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肺癌診断前の腫瘍マーカーの有用性

e0156318_12291546.jpg 当院ではCEA、CYFRA21-1、ProGRPの3種類を主に使用しています。腺癌でもCEAとProGRPの両方上昇していたり、初診時の評価で使用するのは難しいと感じることもあります。

Rafael Molina, et al.
Assessment of a Combined Panel of Six Serum Tumor Markers for Lung Cancer
Am J Respir Crit Care Med. First published online 14 Oct 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201404-0603OC


背景:
 われわれはこれまでに6つの腫瘍マーカーが肺癌の存在と関連していることを報告した(CEA, CA15.3, SCC, CYFRA 21-1, NSE, ProGRP)。

目的:
①独立コホートにおける腫瘍マーカーのパフォーマンスを確認する
②腫瘍マーカーの組み合わせによる診断(腫瘍マーカーが1つ以上異常)が肺癌の存在により精度の高いものかどうか調べること

方法:
 われわれの施設において、肺癌が臨床的に疑われた連続患者3144人に対して6つの腫瘍マーカーを測定した。カットオフ値:CEA 5 ng/ml;CYFRA21-1 3.3 ng/ml; SCC 2 ng/ml; CA15.3 35 U/ml; NSE 25 ng/ml; ProGRP 50 pg/ml。

結果:
 1316人は肺癌ではなく、1828人が肺癌と診断された。1563人が非小細胞肺癌で、265人が小細胞肺癌だった。
 個々の腫瘍マーカーについては過去に報告されているパフォーマンスと同等であることを確認できた。
 肺癌のない患者と比較すると、肺癌のある患者では有意に腫瘍マーカーの異常がみられる頻度が多かった。
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(Figure2:文献より引用)

 腫瘍マーカーの組み合わせによるアセスメント(1つ以上の腫瘍マーカーが異常)は、感度、特異度、陰性適中率、陽性適中率がそれぞれ88.5%, 82%, 83.7%, 87.3%であった。
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(Table3:文献より引用)

 腫瘍径、年齢、喫煙歴を加味するとさらに診断パフォーマンス(AUC)は向上した。しかしながら、腫瘍径が3cm未満の結節影がある患者では腫瘍マーカーアセスメントの陰性適中率は71.8%だった。NSEとProGRPは小細胞肺癌と非小細胞肺癌のリスク差の同定に有用であった。

結論:
 肺癌が疑われた患者において、6つの腫瘍マーカーを組み合わせてアセスメントすると診断精度が高いと言える。


by otowelt | 2015-10-30 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

COPDに対するトリプル吸入療法は1秒量を改善しCOPD急性増悪を減らす

e0156318_10134879.jpg トリプル吸入療法の論文は定期的にPubMedでチェックしています。

Lee SD, et al.
Efficacy and tolerability of budesonide/formoterol added to tiotropium compared with tiotropium alone in patients with severe or very severe COPD: A randomized, multicentre study in East Asia.
Respirology. 2015 Sep 23. doi: 10.1111/resp.12646. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 チオトロピウムにブデソニド/ホルモテロールを加えたトリプル吸入療法は呼吸機能を改善しCOPD急性増悪を減らすことが報告されているが、アジアの患者においてはまだ報告がない。この研究では、重症ないし超重症COPD患者に対するチオトロピウムにブデソニド/ホルモテロールを加えることの効果と忍容性について評価した。

方法:
 12週間におよぶランダム化並行群間多施設共同オープンラベル試験を実施した。患者は、14日間のrun-in periodののちにチオトロピウム18μg1日1回あるいはチオトロピウム+ブデソニド/ホルモテロール(160/4.5 μg 1日2回)のいずれかに割り付けられた。プライマリエンドポイントはベースラインからの吸入前1秒量の変化率とした。

結果:
 ベースラインからの吸入前1秒量変化率は、トリプル吸入療法群で有意に高かった(5.0% vs 0.6%; 治療差4.4%、95%信頼区間1.9-6.9、 P = 0.0004)。また、トリプル吸入療法はCOPD急性増悪の頻度を減少させ、初回までのCOPD急性増悪の期間を延長させた。また健康関連QOLの改善をもたらした。有害事象は両群ともに26%と同等であった。

結論:
 アジアの重症ないし超重症COPD患者において、チオトロピウムにブデソニド/ホルモテロールを加えることで1秒量の改善、健康関連QOLの改善、COPD急性増悪の減少に効果がある。治療は概して忍容性が良好であった。


by otowelt | 2015-10-29 00:25 | 気管支喘息・COPD

コリスチンのネブライザー吸入はVAPの頻度を減少させるか?

