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空洞を有する非小細胞肺癌への化学療法の忍容性は良好だが、喀血や感染には注意が必要

e0156318_22185479.jpg 空洞のある肺癌患者さんは少なくありませんので、非常に興味深い報告です。

Takaaki Tokito, et al.
Toxicity and efficacy of chemotherapy for non-small cell lung cancer with cavitary lesions
Respiratory Inestigation, in press.


背景:
 空洞性病変を有する病期IIIの非小細胞肺癌(NSCLC)の患者における化学放射線療法は、重篤な肺合併症を引き起こし予後不良の予測因子であると報告されている(BMC Cancer 2012;12:1–6.、J Thorac Oncol 2012;7:1271–5.)。しかしながら、空洞性病変を有する進行NSCLCにおける化学療法の効果と毒性についてはよくわかっていない。われわれは、空洞性病変を有するNSCLC患者に対する化学療法に関連した毒性、喀血、空洞内感染、治療効果を調べた。

方法:
 われわれは2008年1月から2010年12月までの間、レトロスペクティブにファーストライン化学療法を受けた患者を連続してレビューした。化学療法は白金製剤ベースの化学療法、単剤化学療法、EGFR-TKIを含めた。
 空洞は最大直径10mm超の病変で、壁の厚さが1mm超、壁辺縁が不整であり病変が嚢胞やブラと交通していないものとした。1人の放射線科医、2人の呼吸器内科医によってその存在が診断された。

結果:
 治療前に腫瘍に空洞を有したのは415人のNSCLC患者のうち23人(5.5%)であった。患者は47~80歳で、年齢中央値は69歳だった。16人(70%)が男性であり、残りは女性。83%が喫煙歴を有していた。11人(48%)が腺癌、8人(35%)が扁平上皮癌だった。20人がECOG OS 0~1だった。13人でEGFR遺伝子変異が検索され、そのうち2人が感受性遺伝子変異陽性だった。ALKも13人で検索され1人に転座がみられた。胸部CTにおいて空洞は左右ともに同等の頻度で存在していたが、74%が下葉に存在していた。空洞直径は中央値で19mmだった。
 全患者の奏効率は30%で、生存期間中央値(MST)は8.9ヶ月だった。白金製剤ベースの化学療法で治療された15人の患者のMSTは11ヶ月だった。多変量解析において、空洞が右下葉にある場合(オッズ比5.49、95%信頼区間1.08–27.94)や空洞直径/腫瘍直径比が0.55以上の場合(オッズ比17.88、95%信頼区間3.3–93.19)、空洞内感染のリスクを上昇させた。
 治療中断を余儀なくされたGrade 1の気道出血が2人の患者にみられ、Grade 3の空洞内感染が2人の患者にみられた。これらの有害事象はCTCAE ver4.0によって診断した。

結論:
 この研究によれば、空洞を有するNSCLC患者に対する化学療法の毒性は概して忍容性があった。しかしながら、空洞内感染の発症には注意しなければならないだろう。加えて、この研究は空洞を有するNSCLC患者の化学療法の効果が報告されている奏効率と同等であることを示唆している。ただ、これらの患者の生存期間は一般的なNSCLC患者のものと比較すると不良かもしれない。


by otowelt | 2014-01-31 00:01 | 肺癌・その他腫瘍

肺動脈性肺高血圧症に対するシルデナフィルは臨床的効果はあるものの死亡率減少には寄与せず

e0156318_9102283.jpg ご存知と思いますが、レバチオ®はcGMP特異的ホスホジエステラーゼ5に対する選択的阻害薬です。ホスホジエステラーゼ5阻害作用により肺動脈平滑筋を弛緩し、肺動脈圧を減少させることができます。すでにバイアグラ®の商品名で男性勃起不全治療薬として承認を取得しています。
 レバチオ®とバイアグラ®の関係は、アドシルカ®とシアリス®の関係と同じですね。セットにして覚えておきましょう。

Rong-chun Wang, et al.
Efficacy and safety of sildenafil treatment in pulmonary arterial hypertension: a systematic review
Respiratory Medicine, in press.


