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食事をしっかり食べていてもイソニアジドによってビタミンB6の血中濃度は低下する

e0156318_2138363.jpg 小規模な研究ですが、個人的にはインパクトの大きな報告です。「元気な結核患者さんは食事で十分ビタミンB6補える」という見解も、必ずしも正しいと断言できないのかもしれません。

松本正孝ら.
イソニアジドを用いた肺結核治療における血中ビタミンB6 濃度の推移
日呼吸誌 3(1),2014, 56-61.


背景:
 イソニアジド(isoniazid:INH)投与にて血中ビタミンB6(VB6)濃度が低下することが知られているが、実臨床における検討は十分ではない。

方法:
 2012年10月15日から2013年2月15日までに、西神戸医療センター結核病棟に肺結核治療目的で入院した患者を対象とした。INH服用前、2、4週後の血中VB6濃度を測定し、末梢神経障害の有無についても調査した。INHの投与量は、全例において5mg/kgとした。患者の食事量は、身長からbody mass index 22 kg/m2となるように標準体重を算出し、その標準体重にストレス度別エネルギー必要量30 kcal/kg をかけたものを1日の必要エネルギー量とし、それに準じた病院食を提供した。

結果:
 VB6血中濃度は、入院時には14例中10例で正常値以下であり、INH服用2、4週後ともに、必要栄養量を満たす食事摂取下においてもさらに低下する傾向が確認された。末梢神経障害については、脊柱管狭窄症の患者1例で服用開始前より両上下肢末梢のしびれの自覚があったが、全例において、両上下肢末梢の触覚低下は認められなかった。

結論:
 肺結核患者におけるピリドキサール血中濃度は、入院時より正常値以下である症例が多かった。また、入院後、食事摂取量が有意に増加しているのにもかかわらず、INH内服により血中ピリドキサール値がさらに低下する傾向が確認された。
 今後、INH投与時におけるVB6補充療法の必要性について、多施設でのランダム化比較試験が望まれる。


by otowelt | 2014-02-28 00:18 | 抗酸菌感染症

HIV感染患者における市中肺炎とニューモシスティス肺炎を鑑別する因子

e0156318_1753714.jpg HIVの患者さんが肺炎を起こした場合には、常にニューモシスティス肺炎やは肺結核を念頭に置かねばなりません。日本では「ニューモシスス肺炎」と記載するのが正しいようですが、私は「ニューモシスティス肺炎」と記載しています。「ロマンック」と書くよりも「ロマンティック」と書く方が好きですね。

Catia Cilloniz, et al.
Community-acquired lung respiratory infections in HIV-infected patients: microbial aetiology and outcome
ERJ February 13, 2014 erj01558-2013


背景および目的:
 われわれはHIVに感染した患者の市中肺炎(CAP)の疫学、Pneumocystis jiroveciiによるCAPのリスク因子、30日死亡を予測する予後因子を記載する。

方法:
 これはHIVに感染した成人CAP患者を連続331人登録した(2007年1月から2012年7月まで)。

結果:
 128人(39人)の患者がCD4陽性細胞数200/mm3未満、99人(43%)がHIV RNA200コピー/mL未満であった。
 CD4陽性細胞数200/mm3以上の患者ではStreptococcus pneumoniaeが最もよくみられた。200/mm3未満およびHIV RNA200コピー/mL未満の患者ではP. jiroveciiが最もよくみられた。
 細菌性CAPを予測する因子としては、5日以下の症状(オッズ比2.6, 95%信頼区間1.5–4.4), CRP22 mg/dL以上(オッズ比4.3, 95%信頼区間2.3–8.2)、HCV共感染(オッズ比2.3, 95%信頼区間1.4–3.9)が挙げられる。白血球4×1012/L以下(オッズ比3.7, 95%信頼区間1.2–11.5), LDH598 U/L以上(オッズ比12.9, 95%信頼区間4.2–39.7)、多葉にわたる病変(オッズ比5.8, 95%信頼区間1.9–19.5)はP. jiroveciiによる肺炎を予測した。全体で30日死亡率は7%だった。
 適切な抗菌薬治療(オッズ比0.1, 95%信頼区間0.03–0.4), LDH598 U/L以上(オッズ比6.2, 95%信頼区間1.8–21.8)、人工呼吸器装着(オッズ比22.0, 95%信頼区間6.2–78.6)は30日死亡率を独立して予測した。
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(文献より引用)