e0156318_10373080.jpg コリスチンのネブライザー吸入の話題です。気管支拡張症に対する有効性についての報告が記憶にあります。

ATS2013:慢性緑膿菌感染を有する気管支拡張症に対してプロミキシンのネブライザー吸入が有効

Marios Karvouniaris, et al.
Nebulised colistin for ventilator-associated pneumonia prevention
ERJ DOI: 10.1183/13993003.02235-2014 Published 24 September 2015


背景:
 われわれは、ネブライザー吸入によるコリスチン投与が、ICUにおける多剤耐性菌による人工呼吸器関連肺炎(VAP)の頻度を減少させることができるか評価した。

方法:
 これは単施設ランダム化オープンラベル試験であり、ギリシャのラリサ大学病院における12床のICUで実施された。患者は48時間を超えて人工呼吸管理されているものとした。コリスチン群は50万単位をネブライザーで1日2回予防投与、対照群は生食をネブライザーで1日2回投与された。投与は入室10日まで、あるいは抜管があるまで続けられた。プライマリアウトカムは30日VAP発生率とした。

結果:
 合計168人の患者が登録された。VAPの頻度はコリスチン群および対照群で有意な差はみられなかった(14人[16.7%] vs 25人[29.8%]、p=0.07)。セカンダリアウトカムについて、介入群ではVAP罹患密度率は低く(11.4 vs 25.6, p<0.01)、グラム陰性桿菌によるVAPも少なく(p=0.03)、多剤耐性菌によるVAPも少なかった(p=0.04)。VAP患者39人の解析では、吸入コリスチンによる予防によってICU死亡率が改善した。コリスチン耐性菌の増加については報告されていない。

結論: 
 コリスチンのネブライザー吸入はICUにおけるVAPの頻度を減少させる効果はなかった。


by otowelt | 2015-10-28 00:21 | 集中治療

難治性慢性咳嗽の治療:CHESTガイドラインとエキスパートパネルレポート

 Unexplained chronic coughにはまだ適切な日本語訳はないと思います。ここでは難治性慢性咳嗽と記載します。UCCと聞くと、どうしてもコーヒーが頭に浮かんでしまう・・・。

Peter Gibson, et al.
Treatment of Unexplained Chronic Cough: CHEST Guideline and Expert Panel Report
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-1496


背景:
 難治性慢性咳嗽:Unexplained chronic cough (UCC)はQOLを障害する。UCCの効果的なアセスメントや治療を同定する必要がある。

方法:
 このランダム化比較試験のシステマティックレビューでは、以下の質問を投げかけた。すなわち、UCC患者における咳嗽重症度、咳嗽頻度、咳嗽関連QOLに対する通常ケアよりも効果的な治療は何か?
 システマティックな精査や治療にも拘わらず原因が不明だった8週間を超える慢性咳嗽を呈する成人および12歳を超える青年の研究が登録され、その信頼性や質を調べた。システマティックレビューに基づいて、ガイドラインを提示する。

結果:
 11のランダム化比較試験および5つのシステマティックレビューが登録された。11のランダム化比較試験では、さまざまな介入を受けた慢性咳嗽患者570人のデータが得られた。研究の質は10のランダム化比較試験で高かった。いずれもUCCを同定するためにさまざまな手法やアセスメントが適用された。ガバペンチンとモルヒネは咳嗽関連QOLに効果的であったが、ガバペンチンのみが治療推奨として支持された。吸入ステロイド薬(ICS)の研究はインターベンションフィデリティバイアスがみられたこともあり、ICSはUCCに対する効果的な治療とはみなされなかった。エスモペラゾールは、胃食道逆流症の特徴がないUCC患者には効果的ではなかった。NERDに関するUCCの研究は同定されなかった。集学的言語療法(Speech pathology)の介入は咳嗽重症度を改善させた。

結論:
 UCCの診断とマネジメントを支持するエビデンスは限定的である。言語療法(Speech pathology)はUCCの治療オプションとして推奨される。


by otowelt | 2015-10-27 00:14 | 呼吸器その他

ALK陽性肺癌に対するファーストラインALK阻害薬治療後、セカンドラインALK阻害薬に移行する戦略は妥当

e0156318_21153247.jpg ALK陽性肺癌に対する治療戦略の話題です。ザーコリ→アレセンサか、beyond PDでザーコリを継続するか。

Chiari R, et al.
Clinical impact of sequential treatment with ALK-TKIs in patients with advanced ALK-positive non-small cell lung cancer: Results of a multicenter analysis.
Lung Cancer. 2015 Sep 14. pii: S0169-5002(15)30053-2. doi: 10.1016/j.lungcan.2015.09.009. [Epub ahead of print]