背景:
 肺動脈性肺高血圧症(PAH)に対してシルデナフィルを12週間以上使用した場合の安全性と効果を評価することが本研究の目的である。

方法:
 PAH患者に対するシルデナフィル治療のランダム化比較試験を2013年5月までPubMed, the Cochrane Library, Embase, 信頼できるウェブサイト・研究などから抽出した。2人のレビュアーが独立して研究の質を評価しデータを抽出した。

結果:
 メタアナリシスは4試験545人の患者で実施された。92.6%がWHO機能分類IIあるいはIIIであった。また、71%が特発性のPAHと診断されていた。
 シルデナフィル治療はプラセボと比較して臨床的なPAHの悪化を有意に抑制した(リスク比0.39, 95% 信頼区間0.21 to 0.69)。また6分間歩行距離(平均差31.3 m, 95%信頼区間18.01 to 44.67)、 WHO機能分類、血行動態的パラメータ、QOLを改善した。
 しかしながら、シルデナフィルは総死亡率(リスク比0.29, 95%信頼区間0.02 to 4.94)やBorgスケールには寄与しなかった。
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(文献より引用:上から臨床的悪化、総死亡率、6分間歩行距離)

 4試験のみ組み込まれており、出版バイアスについてはアセスメントできず。

結論:
 12週間以上のPAHに対するシルデナフィル治療は、複数の臨床的・血行動態的アウトカムを改善したが、死亡率や重篤な有害事象には寄与しなかった。PAHに対するシルデナフィルの長期的効果と安全性はさらなる研究が望まれる。


by otowelt | 2014-01-30 00:53 | 呼吸器その他

南アフリカ金鉱労働者における潜在性結核感染症に対するイソニアジド予防投与の効果

e0156318_1641291.jpg 南アフリカの金鉱労働者における結核マススクリーニングの話題です。

Gavin J. Churchyard, et al.
A Trial of Mass Isoniazid Preventive Therapy for Tuberculosis Control
N Engl J Med 2014; 370:301-310January 23, 2014



背景:
 現在、南アフリカの金鉱労働者の間に結核が流行している。われわれは、結核の伝播を抑制する目的で、活動性結核あるいは潜在性結核感染症に対する治療と連携させたマススクリーニング介入試験をおこなった。

方法:
 クラスターランダム化試験において、金鉱労働者78744人から構成される15グループを、介入グループ(8グループ:40981人)とコントロールグループ(7グループ:37763人)にランダムに割り付けた。介入グループでは全金鉱労働者に結核スクリーニングを推奨した。活動性結核と診断された場合、治療目的で病院に紹介し、活動性結核と診断されなかった場合はイソニアジド9ヶ月間の予防投与を推奨。
 プライマリアウトカムは介入終了後12ヶ月間におけるグループ単位の結核発生率とした。セカンダリアウトカムは試験終了時の結核罹患率など。

結果:
 介入グループにおいて、合計27126人(66.2%)がスクリーニングを受けた。このうち23659人(87.2%)がイソニアジドの服用を開始し、グループにばらつきはあるものの35~79%の労働者が6ヶ月以上の処方を受けた。結核発生率はこの介入によって低下せず、介入グループ3.02/100 人年、コントロールグループ2.95/100人年(介入グループ率比1.00、95%信頼区間0.75~1.34、P=0.98、補正率比0.96、95% 信頼区間0.76~1.21、P=0.71)であった。また、介入によって結核罹患率も低下することはなかった(2.35% vs. 2.14%、補正率比0.98、95%信頼区間0.65~1.48、P=0.90)。
 10909人を対象にイソニアジドの直接的効果を解析検証した結果、投与期間中に結核発生率が低下することが示唆された(イソニアジド投与中労働者1.10症例/100人年 vs コントロール2.91症例/100人年、補正率比0.42、95%信頼区間0.20~0.88、P=0.03)。しかし、その後の防御効果は急速に消失することがわかった。

