IPFの咳嗽に対するeFlowネブライザークロモグリク酸の有効性

e0156318_21341355.jpg 個人的にはサレド®がもう少し話題にならないのかなと思っています。

Surinder S Birring, et al.
A novel formulation of inhaled sodium cromoglicate (PA101) in idiopathic pulmonary fibrosis and chronic cough: a randomised, double-blind, proof-of-concept, phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/S2213-2600(17)30310-7


背景:
 咳嗽は特発性肺線維症(IPF)を消耗させる症状であり、治療が困難である。PA101はeFlowネブライザーを用いて吸入する新規クロモグリク酸ナトリウムで、過去の製剤と比べて高い肺内沈着率が達成できる。IPFおよび慢性咳嗽患者においてPA101の有効性と安全性を検証し、PA101の鎮咳メカニズムを明らかにした。また、慢性特発性咳嗽(CIC)の患者においても検証された。
 
方法:

IPF患者と慢性咳嗽患者におけるランダム化二重盲検プラセのボ対照比較試験において、PA101とプラセボを比較した。IPF患者と慢性咳嗽患者はイギリスとオランダの7施設から登録され、1:1にPA101(40mg)
とプラセボの吸入1日3回に割り付けられた。2週間のウォッシュアウト期間ののち、他の群へとクロスオーバーした。参加者、研究者、研究スタッフ、スポンサーはすべての参加者が試験を完遂するまでどちらの群に割り当てられたかマスクされた。プライマリ効果エンドポイントはベースラインからの客観的咳嗽頻度(Leicester咳嗽モニターによる24時間音響記録)の変化とした。プライマリ効果解析は少なくとも1回でも試験薬を投与された全患者が組み込まれた。安全性解析についても少なくとも1回でも試験薬を受けたすべての参加者を対象とした。2番目のコホートではCIC患者を4つの施設で同様のデザインと評価項目でランダム化試験に割り当てた。

結果:
 2015年2月13日から2016年2月2日の間に24人のIPF患者がランダムに割り付けられた。28人のCIC患者が同様の時期に登録され、27人が治療を受けた。
 IPF患者では、PA101はプラシーボと比べて14日時点での日中咳嗽頻度を31.1%減少させた(PA101:55±55回/時間→39±29回/時間、プラシーボ:51±37回/時間→52±40回/時間; 最小二乗平均の比0.67, 95%心理悪刊0.48–0.94, p=0.0241)。また、CICコホートにおいてはPA101の治療効果は観察されなかった(14日時点でのプラセボに対するPA101の日中咳嗽頻度平均減少 6.2% (最小二乗平均の差1.27, 0.78–2.06, p=0.31)。PA101は両コホートで良好な忍容性であった。有害事象の発生はPA101とプラセボの間で差はなく、ほとんどげ軽度であった。

結論:
 IPFの咳嗽メカニズムは疾患特異的なものであると考えられる。吸入PA101はIPFの慢性咳嗽の治療選択肢となりうる。


# by otowelt | 2017-10-02 00:43 | びまん性肺疾患

慢性咳嗽の個人・コミュニティレベル・喫煙による差

e0156318_1519449.jpg 慢性咳嗽の分野が好きなので、興味深く読めました。

Çolak Y, et al.
Risk Factors for Chronic Cough Among 14,669 Individuals From the General Population.
Chest. 2017 Sep;152(3):563-573.


背景:
一般集団での慢性咳嗽のリスク因子は体系的にはわかっていない。Copenhagenの一般集団コホートデータ14669人を用いて、個人・コミュニティレベルでの慢性咳嗽のリスク因子を検証した。

方法:
 慢性咳嗽の重症度はLCQで評価した。個人レベルでは年齢補正オッズ比、コミュニティレベルでは人口寄与危険度を基に慢性咳嗽のリスク因子をランクした。

結果:
 一般集団での慢性咳嗽の有病率は4%で、非喫煙者で3%、既喫煙者で4%、現喫煙者で8%だった。LCQ中央値は身体的ドメインで5.8 (25th-75th percentile, 5.0-6.3)、心理的ドメインで5.6 (25th-75th percentile, 4.6-6.3)、社会的ドメインで6.3 (25th-75th percentile, 5.5-6.8)であり、合計で17.3 (25th-75th percentile, 15.4-18.9)。
 個人レベルでは非喫煙者の上位3つのリスク因子の年齢補正後オッズ比は、気管支拡張症症5.0 (95% 信頼区間1.4-18)、喘息2.6 (95%信頼区間1.7-3.9)、胃食道逆流症2.3 (95%信頼区間1.5-3.4)であり、既喫煙者では気管支拡張症7.1 (95%信頼区間2.6-20)、喘息3.1 (95%信頼区間2.2-4.4)、粉塵/ヒュームへの職業的曝露2.2 (95%信頼区間1.5-3.2)であり、現喫煙者では気流制限1.9 (95%信頼区間1.3-2.9)だった。
 コミュニティレベルでは、上位3つの危険因子は非喫煙者女性(PAR, 19%)、喘息(PAR, 10%)、胃食道逆流症(PAR, 8%)であり、喫煙経験者では腹部肥満(PAR, 20%)、低収入(PAR, 20%)、喘息(PAR, 13%)で、喫煙者では気流制限(PAR, 23%)だった。

