5歳未満の喘息小児に対するスピリーバ®レスピマットの有効性

e0156318_1637713.jpg これはすごいですね。レスピマットなので小児にも吸いやすいですし。大規模な臨床試験を計画する根拠になるでしょう。

Vrijlandt EJLE, et al.
Safety and efficacy of tiotropium in children aged 1-5 years with persistent asthmatic symptoms: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2018 Jan 17. pii: S2213-2600(18)30012-2. doi: 10.1016/S2213-2600(18)30012-2. [Epub ahead of print]


背景:
 5歳未満の小児における喘息治療の効果と安全性データは限られている。われわれは、LAMAであるチオトロピウムを1~5歳の遷延性喘息症状がある小児に用いることの効果と安全性を検証した。

方法:
 12週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験が世界各国32病院で実施された。1~5歳の小児で、少なくとも6ヶ月の遷延性喘息症状があり、吸入ステロイド薬(ICS)を必要としているものを対象とした。患児は既存ICS治療±他のコントローラーに加えて、1日1回のチオロピウム2.5μg・同5μg・プラセボにランダムに割り付けられた。患者側と研究者側にはどの治療に割り付けられたかマスクされた。チオトロピウムはレスピマットを用いて1回2吸入おこなわれた。プライマリアウトカムは安全性で、チオトロピウムとプラセボの有害事象が比較された。またベースラインから12週時点での日中の喘息症状を評価項目として治療効果もがアセスメントされた。上記アウトカム解析は少なくとも1回の吸入がおこなわれた患児全員を対象とした。

結果:
 2012年7月26日から2014年12月4日までに、102人の小児が登録された(36人:チオトロピウム2.5μg群、32人:チオトロピウム5μg群、34人:プラセボ群)。101人の小児が試験を完遂し、解析対象となった。日中の喘息症状スコアはベースラインから12週時点でどの群でも有意な差はみられなかった。
 チオトロピウム2.5μg群とプラセボ群の喘息症状スコア補正平均差は-0.080(95%信頼区間-0.132~0.152)で、同5μ群とプラセボ群の補正平均差は-0.048(95%信頼区間-0.292~0.195)だった。有害事象はチオトロピウム群の方がプラセボ群より少なかった(56% vs 58% vs 74%)。有害事象登録として喘息発作を記録された患児は、プラセボ群の方がチオトロピウム群より多かった(14% vs 6% vs 29%)。重篤な有害事象は3人に観察されたが、すべてプラセボ群だった。
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(Kaplan-Meier曲線:初回喘息発作まで)

結論:
 小規模ではあるが、これは1~5歳の喘息小児に対するチオトロピウムの効果と安全性を検証した初めての研究である。チオトロピウムの忍容性はプラセボと同等であり、これは成人高齢者と同じ結果だった。日中の喘息症状スコアは両群ともに同等という結果であったがチオトロピウムは喘息発作を軽減させる可能性がある。


# by otowelt | 2018-02-13 00:11 | 気管支喘息・COPD

悪性リンパ腫診断における気管支鏡検査の有用性

e0156318_1201713.jpg 当院の検討です。

田原 正浩ら.
悪性リンパ腫診断における気管支鏡検査の有用性
気管支学 39 巻 (2017) 6 号 p. 496-501


背景:
 肺病変を有する悪性リンパ腫では,気管支鏡検査のみでは診断困難なことが多く,しばしば外科的肺生検などの侵襲を伴う検査を要する.今回我々は,当院における悪性リンパ腫診断における気管支鏡検査の有用性を明らかにするため,後方視的に症例検討を行った.

対象と方法:
 2009年から2015年の7年間で,当院において悪性リンパ腫と病理組織診断した44例のうち,気管支鏡検査を施行した16例を検討した.

結果:
 年齢は20歳から82歳(中央値70歳),男性5例,女性11例であった.最終診断はMALTリンパ腫が6例,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が8例,ホジキンリンパ腫が2例であった.気管支鏡検査時目的病変の胸部CTの主な所見としてはpulmonary mass(≧3 cm)が7例と最多で,次いでmass-like consolidationを5例認めた.確定診断法は経気管支生検9例,外科的肺生検5例,CTガイド下肺生検1例,縦隔鏡下リンパ節生検1例であった.気管支鏡検査時に直視下生検を行った症例が6例あり,そのうち5例で確定診断が可能であった.

結論:
 悪性リンパ腫に対し気管支鏡検査を施行した16例のうち,9例が経気管支生検で診断可能であった.直視下生検例では悪性リンパ腫と診断できる可能性が高いことが示唆された.


