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メタアナリシス:BMPR2遺伝子変異を有する肺高血圧症は、重症かつ死亡・肺移植リスクが高い

e0156318_9102283.jpg BMPR2遺伝子変異と実際のアウトカムとの関連性を報告したメタアナリシスです。

Jonathan D W Evans, et al.
BMPR2 mutations and survival in pulmonary arterial hypertension: an individual participant data meta-analysis
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(15)00544-5


背景:
 骨形成タンパク質受容体2型:bone morphogenetic protein receptor type II (BMPR2)遺伝子変異は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の原因遺伝子としてもっともよく知られている。しかしながら、BMPR2遺伝子変異が臨床型やアウトカムにどのような影響を与えるかはよくわかっていない。

方法:
 特発性、遺伝性、食欲抑制因子(anorexigen)に関連したPAH患者1550人をBMPR2遺伝子変異を調べた8コホートから抽出した。プライマリアウトカムは、死亡あるいは肺移植の複合アウトカムとした。セカンダリアウトカムとして全死因死亡を設定した。BMPR2遺伝子変異の存在が死亡あるいは肺移植、全死因死亡に与える影響としてのハザード比を算出した。

結果:
 1550人の患者のうち448人(29%)がBMPR2遺伝子変異を有していた。遺伝子変異キャリアは、診断時年齢が若く(平均年齢35.4±14.8歳 vs 42.0±17.8歳)、平均肺動脈圧が高く(60.5±8.3mmHg vs 56.4±15.3mmHg)、肺血管抵抗が大きく(16.6±8.3Wood units vs 12.9±8.3Wood units)、低CIであった(2.11±0.69L/min/m2 vs 2.51±0.92L/min/m2)(全てp<0·0001)。
 BMPR2遺伝子変異を有する患者は、急性肺血管反応試験に反応しにくかった(3% vs 16%、p<0.0001)。1164人の生存データを有する患者のうち、BMPR2遺伝子変異患者の非変異患者と比較した年齢補正および性別補正ハザード比は、死亡あるいは肺移植の複合アウトカムにおいて1.42(95%信頼区間1.15–1.75; p=0.0011)、全死因死亡において1.27 (95%信頼区間1.00–1.60; p=0.046)だった。これらのハザード比は、肺血管抵抗、CI、血管反応性を含む潜在的因子で補正を行うと減少がみられた。BMPR2遺伝子変異に関連した死亡あるいは肺移植、全死因死亡のハザード比に男女差はなかったが、診断時若年の患者では高かった(死亡あるいは肺移植p=0.0030、全死因死亡p=0.011)。

結論:
 PAH患者では、診断時若年でBMPR2遺伝子変異を有すると疾患がより重症となり、遺伝子変異がない患者と比較して死亡リスク、死亡・肺移植リスクた高くなる。


by otowelt | 2016-01-29 00:33 | 呼吸器その他

Airway-centered fibroelastosisは呼吸器疾患として独立した疾患概念か

e0156318_17355372.jpg 細気管支中心性に線維化と炎症がみられる一群のことをAirway-centered fibroelastosisと呼びますが、疾患概念として確立されたものかどうかは研究グループによって差があるため、あまりその名は知られていません。しかしながら呼吸器内科では長らく議論の交わされている重要な疾患群であることは確かで、上葉から始まり次第に下葉まで広がる、不気味な疾患です。
 胸部HRCTでは、肥厚した気管支壁とその周囲の線維化を反映し気管支血管束周囲に間質性の陰影がみられます。牽引気管支拡張症もみられます。
 今回の報告はhyperelastosisがあるという点で、過去のairway-centered idiopathic fibrosisの報告(YousemらやChurgらの報告が有名ですね)とはいささか異なるという点を強調しています。また今回の報告は急性の経過をたどる一群ということでPPFEとは異なります。

Pauline Pradere, et al.
Airway-centered fibroelastosis: a distinct entity
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.10.065


