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重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルはサイトメガロウイルス再活性化を抑制

e0156318_17262418.jpg 今のところ、2017年は私にとってサイトメガロウイルスとの闘いの年です。

Nicholas J. Cowley, et al.
Safety and Efficacy of Antiviral Therapy for Prevention of Cytomegalovirus Reactivation in Immunocompetent Critically Ill PatientsA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. 2017;177(6):774-783.


背景:
 サイトメガロウイルス(CMV)潜伏感染は成人の半分以上にみられ、ウイルス再活性化(血液などの体液検査からウイルスが測定できるなど)は重症の病態にある患者の3分の1にのぼるとされている。

目的:
 抗ウイルス治療が重症例におけるCMV再活性化に対して、安全・効果的かどうか調べること。

方法:
 単施設オープンラベルランダム化比較試験。2012年1月1日から2014年1月31日までに少なくとも24時間人工呼吸管理を要したCMV血清陽性患者124人を抽出した。平均ベースラインAPACHE IIスコアは17.6だった。
 ウイルス再活性化抑制のため、患者はバラシクロビルによるCMV予防群(34人)あるいは低用量バルガンシクロビルによるCMV予防群(46人)にランダムに割り付けられた。コントロールとして非介入群44人が設定された。
 主要アウトカムは初回の血液検査によるCMV再活性化判定(薬剤開始から28日まで)とした。

結果:
 124人の患者(46人女性、89人男性、平均年齢56.9±16.9歳)のうち、ウイルス再活性化はコントロ-ル群12人、バルガンシクロビル群1人、バラシクロビル群2人にみられた(予防群 vs コントロール群:ハザード比0.14,95%信頼区間0.04-0.50)。この研究は臨床的エンドポイントを解析するためのものではなかったが、バラシクロビル群は高い死亡率のために中止された(34人中14人が28日までに死亡、コントロール群は同中止時点で37人中5人が死亡)。他の安全性エンドポイントに群間差はなかった。

結論:
 重症患者におけるバラシクロビルあるいは低用量バルガンシクロビルは、CMV再活性化を抑制する。しかしながら、高い死亡率のため、大規模臨床試験でその効果と安全性を検証すべきである。


by otowelt | 2017-06-16 00:40 | 感染症全般

自然気胸に対する胸腔鏡手術後の再発リスク因子

e0156318_14441648.jpg 若年者では要注意、ということですね。

Nakayama T, et al.
Outcome and risk factors of recurrence after thoracoscopic bullectomy in young adults with primary spontaneous pneumothorax.
Surg Today. 2017 Jul;47(7):859-864.


目的:
 胸腔鏡下ブラ切除術を受けた若年成人患者の気胸再発のリスク因子を調べること。

方法:
 2005年1月から2015年9月まで、40歳以下168人の自然気胸患者に対する胸腔鏡下ブラ切除術例をわれわれの病院で抽出した。再発あるいは最終受診日まで追跡し、Kaplan-Meier法を用いて無再発率を算出した。

結果:
 167人の16人(9.6%)で気胸が再発した。無再発期間は3-107ヶ月(中央値25.8ヶ月)で、5年無再発率は85.9%だった。多変量Cox解析では、23歳以下(p=0.029)、手術前の同側気胸既往(p = 0.029)は有意な再発リスク因子だった。
 5年無再発率は23歳以下および同側気胸既往のある患者では72.3%で、これらリスク因子がいずれもない患者では94.1%だった(p = 0.001)。
 外科手術後から3年以内に再発したのは、16人中14人だった。

結論:
 23歳以下で手術前に同側気胸の既往があると、気胸再発のリスクが高い(特に3年以内)。


by otowelt | 2017-06-15 00:23 | 呼吸器その他

イソニアジド単剤耐性結核は臨床アウトカムを悪化させる

e0156318_9552565.jpg 実臨床でもちらほらみかけます。


van der Heijden YF, et al.
Isoniazid-monoresistant tuberculosis is associated with poor treatment outcomes in Durban, South Africa.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):670-676.


