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ギリシャにおける非嚢胞性線維症の気管支拡張症の臨床像

e0156318_1519449.jpg 男性が意外に多いのは、陳旧性結核による続発性気管支拡張症を入れたからでしょうか。

Dimakou K, et al.
Non CF-bronchiectasis: Aetiologic approach, clinical, radiological, microbiological and functional profile in 277 patients.
Respir Med. 2016 Jul;116:1-7.


背景および目的:
 非嚢胞性線維症(CF)の気管支拡張症はギリシャではよくみられるが、その疫学、臨床所見、放射線学的所見、微生物学的所見、肺機能プロファイルの知見は少ない。

方法:
 われわれは胸部HRCTで診断された非CF気管支拡張症の患者を前向きに評価した。疫学、臨床データ、放射線学的スコアリング、微生物学的プロファイル、肺機能検査を調べた。

結果:
 気管支拡張症を有する277人の患者(170人が女性、平均年齢60.5±16歳)が評価された。64%が非喫煙者であった。感染後(25.2%)および過去の結核既往(22.3%)はもっともよくみられる基礎病態であり、34%の患者は原因がはっきりしなかった。主症状は咳嗽(82%)、膿性痰(80%)、呼吸困難感(60%)、血痰(37%)だった。平均有症状期間は9.7年だった。感染性増悪は67.5%の患者にみられ、平均年2.3回の頻度だった。もっともよくみられる肺機能パターンは閉塞性(43.1%)であったが、38%は正常のスパイロメトリーだった。緑膿菌(43%)が最もよくみられた喀痰培養の病原微生物で、次いでインフルエンザ桿菌(12.6%)だった。緑膿菌を有する患者はより長期に罹患しており、肺機能が悪かった。放射線学的な重症度は、肺機能障害、緑膿菌の存在、増悪の頻度と関連していた。

結論:
 ギリシャにおいて陳旧性結核は気管支拡張症の重要な原因であった。緑膿菌がもっともよくみられる病原微生物であり、これは疾患重症度と関連していた。もっともよくみられた肺機能障害は閉塞性換気障害であった。


by otowelt | 2016-06-30 00:26 | 呼吸器その他

就学前児童の喘鳴コントロール評価には0.75秒量測定がよい

e0156318_1034324.jpg こういう研究は好きです。

Véronique Nève, et al.
Utility of measuring FEV0.75/FVC ratio in preschoolers with uncontrolled wheezing disorder
ERJ, DOI: 10.1183/13993003.01391-2015 Published 26 May 2016


背景:
 コントロール不良の喘鳴(wheezing)は就学前の小児によくみられるが、親が疾患コントロールが良好であると過剰評価する傾向もあって、疾患コントロールアセスメントが難しい。この研究は、呼気時間を変数としたt秒量(FEVt)/努力性肺活量(FVC)を就学前児童に実施し比較した初めての研究である(1秒量、0.75秒量、0.5秒量)。われわれの目的は、正常下限(LLN:z-スコア<-1.64)を下回るFEVt/FVCがコントロール不良の喘鳴と関連しているかどうか調べることである。

方法
 3~5歳の92人の健康な小児および125人の喘鳴を有する(62%がコントロール不良)小児において、FVC、1秒量(FEV1)、0.75秒量(FEV0.75)、0.5秒量(FEV0.5)を測定した。LLN未満のスパイロメトリーと疾患分類(健康/喘鳴)および疾患コントロール分類(コントロール良好/コントロール不良)との関連性をロジスティック回帰を用いて評価した。

結果:
 LLN未満の0.75秒量あるいは0.5秒量は、喘鳴と関連していた(オッズ比9.78, 95%信頼区間3.70–25.88、オッズ比6.64, 95%信頼区間2.24–19.66; いずれもp<0.001)。LLN未満の0.75秒量のみがコントロール不良の喘鳴と関連していた(オッズ比2.53, 95%信頼区間1.12–5.68; p=0.025)。

結論:
 0.75秒量は就学前児童の喘鳴コントロールを評価する上で、有用なサロゲートアウトカムである。


by otowelt | 2016-06-29 00:50 | 気管支喘息・COPD

再告知:もっとねころんで読める呼吸のすべて

 申し訳ありません、再告知です。明日6月29日に「もっとねころんで読める呼吸のすべて ナース・研修医のためのやさしい呼吸器診療とケア2」という本をメディカ出版から出版します。これは前作のねころんで読める呼吸のすべての続編ですが、オムニバス形式なので、どちらの本も好きなところから読んでいただいてOKです!
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発売日 : 2016年6月29日
価格 : 2,000 円 (税別)
出版社 : メディカ出版
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する
e0156318_13141310.jpgメディカ出版から購入する

