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ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡よりも有益とは言えない

e0156318_21563989.jpg 残念な結果ですね。重篤な合併症は、ビデオ喉頭鏡17人 vs 直接喉頭鏡5人です。

Jean Baptiste Lascarrou, et al.
Video Laryngoscopy vs Direct Laryngoscopy on Successful First-Pass Orotracheal Intubation Among ICU PatientsA Randomized Clinical Trial
JAMA. Published online January 24, 2017. doi:10.1001/jama.2016.20603


背景:
 ICU患者は不安定であり、また迅速な処置が求められたり非エキスパートが処置を行うこともあるため、経口気管挿管は合併症のリスクを上昇させるかもしれない。、ビデオ喉頭鏡は喉頭蓋の確認しやすくするかもしれない。

目的:
 ビデオ喉頭鏡が直接喉頭鏡による経口気管挿管よりも成功率を上昇させるかどうか調べること。

方法:
 2015年5月から2016年1月までの間、フランスの7つのICUにおいて挿管が必要な患者371人をランダム化した。追跡期間は28日。
 挿管はビデオ喉頭鏡(186人)あるいは直接喉頭鏡(185人)で実施された。全ての患者は全身麻酔を受けた。
 プライマリアウトカムは、初回気管挿管成功率とした。セカンダリアウトカムは挿管成功までの時間、軽度から中等度の生命を脅かす合併症とした。

結果:
 371人(平均年齢62.8±15.8歳、136人[36.7%]が女性)がランダム化され、全員試験を完遂した。初回気管挿管成功率は、両群ともに有意差はなかった(ビデオ喉頭鏡67.7% vs 直接喉頭鏡70.3%、絶対差-2.5%[95%信頼区間-11.9~6.9%]、p=0.60)。非エキスパート(初期研修医290人)による初回挿管の頻度も両群とも同等であった(84.4% vs 83.2%、絶対差1.2%[95%信頼区間-6.3~8.6%]、p=0.76)。挿管成功までの時間の中央値は3分だった(範囲:2-4分)(絶対差0分、p=0.95)。ビデオ喉頭鏡は生命をおびやかす合併症とは関連していなかった(13.3% vs 10.4%、p=0.25)。事後解析では、ビデオ喉頭鏡は重篤な生命をおびやかす合併症(死亡、心停止、血圧90mmHg未満、重度の低酸素血症[SaO2 80%未満])が有意に多かった(9.5% vs 2.8%, 絶対差6.7%[95%信頼区間1.8-11.6%]、p=0.01)が、軽度から中等度の生命をおびやかす合併症とは関連していなかった(5.4% vs 7.7%、絶対差−2.3%[95%信頼区間−7.4%~2.8%]、p = 0.37)。

結論:
 気管挿管が必要なICU患者において、ビデオ喉頭鏡は直接喉頭鏡と比較して経口気管挿管の成功率を改善しなかった。また、重篤な生命をおびやかす合併症の増加と関連していた。


by otowelt | 2017-02-10 00:25 | 集中治療

インターネット調査が明かす慢性咳嗽診療の難しさ

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 研究ベースでは「まったく原因が分かりませんでした」という症例が除外されていたり、あるいは過小に記載されていることがあります。そのため、患者さん側からみた実態を表した文献はほとんどないと言われています。

 2015年にヨーロッパで実施されたインターネット調査による横断研究の結果が発表されました1)。1120人がアンケートに答えています。年単位の難治性慢性咳嗽でクリニックを受診した患者さんの47%は診断がつかず、また治療によって咳嗽が軽減したのはたったの7%だったという結果でした。

 私たちが想定しているよりも、プライマリケアにおける慢性咳嗽というのは手ごわい相手なのかもしれません。


(参考文献)
1) Chamberlain SA, et al.The impact of chronic cough: a cross-sectional European survey. Lung. 2015 Jun;193(3):401-8.



