<   2014年 05月 ( 50 )   > この月の画像一覧

特発性縦隔気腫症例の臨床的検討

e0156318_22592195.jpg 個人的にも受け持った縦隔気腫の患者さんはすべて男性でした。

稲田一雄ら.
特発性縦隔気腫症例の臨床的検討
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 2 p. 128-131


背景:
 今回当科で経験した特発性縦隔気腫を臨床的に検討した.

方法:
 1992年4月から2009年6月までに入院加療した縦隔気腫症例のうち喘息に続発した縦隔気腫をA群17例,胸部基礎疾患の無いものに誘因無く発生した縦隔気腫をB群16例,日常的イベントが誘因と思われた縦隔気腫をC群9例とした.

結果:
 A群男性13例(76.5%),B群男性15例(93.8%),C群男性5例(55.6%)で,平均年齢はA群21.6歳,B群26歳,C群23歳であった.症状のべ内訳(疼痛:呼吸困難:画像のみ)はA群8:9:2,B群16:4:0,C群7:2:2であった.真の意味での特発性縦隔気腫(B群)はほとんどが男性で症状の大半は疼痛であった.全例保存的治療で軽快退院した.発症当時の気象観測値の比較検討では,A群とB+C群の間には明らかな差を認めなかった.また全天日射量に関してB群がC群よりも高い傾向があったが,有意差を認めなかった.


by otowelt | 2014-05-30 00:48 | 呼吸器その他

多剤耐性結核治療薬:デルティバ6月にも承認か

e0156318_17201413.jpg 2014年6月に多剤耐性結核の新しい治療薬であるデルティバ錠50mg(デラマニド、大塚製薬)が承認される見込みです。

 デルティバは、ニトロ-ジヒドロ-イミダゾオキサゾール誘導体です。これは結核菌細胞壁のミコール酸の生成を阻害することで効果を発揮します。デルティバ錠は1回100mgを1日2回、朝・夕食後に経口投与します。

 根拠となった臨床試験は2つあり、特に前者の論文は有名でしょう。

Gler MT, et al.
Delamanid for multidrug-resistant pulmonary tuberculosis.
N Engl J Med. 2012 Jun 7;366(23):2151-60. doi: 10.1056/NEJMoa1112433.


Skripconoka V, et al.
Delamanid improves outcomes and reduces mortality in multidrug-resistant tuberculosis.
Eur Respir J. 2013 Jun;41(6):1393-400.


 言うまでもなく、単剤使用や効果の弱い抗結核薬との併用は絶対禁忌と考えてよいと思われます。


by otowelt | 2014-05-29 00:13 | 抗酸菌感染症

DELTA試験:EGFR遺伝子変異の有無を問わないNSCLC患者に対するエルロチニブはドセタキセルに優位性なし

e0156318_1833037.jpg 私の指導医であった川口先生の論文です。結果についてはすでに去年のASCOで報告されています。

Kawaguchi T, et al.
Randomized Phase III Trial of Erlotinib Versus Docetaxel As Second- or Third-Line Therapy in Patients With Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer: Docetaxel and Erlotinib Lung Cancer Trial (DELTA)
JCO May 19, 2014, Published online before print May 19, 2014, doi: 10.1200/JCO.2013.52.4694


目的:
 EGFR遺伝子変異の有無を問わない既治療例の進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、エルロチニブとドセタキセルの効果と安全性を比較するランダム化多施設共同第III相試験(DELTA試験)を実施した。

患者および方法:
 プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントは全生存期間(OS)、奏効率、安全性、EGFR野生型腫瘍の解析とした。患者は、病期IIIBまたはIV、ECOG PSが0-2、白金製剤を含む1~2レジメンでの化学療法治療歴を含む測定可能な腫瘍を持つ進行NSCLC患者とした。
※登録時にはEGFR遺伝子変異の有無は条件とせず、ランダム化の際にEGFR遺伝子変異の有無は層別化因子としていないものの、EGFR遺伝子変異検査が登録時に推奨されている。