 研修医、ナースだけでなく呼吸器科に携わるすべての医療従事者に読んでいただきたい一冊です。前作と併せて読むと、呼吸器科ケアのエッセンスがより身に付くと思います。小難しい話は抜きにして、ねころんで笑いながら読み進められる内容にしました。そして、そして!前作に引き続き、ブフッと吹き出す藤井昌子先生描き下ろしの4コマ漫画も多数掲載されています。価格はリーズナブルな2000円据え置き!
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by otowelt | 2016-06-28 00:16 | 呼吸器その他

ACOSの診断基準提唱

 エキスパート同士の情報のやりとりで新しい診断基準が提唱されています。学会としての提唱ではありません。

Don D. Sin, et al.
What is asthma−COPD overlap syndrome? Towards a consensus definition from a round table discussion
ERJ DOI: 10.1183/13993003.00436-2016 Published 23 June 2016



SinらのACOSの診断基準:主基準の全項目および副基準の少なくとも1つを満たす

主基準:
1. 40歳以上で、遷延性の気流制限(気管支拡張後1秒率70%未満あるいは正常下限[LLN]未満)。LLNの使用の方が望ましい
2. 少なくとも10pack-yearsの喫煙歴またはそれに相当する屋内・屋外の大気汚染曝露(バイオマスなど)
3. 40歳以前に喘息の既往がある、または1秒量の気道可逆性が400mLを超える

副基準:
1. アトピーあるいはアレルギー性鼻炎の既往
2. 2回以上の外来受診で、ベースラインからの1秒量の気道可逆性が200mLかつ12%を超えることを確認
3. 末梢血好酸球数が300/μL以上
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by otowelt | 2016-06-27 00:50 | 気管支喘息・COPD

コクランレビュー:喘息発作早期におけるICS増量吸入は治療失敗を減らさず

 コクランレビューは最近更新頻度がこまめなテーマとそうでないテーマに二極化していますね。

Kew KM, et al.
Increased versus stable doses of inhaled corticosteroids for exacerbations of chronic asthma in adults and children.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jun 7;6:CD007524.


背景:
 喘息患者はときに増悪や発作を経験し、追加的な治療を要する。喘息発作の早期に、重症度の軽減や経口ステロイド・入院を抑制するために吸入ステロイド量を倍増させるアクションプランが有効かもしれない。

目的:
 遷延性喘息を有する小児および成人の自宅における患者主導アクションプランの一環として、吸入ステロイド薬(ICS)の吸入量を増加させる場合と固定用量で吸入する場合の効果と安全性を比較すること。

方法:
 電子データベースから2016年3月までの呼吸器系ジャーナル等を手動で抽出した。自宅マネジメントにおけるICS増加群とICS固定群を比較したランダム化比較試験を選択。2人のレビュアーが試験選択、質評価、データ抽出をおこなった。

結果:
 合計8つのランダム化比較試験が同定された(1669人の軽症~中等症の喘息患者)。3つが小児の試験で、5つが成人の試験だった。6つは並行群間試験で、2つはクロスオーバーデザインだった。1つの試験を除いて、すべての試験が6か月~1年のフォローアップだった。研究は、アクションプランとしてICSを固定用量から追加的に上乗せで吸入する群とプラセボを吸入する群を設定。治療失敗(経口ステロイド必要性)のオッズ比はICS上乗せ群で減少しなかった(オッズ比0.89, 95%信頼区間0.68 to 1.18; 参加者1520人; 7試験)。予定外の来院、急遽の来院についても両群で差はみられず、アクションプランにおけるICS増加は有意な効果はないと考えられた。

結論:
 現行のエビデンスでは、軽症~中等症の小児~成人の喘息患者において、患者主導アクションプランとしてICSを発作時に増量させる意義はないと考えられた。ICSの増量によって経口ステロイドの使用を減少させる効果(治療失敗抑制効果)はみられなかった。


by otowelt | 2016-06-24 00:42 | 気管支喘息・COPD

血中および胸水中VEGFレベルはベバシズマブのアウトカムを予測するバイオマーカー

e0156318_10101326.jpg アバスチン®のバイオマーカーの報告です。

Tamiya M, et al.
Vascular Endothelial Growth Factor in Plasma and Pleural Effusion Is a Biomarker for Outcome After Bevacizumab plus Carboplatin-Paclitaxel Treatment for Non-small Cell Lung Cancer with Malignant Pleural Effusion.
Anticancer Res. 2016 Jun;36(6):2939-44.