結論:
 慢性咳嗽に対するリスク因子は個人レベルとコミュニティレベルで異なっており、また個々の喫煙歴によっても異なる。


# by otowelt | 2017-09-29 00:50 | 呼吸器その他

線維性過敏性肺炎における努力性肺活量低下は予後不良因子

e0156318_10125425.jpg リサーチレターです。

Andrea Gimenez, et al.
Change in FVC and survival in chronic fibrotic hypersensitivity pneumonitis
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2017-210035


概要:
 線維性過敏性肺炎における努力性肺活量(FVC)10%以上の減少が死亡リスクを予測するかどうかはよく分かっていない。

方法:
 112人の患者が組み込まれ、66人(59%)が外科的肺生検を受けて線維性過敏性肺炎と診断された。

結果:
 診断から6~12ヶ月で10%以上の%FVC低下がみられた患者は有意に総死亡率が高かった(生存期間中央値53ヶ月、95%信頼区間37-69ヶ月 vs 139ヶ月、 95%信頼区間66-212ヶ月、p=0.007)。多変量解析においても、この死亡との関連性は有意だった:%FVC10%以上の減少(ハザード比4.13, 95%信頼区間1.96 to 8.70, p=0.005), 低FVC%(ハザード比1.03 , 95%信頼区間1.01 to 1.05 , p=0.003)。また抗原回避は死亡リスクを減少させた(ハザード比0.18, 95%信頼区間0.04 to 0.77, p=0.021)。
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(文献より引用:Figure1B)


# by otowelt | 2017-09-28 00:46 | びまん性肺疾患

ニボルマブによる非典型的反応

Cristiano Rampinelli, et al.
Lung Tissue Injury as Atypical Response to Nivolumab in NSCLC
Am J Respir Crit Care Med. 2017 Sep 14.


概要:
 セカンドラインとしてニボルマブを投与された病期IVの非小細胞肺癌の男性。著明に腫瘍は縮小したが、腫瘍があった部位にブラ様のシルエットのみが残った。
 異なる肺組織におけるPD-L2とRGMドメインファミリーB(RGMb)との関連性が示唆されるが、詳細は不明である(J Exp Med. 2014; 211:943–959.)。

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(文献より引用:Figure1)


# by otowelt | 2017-09-27 00:24 | 肺癌・その他腫瘍

鳥関連慢性過敏性肺炎では組織学的ばらつきがみられ、経時的にUIPパターンへ変化しうる

e0156318_10125425.jpg スペクトラムを持って色々な組織型が存在することが、この知見を裏付ける証左だと思います。

Ochi J, et al.
Histological variability and consequences in chronic bird-related hypersensitivity pneumonitis.
Respirology. 2017 Oct;22(7):1350-1356.


背景および目的:
 鳥関連慢性過敏性肺炎(BRHP)の空間的および時間的な組織学的ばらつきについては詳しく評価されていない。この研究では、BRHPにおける空間的-時間的な組織学的ばらつきを調べた。

方法:
 1992~2008年までに、外科的肺生検でBRHPと診断された患者52人が登録された。組織病理学的特徴が、2002年特発性間質性肺炎ATS/ERSコンセンサスによって分類された。剖検検体が7人から得られ、これについては外科的肺生検からの変化についても評価した。

結果:
 外科的肺生検に基づく評価では、7人の患者がcNSIPパターン、16人がfNSIPパターン、20人がfNSIP+UIPパターン(discordant UIPパターン)、9人がUIPパターン(concordant UIPパターン)に分類された。変化をみたフェーズでは、外科的肺生検でfNSIPパターンであった患者が細気管支中心性間質性肺炎(BIP)パターンあるいはUIPパターンに変化していた。

結論:
 慢性BRHPでは、葉間・葉内の組織学的ばらつきがみられた。幾人かの慢性BRHP患者は、早期にみられたfNSIPパターンがUIPパターンへと進展していた。


# by otowelt | 2017-09-26 00:01 | びまん性肺疾患