ARDSリスクのある患者に対する早期ICS/LABAは酸素化を改善する

e0156318_13444039.jpg ARDSリスクのある患者さんに、シムビコート®を吸ってもらった、ということですね。

Festic, Emir, et al.
Randomized Clinical Trial of a Combination of an Inhaled Corticosteroid and Beta Agonist in Patients at Risk of Developing the Acute Respiratory Distress Syndrome.
Crit Care Med, February 24, 2017


目的:
 ARDS患者における肺傷害に直接作用する呼吸器系薬剤の効果についてはよくわかっていない。吸入ステロイド薬+β刺激薬の早期治療は、ARDS進行を抑制するかもしれない。

方法:
 アメリカにおける5つの教育医療センターでおこなわれた、二重盲検ランダム化比較試験。患者は救急部を通じて入院したARDSリスクのある患者である。エアロゾル化されたブデソニド/ホルモテロールあるいはプラセボを1日2回5日間継続した。
 プライマリアウトカムは、5日時点でのSaO2/FiO2()S/F比)の変化とした。わたわれわれは、20%を超えるS/F比の定性的変化を解析した。他のアウトカムとして、人工呼吸器の必要性、ARDSの発症を含めた。

結果:  
 61人の患者が2013年9月3日から2015年6月9日まで登録された。受診から初回投薬までの時間の中央値は9時間以内だった。コントロール群の多くの患者が登録時ショックを呈していた(14人 vs 3人)。S/F比の上昇は治療群で大きく(p = 0.02)(図)、これはベースラインのショックの存在(p = 0.04)、LIPSスコア(p=0.001)、年齢(p=0.001)とは独立していた。定性的な解析(20%を超える変化)でもS/F比は改善した(p = 0.01)が、これはショックの有無で補正をしていない解析結果である(p = 0.15)。プラセボ群の多くの患者はARDSを発症し(7人 vs 0人)、人工呼吸を要した(53% vs 21%)。
e0156318_12154674.jpg
(文献より引用:S/F比[Figure2])

結論:
 ARDSのリスクがある患者に早期の吸入ブデソニド/ホルモテロールを用いることは、良好なアウトカムをもたらし、酸素化を改善する。



▼楽天

# by otowelt | 2017-03-21 00:58 | 集中治療

システマティックレビュー:抜管前の予防的ステロイド投与は抜管後気道イベントや再挿管を減らす

e0156318_21563989.jpg 倉敷中央病院からの報告です。

Akira Kuriyama, et al.
Prophylactic corticosteroids for prevention of post-extubation stridor and reintubation in adults: a systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.02.017


背景:
 抜管後stridorや再挿管を予防するために、選択的抜管前にステロイドを投与することがある。われわれは、選択的抜管前の予防的ステロイドによってどの患者が利益を受けるか同定するべく、システマティックレビューをアップデートした。

方法:
 PubMedなどの電子データベースを検索し、2016年2月29日までの妥当な文献を抽出した。適格文献は、選択的抜管前に予防的ステロイド投与を行う効果と安全性を人工呼吸器を装着した成人患者において検証したランダム化比較試験とした。DerSimonian-Laird法ランダム効果モデルを用いた。

結果:
 11の試験、2492人の患者が解析に組み込まれた。予防的ステロイドは、プラセボや無治療と比較して抜管後気道イベントの発生の減少と関連していた(リスク比0.43、95%信頼区間0.29-0.66)。また再挿管の減少とも関連していた(リスク比0.42、95%信頼区間0.25-0.71)。この関連性は抜管後気道合併症のハイリスク患者で顕著であった(抜管後気道イベント発生:リスク比0.34、95%信頼区間0.24-0.48、再挿管:リスク比0.35、95%信頼区間0.20-0.64)。リスク患者はカフリークテストで同定した。有害事象はまれであった。

結論:
 選択的抜管前に予防的ステロイドを投与することで、抜管後の気道イベントや再挿管のリスクを減らすことができる。



▼楽天

# by otowelt | 2017-03-17 00:35 | 集中治療

EGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌は免疫チェックポイント阻害薬が効きにくい?

e0156318_12291546.jpg Lee CK, et al.
Checkpoint Inhibitors in Metastatic EGFR-Mutated Non-Small Cell Lung Cancer-A Meta-Analysis.
J Thorac Oncol. 2017 Feb;12(2):403-407. doi: 10.1016/j.jtho.2016.10.007. Epub 2016 Oct 17.


背景:
 EGFR遺伝子変異のある進行非小細胞肺癌(NSCLC)の二次治療として免疫チェックポイント阻害薬を用いる役割を調べるため、メタアナリシスを実施した。

方法:
 化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の効果を比較したランダム化比較試験を同定した。ITT集団およびEGFR陽性集団の全生存期間(OS)のハザード比および95%信頼区間を算出。固定効果モデルを用いて、治療効果を類推した。

結果:
 3つの臨床試験が組み込まれた(ニボルマブ292人[Checkmate 057試験]、ペムブロリズマブ691人[Keynote 010試験]、アテゾリズマブ144人[POPLAR試験])。比較レジメンはドセタキセル(776人)。
 免疫チェックポイント阻害薬は有意にOSをドセタキセルよりも改善した(1903人, ハザード比0.68, 95%信頼区間0.61-0.77, p < 0.0001)。EGFR野生型では有意な改善だったが(1362人, ハザード比0.66, 95%信頼区間0.58-0.76, p < 0.0001)、EGFR陽性群(186人、ハザード比1.05, 95%信頼区間0.70-1.55, p < 0.81; 治療-遺伝子変異interaction p = 0.03)。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLCにおいて、免疫チェックポイント阻害薬はドセタキセルと比較したOSを改善しなかった。