結論:
 ある種の予測因子を用いれば、HIV感染症のある成人患者において、細菌性およびP. jiroveciiによる肺炎を鑑別することが可能かもしれない。


by otowelt | 2014-02-27 00:26 | 感染症全般

IPFの死亡率は臨床試験の適格基準に依存、低用量ステロイド使用は下気道感染の頻度を上昇

e0156318_23263224.jpg IPFに対するステロイド単独治療は好ましくありません。近年、免疫抑制剤との併用についても世界的には疑問視されていますね。IPFに限ったことではありませんが、臨床的にサルコイドーシスや慢性過敏性肺炎と診断してステロイドを長期に投与してしまうことで、その後の感染症による線維性間質性肺疾患の急性増悪を招くことは避けたいものです。

Atkins CP, et al.
Outcomes in idiopathic pulmonary fibrosis: A meta-analysis from placebo controlled trials.
Respir Med. 2014 Feb;108(2):376-87.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)におけるアウトカムのほとんどのデータは現行のガイドラインよりも前に得られたものである。感染症の頻度に関するデータは乏しく、低用量ステロイドと疾患重症度の影響については不透明である。

方法:
 われわれはIPFのランダム化比較試験を同定し、死亡率、下気道感染症(LRTIs)の頻度、IPFの悪化および急性増悪をプラセボ群と介入群で比較した。われわれは、疾患重症度あるいは低用量免疫抑制剤を検証したサブグループ間での罹患率比(IRRs)を用いて差を比較した。

結果:
 軽症~中等症の重症度の患者を組み込んだ臨床試験において、死亡率は重症の患者を含んだ臨床試験よりも低かった(1000人年あたり188.6 vs 78.6の死亡, IRR 0.30-0.59, p < 0.0001)。低用量プレドニゾロンの使用を許可した研究と除外した研究の間には統計学的な死亡率の差は観察されなかった。LRTIsは、低用量プレドニゾロンを使用していない群よりも使用した群の方がよく観察された(1000人年あたり227.1 vs 63.4感染、IRR 2.56-5.13, p < 0.0001)。また重症の患者を除外した研究では感染症の頻度は少なかった(1000人年あたり153.9 vs 257.8感染, IRR 0.45-0.81, p = 0.0003)。IPFの急性増悪は重症IPFを除外した研究では少なかった(1000人年あたり28.2 vs 122.9増悪イベント, IRR 0.11-0.55, p < 0.0001)。IPFの悪化の頻度はサブグループ間で差はなかった。

結論:
 IPFの死亡率は不均一であり、臨床試験の適格基準に依存する。感染症の頻度は免疫抑制の有無に関係なく高く、重症の患者では高かった。IPFに対する低用量プレドニゾロンは下気道感染の頻度を上昇させる。


by otowelt | 2014-02-26 00:48 | びまん性肺疾患

悪性胸膜中皮腫におよぼす職業関連および非職業関連アスベスト曝露の影響

e0156318_1214596.jpg 曝露から何十年も経過した後に発症するので、疫学的な研究が非常に少ない疾患でもあります。

A Lacourt, et al.
Occupational and non-occupational attributable risk of asbestos exposure for malignant pleural mesothelioma
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2013-203744


目的:
 フランスにおいて、非職業関連曝露も含めたアスベスト曝露によると想定される悪性胸膜中皮腫例の頻度を推定すること。

方法:
 この1998年から2002年まで実施された集団ベースの症例対照研究には、437人の悪性胸膜中皮腫の患者と874人のコントロール患者が組み込まれた。職業関連および非職業関連のアスベスト曝露がレトロスペクティブに2人の衛生学者によって評価された。
 アスベスト曝露による悪性胸膜中皮腫のオッズ比が非曝露例と比較され、条件つきロジスティック回帰を用いてアスベスト曝露の人口寄与危険度割合が算出された。

