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STAAR試験:コントロール不良喘息小児に対する電子アドヒアランスモニタリング戦略の有効性

e0156318_12222112.jpg やはりアラームなどをつけると吸入デバイス自体が大きくなってしまいますね。

Morton RW, et al/
STAAR: a randomised controlled trial of electronic adherence monitoring with reminder alarms and feedback to improve clinical outcomes for children with asthma.
Thorax. 2016 Nov 4. pii: thoraxjnl-2015-208171.


背景:
 吸入ステロイド薬のアドヒアランスの問題は喘息小児ではよくみられる事象で、ひいては疾患コントロール不良やQOL低下、死亡リスクの増加にまで関連しているかもしれない。電子モニターを用いたアドヒアランス改善効果を狙った過去の研究では良好な結果が示されたが、臨床アウトカムの改善までは示されていない。この研究の目的は、このアプローチをルーチンのプラクティスに導入することによって臨床アウトカムの改善がみられるかどうかを検証したものである。

方法:
 喘息小児6~16歳を登録し、ランダムに電子アドヒアランスモニター介入群(毎日アラームが鳴り、ICS使用はクリニックに通達される)と非介入群(アドヒアランスの観察のみ)に割り付けた。全小児はベースラインにおいて、ICSおよびLABAの使用下でコントロール不良の喘息を有していた。ルーチンのクリニック受診は3ヶ月ごととし、1年間まで継続した。プライマリアウトカムはACQスコアとした。セカンダリアウトカムはアドヒアランス、喘息マーカーとした。
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(文献より引用)

結果:
 90人中77人の小児が試験を完遂した(39人が介入群、38人がコントロール群)。アドヒアランスは介入群70%、非介入群49%だった(p≤0.001)。ACQスコアには有意な差はみられなかったが、介入群の小児は有意に経口ステロイドを要する頻度が低く(p=0.008)、入院が少なかった(p≤0.001)。
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(文献より引用:アドヒアランス[A:介入群、B:非介入群])

結論:
 喘息コントロール不良小児に対する電子アドヒアランスモニタリングによるフィードバック戦略は、ルーチンの喘息マネジメントに有意な利益をもたらす。

by otowelt | 2016-11-30 00:07 | 気管支喘息・COPD

電子たばこ使用は慢性気管支症状のリスクを上昇

e0156318_23175684.jpg 電子たばこの定義も結構ややこしいので、一概には結論づけられませんが。2015年のATSでは、システマティックレビューにおいて短期的な呼吸器系への影響が報告されています。

Rob McConnell, et al.
Electronic-cigarette Use and Respiratory Symptoms in Adolescents
AJRCCM, Published Online: November 02, 2016


背景:
 青年期の電子たばこの使用頻度は増えているが、その慢性的な影響についてはほとんどわかっていない。電子たばこエアロゾルの組成は肺毒性を示すという知見がある。

方法:
 2086人が参加した南カリフォルニア小児健康スタディの参加者において、慢性気管支症状(慢性咳嗽、喀痰あるいは気管支炎)のある電子たばこ使用者および過去12ヶ月の間に喘鳴がみられた患者の関連性を調べた。

結果:
 過去に電子たばこを使用したと報告したのは502人(24.0%)で、そのうち201人(9.6%)が電子たばこを過去30日以内に使用していた(現行使用)。気管支症状のリスクは電子たばこ非使用者と比べて電子たばこの既往使用者において約2倍に上昇した(オッズ比1.85、95%信頼区間1.37-2.49)。また、電子たばこの現行使用者ではそのリスクは2.02(95%信頼区間1.42-2.88)だった。電子たばこ現行使用者において、過去30日の間に1-2日使用した場合(オッズ比1.66、95%信頼区間1.02-2.68)、3日以上使用した場合(オッズ比2.52、95%信頼区間1.56-4.08)にもリスク上昇がみられた。生涯でのたばこ曝露および受動喫煙によって補正すると関連性は減少していった。しかしながら、信頼性のある交絡因子で補正しても、過去に電子たばこを使用した人では気管支症状のリスクは有意に高かった(オッズ比1.70、95%信頼区間1.11-2.59)。喫煙歴で補正した場合、電子たばこと喘鳴には有意な関連性はみられなかった。