結果:
 2009年8月から2012年7月までに、41施設から301人が登録された。エルロチニブ群(1日150mg連日投与、150人)もしくはドセタキセル群(3週間おきに60mg/m2、151人)に無作為に割り付け、病勢が進行するまで投与した。
 患者背景に群間差はなかった。EGFR遺伝子野生型は、エルロチニブ群では109人(72.7%)、ドセタキセル群では90人(59.6%)だった。
 全体におけるPFS中央値は、エルロチニブ群が2.0ヶ月、ドセタキセル群が3.2ヶ月で、有意差はなかった(ハザード比1.22、95%信頼区間:0.97-1.55)。ただし、EGFR遺伝子野生型患者に限ると、エルロチニブ群が1.3ヶ月、ドセタキセル群が2.9ヶ月で、ドセタキセル群において良好な結果だった(ハザード比1.45、95%信頼区間:1.09-1.94, p<0.01)。
 全体におけるOS中央値は、エルロチニブ群が14.8ヶ月、ドセタキセル群が12.2ヶ月で、有意差はなかった(ハザード比0.91、95%信頼区間0.68-1.22, p=0.53)。EGFR遺伝子野生型患者でも群間差はみられなかった(ハザード比0.98、95%信頼区間0.69-1.39, p=0.91)。
e0156318_17575593.jpg
(文献より引用:全体のPFSとOS)

e0156318_1811534.jpg
(文献より引用:EGFR野生型患者のPFSとOS)

 全体の病勢制御率(DCR)はエルロチニブ群が61.9%、ドセタキセル群が77.2%で、ドセタキセル群で有意に良好であった(p=0.005)。奏効率はエルロチニブ群が17.0%、ドセタキセル群が17.9%で差はなかった(p=0.88)。
 EGFR遺伝子のexon19 deletionもしくはL858R変異を有するグループにおいて、PFSはエルロチニブ群9.3ヶ月、ドセタキセル群7.0ヶ月、OSはエルロチニブ群は未到達、ドセタキセル群27.8ヶ月であった。いずれも統計学的には有意な差ではなかった。
 試験治療中止後の治療は、エルロチニブ群はドセタキセル投与を受けたのが42.3%、無治療が26.4%、ドセタキセル群ではEGFR-TKIが37.9%、その他の治療が28.3%、無治療が33.8%。
 Grade3ないし4の有害事象のうち、エルロチニブ群では発疹が、ドセタキセル群では白血球減少症、好中球減少症、発熱性好中球減少症が有意に多かった。

結論:
 EGFR遺伝子変異の有無を問わないNSCLC患者に対するエルロチニブ投与は、PFSあるいはOSにおいてドセタキセルに対して優位ではなかった。EGFR遺伝子野生型の患者において、ドセタキセル群はエルロチニブ群よりもPFSを有意に延長した。


by otowelt | 2014-05-28 00:42 | 肺癌・その他腫瘍

再発C.difficile感染症に対する凍結糞便を用いた糞便微生物移植の有効性

e0156318_1654535.jpg すっかりC. difficile感染症の治療でおなじみになった糞便微生物移植のうち、凍結糞便を用いた注入法の報告です。 
 Discussionに興味深い一文がありました。

“We are now studying oral delivery of frozen encapsulated material as the next logical step in making FMT more accessible to patients.”

Ilan Youngster, et al.
Fecal Microbiota Transplant for Relapsing Clostridium difficile Infection Using a Frozen Inoculum From Unrelated Donors: A Randomized, Open-Label, Controlled Pilot Study
Clin Infect Dis. (2014) 58 (11): 1515-1522. doi: 10.1093/cid/ciu135


背景:
 通常の治療でも効果がみられない再発性のClostridium difficile感染症(CDI)に対する治療に関心が集まっている。われわれは、再発性CDIに対して他人の凍結糞便を用いた糞便微生物移植(fecal microbiota transplant:FMT)を大腸内視鏡的および経鼻胃管の2治療で比較した。

