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プライマリケアにおけるCOPDと気管支喘息の鑑別スコア

e0156318_12254076.jpg スコアリングしなくても、プライマリケアでは常識的な内容な気がします・・・。どこまでスコアや診断基準に頼るのが“医療”なのか、考えさせられました。

Young Seok Lee, et al.
New scoring system for the differentiation of chronic obstructive pulmonary disease and asthma
Respirology, Article first published online: 30 MAR 2015,DOI: 10.1111/resp.12511


背景:
 とりわけプライマリケアの現場では、COPDと気管支喘息を臨床で鑑別することは難しい。この研究の目的は、COPDと気管支喘息を鑑別するための新しいスコアリングシステムを構築することにあり、その効果を調べることである。

方法:
 まず、COPDと気管支喘息を鑑別する上で重要な因子を197人のCOPD患者および138人の気管支喘息の患者からレトロスペクティブに抽出した。続いて、これらの因子に基づいてスコアリングシステムを構築し、そのパフォーマンスをブートストラップ法によって検証した。そして、そのスコアリングシステムをプロスペクティブにCOPD患者104人、気管支喘息患者96人で解析検討した。

結果:
 スコアリングシステムに用いられた因子は、息切れを発症した年齢(40歳未満:0点、40-60歳:2点、60歳超:4点)、息切れの持続(なし:0点、あり:1点)、息切れの日変化(あり:0点、なし:1点)、胸部レントゲン写真における気腫肺(なし:0点、あり:1点)。患者はこれらのスコアリングに基づいて3群に分けられた。すなわち、0-2点:気管支喘息疑い、3-4点:鑑別困難、5-7点:COPD疑い
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(文献より引用:スコアリング)

 このスコアリングシステムによる外的妥当性は良好であった(AUC0.86、95%信頼区間0.813–0.911; P < 0.001)。
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(文献より引用:external validation AUC)

結論:
 このスコアリングシステムは、プライマリケアにおいてCOPDと気管支喘息の鑑別に有用なツールとなるかもしれない。


by otowelt | 2015-04-28 00:23 | 気管支喘息・COPD

成人重症患者に対して新鮮赤血球を輸血してもアウトカムは不変

e0156318_22453340.jpg 私も抗がん剤を毎日使っているため、興味深い報告です。

Jacques Lacroix, et al.
Age of Transfused Blood in Critically Ill Adults
N Engl J Med 2015; 372:1410-1418


背景:
 重症患者の輸血に新鮮赤血球を使用することで、長期保存に由来する細胞変性毒性や生物活性物質蓄積リスクは最低限に抑えられる。また、輸血による酸素供給能が向上し、アウトカムが改善する可能性がある。

方法:
 この多施設共同ランダム化化盲検試験において、成人重症患者を保存期間8日未満の新鮮赤血球輸血群と、標準的輸血群(血液バンク保存赤血球のうちもっとも古いもの)にランダムに割り付けた。プリイマリアウトカムは90日死亡率。

結果:
 2009年3月から2014年5月までの間、カナダとヨーロッパの64施設において合計1211人を新鮮輸血群に、1219人を標準的輸血群にランダムに割り付けた。赤血球の平均保存期間は、新鮮輸血群で6.1±4.9 日、標準的輸血群で22.0±8.4 日だった(P<0.001)。90日時点で新鮮輸血群の448人(37.0%)と、標準輸血群の430人(35.3%)が死亡した(リスク差絶対値1.7%ポイント、95%信頼区間-2.1~5.5)。生存解析では、標準輸血群と比較した新鮮輸血群における死亡ハザード比は1.1(95%信頼区間0.9~1.2)だった(P=0.38)。

結論:
 本研究における成人重症患者では、新鮮赤血球を輸血しても、標準的に供給される赤血球を輸血した場合と比べて90日死亡率は低下しなかった。


by otowelt | 2015-04-27 00:13 | 内科一般

肺癌手術での術中胸腔内洗浄細胞診に用いる洗浄液量に関する検討

e0156318_1714530.jpg 洗浄細胞診について調べていたら、最近の呼吸器外科学会誌の文献を見つけました。丁寧に調べています。

田内俊輔ら.
肺癌手術での術中胸腔内洗浄細胞診に用いる洗浄液量に関する検討
日本呼吸器外科学会雑誌, Vol. 29 (2015) No. 1 p. 11-14


背景:
 非小細胞肺癌手術での術中胸腔内洗浄細胞診(Pleural lavage cytology:PLC)は予後因子として重要な役割を果たす.しかし,その洗浄手技は確立されておらず,一定の方法がない.今回,PLCを施行する際に使用する洗浄液の量に関しての検討を行った.