背景:
 南アフリカにおける大規模結核クリニックのデータを用いて、イソニアジド(INH)単剤耐性結核と治療アウトカムの関連性を調べる。

方法:
 後ろ向きの縦断的研究を2000~2012年の結核患者において実施し、INH耐性結核結核と感受性結核をロバスト標準誤差によるロジスティック回帰を用いて調べた。INH単剤耐性結核は、修飾的な治療を受けた。

結果:
 18058人の結核患者のうち、19979の結核菌で薬剤感受性試験が行われた。そのうち、577はINH単剤耐性で16311人は感受性だった。追跡不能、転医、HIV感染症合併例(じつに41%が合併)は両群ともに同等の頻度であった。INH単剤耐性結核は感受性結核より治療失敗の頻度が高かった(4.1% vs 0.6%、p<0.001)。また死亡も多かった(3.2% vs. 1.8%, p=0.01)。年齢、性別、人種、治療ステータス、罹患部位で補正しても、INH単剤耐性エピソードは治療失敗(オッズ比6.84, 95%信頼区間4.29-10.89, P < 0.001)および死亡(オッズ比1.81, 95%信頼区間1.11-2.95, P = 0.02)と関連していた。

結論:
 INH単剤耐性は、感受性結核よりも臨床アウトカムの悪化と関連している。


by otowelt | 2017-06-14 00:09 | 抗酸菌感染症

低蔓えん国における胸水中ADAの臨床的意義

e0156318_9552565.jpg 低蔓えん国におけるデータが少なかったですが、そこまでかけ離れた数値ではなかったですね。
 高ければいいってものではなく、ADAが100IU/Lを超えてくると結核以外の診断を考えなければいけません。

Sivakumar P, et al.
The diagnostic utility of pleural fluid adenosine deaminase for tuberculosis in a low prevalence area.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):697-701.


背景:
 胸水中ADAは、結核の有病率が低い地域では、未診断胸水の患者にルーチンに測定されるわけではない。

方法:
 後ろ向きに胸水中ADAを測定された患者を抽出した(南ロンドン:2009年~2015年)。ROC曲線解析を用いて、感度・特異度が適切になる閾値を設定した。

結果:
 132人が胸水中ADAを測定された。27人が結核性胸膜炎と診断され、105人がそれ以外だった。胸水中ADAの中央値はそれぞれ63IU/L(IQR47-88 )、12IU/L(IQR7.5-22.5)だった。ROC曲線解析で適切なカットオフ値は30IU/Lと設定された。これは陽性適中率、陰性適中率がそれぞれ60.5%、98.9%であり、感度96.3%(95%信頼区間89.2-100)、特異度83.8%(95%信頼区間76.8-90.9)だった。ROC曲線下面積は0.934(95%信頼区間0.893-0.975)だった。

結論:
 南ロンドンにおいて、胸水中ADAが30IU/L未満では結核の診断は考えにくい。


by otowelt | 2017-06-13 00:57 | 抗酸菌感染症

両側続発性気胸は予後不良である

e0156318_22593041.jpg トルコからの報告です。

Akcam TI, et al.
Analysis of the patients with simultaneous bilateral spontaneous pneumothorax.
Clin Respir J. 2017 May 20. doi: 10.1111/crj.12652. [Epub ahead of print]

背景:
 両側自然気胸はまれな病態であり、報告例も少ない。この研究では、原発性および続発性自然気胸の症例を収集し、予後を報告した。

方法:
 2005年1月~2017年1月までの間、両側気胸と診断されたのは合計16人だった。患者は2グループに分けた。グループ1:続発性気胸群11人、グループ2:原発性気胸群5人。背景、基礎疾患、治療、臨床所見、生存データなどが記録された。

結果:
 グループ1において、4人(36.3%)がCOPD、3人(27.3%)が肉芽腫性疾患、2人(18.2%)が特発性肺線維症、1人(9.1%)が気管支拡張症を有していた。これらの患者のうち、4人は両側胸腔ドレナージを適用され、4人は片側胸腔ドレナージ、残りの3人は経過観察・内科治療が行われた。グループ1では、6人(54.6%)が72ヶ月の追跡期間中に死亡しており、そのうちCOPDを有していたのは1人のみだった。
 グループ2の全員において、両側気胸は胸腔鏡治療を用いて治療された。

結論:
 両側続発性気胸は予後不良の進行性疾患であることが示唆された。


by otowelt | 2017-06-12 00:37 | 呼吸器その他

ピレスパ®はIPF患者の呼吸器系入院リスクおよび入院後死亡リスクを低下

e0156318_21341355.jpg 副作用は多いですが、肺機能以外にも臨床的恩恵が示されたことは大きな一歩です。

Ley B, et al.
Pirfenidone Reduces Respiratory-related Hospitalizations in Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 May 4. doi: 10.1164/rccm.201701-0091OC.