概要:
 われわれは5人の非喫煙者女性(38~56歳)のairway-centered fibroelastosisを報告する。同疾患は、病理学的に上葉にみられる広範囲な気道中心性のfibroelastosisがみられ、気管支壁肥厚・変形・拡張を伴う気管支の明らかな異常を呈するという特徴を有する。小葉中心の線維化と軽度の慢性炎症は周囲の間質に波及する。疫学としては過去の報告では女性に多いとされている。
 本報告の女性たちは、喘鳴と呼吸困難の急性症状エピソードを有した慢性の呼吸困難感が主症状である。また、生理学的な異常も中等度ないし重度にみられ、閉塞性パターンが3人、拘束性パターンが2人にみられた。吸入および経口ステロイドを使用しても、全例で疾患の進行がみられ慢性呼吸不全に陥った。2人に肺移植を要した。4人の患者は慢性喘息を有していた。
 本疾患は、特発性あるいは喘息関連のものがあると考えている。


by otowelt | 2016-01-28 00:12 | びまん性肺疾患

緑膿菌あるいはMRSAによる医療ケア関連肺炎のリスク

e0156318_1550487.jpg 参考程度にしかならないかもしれませんが・・・。 

Metersky ML, et al.
Predictors of Pseudomonas and methicillin-resistant Staphylococcus aureus in hospitalized patients with healthcare-associated pneumonia.
Respirology. 2016 Jan;21(1):157-63.


背景および目的:
 医療ケア関連肺炎(HCAP)は多剤耐性(MDR)菌の感染リスクが高い。MDRグラム陰性菌(MDR-GN)とMRSA感染症を識別する因子についてはよくわかっておらず、患者はしばしば両者の治療を施される。この研究は、緑膿菌性肺炎とMRSA肺炎を予測するリスク因子を同定するために実施された。

方法:
 65歳以上の退役軍人HCAP患者を2002年~2012年まで登録したデータベースを用いた。患者はICD-9コードを用いて登録された(緑膿菌性肺炎、MRSA肺炎、それ以外の肺炎)。患者特性と、緑膿菌性肺炎あるいはMRSA肺炎によるHCAPとの関連性を調べた。

結果:
 61651人のHCAP患者のうち、1156人(1.9%)が緑膿菌性肺炎、641人(1.0%)がMRSA肺炎、59854人(97.1%)がそれ以外の肺炎と診断された。
 MRSA肺炎は、男性、74歳を超える高齢、糖尿病、COPD、直近の介護施設入所歴あるいは入院歴、直近のフルオロキノロン曝露あるいはグラム陽性菌治療抗菌薬、重症肺炎と関連性があった。複雑性糖尿病とは関連性がなかった。
 緑膿菌性肺炎は、直近の入院歴、免疫不全宿主、COPD、片麻痺、直近の吸入ステロイド薬曝露、βラクタム/セファロスポリン/カルバペネムの曝露、グラム陽性菌治療抗菌薬、その他の抗菌薬、重症肺炎と相関性があった。84歳を超える高齢、社会的ステータスの高さ、薬物濫用、糖尿病とは関連性がなかった。

結論:
 患者特性は、緑膿菌あるいはMRSAによるHCAPのリスクを同定する手助けになるかもしれない。


by otowelt | 2016-01-27 00:18 | 感染症全般

IPFに対するニンテダニブ・ピルフェニドンの両薬剤は死亡アウトカムに対して有効性なし

e0156318_10143390.jpg 2015年のERSでNathan医師が報告した結果と概ね同様の結果です。死亡率や生存期間に対する効果は少なくとも1~2年程度では差がみられておりません。長期フォローアップによっては差が出るかもしれませんが、IPFそのものの悪化によって2年以降の生存曲線が厳しい結果になってきますので、やはり議論は堂々巡りのように思われます。

W. Canestaro, et al.
Drug Therapy for Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Systematic Review and Network Meta-Analysis
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2015.11.013


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は原因不明の慢性線維性間質性肺疾患の1つである。近年、ニンテダニブとピルフェニドンはその疾患進行を抑制するということで、FDAにも承認された。IPFに対する治療には様々なものが開発されてきたが、死亡率を有意に減少させるという結果はいずれの薬剤でも得られていない。この研究の目的は、全てのIPFに対する薬物治療を同定し、その効果をネットワークメタアナリシス・ペアワイズ間接比較で評価した。ただし、ステロイド治療については評価していない。

方法:
 MEDLINE, EmBase, Cochrane Libraryから2014年8月以前のデータを抽出した(ステロイド以外の治療法で、英語文献によるもの)。努力性肺活量、総死亡、呼吸器系特異的死亡といったキーアウトカムを解析。すべてのアウトカムはベイジアンアプローチによって解析された。

