びまん性肺疾患の診断におけるクライオ生検(cryobiopsy)は同一葉内別部位から検体を採取した方がよい

e0156318_9551539.jpg 夏に発売されます。
 一式そろえるのに700~800万円必要とのことですが、いつかこれが主流になる日を心待ちにしています。

Ravaglia C, et al.
Transbronchial Lung Cryobiopsy in Diffuse Parenchymal Lung Disease: Comparison between Biopsy from 1 Segment and Biopsy from 2 Segments - Diagnostic Yield and Complications.
Respiration. 2017;93(4):285-292.


背景:
 経気管支肺クライオ生検(cryobiopsy)は、びまん性肺疾患の患者の肺実質から検体を得る革新的な方法である。しかしながら、その技術はまだ確立されておらず、適切なプロトコル(検体数、検体サイズ、採取部位)は定まっていない。

目的:
 検体数、採取部位、検体サイズといった肺組織検体採取の異なる手法ごとで、診断率や合併症に差がみられるか調べた。

方法:
 われわれはびまん性肺疾患が疑われた46人の患者を前向きに登録した。全患者は経気管支肺クライオ生検(cryobiopsy)を受けた。患者は、グループA(同一部位から4検体採取)とグループB(同一葉内の別の2部位から2検体採取)に分けられた。

結果:
 平均検体サイズは29~30mmだった(初回生検は35mmm程度が多かった)。
 平均診断率は、2群を合わせると1回しか検体しなかった例でも69%であった。2回目以降の生検をおこなうと、平均診断率は改善したが、その効果がみられたのはグループB群のみだった(96%)。
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(文献より引用:Table2)

結論:
 びまん性肺疾患の診断において、同一葉内の別の部位から2検体ずつクライオ生検すると診断率が上昇する可能性が示唆された。


# by otowelt | 2017-06-27 00:18 | びまん性肺疾患

気胸の治療は、胸腔ドレナージよりも針穿刺吸引の方がよい

e0156318_14441648.jpg 持続的エアリークがある場合は胸腔ドレナージの方がよい気がしますが、それを含めても総じて針穿刺吸引の方がよいのならば、気胸のプラクティスは大きく変わります。ただ、セカンダリアウトカムはやや恣意的な気がします。

A. Thelle, et al.
Randomised comparison of needle aspiration and chest tube drainage in spontaneous pneumothorax
European Respiratory Journal 2017 49: 1601296; DOI: 10.1183/13993003.01296-2016


背景:
 自然気胸におけるガイドラインは、針穿刺吸引(NA)と胸腔ドレナージ(CTD)の介入に関して矛盾がある。そのため、ガイドラインに遵守していないという研究も示されている。

方法:
 3つのノルウェーの病院で原発性自然気胸(PSP)および二次自然性気胸(SSP)の患者を登録した。患者はNAあるいはCTDを初期治療として適用された。プライマリアウトカムは入院期間とした。セカンダリアウトカムは、処置直後(CTD群:72時間以内の胸腔ドレーン抜去、NA群:悪化がみられないこと)および1週間後の治療成功率(両群とも退院)と合併症とした。
 NAでは、16GのSecalon-Tが用いられた。空気が引けなくなったところで処置終了としている。その後胸部レントゲン写真で悪化所見があれば、2回目の穿刺をおこなった。

結果:
 127人が登録され、48人がSSPだった。65人がNAを、63人がCTDを実施された。NAは、1回の穿刺で50%が治癒し、2回目の穿刺を受けた24人では46%が治癒し、最終的に胸腔ドレナージに転換したのが20人だった。
 入院期間中央値(IQR)はNA群で有意に短かった(NA:2.4日[1.2-4.7日]、CTD:4.6日[2.3-7.8日])(p<0.001)。
 処置直後の成功率は、NA69%、CTD32%だった(p<0.001)。NAの有効性はSSP・PSP・過去に気胸のエピソードがあったかどうかというサブグループでも同様だった。1週間時での成功率に差はなかった。
 合併症はCTD治療中にのみ観察された。

結論:
 われわれの研究では、CTDと比較してNAの方が短い入院期間で高い成功率をもたらすことがわかった。サブグループ解析では、PSPとSSPのいずれにおいてもNAの方に利益があることがわかった。


# by otowelt | 2017-06-26 00:56 | 呼吸器その他

LAMにおけるCA-125は、胸水・肺機能低下と関連しシロリムス治療によって減少

e0156318_21492533.jpg まれな疾患ですが、キーとなる因子はおさえておきたいですね。

Connie G. Glasgow, et al.
CA-125 in Disease Progression and Treatment of Lymphangioleiomyomatosis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.018


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、TSC1/2腫瘍抑制遺伝子の変異がある腫瘍様LAM細胞の増殖によって引き起こされる女性の進行性肺疾患である。症例報告に基づき、CA-125がLAM患者で上昇することが示されている。われわれは、幾人かのLAM患者にみられるCA-125の上昇はLAMによるものであり、他の悪性腫瘍とは関連しておらず、またシロリムス治療に反応性がみられるものと仮説を立てた。

