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肺癌の術後肺炎の予防のための周術期口腔機能管理

e0156318_8124310.jpg 少し前の論文ですが、興味深く読ませていただきました。

西野 豪志,他.
肺癌手術における周術期口腔機能管理の術後肺炎予防効果
日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31(2017) No. 4, p.432-438


目的:
 肺癌手術における周術期口腔機能管理の肺炎予防効果を検討した.

対象:
 2013年4月~2015年3月に原発性肺癌に対して胸腔鏡下肺葉切除術を行った連続100例を対象とした.周術期口腔機能管理導入前後で介入群50例,非介入群50例に分類し検討した.

結果:
 患者背景,腫瘍因子,手術因子には有意差を認めなかった.術後合併症は,介入群で5例(10.0%),非介入群で16例(32.0%)と介入群で有意に少なく,術後肺炎は,非介入群では6例(12.0%)にみられたが,介入群では1例もみられなかった.術後に発熱を認めた症例は,介入群で有意に少なく,術後CRP値は,介入群で低い傾向にあった.術後在院日数は,介入群で有意に短かった.

結語:
 周術期口腔機能管理には肺癌の術後肺炎を予防する効果がある可能性がある.今後,医科歯科の連携を強め,広く行われるべきであると考える.


by otowelt | 2017-07-21 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

IPF患者において、抑うつは健康関連QOLあるいは健康ステータスの独立規定因子

e0156318_21341355.jpg こういう検証は重要だと思います。

Matsuda T, et al.
Depression Is Significantly Associated with the Health Status in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Intern Med. 2017;56(13):1637-1644.


目的:
 抑うつはIPF患者でよくみられる症状であると報告されている。しかしながら、抑うつが健康関連QOLの独立規定因子であるかどうかはIPF患者では評価されていない。われわれは、SGRQスコア等が独立規定因子かどうか調べるためこの研究をデザインした。

方法:
 肺機能検査、動脈血酸素分圧、6分間歩行試験、SGRQ、BDI、HADSを評価された連続IPF患者を後ろ向きに登録した。すべての登録患者は、新規にIPFと診断されたものであり、抗うつ薬・ピルフェニドン・ステロイド・免疫抑制剤・長期酸素療法といった治療を受けていない。

結果:
 IPF121人が登録された(男性99人)。SGRQでは、全体および各コンポーネントのいずれにおいても軽度~中等度の障害が観察された。HADSでは、27人(22.3%)が境界あるいは確定的抑うつを有していた。単変量解析では努力性肺活量、DLCO、動脈血酸素分圧、BDI、HADS(HADS-A・HADS-D)、6分間歩行距離、6分間歩行試験中の最低酸素飽和度が有意にSGRQの合計と相関していた。ステップワイズ多変量回帰モデルでは、BDI、6分間歩行距離、HADS-DがSGRQスコアと関連する独立規定因子と同定された。このモデルでは、全分散は59%(p<0.001)だった。

結論:
 IPF患者において、抑うつは健康関連QOLあるいは健康ステータスの独立規定因子であると結論づけられた。

 

by otowelt | 2017-07-20 00:59 | びまん性肺疾患

IPF患者における睡眠呼吸障害の存在は予後不良因子

e0156318_21341355.jpg IPFは痩せ型の患者さんが多いので、そこまで私は意識していませんでした。

Bosi M, et al.
OSA and Prolonged Oxygen Desaturation During Sleep are Strong Predictors of Poor Outcome in IPF.
Lung. 2017 Jul 3. doi: 10.1007/s00408-017-0031-4. [Epub ahead of print]


目的:
 睡眠呼吸障害(SBD)はIPF患者でよくみられ、睡眠や生活の質の障害と関連し、また死亡率の上昇とも関連しているとされている。この研究の目的は、軽症~中等症のIPF患者の予後にSBDがもたらす影響を評価することである。

方法・結果:
 35人のIPF患者のうち、25人にOSAがみられた。軽症IPFは全体で14人、中等症は7人、重症は4人だった。AACM定義では、睡眠関連低酸素血症は35人のIPF患者のうち9人にみられた。SBDの有無でみると、IPF患者は4群に分けられる。すなわち、SBDがない群(A群:25.7%)、睡眠関連低酸素血症がないOSA群(B群:48.5%)、睡眠関連低酸素血症のあるOSA群(C群:22.8%)、OSAがないものの睡眠関連低酸素血症がある群(D群:1人のみ[2.8%])である。D群が1人のみであったため、統計学的解析はA~C群で行われた。
 C群は、死亡率あるいは臨床的悪化の両アウトカムにおいてもっとも予後不良だった。SBDは死亡(ハザード比7.6、p=0.029)および疾患進行(ハザード比9.95、p=0.007)の独立予測因子であった。