方法:
 凍結糞便は健康な成人から得られた。再発性および治療不応性CDI患者はランダムに大腸内視鏡および経鼻胃管によって糞便を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは8週間後時点における下痢の臨床的軽快とした。セカンダリエンドポイントは自己申告の健康スコアとした。
 糞便提供者(ドナー)は外傷以外にいかなる既往歴も有さない健康な成人とした。糞便採取前にマグネシアミルクを飲んでもらった。糞便懸濁液は、防腐剤を用いずに生理食塩水とブレンダーで混合した。その後、粒子状物質を除去した。遠心分離によって3倍に濃縮し、10%グリセロールで滅菌生理食塩水に再懸濁として添加した。その後-80℃に凍結した。

結果:
 20人の患者が登録され、10人ずつ各々の治療群に割り付けられた。患者は治療介入前に中央値で4回(range:2~16回)の再発を経験していた。1回のFMTによって下痢の軽快は14人(70%)で得られた(大腸内視鏡10人中8人、経鼻胃管10人中6人)。5人が再度FMT治療を受け、4人が軽快したため、全体としてFMTによる治癒率は90%となった。排便回数も治療前は中央値7回(IQR5~10)であったものが、治療後2回(IQR1~2)に減少した。また、自己申告健康スコアは有意に改善した。
e0156318_16522747.jpg
(文献より引用)

結論:
 凍結糞便を用いたFMTは再発性CDIに有効である。経鼻胃管からの投与は大腸内視鏡的投与と同等の効果が得られた。


by otowelt | 2014-05-27 00:26 | 感染症全般

アノーロ®エリプタはチオトロピウム単剤、ビランテロール単剤と比較してトラフ1秒量を有意に改善

e0156318_1446429.jpg ウメクリジニウム/ビランテロールについては、グラクソ・スミスクライン社から、すでにアノーロ®エリプタという名前で承認がおりています。エリプタで吸入する薬剤は、レルベアに次いで2剤目ですね。
 吸入ステロイド薬+LABAの組み合わせは覚えにくいのですが、さらにLAMA+LABAという組み合わせも登場するようになり、現場は混乱しております。


・吸入ステロイド薬+LABA
 アドエア
 シムビコート
 フルティフォーム
 レルベア

・LAMA+LABA
 ウルティブロ
 アノーロ

 ノバルティスファーマのブリーズヘラーとグラクソスミスクラインのエリプタを使用した製剤の発売スピードが早いです。ブリーズヘラーの場合、

ウルティブロ=シーブリ(グリコピロニウム)+オンブレス(インダカテロール)

 という足し算が成立しますが、ウメクリジニウムとビランテロール単剤がまだ商品化されていないため、アノーロは合剤のみを覚える必要があります。ウメクリジニウムは5月23日にグラクソ・スミスクライン社が申請を出していますので、いずれこれも商品名の足し算を覚える必要があるでしょうね。海外ではウメクリジニウムはIncruse(インクルース)という商品名で申請されています。

 現場の意見としては、ちょっと吸入薬が多すぎます。非呼吸器科医にとっては、もう匙を投げてしまうくらいの多さです。


Marc Decramer, et al.
Efficacy and safety of umeclidinium plus vilanterol versus tiotropium, vilanterol, or umeclidinium monotherapies over 24 weeks in patients with chronic obstructive pulmonary disease: results from two multicentre, blinded, randomised controlled trials
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 15 May 2014


背景:
 COPDに対する長時間作用型の気管支拡張薬の併用は、単剤と比較して効果的かもしれない。われわれは、中等症以上のCOPD患者においてウメクリジニウム/ビランテロール(UMEC/VI)をチオトロピウム単剤、ウメクリジニウム単剤、ビランテロール単剤と比較した。

方法:
 2つの多施設共同ランダム化二重盲検ダブルダミー並行群間試験において、40歳以上の中等症以上のCOPD患者に対して、1:1:1:1にウメクリジニウム125μg+ビランテロール25μg(UMEC125/VI25)群、ウメクリジニウム62.5μg+ビランテロール25μg(UMEC62.5/VI25)群、チオトロピウム18μg(TIO)群、ビランテロール25μg(VI)群(スタディ1)あるいはウメクリジニウム125μg(スタディ2)に割り付けた。すべての薬剤は1日1回24週間続けられた。TIOはハンディヘラーで吸入し、その他はすべてエリプタドライパウダーで吸入した。
 2試験のいずれともプライマリ効果エンドポイントは、169日目のトラフ1秒量とした(ITT解析)。

