PPFEはIPFより予後不良?

e0156318_18552345.jpg  翻訳は日本医科大学から引用させていただきました。国内のPPFEではかなりまとまった報告だと思います。予後が不良の一群をみていることについては以前から指摘されていますね(Respir Investig. 2012 Sep;50(3):88-97. )。

Hayashi H, et al.
Body Mass Index and Arterial Blood Oxygenation as Prognostic Factors in Patients with Idiopathic Pleuroparenchymal fibroelastosis
Sarcoidosis Vasc Diffuse Lung Dis. 2017; 34; 35-40


背景:
 原因不明で上葉優位に肺の線維化を来す疾患は,本邦では古くから認識されてきた.網谷らは,1992年,両側上葉に限局した非特異性線維化を呈する13症例をまとめ,「特発性上葉限局型肺線維症」として報告した.また,欧米でも,2004年に上葉優位の胸膜,隣接した肺実質の線維化,特に肺胞隔壁の弾性線維の増生を病理学的な特徴としたidiopathic pleuroparenchymal fibroelastosis (IPPFE)という概念が提唱された.2013年にはATS(米国胸部疾患学会)/ ERS(欧州呼吸器学会)から発表された特発性間質性肺炎ステートメントでも,IPPFEは稀な間質性肺炎の中に包括されている.これらの病態はほぼ同一と考えられているが,比較的稀少ということもあり,その診断基準や発症のメカニズムについては明らかにされていない.今回,特発性肺線維症(IPF)との比較を通して,その臨床的特徴や予後などを調べることを目的とした.

方法:
 2005年から2013年に日本医科大学付属病院ならびに国立病院機構茨城東病院を受診,画像上IPPFEと判断した症例を対象とし,その医療記録をreviewした.IPPFEは,既報告に基づき,胸部CTで胸膜直下の線維化に付随した胸膜肥厚を認め,かつ上葉主体で下葉の病変は乏しい,ないしは認めないものと定義した.明らかな膠原病や慢性過敏性肺臓炎,悪性腫瘍を背景に持つ症例,二次性PPFEは除外した.本検討では,臨床像,検査結果を調べ,その推移をみた.検討項目として,臨床像(性別,年齢,喫煙歴,職業歴,吸入歴,BMI),血液検査(KL-6,SP-D,動脈血液ガス),呼吸機能検査(FVC,FEV1,TLC,DLco,RV/TLC,ERV)とした.同時期に日本医科大学付属病院を受診し, IPFと比較検討し,予後不良因子を検討した.

結果:
 対象としたIPPFE は20 例,比較対象としたIPF は71 例であった.観察期間は,2 群間で有意差は認めなかった.年齢中央値は,IPPFE 群が68.5 歳,IPF 群が70 歳で群間に有意差は認めなかった.IPPFE 群の体重ならびにBMI は,有意に低値であった(共にp<0.0001).非喫煙者が半数を占め(10/20 例),また喫煙者でのpack-years も低かった (p<0.0001).IPPFE群は,FVC,%FVC,FEV1,FEV1%,ERV,%ERVが有意に低値を示した.またRV/TLCが有意に高値を認めた.呼吸機能の推移では,IPPFEでは⊿FVC -326ml/year,⊿%FVC -10%/year,⊿%TLC -10.7%/yearと有意に拘束性障害の進行を認めた.Kaplan-Meier曲線を比較してみると,IPPFE群はIPFに比較して有意に予後不良であった(P=0.021).univariate Cox-proportional hazard modelにおいてBMI, PO2が有意に予後と相関した.

考察:
 上葉優位型肺線維症は,比較的緩徐に進行するとされているが,本検討ではIPFと比較し初診時から拘束性換気障害,残気率の上昇を認め,経過中FVCの急速な低下,Ⅱ型呼吸不全の進行を来たし,必ずしも予後良好な病態とは言えなかった.初診時のBMIとPaO2は予後との関連を示した.症状出現後の病勢進行は比較的急速で予後不良と考えられるため,無症状期からの慎重な観察,栄養管理,更に肺移植の考慮が必要である.


