メタアナリシス:敗血症患者に対する解熱治療は死亡率を低下させない

e0156318_93453100.jpg 平均0.38℃って、意外に体温の下がりは少ないんですね。
 私は、熱があったらしんどいのでQOL維持のために解熱鎮痛薬を飲んでしまう弱い人間です。


Drewry AM, et al.
Antipyretic Therapy in Critically Ill Septic Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis.
Crit Care Med. 2017 Feb 17. doi: 10.1097/CCM.0000000000002285.


目的:
 このメタアナリシスは、重症の敗血症がある成人患者における解熱治療が死亡率に与える影響を調べることが目的である。

データ:
 電子データベースから2016年2月までの文献を検索した(Ovid Medline, Embase, Scopus, Cumulative Index of Nursing and Allied Health Literature, Cochrane Central Register of Controlled Trials, NHS Economic Evaluation Database, ClinicalTrials.gov)。

選択:
 このメタアナリシスの適格基準は、敗血症患者に対する解熱治療、報告死亡率を検討した観察研究あるいはランダム化比較試験である。小児、神経外傷、健常ボランティアを対象とした研究は除外した。2人の独立したレビュアーによって評価された。

データ抽出:
 2人のレビュアーが独立してデータを抽出し、研究の質を評価した。アウトカムには死亡率、ショック再発、院内感染症発生、体温・心拍数・1回換気量の変化が含まれた。ランダム化比較試験および観察研究は分けて解析された。

データ統合:
 8つのランダム化比較試験(1507人)および8つの観察研究(17432人)が解析された。
 ランダム化比較試験において、解熱治療は28日院内死亡率を低下させなかった(相対リスク0.93、95% 信頼区間0.77-1.13; I = 0.0%)。解熱治療の内訳は、アセトアミノフェン(相対リスク0.93、95%信頼区間0.68–1.40)、NSAIDs(相対リスク0.94、95%信頼区間0.68–1.31)、クーリング(相対リスク0.88、95%信頼区間0.65–1.19[ただし1研究のみ])だった。
 これは観察研究でも同等だった(オッズ比0.90、95%信頼区間0.54-1.51; I = 76.1%)。解熱治療の内訳は、アセトアミノフェン(オッズ比0.88、95%信頼区間0.65–1.19)、NSAIDs(オッズ比2.61、95%信頼区間1.11–6.12[ただし1研究のみ])、クーリング(オッズ比0.20、95%信頼区間0.00–10.91)だった。
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(文献より引用:Figure2)

 ショック再発(相対リスク1.13; 95%信頼区間0.68-1.90; I = 51.6%)、院内感染症(相対リスク1.13; 95%信頼区間0.61-2.09; I = 61.0%)についても変化はなかった。解熱治療は体温を平均0.38℃低下させた(95%信頼区間0.63~0.13℃;I = 84.0%)が、心拍数や1回換気量に変化はみられなかった。

結論:
 解熱治療は成人敗血症患者における28日院内死亡率を有意に改善しなかった。



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# by otowelt | 2017-03-08 00:02 | 集中治療

コントロール不良の糖尿病は肺結核の微生物学的アウトカム悪化の独立リスク因子

e0156318_9552565.jpg  当たり前のことだと思われがちですが、意外に研究が少なかったようです。

Yoon YS, et al.
The effect of diabetes control status on treatment response in pulmonary tuberculosis: a prospective study.
Thorax. 2017 Mar;72(3):263-270.


背景:
 コントロール不良の糖尿病は、コントロール良好の場合と比べて免疫応答が障害されている。しかしながら、糖尿病コントロールが肺結核患者の治療アウトカムに与える影響についてはよく知られていない。われわれは、糖尿病コントロールが肺結核治療反応性に与える影響を評価した。

方法:
 多施設共同前向き研究が2012年9月から2014年9月までの間におこなわれた。患者はHbA1cによって3群に層別化された。すなわち、糖尿病のない肺結核患者、コントロール良好な糖尿病のある肺結核患者、コントロール不良な糖尿病のある肺結核患者、の3群である。プライマリアウトカムは、初期強化治療2ヶ月後の喀痰中の結核菌培養陰性化率とした。

