IPF急性増悪に対するピルフェニドンの有効性

e0156318_9301181.jpg limitationsが少し多いかなという印象ですが、興味深いデータではあります。

Furuya K, et al.
Pirfenidone for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: A retrospective study
Respiratory Medicine May 2017, Vol 126. p 93-99


背景:
 IPF急性増悪は進行性の致死的病態であり、効果的な治療法は確立されていない。ピルフェニドンは抗線維化作用があるが、IPF急性増悪に対する効果は不透明である。

目的:
 IPF急性増悪に対するピルフェニドンの効果を評価すること。

方法:
 われわれは2008年4月から2015年4月までに135人のIPF治療例を後ろ向きに抽出した。そのうち、47人がIPF急性増悪を経験していた(男性42人、女性5人、平均年齢73.5歳)。臨床的特徴およびアウトカムをピルフェニドン治療を受けた20人と受けていない27人で比較した。
 遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤を受けていない25人を除外し、残った22人の患者(男性20人、女性2人、平均年齢73.7歳)でデータ解析をおこなった。臨床的特徴およびアウトカムがピルフェニドン群10人、非ピルフェニドン群12人で比較された。

結果:
 2群のベースライン背景は同等であった。3ヶ月生存はピルフェニドン群の方が良好だった(55% vs 34%, p = 0.042)。単変量解析では、遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療を受けた患者においてピルフェニドンの非使用は3ヶ月時の死亡の潜在的リスク因子であった(ハザード比6.993; p = 0.043)。

結論:
 ステロイド・遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療にピルフェニドンを併用するレジメンでIPF急性増悪の生存が改善するかもしれない。


# by otowelt | 2017-04-19 00:57 | びまん性肺疾患

先天性ネマリンミオパチーによる呼吸不全

 側弯症による呼吸不全は呼吸器内科でまれに遭遇しますが、先天性ミオパチーについては思考が及んでいなかったため、非常に勉強になった症例報告です。

原田公美ら.
呼吸不全を契機に成人後に診断され,側弯症との鑑別を要した先天性ネマリンミオパチー
日呼吸誌, 6(2): 109-113, 2017


概要:
 ネマリンミオパチーは,筋力低下と筋線維中のネマリン小体を特徴とする先天性筋疾患である.呼吸筋障害の頻度は高いが,成人後に呼吸不全で診断される例はまれである.症例は側弯症を有する38歳の女性でCO2ナルコーシスにて人工呼吸を要した.側弯症による慢性呼吸不全の急性増悪と考えたが高口蓋所見より神経筋疾患を疑い,筋生検でネマリンミオパチーの診断に至った.本症は側弯症を高率に合併し,一方呼吸筋障害は潜在性に進行するため,呼吸不全を呈しても本症の存在が看過されうる.したがって高口蓋などの身体所見を綿密にとることが重要である.


# by otowelt | 2017-04-18 00:08 | 呼吸器その他

メタアナリシス:COPDに対するLAMA/LABAはLAMA単剤あるいはICS/LABAより効果的

e0156318_945442.jpg LAMA/LABA合剤がかなり初期から用いられる日が来るかもしれません。

Rodrigo GJ, et al.
LABA/LAMA combinations versus LAMA monotherapy or LABA/ICS in COPD: a systematic review and meta-analysis.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2017 Mar 17;12:907-922.


背景:
 ランダム化比較試験において、COPDに対するLAMA/LABAは良好な効果をもたらすことが示されている。この解析の目的は、成人の安定中等症~超重症COPDに対するLAMA/LABAの効果と安全性をLAMA単剤あるいはICS/LABAと比較したものである。

方法:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシス(PubMed/MEDLINE, Embase, Cochrane Library、clinical trial/manufacturer databasesからデータを抽出)では12週以上のLAMA/LABA治療をLAMAまたはICS/LABAと比較したランダム化比較試験を組み込んだ。