背景:
 IPF患者の呼吸器系の増悪による入院は、IPF急性増悪よりも頻度が高く、アウトカム不良と関連している。

目的:
 IPFの第III相試験において52週間の試験期間中、ピルフェニドンとプラセボの入院および入院後死亡のリスクを比較した。入院は、全ての入院、呼吸器系による入院、非呼吸器系による入院について調べた。

方法:
 IPFにおけるピルフェニドンの第III相ランダム化プラセボ対照試験であるCAPACITY・ASCEND試験から患者データを抽出した。time-to-event法で入院リスクを比較した。

結果:
 1247人の患者(CAPACITY試験692人、ASCEND試験555人)が解析に組み込まれた。ピルフェニドンはプラセボと比較して呼吸器系の入院リスク低下と関連していた(7% vs 12%, ハザード比0.52, 95%信頼区間0.36-0.77, p=0.001)。しかし、すべての入院(ハザード比0.91, 95%信頼区間0.70-1.19, p=0.53)、非呼吸器系の入院(ハザード比1.32, 95%信頼区間0.92-1.88, p=0.145)に有意な関連性は観察されなかった。全入院患者では、ピルフェニドン治療は入院後死亡のリスク低下と関連していた(傾向スコア補正後:ハザード比0.56, 95%信頼区間0.32-0.99, p=0.047)。

結論:
 IPFの第III相試験のプール解析では、ピルフェニドン治療は呼吸器系の入院リスクを1年にわたり低下させることがわかった。また、入院後死亡リスクの低下とも関連していた。


by otowelt | 2017-06-09 00:39 | びまん性肺疾患

本の紹介:薬のデギュスタシオン2 製薬メーカーに頼らずに薬を勉強するために

 今月、『薬のデギュスタシオン2』が発売されます。前作に引き続き、私も少し執筆させていただきました。どうデギュってやろうかと考えながら書いたので、私も勉強になりました。貴重な機会を2回も授けてくださった岩田健太郎先生に心より感謝申し上げます。

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発売日:2017年6月23日
単行本 : 416ページ
価格 : 4,000円 (税別)
出版社 : 金芳堂
編集 : 岩田 健太郎先生

e0156318_13141310.jpg金芳堂紹介ページ

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する

 私はワインも日本酒もほとんど飲まない人間なので、デギュスタシオンという言葉は前作で初めて耳にしました。エヴァンゲリオンやアクエリオンを彷彿させるパワーワードだなと勝手に思っていましたが、今では「英語で言うところのテイスティングという意味だよ」としたり顔で説明できます。生まれてこのかた、テイスティングなんてしたこともないんですけどね。あはは。
 
 薬のデギュスタシオンがクセになることは、私たちにとって大きなメリットです。処方の際に「この病気にはこの薬だよな」という短絡的カスケードに一時停止ボタンが作られるからです。私は後期研修医以降、“とりあえず処方”が多かった。あのまま誰もそのことに気付かせてくれなかったら、私はヤブ医者になっていたかもしれない。いや、現在ヤブ医者じゃないとは100%言い切れないけど。

 “とりあえず”、薬のデギュスタシオンを2冊読んで、一時停止ボタンを作ろう。そして、薬をデギュスタシオンしてみよう。

 ちなみに本書の序文には、「背中のファスナーを下ろすとMRが出てくるような医者たちが消滅することを心から願ってやまない」という岩田健太郎先生の言葉があります。なんだ、やっぱりデギュスタシオンは、パワーワードなのか!