結果:
 661人の肺結核患者のうち、157人(23.8%)が糖尿病を有しており、108人(68.8%)がコントロール不良であった(HbA1c7.0%以上)。コントロール不良の糖尿病を有する患者はより症状が強く、喀痰結核菌塗抹検査が陽性になりやすく(p<0.001)、空洞を呈しやすかった(p<0.001)。
 治療反応性があっても、コントロール不良の糖尿病を有する患者は非糖尿病患者と比較して2ヶ月後の喀痰結核菌培養検査が陽性になりやすかった(p=0.009)。治療失敗(p=0.015)や死亡(p=0.027)もコントロール不良の糖尿病患者で多く観察された。反面、コントロール良好の患者は非糖尿病患者と同等の治療反応性を呈した。
 多変量解析では、コントロール不良の糖尿病は治療開始2ヶ月後の喀痰結核菌培養検査陽性の独立リスク因子であった(補正オッズ比2.11; p=0.042)。また、治療失敗あるいは死亡の独立リスク因子でもあった(補正オッズ比4.11; p=0.022)。
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(文献より引用:Table3)

結論:
 コントロール不良の糖尿病は、肺結核の治療反応性不良の独立リスク因子である。




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# by otowelt | 2017-03-07 00:49 | 抗酸菌感染症

塩漬け肉摂取は喘息症状の悪化と関連

e0156318_8442198.jpg いわゆるパンチェッタのことです、と書いても料理が不得手な私にはハムとの違いすら分からないわけですが・・・。

Li Z, et al.
Cured meat intake is associated with worsening asthma symptoms.
Thorax. 2017 Mar;72(3):206-212.


背景:
 近年の発癌性物質として指摘されている塩漬け肉(cured meat)の摂取はCOPDのリスクになるかもしれないが、喘息との関連性は不明である。BMIは喘息のリスク因子の可能性が高いが、介在因子として食事-喘息の関連に果たす役割は調べられていない。われわれは、成人において塩漬け肉の摂取と喘息症状の悪化の関連について調べ、潜在的介在因子であるBMIの役割を評価した。

方法:
 フランスの前向きEGEA研究(ベースライン:2003~2007年、追跡:2011~2013年)からデータを抽出し、ベースラインの塩漬け肉摂取(1serving/週 未満、1~3.9servings/週、4servings/週 以上)が喘息症状スコアに与える影響を調べた。またBMIの間接的な影響も調べた。

結果:
 971人の喘息患者(平均年齢43歳、男性42%)のうち、追跡期間の7年間に20%が喘息症状の悪化を訴えた。周辺構造モデルを用いると、塩漬け肉摂取と喘息症状の悪化には正の直接的影響がみられた(多変量調整オッズ比1.76、95%信頼区間1.01-3.06[4servings以上/週 vs 1serving/週 未満])。われわれは、BMIによる間接的な影響も同定した(オッズ比1.07、95%信頼区間1.01-1.14、全体の影響の14%を計上)。
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(文献より引用:Figure 3)

結論:
 頻繁に塩漬け肉を摂取することは喘息症状の悪化と関連しているが、BMIを介在した間接的影響はわずか14%であるため、塩漬け肉がBMIと独立して喘息症状の悪化に寄与している可能性がある。


# by otowelt | 2017-03-06 00:23 | 気管支喘息・COPD

肺癌患者の咳嗽治療のCHESTガイドライン

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 CHESTの、細分化された咳嗽ガイドラインの1つです。

Alex Molassiotis, et al.
Symptomatic Treatment of Cough Among Adult Patients With Lung Cancer: CHEST Guidelines and Expert Panel Report
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2016.12.028


<推奨サマリー>

1. 癌治療にもかかわらず肺癌による咳嗽が遷延する成人患者では、最初のステップとして、各種ガイドラインに準じて咳嗽の原因になりうる共存疾患を包括的にアセスメントし治療することを推奨する(グレードなし)。