結論:
 南アフリカの金鉱において、潜在性結核感染症に対するマススクリーニングと治療は、イソニアジドの予防投与中は有効であるが、結核対策に重要な効果をもたらさないことがわかった。


by otowelt | 2014-01-29 00:09 | 抗酸菌感染症

若年喫煙者は呼吸機能検査に影響はないものの、すでに鼻~下気道に機能的変化、炎症性変化をきたしている

e0156318_10474770.jpg 若年者が喫煙をおこなうことのデメリットを強調した論文です。将来後悔しないためにも、「カッコイイから」という理由で始めるタバコは絶対にやめてほしいですね(もちろんどのような理由であっても、医療における喫煙は悪とされますが)。

Marina Lazzari Nicola, et al.
Young “healthy” smokers have functional and inflammatory changes in the nasal and the lower airways
Chest. 2013. doi:10.1378/chest.13-1355


背景:
 喫煙はCOPDの最も主要な原因である。COPDの患者は鼻疾患をしばしば合併するが、無症候性若年喫煙者の上気道の生理学的変化あるいは炎症性変化について論じた報告はほとんどない。
 われわれは、若年喫煙者における鼻および下気道の生理学的変化および炎症性変化を調べ、喫煙歴と関連するかどうか検証した。

方法:
 本試験に18~35歳の72人(32人が健康非喫煙者、40人が若年喫煙者)が参加した。われわれは、鼻の粘膜線毛クリアランス(MCC)、鼻粘膜表面接触角、細胞数、鼻汁のミエロペルオキシダーゼおよびサイトカイン濃度、呼気凝縮液:exhaled breath condensate (EBC)のpH、呼吸機能検査を調べた。

結果:
 非喫煙者と比較すると、喫煙者はMCCがすみやかで鼻汁中の細胞数が増えていた(マクロファージ、杯細胞など)。また鼻汁のミエロペルオキシダーゼが上昇し、EBCのpHは減少していた。そして、喫煙歴とEBCのpHには有意な逆相関が観察された。
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(文献より引用)

 呼吸機能検査や鼻粘膜表面検査には影響を及ぼさなかった。

結論:
 若年男性喫煙者は、喫煙歴に相関した鼻・下気道の機能的変化および炎症性変化がある。しかしながら、これらの若年喫煙者において、喫煙歴は呼吸機能の減弱には影響していなかった。おそらくこれは、呼吸機能検査が早期の気道病変を検出できるわけではないためと考えられる。


by otowelt | 2014-01-28 00:25 | 気管支喘息・COPD

CPFEの肺癌のリスクはIPFと同等

e0156318_2232417.jpg 4人に1人以上が肺癌を発症。少し多すぎるような気もします。
 個人的な意見ですが、現時点ではCPFEはIPF+COPD以上として議論のできる概念ではないように思います。組み合わせた病態以上の“何か”があれば、疾患概念として議論すべき土俵に初めて上がるものだと考えます。

Nakwon Kwak, et al.
Lung cancer risk among patients with combined pulmonary fibrosis and emphysema
Respiratory Medicine, in press.


背景:
 CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)は肺癌と関連性があるかもしれないが、他の疾患との比較研究は存在しない。われわれは、CPFE患者の肺癌のリスクを特発性肺線維症(IPF)および肺気腫のある患者と比較した。

方法:
 2000年1月から2011年12月の間に、ソウル大学病院において胸部CTを用いてCPFE、IPF、肺気腫と診断された患者の診療録をレトロスペクティブにレビューした。CPFE患者は1:1:2の割合でIPF、肺気腫の患者とマッチされた。主要アウトカムは、肺癌と診断されるまでの期間とし、Cox比例ハザード回帰分析によって評価した。

