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タグリッソ®の新適応症早期承認要望書提出

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 昨日付けで、日本肺癌学会が厚生労働大臣宛に「EGFR変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対するタグリッソ®の新適応症の早期承認」の要望書を提出したそうです。
 ファーストラインでタグリッソ®が使われるとなると、T790Mの測定の位置付けはどうなるのでしょうね。


by otowelt | 2017-12-29 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

メタアナリシス:閉塞性睡眠時無呼吸に対するCPAP療法の鼻マスクと口鼻マスクの比較

e0156318_23181522.jpg 実臨床的なメタアナリシスです。CPAPレベルが高くとも、他のアウトカムが悪化しておれば意味がないと論じています。

Rafaela G.S. Andrade, et al.
Nasal versus oronasal CPAP for obstructive sleep apnea treatment: a meta-analysis
CHEST DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.10.044


背景・方法:
 nasal CPAPは、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の標準的治療である。しかしながら、口鼻マスクがもっともよく現場で使用されている。この研究の目的は、鼻マスクと口鼻マスクにおけるCPAPレベル・残存AHI、CPAPアドヒアランスを比較した全てのランダム化・非ランダム化比較試験のメタアナリシスを実施することである。
 Cochrane、Medline、Web of Scienceデータベースから該当研究を抽出した。

結果:
 5つのランダム化比較試験、8つの非ランダム化比較試験が同定された(患者数4563人)。
 ランダム効果メタアナリシスでは、鼻マスクと比較して口鼻マスクのほうがCPAPレベルの高さ(Hedges’ g= -0.59, 95%信頼区間-0.82 to -0.37, p<0.001) (平均+ 1.5 cmH2O), 残存AHIの高さ (Hedges’ g= -0.34, 95%信頼区間-0.52 to -0.17, p<0.001) (+ 2.8 イベント/時)、アドヒアランスの不良(Hedges’ g= 0.50, 95%信頼区間0.21 to 0.79, p=0.001) (- 48分/晩)と関連していた。

結論:
 口鼻マスクは、鼻マスクと比較して高いCPAPレベルと関連しており、高い残存AHIおよびアドヒアランス不良とも関連していた。


by otowelt | 2017-12-28 00:35 | 呼吸器その他

血液ガス分析検査値はNPPVの失敗を予測できない

e0156318_21563989.jpg 血液ガス分析の推移で失敗を予測できるわけではなさそうです。

岩井 健一ら
血液ガス分析検査値は非侵襲的陽圧換気療法の失敗を予測できない
日集中医誌 2017;24:625-7.


概要:
 2010 年8 月から2012 年7 月の間に,当院ICUにて,NPPVを用いた呼吸管理を施行された患者を対象に,患者背景と治療予後を後方視的に調査した。NPPVを離脱した患者を「成功群」,NPPV装着後に気管挿管を伴う人工呼吸器管理を必要とした患者を「失敗群」と定義し,両群間で比較した。
 成功群96人と失敗群40人の患者背景には,診療科,NPPV装着の原因病態,APACHEIIスコア以外は差を認めなかった。失敗群でNPPV開始後の血清乳酸値が有意に高く,ICU滞在期間が有意に長く,ICU死亡率が有意に高かったが,NPPV開始後のpH,PaCO2,P/F 比に差を認めなかった
 低いpH,低いP/F比,高いPaCO2などのNPPV開始後の血液ガス分析検査上の特徴は,必ずしもNPPV失敗予測因子にならない可能性が示唆された。


by otowelt | 2017-12-27 00:11 | 集中治療

肺結核の既往があるとCOPD重症度は高くなる

e0156318_1633480.jpg 予想通りの結果です。

Park HJ, et al.
History of pulmonary tuberculosis affects the severity and clinical outcomes of COPD.
Respirology. 2018 Jan;23(1):100-106.


背景:
 肺結核とCOPDの関連についてはいくつか指摘があるが、結核がCOPDに与える影響についてはよく分かっていない。われわれは、結核の既往があるCOPD患者と既往がないCOPD患者の重症度や臨床アウトカムを比較した。

方法:
 われわれは後ろ向きに1784人のCOPD患者データを韓国COPDサブタイプ研究コホートから集めた(2011年12月~2017年1月)。患者データは3年追跡した。

結果:
 1784人の解析では、結核の既往がある患者(468人)のほうが既往のない患者(1316人)よりも、CATスコアおよびSGRQスコアが高かった。3年の追跡では、結核既往がある患者ではCATスコア(318人)、SGRQスコア(295人)、肺機能(182人)は悪いままで、COPD増悪の頻度(295人)も高いままだった。結核の既往がある患者では、1秒量が年0.57%減少し、既往のない群では年0.93%改善した。

結論:
 結核の既往はCOPD重症度に悪く影響を与える。小規模な追試では、その後数年間悪影響が続くことが分かった。


by otowelt | 2017-12-26 00:03 | 気管支喘息・COPD

咳嗽・wheezeプロファイルと喘息発作の頻度

e0156318_13444039.jpg 咳嗽・wheeze症状プロファイルと喘息発作の頻度には、現時点では相関性はなさそうです。
 
Morjaria JB, et al.
Asthma phenotypes: do cough and wheeze predict exacerbations in persistent asthma?
Eur Respir J. 2017 Dec 7;50(6). pii: 1701366. doi: 10.1183/13993003.01366-2017.


