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高炭酸ガス血症を有する安定期COPD患者への長期NPPVは生存を改善

e0156318_1151268.jpg 全文が読めず、NPPVのプロトコルの詳細が分かりませんが・・・。
 PaCO2が70mmHgや80mmHgあっても、pHが7.4前後で代償されている患者さんを診ている呼吸器内科医は多いでしょう。

Thomas Köhnlein, et al.
Non-invasive positive pressure ventilation for the treatment of severe stable chronic obstructive pulmonary disease: a prospective, multicentre, randomised, controlled clinical trial
The Lancet Respiratory Medicine, Early Online Publication, 25 July 2014, doi:10.1016/S2213-2600(14)70153-5


背景:
 安定した高炭酸ガス血症のCOPD患者に対する長期の非侵襲性陽圧換気(NPPV)が生存を改善するというエビデンスは弱い。過去のプロスペクティブ研究は、人工呼吸器セッティングの調整の際に高炭酸ガス血症の改善をターゲットとしていなかった。この研究において、炭酸ガス血症の改善を目標とした長期NPPVが、安定した炭酸ガス血症を有するCOPD患者の生存にもたらす影響を調べた。

方法:
 プロスペクティブ多施設共同ランダム化比較試験(医師主導)において、安定期にあるGOLD IV期のCOPD患者で、PaCO2≧51.9mmHg、pH≧7.35の患者を登録した。NPPVはPaCO2が最低でも20%以上の減少あるいは48.1mmHg未満に改善することを目標に設定された。患者はランダムに1:1に通常ケア(コントロール群)あるいは通常ケアに少なくとも12ヶ月のNPPV装着を受ける群(介入群)に割り付けられた。
 プライマリアウトカムは1年後の総死亡率とした。解析はITT解析とした。

結果:
 患者はドイツおよびオーストリアの36施設から登録され、2004年10月29日から2011年7月31日までの症例が解析の対象となった。195人の患者がランダムにNPPV群(102人)、コントロール群(93人)に割り付けられた。
 1年後の死亡率は介入群12%、コントロール群33%だった(ハザード比0.24、95%信頼区間0.11—0.49; p=0.0004)。介入群の14人(14%)の患者は皮膚炎を合併したがマスクの調整によってマネジメント可能であった。

結論:
 高炭酸ガス血症を有する安定期COPD患者に対して、PaCO2の減少を目標とした長期NPPVの介入を通常のケアに加えることで生存率が改善する。


by otowelt | 2014-07-31 12:18 | 気管支喘息・COPD

日本人の喫煙者率は19.7%へ

e0156318_1033747.jpg 呼吸器内科医として知っておきたいニュースです。ちなみに医療従事者の喫煙率は日本人の平均よりは低いと考えられます。

医師と看護師の喫煙率




日本人の喫煙率、初の20%割れ 14年JT調べ(日本経済新聞)

 日本たばこ産業(JT)が30日発表した2014年の「全国たばこ喫煙者率調査」によると、日本人の喫煙者率は前年から1.2ポイント下がって19.7%だった。19年連続で過去最低を更新し、初の20%割れとなった。

 全国の成人を対象に5月に調査し、1万9420人から回答を得た。男性は1.9ポイント下がって30.3%と、23年連続で過去最低を更新。女性は0.7ポイント下がり9.8%で、2年ぶりに最低となった。

 1965年に始めた同調査で男女合計の喫煙者率のピークは66年の49.4%だった。83年に40%を、2004年には30%を下回った。




by otowelt | 2014-07-31 00:06 | 呼吸器その他

石綿単独曝露よりも石綿と耐火性セラミック繊維の混合曝露の方が胸膜中皮腫発症リスクが高い

e0156318_22293212.jpg 石綿単独曝露よりも、セラミック繊維の混合曝露の方が中皮腫のリスクが高いという報告です。

Aude Lacourt, et al.
Co-exposure to refractory ceramic fibres and asbestos and risk of pleural mesothelioma
ERJ July 17, 2014 erj00798-2014