目的:
 悪性胸水は、VEGFが血清および血漿で上昇することと関連している。悪性胸水(MPE)患者におけるベバシズマブ治療のアウトカムとしてバイオマーカーは存在しない。われわれは過去にカルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブが進行性非小細胞肺癌(NSCLC)およびMPE患者に効果的であることを示したが、治療アウトカムと血中あるいは胸水中のVEGFレベルの関連性については評価していなかった。そこで、このVEGFレベルがベバシズマブ治療アウトカムを予測するかどうか評価した。

患者および方法:
 NSCLCおよびMPEの患者23人を2010年9月から2012年6月まで登録した。血中VEGFレベルは19人の患者で、胸水中VEGFレベルは22人の患者で測定された。

結果:
 血中VEGFレベルが低い患者と比較して、高レベルの患者は有意に全生存期間(13.8ヶ月 vs. 6.5ヶ月, p=0.04)、無増悪生存期間(8.7ヶ月 vs. 4.8ヶ月, p<0.01)、胸水再貯留までの期間(9.7ヶ月 vs. 6.2ヶ月, p=0.02)が短かった。胸水中VEGFレベルが低い患者と比較して、高レベルの患者は有意に全生存期間(19.6ヶ月 vs. 6.9ヶ月, p<0.01)、胸水再貯留までの期間(9.6ヶ月 vs. 6.7ヶ月, p=0.04)が短かったが、無増悪生存期間には有意差はなかった(6.6ヶ月 vs. 5.9ヶ月, p=0.18).

結論:
 血中および胸水中のVEGFレベルは、NSCLCおよびMPE患者におけるベバシズマブのアウトカムを予測するかもしれない。 


by otowelt | 2016-06-23 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

重症好酸球性喘息に対するメポリズマブの2試験事後解析:ゾレア®無効例にもヌーカラ®は有効

e0156318_931267.jpg 「ゾレア®が効かなかったからといって、ヌーカラ®も効かないなんてことはないですよ」という内容です。GSKにとっては強い味方になる論文ですね。喘息患者さんのサブグループで抗体医薬品の棲み分けが進んでいくような気もしますが、ヌーカラ®の切れ味は思ったよりも良いのかもしれません。
 まだ使用したことがないので、実感はないのですが。

Magnan A, et al.
Treatment response with mepolizumab in severe eosinophilic asthma patients with previous omalizumab treatment.
Allergy. 2016 Apr 18. doi: 10.1111/all.12914.


背景:
 われわれは、過去にオマリズマブで治療された重症好酸球性喘息患者に対するヒト化モノクローナル抗体メポリズマブの効果を評価する事後解析をおこなった。

方法:
 データは2つのランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験から抽出された(MENSA試験:32週間治療、SIRIUS試験:24週間治療)。治療群は75mgの経静脈的メポリズマブあるいは100mgの皮下注メポリズマブを投与された。MENSA試験、SIRIUS試験に参加したすべての患者の末梢血中の好酸球数は、治療開始時点で150/μL以上、または過去1年以内で300/μL以上だった。プライマリアウトカムは発作の頻度(MENSA)および経口ステロイド減量(%)(SIRIUS)。他のアウトカムとして肺機能(1秒量および朝のピークフロー値)、喘息コントロール質問票(ACQ)、SGRQスコア、安全性とした。

結果:
 MENSA試験には、高用量の吸入ステロイド薬およびその他の長期管理薬を併用しているにもかかわらず喘息増悪をきたす12歳以上の重症喘息患者576人(日本人50人)が登録され、SIRIUS試験には、重症好酸球性喘息患者135人が登録された。そのうち、それぞれ13%、33%がオマリズマブ治療歴があった。それぞれ75%、82%が効果不十分としてオマリズマブを中断していた。
 MENSA試験では、メポリズマブは発作の頻度をプラセボと比較してオマリズマブ既使用群で57%、非使用群で47%減少させた。SIRIUS試験では、経口ステロイド減量効果はオマリズマブ使用の有無を問わず同程度の効果だった(50%以上の減量効果・・・オマリズマブ既使用群:プラセボ23% vs メポリズマブ43%、オマリズマブ非使用群:プラセボ39% vs 59%)。
 喘息コントロールやQOLについては、オマリズマブの使用有無を問わず、プラセボ群と比較してメポリズマブ群の方が良好だった。有害事象もオマリズマブの使用有無を問わず同等だった。

