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閉塞性睡眠時無呼吸は急性冠症候群の血清トロポニン値、病変枝数、CCU在室日数の増加に関連

e0156318_23251398.jpg  OSAとACSの関連についての報告です。

Ferran Barbé, et al.
Effect of obstructive sleep apnoea on severity and short-term prognosis of acute coronary syndrome
ERJ January 8, 2015 ERJ-00717-2014


背景:
 この研究の目的は、急性冠症候群の患者の重症度や短期的予後に閉塞性睡眠時呼吸(OSA)が与える影響を調べることである。

方法:
 OSAは無呼吸低呼吸インデックス(AHI)が15/時間を超えるものと定義された。われわれは、急性冠症候群の重症度(EF、Killip分類、病変枝数、血清トロポニンピーク値)および短期的予後(入院期間、合併症、死亡率)を評価した。

結果:
 われわれは213人のOSA患者(平均AHI30±14/時間、平均年齢61±10歳、80%が男性)、218人のコントロール患者(AHI15以下が条件)(平均AHI 6±4/時間, 平均年齢57±12歳, 82%が男性)を登録した。
 OSAの患者は高血圧症の頻度が多く(55% vs. 37%、p<0.001)、BMIが高く(29±4 kg/m2 vs. 26±4 kg/m2, p<0.001), 喫煙率が低かった(61% vs. 71%, p=0.04)。喫煙歴、年齢、BMI、高血圧で補正をすると、血清トロポニンピーク値は有意にOSA患者で高かった(831±908 ng/L vs. 987±884 ng/L, p=0.03)。また、AHI重症度の高さは病変枝数の増加に関連していた(p=0.04)。CCUの平均在室日数は、OSA患者の方が高かった(p=0.03)。合計入院日数や入院中の死亡については両群に差はみられなかった。
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(文献より引用)

結論:
 この研究によれば、OSAは血清トロポニンピーク値、病変枝数、CCU在室日数の増加に関連していた。


by otowelt | 2015-01-30 00:13 | 呼吸器その他

EBUS-TBNAは中等度の鎮静でも全身麻酔下でも診断能・合併症・忍容性に差はない

e0156318_16584987.jpg 日本でも、ミダゾラムやプロポフォールを使った鎮静が増えてきていると思います。当院でも然りです。

Roberto F Casal, et al.
Randomized Trial of Endobronchial Ultrasound-guided Transbronchial Needle Aspiration under General Anesthesia versus Moderate Sedation
Am J Respir Crit Care Med. First published online 09 Jan 2015


背景:
 EBUS-TBNAの診断能、合併症、忍容性について鎮静の種類が及ぼす影響について論じた研究はレトロスペクティブの研究がほとんどであり、その内容は一致していない。

目的:
 EBUS-TBNAの診断能、合併症、忍容性に鎮静の種類がおよぼす影響を調べること。

方法:
 EBUS-TBNAを選択される患者は、想定する疾患は良悪性を問わず、縦隔あるいは肺門リンパ節が腫大しているかエコーで同定できる腫瘤があるものとした。患者は1:1にランダムに全身麻酔下あるいは中等度の鎮静のもと実施する群に割り付けられた。病理医に対してはランダム化は盲検化され、迅速細胞診が全ての処置に実施された。
 全身麻酔に割り付けられた患者は、静脈麻酔を受けラリンジアルマスクを装着した(薬剤はプロポフォール、レミフェンタニル、エトミデート、ケタミンなどを併用可とした)。
 中等度の麻酔群に割り付けられた患者は、1%リドカイン局所麻酔に加えてミダゾラム+フェンタニルの併用をRASS2-3を目指して実施された。

アウトカム:
 主要アウトカムは診断能とした。これはEBUS-TBNAを実施した患者で特異的な診断が得られたものの割合と定義した。その他、合併症や患者の忍容性(アンケート調査)を調べた。