目的:
 ALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)はALK-TKIに感受性である。しかしながら、ファーストラインのALK-TKIの治療後に悪化した場合のセカンドラインのALK-TKIの利益についてはよく分かっていない。

方法:
 われわれは、イタリアの3施設において1つ以上のALK-TKIによって治療されたALK陽性NSCLC患者69人のデータを収集した。ALK-TKIによる臨床アウトカムおよびファーストラインALK-TKIの治療後に悪化した際の治療パターンについて記録した。

結果:
 ファーストラインALK-TKI(ほとんどがクリゾチニブ)による客観的奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)中央値はそれぞれ60.9%、12ヶ月であった。ファーストラインALK-TKI治療後に悪化した50人の患者のうち、22人はさらにセカンドラインALK-TKI(セリチニブあるいはアレクチニブ)へとスイッチした。その際のORRは86.4%であり、PFS中央値は7ヶ月であった。反面、13人の患者はファーストラインALK-TKIの中断後急速に病勢が進行した。7人がbeyond PDの状態でファーストラインALK-TKIが継続された。8人はALK-TKI以外の抗癌剤治療へ移行した。22人のセカンドラインALK-TKIを受けた患者の増悪後生存期間(PPS)は他の抗癌剤治療をうけた患者より有意に良好であったが(P=0.03)、beyond PDの状態でファーストラインALK-TKIを継続した患者との間に有意差はなかった(P=0.89)。

結論:
 ファーストラインALK-TKI治療後に病勢が進行した患者において、セカンドラインALK-TKI治療は有効である。また、beyond PDでファーストラインALK-TKIを継続する治療も臨床アウトカムの改善と関連しているかもしれない。


by otowelt | 2015-10-26 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

知っておきたいCOPD治療薬:ロフルミラスト

e0156318_945442.jpg・ロフルミラストとは
 ロフルミラスト(EU:Daxas®、アメリカ:Daliresp®)は、経口ホスホジエステラーゼ4阻害薬で、気道の炎症を抑制する作用があります。重症のCOPD患者さんに対して、数年前から欧米で承認されています。日本では未承認です。1日1回500μg錠を内服します。


・ロフルミラストは奥の一手 ~REACT試験、ACROSS試験~
 コクランレビューにおいて、ホスホジエステラーゼ4阻害薬は、COPD患者に対する呼吸機能の改善と急性増悪の減少をもたらすとされています。ただし、実臨床における症状やQOL改善の度合いは極めて限定的と考えられているため、奥の一手として位置付けられています1)

 COPDに対するロフルミラストの臨床試験で最も有名なのは、REACT試験です2)。これは、すでに吸入治療を受けている重症COPD患者さんに対するロフルミラストの効果を検証した多施設共同プラセボ対照ランダム化比較試験です。患者さんはランダムに、ロフルミラスト500μg、あるいはプラセボを1日1回投与する群に割り付けられました。REACT試験のプライマリアウトカムである中等症以上のCOPD急性増悪の頻度は、ロフルミラスト群のほうが少ないという結果でした(intention to treat:率比0.868、95%信頼区間0.753~1.002、p=0.0529、per protocol:率比0.806、95%信頼区間 0.688~0.943、p=0.0070)。また、重症のCOPD急性増悪(intention to treat:率比0.757、95%信頼区間0.601~0.952、p=0.0175、per protocol:率比0.668、95%信頼区間0.518~0.861、p= 0.0018)や入院の必要性(率比0.761、95%信頼区間0.604~0.960、p=0.0209)についても、ロフルミラストの方が良好な結果でした(図)。
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図. COPD急性増悪に対するロフルミラストの効果2)

 アジア人に限ればACROSS試験のデータが参考になります3)。これはランダムに1:1にロフルミラスト500μg1日1回あるいはプラセボに24週間割り付けた研究で、プライマリアウトカムはベースラインから試験終了時までの気管支拡張薬投与前1秒量の変化と規定されました。その結果、プラセボと比較してロフルミラストはプライマリアウトカムを有意に改善しました(0.071L、95%信頼区間0.046~0.095L、 p <.0001)。

 じゃあどんどんロフルミラストをCOPDに使いましょう、というワケではありません。ロフルミラストの副作用として、下痢が多いことが知られています(10人に1人くらい)。これによって、体重減少を起こすことも分かっています。そのため、もし日本でロフルミラストが使用される日が来た場合、私たち臨床医は下痢と体重減少に注意する必要があります。欧米の医師に聞いてみると、1~2kgくらいは簡単に減るようなので元気のない高齢COPD患者さんには処方しない方がよいでしょう。