結果:
 30の適格基準を満たした研究で、16の治療法が評価された。固定効果およびランダム効果モデルの両方において、呼吸器系特異的死亡率についてはいずれの治療法もプラセボを統計学的に上回らなかった。総死亡について、ピルフェニドンおよびニンテダニブは固定効果モデルでは微小な効果が推定されただけであった(帰無仮説をまたぐ)。呼吸器系特異的死亡率、総死亡、努力性肺活量の減少に対して、ニンテダニブとピルフェニドンには差がなく、いずれも優位性を有していなかった。

結論:
 努力性肺活量の減少抑制効果に基づいて適応となったIPF治療薬のニンテダニブ・ピルフェニドンは、死亡率のアウトカムに対して明確な優位性を持たない。


by otowelt | 2016-01-26 00:17 | びまん性肺疾患

気管支喘息におけるAMD療法

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 AMD(Adjustable Maintenance Dosing:用量調節投与)療法という名前をご存知でしょうか。シムビコート®が発売されたときに広く知られるようになった吸入法ですが、最近は論文で取り上げられることも少なくなり、下火です。

 通常ICSやICS/LABAは1日あたり決まった量を定期的に吸入していくという方法が主流ですが、このAMD療法は長期管理薬の用法用量を患者さんの状態に合わせて調節する治療法です。たとえば、春先に必ず喘息症状が悪化する患者さんでは、冬の終わりから吸入薬の量を増やして、夏場には減らすという方法もあります。また、発作が多くなりそうな時(旅行先、風邪っぽい)に少し量を増やす、などなど。

 このAMD療法とはシムビコート®で使われる手法です。具体的にはシムビコート®を1回2吸入1日2回で使用していた場合、喘息状態が良好であれば1回1吸入1日2回にしたり、喘息状態が不良であれは1回4吸入1日2回にしたり・・・ということです。

 シムビコート®に限らず、ICSを間欠的に投与する方法は何度も検討されてきましたが、FD療法とAMD療法のいずれが優れているかという答えは出ていません1)。固定用法投与(FD)療法のアドエア®と比較した試験では、シムビコート®AMD療法よりもアドエア®FD療法の方が有意に良好な結果だったという報告もあります2)

 個人的にはAMD療法と称して患者さんにコントロールを丸投げしてしまうと、アドヒアランスの不良を招くだけでなく、受診頻度も減ってしまうのではないかと懸念しています。現時点では“FD派”です。


(参考文献)
1) Chauhan BF, et al. Intermittent versus daily inhaled corticosteroids for persistent asthma in children and adults. Cochrane Database Syst Rev. 2013 Feb 28;2:CD009611.
2) Price DB, et al. Salmeterol/fluticasone stable-dose treatment compared with formoterol/budesonide adjustable maintenance dosing: impact on health-related quality of life. Respir Res. 2007 Jul 4;8:46.


by otowelt | 2016-01-25 00:44 | レクチャー

多剤耐性結核に対するエルタペネムの有効性

e0156318_13203583.jpg MDRTBに対するカルバペネムの話題です。

Sander P. van Rijn, et al.
Pharmacokinetics of ertapenem in patients with multidrug-resistant tuberculosis
ERJ DOI: 10.1183/13993003.01654-2015 Published 7 January 2016


背景:
 多剤耐性結核(MDRTB)および超多剤耐性結核(XDRTB)は、セカンドライン抗結核薬が無効である耐性菌のため注目を集めている。抗菌薬として期待されているのがカルバペネム系抗菌薬である。エルタペネムは1日1回の投与が可能な、MDRTBおよびXDRTBに対して期待されているカルバペネムである。

方法:
 これはオランダで実施されたMDR-TBの後ろ向き研究である。2010年12月1日から2013年3月1日までの間にエルタペネム治療を受けた冠者を登録した。安全性と薬物動態が評価された。

結果:
 18人の患者が100mgのエルタペネムを平均77日(範囲5-210日)投与された。喀痰の抗酸菌塗抹・培養はすべての患者で陰転化した。薬剤の有効性を評価されたのは患者12人だった。24時間平均AUCは544.9(309–1130) h·mg·L−1だった。平均最大血中濃度は127.5 (73.9–277.9) mg·L−1だった。

