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FULFIL試験:COPDに対するトリプル吸入療法はICS/LABAと比較して1秒量・QOLを改善

e0156318_135223100.jpg 2016年のERSで報告された内容です。

Lipson DA, et al.
FULFIL Trial: Once-Daily Triple Therapy in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Apr 4. doi: 10.1164/rccm.201703-0449OC.


背景:
 COPDにおけるICS/LABAとトリプル吸入療法を比較したランダム化比較試験は限られている。

目的:
 われわれは、1日2回のICS/LABA吸入と1日1回のトリプル吸入療法の肺機能・健康関連QOLに対する効果を比較した。

方法:
 このFULFIL試験は、1日1回のトリプル吸入療法(フルチカゾンフランカルボン酸/ウメクリジニウム/ビランテロール)(エリプタ)と1日2回のICS/LABA(ブデソニド/ホルモテロール:シムビコート®)の24週間治療を比較したランダム化二重盲検ダブルダミー試験である。盲検化は治療52週時点まで継続された。複合プライマリエンドポイントは、ベースラインからの24週時点までのトラフ1秒量の変化とSGQRスコア変化とした。

結果:
 24週時点でITT解析をおこなった(1810人)。トリプル吸入療法911人、ICS/LABA899人で、ベースラインからの1秒量の平均変化は、それぞれ142mL(95%信頼区間126~158)、-29mL(95%信頼区間-46~-13)だった。また、SGRQスコア(-6.6単位 vs -4.3単位[差-2.2単位, 95信頼区間-3.5~-1.0])を有意に改善した。いずれのエンドポイントも、統計学的に有意な差が観察された(P < 0.001)。52週まで継続治療したサブグループ患者においてもその効果の持続が示された(トラフ1秒量+179mL、SGRQスコア差-2.7単位)。
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(A:24週ITT、B:52週サブグループ)

 また、中等症/重症COPD増悪の頻度もトリプル吸入療法の方が有意に抑制できた(35%減少, 95%信頼区間14~51; P = 0.002)。安全性プロファイルに特記すべきことはなかった。

結論:
 進行COPD患者に対して、ICS/LABAと比べてトリプル吸入療法(エリプタ)の利益が示された。


by otowelt | 2017-04-28 00:38 | 気管支喘息・COPD

胸部CTの「枝読み」は呼吸器内科医ごとに個人差がある

e0156318_9511053.jpg 枝読みは少し時間がかかるので、てっとり早く描出できるLungPointをよく使用しています。
 東京タワーを目指すとき、私は「だいたいあそこらへんかな」と目標を見つつ目指す感じだったのですが、今の若手医師は「次の角は左、そのあと右」とかなり細かい枝まで読み込める人が多いです。とはいえ、結局カーナビ(バーチャル気管支鏡)があると、それに頼ってしまいます。
 枝読みには、栗本先生の書籍(末梢病変を捉える 気管支鏡“枝読み”術 [DVD-ROM(Windows版)付])がオススメです。おそろしい本です。

水守康之ら.
肺末梢病変への到達ルート同定に仮想気管支鏡は有用か―CT画像読影実験―
気管支学 Vol. 39(2017) No. 2, 121-6.


背景:
 近年,肺末梢病変の診断において仮想気管支鏡による標的気管支への経路同定の有用性が報告されているが,理論的には通常のCT画像から3次元的に標的気管支を把握することが可能であり,仮想気管支鏡の必要性には疑問がある.

目的:
 熟練者においても仮想気管支鏡が通常のCT読影を上回る意義を有するかを検討する目的で,2症例をモデルにCT読影実験を行った.

対象と方法:
 過去に当院で仮想気管支鏡を用いて診断した末梢小型肺癌症例のうち,標的気管支以外の気管支が喀痰で閉塞していた症例1と,ブラのため正常構造が変位している症例2をモデルとし,気管支鏡経験5~31年の呼吸器科医16名に標的気管支への経路を同定させる実験を行った.被験者に時間制限なく胸部CT読影を行わせ,その後に仮想気管支鏡像を提示し,気管から標的気管支まで画像を進めながら,分岐部毎に正しいルートを選択させた.進路を間違えた時点で終了とした.