結論:
 青年期の電子たばこ使用は慢性気管支症状の頻度を高くする。

by otowelt | 2016-11-29 00:42 | 呼吸器その他

ボールペン・ポケットナイフによる緊急輪状甲状靱帯切開は有効

e0156318_9104731.jpg 欧米の医師たちのTwitterで話題になっている論文です。部位が違いますが、医龍の第1巻を思い出しました(朝田がミキの緊張性気胸をボールペンで解除)。
 この研究のセカンドオーサーは、8月に「おそらく実施不可能であろう」と結論づけていますが(Emerg Med J. 2016 Aug;33(8):553-6.)、これは市販のボールペンの一択でした。成否はポケットナイフの存在によるのかもしれません。

Braun C, et al.
Bystander cricothyroidotomy with household devices - A fresh cadaveric feasibility study.
Resuscitation. 2016 Nov 1;110:37-41. doi: 10.1016/j.resuscitation.2016.10.015. [Epub ahead of print]


背景:
 いろいろなプロモーション画像、医療テレビ番組、インターネットチャットルームでは、非医療デバイスによる救命目的の輪状甲状靱帯切開が紹介されている。しかしながら、バイスタンダーが家庭用品を用いてそれを実施してガス交換が本当に維持できるかどうか不透明である。この研究は、バイスタンダーがポケットナイフやボールペンなどの家庭用品を用いて緊急輪状甲状靱帯切開を行えるかどうか調べたものである。

方法:
 2つのよく用いられるペンと5つの異なるタイプのポケットナイフが用いられた。解剖学的知識がない、あるいは基本的な知識しかない10人の参加者がペン1本、ポケットナイフ1本を選び、簡単な紹介のあと迅速に緊急輪状甲状靱帯切開を行うよう依頼された(献体患者を用いた)。プライマリアウトカムは、ペン円筒の正しい位置への挿入と口-ペン換気による胸郭拳上(換気)とした。

結果:
 8人(80%)の参加者が正しく上気道アプローチを行い、最終的に換気ができた。5人の参加者は輪状甲状靱帯切開を行い、3人の参加者は気管切開を実施した。筋肉および軟骨の障害がよくみられたが、処置後剖検では大血管の傷害は1人も観察されなかった。しかしながら、平均成功時間は243秒であった。

結論:
 バイスタンダーが実施するボールペンやポケットナイフを用いた献体モデル患者に対する緊急輪状甲状靱帯切開は80%で成功した。大血管の損傷などの重大な合併症はみられなかった。こうした事態は至極まれであろうが、緊急事態では望ましいオプションと考えてよい。アウトカムをよりよくするため、頚部の解剖学的なランドマークと切開技術を救急コースで教育すべきであろう。

by otowelt | 2016-11-28 00:46 | 救急

初期評価で蜂巣肺がみられないIPF患者の臨床経過

e0156318_1543237.jpg 外科的肺生検でUIPと診断されている、蜂巣肺がみられないIPFの症例の報告です。非常に興味深いです。

Yamauchi H, et al.
Clinical Course and Changes in High-Resolution Computed Tomography Findings in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis without Honeycombing.
PLoS One. 2016 Nov 9;11(11):e0166168. doi: 10.1371/journal.pone.0166168. eCollection 2016.


背景:
 IPFの患者の幾人かは、初期評価において胸部HRCTで蜂巣肺を有さない。その臨床経過や胸部HRCTの経時的変化はよく分かっていない。

方法:
 われわれは日本各地の登録施設において、初期評価の胸部HRCTで蜂巣肺を有さないIPF患者43人を登録した。すべての患者は外科的肺生検でIPFと診断された。他の疾患を除外すべく、2011~2014年に5回にわたり多面的討論がなされた。IPF患者30人において胸部HRCTの経時的変化を評価した。30人の患者は胸部HRCTを3パターンに分類し、その臨床的特徴や予後を明らかにした。30人のIPF患者は2011年の国際ステートメントに記述されたpossible UIPパターンに相当する。

結果:
 長期フォローアップ(71.0±38.7ヶ月)において、蜂巣肺は16人(53%:蜂巣肺群)に出現し、牽引性気管支拡張あるいは蜂巣肺を伴わない嚢胞は12人(40%:非蜂巣肺群)に出現し、2人は変化がみられなかった(7%:変化なし群)。
 蜂巣肺群と非蜂巣肺群の平均生存期間は、それぞれ67.1ヶ月、61.2ヶ月であった(p = 0.76)。胸部HRCTで蜂巣肺がないが慢性的に進行するIPF患者が存在した。