結果:
 149人の患者がEBUS-TBNAを受け、75人が全身麻酔群、74人が中等度鎮静群に割り付けられた。患者背景およびリンパ節の特性に差はみられなかった。
 診断能は全身麻酔群70.7%、中等度鎮静群68.9%だった(p=0.816)。感度はそれぞれ98.2%、98.1%とこれも差はみられなかった(p=0.979)。
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(文献より引用)

 合併症についても差はなかった。アンケート調査では、両群のほとんどの患者はもう一度処置を受けなければならない場合、同じ方法を受けるかと問われたとき「間違いなく選ぶだろう」と答えた(p=0.355)。処置中の咳嗽については差はなかったが、呼吸困難感は全身麻酔群の方が有意に多かった。

結論:
 全身麻酔と比較して、中等度の鎮静であってもEBUS-TBNAは十分な診断能が得られ、合併症、忍容性にも問題はなかった。


by otowelt | 2015-01-29 00:36 | 気管支鏡

入院を要する市中肺炎に対する全身性ステロイド投与は臨床的安定性をはやめる

e0156318_16271270.jpg 欧米のブログを見ていると、早くもこの試験が注目を浴びているようです。試験期間がべらぼうに長いです。

Claudine Angela Blum, et al.
Adjunct prednisone therapy for patients with community-acquired pneumonia: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial
Lancet, Published Online: 18 January 2015


背景:
 全身性ステロイドを市中肺炎の治療に加えることの利益については議論の余地がある。われわれは、入院市中肺炎の患者に対して短期のステロイド治療が臨床的に安定してするまでの期間を減らすことができるかどうか調べた。

方法:
 この二重盲検多施設共同ランダム化プラセボ対照試験において、18歳以上の市中肺炎の患者をスイスの7施設から登録した。患者はランダムに1:1にプレドニゾン50mg/日あるいはプラセボを7日間投与する群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは臨床的な安定(バイタルサインが少なくとも24時間安定)までの日数とした。

結果:
 2009年12月1日から2014年5月21日までの間、2911人の患者が登録され、785人がランダム化された。392人がプレドニゾン群、393人がプラセボ群。臨床的に安定するまでの期間の中央値はプレドニゾン群の方が有意に短かった(3.0日、95%信頼区間2.5-3.4 vs. 4.4日、95%信頼区間4.0-5.0、ハザード比1.33、95%信頼区間1.15-1.50, p<0·0001)。
 30日目までの肺炎関連合併症については両群とも差はみられなかった(プレドニゾン群11人[3%]、プラセボ群22人[6%]、オッズ比0.49 [95%信頼区間 0.23–1.02]; p=0.056)。プレドニゾン群はインスリンを要する入院中の高血糖の頻度が有意に多かった(プレドニゾン群76人[19%] vs プラセボ群43人[11%]; オッズ比1.96, 95%信頼区間1.31–2.93, p=0.0010)。ステロイドによるその他の有害事象はまれであり、両群とも差はみられなかった。

結論:
 入院を要する市中肺炎の患者に対する7日間のプレドニゾン治療は合併症を増加させることなく臨床的な安定をはやめる。


by otowelt | 2015-01-28 00:13 | 感染症全般

ゲフィチニブ中断後のdisease flareの頻度:4%

e0156318_14124865.jpg 非常に興味深い報告です。

Hiroaki Akamatsu, et al.
Disease flare after gefitinib discontinuation
Respiratory Investigation, Published Online: January 09, 2015


背景:
 近年のレトロスペクティブ解析では、EGFR-TKIに耐性を持った非小細肺癌の患者の23%がEGFR-TKI終了後に「disease flare」を起こすと報告されている。しかしながら、この研究には限界があり、この現象を詳細に解明するためにさらなる調査が必要である。

方法:
 われわれは、2007年1月から2010年12月までの間、ゲフィチニブ単独治療を受けた既往のあるEGFR遺伝子変異のある進行肺腺癌の診療録をレビューした。
 「Disease flare」は、ゲフィチニブ中断後に起こった予期せぬ介入(放射線治療あるいは胸腔ドレナージなど)、入院、病状悪化による死亡、と定義した。

