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プライマリケアから専門施設へのIPF紹介の理由

e0156318_9301181.jpg 当院に紹介になる例も、多くがILD疑いです。

Purokivi M, et al.
Are physicians in primary health care able to recognize pulmonary fibrosis?
Eur Clin Respir J. 2017 Feb 20;4(1):1290339. doi: 10.1080/20018525.2017.1290339. eCollection 2017.


背景:
 IPFの早期診断は、治療オプションを考慮する上で重要になる。IPF患者は正確な診断を受けるのに時間的な遅れを経験し、それゆえにしかるべき施設への紹介が遅延し高い死亡率に寄与しているのではないかと考えられている。

目的:
 紹介までに遅延が生じているか、紹介した時点で前医がIPFやその他ILDを疑っているかどうかを調べた。

方法:
 95のIPF患者の紹介状がフィンランドIPFレジストリから抽出され、紹介までの期間、紹介先、症状、喫煙歴、職業歴、臨床所見、合併症、投薬、胸部画像所見、肺機能などが調べられた。

結果:
 紹介状の95%がプライマリヘルスケア施設からの紹介であった。報告された60%の症例のうち、症状発現から紹介までの期間は平均1.5年(95%信頼区間0.8-2.3年)だった。主な紹介理由は、ILDの疑い(63%)、胸部レントゲン写真の変化(53%)などだった。呼吸音は紹介状の70%に記載され、52%が吸気時cracklesと記載されていた。

結論:
 プアリマリケア医は肺線維症を早期に疑っていた。呼吸音や胸部レントゲン写真異常が紹介理由として最も多いものであった。



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by otowelt | 2017-04-12 00:44 | びまん性肺疾患

メタアナリシス:IPF急性増悪のリスク因子

e0156318_7331272.jpg ベースラインが重症のIPFの場合、当然ながらIPF急性増悪も致死的になります。

Qiu M, et al.
Risk factors for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: A systematic review and meta-analysis.
Clin Respir J. 2017 Mar 23. doi: 10.1111/crj.12631. [Epub ahead of print]


背景:
 IPFは慢性進行性線維性肺疾患である。臨床経過にはばらつきがあり、IPF急性増悪と呼ばれる急性呼吸不全を経験する患者もいる。IPF急性増悪のリスク因子は不透明である。このシステマティックレビューおよびメタアナリシスではIPF急性増悪のリスク因子を調べた。

方法:
 電子データベースからIPF急性増悪のリスクを調べた研究を抽出した。固定効果モデルを用いて相対リスク・加重平均差を算出した。メタアナリシスには、IPF急性増悪の14のリスク因子を含む7文献が組み込まれた。

結果:
 急性増悪のリスク因子には、肺活量低下(加重平均差-10.58, 95%信頼区間-17.17 to-3.99)、努力性肺活量低下(加重平均差-6.02,95%信頼区間-8.58 to-3.47), 全肺気量(加重平均差-4.88, 95%信頼区間-7.59 to-2.17), PaO2低下(加重平均差-4.19, 95%信頼区間-7.66 to -0.71)、A-aDO2高値(加重平均差4.4, 95%信頼区間0.24to8.57)が含まれた。また、人工呼吸管理、高KL-6、二次性肺高血圧はIPF急性増悪のリスク因子になりうることが示唆された。反面、年齢、性別、BMI、DLCO、季節性の抗原曝露、ウイルス感染症はIPF急性増悪とは関連していなかった。

結論:
 低肺機能、人工呼吸管理、高KL-6、二次性高血圧症はIPF急性増悪のリスクと関連していた。




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by otowelt | 2017-04-11 00:29 | びまん性肺疾患

ED-SCLCに対するPCIは生存的利益なし

e0156318_12481476.jpg 日本で実施された有名な研究です。論文化されました。

Takahashi T, et al.
Prophylactic cranial irradiation versus observation in patients with extensive-disease small-cell lung cancer: a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial
Lancet Oncology, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S1470-2045(17)30230-9


