メタアナリシス;急性呼吸不全に対するネーザルハイフローは挿管率・死亡率に影響与えず

e0156318_13512197.jpg ネーザルハイフローに死亡率の改善効果はなく、挿管率にも有意差はないという帰結は、他のメタアナリシスでも同様です(Crit Care Med. 2017 Apr;45(4):e449-e456.)。
 ただ、CEHST誌のメタアナリシスでは挿管率は有意に減少させると報告されています(Chest. 2017 Apr;151(4):764-775. )。
 「どの患者をどこで使用するか」によって変わってくるので、まだ答えは出ていないようにも思います。

Lin SM, et al.
Does high-flow nasal cannula oxygen improve outcome in acute hypoxemic respiratory failure? A systematic review and meta-analysis.
Respir Med. 2017 Oct;131:58-64.


背景:
 急性呼吸不全の患者に対して、ネーザルハイフロー(HFNC)の挿管率や死亡率に対する効果を評価すること。

方法:
 われわれは、PubMedなどの電子データベースを用いて信頼性のある研究を抽出した。通常酸素療法または非侵襲性換気との比較でHFNCを用いた比較試験を2人のレビュアーがデータを抽出し、研究の質を評価した。プライマリアウトカムは挿管率とした。セカンダリアウトカムには院内死亡率が含まれた。

結果:
 8つのランダム化比較試験が登録され、1818人が含まれた。プール解析では、挿管率に有意な差は認められなかった(オッズ比0.79; 95%信頼区間0.60-1.04; P = 0.09; I2 = 36%)。また、院内死亡率にも差はみられなかった(オッズ比0.89; 95%信頼区間0.62-127; P = 0.51; I2 = 47%)。

結論:
 急性呼吸不全に対するHFNCは通常の酸素療法や非侵襲性換気と比較して、挿管率を下げる傾向にはあるが、統計学的には有意とは言えなかった。今後大規模な臨床試験の実施が望まれる。


# by otowelt | 2017-10-17 00:10 | 集中治療

リファンピシン単剤耐性結核に対する治療戦略

e0156318_9552565.jpg  RMR-TBに関しては、キードラッグのINHが使えるので、絶望的というわけではありません。

Park S, et al.
Treatment outcomes of rifampin-sparing treatment in patients with pulmonary tuberculosis with rifampin-mono-resistance or rifampin adverse events: A retrospective cohort analysis.
Respir Med. 2017 Oct;131:43-48.


背景:
 リファンピシン単剤耐性結核(RMR-TB)はまれである。原稿のガイドリアンでは、RMR-TBはMDR-TBとして治療されることが推奨されているが、そのエビデンスは不確かである、

方法:
 われわれは後ろ向きにRMR-TBの症例の臨床的特徴とアウトカムを抽出した。RMR-TBの臨床的特徴は、リファンピシンの服用が副作用で容認できなかった症例(RAE-TB)と比較した。

結果:
 44人のRMR-TB、29人のRAE-TB患者が登録された。RMR-TBは、アルコール使用者、肺結核の既往、重症肺結核像が多く、RAE-TBは高齢者、多数の合併症、肺外結核合併が多かった。
 治療ではフルオロキノロン(FQ)がもっともよく用いられた(RMR-TB:70.5%、RAE-TB:82.8%)。治療中央期間はRMR-TBで453日、RAE-TBで371日だった(p = 0.001)。治療成功率はそれぞれ87.2%、80.0%だった(p = 0.586)。
 治療レジメンによるRMR-TB群のサブ解析(スタンダードレジメン11人、スタンダードレジメン+FQ:12人、MDR-TBレジメン21人)では、MFR-TBレジメン使用者では重症の肺結核病巣だったが、治療成功率に差はなかった(85.7%, 91.7%, 85.0%)。治療期間に差異がみられた。
 2人の結核が再発した(スタンダードレジメン群33.3%)。

結論:
 RMR-TB治療に対する、ファーストライン薬+フルオロキノロンはMDR-TBレジメンと同じくらい有効であった。RMR-TB患者ではより短縮した治療が可能かもしれない。


# by otowelt | 2017-10-16 00:53 | 抗酸菌感染症

サルコイドーシス診断におけるクライオバイオプシーの有用性

e0156318_9551539.jpg やはり気胸の頻度が高いですね。

Aragaki-Nakahodo AA, et al.
The complimentary role of transbronchial lung cryobiopsy and endobronchial ultrasound fine needle aspiration in the diagnosis of sarcoidosis
Respir Med. 2017 Oct;131:65-69. doi:

目的:
 経気管支的肺クライオバイオプシー(TBLC)は、いろいろな間質性肺疾患(ILD)に有用とされる新しい手技である。非選択な集団に対して、TBLCをサルコイドーシスの診断に用いる有用性は不透明であり、気管支内超音波下針吸引(EBUS-FNA)の助けになるかもしれない。

方法:
 単施設教育病院において、、3年の間にサルコイドーシスを疑われた36人でEBUS-FNAおよびTBLCの診断精度を後ろ向きに調べた。胸部CTにおける放射線学的特徴の存在や分布と得られたEBUS-FNA・TBLC検体を比較検証した。合併症についても記録された。