方法:
 対象は2008年11月から2011年5月までの非小細胞肺癌手術症例で,開胸直後に生理食塩水を洗浄液として用い,5 ml, 100 mlの順でPLCを行った.それぞれの洗浄液中の腫瘍細胞の検出率を検討した.
 それぞれの採取方法別にPLC 陽性率を求め,その一致性の評価はκ 係数を求めて行った。

結果:
 期間中のPLC施行例は435例,腫瘍細胞陽性例は40例(9.2%)であった.そのうち5 mlの洗浄液で腫瘍細胞を認めた症例は36例(8.3%),100 mlの洗浄液では38例(8.7%)に認め,検出率に差は認めなかった(κ係数=0.9114).
 因みに1986年から2007 年までのPLC 陽性率のretrospectiveな検討でも100 ml と5 ml では有意差は認めていない。

結論:
 PLCにおいて使用する洗浄液の量は少量でも検出率を損なうことなく施行しうると考えられた.


by otowelt | 2015-04-24 00:08 | 肺癌・その他腫瘍

脳転移を有する非小細胞肺癌に対する定位放射線治療を先行しても生存期間は延長しない

e0156318_22345052.jpg EGFR-TKIではなく、白金製剤をベースとした抗癌剤治療に限った結果です。どのタイミングでSRSを入れるのか悩ましいところですが、本研究のpopulationではそこまで大差はなさそうです。

Lim SH et al.
A randomized phase III trial of stereotactic radiosurgery (SRS) versus observation for patients with asymptomatic cerebral oligo-metastases in non-small-cell lung cancer.
Ann Oncol. 2015 Apr;26(4):762-8.


背景:
 無症候性の脳転移がある非小細胞肺癌(NSCLC)の患者において、化学療法前に脳転移を治療することで生存率が向上するかどうかは不明である。

方法:
 2008年から2013年の間にサムスン医療センターに入院した1~4個の脳転移を有する患者をラダム化比較試験に登録した。患者はランダムに化学療法前に定位放射線治療(SRS)を受ける群(49人)、化学療法を先行する群(49人)に割り付けられた。プライマリエンドポイントは全生存期間で、セカンダリエンドポントは中枢神経系(CNS)の無増悪生存期間、脳転移による症状が出るまでの期間、脳機能アウトカムとした。

結果:
 登録されたECOG PS0-1の患者の年齢中央値は58歳(29-85歳)で40%の患者が非喫煙者であった。ほとんどの患者は腺癌であり、患者の半数は脳転移が1つであった。生存期間中央値は、SRS群で14.6ヶ月(95%信頼区間9.2-20.0)、化学療法先行群で15.3ヶ月(95%信頼区間7.2-23.4)であった(P=.418)。CNS増悪までの期間に差はなかった(SRS群中央値9.4ヶ月 vs. 化学療法先行群6.6ヶ月, P=.248)。化学療法先行群では、より多くの患者が有症状へ進展したが統計学的な差はなkった(26.5% vs. 18.4%)。

結論:
 本研究は早期中止によりサンプルサイズが縮小された。数の少ない脳転移を持つNSCLC患者に対し、SRSを先行しても生存率は改善しなかった。将来的にさらに多数の患者を組み入れた研究が望まれる。


by otowelt | 2015-04-23 00:49 | 肺癌・その他腫瘍

進行非小細胞肺癌に対する抗PD-1抗体ペンブロリズマブの有効性

e0156318_10111651.jpg  すでに肺癌を専門にしているドクターはご存知のことと思います。FDAがメラノーマに対して承認したため、有名な薬剤です。イピリムマブとの比較試験の結果がAACRとNEJMに発表されているので、そちらの方に注目が集まっているようです。

Edward B. Garon, et al.
Pembrolizumab for the Treatment of Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM, April 19, 2015DOI: 10.1056/NEJMoa1501824