結果:
 症例1の正答率は3次,4次気管支でそれぞれ88%,50%,症例2では38%,6%であった.また,気管支鏡経験年数と正答率には相関がみられなかった.

結論:
 CT読影による肺末梢病変への経路同定能には経験年数に依存しない個人差がみられた.これにより医療の均てん化の見地から仮想気管支鏡の有用性が示唆された.


by otowelt | 2017-04-27 00:54 | 気管支鏡

ドコサヘキサエン酸は気管支肺異形成のリスクを減らすどころか上昇させる

e0156318_1895439.jpg なかなか衝撃的な論文です。

Carmel T. Collins, et al.
Docosahexaenoic Acid and Bronchopulmonary Dysplasia in Preterm Infants
N Engl J Med 2017; 376:1245-1255


背景:
 動物・ヒトを対象とした研究では、n–3長鎖多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が気管支肺異形成のリスクを低下させることが示唆されている。しかし、妥当なデザインの試験は不足している。

方法:
 29週未満の出生児1273人を、初期経腸栄養後3日以内に、60mg/kg/日のDHAを含む乳剤投与群と、DHAを含まないコントロール乳剤群(大豆)にランダムに割り付け、最終月経開始日から計算して36週まで経腸投与した。性別、在胎週数、投与された施設で層別化した。プライマリアウトカムは、最終月経開始日から計算して36週または自宅退院のいずれか早い時点での、生理学的気管支肺異形成とした。

結果:
 合計1205人がプライマリアウトカムの評価時点まで生存していた。生理学的気管支肺異形成があるとされた児は、DHA群では592人中291人(49.1%)だったのに対して、コントロール群では613人中269人(43.9%)だった(補正相対リスク1.13、95%信頼区間1.02~1.25、P=0.02)。セカンダリ複合アウトカムである、最終月経開始日から計算して36週以前にみられた気管支肺異形成あるいは死亡は、DHA群の52.3%、コントロール群の46.4%にみられた(補正相対リスク1.11、95%信頼区間1.00~1.23、P=0.045)。死亡率、その他の新生児疾患の発症に群間差はなかった。臨床的気管支肺異形成は、DHA群の53.2%とコントロール群の49.7%に発症した(P=0.06)。

結論:
 29週未満で出生した早産児において、DHA経腸投与は、大豆コントロール乳剤と比較して生理学的気管支肺異形成のリスクを低下させず、リスクを増大させる可能性がある。


by otowelt | 2017-04-26 00:31 | 呼吸器その他

第10回PRIMEセミナー開催のお知らせ

 2017年6月10日に当院でPRIMEセミナーを実施します。最先端をひた走る重厚な指導陣があなたを呼吸器内科の深みへいざないます。

 お申込みの連絡先はこちらまで。(PRIMEセミナー担当:倉原 優)

 prime-entry@kch.hosp.go.jp

 下記画像をクリックすれば当院ウェブサイトへつながるので、詳細はそちらをご参照ください。



by otowelt | 2017-04-24 00:59 | 呼吸器その他

ブイフェンド(ボリコナゾール)の後発品

 よく参照することが多いので、ブログにメモしておきます。ブイフェンド薬価×42%が後発品の薬価です。
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by otowelt | 2017-04-21 00:26 | 感染症全般

EAHFEレジストリ:急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率を上昇させる

e0156318_12501028.jpg 当然ながら、かなり高齢者が多いです。

Òscar Miró, et al.
Morphine use in the emergency department and outcomes of patients with acute heart failure: A propensity score-matching analysis based on the EAHFE Registry
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.03.037


