若年者における過体重は喫煙者の死亡リスクを上昇させる


Combined effects of overweight and smoking in late adolescence on subsequent mortality: nationwide cohort study. BMJ 2009;338:b496


目的:
 若年者における過体重が喫煙における死亡率にどう寄与するかを調べる。

方法:
 45920人のスウェーデン人(平均年齢18.7歳)を38年間追跡した。
 BMIを(underweight (BMI <18.5), normal weight (18.5-24.9),
 overweight (25-29.9), and obesity (30))に分けた。
 これと筋力、自己申告喫煙量(non-smoker, light smoker (1-10 cigarettes/day)、
 heavy smoker (>10/day))をもとに全死亡率を解析。

結果:
 正常体重と比べると、overweight、obeseで死亡率が高い傾向にあった。
 (HR1.33, 1.15 to 1.53; incidence rate 23, 20 to 26)
 (HR2.14, 1.61 to 2.85; incidence rate 38, 27 to 48)
 underweightでは死亡率に差はみられなかった
 (HR 0.97, 0.86 to 1.08; incidence rate 18, 16 to 19)
 extreme underweight (BMI <17)では当然ながら死亡率は上昇した。
  (HR 1.33, 1.07 to 1.64; incidence rate 24, 19 to 29)
 非喫煙者と比べると、少しでも喫煙をしている人ではリスク上昇あり。
 light (HR 1.54, 1.41 to 1.70; incidence rate 15, 14 to 16)
 heavy smokers (HR 2.11, 1.92 to 2.31; incidence rate 26, 24 to 27)

結論:
 喫煙量に関わらず、過体重や肥満のある若年者では
 死亡率が上昇した。喫煙をしているとさらにリスクは上昇する。
 しかしながら、BMIと喫煙そのものには相関はみられなかった。
 

# by otowelt | 2009-03-20 17:19 | 内科一般

NSCLCセカンドラインにおけるドセタキセルの発熱性好中球減少症の頻度は6%


非小細胞肺癌(NSCLC)におけるセカンドラインは
文句なしにドセタキセルが第一選択であろう。
発熱性好中球減少症がどのくらいの頻度で起こるのかを
調べる研究が出た。

The risk of febrile neutropenia in patients with non-small-cell lung cancer treated with docetaxel:a systematic review and meta-analysis.
Br J Cancer 2009;100:436-441.


方法:
 ドセタキセルによるNSCLCのセカンドラインにおける
 発熱性好中球減少(FN)の発生頻度について、
 システマティックレビューおよびメタアナリシスにより検討した。
 前治療歴のある患者に承認用量のドセタキセルが使用され、
 FNの発生頻度が報告されている既発表の試験を検索し、解析対象とした。

結果:
 1回以上のFNエピソードを経験した患者比率をメタアナリシスにより評価。
 患者1,609例を含む13試験についての統合ランダム効果メタアナリシスで、
 ドセタキセル投与中に1回以上のFNエピソードを経験した患者の比率は
 5.95%(95%CI 4.22-8.13)であった。G-CSFの予防的投与が
 容認された試験、あるいは第II相試験と第III相試験との間には有意差はなし。
 ドセタキセルによるFNの発生頻度は、無作為比較試験のエビデンスでは約6%で、
 これは化学療法レジメンの選択に際して考慮すべき重要な要素になると考えられた。

# by otowelt | 2009-03-19 02:49 | 肺癌・その他腫瘍

ガバペンチンは、アンドロゲン除去関連のほてりを軽減する


A phase III randomized, double-blind,placebo-controlled trial of gabapentin in the management of hot flashes in men (N00CB).
Annals of Oncology 20: 542–549, 2009


背景:
 ほてり(hot lash)は、アンドロゲン除去療法(前立腺癌)において
 非常に問題になることがある。

方法:
 前立腺癌に対し安定したアンドロゲン除去療法施行中の患者で、
 ほてりを訴える症例を対象に前向き二重遮蔽プラセボ比較試験を実施した。
 患者にプラセボまたはガバペンチン(ガバペン)を
 300、600または900mg/日を投与した。ベースラインの1週間および
 試験薬投与後4週間のほてりの頻度と重症度を記録。

結果:
 適格214例における試験薬投与第4週目の平均のほてりスコアは、
 ベースラインの週に比し4.1単位減少した。ガバペンチンの投与量群別
 では、300mg群で3.2、600mg群で4.6、900mgで7.0単位減少。
 ガバペンチン群全体とプラセボ群の比較では、ほてりに関して有意差はなし。
 ガバペンチン最大量投与群の治療4週後のほてりスコアとほてりの頻度の
 変化をプラセボ群と比較した場合のp値は、それぞれ0.10および0.02だった。
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結論:
 ガバペンチンがアンドロゲン除去関連の血管運動機能障害を有する患者の
 ほてりをある程度軽減する。