結論:
 初期評価において蜂巣肺がみられないIPF患者において、フォローアップ中に胸部HRCTで蜂巣肺が出現しても予後には影響がみられないかもしれない。

by otowelt | 2016-11-25 00:14 | びまん性肺疾患

胸膜癒着術のシステマティックレビュー

e0156318_13585789.jpg ランダム化比較試験が少ないようですね。

Hallifax RJ, et al.
Effectiveness of chemical pleurodesis in spontaneous pneumothorax recurrence prevention: a systematic review.
Thorax. 2016 Nov 1. pii: thoraxjnl-2015-207967.


目的:
 自然気胸はよくみられる病態である。国際的なガイドラインでは、改善しないエアリークあるいは再発予防のための胸膜癒着術が推奨されている。この研究では、過去の文献により胸膜癒着術の効果を総括した。

方法:
 妥当なランダム化比較試験、症例対照研究、ケースシリーズを同定し、システマティックにレビューした。再発率またはオッズ比(コントロール群が設定されている研究)を集計した。異質性が高く、メタアナリシスは実施しなかった。

結果:
 560の文献が同定され、50が適格基準を満たした。
 胸腔ドレーンのみで管理された患者の再発率は26.1~50.1%だった。
 胸腔鏡下タルク散布法(poudrage法)(4研究249人)は再発率が2.5%~10.2%で、胸腔ドレナージ単独と比較したランダム化比較試験ではオッズ比0.10であった。
 VATS中にタルク投与を行った場合(8研究2324人)、再発率は0.0%~3.2%だったが、ブラ・ブレブ切除術と比較したランダム化比較試験では有意な差はみられなかった。
 ミノサイクリンはVATS後のそれと同等の効果が得られた(再発率0.0~2.9%)。胸腔ドレーンを介したテトラサイクリンの投与による遷延性のエアリークおよび再発予防効果は、再発率が高く13.0~33.3%で、自己血パッチ胸膜癒着術(270人)は15.6~18.2%だった。

結論:
 外科治療後あるいは胸腔鏡を通した胸膜癒着術がもっとも効果的である。いずれの癒着剤の成功率も限られたデータしかないのが現状である。

by otowelt | 2016-11-24 00:08 | 呼吸器その他

外来市中肺炎の診断に胸部MRIは有用

e0156318_13551497.jpg ホイホイMRIが撮影できる施設ならばよいかもしれませんが・・・。
 
Syrjala H, et al.
Chest magnetic resonance imaging for pneumonia diagnosis in outpatients with lower respiratory tract infection.
Eur Respir J. 2016 Nov 3. pii: ERJ-01303-2016.


背景:
 外来で下気道感染症のある患者において、肺炎の診断に胸部MRIが有用かどうか調べた。

方法:
 7日以内の症状があり、発熱37.8℃がある患者を前向きに登録した。患者は胸部HRCT、胸部MRI、胸部レントゲン写真を撮影され、1か月後に必要であれば再度実施し、肺炎の診断を確認した。MRI撮影時間は3~4分だった。

結果:
 77人のうち、肺炎がみられたのは、HRCT、MRI、レントゲン写真でそれぞれ32人(41.6%)、30人(39.0%)、23人(29.9%)だった。
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(文献より引用:Figure1:55歳女性)

 MRIはHRCTで同定された肺炎2例を見逃した(モーションアーティファクトによる)。レントゲン写真は4人の肺炎偽陽性患者がみられた(MRIでは偽陽性ゼロ)。胸部HRCTを肺炎診断のリファレンスにした場合、MRIの感度は93.8%(95%信頼区間79.9-98.3)、特異度は97.8%(95%信頼区間88.4-99.6%)、陽性尤度比42.2 (95%信頼区間6.1–293.6)、陰性尤度比0.06 (95%信頼区間0.02–0.25)、一方胸部レントゲン写真では感度71.9%(95%信頼区間54.6-84.4%)、特異度91.1%(95%信頼区間79.3-96.5%)、陽性尤度比8.1 (95%信頼区間3.1–21.1)、陰性尤度比0.31 (95%信頼区間0.18–0.54)だった。
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(文献より引用:Table1)