方法:
 一次治療としてのプラチナ併用療法が奏効し、MRIで脳転移がないことを確認した進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)患者において、PCI群(25Gy/10分割)と経過観察群を比較した。患者登録は最終化学療法開始から6週間以内に行った。
 プライマリアウトカムはITT集団の全生存期間(OS)、セカンダリアウトカムは脳転移までの期間、無増悪生存期間(PFS)、安全性とした。脳転移は3ヶ月ごとの脳MRIで評価した。

結果:
 2009年3月から2013年7月までに224人が登録された。中間解析は163人(PCI群84人、経過観察群79人)を対象に行われた(この時点で死亡が111人)。中間解析の結果、PCIの利益が認められなかったことから、2013年7月17日に試験は中止。
 OS中央値は、PCI群11.6ヶ月、経過観察群13.7ヶ月だった(ハザード比1.27、95%信頼区間0.96-1.68, p=0.094)。
 もっともよくみられたgrade3以上の有害事象(3ヶ月時)は食思不振(6% vs 2%)、不快感(3% vs <1%)など。治療による死亡は観察されなかった。

結論:
 脳転移がないED-SCLCにおいてPCIは生存利益をもたらさなかった。


by otowelt | 2017-04-10 00:52 | 肺癌・その他腫瘍

出版のお知らせ:咳のみかた、考えかた

 4月18日に「咳のみかた、考えかた」という本を中外医学社から出版します。咳嗽診療で遭遇するリサーチクエスチョンに、日々ジレンマを抱いています。日本と欧米では慢性咳嗽に対する診療スタンスがやや異なるため、世界各国の咳嗽ガイドラインを参考にして、この本を書き上げました。

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発売日:2017年4月18日
単行本 : 250ページ
価格 : 4,000円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央胸部疾患センター内科)

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する (入荷がやや遅いかも)

e0156318_13141310.jpg中外医学社から購入する

 装丁のデザインは、中学・高校6年間をともに学んだクラスメイトであり、世界を舞台に活躍するテキスタイルデザイナー・アーティストの谷川幸さん(下写真:C.a.w Design Studio代表)にお願いしました。彼女にデザインしてもらうのは、「呼吸器の薬の考え方、使い方」という本に続き2冊目です。有名デザイナーに自著の装丁をしてもらえるなんて、本当に幸せです。
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 本を開いてみると、オモテ表紙が咳をコンコンとしている和装の女性、ウラ表紙が咳の消失した穏やかな女性が表現されています。これはLady Windermere症候群をイメージしたもので、ドレスと扇をすべて和風にアレンジしてもらいました。
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by otowelt | 2017-04-05 08:34 | その他

FLAME試験事後解析:COPDに対するウルティブロ®の好酸球別解析

e0156318_945442.jpg COLD2017が出てしまって、いずれにしてもICS/LABAはやや下火です。

Nicolas Roche, et al.
Blood Eosinophils and Response to Maintenance COPD Treatment: Data from the FLAME Trial
AJRCCM, DOI: http://dx.doi.org/10.1164/rccm.201701-0193OC

背景:
 好酸球数は、COPDのマネジメントにおけるICSの効果を予測する潜在的バイオマーカーであることが事後解析で示されている。

目的:
 われわれは、COPD増悪の予防に用いられたICS/LABAとLAMA/LABAの反応を予測する因子として好酸球数を前向きに調べた。

方法:
 われわれはFLAME試験のデータのprespecified analysisを実施し、過去1年にCOPD増悪を経験したことがある患者に対する1日1回のLAMA/LABAであるインダカテロール/グリコピロニウム(110/50μg)と1日2回のICS/LABAであるサルメテロール/フルチカゾン(50/500μg)を比較し、事後解析をこころみた。