結果:
 適格基準を満たした52人(年齢中央値67.5歳、男性30人、ECOG PS0-1 46人、Exon 19 33人/Exon 21 19人)のうち、2人のみがdisease flareを経験した(4%、95%信頼区間1-13%)。両症例ともゲフィチニブ中断後からflareまでの期間は11日であり、脳がflareの主座であった。ゲフィチニブ投与後の生存期間は、flareのみられた患者では有意に短縮していた(それぞれ78日、97日 vs. 388日[flareのなかった患者と比較])。
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(文献より引用)

結論:
 過去に報告されている(23%、9%)よりも、ゲフィチニブ中断後のdisease flareは低い頻度であったが、予後は過去の報告と同じく不良であった。


by otowelt | 2015-01-27 00:48 | 肺癌・その他腫瘍

慢性好酸球性肺炎に対するステロイド治療は、3ヶ月と6ヶ月で再発率同等

e0156318_2331765.jpg 呼吸器内科医は必読です。CEPの論文はなかなか出ないので、エビデンスの構築にはこういった研究が必要です。浜松医科大学からの報告です。素晴らしい論文だと思います。
 再発率が変わらないのであれば、6ヶ月もの間ステロイドの副作用に晒される必要性はなく、3ヶ月でよいと思います。
 CEPに関する論文で毎回気になるのは、コンセンサスのある診断基準が存在しないことです。私もCEPに関する短報を書いたことがありますが、これぞという診断基準がなく困った覚えがあります。プロスペクティブな研究を行う上で、一定のコンセンサスのある基準があったほうがよいと思います。臨床的には診断基準はそこまで必要ありませんが(多くが古典的・典型的CEPのため)。

Oyama Y, et al.
Efficacy of short-term prednisolone treatment in patients with chronic eosinophilic pneumonia
ERJ January 22, 2015, in press.


背景:
 慢性好酸球性肺炎(CEP)の患者は、ステロイド治療によって劇的な改善がみられる。しかしながら、治療終了後に再発がよくみられる。そのため、ステロイド治療の適切な期間はいまだに不明である。
 Marchandらの報告によれば、ステロイド治療は少なくとも6ヶ月以上行うべきであるとされている(Medicine (Baltimore). 1998 Sep;77(5):299-312.)。ただし、この見解はレトロスペクティブ試験に基づくものである。短期間の治療であっても、再発後にステロイドを再開すればCEPの反応性は良好である。そのため、長期のステロイド治療による合併症を懸念するのであれば3ヶ月といった短期治療にも妥当性があるだろう。

方法:
 このランダム化オープンラベル研究において、CEPの診断基準を以下のように規定した。
・CEPを疑う臨床症状が1ヶ月を超えて存在する(例:発熱、咳嗽あるいは労作時呼吸困難感)
・胸部レントゲン写真で浸潤影がみられる
・気管支肺胞洗浄液において好酸球増多が観察される、または経気管支肺生検で好酸球の浸潤がある
・感染症が除外できる

 除外基準は、以下の1つ以上を満たすものと定義した。
・プレドニゾロンを1日10mg以上内服している
・免疫抑制剤を使用している
・重篤な基礎疾患を有する(例:糖尿病、コントロール不良の高血圧症、出血性消化性潰瘍、緑内障、肝機能障害、腎機能障害)
 適格基準を満たしたCEP患者は経口プレドニゾロンを3ヶ月(3ヶ月群)あるいは6ヶ月(6ヶ月群)に割り付けられ、2年間観察された。すべての患者は、プレドニゾロンは初回0.5mg/kg/日の用量とした。3ヶ月群では、2週間ごとに20%までの減量とし、3ヶ月後に中止した。6ヶ月群では、初期2ヶ月は2週間ごとに20%までの減量とし、その後3週ごとに20%までの減量を行い、6ヶ月後に中止した。プライマリエンドポイントはフォローアップ期間中の再発とした。