概要:
 この研究の目的は、石綿の単独曝露と比較して、石綿と耐火性セラミック繊維(RCF)の混合曝露によって胸膜中皮腫のリスクが上昇するかもしれないという仮説を検証するものである。
 フランスの症例対照研究(1987年~1993年)およびフランスの国内中皮腫サーベイランスプログラム(1998年~2006年)から男性を抽出した。出生年によってマッチさせたコントロール患者を選択した。完全な職歴聴取を行い、職業的な石綿曝露とRCF曝露を調査した。石綿の単独曝露による用量反応関係(グループ1)、RCFとの混合曝露による用量反応関係(グループ2)が検証された。
 石綿に曝露された合計988人の患者および1125人のコントロール患者が登録された。用量反応関係は両群に観察されたが、特にグループ2において強く観察された。
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(文献より引用)


by otowelt | 2014-07-30 00:12 | 肺癌・その他腫瘍

COPD急性増悪を繰り返すほどPTSDを発症しうる

e0156318_2234348.jpg COPD急性増悪はPTSDを起こしうるという報告です。

Teixeira PJ, et al.
Post-traumatic Stress Symptoms and Exacerbations in COPD Patients.
COPD. 2014 Jul, in press.


背景:
 PTSDは外傷的なストレスイベントの後によくみられる精神医学的な病態である。COPD急性増悪の間、呼吸困難感は死を感じるほどの経験であり、これがひいてはPTSD関連症状をもたらすかもしれない。この研究の目的は、COPD急性増悪とPTSD関連症状の関連性を評価することである。

方法:
 COPD急性増悪をきたした33人の患者がスクリーニングされた。スクリーニングは、PTSS (Screen for Posttraumatic Stress Symptoms), 不安(Beck Anxiety Inventory)、抑うつ(Beck Depression Inventory)で行われた。患者の年齢中央値は72歳であり、72.7%が女性だった。

結果:
 平均1秒量および努力性肺活量は0.8±0.3L (37.7 ± 14.9% of predicted)および1.7 ± 0.6L (60 ± 18.8% of predicted)であった。また1年の急性増悪は平均2.9エピソードだった。PTSD関連症状は11人(33人)の患者に確認された(SPTSS平均スコア4.13 ± 2.54)。また、中等度以上の抑うつ症状は16人(48.5%)にみられ(BDI平均スコア21.2 ± 12.1)、中等度以上の不安症状は23人(69.7%)にみられた(BAI平均スコア23.5 ± 12.4)。線形回帰モデルにおいて、急性増悪は有意にPTSD関連症状を予測した:急性増悪ごとにSPTSSスコア0.9点上昇(p = 0.001)。PTSD関連症状と不安(rs = 0.57; p = 0.001)および抑うつ(rs = 0.62; p = 0.0001)には有意な相関がみられた。多変量解析において、2回以上の急性増悪エピソードは、PTSD関連症状の有病率比をおよそ2倍に上昇させた(1.71; p = 0.015)。

結論:
 PTSD関連症状はCOPD急性増悪を経験するごとに増加する。2回以上の急性増悪は、PTSD関連症状の有病率比をおよそ2倍に増加させた。


by otowelt | 2014-07-29 00:18 | 気管支喘息・COPD

鈍的外傷による遅発性外傷性気胸のリスク因子の検討

e0156318_2321154.jpg 外傷領域における気胸の論文です。

伊坂哲哉ら.
鈍的外傷による遅発性外傷性気胸のリスク因子の検討
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 4 p. 420-426


背景および方法:
 鈍的外傷による外傷性気胸の経過観察中もしくはドレナージ療法後に遅発性外傷性気胸(LTP)を発症することが知られている.今回LTPのリスク因子を検討した.2006年11月1日~2012年12月31日に横浜労災病院で治療を行った鈍的外傷による外傷性気胸患者58人,61病変をLTP群と非LTP群に分けて患者背景および臨床背景を比較検討した.今回検討した肺嚢胞とは気腫性肺嚢胞および外傷性肺嚢胞とした.