概要:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者495人を、ペンブロリズマブ(pembrolizumab)投与により利益がみられると予想されるPD-1 ligand1(PD-L1)発現レベルを特定するためのトレーニング群(182人)と、これにより同定されたPD-L1発現レベルの奏効率を検証するバリデーション群(313人)に分け、ペンブロリズマブ2mg/kgまたは10mg/kgを3週ごとに、あるいは10mg/kgを隔週で投与した。
 腫瘍標本におけるPD-L1の発現レベルを分析し、細胞膜PD-L1染色腫瘍細胞比で解析。客観的奏効は、9週ごとにCTあるいはMRIを施行し、RECISTに基づいて判定をおこなった。
 全体の客観的奏効率は19.4%で、奏効維持期間は12.5ヶ月、無増悪生存期間は3.7ヶ月、全生存期間は12.0ヶ月だった(中央値)。バリデーション群で閾値(PD-L1発現レベル50%以上)を満たす患者73人における奏効率は45.2%(95%信頼区間33.5~57.3%)だった。無増悪生存期間中央値は6.3ヶ月(95%信頼区間2.9~12.5)で、全生存期間中央値は未到達(95%信頼区間13.7~)だった。
 ペンブロリズマブは進行NSCLC患者において、治療歴を問わず抗腫瘍活性をもたらし、忍容性も良好であった。また、同有効性をPD-L1発現レベルによって同定することも可能であった。


by otowelt | 2015-04-22 00:27 | 肺癌・その他腫瘍

高齢者やpMDI使用者では不適切な吸入が多い

e0156318_16211167.jpg 吸入補助器具がなければ、pMDIを吸うのは難しいと思います。近い将来、患者の吸気を感知するタイプの新しい吸入薬が登場する予定です。

Yusuf Aydemir, et al.
Assessment of the factors affecting the failure to use inhaler devices before and after training
Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.rmed.2015.02.011


背景:
 慢性呼吸器疾患に対して吸入デバイスが使用されているが、しばしば不適切な使用が行われている。正しい使い方を教えてもらうことの効果についてはまだよくわかっていない。正しい吸入方法を教えてもらっているにもかかわらず、不適切な使用を続ける患者もいる。この研究の目的は、吸入デバイスの使用法について患者に指導を行うことで、その不適切使用がどのように変化するか調べることである。

方法:
 342人の連続患者が本研究に登録された。面と向かって吸入指導を行う前後で患者が正しく使えているかどうかスコア化して評価した。

結果:
 指導前、ドライパウダー吸入器(DPI)では適切な使用は58.9%であった。また加圧式定量噴霧式吸入器(pMDI)では31.1%と低かった。適切な使用に影響を与える因子は、教育水準、性別、居住地(田舎)、罹病期間、呼吸器科医にフォローアップされているかどうか、であった。
 指導後、DPIでは92.6%、pMDIでは45.2%が適切に使用できていた。
 不適切な使用に対して与える影響は、高齢とpMDIの使用であった。

結論:
 吸入薬を処方する際、内科医は面と向かって患者に吸入技術を指導すべきである。訓練によっても、高齢患者やpMDIを使用している患者では不適切な使用が多い。そのためこういった患者では別の治療選択肢を提示すべきかもしれない。


by otowelt | 2015-04-21 00:09 | 気管支喘息・COPD

COPDに対する吸入ステロイド薬の中止は長期的にはアウトカム悪化のリスク

e0156318_946195.jpg 中等症以上のCOPDでは吸入ステロイド薬のステップダウンがしにくいということでしょう。

Lisette I.Z. Kunz, et al.
Relapse in FEV1-Decline after Steroid Withdrawal in Chronic Obstructive Pulmonary Disease
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.14-3091


背景:
 われわれはこれまでにCOPDに対する30ヶ月の吸入ステロイド薬はは1秒量の低下を抑制できると報告してきた。われわれは、長期使用した吸入ステロイド薬を中止することで、1秒量の減少、気道過敏性、QOLが悪化しうるかどうか検証した。

方法:
 113人の中等症~重症COPD患者が6ヶ月(F6)あるいは30ヶ月(F30)のフルチカゾン(500µg, bid)、6ヶ月のフルチカゾン/サルメテロール(FS30)(500/50µg, bid)、プラセボ、にランダムに割り付けられた。その後5年にわたって患者は主治医によって治療を受けた。気管支拡張薬投与後の1秒量、気道過敏性、QOLについてはベースライン、30ヶ月後、その後のフォローアップ時に精査された。解析は線形混合効果モデルによって行われた。