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by otowelt | 2017-02-09 00:40 | 呼吸器その他

集中治療医の受け持ち患者数は院内死亡率に影響する

e0156318_21563989.jpg 一般病棟ならともかく、PIR最大23.5というのはすごいですね。

Hayley B. Gershengorn, et al.
Association of Intensive Care Unit Patient-to-Intensivist Ratios With Hospital Mortality
JAMA Intern Med. Published online January 24, 2017. doi:10.1001/jamainternmed.2016.8457


背景:
 ICUにおける患者-集中治療医比( patient-to-intensivist ratio :PIR)は標準化されておらず、PIRと患者アウトカムの関連性は確立されていない。アウトカムにPIRがもたらす影響を理解することは、適切な人員配置と高質のケアの提供に必須である。

※PIR:「the total number of patients cared for by the intensivist」

目的:
 以下の仮説を検証した。①ICUによってPIRはまちまちである、②高いPIRはICU患者の高い院内死亡率と関連している。

方法:
 ICUに入室した16歳以上の患者を対象にした、イギリスの後ろ向きコホート解析である。PIRは集中治療医が各日どれだけの患者にケアしているかで定義された。標準要約統計量を用いて、ICUにおけるPIRの違いを調べた。また、多変量混合効果ロジスティック回帰分析を用いてPIRと院内死亡率の関連を評価した。

結果:
 94ICU・49686人の成人患者の年齢中央値は66歳(IQR52-76歳)で、45.1%が女性だった。院内死亡率は25.7%だった。PIR中央値は8.5(IQR6.9-10.8、範囲1.0-23.5)で、ICUによってばらつきがあった。PIRと院内死亡率の関連性を表す曲線はU字形になり、PIRが7.5に到達するまでは死亡オッズ比は減少したが(同値がnadir)、その後はゆるやかに上昇していった(最低PIRにおける平均死亡率22%、PIR7.5における平均死亡率15%、最高PIRにおける平均死亡率19%、P = 0.003)。同様のU字形の関連性はPIRとICU死亡率にも観察された(PIRのnadirは7.8)。
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(文献より引用:Figure3)

 小さなICUほどU字形になる傾向が大きく、大きなICUではその曲線はまちまちだった。

結論:
 PIRはイギリスのICUによってばらつきがみられる。本コホートにおけるICU・院内死亡率を最低にするための適正なPIRは7.5と考えられる。1人の集中治療医が受け持つ患者数は患者アウトカムに影響を与えるかもしれない。



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by otowelt | 2017-02-08 00:56 | 集中治療

ICUにおける高酸素血症は有害

e0156318_21563989.jpg  既知の知見の通りですね。

Helmerhorst H, et al.
Metrics of Arterial Hyperoxia and Associated Outcomes in Critical Care.
Crit Care Med. 2017 Feb;45(2):187-195. doi: 10.1097/CCM.0000000000002084.


目的:
 高酸素血症の潜在的リスクについてエビデンスが構築されてきているが、臨床的定義と方法論的限界が不透明で、過去の研究の解釈と臨床的信頼性が立ち行かない。われわれの目的は、以前から用いられている基準および新しい基準によって、高酸素血症を呈するICU内の各サブグループの臨床転帰との関連性を体系的に評価することである。

方法:
 オランダのICUで実施された観察コホート研究である。適格患者は14441人であった。

結果:
 2011年7月から2014年7月までの間、合計295079人の血液ガス分析(PaO2を含む)が採取された。2つ以上のPaO2データのある患者のその他の各種情報が抽出された。
 軽度の高酸素血症はPaO2が120~200mmHgと定義され、重度の高酸素血症は200mmHgを超えるものと定義された。
 重度の高酸素血症は、高い死亡率と人工呼吸器非装着日数の少なさと関連していた(軽度の高酸素血症および正常患者と比較)。条件付き死亡率の補正効果推定量は、重度の高酸素血症の方が軽度の高酸素血症よりも大きかった。この関連は入院24時間以内および24時間以降のいずれにおいても観察され、大部分のサブグループで同様の結果だった。高酸素血症の期間が増すにつれて、院内死亡率と線形の相関がみられた。

結論:
 重症患者では安全なレベルにPaO2を制限すべきである。



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by otowelt | 2017-02-07 00:55 | 集中治療

ダプトマイシンによる好酸球性肺炎

e0156318_1872356.jpg 呼吸器科でダプトマイシンを使うことはほとんどありませんが。一度キュビシン®を使用している患者さんのGGOを紹介されたことがあります。

Uppal P, et al.
Daptomycin-induced eosinophilic pneumonia - a systematic review.
Antimicrob Resist Infect Control. 2016 Dec 12;5:55.