結果:
 1141人の患者がスタディ1に登録され、1191人の患者がスタディ2に登録された。
 スタディ1でITT解析が可能であったのは、TIO群208人、VI群209人、UME125/VI25群214人、UMEC62.5/VI25群212人であった。同様にスタディ2では、TIO群215人、UMEC群222人、UME125/VI25群215人、UMEC62.5/VI25群217人であった。いずれの試験においても、169日目のトラフ1秒量は合剤群において有意な改善がみられた。
 TIO単剤と比較:スタディ1, UMEC125/VI25: 0.088 L [95%信頼区間0.036 to 0.140; p=0.0010]; スタディ1, UMEC62.5/VI25: 0.090 L [95%信頼区間0.039 to 0.141; p=0.0006]; スタディ2, UMEC125/VI25: 0.074 L [95%信頼区間0.025 to 0.123; p=0.0031]; スタディ2, UMEC62.5/VI25: 0.060 L [95%信頼区間0.010 to 0.109; nominal p=0.0182])
 VI単剤と比較(スタディ1):UMEC125/VI25: 0.088 L [95%信頼区間0.036 to 0.140; p=0.0010]; UMEC62.5/VI25: 0.090 L [95%信頼区間0.039 to 0.142; p=0.0006]
 UMEC単剤(スタディ2)と比較については有意差は観察されなかった。
 すべての治療群において呼吸困難感と健康関連QOLの改善がみられたが、症状の差、健康ステータス、急性増悪のリスクについては合剤とTIO群で差はみられなかった。
 治療関連有害事象についてはいずれの試験においても一定の急性増悪が観察された。

結論:
 COPD患者において1日1回のUMEC/VI吸入はVI単剤、TIO単剤と比較して有意に呼吸機能を改善させる。中等症以上のCOPD患者においてUMEC/VIの合剤が推奨される。


by otowelt | 2014-05-26 00:07 | 気管支喘息・COPD

なぜ塗沫ではなく塗抹なのか?

e0156318_794273.jpg●はじめに
 喀痰抗酸菌検査のうち、抗酸菌染色で検鏡することを私たちは「塗抹」と呼んでいます。なぜこう呼ぶのかというと、「塗抹」と「培養」を使い分けて話すことが多いからです。もちろんこの使い分けは抗酸菌にかぎったことではないのですが、一般細菌とは異なり厚生労働省の基準などに縛られている以上、塗抹が陽性・陰性なのか、培養が陽性・陰性なのかを明確に論じなければなりません。


●「塗沫」ではない
 さて、私も昔結核診療を始めたころはよく間違えていたのですが、「塗」と「塗」をよく勘違いして記載されていることがあります。もちろん、後者の「塗抹」が正解なのですが、これには漢字の成り立ちを理解する必要があります。

 「」という字は、しぶきを意味します。医療従事者であれば、「飛沫(ひまつ)」という言葉をご存知と思いますが、これも訓読みで「しぶき」と呼びます。そのため、確かに喀痰検査の場合にイメージとしてこちらの「沫」の字を使いたくなるのですが、使うのは喀痰であってしぶきではありません。

 「」は、なでつける、こすりつける、ぬりつぶすという意味があります。漢字そのものも手へんですから、手でなにかを行う動作であることは容易に想像ができます。そのため、塗抹というのは読んで字の如く、塗りつけるという意味です。喀痰をスライドガラスに塗りつける作業がイメージできればいいわけです。

 上記のように何となく漢字の意味さえ分かってしまえば、間違えることはないと思います。


●おわりに
 スメア(smear)と書いてしまえばそれで済む話なのかもしれませんが、医療の世界には意外にも多くの難しい熟語が存在するため、誤字脱字の問題は避けて通れないでしょう。たとえば郭清(かくせい)、狭窄(きょうさく)、縦隔(じゅうかく)、などは一般的には使われることのない熟語です。