結果:
 ランダム化された101人の患者のうち、79人がフォローアップ期間に登録され、58人がこれを完遂した。吸入ステロイド薬を用いていた患者のうち、フォローアップ時に0~50%の期間しか使用していなかった患者(吸入ステロイド薬減量中断例)では年ごとの1秒量減量が有意に大きかった(差[95%信頼区間]: FS30 -68ml/年[-112 to -25], p=0.002; F30 -73ml/年[-119 to -26], p=0.002)。気道過敏性やOOLについても同様の結果であった。

結論:
 COPDに対する30ヶ月の吸入ステロイド治療後の同薬中断は、呼吸機能、気道過敏性、QOLを5年フォローアップにおいて悪化させる可能性がある。すなわち、吸入ステロイド薬による治療の効果は治療中断後長くは維持されないということを意味している。


by otowelt | 2015-04-20 00:54 | 気管支喘息・COPD

バーチャル気管支鏡画像作成における有用なCTスライス厚に関する検討

e0156318_9511053.jpg 当院はLung pointを使用しています。Lung pointは部位によっては誘導困難な症例があることが過去に報告されていますが、描出は簡便です。

村上靖ら
Bf-NAVI®を用いたバーチャル気管支鏡画像作成における有用なCTスライス厚に関する検討
気管支学:37(2),153─158,2015


背景:
 Bf-NAVI®は本邦で普及しつつあるバーチャル気管支鏡ナビゲーション(virtual bronchoscopic navigation:VBN)システムで,肺末梢病変の診断に有用である.Bf-NAVIに使用するCTスライス厚は1.0 mm以下が推奨されているが,VBNに最適なスライス厚はわかっていない.

対象と方法:
 2013年8月から10月までに当院でBf-NAVIによるVBNを併用し肺末梢病変の気管支鏡検査を行った30名を対象とし,CTからスライス厚0.5 mmと1.0 mmの2通りのDICOMデータを出力,Bf-NAVIで仮想画像を作成し比較検討を行った.

結果:
 対象病変の大きさ(中央値)は23.2 mm.仮想画像作成に要した時間(中央値)はスライス厚0.5 mm:13.0分,1.0 mm:8.3分で,1.0 mmの方が有意に短かった(p<0.01).自動描出できた気管支次数(中央値)は0.5 mm:5次,1.0 mm:4次(p=0.16)で,30名中20名(67%)において0.5 mmの方がより末梢の気管支まで描出できた.自動描出で病変までの全経路を描出できた症例は0.5 mm:11名(37%),1.0 mm:5名(17%)と0.5 mmに多くみられた(p<0.01).

結論:
 Bf-NAVIを用いたVBNにおいて,スライス厚0.5 mmのDICOMデータは,仮想画像作成に要する時間は長いが,より末梢の気管支まで描出可能であり有用と考えられた.


by otowelt | 2015-04-18 08:46 | 気管支鏡

重度気腫肺に対する内視鏡的肺容量減量術は有効だがリスクが高い

e0156318_12254076.jpg ELSは、内視鏡的に充填剤を流し込む治療法です。私はまだ目にしたことがありません。

Carolyn E. Come, et al.
A randomised trial of lung sealant versus medical therapy for advanced emphysema
Eur Respir J ERJ-02056-2014; published ahead of print 2015


背景:
 Emphysematous lung sealant (ELS)を用いた内視鏡的肺容量減量術は進行気腫肺のある患者、とりわけ上葉に病変が優位な患者に対して有効とされている。われわれは、ランダム化比較試験においてELSによる容量減量術が有効かどうか検証した。

方法:
 患者はランダムにELS(AeriSeal System)+内科的治療あるいは内科的治療単独に割り付けられた。早期中断例や12ヶ月のエンドポイントを解析できないケースがあったものの、300人中95人がランダム化され、3ヶ月および6ヶ月のアウトカムを解析することができた。

結果:
 57人(34人がELS群、23人がコントロール群)が3ヶ月時の効果を解析でき、34人(21人がELS群、13人がコントロール群)が6ヶ月時の効果を解析できた。
 治療群において、3ヶ月時の呼吸機能、呼吸困難感、QOLはコントロール群と比較して有意に良好であった。この効果は治療を受けた患者の50%超で6ヶ月時にも観察された。
 入院を要する有害事象はELS治療を受けた44%の患者で観察された(コントロール群の2.5倍、p=0.01)。また2人の死亡がELS群で観察された。