結果:
 われわれのコホートの診断率は80.6%だった(36人中29人に病理学的な確定診断がついた)。これらのうち、18人はサルコイドーシスが疑われ、サルコイドーシス診断を示唆する気管支鏡検体が得られたものであった。病理診断がサルコイドーシスとついたものでは、EBUS-FNAあるいはTBLCの診断率はそれぞれ66.7%ずつだった。ただし、両者を組み合わせるとその精度は100%になった。気胸が11.1%に起こった。

結論: 
 TBLCはサルコイドーシスの診断において安全で、既存手技の手助けになりうる。


# by otowelt | 2017-10-13 00:35 | 気管支鏡

気胸術後に対するPGAシート断端被覆の有用性

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宮原 栄治ら.
若年者自然気胸の術後再発とその予防法の検討―PGAシートによる断端被覆の有用性―
日本呼吸器外科学会雑誌Vol. 31 (2017) No. 6 p. 698-704


背景:
 胸腔鏡下ブラ切除術の術後再発率は開胸術と比較し高率で若年者において顕著である.

方法:
 再発予防のため切除断端・肺炎部を吸収性シート(酸化セルロース・ORCまたはポリグリコール酸・PGA)で被覆しその有効性を検討した.1986年から2015年まで施行した30歳未満の自然気胸初回手術397症例を,T群:腋窩開胸下肺縫縮術,V群:胸腔鏡下自動縫合器によるブラ切除術,O群・P群:胸腔鏡下ブラ切除およびORC(O群)・PGA(P群)によるブラ切除断端・肺尖部被覆,の4群に分けて術後再発率を検討した.

結果:
 T群(3.5%)に比較しV群(12.4%)は有意に高率であった.P群は1.2%でV群に比較し有意に低値であった.10歳台の再発率は15.4%であり20歳台に比較し有意に高値であった.10歳台ではP群34例に再発は認められなかった.

結論:
 若年者自然気胸の胸腔鏡下ブラ切除術においてPGAシート被覆は再発予防に有効であった.


# by otowelt | 2017-10-12 00:37 | 呼吸器その他

気管支鏡による気胸の頻度:クライオイオプシーは従来の10倍

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 気管支鏡による気胸の合併頻度は国地域や試験デザインによってさまざまですが、おおむね0.3~1.7%程度と考えられています1)-4)。そのため、患者さんに気管支鏡の説明を行う際は「気管支鏡によって100人に1人くらいは肺がしぼむことがある」と言っています。日本の呼吸器診療に即したデータでは、経気管支肺生検を受けた患者さんの0.67%に気胸を合併すると報告されています5)。国外の報告よりは、やや少なめの印象です。

 びまん性肺疾患の診断においてクライオバイオプシーが普及するようになると、この気胸の頻度はかなり上昇すると予想されます。過去のまとまった報告を参照すると、概ね10%に起こると考えてよさそうです6)-8)。つまり、少なくとも10倍の発症頻度ということになります。

 CTガイド下生検より頻度は低いですが、頻度が1%程度だと思っていると足元をすくわれるので注意が必要ですね。また、クライオバイオプシーでは組織検体が大きいぶん、出血も多くなります。


(参考文献)
1) Stather DR, et al. Trainee impact on procedural complications: an analysis of 967 consecutive flexible bronchoscopy procedures in an interventional pulmonology practice. Respiration. 2013;85(5):422-8.
2) Tukey MH, et al. Population-based estimates of transbronchial lung biopsy utilization and complications. Respir Med. 2012 Nov;106(11):1559-65.
3) Colt HG, et al. Hospital charges attributable to bronchoscopy-related complications in outpatients. Respiration. 2001;68(1):67-72.
4) Sinha S, et al. Bronchoscopy in adults at a tertiary care centre: indications and complications. J Indian Med Assoc. 2004 Mar;102(3):152-4, 156.
5) Asano F, et al. Deaths and complications associated with respiratory endoscopy: a survey by the Japan Society for Respiratory Endoscopy in 2010. Respirology. 2012 Apr;17(3):478-85.
6) Iftikhar IH, et al. Transbronchial Lung Cryobiopsy and Video-assisted Thoracoscopic Lung Biopsy in the Diagnosis of Diffuse Parenchymal Lung Disease. A Meta-analysis of Diagnostic Test Accuracy. Ann Am Thorac Soc. 2017 Jul;14(7):1197-1211.
7) Sharp C, et al. Use of transbronchial cryobiopsy in the diagnosis of interstitial lung disease-a systematic review and cost analysis. QJM. 2017 Apr 1;110(4):207-214.
8) Johannson KA, et al. Diagnostic Yield and Complications of Transbronchial Lung Cryobiopsy for Interstitial Lung Disease. A Systematic Review and Metaanalysis. Ann Am Thorac Soc. 2016 Oct;13(10):1828-1838.



# by otowelt | 2017-10-11 07:47