結果:
 職業関連アスベスト曝露と悪性胸膜中皮腫の間には明確な用量反応関係が観察された(0.1f/mL-year以下の曝露:オッズ比4.0、99%信頼区間1.9 to 8.3、10f/mL-year以上の曝露:オッズ比67.0、99%信頼区間25.6 to 175.1)。職業関連アスベスト曝露の人口寄与危険度割合は男性で83.1%(99%信頼区間74.5% to 91.7%)、女性で41.7% (99%信頼区間25.3% to 58.0%)だった。非職業関連アスベスト曝露であっても、曝露歴のない患者と比較すると悪性胸膜中皮腫のリスクは高かった。非職業関連アスベスト曝露の人口寄与危険度割合は男性で20.0% (99%信頼区間−33.5% to 73.5%)、女性で38.7% (99%信頼区間8.4% to 69.0%)だった。あらゆる条件でのアスベスト曝露を想定すると、人口寄与危険度割合は男性で87.3% (99%信頼区間78.9% to 95.7%)、女性で64.8% (99%信頼区間45.4% to 84.3%)だった。

結論:
 われわれの研究によれば、非職業関連アスベスト曝露による女性の悪性胸膜中皮腫では人口寄与危険度割合が高く算出された。家庭や職場でのアスベスト曝露を検証する難しさを考慮したとしても、この結果は男女における人口寄与危険度割合に差があることで説明できるのかもしれない。


by otowelt | 2014-02-25 00:32 | 肺癌・その他腫瘍

進行肺癌に合併する難治性続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法

e0156318_22432641.jpg 胸膜癒着術は、呼吸器科領域において私が最も興味のある治療法の1つです。

西野 豪志ら.
進行肺癌に合併した続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法の経験
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 1 p. 13-18


背景:
 進行肺癌に合併する続発性気胸は,難治性であることが多く,患者のQuality of Lifeおよび予後を著しく悪化させる深刻な病態である.当院では進行肺癌に合併した続発性気胸の治療に対しては,胸腔内フィブリン糊注入療法を第一選択としている(Jpn J Thorac Cardiovasc Surg 2003;51: 41-7.).

方法:
 2009 年4 月から2012 年5 月の期間に切除不能な進行肺癌患者の治療経過中に気胸を発症した症例のうち,肺癌と同側の気胸で,胸腔ドレナージ後1 週間以上気漏が持続した5 例を対象とした.

結果:
 平均年齢は60.8歳で,組織型は扁平上皮癌が4例,腺癌が1例であった.全例がStage IIIA以上の切除不能進行肺癌であり,化学療法中の発症が4例,化学放射線療法中の発症が1例であった.5例中4例は胸腔造影検査で気漏部位が特定でき,フィブリン糊注入療法で気漏の停止が得られた.全例で,気漏停止後に化学療法または放射線治療の追加が可能となった.

結論:
 進行肺癌に合併する難治性続発性気胸に対する胸腔内フィブリン糊注入療法は有効であり,まず試みる治療として妥当であると考える.


by otowelt | 2014-02-24 00:33 | 呼吸器その他

結核の喀痰検査は早朝でなくてもよい?

短報ですが、興味深いですね。

Das, D, et al.
Spot or early morning sample for mycobacterial culture: which?
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 18, Number 3, 1 March 2014 , pp. 310-311(2)


