ATS2017開幕:速報ページのお知らせ

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 昨年同様、FacebookでATS2017のニュースを取り上げていくことにしたので、呼吸器内科医の皆様、是非チェックしてみて下さい。

 数日間で連続投稿されるため、フォロワーの方はタイムラインがビジーになるので注意してください。

 ATS情報収集と速報発信に専念するため、ブログは1週間お休みさせていただきます。

URL:Facebookサイト「呼吸器内科医」 https://www.facebook.com/pulmonarist

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# by otowelt | 2017-05-20 11:44 | 呼吸器その他

喀痰の肺炎球菌抗原キット(ラピラン) による肺炎球菌性肺炎の診断

e0156318_10322082.jpg 福岡大学呼吸器内科池亀聡先生の報告です。

Ikegame S, et al.
The Evaluation of the Sputum Antigen Kit in the Diagnosis of Pneumococcal Pneumonia
Intern Med 56: 1141-1146, 2017


目的:
 喀痰用の肺炎球菌抗原検出キットが開発され、 喀痰から肺炎球菌性肺炎の迅速診断が可能となった。 このキットを用いた前向き研究を行った。

方法:
 2014年4月~2015年9月の間、 肺炎で当院に入院となった患者を対象に痰培養、 喀痰肺炎球菌抗原検出キット(ラピラン®)、 尿中肺炎球菌抗原検出キットの検査を行いそれぞれの有用性を比較 する前向き研究を行った。 研究の期間中に登録できなかった症例は後ろ向き研究という形で痰 培養、尿中抗原キットなどの検査データの解析を行った。

結果:
 前向き研究では69例が登録され、 9例が肺炎球菌性肺炎であった。 喀痰キットは喀痰培養検査結果と相関し肺炎球菌検出を予測できた 。また、感度に関しては喀痰キット88.9%(8/9)、 尿中抗原55.6%(5/9)と喀痰キットが高い傾向にあった。 治験登録できなかった症例も含めた検討では喀痰培養の感度93. 5%(29/31)、尿中抗原の感度60.6%(19/31) であり、これらの結果を踏まえ、 喀痰キットは尿中抗原より感度良好と結論付けた。
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 喀痰キットの偽陽性は4例でうち3例は事前の抗菌薬投与が行われ ており喀痰培養結果の修飾が疑われ、1例はS. intermidiusによる膿胸の関与が疑われた。

結論:
 総合的な判断で、 喀痰抗原キットは尿中抗原キットより高い感度と判断されたが、 事前の抗菌薬投与は培養を陰性化させることで喀痰キットの偽陽性の原因となる可能性がある。

コメント:
 尿中抗原キットのみ陽性で喀痰抗原キット陰性・ 喀痰培養陰性の症例が肺炎球菌性肺炎確定例(培養陽性) の半数程度存在した。 尿中抗原キットのみ陽性の症例を肺炎球菌性肺炎とすべきかについ ては今後の検討が必要である。


# by otowelt | 2017-05-18 00:25 | 感染症全般

家族性肺線維症の胸部HRCTパターンによる違い

e0156318_21341355.jpg 家族性肺線維症は比較的若年発症であることが知られています(Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2014 Apr 18;31(1):28-36.)。MUC5Bの転写開始点の上流にあるSNP(rs35705950)が関与しているのではないかと考えられています。

Bennett D, et al.
Familial pulmonary fibrosis: Clinical and radiological characteristics and progression analysis in different high resolution-CT patterns.
Respir Med. 2017 May;126:75-83. doi: 10.1016/j.rmed.2017.03.020.


背景:
 家族性肺線維症(FPF)は、同一の生物学的家系に2人以上の特発性びまん性肺実質病変をきたすものと定義されている。この研究の目的は、疾患進行および生存に関してFPFの臨床的、機能的、放射線学的特徴を調べることである。

方法:
 FPF集団(46人)におけるベースラインの臨床的、機能的、放射線学的データを後ろ向きに収集し、2011年IPFガイドラインHRCT分類に準じて分類した。1年後の呼吸機能検査および生存解析が実施された。

結果:
 30家系に属する、女性22人・男性24人(診断時年齢58.5±9.7歳)が登録された。放射線学的解析では、胸部HRCTでUIPパターンがみられたのは全体の54.3%で、possible UIPパターンがみられたのは21.8%、inconsistent with UIPパターンがみられたのは23.9%だった。inconsistent with UIPパターンがみられた患者は若年で女性が多かった。呼吸機能検査では、UIPパターンおよびinconsistent with UIPパターンの患者では拘束性換気障害がみられたが、possible UIPパタンーンの患者ではおおむね正常でDLCOの障害も軽度だった。BALでは、リンパ球比率の増加がinconsistent with UIPパターン患者でみられた。1年後の呼吸機能検査ではUIPパターンの患者のみで有意な悪化がみられた。possible UIPパターンからUIPパターンへの移行が18%にみられた。生存期間中央値は3つのグループで有意差はなかったが、possible UIPパターンがもっとも長かった。