結果:
 胸部CTにて,肺嚢胞は10病変(16.4%)検出された.LTPは7病変(11.5%)で発症した.単変量解析および多変量解析にて肺嚢胞の存在がLTPの独立したリスク因子だった(オッズ比12.2;95%信頼区間、1.1-142.3,p=0.046)。
 重症度は全例II 度以上だった.トロッカーカテーテルによるドレナージ療法を行い,5 例は完治したが,2 例は完治が得られず,手術を行った。

結論:
 外傷性気胸の気胸側に肺嚢胞を有する場合LTPを念頭に厳密なフォローを要することが考えられた.


by otowelt | 2014-07-28 00:09

Biot呼吸の提唱者:Camille Biot

e0156318_2252489.jpg 呼吸器内科医にとって、Biot(ビオー)呼吸はCheyne-Stokes呼吸と並んで有名な人名を冠する異常呼吸の1つです。Biot呼吸は、回数・リズム・深さがすべて不規則で、呼吸を意識させないと呼吸が停止してしまうことがあります。主に延髄の病変によってみられ、髄膜炎でも観察されます。Cheyne-Stokes呼吸は規則的に増減がみられる異常呼吸です。「何だかビオビオしてる呼吸」と医学生の頃は無理やり語呂づけて覚えていたような気がします。

 Biot呼吸とCheyne-Stokes呼吸をに表すと以下のようになります。
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図. Biot呼吸とCheyne-Stokes呼吸

 さて、Biot呼吸の名付け親となったCamille Biot(1850~1918年)は、Biot呼吸を解説したフランスの医師です。26歳という若さですでに呼吸パターンの調査を発表しており、Cheyne-Stokes呼吸を呈して患者のうち、典型例ではない不規則な呼吸パターンを報告しました。結核性髄膜炎の16歳の男児の呼吸パターンのトレースでは、Cheyne-Stokes呼吸では説明のつかない波形が描かれました。
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・Biot MC. Contribution a l'etude du phenomene respiratoire de Cheyne‐Stokes. Lyon Med 1876. 23517–28, 56167.28, 56167.
・Biot MC. Etude clinique et experimentale sur la respiration de Cheyne‐Stokes. New York: Harper & Brothers, 1878


 Biot呼吸は古典的には髄膜炎の呼吸様式として報告されていますが、現代では致死性家族性不眠症における呼吸パターンとして有名になりました。
Casas-Méndez LF, et al. Biot's breathing in a woman with fatal familial insomnia: is there a role for noninvasive ventilation? Clin Sleep Med. 2011 Feb 15;7(1):89-91.

 Biotはリオンで研修医として研鑽を積んだあと、マコンの町で生涯臨床に携わったそうです。私は主にオンラインで偉人たちのバイオグラフィーをひも解くことが多いのですが、このBiotに関しては詳しい生涯を記した文献は見つかりませんでした。他の偉人のように輝かしい表舞台で活躍した医師ではないのかもしれません。
Wijdicks EF. Biot's breathing. J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2007 May; 78(5): 512–513.

<音楽と医学>
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒

<偉人たち>
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram


by otowelt | 2014-07-26 00:27 | コラム:医学と偉人

特発性肺線維症に対する胎盤由来間葉系幹細胞の投与の安全性について

e0156318_22194053.jpg IPFに対する将来的な治療法の開拓に向けた希望の報告のようです。

DANIEL C. CHAMBERS, et al.
A phase 1b study of placenta-derived mesenchymal stromal cells
in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respirology (2014) doi: 10.1111/resp.12343


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は上皮修復がうまくいかなかったことによる線維化を主体とした変性疾患である。間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄において幹細胞ニッチを構成している主な因子であり、おそらくは肺を含めたほかの臓器にも関与しているとされている。MSCは上皮の修復を促進し炎症誘発性肺線維症モデルにおいて効果的であるとの前臨床研究があるが、ある環境下では線維化誘導因子であるともされている。

