FLAURA試験:EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療におけるオシメルチニブ

e0156318_1164629.jpg 内容はすでに知られていますが、肺癌の歴史が変わる臨床試験ですね。

Jean-Charles Soria, et al.
Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM November 18, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1713137


概要:
 2014年12月から2016年3月の間に29ヶ国132施設で実施されたFLAURA試験は、治療歴のないEGFR変異陽性NSCLCの初治療としてオシメルチニブと標準EGFR-TKI治療を比較したものである。556人のうち、オシメルチニブ群は279人、標準治療群(エルロチニブまたはゲフィチニブ)は277人だった。
 EGFR変異はexon19欠失がオシメルチニブ群、標準治療群でそれぞれ57%、56%、L858R変異が35%、32%だった。両群ともに患者背景に差はみられず、年齢中央値は両群64歳、男性患者の割合はそれぞれ36%、38%、白人患者の割合はともに36%、アジア人患者の割合はともに62%だった。
 PFS中央値はオシメルチニブ群で有意に延長した(18.9ヶ月 vs 10.2ヶ月)。増悪・死亡リスクは54%低下した(p<0.001、ハザード比0.46)。年齢、性別、人種、EGFR変異のタイプなどの患者背景別のサブ解析でもオシメルチニブ群の増悪・死亡リスクは標準治療群より低下した(リスク低下率42%~66%)。客観的奏効率に有意差はなかったが、奏効の持続期間中央値はオシメルチニブ群で2倍延長した(17.2ヶ月 vs 8.5ヶ月)。OSは中央値特定にはいたっていない。


●ケアネット記事:日本の肺がん患者さんを一人でも多く助けたい【肺がんインタビュー】
「OSデータの取得はイベントの蓄積状況によりますので、今のところ時期は定かではありませんが、2019年中に発表できることを期待しています。FLAURAは1次治療の試験ですので、PD後の治療がOSデータに大きなインパクトを与えます。後治療への適格患者さんは非常に多くおり、幸いにもオシメルチニブ群の患者さんは長期生存する方が多くみられます。一方で、この有効性がOS到達するまでの期間を長くしています。」(アストラゼネカ・グローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサー Sean Bohen氏)
http://www.carenet.com/series/lcspecial/cg001988_09.html


# by otowelt | 2017-11-25 00:17 | 肺癌・その他腫瘍

一酸化炭素中毒に対する高圧酸素療法の効果を予測する因子

e0156318_2039674.jpg 一酸化炭素中毒の論文です。

Chien-Cheng Huang, et al.
Hyperbaric Oxygen Therapy Is Associated With Lower Short- and Long-Term Mortality in Patients With Carbon Monoxide Poisoning
Chest. 2017 Apr 17. pii: S0012-3692(17)30723-7.


背景:
 これまで、一酸化炭素中毒(COP)の死亡率を改善させるための高圧酸素療法(HBOT)の効果のコンセンサスはない。この台湾の後ろ向きコホート研究は、当該問題を明らかにするために実施された。

方法:
 台湾の毒物データベースを利用して、1999年から2012年までに25737人のCOP患者を同定した。そのうち7278人がHBOT治療を受け、18459人は受けなかった。2コホートで総死亡を含む死亡リスクを比較し、年齢、性別、基礎疾患、月収、自殺企図、薬物中毒、急性呼吸不全で層別化して2013年まで追跡した。独立死亡予測因子を同定し、評価した。

結果:
 HBOTを受けたCOP患者は、受けなかったCOP患者よりも死亡リスクが低かった(補正ハザード比0.74; 95%信頼区間0.67-0.81) 。とりわけ20歳未満(補正ハザード比0.45; 95%信頼区間0.26-0.80)、急性呼吸不全のある患者(補正ハザード比0.43; 95%信頼区間0.35-0.53)では低かった。COP発生後4年にわたり死亡はHBOT群で低かった。HBOTを2回以上受けた患者は、1回のみを受けた患者よりも死亡率が低かった。高齢者、男性、低収入、糖尿病、がん、脳卒中、アルコール依存、精神疾患、自殺企図、急性呼吸不全の存在は独立死亡予測因子だった。

結論:
 COP患者に対してHBOTは低い死亡率と関連していた。とりわけ、20歳未満や急性呼吸不全のある患者では有効だった。


# by otowelt | 2017-11-24 00:02 | 救急

禁煙成功の予測因子

e0156318_14441648.jpg 禁煙の予測因子を調べたものです。

Mathias Holm, et al.
Predictors of smoking cessation: A longitudinal study in a large cohort of smokers
Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/j.rmed.2017.10.013


背景:
 一般集団での禁煙に関する予測因子の研究はほとんどない。複数の潜在的予測因子、とりわけ呼吸器疾患と心血管疾患に焦点をあて、我々は禁煙率を調べた。

方法:
 1945年から1973年に出生した北ヨーロッパ7施設の喫煙者4536人をRHINE研究(1999-2001年)に登録し、2010~2012年に新たな質問票を用いて追跡調査した。2564年が質問票に回答し、喫煙に関するデータが提供された。Cox回帰分析を用いて、ハザード比を算出した。