▼楽天

# by otowelt | 2017-03-16 00:21 | 肺癌・その他腫瘍

何となく研修医に伝えたいこと その13:患者さんは人生がかかっている

e0156318_13343866.jpg・はじめに
 臨床実習(ポリクリ)や研修医の頃に、指導医の病状説明に同席させてもらうことがあるはずです。特に研修医は、そのノウハウを間近で吸収するチャンスでもあります。

 私は医学生の頃、病状説明に何度か同席したことがあります。しかし、「今日は僕勉強が忙しいんだけどなあ、何分くらいかかるのかなあ」と病状説明に臨む患者さんに失礼なことを考えていたことがありました。

 丁寧な病状説明が患者さんの薬になるという意味で、「ムンテラマイシン」という言葉もあります。今は死語らしいですが・・・、ううむ歳をとった。『イヤーノート』や『病気がみえる』にはたくさんの最新の治療法が書かれています。しかし何よりも重要なのは、患者さんが理解しやすいよう・咀嚼しやすいよう伝えることです。げんこつせんべいを「コレおいしいですよ」と手渡しても、噛めずに歯が折れてしまえば元も子もありません。

 病状説明の重要性を実感するのは、医師免許をとった後です。特に独り立ちし始める後期研修医になると、誰しも己の能力不足を痛感するでしょう。


・自分が病気になったと思え
 医学生や研修医を自分の患者さんの病状説明に同席させるとき、「自分が病気になったと思って参加してください」と言います。誰だって、自分の健康状態には神経質になります。がんの告知されたら頭が真っ白になってしまいますし、治療内容や将来のことを少しでも主治医から聞きたいと思うはずです。

 「あなたたちのように医療現場に飛び込んだばかりの人たちは、第三者でも第二者でもなく、当事者になったつもりで病状説明を聞いて下さい。そうすれば、病気について何が知りたいのか、何が不安なのか、必ず分かるはずです。」

 医学生や研修医にはそのように伝えています。

 患者さんの人生のターニングポイントに立ち会うこと、それが病状説明を聞くということです。あなたがたの大学の文化祭の出し物よりも、医師国家試験の合格発表よりも、患者さんは重要な局面を迎えているのです。

 「患者さんは人生がかかっている」と言うのは簡単です。それを当事者として実感しながら、臨床実習や研修に臨める医療人であって欲しいと心から願っています。



<何となく研修医に伝えたいこと>
その1:夕方に指示を出すべからず
その2:病棟ではあまりタメ口は使うべからず
その3:患者さんの社会背景や退院後の生活を常に考えるべし
その4:1日2回は患者さんに会いに行くべし
その5:ポリファーマシーのクセをつけない
その6:研修医時代は早めに出勤した方がよい
その7:クリアカットになりすぎない
その8:「●●も否定できない」は肯定の理由にはならない
その9:処方する前に必ず添付文書をチェックするべし
その10:医学書は衝動買いしない
その11:他科へのコンサルテーションは目的を明確に
その12:指導医をバカにしない



▼楽天

# by otowelt | 2017-03-15 00:33 | コラム:研修医に伝えたいこと

LAMに対するシロリムスとヒドロキシクロロキンの併用療法

e0156318_21492533.jpg 稀少疾患の貴重なデータです。抗マラリア薬であるクロロキンにオートファジー阻害作用があることがわかっており、がんの領域でも研究が進んでいます。

Souheil El-Chemaly, et al.
Sirolimus and Autophagy Inhibition in LAM: Results of a Phase I Clinical Trial
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.033


背景:
 動物や細胞レベルでの研究では、リンパ脈管筋腫症(LAM)におけるオートファジー阻害の重要性が支持されている。LAMコホートで、われわれはシロリムスとヒドロキシクロロキン(オートファジー阻害目的)の併用治療を2用量レベルで検証し、安全性と忍容性について調べた。セカンダリエンドポイントには肺機能の変化を含めた。

方法:
 この48週の2施設共同第1相試験では、18歳以上のLAM患者に対してヒロドキシクロロキン100~200mg1日2回をシロリムスと併用してもらった(ヒドロキシクロロキンは漸増する)。

結果:
 14人の患者がインフォームドコンセントにより登録された。13人がコホートでの治療を受け、3人が200mg/dayのヒドロキシクロロキン、10人が400mg/dayのヒドロキシクロロキンの併用療法を受けた。
 もっともよくみられた副作用は粘膜炎、頭痛、下痢であった。薬剤による重篤な有害事象は報告されなかった。
 セカンダリエンドポイントでは24週時点での肺機能は改善したが、48週時点では悪化していた。高用量ヒドロキシクロロキンを分けて解析すると、1秒量および努力性肺活量は48週時点でも維持されていた。しかし、ベースラインからの6分間歩行距離は短縮していた。

結論:
 シロリムスとヒドロキシクロロキンの併用は忍容性がある。大規模臨床試験において肺機能に対する潜在的効果を検証すべきだろう。


# by otowelt | 2017-03-14 00:41 | びまん性肺疾患