<目次>
せん妄に対する薬物療法(大滝 優・鎌田一宏)
高齢者への睡眠薬の投与方法(大滝 優・鎌田一宏)
ベンゾジアゼピン系睡眠薬(宮内倫也)
認知症に対するコリンエステラーゼ阻害薬の比較(宮内倫也)
気分安定薬としてのリチウムとバルプロ酸とラモトリギンの比較(宮内倫也)
抗うつ薬(三環系抗うつ薬,SSRI,SNRI)と骨折リスクの比較(青島周一)
抗うつ薬による低ナトリウム血症リスクの比較(青島周一)
部分発作に対する抗てんかん薬の比較(吉田剛・金城紀与史)
アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の比較(青島周一)
慢性心不全におけるループ利尿薬:フロセミド,トラセミド,アゾセミドの比較(青島周一)
スタチンの比較(本村和久)
輸液蘇生における膠質液と晶質液の比較(佐藤直行)
喘息発足時のメプチンとサルタノールとベネトリンの比較(倉原 優)
喘息の慢性期治療はICS単独かICS/LABAか(名郷直樹)
含嗽薬:イソジンガーグルとネオステリングリーンの比較(倉原 優)
胸膜癒着剤:ユニタルクとピシバニールの比較(倉原 優)
抗線維化薬:ピレスパとオフェブの比較(倉原 優)
肺炎発症リスクに影響を与える薬剤の比較(青島周一)
高齢者の便秘に対する薬物療法(大野 智)
SGLT2阻害薬間に違いはあるか(能登 洋)
DPP4阻害薬は本当にSU薬より優れるのか(能登 洋)
糖尿病患者に対するスタチンの比較:リポバス,メバロチン,ローコール,リピトール,クレストール,リバロ(能登 洋)
GLP-1受容体作動薬5種類の比較:バイエッタ,ビクトーザ,リキスミア,ビデュリオン,トルリシティ(岩岡秀明)
各種持効型インスリン製剤の比較:ランタス,レベミル,トレシーバ,ランタスXR,グラルギン,リリー(岩岡秀明)
超速効型インスリン製剤および混合型インスリン製剤の比較検討(岩岡秀明)
リファンピシンとリファブチンの比較(倉原 優)
クロストリジウムディフィシル感染症におけるメトロニダゾールとバンコマイシン(中久保 祥・岸田直樹)
尿路感染症におけるDe-escalation :アンピシリン(ABPC)とセファゾリン(CEZ)の比較(鎌田啓佑・岸田直樹)
ST合剤とペンタミジンとアトバコンの比較(佐藤直行)
EGFRチロシンキナーゼ阻害剤:イレッサとタルセバとジオトリフとタグリッソの比較(倉原 優)
緑内障治療における点眼薬の比較(青島周一)
ステロイド外用薬の使い分け(鎌田一宏)
止血剤:アドナとトランサミンの比較(倉原 優)
脳梗塞の抗血小板剤による慢性期二次予防(難波雄亮・金城紀与史)
桂枝茯苓丸と当帰芍薬散と加味逍遙散の比較(野上達也)
六君子湯とアコファイドとガスモチンの比較(野上達也)
抑肝散と抑肝散加陳皮半と釣藤散の比較(野上達也)
大建中湯と大黄甘草湯と麻子仁丸の比較(野上達也)
麦門冬湯と柴朴湯の比較      (野上達也)
漢方エキス製剤の各メーカーでの比較(野上達也)
四君子湯と四物湯の比較(宮内倫也)
補中益気湯と十全大補湯と人参養栄湯の比較(と六君子湯)(宮内倫也)
柴胡加竜骨牡蛎湯と桂枝加竜骨牡蛎湯と柴胡桂枝乾姜湯の比較(宮内倫也)
痛風発作に対するアロプリノールとフェブキソスタット(金城光代)
メトトレキサートとサラゾスルファピリジンとブシラミンとイグラチモドの比較(とタクロリムスについて)(佐藤直行)
変形性膝関節症に対するコンドロイチン,グルコサミンの比較(青島周一)
輸血前投薬(佐藤直行)
優先的にDeprescribingを考慮すべき薬剤の比較(青島周一)
認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する薬物療法(大滝 優・鎌田一宏)





by otowelt | 2017-06-07 00:57 | その他

特発性間質性肺炎急性増悪の治療では、ステロイドパルス療法後プレドニゾロン0.6mg/kg/day以上維持を推奨

e0156318_7331272.jpg 当院からの報告です。

Arai T, et al.
High-dose prednisolone after intravenous methylprednisolone improves prognosis of acute exacerbation in idiopathic interstitial pneumonias.
Respirology. 2017 May 15. doi: 10.1111/resp.13065. [Epub ahead of print]

背景および目的:
 IPF急性増悪は予後不良の疾患である。急性増悪は他の特発性間質性肺炎(IIPs)でも報告されている。IIP急性増悪の治療効果については限られたデータしかない。この研究の目的は、IIP急性増悪に対するプレドニゾロンの初期投与量が与える影響を明らかにすることである。

方法:
 2004年~2013年の間に、85人のIIP急性増悪の患者が登録された(日本呼吸器学会基準で診断)。IPF63人、非IPF22人だった。多変量Cox比例ハザード回帰分析を用いて、予後不良因子を同定した。IIP急性増悪発症時の胸部HRCTパターンを、びまん性あるいは非びまん性に分類した。他の予後因子で補正し、初期プレドニゾロン投与量が予後に与える影響を評価した。