結果:
 合計999人(39%)が研究期間中に禁煙した。禁煙率は1000人年あた44.9人だった。禁煙率は高齢者ほど、また教育水準が高いほど、喫煙年数が少ないほど高かった。喘息、喘鳴、花粉症、慢性気管支炎、糖尿病、高血圧は禁煙を有意には予測しなかったものの、研究期間中に虚血性心疾患で入院となった喫煙者は喫煙をやめやすかった(ハザード比3.75、95%信頼区間2.62-5.37)。

結論:
 禁煙成功は中年の喫煙者によくみられ、喫煙年数が少ないほど、教育水準が高いほど関連している。呼吸器疾患の診断は、喫煙をやめる明らかな動機にはならないが、虚血性心疾患の急性エピソードは当該研究集団では禁煙を促した。


# by otowelt | 2017-11-22 00:37 | 呼吸器その他

LAMA/LABA合剤直接比較試験:アノーロ® vs スピオルト®

e0156318_1633480.jpg LAMA/LABA合剤の直接比較試験です。FundingはGSKなのでその点は加味すべきと思います。

Gregory J. Feldman, et al.
Comparative Efficacy of Once-Daily Umeclidinium/Vilanterol and Tiotropium/Olodaterol Therapy in Symptomatic Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Study
Adv Ther. 2017 Nov 1. doi: 10.1007/s12325-017-0626-4.


背景:
 われわれは、COPD患者において1日1回吸入の固定用量LAMA/LABA合剤の直接比較の結果を報告する(ウメクリジニウム/ビランテロール[UMEC/VI:U] vs チオトロピウム/オロダテロール[TIO/OLO:T])。

方法:
 これはICS治療を受けていない有症状COPD患者(40歳以上、mMRC2以上)におけるランダム化2期間クロスオーバーオープンラベル試験である。患者はランダムにU(エリプタ:62.5/25μg1日1回)あるいはT(レスピマット:5/5μg)に3週間のウォッシュアウト後に8週間割り付けられた(クロスオーバーデザイン)。プライマリエンドポイントは8週時点でのトラフ1秒量とした(per-protocol集団の非劣性マージン-50mL)。副作用についてもデータを収集した。
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(文献より引用)

結果:
 合計236人(平均年齢64.4歳、60%が男性)がITT集団に組み入れられ、227人がper-protocol集団に該当。8週時点でのトラフ1秒量について、U群はT群に対してper-protocol集団において非劣性で、ITT集団において優越性であった(ベースラインからの1秒量変化180mL vs 128mL, 差52mL[95%信頼区間28-77mL]、p<0.001)。U治療を受けている患者は、臨床的に意義のある(100mL以上)ベースラインからのトラフ1秒量増加オッズ比がT治療の2倍だった(オッズ比2.05; 95%信頼区間1.34-3.14)。副作用イベントは、U群の25%、T群の31%に発生した。
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(文献より引用)

結論:
 1日1回吸入のLAMA/LABA合剤を直接比較した初の臨床試験において、有症状COPD患者におけるU治療はT治療よりも8週時点でのトラフ1秒量のプライマリエンドポイントに対して優越性を示した。両剤とも安全性プロファイルは同等だった。


# by otowelt | 2017-11-21 00:18 | 気管支喘息・COPD

HIV合併結核は治療成績が悪い

e0156318_9552565.jpg HIV合併結核は年に数えるくらいしか診療しないため、非常に勉強になります。 

松本 健二ら.
大阪市におけるHIV合併肺結核の結核治療成績に関連する要因
Kekkaku Vol. 92, No. 1 : 21_26, 2017


目的:
 HIV 合併肺結核の結核治療成績に関連する要因を分析評価することにより今後の対策
に寄与する。

方法:
 対象は2008~2014 年,大阪市の新登録肺結核のうちHIV 合併が判明した例とした。対照として,性と年代をマッチングさせた2012~2014 年の大阪市の新登録肺結核を用いた。分析はχ2検定およびFisher の直接法を用い,危険率5 % 未満を有意差ありとした。

結果:
 ① HIV 合併肺結核は25 例であり,すべて男性で平均年齢は43.2 歳であった。②喀痰塗抹陽性率は,HIV 合併肺結核では76.0%,一方,対照の肺結核250 例では50.8% と前者で有意に高かった。③結核治療の服薬中断リスク項目:服薬中断リスク項目の検討では,HIV 合併肺結核は多い順に「服薬協力者なし」68.0%,「副作用」48.0%,「経済的な問題」32.0%,「肝障害」28.0% と続き,一方,対照の肺結核ではそれぞれ33.2%,22.8%,16.0%,11.6% であり,各項目に有意差を認めた。④ DOTS 実施率は,HIV 合併肺結核では68.0%,対照の肺結核では94.8% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。死亡,転出,治療中を除く治療成績の比較では,治療成功がHIV 合併肺結核は72.7%,対照の肺結核では92.9% と,HIV 合併肺結核で有意に低かった。HIV 合併肺結核の治療成功16 例と失敗中断6 例それぞれの中断リスクの平均個数は3.8 個,2.8 個と治療成功例で多かったが,DOTS 実施率は75.0%,33.3% と,治療成功例でDOTS 実施率が高かった。

結論:
 HIV 合併肺結核は対照の肺結核より結核の治療成績が有意に悪かった。HIV 合併肺結核では服薬中断リスク項目を多く認め,かつDOTS 実施率が低かったため,服薬中断のリスクアセスメントを適切に行い,服薬支援を強化するべきであると考えられた。


# by otowelt | 2017-11-20 00:58 | 抗酸菌感染症