背景:
 好酸球性肺炎は肺に好酸球が増加する疾患であり、時に血流にも増多がみられる。ダプトマイシンと関連した好酸球性肺炎の報告が複数ある。

方法:
 システマティックレビューを行い、ダプトマイシン使用と関連した好酸球性肺炎の症例を同定した。信頼性のある研究をPubMedなどの電子データベースから抽出した。全症例について、年齢、疾患適応、臨床所見、客観的所見、治療、アウトカムを評価した。非英語文献は除外した。
 
結果:
 35人の症例が解析に組み込まれた。ダプトマイシンによる好酸球性肺炎は83%が男性で、ほとんどが高齢者だった(平均年齢65.4±15歳)。ダプトマイシンの用量は4~10mg/kg/日とばらつきがみられ、ほとんどの症例では腎機能障害がみられた。平均ダプトマイシン投与期間は2.8±1.6週だった。94%の患者が呼吸困難感、57%の患者が発熱を呈し、末梢血好酸球増多は77%、胸部CTおよびレントゲン写真上の浸潤影は86%にみられた。ダプトマイシン中断によって症状は改善した(24時間~1週間の経過)。66%の患者は、ステロイドを処方された。

結論:
 ダプトマイシン投与中に呼吸困難感や発熱を呈した症例では、好酸球性肺炎を考慮すべきである。


by otowelt | 2017-02-06 00:58 | びまん性肺疾患

BCGワクチンによるツベルクリン反応偽陽性はいつまで続く?

e0156318_17261144.jpg 意外にデータが少ないそうです。

James D. Mancuso, et al.
The Long-Term Effect of Bacille Calmette-Guérin Vaccination on Tuberculin Skin Testing: A 55-Year Follow-Up Study
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.001


背景:
 BCGは抗酸菌抗原に交差反応を起こすため、ツベルクリン反応(TST)の偽陽性の原因として良く知られている。しかしながら、BCGの影響がTSTに与える影響はよく分かっていない。この研究の目的は、TST反応性に対する長期的なBCGの影響を調べることである。

方法:
 アメリカインディアン/アラスカ人のTSTデータを前向きに1935~1947年に収集し、その後1946~1998年の間に後ろ向きでデータを収集した。TSTは10mm径以上を陽性とした。Kaplan-MeierおよびCox回帰が用いられ、BCG・プラセボ間でTST陽性化・陰性化までの期間を比較した。

結果:
 新生児がBCG接種を受けると、TSTが初期15年陽性化するリスクを上昇させた(補正ハザード比2.33)。この関連はワクチン接種後16~55年の間をあけても持続していた。しかし、その影響には減衰がみられた(補正ハザード比1.26)。BCGワクチン接種者群の間でTST陽性は、初期15年で陰性化しうるが、その後の期間では陰性化の減少はまれであった。

結論:
 新生児期以降にBCGワクチンを摂取することで、CDCが認めているようにTSTに10年を超える影響を与えるかもしれない。この影響は55年まで続く可能性がある。すなわち、ワクチン接種からどれだけ月日を経ようともTSTの解釈には注意を要する。



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by otowelt | 2017-02-03 00:12 | 抗酸菌感染症

メタアナリシス:ネーザルハイフローは通常酸素療法より気管挿管率を減少し、NIPPVに代替選択肢となりうる

e0156318_13512197.jpg ネーザルハイフローのメタアナリシスです。「ネーザルハイフローのレビュー」の記事も参考にしてください。

ネーザルハイフローのレビュー

Yue-Nan Ni, et al.
Can high-flow nasal cannula reduce the rate of endotracheal intubation in adult patients with acute respiratory failure compared with conventional oxygen therapy and noninvasive positive pressure ventilation? A systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.004