結論:
 エルタペネム治療はMDRTBに忍容性があり、良好な薬物動態/薬力学プロファイルを示した。MDRTBに対してエルタペネムが有効な治療であると思われるが、さらなる研究を要する。

by otowelt | 2016-01-22 00:55 | 抗酸菌感染症

ロルラチニブによるクリゾチニブに対する再感作

 NEJMの短報です。

Alice T. Shaw, et al.
Resensitization to Crizotinib by the Lorlatinib ALK Resistance Mutation L1198F
N Engl J Med 2016; 374:54-61January 7, 2016


概要:
 クリゾチニブが奏効したALK陽性肺癌の女性にC1156Y耐性変異が出現した。
 女性はその後、ロルラチニブ(PF-06463922)に対する耐性を獲得した。ロルラチニブのL1198F耐性変異はクリゾチニブに対する再感作を引き起こした。

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(文献より引用:ClonalProgression)


by otowelt | 2016-01-21 00:21 | 肺癌・その他腫瘍

ICSが効きにくい気管支喘息

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 気管支喘息の患者さんの30%ほどがICSに反応しにくいとされています。これは遺伝子や環境などさまざまな原因が考えられますが、環境因子として重要なのは何でしょうか?・・・・・そう、たばこです。

 たばこを吸っている喘息患者さんはICSが効きにくいので注意して下さい。ICSを受けている喘息患者さんの朝のピークフロー値で喫煙者と非喫煙者で25L/分 (95%信頼区間4~45)の差があったという報告もあります(p = 0.019)1)。メタアナリシスでもたばこは1秒量を低下させる有害性が示唆されています2)。呼吸器内科の世界では、残念ながらたばこイコール絶対悪です。喫煙は、一部の過敏性肺炎を除いてほぼすべての疾患の症状増悪リスクを上昇させます。

 さらに知っておきたいのは、高齢者はICSに効きにくいといことです。これは確定的な知見ではありませんが、私も実臨床で非常に難渋することがあります。高齢者特有のアドヒアランスの問題が挙げられます。これは如何ともしがたい事実です。また、加齢による免疫学的な事情もあるのかもしれません。たとえば、若年者はTh2細胞が優勢でICSが効きやすいのに対して、高齢者の場合はTh2細胞の関与が乏しいのではないかとされています(Th2細胞が優勢でありながらICSが効きにくいサブグループもおり、現在議論は混沌としています3))。そのため、インターロイキンなどのサイトカインに対する治療が高齢者には有効なんじゃないかと考える研究グループもいます。

 ICSが効きにくい喘息として、気管支喘息とCOPDの合併であるACOSも忘れないで下さい。COPDが主体のACOSの場合、ICSが効きにくい。というか、COPDの症状は劇的に改善するものではないので、“COPD寄りのACOS”はICSではなかなか太刀打ちできないのが現状です。


(参考文献)
1) Tomlinson JE, et al. Efficacy of low and high dose inhaled corticosteroid in smokers versus non-smokers with mild asthma. Thorax. 2005 Apr;60(4):282-7.
2) Zheng X, et al. Smoking influences response to inhaled corticosteroids in patients with asthma: a meta-analysis. Curr Med Res Opin. 2012 Nov;28(11):1791-8.
3) Anderson GP. Endotyping asthma: new insightsinto key pathogenic mechanisms in a complex, heterogeneous disease. Lancet. 2008 Sep 20;372(9643):1107-19.


by otowelt | 2016-01-20 00:38 | レクチャー

クリゾチニブ耐性ALK陽性非小細胞肺癌に対するアレクチニブの第II相試験

e0156318_16174587.jpg L1196Mゲートキーパー変異によってザーコリ®が効かなくなった肺癌に対して、アレセンサ®やセリチニブは高い活性を有することがすでに分かっています。しかし、それでもなお腫瘍は耐性化を生じます。癌細胞の感受性と耐性化の戦いは、まるで感染症と抗菌薬の戦いを見ているようにも思います。
ASCOでOu先生がクリゾチニブ耐性NSCLCに対するアレクチニブの第II相試験の結果を発表しています。これによればORR50%、DCR79%です(Ou S, et al. J Clin Oncol 33, 2015 (suppl; abstr 8008))
 セリチニブもアレクチニブと同じく、クリゾチニブ耐性NSCLCに対して有効とされています。

Shaw AT, et al.
Alectinib in ALK-positive, crizotinib-resistant, non-small-cell lung cancer: a single-group, multicentre, phase 2 trial.
Lancet Oncol. 2015 Dec 18. pii: S1470-2045(15)00488-X. doi: 10.1016/S1470-2045(15)00488-X.


