札幌のサルコイドーシス寛解率:5年で29.9%

e0156318_11333269.jpg これは、かなり重要なデータですね。眼サルコイドーシスの合併例が結構多いことに驚きました。確かに私の外来にもぶどう膜炎を合併している人は多いです。

Hattori T, et al.
Resolution rate of pulmonary sarcoidosis and its related factors in a Japanese population
Respirology, DOI: 10.1111/resp.13105


背景および目的:
 肺サルコイドーシスが寛解する頻度とそれに関連する因子については、たくさんの過去の研究で報告されている。しかしながら、ほとんどの研究は数十年前に実施された研究で、近年は同様のサーベイは行われていない。この研究の目的は、肺サルコイドーシスの寛解率を調べ、それに関連する因子を同定し、過去の報告と比較することである。

方法:
 この研究では、306人の札幌の肺サルコイドーシス患者が登録された(2000年~2009年)。胸部レントゲン写真が初診時、2年時、5年次で評価された。寛解率は胸部レントゲン写真で判定され、臨床的特徴との関連性が評価された。
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(臨床的特徴)

寛解の判定:
 We defined the ‘resolved group’ as those patients with normalization of abnormal chest radiographs at the 2- or 5-year observation points,

結果:
 寛解率は2年時で17.9%、5年時で29.9%だった。これは過去の報告と比べて低い数値であった。40歳未満の若年層は寛解率が高かった(p<0.05)。肺外のサルコイドーシス病変がない患者は5年時での寛解率が高かった(p<0.05)。性差は観察されなかった(女性:オッズ比0.52、95%信頼区間0.26–1.01、p=0.054)。

結論:
 肺サルコイドーシスの臨床経過は変化しており、寛解しにくくなっている可能性がある。これは、日本が高齢化しつつある集団であるためかもしれない。


# by otowelt | 2017-08-03 00:55 | サルコイドーシス

吸入ステロイドは高用量・長期間だと骨折リスクを上昇させる

e0156318_8532618.jpg たしか、昨年のERSで報告されたものですね。

Anne V. Gonzalez, et al.
Long-term use of inhaled corticosteroids in COPD and the risk of fracture
Chest, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.chest.2017.07.002


背景:
 COPDに広く用いられている吸入ステロイド薬(ICS)の長期使用が、特に閉経後に骨折リスクが増す女性において、同リスクを上昇させるのかどうかはまだよくわかっていない。COPDに対する長期的なICS使用が、大腿骨近位部骨折あるいは上肢の骨折リスクを上昇させるのかどうか、また性差があるのかどうかを調べた。

方法:
 ケベックヘルスケアデータベースを用いて、COPD患者コホートを作成した(1990年~2005年)。また2007年まで追跡し、初回の大腿骨近位部骨折あるいは上肢骨折を記録した。症例対照分析において、個々の骨折事例に対して20のコントロール患者をマッチさせた(年齢、性別、追跡期間をマッチ)。ICS使用者の骨折の補正率比を条件つきロジスティック回帰を用いて推定し、男女の骨折リスクを比較した。

結果:
 当該コホート240110人のうち、19396人が平均5.3年(1000人年あたり15.2)骨折に苦しんだ。ICSの使用は骨折のリスク上昇に寄与しなかった(率比1.00、95%信頼区間0.97-1.03)。ただし、1日あたり1000μg以上フルチカゾン相当のICSを4年以上継続している患者では骨折リスクは上昇した(率比1.10、95%信頼区間1.02-1.19)。これらのリスクに性差はみられなかった。
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(文献より引用:Figure3)

結論:
 長期的なICS使用は、COPD患者において大腿骨近位部骨折あるいは上肢骨折のわずかなリスク上昇と関連していた。用量-期間によるリスク上昇が特段女性で高くなるという結果は得られなかった。


# by otowelt | 2017-08-02 00:40 | 気管支喘息・COPD

気管支サーモプラスティとゾレア®の間接比較

 直接比較することができないので、参考程度ですが。

Niven RM, et al.
Indirect comparison of bronchial thermoplasty versus omalizumab for uncontrolled severe asthma.
J Asthma. 2017 Jul 14:1-9. doi: 10.1080/02770903.2017.1337789.