・COPDにおける最強の治療法
 2015年11月時点ではCOPDに対する最強の薬物治療は、トリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)+テオフィリン+ロフルミラスト(+マクロライド)のようですが、そこまでやってもなかなか症状コントロールができないのが重症COPDです。実臨床で遭遇する重症COPDに対して、トリプル吸入療法+ロフルミラストがCOPD急性増悪を抑制するという報告があります4)。特に、過去に何度も急性増悪を起こした人には有効です。

 重症COPDの患者に対する治療選択肢は少なく、高齢者の患者さんの場合、テオフィリンが使いにくく、吸入アドヒアランスの維持が難しいことから効果的な経口治療薬が求められているのは間違いありません。ロフルミラストがその福音となるのかどうかは分かりませんが、将来的に副作用の少ない経口治療薬の選択肢が増えることを祈っています。


(参考文献)
1) Chong J, et al. Phosphodiesterase 4 inhibitors for chronic obstructive pulmonary disease. Cochrane Database Syst Rev. 2011 May 11;(5):CD002309.
2) Martinez FJ, et al. Effect of roflumilast on exacerbations in patients with severe chronic obstructive pulmonary disease uncontrolled by combination therapy (REACT): a multicentre randomised controlled trial. Lancet. 2015 Mar 7;385(9971):857-66.
3) Zheng J, et al. Roflumilast for the treatment of COPD in an Asian population: a randomized, double-blind, parallel-group study. Chest. 2014 Jan;145(1):44-52.
4) Muñoz-Esquerre M, et al. Roflumilast added to triple therapy in patients with severe COPD: a real life study. Pulm Pharmacol Ther. 2015 Feb;30:16-21.


by otowelt | 2015-10-23 00:57 | 気管支喘息・COPD

お知らせ

 夏季休暇のため、1週間程度ブログをお休みさせていただきます。(すでに秋ですが・・・)

by otowelt | 2015-10-16 01:53 | その他

ニコチンが少ないたばこは依存や喫煙本数を減らす

e0156318_23175684.jpg 患者さんの中には、「たばこは吸ってるけど、1mgに減らしたんや!」とニコチン含有量が少ないことをアピールしてこられる方もいらっしゃいます。

Eric C. Donny, et al.
Randomized Trial of Reduced-Nicotine Standards for Cigarettes
N Engl J Med 2015; 373:1340-1349


背景:
 アメリカ食品医薬品局(FDA)は、たばこのニコチン含有量を減らす基準を設定することができる。

方法:
 2013年6月~2014年7月の間に10施設において二重盲検並行群間ランダム化臨床試験を実施した。適格基準は、18歳以上で喫煙本数が5本/日以上で禁煙に関心がない者とした。登録被験者は、6週間常用している銘柄のたばこを喫煙する群、または6種類の指定されたたばこのうち1種類を喫煙する群にランダムに割り付けられた。指定された対照群のたばこは無料で試供された。これらのたばこでは、ニコチン含有量はたばこ1gあたり15.8mg/(市販銘柄の一般的含有量)から0.4mgの範囲だった。プライマリアウトカムは、6週目における1日あたりの喫煙本数とした。

結果:
 合計840人がランダム化され、780人が6週間の試験を完了した。6週目における1日あたりの平均喫煙本数はニコチン含有量2.4mg、1.3mg、0.4mgのたばこにランダムに割り付けられた被験者(それぞれ 16.5本、16.3本、14.9本)のほうが、普段常用している銘柄のたばこまたはニコチン含有量15.8mgのたばこに割り付けられた被験者(22.2本、21.3本)よりも少なかった(P<0.001)。
 ニコチン含有量が少ないたばこは、対照群のたばこと比べて、ニコチン曝露、ニコチン依存、ニコチン欲求を低下させたが、FeNO、総吸煙量に有意な増加はなかった。そのため、当該代償作用は最小限であると考えられる。

結論:
 6週間の試験において、ニコチン含有量が少ないたばこは、標準的なニコチン含有量のたばこと比べ、ニコチン曝露・ニコチン依存・喫煙本数を減らした。


by otowelt | 2015-10-15 00:56 | 呼吸器その他

CheckMate-057試験:既治療進行非扁平上皮非小細胞肺癌へのニボルマブはドセタキセルより全生存期間を延長

e0156318_8501268.jpg紹介するまでもありませんが、CheckMate-057試験の結果です。

Borghaei H, et al.
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer.
N Engl J Med. 2015 Sep 27. [Epub ahead of print]