結果:
 合計55人がランダム化された。様々な理由により11人が除外され、最終的に44人(3ヶ月群23人、6ヶ月群21人)が最終的な解析に組み込まれた。年齢、性別、喫煙歴など患者背景に差はみられなかった。
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(文献より引用)

 すべての患者はプレドニゾロンの治療によく反応を示した。3ヶ月群の12人(52.1%)、6ヶ月群の13人(61.9%)が再発した。累積再発率には有意な差はみられなかった(p=0.56)。再発までの日数の中央値は、3ヶ月群で182日、6ヶ月群で211日だった。
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(文献より引用:累積再発率)

 すべての再発例はプレドニゾロン治療の再開によって改善した。CEP再発に寄与する因子(年齢、性別、喫煙歴、呼吸機能検査、CRP、末梢血・気管支肺胞洗浄液中好酸球数、IgEなど)についてCox比例ハザードモデルを解析をこころみたが、何ら再発を予測する因子は同定されなかった。

結論:
 CEPに対する3ヶ月ないし6ヶ月のプレドニゾロン治療の再発率に差はみられなかった。


by otowelt | 2015-01-26 00:56 | びまん性肺疾患

術後肺瘻に対する自己血パッチは有効

e0156318_9435819.jpg 私は呼吸器内科医ですが、呼吸器外科学会誌も毎回読んでいます。外科的に難しいものは読んでいませんが、内科医からみてもためになる論文は非常に多いです。

木村賢二ら.
完全胸腔鏡下肺葉切除術後肺瘻に対する自己血パッチを用いた早期治療の有効性
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 28 (2014) No. 7 p. 848-853


背景:
 完全胸腔鏡下肺葉切除術後の肺瘻治療に難渋することはしばしば遭遇する.

方法:
 本研究では,完全胸腔鏡下肺葉切除後肺瘻に対して,自己血や薬剤の胸腔内投与による肺瘻治療を行った症例の治療成績を明らかにし,特に術後早期に行う自己血パッチの有用性を検討した.当施設で肺癌に対し完全胸腔鏡下肺葉切除術を施行した術直後に気漏を認めた41例を対象とした.
 気漏に対して,術後早期に自己血パッチを行った群:A群(n=16)と,術後早期は経過観察のみとした群:B群(n=25)の2群に分けた.

結果:
 術直後の気漏量(4段階に分類)は,A群の方が多かった(p=0.001).術後2日目までに気漏が消失したのは,A群で9例(56%),B群で5例(20%)と有意にA群で多かった(p=0.04).
 ドレーン留置期間においては,A 群では3―14日(平均6.8 日),B 群で2―14 日(平均6.8 日)と有意な
差は認めなかった。
 自己血投与量は,平均2.4(1.6―3.7)mlkg で,気漏消失時期との統計学的有意差は認めなかった.また,A 群において,自己血パッチ投与後24時間以内に気漏の消失を認めたのは,追加治療分を含めると16 例中10 例(62%)であった.

結論:
 自己血パッチを術後早期に行うことは,完全胸腔鏡下肺葉切除術の術後肺瘻に対して有効で安全な治療法である可能性が示された.


by otowelt | 2015-01-25 09:44 | 呼吸器その他

アノーロ®エリプタは重症腎不全に対しても調節不要

e0156318_1446429.jpg 合剤のエビデンスが複雑になってくると、代謝に関する研究もおのずと増えてきます。

Mehta R, et al.
Effect of severe renal impairment on umeclidinium and umeclidinium/vilanterol pharmacokinetics and safety: a single-blind, nonrandomized study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Dec 18;10:15-23.


