ICUにおける高酸素血症は有害

e0156318_21563989.jpg  既知の知見の通りですね。

Helmerhorst H, et al.
Metrics of Arterial Hyperoxia and Associated Outcomes in Critical Care.
Crit Care Med. 2017 Feb;45(2):187-195. doi: 10.1097/CCM.0000000000002084.


目的:
 高酸素血症の潜在的リスクについてエビデンスが構築されてきているが、臨床的定義と方法論的限界が不透明で、過去の研究の解釈と臨床的信頼性が立ち行かない。われわれの目的は、以前から用いられている基準および新しい基準によって、高酸素血症を呈するICU内の各サブグループの臨床転帰との関連性を体系的に評価することである。

方法:
 オランダのICUで実施された観察コホート研究である。適格患者は14441人であった。

結果:
 2011年7月から2014年7月までの間、合計295079人の血液ガス分析(PaO2を含む)が採取された。2つ以上のPaO2データのある患者のその他の各種情報が抽出された。
 軽度の高酸素血症はPaO2が120~200mmHgと定義され、重度の高酸素血症は200mmHgを超えるものと定義された。
 重度の高酸素血症は、高い死亡率と人工呼吸器非装着日数の少なさと関連していた(軽度の高酸素血症および正常患者と比較)。条件付き死亡率の補正効果推定量は、重度の高酸素血症の方が軽度の高酸素血症よりも大きかった。この関連は入院24時間以内および24時間以降のいずれにおいても観察され、大部分のサブグループで同様の結果だった。高酸素血症の期間が増すにつれて、院内死亡率と線形の相関がみられた。

結論:
 重症患者では安全なレベルにPaO2を制限すべきである。



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# by otowelt | 2017-02-07 00:55 | 集中治療

ダプトマイシンによる好酸球性肺炎

e0156318_1872356.jpg 呼吸器科でダプトマイシンを使うことはほとんどありませんが。一度キュビシン®を使用している患者さんのGGOを紹介されたことがあります。

Uppal P, et al.
Daptomycin-induced eosinophilic pneumonia - a systematic review.
Antimicrob Resist Infect Control. 2016 Dec 12;5:55.


背景:
 好酸球性肺炎は肺に好酸球が増加する疾患であり、時に血流にも増多がみられる。ダプトマイシンと関連した好酸球性肺炎の報告が複数ある。

方法:
 システマティックレビューを行い、ダプトマイシン使用と関連した好酸球性肺炎の症例を同定した。信頼性のある研究をPubMedなどの電子データベースから抽出した。全症例について、年齢、疾患適応、臨床所見、客観的所見、治療、アウトカムを評価した。非英語文献は除外した。
 
結果:
 35人の症例が解析に組み込まれた。ダプトマイシンによる好酸球性肺炎は83%が男性で、ほとんどが高齢者だった(平均年齢65.4±15歳)。ダプトマイシンの用量は4~10mg/kg/日とばらつきがみられ、ほとんどの症例では腎機能障害がみられた。平均ダプトマイシン投与期間は2.8±1.6週だった。94%の患者が呼吸困難感、57%の患者が発熱を呈し、末梢血好酸球増多は77%、胸部CTおよびレントゲン写真上の浸潤影は86%にみられた。ダプトマイシン中断によって症状は改善した(24時間~1週間の経過)。66%の患者は、ステロイドを処方された。

結論:
 ダプトマイシン投与中に呼吸困難感や発熱を呈した症例では、好酸球性肺炎を考慮すべきである。


# by otowelt | 2017-02-06 00:58 | びまん性肺疾患

BCGワクチンによるツベルクリン反応偽陽性はいつまで続く?

e0156318_17261144.jpg 意外にデータが少ないそうです。

James D. Mancuso, et al.
The Long-Term Effect of Bacille Calmette-Guérin Vaccination on Tuberculin Skin Testing: A 55-Year Follow-Up Study
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.001


背景:
 BCGは抗酸菌抗原に交差反応を起こすため、ツベルクリン反応(TST)の偽陽性の原因として良く知られている。しかしながら、BCGの影響がTSTに与える影響はよく分かっていない。この研究の目的は、TST反応性に対する長期的なBCGの影響を調べることである。

方法:
 アメリカインディアン/アラスカ人のTSTデータを前向きに1935~1947年に収集し、その後1946~1998年の間に後ろ向きでデータを収集した。TSTは10mm径以上を陽性とした。Kaplan-MeierおよびCox回帰が用いられ、BCG・プラセボ間でTST陽性化・陰性化までの期間を比較した。

結果:
 新生児がBCG接種を受けると、TSTが初期15年陽性化するリスクを上昇させた(補正ハザード比2.33)。この関連はワクチン接種後16~55年の間をあけても持続していた。しかし、その影響には減衰がみられた(補正ハザード比1.26)。BCGワクチン接種者群の間でTST陽性は、初期15年で陰性化しうるが、その後の期間では陰性化の減少はまれであった。