結論:
 IPF患者において、SBDは予後不良と関連していた。SBDの存在はすべてのIPF患者で検索すべきである。


by otowelt | 2017-07-19 00:55 | びまん性肺疾患

J-SONIC試験:IPF合併非小細胞肺癌に対するカルボプラチン+アブラキサン®+オフェブ®

 個人的にかなり興味深い臨床試験です。

Otsubo K, et al.
Treatment Rationale and Design for J-SONIC: A Randomized Study of Carboplatin Plus Nab-paclitaxel With or Without Nintedanib for Advanced Non-Small-cell Lung Cancer With Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Clin Lung Cancer. 2017 Jun 20. pii: S1525-7304(17)30176-6. doi: 10.1016/j.cllc.2017.06.003. [Epub ahead of print]


 170人のIPF合併非小細胞肺癌の患者に対して、ランダムに1:1に4コースのカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)+ニンテダニブ(A群)あるいはカルボプラチン+アブラキサン®(3週ごと)(B群)に割り付けたJ-SONIC試験の計画について。


by otowelt | 2017-07-18 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

気管支結核の小児157例の臨床的検討

e0156318_9552565.jpg 気管支結核の小児をまとめた珍しい報告です。

Jiao AX, et al.
Characteristics and clinical role of bronchoscopy in diagnosis of childhood endobronchial tuberculosis.
World J Pediatr. 2017 Jun 15. doi: 10.1007/s12519-017-0046-1.


背景:
 気管支結核(EBTB)は、小児肺結核でもっともよくみられる合併症である。この研究の目的は、小児EBTBの診断における気管支鏡の臨床的役割を調べることである。

方法:
 後ろ向きに、気管支鏡を受けた157人のEBTB小児を登録した(2006年1月~2014年6月)。

結果:
 登録患児の年齢中央値は3.4歳で、73.2%が5歳未満だった。もっともよく観察されたEBTBのタイプは腫瘍型であった(92.4%)。浸潤気管支を抽出すると、もっとも病変が確認できたのは右中葉だった(21.5%)。続いて、右主気管支(15.4%)だった。5歳未満の小児は、多発性気管支内病変のリスクが高かった(オッズ比2.313、95%信頼区間1.009-5.299、P=0.044)。気管支鏡前に、16人(10.2%)の患児がEBTBを強く疑われていたが、その他はEBTBのない肺結核と考えられていたり、肺炎や異物誤嚥と誤認されていたりした。

結論:
 5歳未満の肺結核小児はEBTBのリスクが高く、多発性の気管支内病変が観察されやすい。もっともよくみられるEBTBのタイプは腫瘍型であり、右中葉が最も侵されやすい気管支である。


by otowelt | 2017-07-14 00:57 | 抗酸菌感染症

アメリカ国内基準より低い濃度のPM2.5とオゾンへの曝露が与える影響

e0156318_1431055.jpgQian D, et al.
Air Pollution and Mortality in the Medicare Population
N Engl J Med 2017; 376:2513-2522


背景:
 大気汚染の長期的な曝露が死亡率を上昇させることはいくつかの研究でわかっている。しかし大気汚染の程度が最新NAAQSより低いときに影響を与えるエビデンスは限られている。過去の研究は都市部の住民を対象としているため、少数集団の健康への影響を推定する統計学的検出力はなかった。

方法:
 2000年~2012 年のアメリカ全土メディケア受給者から構成されるオープンコホート(6092万5443人)を設定し、4億6031万0521人年を追跡。検証済み予測モデルを用いて、PM2.5とオゾン大気中濃度の年平均値を、加入者居住地ごとに推定。PM2.5の「曝露量が10μg/m3増えるごと、またオゾン曝露量が10 ppb増えるごとの死亡リスクを、人口学的特性、メディケイド適格性、地域レベルの共変数について調整。2汚染物質のCox 比例ハザードモデルを用いて推定。

結果:
 全死因死亡率は、PM2.5曝露量が10μg/m3増えるごとに7.3%(95%信頼区間7.1~7.5)上昇し、オゾン曝露量が10ppb増えるごとに1.1%(95%信頼区間1.0~1.2)上昇した。PM2.5曝露量が12μg/m3未満、オゾン曝露量が50ppb未満の人年にしぼった解析だと、死亡リスクはPM2.5曝露量が10μg/m3増えるごとに13.6%(95%信頼区間13.1~14.1)上昇し、オゾン曝露量が10ppb増えるごとに1.0%(95%信頼区間0.9~1.1)上昇した。男性、黒人、メディケイド適格者は、PM2.5曝露関連死亡リスクが対照サブグループよりも高かった。

結論:
 現在のアメリカ国内基準より低い濃度のPM2.5とオゾンへの曝露に関連する有害作用の重要なエビデンスが示された。この影響は、人種的マイノリティや低所得者層で顕著だった。


by otowelt | 2017-07-13 00:56 | 呼吸器その他

小児の肺炎の診断に肺エコーは有用

e0156318_10322082.jpg 僻地の診療では肺エコーが主流になるかもしれませんね。エコーシステムを確立する方がコストは少ないでしょう。

Ellington LE, et al.
Lung ultrasound as a diagnostic tool for radiographically-confirmed pneumonia in low resource settings.
Respir Med. 2017 Jul;128:57-64.