方法:
 単施設における非ランダム化比較第Ib試験において、中等症から重症のIPF(DLCO≧25%、FVC≧50%)の患者において胎盤由来MSCを1×106/kg(4人)あるいは1×106/kg(4人)を末梢静脈から投与し、6ヶ月後に呼吸機能、6分間歩行試験、胸部CTのフォローアップをおこなった。

結果:
 8人のIPF患者(4人が女性、年齢中央値63.5歳)が登録された。努力性肺活量中央値(予測値)は60%、DLCOは34.5%であった。胎盤由来MSCのいずれの用量も忍容性は高く、副反応は軽度であった。MSCの注射は15分後に一時的なSaO2低下と関連していたが、血行動態には影響を与えなかった。6ヶ月後の努力性肺活量、DLCO、6分間歩行距離、CT線維化スコアはベースラインと比較して変化はなかった。線維化を悪化させるというエビデンスは得られなかった。
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(文献より引用)

結論: 
 中等症から重症のIPF患者に対する経静脈的MSCの投与は問題なく、短期的な安全性プロファイルも良好であった。

by otowelt | 2014-07-25 00:43 | びまん性肺疾患

咳嗽は集中力で左右される

e0156318_2184973.jpg 歳を重ねるごとにひしひしと感じますが、咳の診療は奥深いです。

Thomas Janssens, et al.
Attentional Modulation of Reflex Cough
Chest. 2014;146(1):135-141.


目的:
 咳嗽反射は、気道の化学的および機械的刺激による脳幹の反応を介した防御機構である。しかしながら、咳嗽反射が中枢神経制御プロセスによって影響を受けるのかどうかは議論の余地がある。この研究では、咳嗽反射が外的刺激や内的刺激に集中することで調節されうるのかどうか検証した。

方法:
 健康なボランティア(合計24人、7人が男性、18歳~25歳)が4濃度のクエン酸(30、100、300、1000mM)によって咳嗽を誘発させられた。連続した2テストで外的な集中(高い音階の数を数える)をおこない、別の連続した2テストでは内的な集中(自分の咳を数える[音階は無視するよう指示])をおこなった。この順番は個々にバランスをとった。1濃度あたり4テスト(内×2、外×2)、1人あたり合計16テスト実施した。
 個々で咳衝動(the urge to cough)の回数が数えられた。また、咳嗽の頻度は録音によって客観的に評価された。

結果:
 咳嗽の頻度は、内的な集中によって有意に多くみられた[F(1,23) =13.31; P= .001;η2p=0.37]。ただ、この効果は1つ目のブロックセッションのみに限られた。
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(文献より引用)

 同様に、咳衝動も内的な集中によって多く観察されたが、2ブロックセッション目ではこの効果は消えた。
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(文献より引用)

結論:
 咳嗽反射は集中することで調整されうる。内的な集中(咳嗽の数を数えるなど)は過剰な咳嗽を引き起こすが、一方で外的な集中は過剰な咳嗽に対する部分的治療として期待されるかもしれない。


by otowelt | 2014-07-24 00:39 | 呼吸器その他

オピオイド使用癌患者に対するメチルプレドニゾロンは疲労感や食欲不振を改善

e0156318_22555826.jpg すでに外来患者さんに対するステロイドの効果は過去の研究で報告されています。その研究ではデキサメタゾン4mg1日2回が使用されていました(J Clin Oncol 31:3076-3082, 2013)。

Ørnulf Paulsen, et al.
Efficacy of Methylprednisolone on Pain, Fatigue, and Appetite Loss in Patients With Advanced Cancer Using Opioids: A Randomized, Placebo-Controlled, Double-Blind Trial
JCO published online on July 7, 2014; DOI:10.1200/JCO.2013.54.3926