結果:
 治療効果を好酸球比率ごと(2%未満と2%以上、3%未満と3%以上、5%未満と5%以上)、好酸球数ごと(150/μL未満、150~300/μL、300/μL以上)に比較した。インダカテロール/グリコピロニウムはサルメテロール/フルチカゾンよりも増悪を予防する上で、好酸球比率2%未満、2%以上、3%未満、5%未満、好酸球数150/μL未満のサブグループにおいて優越性であった(すべての重症度、中等症、重症、いずれの比較において)。サルメテロール/フルチカゾンがインダカテロール/ウルティブロより優越性を示したカットオフは同定されなかった。好酸球数が上昇していても、中等症あるいは重症の増悪の頻度は高くならなかった。肺炎の頻度はサルメテロール/フルチカゾン群で多くみられた(2%未満、2%以上のサブグループ解析において)。

結論:
 本解析において、COPD患者では好酸球レベルにかかわらず、インダカテロール/グリコピロニウムはサルメテロール/フルチカゾンよりも優れているか同等であることが示唆された。



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by otowelt | 2017-04-04 00:15 | 気管支喘息・COPD

実臨床におけるピレスパ®とオフェブ®の忍容性は大規模臨床試験と同等

e0156318_7331272.jpg IPFの中でも比較的良好な機能である集団と、実臨床で処方される集団には大きな差があることが指摘されていましたが、忍容性や副作用に有意な差はなさそうです。

Jonathan A. Galli, et al.
Pirfenidone and nintedanib for pulmonary fibrosis in clinical practice: Tolerability and adverse drug reactions
Respirology, DOI: 10.1111/resp.13024


背景および目的:
 臨床試験とは離れた、実臨床におけるピルフェニドンとニンテダニブの忍容性はよくわかっていない。多くの肺線維症の患者はいろいろな合併症や臨床試験から除外されがちな背景を有している。

方法:
 われわれは、ニンテダニブあるいはピルフェニドンを肺線維症に対して処方された患者を後ろ向きに抽出した(2014年9月~2016年2月)。合計186人が登録された(129人がピルフェニドン、57人がニンテダニブ)。ピルフェニドン群患者は平均52±17週、ニンテダニブ群患者は平均41±15週追跡された。プライマリアウトカムは副作用による薬剤中断とした。

結果:
 登録患者はベースラインで有意な呼吸器系障害がみられ、63%が在宅酸素療法を必要とし、平均DLCOは36±14%だった。副作用による薬剤中断はピルフェニドン群の20.9%、ニンテダニブ群の26.3%でみられた。いずれの薬剤中断率も、大規模臨床試験(ASCEND/CAPACITY、INPULSIS1/2 )と差はなかった。
 ピルフェニドンによくみられた副作用は悪心(26.4%)、皮疹/光線過敏(14.7%)、ディスペプシア/GERD(12.4%)だった。ニンテダニブ群でよくみられた副作用は、下痢(52.6%)、悪心(29.8%)だった。
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(文献より引用:Figure3)

結論:
 実臨床レベルでニンテダニブあるいはピルフェニドンで治療された肺線維症の患者は、大規模臨床試験よりも呼吸機能障害や合併症の頻度が高いにもかかわらず、大規模臨床試験と同等の忍容性と副作用プロファイルであった。



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by otowelt | 2017-04-03 00:50 | びまん性肺疾患

アニュイティ®エリプタ承認

 ついにアニュイティ®エリプタが登場します。5月下旬頃に発売する見込みです。
 喘息治療では、初期にICS/LABAを導入して後日ICSへステップダウンする手法も近年好まれますが、ステップ1の患者さんや、ステップ1寄りのステップ2の患者さんに対しては、初期治療としてICS単剤を処方しています。そのため、1日1回で済むエリプタのICSをずっと待ち望んでいました。

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プレスリリース

・「アニュイティ®100μgエリプタ®」「アニュイティ®200μgエリプタ®」 製造販売承認を取得
 グラクソ・スミスクライン株式会社(社長:フィリップ・フォシェ、本社:東京都渋谷区、以下GSK)は本日、厚生労働省より新規気管支喘息治療剤である「アニュイティ®100μgエリプタ®」「アニュイティ®200μgエリプタ®」(以下、「アニュイティ®エリプタ®」)について、気管支喘息の適応で製造販売承認を取得。



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by otowelt | 2017-04-01 21:41 | 気管支喘息・COPD