背景:
 コントロール不良喘息の長期におよぶ症状プロファイルについてはよく分かっておらず、どの症状が各フェノタイプを予測するものかどうかも分かっていない。

目的:
 この研究では、コントロール不良喘息集団において1日のうちの咳嗽とwheezeを調べた。また、これらの症状が治療反応性に影響を与えるかどうかも調べた。

方法:
 1701人の喘息患者からの電子記録データを1日2回収集した。リリーバー治療であるサルブタモールが、ベクロメタゾン/ホルモテロール維持療法+リリーバー治療(MART療法)と比較された。喘息発作の頻度が症状プロファイルと比較された。

結果:
 症状はBMIの高い高齢者でよくみられた。ほとんどの患者では、咳嗽とwheezeに強い相関がみられた(r=0.73)。咳嗽優位、wheeze優位の2フェノタイプの患者が同定され、前者は過体重・高齢女性に多く、後者は高齢男性に多かった。第1四分位の患者は、症状の強い患者と比較すると発作の頻度が高かったが、第2~4四分位では線形の相関性は観察されなかった。
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(文献より引用)

 治療によって咳嗽やwheezeの1日のうちの症状は軽減していった。MART療法は発作の頻度をサルブタモール単独と比べて有意に減らし、この効果は症状を少なく報告した患者で大きかった。

結論:
 咳嗽やwheezeはコントロール不良喘息と密に相関しているが、症状と発作の頻度には線形の関連は観察されなかった。いくらかの患者では咳嗽優位ないしwheeze優位といったフェノタイプがみられた。症状の少ない患者ではMART治療がオプションとなろう。


by otowelt | 2017-12-25 00:19 | 気管支喘息・COPD

possilbe IPFに対するステロイドはすすめられない

e0156318_7331272.jpg そもそもメリットがないよ、ということでしょう。UIPがらみでなくとも、多くの線維性間質性肺疾患では有害性の方が大きいと考えられます。

Wiertz IA, et al.
Unfavourable outcome of glucocorticoid treatment in suspected idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2017 Dec 5. doi: 10.1111/resp.13230. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 possible IPFは、放射線学的にinconsistent with UIPパターンが胸部HRCTで確認され外科的肺生検でUIPパターンが検出されることで分類される(組み入れ基準:IIP with an inconsistent UIP pattern on HRCT scan and a histological UIP pattern in surgi-cal lung biopsy (SLB))。この群における治療エビデンスは不足しており、観察か免疫調節薬・抗線維化薬治療の間を選択しなければならない。

方法:
 多施設における59人のpossible IPF患者に対するプレドニゾン治療のアウトカムを評価すること。プレドニゾンは、0.5mg/kg/dayから開始し、6ヶ月かけて0.15mg/day/kgまで漸減された。アウトカムには努力性肺活量、重篤な有害事象(死亡あるいは入院)が含まれた。

結果:
 治療を受けたpossible IPFの患者は、68%がノンレスポンダーだった(ベースラインから6ヶ月までの努力性肺活量減少率>5%あるいは死亡)。蜂巣肺のある患者の90%がノンレスポンダーだった。反面、5年よりも前に禁煙している、外科的肺生検で局所的DIP様の反応がみられた7人中6人の患者はプレドニゾンに反応した(努力性肺活量減少率5%未満)。プレドニゾン開始から3ヶ月以内の重篤な有害事象が12人にみられ、5人が死亡した。

結論:
 possible IPF患者では努力性肺活量の減少が顕著であり、ステロイド治療によって相当数の有害事象を被る。


by otowelt | 2017-12-22 00:49 | びまん性肺疾患

デルファイ法によるCHP診断アルゴリズム

Morisset J, et al.
Identification of Diagnostic Criteria for Chronic Hypersensitivity Pneumonitis: An International Modified Delphi Survey.
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Nov 27. doi: 10.1164/rccm.201710-1986OC. [Epub ahead of print]