結論:
 新生児期以降にBCGワクチンを摂取することで、CDCが認めているようにTSTに10年を超える影響を与えるかもしれない。この影響は55年まで続く可能性がある。すなわち、ワクチン接種からどれだけ月日を経ようともTSTの解釈には注意を要する。



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# by otowelt | 2017-02-03 00:12 | 抗酸菌感染症

メタアナリシス:ネーザルハイフローは通常酸素療法より気管挿管率を減少し、NIPPVに代替選択肢となりうる

e0156318_13512197.jpg ネーザルハイフローのメタアナリシスです。「ネーザルハイフローのレビュー」の記事も参考にしてください。

ネーザルハイフローのレビュー

Yue-Nan Ni, et al.
Can high-flow nasal cannula reduce the rate of endotracheal intubation in adult patients with acute respiratory failure compared with conventional oxygen therapy and noninvasive positive pressure ventilation? A systematic review and meta-analysis
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.01.004


背景:
 急性呼吸不全(ARF)の成人患者におけるハイフローセラピー(ハイフローネーザルカニューラ[HFNC]、ネーザルハイフロー)の効果は議論の余地がある。われわれは、成人ARFにおいて非侵襲性陽圧換気(NIPPV)や通常酸素療法(COT)と比較してHFNCが気管挿管の頻度を減少させる効果があるかどうか調べた。

方法:
 Pubmed, Embase, Medline, Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) 、Information Sciences Institute (ISI) Web of ScienceからHFNCとNIPPIV・COTを比較した比較試験を抽出した。プライマリアウトカムは気管挿管率とし、セカンダリアウトカムはICU死亡率・ICU在室期間(ICU LOS)とした。

結果:
 18試験・3881人の患者が解析に組み込まれた。ICU死亡率(I2=67%, χ2=12.21, P=0.02)、気管挿管率(I2=63%, χ2=13.51, P=0.02)以外にHFNCとNIPPVの間に有意な異質性はなかった。
 COTと比較すると、HFNCは気管挿管率の低さと関連していた(オッズ比0.47、95%信頼区間0.27-0.84, P=0.01)が、NIPPVとの比較では有意差はなかった(オッズ比0.73, 95%信頼区間0.47-1.13, P=0.16)。ICU死亡率、ICU LOSについてはCOTあるいはNIPPVに優劣はなかった。
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(文献より引用:気管挿管率)

結論:
 ARF患者において、HFNCはCOTと比較して気管挿管率を減少させ、NIPPVに代用できる信頼性がある。


# by otowelt | 2017-02-02 00:57 | 集中治療

気管支拡張症+関節リウマチ(BROS)、気管支拡張症+COPD(BCOS)は超過死亡リスクを有する?

e0156318_16302611.jpg また足し算の疾患概念が・・・。
 提唱しても、流行る概念とそうでない概念がありますね。(笑)

Anthony De Soyza, et al.
Bronchiectasis Rheumatoid overlap syndrome (BROS) is an independent risk factor for mortality in patients with bronchiectasis: A multicentre cohort study
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2016.12.024



背景:
 われわれは気管支拡張症と関節リウマチ(RA)が合併したオーバーラップ症候群(BROS)が他の気管支拡張症の疫学的な背景と比べて気管支拡張症重症度インデックス(BSI)アウトカムの悪化と関連しているかどうか調べた。

方法:
 われわれはBSIデータベースから6施設1716人のデータを問い合わせ入手した。患者は他の間質性肺疾患がなくて気管支拡張症とRAを合併しているBROS、特発性気管支拡張症、気管支拡張症-COPDオーバーラップ症候群(BCOS)、その他の原因による気管支拡張症に分類された。死亡率、入院と増悪の頻度が記録された。

結果:
 われわれは147人のBROS患者(コホート全体の8.5%)を同定した。BROSと死亡率には統計学的に有意な関連がみられたが、気管支拡張症の増悪や気管支拡張症による入院とは関連していなかった。
 平均48ヶ月の追跡中の死亡率は特発性気管支拡張症では9.3%、その他の原因による気管支拡張症では8.6%、BROSで18%、BCOSで28.5%だった。BROSとBCOSは他の疫学的背景と比べて有意に死亡率が高かった。臨床的には有意ではないもの、BSIスコアは特発性気管支拡張症と比較するとBROSで有意に高かった(平均BSI7.7 vs. 7.1 , p <0.05)。BCOSでは有意にBSI(平均10.4)、緑膿菌保菌率(24%)、過去の入院頻度(58%)が高かった。

結論:
 BROSもBCOSも超過死亡が多かったが、これは疾患の複合的な作用によるものと考えられる。これらのサブグループが相加相乗的に超過死亡をもたらすのか検討を要する。


# by otowelt | 2017-02-01 08:14 | 呼吸器その他