結論:
 この事後解析によれば、重症好酸球性喘息患者は過去のオマリズマブの使用有無を問わず、良好に反応することがわかった。


by otowelt | 2016-06-22 00:05 | 気管支喘息・COPD

Sjögren症候群の15.4%に嚢胞性肺病変がみられ、その多くが進行しない

e0156318_1517551.jpg 後ろ向きですが、貴重なデータですね。

Carlos D. Martínez-Balzano, et al.
Cystic lung disease among patients with Sjögren’s syndrome: frequency, natural history and associated risk factors
Chest. 2016. doi:10.1016/j.chest.2016.05.015


背景:
 Sjögren症候群(SS)における嚢胞性肺病変(CLD)は、不確かではあるが予後を示唆する病態と考えられている。われわれの目的は、その頻度、進行、関連リスク因子、合併症について調べることである。

方法:
 原発性SSあるいは二次性SSの84人の患者において、胸部画像(胸部レントゲン写真あるいは胸部CT)をCLD同定のため後ろ向きに評価した。13人の嚢胞を有する患者が同定された。ベースラインの患者背景が抽出された。CLDを予測する因子を探索すべく多変量ロジスティック回帰モデルを用いた。

結果:
 CLDはSS患者84人中13人にみられた(15.4%)。CLDは高齢(オッズ比1.1、95%信頼区間1.0-1.6)、二次性SSの診断(オッズ比12.1、95%信頼区間1.12-130.4)、抗SSA/Ro抗体陽性(オッズ比26.9、95%信頼区間1.44-93.61)と関連していた。追跡期間中央値4年で、CLD患者12人には放射線学的な進行はみられなかった。CLDは肺機能検査の特異的パターンとは相関がみられなかった。嚢胞に感染をきたした患者が2人いた。

結論:
 CLDはSSでよくみられる病態であり、経時的な胸部画像検査および肺機能検査では進行がほとんどみられない。


by otowelt | 2016-06-21 00:40 | びまん性肺疾患

食道裂孔ヘルニアとIPFの関連性

e0156318_943137.jpg GERDが関連するIPFを疑っているとき、BAL中のpHを測定してみるというアイディアもあります(Med Sci Monit. 2014 Feb 15;20:255-61.)。

Céline Tossier, et al.
Hiatal hernia on thoracic computed tomography in pulmonary fibrosis
ERJ, DOI: 10.1183/13993003.01796-2015 Published 12 May 2016


背景:
 GERDはIPFの発症と進行に関連していると疑われてきた。われわれは、食道裂孔ヘルニアが他の間質性肺疾患(ILD)よりもIPFにより多く観察される、IPFにおけるより重度の臨床像と関連しているという仮説を立てた。

方法:
 後ろ向きに79人のIPF患者、103人の他のILD患者(17人:強皮症、54人:他の膠原病、32人:CHP)における食道裂孔ヘルニアの頻度をCT検査で調べた。IPF群における各特徴を食道裂孔ヘルニア合併群(42人)および食道裂孔ヘルニア非合併群(37人)で比較した。

結果:
 IPF患者における食道裂孔ヘルニアの頻度は53%で、これは強皮症ILDと同等であったが、他の2つのILD群と比べて有意に多かった。食道裂孔ヘルニアサイズは、CTにおける線維化スコアや肺機能とは関連していなかった。呼吸器系の死亡率は食道裂孔ヘルニア合併IPF群の方が非合併群よりも有意に高かった(p=0.009)。

結論:
 食道裂孔ヘルニアはIPF発症に特異的な役割を有しており、GERDに起因するものと考えられる。


by otowelt | 2016-06-20 00:55 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪の診断基準:改訂案

e0156318_7331272.jpg 先日Facebookページにもアップロードしましたが、IPF急性増悪の診断基準の改定案がワーキンググループから提唱されています。

Collard HR, et al.
Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: An International Working Group Report.
Am J Respir Crit Care Med. 2016 Jun 14. [Epub ahead of print]


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<従来のIPF急性増悪の診断基準からの主な変更点>
1.定義から「特発性」を除した

 心不全や過剰輸液では説明できない陰影ではあるが様々な原因によって両側性の陰影を呈することがあるため。特発性か特発性でないかを実臨床で判断するのは困難である。

2.診断基準の「30日以内」を「典型的には1か月以内」に変更した
 非典型例も存在するため、ワーキンググループとしてはその期間をフレキシブルな表現に変えた。

3.診断基準に「心不全や過剰輸液では説明できない」を加えた
 ARDSのBerlin基準に基づいた記載である。


by otowelt | 2016-06-17 01:29 | びまん性肺疾患