MTX投与中のカリニ予防はST合剤で大丈夫


呼吸器内科では膠原病肺を扱うため、
リウマトレックスを飲んでいる患者さんも多い。
そんな患者さんはまぁ、ステロイドを内服していることもあるわけだが
そういったとき、カリニ肺炎予防が問題となる。
バクタ連日でいいのか・・・・・ベナンバックス・・・・うーむ。

確かに、メソトレキセート投与中にST合剤を投与することは
葉酸代謝経路の観点から望ましくないとされている。
理由は、以下の通りである。
1.トリメトプリムの葉酸代謝拮抗作用が加わるため
2.MTXのクリアランスがスルファメトキサゾールによって下がる
3.MTXの血清中の蛋白結合率を変える
Thomas MH, Gutterman LA: Methotrexate toxicity in a patient receiving trimethoprim-sulfamethoxazole. J Rheumatol 1986; 13:440

しかし膠原病権威であるCarol A. Langford, MDはMTX投与下の
Wegener肉芽腫患者で、ニューモシスティス肺炎予防目的のST合剤は
安全に投与できていると記載している
The Rheumatologist Oct 2008

最近のトップジャーナルでも同様の意見だ。
NEJM June 10、2487-3498, 2004

# by otowelt | 2009-02-17 10:51 | びまん性肺疾患

air trappingは喘息重症度と相関

Ashley Busacker, et al. A Multivariate Analysis of Risk Factors for the Air-Trapping Asthmatic Phenotype as Measured by Quantitative CT Analysis. Chest  2009 ;135:48-56

背景:
 重症喘息患者はair trappingがしばしば観察される。しかしながら、
 これをCTで撮影したことによる論文というのは今までない。
 この論文では2つの仮説をもとに検証している。すなわち、
 (1) air trapping measured by multidetector CT (MDCT)
  quantitative methodology would be a predictor of a more
  severe asthma phenotype; and
 (2) historical, clinical, allergic, or inflammatory risk factors
  could be identified via multivariate analysis.

方法:
 MDCTをつかっておこなわれた。
 Air trappingの定義:-850HUを下回り、かつ肺組織の9.66%以上
 (これって面積のこと??)
 喘息の重症度との関連性をリサーチ。

結果:
 air trappingの存在は、asthma-related hospitalizations, ICU visits,
 and/or mechanical ventilationと相関した。
 喘息発作の期間(OR, 1.42; 95%CI, 1.08 to 1.87)
 肺炎のエピソード(OR, 8.55; 95% CI, 2.07 to 35.26)
 気道好中球高値(OR, 8.67; 95% CI, 2.05 to 36.57)
 気道閉塞性(FEV1/FVC) (OR, 1.61; 95% CI, 1.21 to 2.14)
 アトピー(OR, 11.54; 95% CI, 1.97 to 67.70)
 
結論
 CTにおけるair trappingは喘息の重症度と相関する。

# by otowelt | 2009-02-17 09:42 | 気管支喘息・COPD

なぜアバスチンが非小細胞肺癌へ使われるのか


2008年末に、ベバシズマブ(アバスチン)の非小細胞肺癌への適応拡大が申請された。

これはE4599試験、AVAiL試験という2つの第III相試験に基づいて、
プラチナ製剤をベースとした標準的な化学療法にベバシズマブを併用することで、
扁平上皮癌を除く未治療の進行・再発のNSCLC患者の生存期間・無増悪生存期間を
統計学的に有意に延長することが示された。
欧米では扁平上皮癌を除く進行・再発のNSCLC(非扁平上皮癌)の
1st-lineとして承認されている。