# by otowelt | 2009-03-18 22:34 | 肺癌・その他腫瘍

ピロリ除菌および化学療法抵抗性の胃MALTリンパ腫に放射線治療は有用


MALTリンパ腫の治療には興味があるので。
Annals of oncologyより。

Complete long-term response to radiotherapy of gastric early-stage marginal zone lymphoma resistant to both anti-Helicobacter pylori antibiotics and chemotherapy.
Ann Oncol 2009 20: 465-468


背景:
 胃MALTリンパ腫で、ピロリ除菌に抵抗性の場合の
 適切なアプローチはまだ定まっていない。

方法:
 1997年1月から2004年12月まで24人のピロリ陽性の胃MALTリンパ腫と
 診断された患者を対象とした。5人がピロリ抵抗性であった。
 その後1ないし2レジメンの化学療法が追加された。
 51から77歳で平均年齢は70歳であった。
 彼らは30 Gyの放射線治療を受けた。

結果:
 これらピロリ除菌耐性の患者は放射線治療後に完全寛解を得た。
 67ヵ月後も再発がみられなかった。
 早期毒性はきわめて軽く、軽度の嘔気がみられる程度であった。
 晩期毒性は確認されなかった。

結論:
 放射線治療は、ピロリ陽性の胃MALTリンパ腫で除菌および
 その後の化学療法抵抗性の場合に効果があるものと考えられる。
 放射線治療はピロリ除菌や化学療法抵抗性であっても
 サルベージ療法として有用な可能性がある。

# by otowelt | 2009-03-18 22:21 | 肺癌・その他腫瘍

ニューモシスティス肺炎 (カリニ肺炎) その3


●ニューモシスティス肺炎の治療
★第一選択:
・ST合剤(バクタ)5mg/kg/day(トリメトプリム換算)
              1日3回 バクタ12錠分3 21日間
 ※バクタ1錠480mg:スルファメトキサゾール400mg+トリメトプリム80mg
・ST合剤(バクトラミン)5mg/kg/day(トリメトプリム換算)
              1日3回 バクタ12A分3 21日間
 ※バクトラミンは1Aあたり75~125mlの輸液が必要(合計900~1500ml)

※PO2<70mmHg or A-a gradient >35mmHg のとき、
 プレドニン40mg1日2回 5日間
  →プレドニン40mg1日1回5日間
    →プレドニン20mg1日1回 11日間


PaO2≦70Torr、AaDO2≧35mmHg、進行が速いケースでは
中等症以上と診断し、ステロイドをPCP治療開始後24-74時間以内に使用。
肺感染症や肺Kaposi肉腫があれば使用しない。
The National Institutes of Health-University of California Expert Panel for Corticosteroids as Adjunctive Therapy for Pneumocystis Pneumonia. N Engl J Med 1990; 323:1500

ステロイド使用は・・・・・・・
・死亡率を下げる
・呼吸不全の頻度を低下させる
Adjunctive corticosteroids for Pneumocystis jiroveci pneumonia in patients with HIV-infection Cochrane Database Syst Rev. 2006 Jul 19;3:CD006150


★その他の選択肢:
・ペンタミジン(ベナンバックス)3~4 mg/kg/日
     250mlに溶解して1日1回2時間以上でDIV 21日間
・ペンタミジン(ベナンバックス)600mg/日を注射用蒸留水6~20mlに溶解し
 超音波ネブライザーを用いて30分以上かけて吸入(何度か体位変換を行う必要あり)
 ※吸入前に気管支拡張薬を吸入した方がよい

・トリメトプリム 5mg/kg/日1日3回(バクタ12錠分3)
+ ダプソン(レクチゾール)100mg/日 21日間
・クリンダマイシン600mg IV 8時間ごと or 300-400mg PO 6時間ごと
+プリマキン15-30 mg/day 21日間
・Atovaquone (メプロン)750 mg PO 1日2回 21日間


●治療副作用
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・予防投与ではST合剤は100%予防できるが、
 ペンタミジンは5-10%/年で予防不可能
・ST 合剤中止の原因となる発熱、発疹の過敏反応では、
 その発現時期が決まっている。
 過敏反応は投与後8~13日までの第2週に起こるのが普通

●ニューモシスティス肺炎予防レジメン
予防レジメン:
・バクタ1錠 連日投与  あるいは 2錠分1隔日投与
・ペンタミジン(ベナンバックス)吸入 300mg/1回 を月に1回
・atovaquone 1500mg分1 食後内服

文責 "倉原優"

# by otowelt | 2009-03-18 12:01 | レクチャー