背景: 
 アレクチニブは、クリゾチニブナイーブおよびクリゾチニブ耐性のALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者に有効な、高い選択性を有するCNSにも活性を有するALK阻害薬である。われわれは、過去にクリゾチニブを投与されたものの病勢進行したALK陽性NSCLC患者に対するアレクチニブの効果と安全性を調べた。

方法:
 これは、アメリカおよびカナダで実施された27施設の第II相試験である。われわれは、18歳以上、IIIB/IV期、過去にクリゾチニブを投与され病勢進行したALK陽性NSCLC患者を登録した。患者は病勢進行・死亡・投与中断まで経口アレクチニブ600mgを1日2回投与された。プライマリエンドポイントは、RECISTv1.1を用いた独立レビュアーによる客観的奏効率(ORR)の判定とした。試験薬を内服した患者で奏効が評価可能な集団で奏効エンドポイントを解析、ITTで効果と安全性の解析をおこなった。

結果:
 2013年9月4日~2014年8月4日までに、ITTで87人の患者が登録された。フォローアップ期間中央値4.8ヶ月(IQR3.3-7.1)の初回解析時に、測定可能病変を有する69人中33人がPR、ORRは48%だった(95%信頼区間36-60)。有害事象はgrade1-2のものが多く、よくみられたのが便秘(31人[36%])、疲労(29人[33%])、筋肉痛(21人[24%])、末梢浮腫(20人[23%])だった。grade3-4の有害事象は、検査値の変化に多くみられた。CPK上昇(7人[8%])、ALT上昇(5人[6%])、AST上昇(4人[5%])など。2人の患者が死亡した。1人は出血(治療に関連すると判断された)、1人は病勢進行と脳卒中既往によるもの(治療とは無関連)。

結論:
 クリゾチニブ耐性ALK陽性NSCLCに対するアレクチニブは臨床的に活性があり忍容性も良好である。そのため、クリゾチニブの使用によって病勢進行したALK陽性肺癌の治療としてアレクチニブは妥当な選択肢になりうる。


by otowelt | 2016-01-19 00:56 | 肺癌・その他腫瘍

結核性髄膜炎に対する強化治療(リファンピシン増量・レボフロキサシン併用)は生存率を改善させない

e0156318_1302985.jpg 結核性髄膜炎のアウトカムを強化治療で改善させることができるかどうか検証したものです。

A. Dorothee Heemskerk, et al.
Intensified Antituberculosis Therapy in Adults with Tuberculous Meningitis
N Engl J Med 2016; 374:124-134


背景:
 結核性髄膜炎はしばしば致死的となりうる。早期の抗結核療法とグルココルチコイドを用いた補助療法によって結核患者の生存が延長するが、それでもなお3分の1程度は死亡するとされている。われわれは、強化治療により中枢神経系の結核菌に対する殺菌力が高め死亡率が低下するという仮説を立てた。

方法:
 ベトナムにおける2病院のいずれかに入院し、結核性髄膜炎と臨床的に診断されたHIV感染患者よおびHIV非感染患者を対象にランダム化二重盲検プラセボ対照試験をおこなった。
 標準治療である9ヶ月のレジメン(リファンピシン10mg/kg/dayを含む)と、治療初期8週間に高用量リファンピシン(15mg/kg/day)・レボフロキサシン(20mg/kg/day)を併用する強化レジメンとを比較した。プライマリアウトカムはランダム化から9ヶ月までの死亡とした。

結果:
 817人(HIV感染者349人)が登録された。409人を標準治療群に、408人を強化治療群にランダムに割り付けた。フォローアップ中に、強化治療群113人、標準治療群114人が死亡した(ハザード比0.94、95%信頼区間0.73~1.22、P=0.66)。強化治療によって有意差をもたらす効果は観察されなかったが、イソニアジド耐性結核菌に感染した患者は例外となる可能性はあった。
 治療中断にいたった有害事象にも群間差はなかった(標準治療群64件、強化治療群95件、P=0.08)。

結論:
 結核性髄膜炎患者に強化抗結核治療を導入しても、標準治療と比較して生存率が高くなることはない。


by otowelt | 2016-01-18 00:34 | 抗酸菌感染症