背景:
 急性呼吸不全(ARF)の成人患者におけるハイフローセラピー(ハイフローネーザルカニューラ[HFNC]、ネーザルハイフロー)の効果は議論の余地がある。われわれは、成人ARFにおいて非侵襲性陽圧換気(NIPPV)や通常酸素療法(COT)と比較してHFNCが気管挿管の頻度を減少させる効果があるかどうか調べた。

方法:
 Pubmed, Embase, Medline, Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) 、Information Sciences Institute (ISI) Web of ScienceからHFNCとNIPPIV・COTを比較した比較試験を抽出した。プライマリアウトカムは気管挿管率とし、セカンダリアウトカムはICU死亡率・ICU在室期間(ICU LOS)とした。

結果:
 18試験・3881人の患者が解析に組み込まれた。ICU死亡率(I2=67%, χ2=12.21, P=0.02)、気管挿管率(I2=63%, χ2=13.51, P=0.02)以外にHFNCとNIPPVの間に有意な異質性はなかった。
 COTと比較すると、HFNCは気管挿管率の低さと関連していた(オッズ比0.47、95%信頼区間0.27-0.84, P=0.01)が、NIPPVとの比較では有意差はなかった(オッズ比0.73, 95%信頼区間0.47-1.13, P=0.16)。ICU死亡率、ICU LOSについてはCOTあるいはNIPPVに優劣はなかった。
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(文献より引用:気管挿管率)

結論:
 ARF患者において、HFNCはCOTと比較して気管挿管率を減少させ、NIPPVに代用できる信頼性がある。


by otowelt | 2017-02-02 00:57 | 集中治療

気管支拡張症+関節リウマチ(BROS)、気管支拡張症+COPD(BCOS)は超過死亡リスクを有する?

e0156318_16302611.jpg また足し算の疾患概念が・・・。
 提唱しても、流行る概念とそうでない概念がありますね。(笑)

Anthony De Soyza, et al.
Bronchiectasis Rheumatoid overlap syndrome (BROS) is an independent risk factor for mortality in patients with bronchiectasis: A multicentre cohort study
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2016.12.024



背景:
 われわれは気管支拡張症と関節リウマチ(RA)が合併したオーバーラップ症候群(BROS)が他の気管支拡張症の疫学的な背景と比べて気管支拡張症重症度インデックス(BSI)アウトカムの悪化と関連しているかどうか調べた。

方法:
 われわれはBSIデータベースから6施設1716人のデータを問い合わせ入手した。患者は他の間質性肺疾患がなくて気管支拡張症とRAを合併しているBROS、特発性気管支拡張症、気管支拡張症-COPDオーバーラップ症候群(BCOS)、その他の原因による気管支拡張症に分類された。死亡率、入院と増悪の頻度が記録された。

結果:
 われわれは147人のBROS患者(コホート全体の8.5%)を同定した。BROSと死亡率には統計学的に有意な関連がみられたが、気管支拡張症の増悪や気管支拡張症による入院とは関連していなかった。
 平均48ヶ月の追跡中の死亡率は特発性気管支拡張症では9.3%、その他の原因による気管支拡張症では8.6%、BROSで18%、BCOSで28.5%だった。BROSとBCOSは他の疫学的背景と比べて有意に死亡率が高かった。臨床的には有意ではないもの、BSIスコアは特発性気管支拡張症と比較するとBROSで有意に高かった(平均BSI7.7 vs. 7.1 , p <0.05)。BCOSでは有意にBSI(平均10.4)、緑膿菌保菌率(24%)、過去の入院頻度(58%)が高かった。

結論:
 BROSもBCOSも超過死亡が多かったが、これは疾患の複合的な作用によるものと考えられる。これらのサブグループが相加相乗的に超過死亡をもたらすのか検討を要する。


by otowelt | 2017-02-01 08:14 | 呼吸器その他