概要:
 インドにおける耐性結核の研究の患者データを用いて、喀痰のタイプによる診断能の差を検証したものである。喀痰は、監視下で採取された1日目の喀痰(随時喀痰)と、非監視下で採取された2日目の早朝の喀痰(早朝喀痰)のパフォーマンスを比較。その結果、喀痰の採取パターンによる培養陽性率に差はみられなかった(89.9% vs. 87.7%)。
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(文献より引用)


by otowelt | 2014-02-23 10:58 | 抗酸菌感染症

ジェネラリストのための内科診断リファレンス: エビデンスに基づく究極の診断学をめざして

 あまり他の先生が書いた本の紹介はしないようにしているのですが、衝撃的な医学書が出たので是非紹介させて下さい。個人的に、ここ10年で一番のヒットです。Amazonのレビューも参考にしてみて下さい。8400円という値段が高いように思いますが、この分厚さと内容を考えればかなり安い買い物です。

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 著者の上田先生は、私が京都府の音羽病院に勤務していたときに、総合診療科の上級医として活躍しておられました。「一体この先生はどういう頭をしているんだ?」というくらい驚くべき知識量を備えた先生でした。総合診療科のカンファレンスの最後に、上田プリントとも言うべきすさまじい情報量のプリントを配布してくれることもありました。そこには、あらゆる身体所見や検査所見の感度・特異度・尤度比などが記載されていました。数字を見るだけでなく、実演や実技でそれを体現する先生は私たち研修医にとって羨望の的でした。

 この本は、その恐ろしいまでの情報量を掲載した神がかり的な医学書です。医師免許を持った人間であれば、「マジかよ」と思わずつぶやいてしまうような内容でしょう。数字ばかりではなく、経験に基づいたコメントも豊富に掲載されており、エビデンスと日常臨床をここまで上手に橋渡しできている医師がいることに驚かされます。診断学を芸術作品としてここまで美しくまとめ上げた努力を心から称えたいと思います。




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by otowelt | 2014-02-21 00:52 | その他

鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与は標準治療より有効

e0156318_2256015.jpg 呼吸器科で出合う寄生虫感染の多くは回虫症で、個人的にはそれ以外経験したことがありません。

Benjamin Speich, et al.
Oxantel Pamoate–Albendazole for Trichuris trichiura Infection
N Engl J Med 2014; 370:610-620February 13, 2014


背景:
 世界的に土壌伝播蠕虫(回虫:Ascaris lumbricoides、鉤虫、鞭虫:Trichuris trichiura)感染が拡大しており、これらは同時に感染することが多いとされている。これらの寄生虫感染は、通常アルベンダゾールやメベンダゾールによって治療されるものの、いずれも鞭虫に対する有効性は高くない。また、アルベンダゾールは鉤虫に対する第一選択薬である。

方法:
 タンザニア・ペンバ島で施行した二重盲検試験において、6~14歳の小児を次の4治療のいずれかにランダムに割り付けた。すなわち、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg+アルベンダゾール400mg 2日間、オキサンテルパモ酸塩20mg/kg単回、アルベンダゾール400mg単回、メベンダゾール500mg単回である。オキサンテルとアルベンダゾールの併用の有効性・安全性プロファイルを、鞭虫感染の治療に用いた場合や土壌伝播蠕虫同時感染の治療に用いた場合について評価。有効性は、感染症治癒率と虫卵の減少率をみた。

結果:
 合計458人から完全なデータが得られた。450例が鞭虫、443例が鉤虫、293例が回虫に感染した。オキサンテル+アルベンダゾール群の鞭虫感染の治癒率はメベンダゾール群よりも有意に高かった(31.2% vs. 11.8%、P=0.001)。また、虫卵減少率も同様であった(96.0%、95%信頼区間93.5~97.6 vs. 75.0%、95%信頼区間64.2~82.0)。アルベンダゾール単剤群の治癒率と虫卵減少率は、メベンダゾール群よりも有意に低かった(P=0.02)。また、オキサンテル単剤群は、鉤虫と回虫に対する有効性が低かった。

結論:
 鞭虫感染に対するオキサンテルとアルベンダゾールの併用投与によって、標準治療と比べ高い治癒率および虫卵減少率が達成できた。


by otowelt | 2014-02-20 00:15 | 感染症全般

COPD患者に対する吸入ステロイド薬の使用は結核のリスクを上昇

e0156318_2392879.jpg 吸入ステロイド薬の恩恵とリスクのバランスの難しさを提唱したメタアナリシスです。

Yaa-Hui Dong, et al.
Use of Inhaled Corticosteroids in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease and the Risk of Tuberculosis and Influenza: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
Chest. 2014. doi:10.1378/chest.13-2137