結果:
 18研究が登録された(20185人)。LAMA/LABAは有意にベースラインから12週までのトラフ1秒量変化を改善させた(LAMA単剤との比較:0.07 L、ICS/LABAとの比較:0.08 L, P<0.0001)。また臨床的に意義のある1秒量の改善(100mL超)を達成した患者もLAMA/LABAに多くみられた(LAMA単剤:リスク比1.33, 95%信頼区間1.20~1.46、 ICS/LABA:リスク比1.44, 95%信頼区間1.33~1.56)。LABA/LAMAは、LAMA単剤と比較して有意にTDI・SGRQスコアを改善したが、ICS/LABAと比較して有意な改善はみられなかった。また、LAMA/LABAはレスキュー使用を有意に減らした(LAMA単剤:P<0.0001 、ICS?LABA:P=0.001)。LAMA/LABAは、ICS/LABAと比較して有意に中等症/重症増悪を減少させた(リスク比0.82, 95%信頼区間0.75~0.91)。有害事象はLAMA/LABAとLAMA単剤では有意差はなく、ICS/LABAよりは少なかった(リスク比0.94, 95%信頼区間0.89~0.99、肺炎リスク0.59、95%信頼区間0.43~0.81)。効果がみられず治療を中断するリスクはLAMA/LABAの方がLAMAよりも低かった(リスク比0.66, 95%信頼区間0.51~0.87)。有害事象によって治療を中断するリスクはLAMA/LABAの方がICS/LABAよりも低かった(リスク比0.83, 95%信頼区間0.69~0.99)。

結論:
 LAMA/LABAはLAMA単剤あるいはICS/LABAと比較して良好な効果と同等の忍容性があり、COPDのファーストラインとして用いられる位置づけであろう。


# by otowelt | 2017-04-17 00:16 | 気管支喘息・COPD

プロカルシトニンはCRPと比べて真の菌血症と偽陽性の鑑別に役立つ

e0156318_22555653.jpg 個人的にはまだあまりプロカルシトニンを使っていません。

波多野 俊之ら.
菌血症診断におけるプロカルシトニンの有効性の検討
日本集中治療医学会雑誌 Vol. 24 (2017) No. 2 p. 115-120


目的:
 菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について,後方視的に解析した。

方法:
 2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし,検出菌,PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。

結果:
 感染症専門医により,菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は,それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり,菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。ROC-AUC(95%信頼区間)は,PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)だった。一方,菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは,それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。

結論:
 PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし,菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。


# by otowelt | 2017-04-13 00:43 | 集中治療

プライマリケアから専門施設へのIPF紹介の理由

e0156318_9301181.jpg 当院に紹介になる例も、多くがILD疑いです。

Purokivi M, et al.
Are physicians in primary health care able to recognize pulmonary fibrosis?
Eur Clin Respir J. 2017 Feb 20;4(1):1290339. doi: 10.1080/20018525.2017.1290339. eCollection 2017.


背景:
 IPFの早期診断は、治療オプションを考慮する上で重要になる。IPF患者は正確な診断を受けるのに時間的な遅れを経験し、それゆえにしかるべき施設への紹介が遅延し高い死亡率に寄与しているのではないかと考えられている。

目的:
 紹介までに遅延が生じているか、紹介した時点で前医がIPFやその他ILDを疑っているかどうかを調べた。

方法:
 95のIPF患者の紹介状がフィンランドIPFレジストリから抽出され、紹介までの期間、紹介先、症状、喫煙歴、職業歴、臨床所見、合併症、投薬、胸部画像所見、肺機能などが調べられた。

結果:
 紹介状の95%がプライマリヘルスケア施設からの紹介であった。報告された60%の症例のうち、症状発現から紹介までの期間は平均1.5年(95%信頼区間0.8-2.3年)だった。主な紹介理由は、ILDの疑い(63%)、胸部レントゲン写真の変化(53%)などだった。呼吸音は紹介状の70%に記載され、52%が吸気時cracklesと記載されていた。

結論:
 プアリマリケア医は肺線維症を早期に疑っていた。呼吸音や胸部レントゲン写真異常が紹介理由として最も多いものであった。



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# by otowelt | 2017-04-12 00:44 | びまん性肺疾患