# by otowelt | 2017-08-15 00:04 | びまん性肺疾患

SPIROMICSコホート:COPD増悪の年ごとのばらつき

e0156318_23175684.jpg 過去1年や2年の増悪頻度には個人差が大きいので、私もあまりそれを元に重症度分類をしないほうがよいと思っています。より柔軟に決定すべきです。

Han MK, et al.
Frequency of exacerbations in patients with chronic obstructive pulmonary disease: an analysis of the SPIROMICS cohort.
Lancet Respir Med. 2017 Aug;5(8):619-626.


背景:
 COPD患者における増悪リスクを層別化する現在の治療戦略は、前年の増悪イベント歴に基づいている。われわれは、増悪には年ごとに変動があるかどうかを調べ、経時的増悪の因子を検証した。

方法:
 SPIROMICSコホートを用いた縦断的前向き解析において、3年間の前向きデータが得られた40~80歳のCOPD患者を解析した(2010年11月12日~201年7月31日)。われわれは、年ごとの増悪頻度で患者を分類した。すなわち、どの年も増悪がなかった患者、3年追跡で1年間に1回以上の増悪がみられた患者、3年追跡で増悪のあった年となかった年が混在している患者、である。ステップワイズロジスティック回帰によって、年ごとのCOPD増悪に関連する因子を比較した。加えて、ステップワイズZIMBによって、追跡期間中の増悪予測因子をアセスメントした。ベースライン症状はCATスコアで評価した。

結果:
 1843人がCOPDを有しており、1105人が前向きに3年追跡可能であった。1105人のうち538人(49%)が3年間で少なくとも1回の増悪を経験しており、567人(51%)が増悪経験がなかった。82人(7%)はどの年にも少なくとも1回の急性増悪を経験しており、23人(2%)に2回以上の増悪経験があった。3年追跡で増悪のあった年となかった年が混在している患者は群全体では456人(41%)にのぼり、GOLD3および4の患者でよくみられた(456人中256人[56%]がGOLD3-4)。ロジスティック回帰を用いると、3年追跡で1年間に1回以上の増悪がみられた患者は、ベースラインの症状が強く、過去の増悪歴があり、CTにおける末梢気道の異常がみられやすく、インターロイキン15の血中濃度が低く、インターロイキン8の血中濃度が高かった。

結論:
 COPD急性増悪はよくみられる事象だが、年ごとに個々のばらつきが大きいことが分かった。


# by otowelt | 2017-08-14 00:04 | 気管支喘息・COPD

心血管系リスクの高いCOPD患者に対するレルベア®は1秒量減少を抑制

e0156318_135223100.jpg レルベア®の1秒量減少抑制の論文です。

Peter M.A. Calverley, et al.
Fluticasone Furoate, Vilanterol and Lung Function Decline in Patients with Moderate COPD and Heightened Cardiovascular Risk
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Jul 24. doi: 10.1164/rccm.201610-2086OC. [Epub ahead of print]


背景:
 多くのCOPD患者は肺機能が減少する。しかしながら、治療によってこれが修飾されうるのかどうかはよく分かっていない。

目的:
 SUMMIT試験のセカンダリアウトカムデータを用いた。吸入ステロイド薬であるフルチカゾンフランカルボン酸100μg(FF)、長時間作用性β刺激薬であるビランテロール25μg(VI)、あるいはその合剤FF/VIがプラセボと比較して1秒量の減少率に影響を与えるかどうか調べた。

方法:
 プラセボ対照ランダム化比較試験において、16485人の心血管系リスクの高い中等症COPD患者に対してスパイロメトリーを12週ごとに実施した。1秒量の減少を評価できた15457人の患者で、平均7回のスパイロメトリーが実施された。