 ちなみに私は倉原という名字ですが、桑原・倉橋と間違えられることが頻繁にあります。これはまた別問題ですが。


by otowelt | 2014-05-24 00:49 | 抗酸菌感染症

ATS 2014:目次

e0156318_2371226.jpg
e0156318_22274031.jpg


 現在サンディエゴでアメリカ胸部疾患学会(ATS)の総会が開催中です。ページが複数にわたるため目次を作成します。



ATS 2014 目次
●閉塞性肺疾患
若年喫煙気管支喘息患者におけるバレニクリンの有効性
STATCOPE試験:スタチンはCOPD急性増悪を減少させない
気管支喘息における呼吸リハビリテーションの有効性
新規LABA・・・Abediterol (LAS100977)
気管支喘息に対するトリプル吸入療法(スピリーバレスピマット®+ICS/LABA)
気管支喘息発作に対する2日間のデキサメタゾンは5日間のプレドニゾンに匹敵
室温の上昇はCOPDによくない?
重症喘息に対する経口ステロイドの弊害
IGNITE統合解析・・・ウルティブロ®はプラセボ、チオトロピウムと比較して呼吸機能を改善
ウェブサイト介入はCOPD患者の運動療法に良好な効果

●びまん性肺疾患
IPFに対するピルフェニドンの効果予測にCCL-18が有用
possible UIPの臨床的特徴
DLCOと6分間歩行距離はIPFにおける死亡の予測因子
IPF急性増悪に対する遺伝子組換えトロンボモジュリンは生存率を改善
急速進行性間質性肺炎に対するPMX-DHPの有効性
INPULSIS試験:ニンテダニブはIPF患者において努力性肺活量の減少を有意に抑制
IPFに対するアセチルシステインはプラセボと差なし
血清MMP-7の増加はIPFの死亡リスクを上昇させる

●集中治療
頻呼吸、低酸素血症、低GCSではNPPV失敗の可能性が高い
ALI/ARDSに対する早期NIPPVの使用は挿管を回避できるが死亡率の改善なし
敗血症患者および患者家族に対しては十分な説明を
アメリカにおけるARDSの死亡率の変遷
重症敗血症は退院後の再入院が多い
ACROSS試験:アセトアミノフェンは重症敗血症において血清クレアチニン値を軽減

●気管支鏡
新しい手技・・・EBUS-MF(微小鉗子)を用いた生検
EBUS気管支鏡施行時の鎮静プロトコール
EBUS専用気管支鏡は経鼻挿入でも大丈夫!

●その他
呼吸困難感は死亡リスクを上昇させる
動脈穿刺時の疼痛は針の太さのせいではない、患者の不安によるもの
気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー
非結核性抗酸菌症に対する吸入アミカシン療法
胸腔SUVmaxが高い方が胸膜癒着術が成功しやすい
胸部レントゲンにおける悪性胸水の量が多いと予後不良





by otowelt | 2014-05-22 23:35 | 呼吸器その他

ATS2014:胸部レントゲンにおける悪性胸水の量が多いと予後不良

e0156318_22274031.jpg


D23
M.F. Montero-Arias, et al.
Pleural Effusion Size As A Prognostic Marker In Patients With Malignant Pleural Effusion: A Retrospective Cohort Study
[Publication Number: A5485]


背景:
 悪性胸水(MPE)は腫瘍細胞が直接胸膜に浸潤することで発生し、予後を不良にさせる。複数の研究によって、その臨床的特徴や生化学的パラメータに基づいて死亡を予測することがこころみられているが、その結果は一致しないことが多い。われわれは、臨床的、生化学的、放射線学的な予後の特徴を5年におよぶレトロスペクティブ試験において検討した。

方法:
 2008年1月から2013年7月までの間、MPEと診断された患者を連続して登録した。患者の臨床データ、放射線学的特徴、生化学的解析が診療録から抽出された。患者は胸部レントゲン写真で4群に分類された。すなわち、胸水量が胸腔の25%未満、25~50%、50~75%、75%超の4群である。全生存期間がKaplan Meier法によって算出された。また、Cox比例回帰モデルによってハザード比を算出した。