目的:
 ステロイドは癌性疼痛のマネジメントに用いられているがエビデンスは限られている。このスタディでは、プラセボと比較したステロイドの鎮痛効果について検証する。

患者および方法:
 オピオイドを使用している成人の患者で直近24時間以内の癌性疼痛がNRS4以上であるものを登録した。すでにステロイドを使用している患者や、放射線治療・抗癌剤治療の影響があると考えられる症例は除外している。患者はランダムにメチルプレドニゾロン16m1日2回あるいはプラセボを7日間投与された。
 プライマリアウトカムは7日目時点での平均疼痛強度(NRSで判定)、セカンダリアウトカムは鎮痛薬の消費(経口モルヒネ相当量で比較)、疲労および食欲不振に対する効果、患者満足度とした。
 この研究ではサンプルサイズが双方22ずつで、投与7日目のNRSに1.5の差が出ることを想定。ITT解析。

結果:
 合計592人の患者がスクリーニングされ、50人に患者がランダム化された。47人が解析対照となった。
 7日目の評価において、癌性疼痛には両群ともに差はみられなかった(メチルプレドニゾロン群:3.60 vs プラセボ群:3.68; P = .88)。また、相対的な鎮痛薬の消費量にも差はなかった(P = .95)。臨床的および統計学的な疲労感の改善(−17 v 3 points; P .003)、食欲不振の改善(−24 v 2 points; P = .003),患者満足度(5.4 v 2.0 points; P = .001)はメチルプレドニゾロン群で有意に良好であった。
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(文献より引用)

結論:
 オピオイドを使用している癌患者におけるメチルプレドニゾロン32mg/日はプラセボと比較して鎮痛効果を追加的に改善させることはなかったが、疲労感や食欲不振、患者満足度に対して有効であった。

ディスカッション/Limitations:
・サンプルサイズが小さく、95%信頼区間の幅が大きい
・サブグループ解析を行うにしてもやはりサンプルサイズが小さい
・ステロイドが鎮痛効果を有していないと結論づけるには早計かもしれない、たとえば浮腫性の疼痛などにはそのメカニズムから有効と考えられる症例もあるだろう


by otowelt | 2014-07-23 00:36 | 肺癌・その他腫瘍

アスペルギローマのサイズと血痰は関連

e0156318_2212077.jpg アスペルギローマに関するレトロスペクティブな観察研究です。実臨床で抱くイメージに近い結果となっています。

Jung-Kyu Lee, et al.
Clinical course and prognostic factors of pulmonary aspergilloma
Respirology, in press, DOI: 10.1111/resp.12344


背景および目的:
 肺アスペルギローマの自然経過におけるサイズの変化に着目したデータは限られている。われわれはこの研究において、サイズの変化を通して肺アスペルギローマの臨床経過や予後について解明することを目的とした。

方法:
 肺アスペルギローマの成人患者143人を多施設共同レトロスペクティブ観察研究で同定した。アスペルギローマのサイズの変化を胸部CTで追った。空洞や主流のサイズの変化を通した臨床経過および血痰のリスクを評価した。

結果:
 フォローアップ期間中央値は5.1年であった。アスペルギローマのサイズは全体の39.2%で変化した。アスペルギローマの容量減少は13.3%、増大は25.9%にみられた。容量が減少した患者は有意にCRPが高く、より気管支拡張症が重度で陳旧性結核病巣を有していた。
 臨床的に有意な血痰は50.3%の患者に観察され、これは空洞のサイズやアスペルギローマの腫瘤サイズの大きさと関連していた。しかし、サイズの経時的変化とは関連していなかった。
 平均空洞径>22mm、腫瘤径>18mmの場合、血痰のリスクが増加した。

結論:
 われわれの研究では肺アスペルギローマのサイズが変化する患者が相当数存在した。臨床的に有意な血痰は空洞やアスペルギローマ腫瘤のサイズの大きさに関連していた。


by otowelt | 2014-07-22 00:44 | 感染症全般