背景:
 ニボルマブは完全ヒト型IgG4 PD-1免疫チェックポイント阻害抗体であり、抗腫瘍効果が期待されている。

方法:
 これはランダム化オープンラベル国際共同第III相試験であり、われわれはプラチナ製剤を用いた2剤併用レジメンによる1次治療中ないしは治療終了後に再発・病勢進行(PD)した病期IIIB/IVの非扁平上皮非小細胞肺癌の患者を対象とした。患者はニボルマブ3mg/kgを2週ごとに静脈内投与する群あるいはドセタキセル75mg/m2を3週ごとに静脈内投与する群にランダムに割り付けられた。治療は、PDあるいは毒性による治療中止となるまで続けられた。プライマリエンドポイントは全生存期間(OS)とした。

結果:
 2012年11月~2013年12月に合計582人が登録され、ニボルマブ群に292人、ドセタキセル群に290人が割り付けられた。そのうち、287人、268人が治療を受けた。登録患者の年齢は中央値で62歳、男性が55%で、PS 1が69%、病期IVが92%だった。前治療成績は、完全奏効(CR)・部分奏効(PR)が24%、安定(SD)が34%、悪化(PD)が39%。
 13.2か月時点におけるOS中央値は、ニボルマブ群が12.2か月(95%信頼区間9.7~15.0)と、ドセタキセル群の9.4か月(95%信頼区間8.1~10.7)に比べ統計学的に有意に延長した(死亡ハザード比0.73、96%信頼区間0.59~0.89、p=0.002)。1年生存率はニボルマブ群が51%(95%信頼区間45~56)、ドセタキセル群は39%(95%信頼区間33~45)だった。
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(全生存期間:文献より引用)

 ニボルマブ群は、事前に規定されたPD-L1発現レベル(≧1%、≧5%、≧10%)のいずれにおいても、全エンドポイントがドセタキセル群より良好であった。
 有害事象は、ニボルマブ群が69%、ドセタキセル群は88%とニボルマブ群で頻度が少なかった。ニボルマブ群で多い有害事象として、疲労(16%)、悪心(12%)、食欲減退(10%)、無力症(10%)など。

結論:
 プラチナ製剤を用いた2剤併用レジメンによる1次治療中ないしは治療終了後の進行非扁平上皮非小細胞肺癌の患者に対するニボルマブはドセタキセルよりも有意に全生存期間を延長する。
 

by otowelt | 2015-10-14 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

早期胃癌に対する胃切除は結核発症のリスク因子

e0156318_1741025.jpg 一般的に胃切除は結核のリスク因子であることが知られています。

Choi IJ, et al.
Risk Factors for TB in Patients With Early Gastric Cancer: Is Gastrectomy a Significant Risk Factor for TB?
Chest. 2015 Sep 1;148(3):774-83.


背景:
 胃切除は結核のリスク因子として知られている。しかしながら、早期胃癌患者における胃切除と結核との関連性についての研究はない。本研究では早期胃癌患者患者の結核に関連するリスク因子(胃切除を含む)について評価した。

方法:
 これは、韓国国立がんセンターの胃癌データベースを用いたレトロスペクティブコホート研究である。胃切除ないし内視鏡的に早期胃癌(T1)と診断された患者を組み入れた。

結果:
 1935人の患者が本コホートに登録された。これらのうち、1495人が胃切除、440人が内視鏡的切除を行われた。フォローアップ期間中央値は4.9年で、31人が結核を発症した(10万人年あたり334人、95%森羅区間227-475)。多変量Cox回帰分析では、胸部レントゲン写真上の陳旧性肺結核の存在と胃切除が有意なリスク因子として同定された(それぞれハザード比5.01、95%信頼区間2.44-10.28、P < .001、ハザード比8.95、95%信頼区間1.22-65.78、P = .031)。
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(文献より引用:Table2)

 胃切除を行われた患者のサブグループでは、陳旧性肺結核の存在、15%以上の体重減少、胃切除後約1年後の15%以上の血清アルブミン値減少が有意にリスク因子として同定された(それぞれハザード比4.80、95%信頼区間2.26-10.18、P < .001、ハザード比3.08、95%信頼区間1.47-6.48、P = .003、ハザード比5.02、95%信頼区間1.47-17.12、P = .010)。

結論:
 早期胃癌コホートにおいて陳旧性肺結核の存在と胃切除は結核発症の有意なリスク因子である。加えて、胃切除を受けた患者では陳旧性肺結核の存在、15%以上の体重減少・血清アルブミン値低下は結核発症のリスク因子であった。


by otowelt | 2015-10-13 00:49 | 抗酸菌感染症