●E4599試験
 局所進行性、転移性、または再発性NSCLCで非扁平上皮細胞の878名を
 対象とした多施設共同無作為化第Ⅲ相臨床試験。
 生存期間の中央値は化学療法単独では10.3カ月であるのに対し、
 化学療法とAvastin 15mg/kgの3週1回投与との併用群では12.3カ月。
 PaclitaxelおよびcarboplatinとAvastinとの併用群の全生存期間は、
 化学療法単独群に比べて25%改善。
 肺出血(喀血)がAvastin+化学療法併用群で2.3%に観察された。
 Avastin治療に関連した、最も多い有害事象は、高血圧(5.6%)、蛋白尿(4.2%)、
 疲労(5.1%)、および呼吸困難(5.6%)であった。
 Sandler A et al. N Eng J Med 2006; 355: 2542-2550

●AVAiL試験
 シスプラチン+ゲムシタビンにベバシズマブの上乗せ効果を検証した試験。
 AVAiL(Avanstin in Lung Cancer)試験。
 シスプラチン、ゲムシタビンのみの群と、化学療法にベバシズマブ7.5mg/kgを
 投与した群、化学療法にベバシズマブ15mg/kgを投与した群の3群で行った。
 1000人以上の非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)が対象で、
 化学療法のみの群と比較して、無増悪生存率が20~30%延長した。


・Avastinについて (中外製薬より)
 Avastinは、血管新生(がん組織に栄養と酸素を供給する血管網の伸長)を阻害する初めての治療薬です。Avastinは、血管新生における重要な因子であるVEGF(血管内皮増殖因子)と呼ばれる生体内の蛋白質を標的として、腫瘍の増殖と全身への転移に不可欠な血液供給を遮断するものです。
 Avastinは欧州では2005年1月に、米国では2004年2月に、転移性結腸・直腸がん患者のファーストライン治療薬として承認されました。米国では2006年6月、転移性結腸・直腸がん患者のセカンドライン治療薬として追加で承認を受けました。さらに2006年10月、FDAによる優先審査を経て、血管新生阻害剤では世界で初めてNSCLCの治療薬として承認されました。Avastinは、最近では2007年3月に、欧州では転移性乳がん女性患者のファーストライン治療薬として、また日本では2008年4月、治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸がんへの使用が承認されました。

 

# by otowelt | 2009-02-17 08:45 | 肺癌・その他腫瘍

進行非小細胞肺癌に対するGC併用療法後、即時逐次DOC投与は生存率を改善する


Phase III Study of Immediate Compared With Delayed Docetaxel After Front-Line Therapy With Gemcitabine Plus Carboplatin in Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer. JCO, Vol 27, No 4, 2009: pp. 591-598

ドセタキセルは非小細胞肺癌のセカンドラインのキードラッグである。
 ・Fossella FV, et al. J Clin Oncol 2000;18:2354-62.
 ・Shepherd FA, et al. J Clin Oncol 2000;18:2095-103.


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)に対するgemcitabine+carboplatin併用療法後,
 セカンドライン治療の適切な時期は明らかにされていない。
 無作為化オープンラベル試験により,GC後にdocetaxel を逐次投与する方法と
 再発後の2次治療として投与する方法の有効性および安全性を評価した。

方法:
 gemcitabine 1,000 mg/(day 1、8)+carboplatin AUC 5.0(day 1)を
 21日ごとに4コース施行した後、PD以外の症例をPSで層別化し以下のいずれかに
 無作為に割り付けた。 いずれも最大6コースである。

 逐次投与群:docetaxelを75mg/,day1,21日を1コース
 再発後投与群:docetaxel 75mg/ を再発後2次治療として,day1,21日を1コース

 Primary endpoint:全生存期間
 Secondary endpoint:奏効率,無増悪生存期間(PFS),毒性およびQOL

結果:
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結論:
 進行NSCLCに対するGC後docetaxel逐次投与により、
 QOLを低下させたり,毒性の発現頻度を高めたりすることなく生存率を改善する。
 

# by otowelt | 2009-02-17 08:30 | 肺癌・その他腫瘍

抗癌剤における吃逆のエビデンス


肺癌の白金系抗癌剤の副作用の1つである吃逆(しゃっくり)に、
氷水を飲むことが有効である可能性が、2009年2月7日~8日に開催された
第23回日本癌看護学会学術集会で、国立がんセンター東病院の菅野雄介先生により
報告された。