方法:
 241人のLAM患者でCA-125が測定された。診療録で併存疾患、疾患進行性、シロリムス治療反応性などが調べられた。LAM細胞のCA-125発現が免疫組織化学的に調べられた。

結果:
 LAM患者の25%に、少なくとも1回の血清CA-125上昇がみられた。多変量モデルでは、高いCA-125は、1秒量低値、パフォーマンスステータス、胸水と関連していた(p<0.001)。血清CA-125はシロリムス治療後に減少していた(p=0.002)。CA-125およびα平滑筋アクチンはLAM肺結節に共発現していた。

結論:
 LAM患者におけるCA-125高値は胸水、肺機能低下と関連し、シロリムス治療に反応して減少した。LAM細胞はCA-125を発現していた。CA-125上昇は、漿膜浸潤を反映しているのかもしれない。


# by otowelt | 2017-06-23 00:47 | びまん性肺疾患

特発性喀血症35例の臨床的検討

e0156318_1117273.jpg 個人的には、ティッシュでは対応できない喀血はBEA適応と考えています。もちろん、喀血の専門の先生からしてみたら確たる基準はあるのでしょうが・・・。
 日本の喀血診療で最先端をひた走っている岸和田盈進会病院の止血率も90%以上と報告されており(BMJ Open. 2017 Feb 17;7(2):e014805.)、期待をもって紹介状を書くことができるのは、呼吸器内科医としても頼もしい限りです。
 さて、国内の呼吸器内科医にとってはよく知られていた「特発性喀血症」。次第に国際的にも認められるようになるでしょうか。

Takahiro Ando, et al.
Clinical and Angiographic Characteristics of 35 Patients with Cryptogenic Hemoptysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.05.007


背景: 
 喀血は致死的な状態に陥ることがあり早急な治療をしばしば要する。喀血症例の20%が臨床的検査の後にも特発性であると診断されている。この研究の目的は、臨床的および血管造影的特徴を特発性喀血症患者で明らかにすることである。

方法:
 われわれは2010年10月から2015年9月までに我々の病院に入院した35人の患者を後ろ向きに同定した。

結果:
 35人のうち、気管支動脈塞栓術(BAE)が成功したのは33人(94.3%)で、気管支鏡的に止血しえたのは1人(2.8%)だった。塞栓術は1人(2.8%)の患者では実施しなかった、これは気管支動脈があまりに狭小化していたためである。塞栓術が成功した群では、20ヶ月時非出血率は97.0%だった。気管支動脈の直径は、血管造影時に13人で2mm未満、17人で2-3mm、5人で3mm超だった。hypervascularizationが29人(82.9%)にみられ、小気管支動脈瘤が8人(22.9%)にみられた。喀血量は12人がわずか(50mL/日 未満)で、11人が軽度(50-100mL/日)で、8人が中等症(100-200mL/日)で、4人が大量(>200mL/日)だった。気管支動脈径と喀血量の間に明らかな関連性は観察されなかった。

結論:
 特発性喀血症に対するBAEはきわめて有効である。おおくの症例では血管造影で小動脈瘤などの異常がみられたが、これが原因と思われるのは一部の症例のみであった。


# by otowelt | 2017-06-22 00:05 | 呼吸器その他

IPF・CHPの咳嗽はSSc-ILDよりも強い

e0156318_11335545.jpg 少しニッチなテーマですが。先日のATSでも発表されていた内容ですね。

JASMINE Z. CHENG, et al.
Cough is less common and less severe in systemic sclerosis-associated interstitial lung disease compared to other fibroticinterstitial lung diseases
Respirology, in press.


背景および目的:
 この研究の目的は、IPF、CHP、SSc-ILDの咳嗽の頻度と特性を調べることである。

方法:
 咳嗽の重症度が、連続したIPF患者77人、CHP患者32人、SSc-ILD患者67人で評価された。10cmVASを用いて呼吸困難およびQOLを評価した。この咳嗽重症度をILDサブタイプで比較し、多変量解析で咳嗽重症度を予測する因子を調べた。

結果:
 咳嗽はIPFおよびCHPのほうがSSc-ILDより有意に多く(87%・83% vs 68%、p=0.02)。IPFコホートではVAS中央値は39(IQR17-65)、CHPコホートでは29(IQR11-48)、SSc-ILDコホートでは18(0-33)だった(P < 0.0001)。咳嗽はCHPおよびIPFでは湿性であることが多かった(63%・43% vs 21%, P < 0.001)。咳嗽重症度は、ILD診断や呼吸困難の強さとは独立していた。また、咳嗽重症度はその他のよくある咳嗽の原因疾患とは関連していなかった。年齢、性別、呼吸困難、ILD重症度で補正しても、咳嗽はIPF・SSc-ILDにおいて有意なQOL予測因子であった。しかしCHP患者では咳嗽はQOLとは関連していなかった。
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(文献より引用:Figure2引用改変)

結論:
 ILD重症度が同程度であったとしても、SSc-ILDの咳嗽よりもIPF・CHPの咳嗽の方がより強度である。咳嗽重症度は、呼吸困難や肺機能に独立して関連しており、IPF・SSc-ILDではQOLの障害に有意に寄与する。


# by otowelt | 2017-06-21 00:05 | びまん性肺疾患