ドコサヘキサエン酸は気管支肺異形成のリスクを減らすどころか上昇させる

e0156318_1895439.jpg なかなか衝撃的な論文です。

Carmel T. Collins, et al.
Docosahexaenoic Acid and Bronchopulmonary Dysplasia in Preterm Infants
N Engl J Med 2017; 376:1245-1255


背景:
 動物・ヒトを対象とした研究では、n–3長鎖多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)が気管支肺異形成のリスクを低下させることが示唆されている。しかし、妥当なデザインの試験は不足している。

方法:
 29週未満の出生児1273人を、初期経腸栄養後3日以内に、60mg/kg/日のDHAを含む乳剤投与群と、DHAを含まないコントロール乳剤群(大豆)にランダムに割り付け、最終月経開始日から計算して36週まで経腸投与した。性別、在胎週数、投与された施設で層別化した。プライマリアウトカムは、最終月経開始日から計算して36週または自宅退院のいずれか早い時点での、生理学的気管支肺異形成とした。

結果:
 合計1205人がプライマリアウトカムの評価時点まで生存していた。生理学的気管支肺異形成があるとされた児は、DHA群では592人中291人(49.1%)だったのに対して、コントロール群では613人中269人(43.9%)だった(補正相対リスク1.13、95%信頼区間1.02~1.25、P=0.02)。セカンダリ複合アウトカムである、最終月経開始日から計算して36週以前にみられた気管支肺異形成あるいは死亡は、DHA群の52.3%、コントロール群の46.4%にみられた(補正相対リスク1.11、95%信頼区間1.00~1.23、P=0.045)。死亡率、その他の新生児疾患の発症に群間差はなかった。臨床的気管支肺異形成は、DHA群の53.2%とコントロール群の49.7%に発症した(P=0.06)。

結論:
 29週未満で出生した早産児において、DHA経腸投与は、大豆コントロール乳剤と比較して生理学的気管支肺異形成のリスクを低下させず、リスクを増大させる可能性がある。


# by otowelt | 2017-04-26 00:31 | 呼吸器その他

第10回PRIMEセミナー開催のお知らせ

 2017年6月10日に当院でPRIMEセミナーを実施します。最先端をひた走る重厚な指導陣があなたを呼吸器内科の深みへいざないます。

 お申込みの連絡先はこちらまで。(PRIMEセミナー担当:倉原 優)

 prime-entry@kch.hosp.go.jp

 下記画像をクリックすれば当院ウェブサイトへつながるので、詳細はそちらをご参照ください。



# by otowelt | 2017-04-24 00:59 | 呼吸器その他

ブイフェンド(ボリコナゾール)の後発品

 よく参照することが多いので、ブログにメモしておきます。ブイフェンド薬価×42%が後発品の薬価です。
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# by otowelt | 2017-04-21 00:26 | 感染症全般

EAHFEレジストリ:急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率を上昇させる

e0156318_12501028.jpg 当然ながら、かなり高齢者が多いです。

Òscar Miró, et al.
Morphine use in the emergency department and outcomes of patients with acute heart failure: A propensity score-matching analysis based on the EAHFE Registry
Chest. 2017. doi:10.1016/j.chest.2017.03.037


目的:
 救急部で急性心不全と診断された患者において、短期的な死亡率と静注モルヒネ使用の関連性を同定すること。

方法:
 34のスペインの救急部において、2011~2014年に急性心不全と診断された連続患者を登録した。登録患者は静注モルヒネを投与された群とそうでない群に分類された。プライマリアウトカムは30日死亡率とし、セカンダリアウトカムは異なる中間時点での死亡率、院内死亡率、入院期間とした。傾向スコアにより、ベースライン背景、臨床的特性、治療因子などをマッチさせた患者を登録した。モルヒネ投与を受けた患者における30日死亡率の独立リスク因子を調べた。

結果:
 6516人の患者(平均年齢81歳、56%が女性)を登録し、416人(6.4%)がモルヒネ群、6100人(93.6%)が非モルヒネ群に分類された。全体では、635人が30日時点で死亡していた(それぞれ26.7%、6.4%)。傾向スコアマッチで、275人のペア患者がそれぞれの群に登録された。
 モルヒネを投与された患者は、30日死亡率が高かった(死亡:55人[20.0%] vs. 35人[12.7%]; ハザード比1.66; 95%信頼区間1.09-2.54; p=0.017)。これは直接的に高血糖と相関しており(p=0.013)、ベースラインのBarthel Indexおよび収縮期血圧と逆相関していた(p=0.021)。
 死亡率はどの中間時点でも上昇していたが、リスクが最高に達していたのは短期間であった(3日時点:22[8.0%] vs. 7 [2.5%] ; オッズ比3.33; 95%信頼区間1.40-7.93; p=0.014)。院内死亡率は上昇しなかった(39 [14.2%] vs. 26 [9.1%]; オッズ比1.65; 95%信頼区間0.97-2.82; p=0.083) 。また入院期期間にも差はなかった(p=0.79)。

結論:
 傾向スコアマッチすると、急性心不全に対するモルヒネ静注は30日死亡率が上昇した。


# by otowelt | 2017-04-20 00:37 | 救急

IPF急性増悪に対するピルフェニドンの有効性

e0156318_9301181.jpg limitationsが少し多いかなという印象ですが、興味深いデータではあります。

Furuya K, et al.
Pirfenidone for acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis: A retrospective study
Respiratory Medicine May 2017, Vol 126. p 93-99


背景:
 IPF急性増悪は進行性の致死的病態であり、効果的な治療法は確立されていない。ピルフェニドンは抗線維化作用があるが、IPF急性増悪に対する効果は不透明である。

目的:
 IPF急性増悪に対するピルフェニドンの効果を評価すること。

方法:
 われわれは2008年4月から2015年4月までに135人のIPF治療例を後ろ向きに抽出した。そのうち、47人がIPF急性増悪を経験していた(男性42人、女性5人、平均年齢73.5歳)。臨床的特徴およびアウトカムをピルフェニドン治療を受けた20人と受けていない27人で比較した。
 遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤を受けていない25人を除外し、残った22人の患者(男性20人、女性2人、平均年齢73.7歳)でデータ解析をおこなった。臨床的特徴およびアウトカムがピルフェニドン群10人、非ピルフェニドン群12人で比較された。

結果:
 2群のベースライン背景は同等であった。3ヶ月生存はピルフェニドン群の方が良好だった(55% vs 34%, p = 0.042)。単変量解析では、遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療を受けた患者においてピルフェニドンの非使用は3ヶ月時の死亡の潜在的リスク因子であった(ハザード比6.993; p = 0.043)。

結論:
 ステロイド・遺伝子組み換えヒトトロンボモジュリン製剤治療にピルフェニドンを併用するレジメンでIPF急性増悪の生存が改善するかもしれない。


# by otowelt | 2017-04-19 00:57 | びまん性肺疾患