結果:
 48人のCPFE患者、48人のIPF患者、96人の肺気腫患者が本研究に組み込まれた。55人の肺癌が発生した。CPFE群は肺癌リスクが最も高かった(補正ハザード比4.62, 95%信頼区間1.58-13.55)。IPF患者もそれに匹敵するくらいのハザード比であった(補正ハザード比4.15, 95%信頼区間1.03-16.78)。CPFEとIPF患者の間には統計学的に有意差はなかった。加えて、CPFE群は肺気腫群と比較して肺癌あるいは死亡のリスクが高かった(補正ハザード比4.62, 95%信頼区間2.25-9.47)。

結論:
 CPFEおよびIPF患者は肺気腫患者よりも肺癌のリスクが高かったが、リスクとしてはCPFEとIPFはほぼ同等であった。


by otowelt | 2014-01-27 00:48 | びまん性肺疾患

「医師」と「医者」の違い

e0156318_11332454.jpg・はじめに
 このブログは極めて真面目なブログなのですが、時には脱線したエッセイを書かせて下さい。

 私はUFOキャッチャーが好きで、いかつい顔に似合わず車には大量のぬいぐるみを乗せています。そのほとんどがドラえもんとカピバラさんです。それでいて、数年前までは軽自動車に乗っていましたから、小さな車にぬいぐるみをたくさん乗せた運転手がこんな男であれば、警察から職質を受けることは必至です。
 
 本題に入りますが、医師の方々は職業を尋ねられたときどう答えるでしょうか。「医師」と答える方、「医者」と答える方、半々くらいではないでしょうか。


・「医師」と「医者」の違い
 天下の広辞苑で「医師」と「医者」について調べてみました。すると、以下のような定義がなされていました。

医師 ・・・ 所定の資格を持ち、病気の診療や治療を業とする者。医者。

医者 ・・・ 病気の診療や治療を業とする者。医師。
 両者のどこが違うのかといいますと、「所定の資格を持ち」という部分です。そう、「医師」というのは正式な資格の名称であり、私たちも医師免許を持っています。しかし、「医者」という言葉には資格について記載はありません。日本では、医師の資格がなければ病気の診療や治療ができませんから、現実的に医師と医者の意味合いは同等に違いありません。しかし、言語学的には「医師」は「医者」に比べれば、極めて厳密かつフォーマルな言葉と言えましょう。「医者」という言葉の中に「医師」という言葉が存在する関係があると言っても過言ではありません。いや、過言かもしれませんが。
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(図:「医師」と「医者」の関係)

 明確な根拠はありませんが、「医師」という言葉は医療を行うことにプライドがあるような意味合いに受け取られ、「医者」という言葉はどちらかといえば温かみのある言葉に受け取られることが多いようです。


・ブラックジャックは「医師」ではない
 そのため上記の定義に基づけば、ブラックジャックは「医師」ではなく「医者」です。渡辺淳一の「雲の階段」に出てくる無資格医の主人公も「医師」ではなく「医者」であろうとしました。マスメディアにたびたび登場する、無資格で医療行為を行った方々も、もしかしたらそうだったのかもしれません。しかし、現実的に医師の資格を持たずして医者にはなれないこの国では、非医師医者の存在は罪です。


・おわりに
 「医師でありたい」という言葉と「医者でありたい」という言葉を比較すると、後者の方がやや温かみがあるように感じます。それは日本では昔から私たちの職業のことを「お医者さん」と親しみを込めて呼んでいたからではないでしょうか。

 ちなみに私は職質を受けた場合、「医者」と答えます。別に優美高妙な理念があるわけではなく、「医師」と言った場合、“イ”行が2回続くため「え?」と聞き返されることが多く、「医者」と言った方が伝わりやすいという理由に過ぎません。


by otowelt | 2014-01-25 11:46 | コントラバーシー

フランスにおける特発性肺線維症プラクティスの実際

e0156318_9301181.jpgV. Cottin, et al.
Management of Idiopathic Pulmonary Fibrosis in France: A Survey of 1,244 Pulmonologists
Respiratory Medicine, in press.