結果:
 生存期間中央値は、IIP急性増悪の診断から49日だった。IPF急性増悪および非IPFのIIP急性増悪の生存期間中央値はそれぞれ39日、49日だった。急性増悪診断時におけるびまん性の胸部HRCTパターン、IgG低値、SP-D高値、長期酸素療法患者、急性増悪に対する陽圧換気療法(NPPVおよび挿管人工呼吸管理)の使用は全患者の予後不良因子であった。高用量プレドニゾロン(0.6mg/kg/day以上)は、他の予後因子で補正すると、陽圧換気療法を受けていない患者に対して有意な予後予測因子であった。
e0156318_1015198.jpg
(文献より引用:Table4)

結論:
 高用量メチルプレドニゾロンの後、プレドニゾロン0.6mg/kg/day以上を用いることは、IIP急性増悪では推奨される治療である。


by otowelt | 2017-06-06 00:37 | びまん性肺疾患

結核治療中の初期悪化のリスク因子

e0156318_9552565.jpg  呼吸器内科医であれば、結核治療時に誰しもが経験したことのある「初期悪化」。これは、免疫再構築症候群・paradoxical reactionと同義です。

Barr DA, et al.
Paradoxical upgrading reaction in extra-pulmonary tuberculosis: association with vitamin D therapy.
Int J Tuberc Lung Dis. 2017 Jun 1;21(6):677-683. doi: 10.5588/ijtld.16.0927.


背景:
 結核におけるparadoxical reactionは、抗結核治療時に起こる死滅結核菌に対するアレルギー反応と考えられている。

目的:
 paradoxical reactionのリスク因子を同定し、ビタミンD使用との関連性を調べる。

方法:
 成人肺外結核を有するHIV陰性患者を対象にサーベイランスを実施した。このコホートでは、ビタミンDが新規結核患者に処方されていたり・処方されていなかったりした(なぜ?と思ったが、本文中には「Prescription of vitamin D is increasingly common practice in TB clinics in our setting.」と記載・・・)。
 
結果:
 249人の患者が登録され、ほとんどが結核性リンパ節炎だった。249人中222人が微生物学的・組織学的に結核と診断された症例だった。ビタミンDは249人中57人(23%)に処方されていた。249人中37人(15%)がparadoxical reactionを起こした。
 若年、抗酸菌塗抹陽性検体、多発性結核病巣、リンパ球低値、ビタミンDの使用がリスク因子であるとわかった。
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(文献より引用:Table3)

結論:
 抗結核治療におけるparadoxical reactionには、多量の抗原に対する反応とともに、ビタミンDを介したカスケードの関与が想定される。


by otowelt | 2017-06-05 00:57 | 抗酸菌感染症

PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺炎の頻度が高い

e0156318_12291546.jpgMonica Khunger, et al.
Incidence of pneumonitis with use of PD-1 and PD-L1 inhibitors in non-small cell lung cancer: A Systematic Review and Meta-analysis of trials
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.04.177


背景:
 PD-1/PD-L1阻害薬は非小細胞肺癌(NSCLC)において有意に臨床的効果があることが示されている。しかしながら、時に潜在的に致死的な免疫を介した肺炎を起こす。臨床試験での当該頻度は個々にばらつきがみられるため、われわれはこの肺炎の頻度を調べ、阻害薬の種類および前治療による差があるかどうか検討した。

方法:
 Medline, Embase, Scopusデータベースを2016年11月まで検索。全グレードおよびグレード3以上の肺炎の頻度をニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブの臨床試験(NSCLC患者への単剤使用)から収集した。DerSimonian-Laird法(ランダム効果モデル)を用いて肺炎の頻度を算出した。PD-1およびPD-L1阻害薬による肺炎の差、また前治療によっても差があるのかどうかも調べた。

結果:
 19試験(12:PD-1阻害薬3232人、7:PD-L1阻害薬1806人)が同定された。PD-1阻害薬は統計学的に有意にPD-L1阻害薬よりも全グレードの肺炎の頻度が高かった(3.6%, 95%信頼区間2.4%-4.9% vs 1.3%, 95%信頼区間0.8%-1.9%, p=0.001)。PD-1阻害薬では、グレード3以上の肺炎の頻度も多かった(1.1%, 95%信頼区間0.6%-1.7% vs 0.4%, 95%信頼区間0%-0.8%, p=0.02)。
 全グレードの肺炎の頻度は、治療を受けたことがない患者の方が前治療がある患者よりも高かった(4.3%, 95%信頼区間2.4%-6.3% vs 2.8%, 95%信頼区間1.7%- 4%, p=0.03)。

結論:
 PD-1阻害薬はPD-L1阻害薬と比較して肺炎の頻度が高い。特に、これまで治療を受けたことがない患者ではよくみられる有害事象である。


by otowelt | 2017-06-02 00:22 | 肺癌・その他腫瘍