目的:
 救急部で急性心不全と診断された患者において、短期的な死亡率と静注モルヒネ使用の関連性を同定すること。

方法:
 34のスペインの救急部において、2011~2014年に急性心不全と診断された連続患者を登録した。登録患者は静注モルヒネを投与された群とそうでない群に分類された。プライマリアウトカムは30日死亡率とし、セカンダリアウトカムは異なる中間時点での死亡率、院内死亡率、入院期間とした。傾向スコアにより、ベースライン背景、臨床的特性、治療因子などをマッチさせた患者を登録した。モルヒネ投与を受けた患者における30日死亡率の独立リスク因子を調べた。

結果:
 6516人の患者(平均年齢81歳、56%が女性)を登録し、416人(6.4%)がモルヒネ群、6100人(93.6%)が非モルヒネ群に分類された。全体では、635人が30日時点で死亡していた(それぞれ26.7%、6.4%)。傾向スコアマッチで、275人のペア患者がそれぞれの群に登録された。
 モルヒネを投与された患者は、30日死亡率が高かった(死亡:55人[20.0%] vs. 35人[12.7%]; ハザード比1.66; 95%信頼区間1.09-2.54; p=0.017)。これは直接的に高血糖と相関しており(p=0.013)、ベースラインのBarthel Indexおよび収縮期血圧と逆相関していた(p=0.021)。
 死亡率はどの中間時点でも上昇していたが、リスクが最高に達していたのは短期間であった(3日時点:22[8.0%] vs. 7 [2.5%] ; オッズ比3.33; 95%信頼区間1.40-7.93; p=0.014)。院内死亡率は上昇しなかった(39 [14.2%] vs. 26 [9.1%]; オッズ比1.65; 95%信頼区間0.97-2.82; p=0.083) 。また入院期期間にも差はなかった(p=0.79)。

結論:
 傾向スコアマッチすると、急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率が上昇した。


by otowelt | 2017-04-20 00:37 | 救急

IPF急性増悪に対するピルフェニドンの有効性

e0156318_9301181.jpg limitationsが少し多いかなという印象ですが、興味深いデータではあります。

Furuya K, et al.
Pirfenidone for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: A retrospective study
Respiratory Medicine May 2017, Vol 126. p 93-99


背景:
 IPF急性増悪は進行性の致死的病態であり、効果的な治療法は確立されていない。ピルフェニドンは抗線維化作用があるが、IPF急性増悪に対する効果は不透明である。

目的:
 IPF急性増悪に対するピルフェニドンの効果を評価すること。

方法:
 われわれは2008年4月から2015年4月までに135人のIPF治療例を後ろ向きに抽出した。そのうち、47人がIPF急性増悪を経験していた(男性42人、女性5人、平均年齢73.5歳)。臨床的特徴およびアウトカムをピルフェニドン治療を受けた20人と受けていない27人で比較した。
 遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤を受けていない25人を除外し、残った22人の患者(男性20人、女性2人、平均年齢73.7歳)でデータ解析をおこなった。臨床的特徴およびアウトカムがピルフェニドン群10人、非ピルフェニドン群12人で比較された。

結果:
 2群のベースライン背景は同等であった。3ヶ月生存はピルフェニドン群の方が良好だった(55% vs 34%, p = 0.042)。単変量解析では、遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療を受けた患者においてピルフェニドンの非使用は3ヶ月時の死亡の潜在的リスク因子であった(ハザード比6.993; p = 0.043)。

結論:
 ステロイド・遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療にピルフェニドンを併用するレジメンでIPF急性増悪の生存が改善するかもしれない。


by otowelt | 2017-04-19 00:57 | びまん性肺疾患

先天性ネマリンミオパチーによる呼吸不全

 側弯症による呼吸不全は呼吸器内科でまれに遭遇しますが、先天性ミオパチーについては思考が及んでいなかったため、非常に勉強になった症例報告です。

原田公美ら.
呼吸不全を契機に成人後に診断され,側弯症との鑑別を要した先天性ネマリンミオパチー
日呼吸誌, 6(2): 109-113, 2017


概要:
 ネマリンミオパチーは,筋力低下と筋線維中のネマリン小体を特徴とする先天性筋疾患である.呼吸筋障害の頻度は高いが,成人後に呼吸不全で診断される例はまれである.症例は側弯症を有する38歳の女性でCO2ナルコーシスにて人工呼吸を要した.側弯症による慢性呼吸不全の急性増悪と考えたが高口蓋所見より神経筋疾患を疑い,筋生検でネマリンミオパチーの診断に至った.本症は側弯症を高率に合併し,一方呼吸筋障害は潜在性に進行するため,呼吸不全を呈しても本症の存在が看過されうる.したがって高口蓋などの身体所見を綿密にとることが重要である.