結論:
 外来肺炎の診断において、胸部MRIは正確で効果的な診断法である。胸部レントゲン写真よりは精度が高く、胸部HRCTと同等である。

by otowelt | 2016-11-22 13:34 | 感染症全般

青年期有症状喘息に対するスピリーバ®レスピマット上乗せの有効性

e0156318_13311175.jpg 青年期の喘息患者さんにレスピマットを上乗せしたら、アドヒアランスがとんでもなく悪化しそうで・・・。

Hamelmann E, et al.
A randomised controlled trial of tiotropium in adolescents with severe symptomatic asthma.
Eur Respir J. 2016 Nov 3. pii: ERJ-01100-2016.


背景:
 われわれは重症青年有症状喘息患者において、ICS+別のコントローラーを使っている状態に1日1回のチオトロピウム(スピリーバ®)レスピマットを上乗せする効果について調べる第III相二重盲検並行群間試験を実施した。

※本試験では以下の規定
・高用量ICS+1つ以上の別のコントローラー(LABAあるいはロイコトリエン拮抗薬)
・中用量ICS+2つ以上の別のコントローラー(LABA、ロイコトリエン拮抗薬、テオフィリン徐放製剤)


方法:
 12~17歳までの392人が登録され、チオトロピウム5μg、2.5μg、プラセボを12週間上乗せするいずれかの群に割り付けられた。プライマリエンドポイントおよびキーセカンダリエンドポイントは、治療12週間後のベースラインからのピーク1秒量(吸入3時間以内FEV0-3h)の変化、トラフ1秒量とした。

結果:
 チオトロピウム5μg群はピークFEV1(0-3h)をプラセボよりも数値上は改善した(90 mL; p=0.104)。またチオトロピウム2.5μg群では有意な改善がみられた(111 mL; p=0.046)。両チオトロピウム群でいずれもトラフ1秒量と喘息コントロールの改善がみられた。安全性と忍容性はプラセボと同等であった。
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(ピークFEV1(0-3h)
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(トラフ1秒量)

結論:
 ICS+その他コントローラーで管理されている有症状の喘息青年患者に対して1日1階のチオトロピウムレスピマットを上乗せすることは忍容性がある。プライマリエンドポイントは満たさなかったが、肺機能に対して良好な改善はみられた。

by otowelt | 2016-11-21 00:11 | 気管支喘息・COPD

免疫チェックポイント阻害剤によるhyperprogressive disease(HPD)

e0156318_12291546.jpg 多くの臨床家が指摘していることが、論文化されました。

Champiat S et al.
Hyperprogressive disease (HPD) is a new pattern of progression in cancer patients treated by anti-PD-1/PD-L1.
Clin Cancer Res. 2016 Nov 8. [Epub ahead of print]


背景・目的:
 免疫チェックポイント阻害剤はがん患者の治療に一石を投じている一方で、当該薬剤による急速な腫瘍増大(hyperprogressive diseaseあるいはHPD)が報告されており、その潜在的な悪影響が示唆されている。PD-1/PD-L1抗体によって治療されたがん患者におけるHPDの頻度、自然経過、予測因子についてはまだ分かっていない。

方法:
 本研究は、フランスGustave Roussy癌センターでのPD-1/PD-L1抗体の第1相試験における全患者(218人)の診療録を抽出した研究である。腫瘍増大率(TGR)を治療前(REFERENCE)、治療後(EXPERIMENTAL)の間で算出した。TGRと臨床病理学的背景、全生存期間(OS)を比較した。
 対象疾患のうち、肺癌は全体の約10%である。

結果:
 HPDは、RECISTでの初回評価がPDであって、TGRが治療前後で2倍以上になったものと定義された。131人の患者のうち、12人(9%)がHPDと考えられた。HPDはベースラインの腫瘍の大きさや病理組織型とは関連していなかった。PDの時点で、HPDを示した患者では非HPD患者と比較して新規病変が少なかった(p<0.05)。HPDは高齢(p<0.05)、OS不良と関係した。興味深いことに、治療前TGRは抗PD-1/PD-L1治療の奏効と逆相関を示した(p<0.05)。
 腫瘍細胞がPD-L1陽性かどうかはHPDとは関連していなかった。