結論:
 FPFは予後不良の複雑な病態である。今回の研究では、FPF患者の機能的・放射線学的データは胸部HRCTパターンによって異なる経過をみせたが、possible UIPパターンおよびUIPパターンは同一病型を見ていると考えられるものの、inconsistent with UIPパターンは別の臨床的・放射線学的特徴を有する集団であることが示唆された。


# by otowelt | 2017-05-17 00:21 | びまん性肺疾患

肺MAC症における浸潤影・空洞容積は肺機能・SGRQと関連

e0156318_13334416.jpg 実地臨床で感じるところと同じ結果ですね。

Asakura T, et al.
Impact of cavity and infiltration on pulmonary function and health-related quality of life in pulmonary Mycobacterium avium complex disease: A 3-dimensional computed tomographic analysis.
Respir Med. 2017 May;126:9-16. doi: 10.1016/j.rmed.2017.03.010.


背景および目的:
 肺MAC症は、浸潤影、結節、空洞、気管支拡張症などさまざまな疾患像を呈する。しかしながら、肺病変における臨床パラメータの決定因子はいまだ不明である。この研究の目的は、定量的パラメーターを3次元CTで得て、これらパラメータと肺機能とQOLの関連を調べることである。

方法:
 胸部CTの定量解析が67人の肺MAC症患者に対して適用された。3次元CTを用いて肺病変を評価する新規定量的パラメータと肺機能・SGRQスコアの関連性が評価された。

結果:
 全肺容積に対する浸潤影の比率は、有意に肺機能結果と相関していた(%努力性肺活量:ρ = -0.52、残気量:ρ = -0.51、全肺気量:ρ = -0.59)。空洞を有する患者では、空洞容積は%努力性肺活量と強く相関しており(ρ = -0.78)、一方、空洞を有さない群では、全肺容積に対する浸潤影の比率が%努力性肺活量と強く相関していた(ρ = -0.53)。また空洞を有さない群では、全肺容積に対する浸潤影の比率は有意にSGRQパラメータと関連していた(ρ = 0.41-0.52)。

結論:
 3次元CTを用いた解析では、肺MAC症患者において浸潤影は肺機能およびSGRQに対して重要なパラメータであった。また、空洞を有する患者では、空洞容積は肺機能の重要なパラメータであった。ゆえに、浸潤影と空洞容積は肺MAC症マネジメントの重要な特徴であると言える。


# by otowelt | 2017-05-16 00:06 | 抗酸菌感染症

肺MAC症の治療は菌陰性化1年を超えても続けるべきか?

e0156318_13334416.jpg たしかに、スパっと1年でやめると再発することが多いような気がします。

Kadota J, et al.
The clinical efficacy of a clarithromycin-based regimen for Mycobacterium avium complex disease: A nationwide post-marketing study.
J Infect Chemother. 2017 May;23(5):293-300.



背景:
 2007年ATS/IDSAステートメントでは、肺MAC症の治療はクラリスロマイシンをベースにした多剤併用治療が推奨されており、菌陰性化から約1年継続するべきとされている。しかしながら、それを裏付けるデータはあまり多くない。われわれの目的は、クラリスロマイシンをベースにしたレジメンの国内臨床アウトカムデータを得ることである。

方法:
 日本のガイドラインに準じて患者は組み入れられ、放射線学的あるいは微生物学的検査が行われた。クラリスロマイシン、リファンピシン、エタンブトールの併用レジメン(クラリスロマイシンベースレジメン)を菌陰性化まで継続し、治療は初回陰性から約1年継続された。データは投与前、菌陰性化時、治療終了時、治療終了6ヶ月時に実施された。

結果:
 466人の患者のうち、肺MAC症に対してクラリスロマイシン800mg/日を処方されていたのは271人だった。これらの患者の菌陰性化率は94.7%だった。微生物学的再発率は追跡しえた100人中5人(5%)だった。再発は、菌陰性化後治療を15ヶ月未満継続された患者で観察された。薬剤による致死的あるいは重篤な合併症はなかった。

結論:
 肺MAC症に対するクラリスロマイシンベースレジメンは高い菌陰性化率を誇る。陰性化の後、15ヶ月未満の治療継続だと、再発を予防するには不十分かもしれない。


# by otowelt | 2017-05-15 00:01 | 抗酸菌感染症