背景:
 このサーベイはフランスのまれな呼吸器疾患を扱う専門病院において、フランスの呼吸器科医の特発性肺線維症(IPF)の診断および治療プラクティスを明らかにしたものである。

方法:
 2011年12月7日から2012年2月18日までの間に、フランスの呼吸器科医2608人が抽出された。少なくとも1人のIPF患者(全509人)をフォローアップした呼吸器科医は電話あるいはE-メールで26項目の質問票に回答した。

結果:
 509人の呼吸器科医(返答者の41%、フランスの呼吸器科医の20%)がIPF患者のマネジメントをおこなっていた。これらのうち、36%が放射線科医および病理医と症例の検討をおこなっていた。高度専門施設に勤務していない406人の呼吸器科医のうち、141人(35%)は高度専門施設へ患者を紹介していた。
 2011年のIPFの国際ガイドラインは67%の呼吸器科医に知られており、そのうち84%が適切なプラクティスをおこなっていると考えられた。58%の患者は呼吸機能検査から軽症~中等症のIPFと診断されていた。
 36%の症例は多面的討議に基づいてマネジメントされていた。2011年12月終了時に、49%のIPF患者は経口ステロイドで治療を受けており、27%は無治療だった。

結論:
 国際的なIPFガイドラインの適切な周知があるにもかかわらず、多面的討議および早期診断・マネジメントのモダリティは専門施設のネットワークを通して改善されるべき状態にある。


by otowelt | 2014-01-24 00:01 | びまん性肺疾患

シロリムスの長期投与によって循環LAM細胞は減少する

e0156318_14272422.jpg 孤発性LAM の発症にもTSC遺伝子の異常が関与しているとされています。

Xiong Cai, et al.
Sirolimus Decreases Circulating Lymphangioleiomyomatosis Cells in Patients With Lymphangioleiomyomatosis
Chest. 2014;145(1):108-112.


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は孤発性あるいは結節性硬化症複合体(TSC)の女性に起こり、肺に嚢胞性病変がみられ、リンパ行性の浸潤を呈し(乳び胸、平滑筋様細胞異常増殖など)、腎血管筋脂肪腫(AML)を合併することがある。LAMによる多系統の障害はLAM細胞が転移性に播種して起こる結果であり、TSC1あるいはTSC2遺伝子の変異やヘテロ接合性の消失(LOH)が関わっている。ハマルチン/ツベリン複合体の機能不全によって、常にmTOR(mammalian target of rapamycin)が活性化された状態となり過剰な細胞増殖につながるとされている。シロリムスは呼吸機能の減少を抑制し、乳び胸水を減少させ、AMLを縮小させる効果がある。この研究の目的は、シロリムスが循環LAM細胞に与える影響を調べたものである。

方法:
 血液中の細胞は密度勾配分画法によって同定され、尿中および乳び胸水中の細胞は密度勾配遠心法によって同定された。血中細胞は抗CD45フルオレセインイソチオシアネート(fluorescein isothiocyanate; FITC)抗体、抗CD235a-R-フィコエリトリン(R-PE)抗体を用いて培養された。尿中および乳び胸水中細胞は抗CD44v6-FITC抗体および抗CD9-R-PE抗体を用いて培養された。

結果:
 TSC2 LOHのあるLAM細胞は、治療前の血液検体で100%、尿検体で75%に同定できた。平均2.2±0.4年のシロリムス治療により、LAM細胞の同定率は有意に減少した(血液中:25%に減少、P < .001、尿中:8%に減少、P = .003)。
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(文献より引用)

 治療フォローアップで、閉経後の患者において循環LAM細胞の著しい減少が観察された(P = .025)。

結論:
 シロリムスを投与された患者は、長期的な治療や閉経によってLAM細胞の減少が観察される。


by otowelt | 2014-01-23 00:13 | びまん性肺疾患

癌のスマホアプリの有用性は不明

e0156318_10113272.jpg 癌に関連したスマホアプリの研究です。

Jacqueline Lorene Bender, et al.
A Lot of Action, But Not in the Right Direction: Systematic Review and Content Analysis of Smartphone Applications for the Prevention, Detection, and Management of Cancer
J Med Internet Res 2013;15(12):e287