結論:
 本研究から、抗PD-1/PD-L1治療をした患者の一部に急速な増悪(HPD)があることが示された。このことは高齢患者(65歳超)の抗PD-1/PD-L1単剤治療に懸念が示される。

by otowelt | 2016-11-18 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

慢性過敏性肺炎に対するセルセプト®あるいはイムラン®の有効性

e0156318_1063321.jpg 膠原病肺の治療でもセルセプト®の名前をよく耳にするようになりました。
 CHPの論文をみたとき、本当にCHPなのかよく吟味する必要があります。どのくらいIIPsや膠原病関連ILDが含まれているのか・・・。

Morisset J, et al.
Use of mycophenolate mofetil or azathioprine for the management of chronic hypersensitivity pneumonitis.
Chest. 2016 Nov 2. pii: S0012-3692(16)62296-1.


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)の治療はしばしば全身性ステロイドが用いられるが、その適切な薬物マネジメントは不明である。プレドニゾンによる合併症の懸念から代替治療の発展が望まれている。われわれは、CHP患者の肺機能に対するミコフェノール酸モフェチル(MMF)あるいはアザチオプリン(AZA)の治療効果を比較した。

方法:
 CHP患者でMMFあるいはAZAで治療された患者を後ろ向きに4施設から登録した。肺機能の変化、治療前後の変化が線形混合効果モデルを用いて解析され、年齢、性別、喫煙歴、プレドニゾン使用歴によって補正された。

結果:
 70人の患者が登録され、51人がMMF、19人がAZAを使用した。フォローアップ期間中央値は11ヶ月であった。治療開始前のフェーズでは、%努力性肺活量および%DLCOはそれぞれ1ヶ月ごとに0.12%、0.10%減少した(いずれもp<0.001)。MMFあるいはAZAの治療は努力性肺活量の改善とは関連していなかったが(1年時+0.5%, p=0.46)、DLCOは1年後有意に改善していた(+4.2%、p<0.001)。
 結果はMMFを1年治療されたサブグループ患者群でも同等であった(努力性肺活量+1.3%、p=0.103、DLCO+3.9%、p<0.001)

結論:
 CHP患者に対するMMFあるいはAZAはDLCOの改善と関連している。CHPに対する効果を検証するために前向きランダム化比較試験の実施が望まれる。

by otowelt | 2016-11-17 00:48 | びまん性肺疾患

間質性肺疾患診断目的の外科的肺生検の死亡率(イギリス):1.7%

e0156318_1462333.jpg アメリカの症例についても同じ著者が同様の論文を書いています。ハイリスク症例に対しては、外科的肺生検が下火になるかもしれませんね。

間質性肺疾患診断目的の外科的肺生検の死亡率:待機的手術で1.7% 

 外科的肺生検の過去の死亡率に関する報告をまとめると、表のような感じでしょうか。
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Hutchinson JP, et al.
Surgical lung biopsy for the diagnosis of interstitial lung disease in England: 1997-2008.
Eur Respir J. 2016 Nov;48(5):1453-1461.


背景:
 国際的ガイドラインおよびIPFの新規表的治療の発展により、間質性肺疾患(ILD)の正確な診断の必要性が増している。この研究は、イギリスの患者の処置リスクを調べたものである。

方法:
 1997年~2008年の間にイギリスでILDの診断目的に外科的肺生検を受けた患者の病院統計データを用いて解析した。胸部外科手術を受けた患者は、ICD-10コードでILD症例を抽出し、OPCS-4で外科的肺生検症例を抽出した。肺切除症例や肺癌症例は除外した。われわれは、処置後の院内死亡率、30日死亡率、90日死亡率を調べた。

結果:
 12年間でILDの外科的肺生検を受けた2820人を同定した。期間を経るごとに生検数は増えていった。院内死亡率は1.7%、30日死亡率は2.4%、90日死亡率は3.9%だった。男性、高齢者、合併症の存在、開胸手術は死亡のリスク因子だった。

結論:
 ILDに対する外科的肺生検は肺癌の肺葉切除術と同様の死亡率であり、臨床医および患者はこのリスクを理解すべきである。

by otowelt | 2016-11-16 00:12 | びまん性肺疾患