ICUの全死亡率に対するMRSA菌血症の寄与


ICUとMRSAは切っても切れない関係。

ICUなどのMRSA感染症のリスクの高い領域では、入院患者の保菌率と
感染症患者の発生率に相関があり、保菌検査は一定の意義を持つ。
(改訂された標準予防策、インフェクションコントロール、2004;13:520-522.)

保菌率が上昇している場合、感染対策を実行する。


Contribution of acquired meticillin-resistant Staphylococcus aureus bacteraemia to overall mortality in a general intensive care unit.
Journal of Hospital Infection (2008) 70, 223-227


上記論文では、MRSA菌血症発生率はICU在室期間の延長に従って上昇し、
25日以上ICUに在室した198例の死亡率37.9%に対するMRSA菌血症の寄与は
3.1%(95%CI 1.1~5.7%)と推定された。
長期在室している患者の初期のMRSA保菌予防の重要性が考察されている。

# by otowelt | 2009-01-08 23:17 | 感染症全般

LAAの比率とFFMIは反比例する


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Inter Med 48: 41-48, 2009)

COPDにおいて、筋肉量の減少というのは予後に相関することが知られているが、
まだはっきりとしたデータは存在しない。
この論文は112人の安定したCOPD患者で、
fat mass indexおよびfat free mass indexを考察したもの。

なんでこんな研究がなされたかというと、
最近はBMIよりもFFMI(fat free mass index)がはやっているからである。
BMIはCOPDの病期分類上の有意な影響を与えないとされるが、
FFMIはstageゼロで有意な影響を与える。
Chest. 2007; 132:164-169


結局予後まではわからないが、
LAAの比率は、FFMIあるいはFMIと反比例するだろうという結果が得られた。

つまりは、COPDにヤセはよくないということ。

# by otowelt | 2009-01-07 14:35 | びまん性肺疾患

喫煙者は感染しやすい

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Xu et al. BMC Cell Biology 2008 9:19

たばこで感染症が増えるのはなぜなのかよくわかっていなかった。
たばこは好中球を増加させるが、かといって好中球が活躍するワケではない。

ニコチン摂取が直接的に好中球を増加させることはない。
ただ好中球の殺菌機能は低下させるということが研究でわかった。
そのため、好中球は反応性に増加するのかもしれない。

また、ニコチンはMMP-9(マトリックスメタロプロテアーゼ)の分泌促進をうながす。
MMP-9、代謝や血管新生にかかわっている酵素であるが
MMP-9は転移性腫瘍が発生しやすくなるといった副作用がある。


つまりは、たばこはガンにもなりやすいし、感染しやすいし
いいことナシだということです。

# by otowelt | 2009-01-07 12:40 | 感染症全般

ICU患者の消化管・中咽頭の除菌


Decontamination of the Digestive Tract and Oropharynx in ICU Patients
N Engl J Med. Vol. 360:(1)20-31 Jan. 1, 2009


選択的消化管除菌(selective digestive tract decontamination:SDD)と
中咽頭の選択的除菌(selective oropharyngeal decontamination:SOD)は
ICU患者の一部に使われる予防策であるが、
エビデンスがいまいち存在していないというのが難点であった。

オランダで行なわれた試験で、プライマリーエンドポイントは28 日死亡率。

SDDとSODのレジメンだが、
SDD は、セフォタキシムの4 日間の静脈内投与に、トブラマイシン、
コリスチン、アムホテリシンBの中咽頭と胃への局所投与。
SOD は、同レジメンの中咽頭のみへの投与。

ちなみに私が個人的に行っていたSDDは、以下の通り。

******************************************************
・口腔内
 2%PVG-ICU軟膏ペースト5gに①~③を混合
 ①ゲンタマイシン100mg
 ②ポリミキシンB100万単位
 ③バンコマイシン100mg   
 これを4回/日  口腔内粘膜に塗布
・腸管
 生食20mlに①~③を混合
 ①ファンギゾンシロップ15ml
 ②ポリミキシンB300万単位
 ③ゲンタマイシン240㎎
 これを1日4回にわけて腸管投与
・全身投与
 最初の4日間のみセフォタックス1g+生食100ml 1日4回
******************************************************


このNEJMの論文の結論としては、ICU患者において
標準治療群28日死亡率は27.5%。
SDD群では3.5%ポイント低下、SOD群では2.9%ポイント低下。

これをどう考えるか、、、、

ちなみに、SDOとSDDの違いについて。
クリックしたらきれいに見えます。
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# by otowelt | 2009-01-05 18:03 | 感染症全般

triple negativeにおける白金製剤の効果


triple Negative。
乳癌診療において、必須の知識である。

triple negativeとは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、Her2タンパク
の3つをもたない乳癌のことで、ホルモン療法やハーセプチンを使った
分子標的治療が効かない乳癌ということを意味する。

ただしこのタイプの乳癌は抗癌剤にはよく反応し、ホルモン受容体陽性乳癌と
比べて、術前化学療法の効果が高いといわれている。
しかし、生存率も低いというジレンマがある。

triple negativeに化学療法がどのくらいのRR(奏効率)があるのか、というのが
まだよくわかっていないのが現状なので、この報告がなされた。

Platinum-based chemotherapy in triple-negative breast cancer.
Annals of Oncology 19: 1847–1852, 2008


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RRについては、ネオアジュバントのtriple negativeの場合88%でCRあり、
それ以外の乳癌の51%より明らかに高かった。
5年生存率(OS)は、triple negativeで64%で、
それ以外の乳癌の85%よりは予後が悪かった。
5年間の無増悪生存はtriple negativeで57%で、
それ以外の乳癌の72%よりは予後が悪かった。

予後不良ではあるが、とりあえず奏効はするという結論は変わらないと思われる。

# by otowelt | 2009-01-04 00:02 | 肺癌・その他腫瘍