTC群よりも有意に高く(88% vs. 81%、P=0.003)、優越性の基準を満たした。DTG/ABC/3TC群においては、EFV/TDF/FTC群と比べるとウイルス抑制までの期間の中央値が短く(28日 vs. 84 日、P<0.001)、CD4T細胞数の増加が大きかった(267/mm3 vs. 208/mm3、P<0.001)。
 有害事象のために治療を中止した患者は、DTG/ABC/3TC群の方がEFV/TDF/FTC群より少なかった(2% vs. 10%)。EFV/TDF/FTC群においては発疹、神経精神症状が多かった。DTG/ABC/3TC群では不眠が多かった。
 DTG/ABC/3TC群で抗ウイルス薬の耐性は検出されなかったものの、EFV/TDF/FTC群でウイルス学的治療失敗患者において、テノホビル関連耐性変異1例、エファビレンツ関連耐性変異4例が検出された。

結論:
 ドルテグラビル+アバカビル/ラミブジンは、エファビレンツ/テノホビル/エムトリシタビンを用いるレジメンと比べ、48週間の安全性プロファイルが良好で、高い有効性が得られた。


by otowelt | 2013-11-20 00:13 | 感染症全般

陽性悪性胸膜中皮腫におけるBAP1遺伝子変異の同定意義は明らかでない

e0156318_1742044.jpg これまでにたくさんの悪性胸膜中皮腫の患者さんを看取ってきました。呼吸器内科医を志した当初は、なぜ治療が効かないんだと苛立ちを覚える毎日でした。いつの日か悪性胸膜中皮腫の遺伝子治療が実現すれば……と心から願っています。

Zauderer, Marjorie G, et al.
Clinical Characteristics of Patients with Malignant Pleural Mesothelioma Harboring Somatic BAP1 Mutations
Journal of Thoracic Oncology:November 2013 - Volume 8 - Issue 11 - p 1430-1433


背景:
 近年の悪性胸膜中皮腫の遺伝子学的研究によって、BRCA関連タンパク1(BAP1)遺伝子変異が同定されている。BAP1は悪性黒色腫および明細胞癌においてアウトカム不良と関連しているが、悪性胸膜中皮腫における臨床的重要性については不明である。われわれは、悪性居膜中皮腫でBAP1遺伝子変異を有する患者の臨床的特徴を記載し、生存との関連性を調べた。

方法:
 われわれは1991年から2009年までの間、121人の悪性胸膜中皮腫の患者データを集めた(診断時年齢、性別、組織型、病期、喫煙歴、石綿曝露、癌家族歴、癌既往歴、外科治療情報、化学療法情報、放射線治療情報、生存期間)。

結果:
 121腫瘍のうち24(20%)でBAP1遺伝子変異がみられた。BAP1野生型の患者と比較すると、BAP1遺伝子変異のある患者では現喫煙あるいは既往喫煙者の頻度が多かった(42% vs. 75%、p = 0.006)。BAP1遺伝子変異の有無によって生存には差はみられなかった。組織型にも差はなかった(p =0.28)。

結論:
 BAP1遺伝子変異のある悪性胸膜中皮腫では明らかな臨床フェノタイプを同定できなかった。さらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2013-11-19 00:41 | 肺癌・その他腫瘍