2. 癌治療にもかかわらず肺癌による咳嗽を呈する成人患者では、サービスが利用できるなら、薬物治療の代替または追加として咳嗽抑制のためのエクササイズを推奨する(グレード2C)。

3. 手術、化学療法、放射線照射が適応とならない気管支内に限局した腫瘍により咳嗽を呈する成人患者では、専門家がいる施設では気管支内小線源治療を推奨する(グレード2C)。

4. 咳嗽に対する薬物的アプローチを要する肺癌の成人患者では、初期治療としてブタミラートシロップ、単シロップ、グリセリンベースのシロップといった粘滑剤を用いることを推奨する(Grade 2C)。

5. 咳嗽を呈する肺癌の成人患者で粘滑剤に不応性の場合、薬物的マネジメントとして副作用プロファイルに問題がなければオピオイド(opiate-derivative)を用いることを推奨する(グレード2C)

6. オピオイド抵抗性の咳嗽を呈する肺癌の成人患者では、レボドロプロピジン、モグイステイン、レボクロペラスチン、クロモグリク酸などの末梢鎮咳薬を推奨する(グレード2C)。

7. 末梢鎮咳薬が無効のオピオイド抵抗性の咳嗽を呈する肺癌の成人患者では、ネブライザーリドカイン/ブピバカイン、ベンゾナテートなどの局所麻酔薬をトライすることを推奨する(グレードなし)。

8. 外科手術、化学療法、放射線治療、小線源治療、非薬物的・薬物的アプローチが無効ないし適応とならない難治性咳嗽を呈する肺癌の成人患者では、主治医は以下の薬剤が咳嗽コントロールに利益があるかどうか見定めるべくn-of-1試験を考慮することを推奨する。これらの薬剤は、効果的であると示されているわけでも副作用がないというわけでもない。薬剤:ジアゼパム、ガバペンチン、カルバマゼピン、バクロフェン、アミトリプチリン、サリドマイド(グレードなし)。




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# by otowelt | 2017-03-03 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

急性気道感染症に対するNSAIDs使用は心筋梗塞のリスクを上昇

e0156318_15212933.jpg 実臨床ではアセトアミノフェンの使用の方が多いですが、自分自身にはNSAIDsを使ったりしています。

Yao-Chun Wen, et al.
Acute Respiratory Infection and Use of Nonsteroidal Anti-Inflammatory Drugs on Risk of Acute Myocardial Infarction: A Nationwide Case-Crossover Study
J Infect Dis (2017) jiw603. DOI:https://doi.org/10.1093/infdis/jiw603


背景:
 過去の研究では、急性気道感染症(ARI)とNSAIDsの使用は急性心筋梗塞(AMI)のトリガーになりうることが示されている。いくつかの国では、医師はARIの症状緩和のためにNSAIDsを処方する。しかしながら、ARIに対するNSAIDs使用がAMIのリスクを増加させるかどうか評価された研究はない。

方法:
 2007~2011年の間に、AMIで入院した(index date)9793人の患者が登録された。症例-クロスオーバーデザインを用いて、症例(index dateより1~7日前)およびマッチコントロール時期(index dateより366~372日前)の間の曝露ステータスを比較した:ARIエピソード中のNSAIDs使用、NSAIDsを用いなかったARIエピソード、NSAIDs使用のみ、曝露なし。多変量条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、潜在的交絡因子で補正したオッズ比を算出した。

結果:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用はAMIリスクを3.4倍増加させた(補正オッズ比3.41; 95%信頼区間2.80–4.16)。またNSAIDsを用いなかったARIエピソードでも2.7倍の増加がみられ(補正オッズ比2.65; 95%信頼区間2.29–3.06), NSAIDs単独曝露のみでも1.5倍の増加がみられた(補正オッズ比1.47; 95%信頼区間1.33–1.62)。しかしながら、非経口NSAIDsはARI患者において高いAMIリスクと関連していた(補正オッズ比7.22; 95%信頼区間4.07–12.81)。

結論:
 ARIエピソード中のNSAIDs使用は、特に非経口の場合、AMIリスクの上昇と関連していた。



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# by otowelt | 2017-03-02 00:10 | 感染症全般