結論:
 低侵襲のELSは重度の気腫肺に対して効果的である可能性はあるものの、そのリスクから現行適用は制限せざるを得ない状況である。


by otowelt | 2015-04-16 00:55 | 気管支喘息・COPD

INSIGHTS-IPFレジストリにおける2011年IPFガイドラインの実臨床報告

e0156318_9301181.jpg 最近、どの医学雑誌もIPFの話題が多いです。

Jürgen Behr, et al.
Management of patients with idiopathic pulmonary fibrosis in clinical practice: the INSIGHTS-IPF registry
ERJ Published online before print April 2, 2015, doi: 10.1183/09031936.00217614


背景:
 2011年の特発性肺線維症(IPF)の国際ガイドラインの登場により、われわれは医師の診断によるIPF患者の実地の臨床的マネジメントについて調べることとした。これはドイツで実施されたプロスペクティブ多施設共同研究である(INSIGHTS-IPFレジストリを用いた)。

方法:
 患者は18歳以上で現行の国際的ガイドラインあるいはドイツのガイドラインに基づいてIPFと診断された患者のうち、同意を取得できたものを登録した。実地臨床に基づくデータの取得のため、また選択バイアスの除外のため、非適格基準を明確には規定しなかった。
 ベースラインのデータ、患者背景、リスク因子、合併症などが抽出された。本研究ではさらに疾患の経過、診断方法、現在あるいは過去の治療内容、非薬物療法の使用などについても調べた。

結果:
 連続した502人のIPF患者(171人は新規診断、331人は既に診断済、平均年齢68.7±9.4歳、77.9%が男性)を登録し、平均2.3±3.5年の観察をおこなった。
 環境曝露は136人の患者(全体の27.1%)にみられた。そのうち、石綿が56人、金属粉塵が25人、鳥が19人、木材粉塵が16人、溶剤が18人であった。興味深いことにIPFは平均して禁煙後21.3年で発症しており、現喫煙者はわずか1.0%であった。合併症は頻繁にみられ、過体重/肥満(47.8%/26.5%)が多かった。心臓の超音波検査では86人(17.2%)に肺高血圧症がみられた。しかしながら、そのうち右心カテーテルを受けたのは52人のうち実際に肺高血圧症があったのは27人(52%)だけだった。
 GAPスコアで分類すると、ステージIが21.8%、ステージIIが56.9%、ステージIIIが21.3%だった。
 症状は、呼吸困難感(85.9%)、咳嗽(74.7%)がよくみられた。ばち指は17.9%にみられた。聴診では79.0%にcracklesが聴取された。
 HRCTに基づいて診断されたのは452人(90.2%)だった。ATS/ERS基準で、UIPパターンに合致したのは75.6%、possible UIPパターンが23.7%、非UIPパターンは0.7%だった。組織は171人(34.1%)の患者で採取されており、中央値で登録1.6年前(IQR 0.3–3.5年前)に実施されていた。データがなかった1人を除く170人の患者のうち、UIPパターンが141人(82.9%)、possible UIPパターンが14人(8.2%)、非UIPパターンが3人(1.8%)だった。HRCTと生検の両方を実施されたのは154人だった。この群では、HRCTはUIPパターン62.8%、possible UIPパターン37.2%と報告されている。inconsistent UIPパターンはゼロだった。現行のガイドラインに基づいて診断されたとしても、外科的肺生検の頻度が多いことは驚きに値する。
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(文献より引用)

 6分間歩行距離の中央値は320m(平均268±200m)だった。平均努力性肺活量は予測値の72±20%で、DLCOは35±15%だった。
 薬物療法を受けていない患者が17.9%いた。薬物療法としては、経口ステロイド23.7%、N-アセチルシステイン33.7%、ピルフェニドン44.2%、他の薬剤4.6%という内訳であった。肺移植を受けたのはこのコホートのうち2.8%だった。

結論:
 IPF患者は2011年の国際ガイドラインに基づいて診断されている。近年のランダム化比較試験に登録されている患者よりも、実臨床ベースでみた場合の重症度は高そうである。HRCTに加えて、肺生検を受けている患者が驚くほど多かった。治療選択にはばらつきがみられた。


by otowelt | 2015-04-14 00:09 | びまん性肺疾患