目的:
 気管支サーモプラスティ(BT)は、コントロールの重症喘息に追加的に加える治療としてオマリズマブのような抗体医薬品の代替案として提示されている。われわれは、BTとオマリズマブの効果を間接的に比較した。

方法:
 システマティックレビューによって、妥当性のあるランダム化比較試験を抽出した。

結果:
 シャムコントロールのBTの試験(AIR2試験)と2つのオマリズマブのプラセボ対照試験(INNOVATE試験、EXTRA試験)が登録された。治療後の重症の喘息発作のリスクに差はみられなかった(オマリズマブと比較したBTのリスク比0.91 [95%信頼区間0.64, 1.30]; p = 0.62)。また、入院(リスク比0.57 [95%信頼区間0.17, 1.86]; p = 0.53)も同等であった。しかしながら、救急外来受診はBTの方が少なかった(リスク比0.25 [95%信頼区間0.07, 0.91]; p = 0.04)。

結論:
 間接的な比較であり解釈には注意が必要であるが、BTはコストは高いものの一部のアウトカムでオマリズマブよりも良好である可能性が示された。


# by otowelt | 2017-08-01 00:44 | 気管支喘息・COPD

ACOは喘息ないしCOPD単独よりも肺機能が悪い

e0156318_125953.jpg 結構ACOSのin press論文は多そうです。アクセプト前後でACOに変えたのかな、とか邪推してしまいます。

Ekerljung L, et al.
Prevalence, clinical characteristics and morbidity of the Asthma-COPD overlap in a general population sample.
J Asthma. 2017 Jul 11:0. doi: 10.1080/02770903.2017.1339799. [Epub ahead of print]


目的:
 喘息とCOPDは個々に確立した疾患概念であるが、合併例(ACO)のフェノタイプが存在する。この研究の目的は、ACOの頻度と特徴を調べることである。

方法:
 West Sweden Asthma Studyから、喘息、慢性気管支炎あるいはCOPDが疑われた者を登録した。

結果:
 登録者は以下のようであった。ACO181人、COPD単独89人、喘息単独651人、健常人1036人。ランダムサンプル1172人のうちACOは3.4%で、喘息患者のうち18.1%であった。ACO患者(平均年齢59歳、54%女性)は喘息およびCOPDでみられた患者特徴の間に位置していた。既往喫煙者は、ACO患者の71%、喘息患者の48%、COPD患者の74%にみられた。ACO患者は喘息単独ないしCOPD単独患者より肺機能が悪く、救急外来受診も多かった。

結論:
 ACO患者の肺機能は喘息ないしCOPD単独よりも悪かった。


# by otowelt | 2017-07-31 17:13 | 気管支喘息・COPD

土壌曝露はM. intracellulare感染の独立リスク因子である

e0156318_13334416.jpg NTMと土壌の関連性を調べていたら、直近の呼吸器学会雑誌がヒットしました。すいません、読んでいませんでした。

三島 有華ら.
茨城県南地域における非結核性抗酸菌症と環境因子の検討
日呼吸誌, 6(3): 129-135, 2017

背景:
 非結核性抗酸菌は環境中に常在する.

方法:
 茨城県南の肺MAC症患者の土壌曝露,井戸水使用の影響を検討した.対象は128人(69.6±9.4歳),土壌曝露のみは26人,井戸水使用のみは10人,土壌曝露と井戸水使用のある者は22人であった.

結果・結論:
 土壌曝露と井戸水使用のある者でM. intracellulareを多く検出した.多変量解析で土壌曝露はオッズ比3.09(p=0.016)でありM. intracellulare感染の独立した危険因子と考えられ,井戸水使用はオッズ比2.48(p=0.073)であった.


# by otowelt | 2017-07-28 00:47 | 抗酸菌感染症