 国際ガイドラインを作成する方針のようです。エキスパートオピニオンに依存した疾患概念なので、デルファイ法でアルゴリズムを作成していますが、真実はどうなんでしょうか。異論が出そう。
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(文献より引用改変)


by otowelt | 2017-12-21 12:09 | びまん性肺疾患

書籍の紹介:内科病棟・ER トラブルシューティング

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 今日は献本いただいた書籍の紹介です。高岸勝繁先生が執筆され、上田剛士先生が監修された「内科病棟・ER トラブルシューティング」という本です。この二人の名前が並ぶだけで、世の総合診療科医が「あの人たちなら間違いない」と断言する、日本屈指の頭脳派ドクターたちです。

 高岸勝繁先生の本についてはこのブログでも過去に取り上げたことがあります。

書籍の紹介:ホスピタリストのための内科診療フローチャート

 何を隠そう、彼は私の研修医時代の後輩です。「アイツおれの後輩なんだぜ」という言葉を何回使ったことか。高岸先生がどんどん有名になっても、一生使い続けようかな(笑)。研修医時代、彼に「倉原先生、この疾患の例の論文読みました?」と挑戦的な目で言われ、「お、おう、読んだぜ!」と見栄を張ったことも数十回。
 
 この本にはクリティカルな症候別に、高岸イズムがちりばめられています。1つ1つの言葉にエビデンスがあり、その記述は重い。専門領域の項目ですら、私の知らない事実が書かれてあったりして、結構焦ります。前にも書きましたが、「読んで焦る医学書は良い本」です。

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 いまもし自分が謎の病気で苦しんでいたら、誰に診察をお願いしたいかと聞かれると彼ら2人の名前が頭に思い浮かびます。この本は、そういう“医師が信頼する医師”が作り上げた本なのです。


by otowelt | 2017-12-20 00:13 | その他

ICUにおける体重測定は正確か?

e0156318_21563989.jpg 実看護的で興味深く読ませていただきました。

村田洋章ら
ICUにおける体重測定は正確か?
日集中医誌 2017;24:639-40.


概要:
 2013年7月から2014年2月に,スケールベッドで体重測定を行う施設Aと懸架で体重測定を行う施設Bの2施設のICU医師や看護師59名を対象として研究をおこなった。
 調査に同意が得られた対象者は,59名(施設A 29名,施設B 30名)で,男性25名,女性34名であった。スケールベッド・懸架ともに立位に対し相関係数0.99以上の高い相関を示した。スケールベッド・懸架ともに,ライン類装着により測定誤差が平均値で1.0~1.2 kgほど上昇したが,ライン類保持により,ライン類を装着せずに測定したレベルまで低下した。スケールベッドの測定誤差(−0.18±0.23~1.00±0.30)は,すべての測定状況において懸架の測定誤差(0.45±0.45~1.23±0.56)より小さい傾向にあった。
 スケールベッド・懸架による体重測定時に,ライン類を保持しなければ,立位による測定を対照とした体重測定誤差の平均値が1.0 kgを超えたが,ライン類を保持すると測定誤差が減少した。ICUにおける体重測定時に統一された方法でライン類を保持すれば,より正確度の高い体重測定を実施できることが示された。


by otowelt | 2017-12-19 00:57 | 集中治療

慢性咳嗽患者ではArnold神経反射の頻度が健常者の12倍高い

e0156318_11335545.jpg 予想通りの結果ですが、誰もこれまでやらなかった研究です。実は比較的簡単に立案できる研究だったのかな。

Peter V. Dicpinigaitis, et al.
Prevalence of Arnold’s Nerve Reflex in Adults and Children with Chronic Cough
CHEST DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.11.019


背景:
 咳嗽は、気道や遠位食道における迷走神経支配される構造的刺激によって起こる。Arnold神経反射は外耳道の刺激によって誘発される咳嗽であるが、これは迷走神経の耳介枝である。耳鼻咽喉科の外来患者における研究では、この反射の頻度は2~3%とされている。しかし、健常ボランティアや慢性咳嗽患者における頻度はわかっていない。

方法:
 慢性咳嗽のある200人の成人と100人の小児、および健常ボランティアである100人の成人と100人の小児が登録された。綿棒による外耳道の刺激を両耳におこない、反射誘発を評価した。10秒以内に咳嗽が誘発された場合、反射ありと判断した。

結果:
 Arnold神経反射は、慢性咳嗽患者において成人25.5%、小児3%にみられた。健常ボランティアでは成人、小児ともに2%の頻度だった。慢性咳嗽のある成人では、同反射は女性に多く観察され(31.6% vs 12.5%)、片耳の反射の患者がほとんどだった(90.2%)。
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(文献より引用)

結論:
 健常ボランティアと比較して、慢性咳嗽のある成人患者ではArnold神経反射は12倍の頻度だった。これは迷走神経が過敏になっているCough Hypersensitivity Syndrome (CHS)の概念を支持するものである。小児に過剰な反射がみられなかったことは、CHSがウイルス性気道感染症や環境曝露によって獲得される病態であることを示唆する。


by otowelt | 2017-12-18 00:30 | 呼吸器その他