背景:
 ウメクリジニウム+ビランテロール(アノーロ®)はCOPDに対する長時間作用性の気管支拡張薬である。主に肝代謝であるが、重症腎機能障害の患者において腎以外の代謝経路に影響を与える可能性がある。

目的:
 ウメクリジニウムおよびウメクリジニウム+ビランテロールの薬物動態学における重症腎機能障害の影響を調べること。

方法:
 9人の重症腎機能障害(Ccr<30mL/min)の患者および9人の健常ボランティアが1回125μgのウメクリジニウムを吸入し、7~14日のウォッシュアウトののち、さらにウメクリジニウム+ビランテロールを125/25μg吸入した。

結果:
 ウメクリジニウムおよびウメクリジニウム+ビランテロールの曝露後の血清濃度の測定では、臨床的に有意な全身性の影響はないと考えられた。平均すると、腎障害では健常ボランティアとの比較で、ウメクリジニウムおよびウメクリジニウム+ビランテロールはそれぞれは24時間で尿中に88%(90%信頼区間81-93%)、89%(90%信頼区間81-93%)排泄された。両群とも忍容性に問題はなかった。

結論:
 重度の腎機能障害の患者に対するウメクリジニウム125μgあるいはウメクリジニウム+ビランテロール125/25μgの投与は、健常ボランティアと比較して臨床的に有意な全身性の影響はないと考えられる。ゆえに重度の腎障害があっても投与量の調節は不要である。


by otowelt | 2015-01-23 00:05 | 気管支喘息・COPD

中等症以上のCOPDに対するチオトロピウム+オロダテロールの吸入は単剤治療より有効

e0156318_23175684.jpg 昨年10月に日本ベーリンガーインゲルハイムがチオトロピウム+オロダテロール配合剤の販売承認を申請しています。レスピマットによる吸入での販売を目指しているようです。
 IJCOPDではオロダテロールのランダム化比較試験の報告がすでにあり(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Oct 14;9:1133-44.)、またオロダテロールはインダカテロールと同等のLABAと考えられています(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Jul 31;9:813-24)。しかし、先月のIJCOPDのLettersで「システマティックレビューにmissing dataが多い」という指摘があり、現在の臨床試験では同条件でのLABAの比較は難しいのではないかという意見があります(Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Dec 5;9:1331-5.)。
 IJCOPDばかりに掲載されているLAMA+LABAだったので少し様子見モードだったのですが、ベーリンガーが動き始めていることと今回のERJの報告でちょっと見方が変わりました。

Roland Buhl, et al.
Tiotropium and olodaterol fixed-dose combination versus mono-components in COPD (GOLD 2–4)
ERJ January 8, 2015 ERJ-01360-2014


背景:
 中等症以上のCOPD患者に対するチオトロピウム+オロダテロールの定用量吸入の、単剤治療と比較した効果と安全性を第III相ランダム化プラセボ対照試験で検証した。

方法:
 登録患者はGOLD II-IVの40歳以上のCOPD患者とした。患者はチオトロピウム+オロダテロール2.5/5 μgあるいは5/5 μg、チオトロピウム2.5 μgあるいは5 μg、オロダテロール5 μgを1日1回レスピマットによって52週間吸入した。
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(文献より引用)

 プライマリエンドポイントは24週時点の1秒量AUC0-3補正後平均変化量、トラフ1秒量変化量、SGRQスコアとした。

結果:
 合計5162人の患者(Study1237.5で2624人、Study1237.6で2538人)が治療を受けた。72.9%が男性であり、およそ3分の1が現喫煙者であった。ほとんどの患者はGOLD2/3に分類され(88.6%)、残りの11.3%がGOLD IV期であった。全体の86.4%の患者がベースラインに合併症を有しており、21.4%が心疾患であった。
 単剤治療と比較して合剤治療は1秒量AUC0-3およびトラフ1秒量を有意に改善した。ただし、SGRQスコアについては5/5μgのみに統計学的な差がみられた。
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(文献より引用)

 有害事象については両群に差はみられなかった。

結論:
 これらの研究により、中等症以上のCOPD患者における1日1回のチオトロピウム+オロダテロール定用量吸入は呼吸機能や健康関連QOLを有意に改善させることがわかった。


by otowelt | 2015-01-22 00:52 | 気管支喘息・COPD

エリプタはブリーズヘラーより使いやすい?