背景:
 携帯電話は広く普及し、健康管理にも有用である。しかしながら、癌についてのスマートフォン(スマホ)のアプリケーション(アプリ)の有用性はよくわかっていない。

目的:
 この研究の目的は、癌に焦点を当てたスマホアプリを一般の人々が利用することの有用性と効果を調べることである。

方法:
 主要なスマホ(iPhone, Android, Nokia, BlackBerry)に関連した公式アプリケーションストアの商品についてのシステマティックレビューを実施した。アプリは一般の人が使用可能な癌に関連したものとした。MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryからこれについて利用可能なデータを抽出した。

結果:
 295のスマホアプリが適格基準を満たした。ほとんどのアプリは乳癌に関連したもので(46.8%, 138/295)、一般的な癌に関するものがそれに次いだ(28.5%, 84/295)。
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(文献より引用:アプリの対象癌)

 アプリの目的は、癌についての啓蒙的内容(癌を気付かせる)が多く(32.2%, 95/295)、癌に関する教育的なもの(26.4%, 78/295)、募金を奨励するもの(12.9%, 38/295)、早期発見を助けるもの(11.5%, 34/295)、慈善事業推進(10.2%, 30/295)、疾患マネジメントを支援するもの(3.7%, 11/295)、癌の予防(2.0%, 6/295)、社会的支援(1.0%, 3/295)といったものだった。
 ほとんどのアプリが関連企業について記載がなかった(64.1%, 189/295)。非営利企業によるアプリは無料である傾向が強く(χ21=16.3, P<.001)、募金を奨励する傾向が強かった(χ22=13.3, P=.001)。
 現時点で、これらアプリの有用性・客観的評価については不明と言わざるを得ない。

結論:
 癌に焦点を当てたスマホアプリは何百と存在するが、その有用性と効果については現時点では不明である。


by otowelt | 2014-01-22 00:50 | 肺癌・その他腫瘍

アジア人の非小細胞肺癌におけるBRAF遺伝子変異の頻度は1.3%

e0156318_21243678.jpg アジア人の肺癌におけるBRAF遺伝子変異の報告です。BRAF V600E変異のある悪性黒色腫に対しては、BRAF阻害薬であるベムラフェニブが有効であるとされていますね。

Kinno T, et al.
Clinicopathological features of nonsmall cell lung carcinomas with BRAF mutations.
Ann Oncol. 2014 Jan;25(1):138-42.


背景:
 近年、チロシンキナーゼ遺伝子のdriver mutationがいくつかの悪性腫瘍で同定されており、肺癌も例外ではない。しかしながらBRAF変異肺癌に関しての情報はまだ少ない。

方法:
 2001人の外科的に切除された非小細胞肺癌の患者について、サンガー法およびディープシークエンシングといった次世代シークエンサーを用いたあと高解像度融解曲線分析(HRMAによってBRAF遺伝子変異を同定した。

結果:
 BRAF変異は2001人中26人(1.3%)で同定された(腺癌:25人、扁平上皮癌:1人)。26人のうち計13の遺伝子変変異が同定され、V600Eは8人(30.8%)、G464Eは6人(23.1%)、K601Eは4人(15.4%)、その他の変異が1例みられた。このうち、G464E、G596R、A598T、G606Rは今まで肺癌で報告されていない変異だった。
 生存期間はBRAF野生型とV600E変異あるいは非V600E変異との間に有意差はみられなかった(それぞれP=0.49、P=0.15)。組織形態学的には巣状明細胞変化がV600Eの75%にみられた。またV600E変異にはEGFRおよびKRAS変異がなく、ALK転座もみられなかった。5人の非V600E BRAF変異例(4人のG469A、1人のG464E/G466R)にはEGFR変異がみられた。

結論: 
 肺癌におけるBRAF遺伝子変異の頻度はアジア人コホートでは低かった。さらに、BRAF遺伝子変異はこの集団において予後予測には有用とは言えない。


by otowelt | 2014-01-21 11:50 | 肺癌・その他腫瘍