背景:
 吸入ステロイド薬(ICS)の使用は、COPD患者における肺炎のリスク上昇と関連している。しかしながら、結核やインフルエンザといった他の呼吸器感染症のリスクについては不透明である。

方法:
 2003年7月以降のMEDLINE、EMBASE、CINAHL、Cochrane Liberary、CinicalTrial.govの文献より、COPD患者(重症度は問わない)に対してICSを少なくとも6ヶ月継続したランダム化比較試験を抽出した。われわれはMantel-Haenszel法、Peto法、Bayesian法によるメタアナリシスを施行し、非ICS治療と比較したICS治療の結核およびインフルエンザへのリスクを算出した。

結果:
 結核に関する25の研究(22898人)、インフルエンザに関する26の研究(23616人)が適格基準を満たした。非ICS治療と比較して、ICS治療は結核のリスクを有意に上昇させた(Petoオッズ比2.29; 95%信頼区間1.04-5.03、I2=0.4%)が、インフルエンザのリスクは上昇させなかった(Petoオッズ比1.24; 95%信頼区間0.94-1.63、I2=14.3%)。これはTORCH試験のインフルエンザのリスク上昇とは少し異なる結果であった(Petoオッズ比7.37; 95%信頼区間1.49-36.55)。これらの結果はいずれのメタアナリシス手法によっても同等であった。
e0156318_2365951.jpg
(文献より引用)

 ただし、フルチカゾンは結核およびインフルエンザのいずれにおいてもPeto法で有意なリスク上昇がみられた(オッズ比2.50; 95%信頼区間1.12-5.79、オッズ比1.60;95%信頼区間1.05-2.45)。
 結核1例を起こすNNH (Number Needed to Harm)は、結核の蔓延地域の方が非蔓延地域よりも低かった(909 vs. 1667)。

結論:
 アジアやアフリカといった結核蔓延地域においては、COPD患者に対するICSの使用は結核のリスクをおよそ2倍に上昇させる。インフルエンザについては統計学的に有意ではなかったが、リスク上昇の懸念は払拭できない。われわれの研究は、COPD患者におけるICSの使用が結核やインフルエンザのリスクについて安全性の懸念を提示するものである。


by otowelt | 2014-02-19 00:40 | 気管支喘息・COPD

ソラシックエッグに中心静脈カテーテルを接続した気胸治療

e0156318_21395181.jpg ソラシックエッグと中心静脈カテーテルを使ったアイディア治療法。こういう観点は好きです。

三澤 賢治ら.
中心静脈カテーテルとソラシックエッグ®を利用した気胸ドレナージ治療の検討
日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 28 (2014) No. 1 p. 2-6


背景:
 ソラシックエッグ(以下TE)は,留置に伴う疼痛が軽度で,管理も容易であるため,気胸治療において広く使われている.しかし,胸膜が硬い症例では,挿入の際に剥離操作を必要とするため,疼痛が強くADL低下を認めることがある.

方法および結果:
 ドレーン挿入時および留置中の疼痛をさらに軽減する目的で,中心静脈カテーテル(以下CVカテーテル)をドレナージチューブとして代用し,TEの排液ボトルと組み合わせ,気胸ドレナージ治療を行ったので報告する.
 胸水を伴わない中等度以上の気胸患者で,2010年9月~2012年8月までに治療した69症例を対象とした.経過中に通常の胸腔ドレーンへの入れ換えが必要であった症例は13例であり,約8割の症例がCVカテーテルのみでドレナージ治療が可能であった.

結論:
 CVカテーテルとTEを利用した気胸ドレナージ治療は,ドレーン挿入に伴う疼痛がほとんどなく,日常生活の快適性を損なわない治療法になるものと考えた.


by otowelt | 2014-02-17 00:18 | 呼吸器その他