背景:
 肺炎は小児における罹患・死亡の重要な原因であるが、その診断はとくに専門家や標準画像検査が不足した地域では厳しい。われわれは、小児肺炎の診断における肺エコーを放射線学検査と比較した。

方法:
 2012年1月から2013年9月までの間、われわれは生後2~59ヶ月の呼吸器症状を呈して救急部を受診した外来小児患者を登録した(ペルー・リマ)。全患者は、肺エコーを適用された。また、呼吸器症状を呈していない小児も本研究に登録した。呼吸器症状のある小児は胸部レントゲン写真が撮影された。一部の小児には血液検査もおこなった。

結果:
 453人の肺炎の小児、133人の喘息の小児、103人の細気管支炎の小児、143人の上気道炎の小児が登録された。胸部レントゲン写真は、臨床的に肺炎と考えられた453人のうち191人(42%)で診断が可能だった。肺エコーによるコンソリデーションを肺炎のプライマリエンドポイントとした場合、感度88.5%、特異度100%で、AUC0.94(95%信頼区間0.92-0.97)だった。肺エコーで何かしらの異常がみられた場合、感度92.2%、特異度95.2%、AUCは同じく0.94だった(95%信頼区間0.91-0.96)。

結論:
 肺エコーは胸部レントゲン写真で同定された肺炎に対して高い診断能をもつ。小児の肺炎において肺エコーは有用である。


by otowelt | 2017-07-12 00:16 | 感染症全般

肺アクチノミセス症の臨床的検討

e0156318_95584.jpg まれな呼吸器感染症に関する報告は少ないです。

Zhang, M, et al.
Primary pulmonary actinomycosis: a retrospective analysis of 145 cases in mainland China
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 21, Number 7, 1 July 2017, pp. 825-831(7)

目的:
 肺アクチノミセス症について理解を深めること。

方法:
 後ろ向きに中国で145人の症例を抽出した。

結果:
 男女比は2.7:1で、診断時平均年齢は48±12歳だった。主症状は咳嗽(87.6%)、喀痰(40%)、血痰(37.2%)、発熱(26.9%)、胸痛(24.8%)、喀血(16.6%)だた。88人(60.7%)は基礎疾患を有していなかった。5人のみが初期診断が正しく、60人は肺がん、肺結核、肺膿瘍などと誤認されていた。ほとんどの患者は外科的手術や気管支鏡検査で診断がついた。67人の患者はペニシリンGを受け、1人は外科手術のみで抗菌薬投与を受けなかった。抗菌薬の平均治療期間は4.5±3.7ヶ月で、110人(75.9%)が完全に治癒し、4人が死亡した。平均フォローアップ期間は26±32か月だった。

結論:
 肺アクチノミセス症は稀な疾患であり、しばしば肺がんや肺結核と誤認される。ペニシリンGが標準的治療法であるが、適切な治療期間はこれからの検討課題であろう。


by otowelt | 2017-07-11 00:54 | 感染症全般

お知らせ

夏季休暇のため、数日間ブログをお休みさせていただきます。


by otowelt | 2017-07-05 00:50 | その他

1回のCOPD増悪が肺機能にもたらす影響とは

e0156318_135223100.jpg 要は、COPD増悪はよくないよ、ということです。

Halpin DMG, et al.
Effect of a single exacerbation on decline in lung function in COPD.
Respir Med. 2017 Jul;128:85-91.


背景:
 COPD増悪は肺機能低下を加速させるが、それらの因果関係はよく分かっていない。4年間のチオトロピウムによる影響を検討したUPLIFT(Understanding Potential Long-term Impacts on Function with Tiotropium)試験のデータを用いて、1回のCOPD増悪が肺機能の変化に与える影響を評価した。

方法:
 UPLIFT試験において、1回の中等度~重度COPD増悪前後での1秒量と努力性肺活量の年間低下率を非増悪群の変化と比べた。増悪群と非増悪群をマッチして感度解析を行い、年間の低下率を調べた。

結果:
 1回の中等度~重度COPD増悪後に、気管支拡張後肺機能の平均年間低下は増悪前低下率と比べて増えた(1秒量76.5 vs 39.1 ml/年, p=0.003; 努力性肺活量106.5 vs 34.7 ml/年, p=0.011)。非増悪群では試験の前半と後半の低下率に差はなかった(気管支拡張後1秒量38.2 vs 41.8 ml/年, 同努力性肺活量45.3 vs 43.9 ml/年)。COPD増悪群における1回の増悪前の気管支拡張後1秒量と努力性肺活量の低下は、非増悪群の試験前半のそれと同様だった。一方で、1回の増悪後の場合、非増悪群の試験後半の数値より有意に高かった。感度解析でも同様の結果だった。

結論:
 1回のCOPD増悪は肺機能の年間低下率を有意に上昇させる可能性がある。


by otowelt | 2017-07-04 00:15 | 気管支喘息・COPD