# by otowelt | 2018-02-09 00:57 | 気管支鏡

GOLD2017の重症度A-D分類は予後予測能として不十分

 日本でも重症度分類を使うことが多くなりましたが、縦軸が非常に使いづらく、A vs C, B vs Dのはざまに落ち込む患者さんが結構います。

Anne Gedebjerg, et al.
Prediction of mortality in patients with chronic obstructive pulmonary disease with the new Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease 2017 classification: a cohort study
Lancet Respiratory Medicine、DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30002-X

概要:
 GOLD2017では、これまでのGOLD Stage1-4と重症度分類A-Dが別々に表記されるようになりました。重症度分類A-Dの方が治療内容や予後予測に関して実臨床とマッチしていると評価されていましたが、オランダの研究で後者が否定的となりました。トラディショナルなStage1-4の方が予後をよく予測できるようです。全体の死亡率は重症度B>Cという結果でしたが、心血管系疾患による死亡は両群同等でした(症状が強いので重症度Bは心血管系リスクが高いとされていた)。苦肉の策として、GOLD1-4に重症度A-Dを付け加えて1A-4Dの16分類にすると、どうにか層別化ができたと報告していますが、どう考えても16個に分類されたCOPDなど実臨床で有用であるはずもなく。
 重症度A-Dは治療内容とヒモ付けされているので、とりあえずは予後予測には懐疑的な流れになりそうです。

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# by otowelt | 2018-02-08 00:47 | 気管支喘息・COPD

閉塞性睡眠時無呼吸はAlzheimer病のトリガー?

e0156318_956305.jpg 知らない知見なので勉強になりました。

Claudio Liguori, et al.
Is It Time to Consider Obstructive Sleep Apnea Syndrome a Risk Factor for Alzheimer’s Disease?
AJRCCM Articles in Press. Published on 26-January-2018 as 10.1164/rccm.201710-2105ED


概要:
 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、とくに肥満男性に多い疾患であり、AHI15以上の睡眠時呼吸障害は男性の半数にものぼるというデータがある。
 OSAは心血管系疾患、神経認知機能、代謝内分泌に影響を与えることがわかっているが、Alzheimer病の発症に寄与するのではないかという報告がある(Alzheimers Dement. 2017 Jul 21. pii: S1552-5260(17)32522-0. doi: 10.1016/j.jalz.2017.06.2269. [Epub ahead of print])。
 また別の報告によれば、OSAはAlzheimer病のバイオマーカー(アポリポプロテインE)を髄液中で変化させることが知られている(Neurobiol Aging. 2014; 35(6): 1318–1324.)。そして、髄液中のアミロイドβの減少とともに認知機能障害が進行することが示されており、OSAによってアミロイドβが脳に沈着している可能性もある。
 この仮説を支持するような研究結果が近年いくつも報告されており、AHIの上昇と髄液中アミロイドβの相関性が報告されている(J Alzheimers Dis. 2017;59(1):21-29.)。ただ、アポリポプロテインEの影響はそこまで大きくないかもしれない。
 ただの加齢によって起こる現象を見ているだけで、OSAが本当にリスク因子かどうかは異論もある。ただ、OSAに対するCPAP治療を受けている患者と受けていない患者では髄液中のバイオマーカーに明らかに差がある(Sleep.2017 May1;40(5).)。
 OSAがAlzheimer病のトリガーになっている可能性が高く、次のステップはCPAP治療がこの進行を食い止めることができるかどうか検証することである。



 

# by otowelt | 2018-02-07 00:50 | 呼吸器その他

胸腔処置時に音楽を聴くことで不安が減る

e0156318_161549.png そりゃ減るだろうと思いましたが、研究はされていなかったのですね。立案することが大事!

J Mackintosh, et al.
Music Reduces State Anxiety Scores in Patients Undergoing Pleural Procedures: A Randomized Controlled Trial
Intern Med J, DOI: 10.1111/imj.13738


背景:
 患者不安は、胸腔診断的・治療的処置の合併症として見過ごされがちである。音楽を聴くことは、患者不安を減らすことが内視鏡の研究で明らかになっているが、胸腔処置に関しては評価されていない。

方法:
 胸腔処置を受ける患者をランダムに音楽を聴く群と聴かない群に割り付けた。音楽を聴く群では、イヤホンを用いて自ら選択したものを聴いてもらった。不安はSTAIで評価した。生理学的パラメータも検査された。

結果:
 60人の患者が研究に登録された。音楽を聴く群では、STAIが処置後有意に減少した(34±11 vs. 48±13, p<0.001)が、音楽を聴かない場合では現象しなかった(40±11 vs. 42±11, p=0.51)。音楽を聴くと、心拍数が減少し(87±17 vs. 95±15, p=0.04)、収縮期血圧(121±13 vs. 130±16, p=0.02)、拡張期血圧(72±8 vs. 78±9, p=0.01)が処置後減少した。音楽を聴かない群では変化はみられなかった。疼痛スコアについては群間差はみられなかった(p=0.8)。また、もう一度処置を受けてもよいと思う頻度(p=0.27)、処置の全般的満足感(p=0.20)、処置に要した時間(p=0.68)にも群間差はなかった。

結論:
 胸腔処置を行う患者では、不安の軽減のために音楽を聴いてもらうことが有効である。


# by otowelt | 2018-02-06 00:49 | 呼吸器その他