成人患者33人を対象に研究を行った。
200mLに氷片(約1cm3)を半分まで入れて、氷の高さ(約100mL)まで水を入れ、
それらをすべて摂取した。
吃逆消失の評価を氷水を摂取してから5分後と設定したところ、
33人中効果があったのは26人、効果なしが7人で、
有効率は78.7%(95%信頼区間 64.9-92.7)だった。


ちなみに・・・・・・・・・・・・
●非薬物療法
(1)吸気後の呼吸停止。
(2)咽頭刺激;
  1.舌圧子による圧迫
  2.咽頭へのキシロカインスプレー処置
  3.鼻から咽頭に向けてチューブ挿入し口蓋垂高の咽頭部を上下にこする。
 
(3)迷走神経、横隔神経に対して
  1.眼球圧迫
2.頸動脈洞のマッサージ
(4)吸入法;
  1.アンモニア、エーテル、からし油などで上気道を刺激しくしゃみをさせる
  2.炭酸ガスと酸素との混合ガスを吸入
(5)胃の膨満を解除;
  1.胃洗浄=急性胃拡張、幽門狭窄、空気嚥下症などによる吃逆の場合に有効
  2.重曹のかたまりを飲み、胃を急激に膨らませ、またげっぷ発生により
           収縮させることにより横隔膜の刺激をとる方法
        胃X線検査に用いる発砲錠でもよい
  3.経鼻的に胃にチューブを挿入
(6)神経ブロック;
  横隔膜神経ブロック(C3~5)や胸髄神経領域での持続硬膜外ブロック
(7)横隔膜神経切除;
  頑固な吃逆に対して施行。不成功に終わる例もある。

●薬物療法
・柿のへた
  撫育草 1803脇坂義堂
・クロルプロマジン(コントミン® 、ウィンタミン® )最近あまり使われない
 (12.5、25、50、100mgの錠剤と12.5、25、50mgのアンプル)
 用量:25mg×3/日 or 25~50mg点滴(点滴は特に術後に有効)
 禁忌:Parkinson症候群
Friedjood, CE, Ripster, CB. Chlorpromazine in the treatment of intractable hiccups. JAMA 1955; 157:309.
・ハロペリドール(セレネース® )
 用量:5~10mg/日
 禁忌:Parkinson症候群
・アミノトリプチン(トリプタノール® )
 用量:1回25~90mg
 禁忌:前立腺肥大、緑内障

・クロナゼパム(ランドセン® 、リボトリール® )
  用量:0.5~1.0mg×3/日
  禁忌:前立腺肥大、緑内障
・カルバマゼピン(テグレトール® )
  用量:200mg×4/日
  併用禁忌:ボリコナゾール 禁忌:血液障害、高度徐脈
・バルプロ酸ナトリウム(デパケン® )
  用量:15mg/kg/日
  併用禁忌:カルバペネム系 禁忌:妊娠、肝障害

・メトクロプラミド(プリンペラン®)
  用量:10mg×3~4回/日
  クロルプロマジンが無効のとき
  禁忌:褐色細胞腫
Madanagopolan, N. Metoclopramide in hiccup. Curr Med Res Opin 1975; 3:371.

・バクロフェン(ギャバロン® 、リオレサール®)
  用量:10~20mg×3回/日
  中枢神経を抑制するGABA類似作用を有すると考えられる。
・Ramirez, FC, Graham, DY. Treatment of intractable hiccup with baclofen: results of a double-blind randomized, controlled, cross-over study. Am J Gastroenterol 1992; 87:1789.  
・Guelaud, C, Similowski, T, Bizec, JL, et al. Baclofen therapy for chronic hiccup. Eur Respir J 1995;


・芍薬甘草湯 用量:7.5g~15g/日

・呉茱萸湯、半夏厚朴湯、半夏蕩心湯
 用量:1包に水500mLを加え、半量まで煎じ、煎汁を3回に分けて食間服用。
文責"倉原優"

# by otowelt | 2009-02-12 19:04 | 肺癌・その他腫瘍