結果:
 MPEのある110人の患者が登録され、72人(65%)が女性で平均年齢は61±15歳だった。59人(54%)が癌の既往があった。すべてのMPEはリンパ球が優位であり、平均胸水グルコースは108±54mg/dL, 胸水LDHは515±580UL/mL、胸水pHは7.1±0.2だった。もっともよくみられたMPEの原因は肺癌が40人(36%)で、続いて乳癌34人(31%)だった。全生存期間中央値は8.3ヶ月だった。腫瘍によって生存期間に差はみられなかった(p=0.812)。年齢、胸水pHや胸水LDHなどで分類しても予後予測因子にはなりえなかった。しかし胸水量は有意に生存期間を予測した。胸水量が25%増えるごとに死亡リスクは1.78倍上昇した(95%信頼区間1.11-2.91, p<0.001)。MPEが胸部レントゲンで胸腔の50%未満の患者はそれを上回る患者と比較して生存期間が長かった(15.7ヶ月 vs 5.7ヶ月、ハザード比1.71; 95%信頼区間1.06 – 2.78; p=0.002)。
e0156318_22384465.jpg
(Abstractより引用)

結論:
 胸部レントゲンにおけるMPEの量は有意に生存を予測する因子であった。


by otowelt | 2014-05-22 12:05 | 肺癌・その他腫瘍

ATS2014:胸腔SUVmaxが高い方が胸膜癒着術が成功しやすい

e0156318_22274031.jpg


D23
S.S. Comert, et al.
Can The Success Of Chemical Pleurodesis Be Predicted With PET-CT?
[Publication Number: A5465]


概要:
 化学療法不応性の悪性胸水の患者63人を摂る億し、緩和的に胸膜癒着術を施行した。胸水パラメータ(外観、LDH、タンパク、アルブミン、pH)や悪性細胞の胸腔内の有無、PET/CTにおけるSUVmaxの値と胸膜癒着術の成否との関連を調べた。その結果、胸腔/胸水のSUVmaxが高い患者では有意に胸膜癒着が成功する頻度が高かった(p<0.001)。また、pHが低い方が成功率が高かった(p<0.05)。



by otowelt | 2014-05-22 00:58 | 肺癌・その他腫瘍

ATS2014:非結核性抗酸菌症に対する吸入アミカシン療法

e0156318_22274031.jpg



K.N. Olivier, et al.
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study Of Liposomal Amikacin For Inhalation (Arikace®) In Patients With Recalcitrant Nontuberculous Mycobacterial Lung Disease
[Publication Number: A4126]


 NTMに対する吸入リポソーマルアミカシン療法を評価したランダム化プラセボ対照試験です。SNSを使って現地の情報を集めていますが、現時点ではまだ結果は分かっていません。


J.L. Benwill, et al.
Inhaled Amikacin For The Treatment Of Pulmonary Mycobacterium avium Complex (MAC) Infection
[Publication Number: A4112]


概要:
 非結核性抗酸菌症(NTM)に対する吸入抗菌薬の使用において、その量、頻度、副作用、効果についてのデータは不足している。肺MAC症に対して2010年から2013年に吸入アミカシンを投与された患者の薬剤歴を抽出した。患者はアミカシン500mgを1日1回~3回投与されていた。合計41人の患者が同定された。年齢は12歳から89歳までで、平均年齢は64.6歳だった。ほとんどが気管支拡張症と結節影を有する女性であった。29%(41人中12人)が空洞を有しており、71%(41人中29人)が結節影を有していた。11人(27%)が通常の経口化学療法と吸入アミカシンを開始されていた。また、30人(73%)は通常の化学療法が失敗したあとに吸入アミカシンが用いられていた。本レジストリーのMAC株はアミカシンに対しては感受性ないし低感受性であった。通常の治療に失敗した群では、23%がクラリスロマイシン耐性であった。1回あたりあの用量500mgという設定はおそらく忍容性のあるものであるが、将来的に比較試験を行うべきであることは言うまでもない。


by otowelt | 2014-05-21 20:23 | 抗酸菌感染症