結果:
 補正1秒量減少率は、プラセボ-46mL/年(ベースラインから-3.0%)、VI-47mL/年(同-3.1%)、FF-38mL/年(同-2.5%)、FF/VI-38mL/年(同-2.3%)だった。プラセボと比較してFF含有レジメンは減少率が低く(p<0.03)、FF/VIはVI単独よりも低かった(p<0.005)。現喫煙者、低BMI患者、男性患者では1秒量減少が顕著だった。
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(文献より引用:Figure2)

結論:
 心血管系リスクの高い中等症COPD患者において、FFあるいはFF/VIはプラセボと比較して1秒量減少率を抑制した。



# by otowelt | 2017-08-10 00:47 | 気管支喘息・COPD

ビデオによる吸入手技トレーニング

e0156318_17372357.jpg 発売されている全デバイスの吸入手技ビデオをオンラインだけでなく、実臨床で簡単にアクセスできる方法があればよいなといつも思っています。高齢者はYouTubeが見られないから。

Müller T, et al.
Optimizing inhalation technique using web-based videos in obstructive lung diseases.
Respir Med. 2017 Aug;129:140-144. doi: 10.1016/j.rmed.2017.06.009.


背景:
 吸入薬は慢性気道疾患の治療に広く用いられている。適切に吸入薬を沈着させるためには、正しい吸入手技が必要である。しかし、吸入手技不良はよくみられる。この研究は、German Airway Leagueのビデオによって吸入手技の改善がみられるかどうか調べたものである。

方法:
 不適切な吸入手技があった大学病院呼吸器科クリニックの外来患者に、ビデオを見た後にもう一度手技をおこなってもらい、その後さらに4~8週間後に手技を追跡した。吸入手技は、研究担当ナースがチェックリストを用いて評価した。

結果:
 慢性気道疾患に対して吸入気管支拡張薬あるいは吸入ステロイド薬を使っている112人の患者が登録された。半数以上の51.8%が少なくとも1回の吸入手技不良を有していた。このうち、88%の患者がトレーニングビデオを理解し、76%が直後に正しい吸入手技が実践でき、4~8週間後の追跡時にも72%が正しい手技を実践できた(p = 0.0008)。ビデオトレーニングの後に、ミスを犯す数も有意に減った。

結論:
 German Airway Leagueの吸入手技トレーニングビデオは理解しやすく、慢性気道疾患患者の吸入手技を向上させる上で効果的である。


# by otowelt | 2017-08-09 00:27 | 気管支喘息・COPD

UIPに発症する肺癌は、下葉・胸膜下に多い

e0156318_8124310.jpg 実臨床で抱いているイメージと同じですが、しっかりデータとしてまとまっています。

Watanabe Y, et al.
A clinicopathological study of surgically resected lung cancer in patients with usual interstitial pneumonia.
Respir Med. 2017 Aug;129:158-163. doi: 10.1016/j.rmed.2017.06.015.


背景:
 UIPに合併した肺癌の臨床病理学的特徴はよく分かっていない。この研究の目的は、UIP患者に発症した肺癌の病理学的特徴を発症部位とともに調べることである。

方法:
 526人の肺葉切除を受けた肺癌患者の547切除検体をレビューした。患者はUIP群、非UIP群(UIP以外の背景病変がある患者)、正常群の3群に分類された。これら3群の組織検体および発症部位を比較した。末梢に局在していた腫瘍を胸膜下・内側・中枢にサブグループ化した。

結果:
 UIP群82人(男性87%、平均年齢71歳、喫煙歴94%)、非UIP群334人(男性80%、平均年齢69歳、喫煙歴81%)、正常群110人(男性30%、平均年齢62歳、喫煙歴29%)が登録された。UIP群と非UIP群の比較では、性別、平均年齢、喫煙歴には統計学的な差はなかった。非UIP群と比べると、UIP群では扁平上皮癌の頻度が高く(63% vs 32%)、下葉に多く(76% vs 32%)、胸膜下に多かった(24% vs 5%)。

結論:
 UIP患者の肺癌は、UIPが始まる下葉・胸膜下に多くみられるという予測ができる。


# by otowelt | 2017-08-08 00:13 | 肺癌・その他腫瘍