by otowelt | 2017-04-18 00:08 | 呼吸器その他

メタアナリシス:COPDに対するLAMA/LABAはLAMA単剤あるいはICS/LABAより効果的

e0156318_945442.jpg LAMA/LABA合剤がかなり初期から用いられる日が来るかもしれません。

Rodrigo GJ, et al.
LABA/LAMA combinations versus LAMA monotherapy or LABA/ICS in COPD: a systematic review and meta-analysis.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017 Mar 17;12:907-922.


背景:
 ランダム化比較試験において、COPDに対するLAMA/LABAは良好な効果をもたらすことが示されている。この解析の目的は、成人の安定中等症~超重症COPDに対するLAMA/LABAの効果と安全性をLAMA単剤あるいはICS/LABAと比較したものである。

方法:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシス(PubMed/MEDLINE, Embase, Cochrane Library、clinical trial/manufacturer databasesからデータを抽出)では12週以上のLAMA/LABA治療をLAMAまたはICS/LABAと比較したランダム化比較試験を組み込んだ。

結果:
 18研究が登録された(20185人)。LAMA/LABAは有意にベースラインから12週までのトラフ1秒量変化を改善させた(LAMA単剤との比較:0.07 L、ICS/LABAとの比較:0.08 L, P<0.0001)。また臨床的に意義のある1秒量の改善(100mL超)を達成した患者もLAMA/LABAに多くみられた(LAMA単剤:リスク比1.33, 95%信頼区間1.20~1.46、 ICS/LABA:リスク比1.44, 95%信頼区間1.33~1.56)。LABA/LAMAは、LAMA単剤と比較して有意にTDI・SGRQスコアを改善したが、ICS/LABAと比較して有意な改善はみられなかった。また、LAMA/LABAはレスキュー使用を有意に減らした(LAMA単剤:P<0.0001 、ICS?LABA:P=0.001)。LAMA/LABAは、ICS/LABAと比較して有意に中等症/重症増悪を減少させた(リスク比0.82, 95%信頼区間0.75~0.91)。有害事象はLAMA/LABAとLAMA単剤では有意差はなく、ICS/LABAよりは少なかった(リスク比0.94, 95%信頼区間0.89~0.99、肺炎リスク0.59、95%信頼区間0.43~0.81)。効果がみられず治療を中断するリスクはLAMA/LABAの方がLAMAよりも低かった(リスク比0.66, 95%信頼区間0.51~0.87)。有害事象によって治療を中断するリスクはLAMA/LABAの方がICS/LABAよりも低かった(リスク比0.83, 95%信頼区間0.69~0.99)。

結論:
 LAMA/LABAはLAMA単剤あるいはICS/LABAと比較して良好な効果と同等の忍容性があり、COPDのファーストラインとして用いられる位置づけであろう。


by otowelt | 2017-04-17 00:16 | 気管支喘息・COPD

プロカルシトニンはCRPと比べて真の菌血症と偽陽性の鑑別に役立つ

e0156318_22555653.jpg 個人的にはまだあまりプロカルシトニンを使っていません。

波多野 俊之ら.
菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討
日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24 (2017) No. 2 p. 115-120


目的:
 菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について,後方視的に解析した。

方法:
 2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし,検出菌,PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。

結果:
 感染症専門医により,菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は,それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり,菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。ROC-AUC(95%信頼区間)は,PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)だった。一方,菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは,それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。

結論:
 PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし,菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。


by otowelt | 2017-04-13 00:43 | 集中治療