 珍しい研究だと思います。非常に興味深いです。

Komase Y, et al.
Ease-of-use preference for the ELLIPTA(®) dry powder inhaler over a commonly used single-dose capsule dry powder inhaler by inhalation device-naïve Japanese volunteers aged 40 years or older.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2014 Dec 11;9:1365-75.


概要:
 吸入薬の処方を受けている患者において、吸入デバイス使用の満足度や難易度は治療アドヒアランスに影響を与えるかもしれない。操作ミスは若年者よりも高齢者に多い。この研究の目的は、吸入薬を使用したことのない40歳以上の日本人ボランティアに対して、エリプタ®をブリーズヘラー™と比較することである。
 このオープンラベルクロスオーバー研究において、エリプタとブリーズヘラーの吸入を150人のボランティアでクロスオーバーで検証した。実薬は充填されていないため、使用に伴う身体的な悪影響はないと考えられる。
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(文献より引用)

 エリプタはブリーズヘラーよりも使いやすいという結果であった(89%、オッズ比70.14, 95%信頼区間33.69-146.01)。操作手順や残薬の確認においてエリプタに優位性があった。マウスピースの使用感についてはブリーズヘラーの方が好まれた(64%、オッズ比3.16, 95%信頼区間1.97-5.06; P<0.0001)。初回操作ミスはエリプタ11%、ブリーズヘラー68%であり、年齢や性別でこの頻度に差はみられなかった。
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(文献より引用)


by otowelt | 2015-01-21 00:06 | 気管支喘息・COPD

定期的に制酸剤を投与されていないGERDはCOPD急性増悪のリスクを上昇させる

e0156318_14312949.jpg GERDとCOPD急性増悪の関連については既知の知見です(N Engl J Med. 2010 Sep 16;363(12):1128-38、Thorax. 2008 Nov;63(11):951-5.[京都大学の研究])。COPDの治療薬が下部食道括約筋圧を低下させるのではないかという意見もありましたが、現在は胃酸そのものが気道の慢性炎症を惹起しているとする意見が趨勢を占めています(Arch Bronconeumol. 2011 Apr;47(4):195-203.)。

TRULS S. INGEBRIGTSEN, et al.
Gastro-esophageal reflux disease and exacerbations in chronic obstructive pulmonary disease.
Respirology (2015) 20, 101–107 doi: 10.1111/resp.12420


背景および目的:
 われわれは、GERDがCOPD急性増悪のリスク因子であるという仮説を検証した。

方法:
 the Copenhagen City Heart Studyの9622人の参加者のうち、COPDとGERD・制酸剤処方の情報があった1259人を抽出した。治療を要するCOPD急性増悪(短期ステロイドや抗菌薬による治療)がみられた症例について5年フォローアップした。COPD急性増悪やGERDのリスク因子(COPD重症度や症状等)で補正を行い多変量Cox回帰分析をおこなった。

結果:
 GERDのない患者と比較して、GERDのあるCOPD患者はより慢性気管支炎を有していた(31 vs 21%, P = 0.004)。また、より息切れが強く(39 vs 22%, P < 0.001)、呼吸器系感染症の既往が多かった(6.8 vs 1.4%, P < 0.001)。
 GERDを有するCOPD患者のうち、制酸剤を定期的に使用していない患者ではCOPD急性増悪のリスクが高かった(ハザード比 2.7、95%信頼区間1.3–5.4, P = 0.006)。GOLD III-IVのサブグループ解析でも同様にリスクを増加させた(p=0.02)。
 また、定期的に制酸剤を使用している患者では急性増悪のリスクは高くなかった(ハザード比1.2、95%信頼区間0.6-2.7、p=0.63)。同様にGOLD III-IVのサブグループ解析でもリスク増加はみられなかった。

結論:
 GERDは治療を要するCOPD急性増悪のリスク増加と関連しているが、定期的に制酸剤を使用していない患者にのみ有意なリスク増加がみられた。


by otowelt | 2015-01-20 00:33 | 気管支喘息・COPD