naftidrofurylは間欠性跛行の歩行を改善する


間欠性跛行とは、一定距離を歩行後に下肢に疼痛を感じ、
休むことにより痛みが軽減することである。
医学生の頃、閉塞性動脈硬化症 (ASO)、Burger病(TAO)、
腰部脊柱管狭窄などが鑑別疾患として挙がっていたものだ。

NSAIDsなんかではなかなかよくならないことが多いので
疼痛管理の面では非常にやっかいになることもしばしばある。

naftidrofuryl(パラクシレン錠)の有効性についてのメタアナリシスが
BMJから出ていた。

Naftidrofuryl for intermittent claudication: meta-analysis based on individual patient data. BMJ 2009;338:b603

目的および方法: 
 naftidrofuryl(パラクシレン錠)とプラセボを比べて、
 間欠性跛行のメタアナリシスを行った。
 Double blind, randomised controlled試験で、
 痛みなしで歩ける距離を測定したものである。
 治療成功の定義は、最低でも50%以上の歩行改善とする。

結果:
 1266人の患者をランダム化。
 naftidrofurylのプラセボと比べた歩行改善は
 距離として1.37倍 (95% CI 1.27 to 1.49)であった。
 奏効率はの違いは22.3% (95% CI 17.1% to 27.6%)で
 6ヶ月間の症状軽快のNNTは4.48 (95% CI 3.62 to 5.85)。
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結論:
 このメタアナリシスの結論として、プラセボに比べてnaftidrofurylは
 間欠性跛行に対して臨床的に意味のある歩行改善を示す。

# by otowelt | 2009-03-22 02:28 | 内科一般

21日サイクルのCPT-11/CBDCAのレジメンは再発SCLCの治療として有用


肺癌ガイドライン上ではSCLCの1st lineに関してはこのような推奨となっている。

a.シスプラチンとエトポシドの併用は標準的治療として強く勧められる(グレードA)。
b. シスプラチンと塩酸イリノテカンの併用は標準的治療として勧められる(グレードB)。
c. 超大量化学療法は日常診療として行わないよう勧められる(グレードD)。
d. PS不良例に対しても単剤(経口エトポシド)より
  多剤併用療法を行うよう強く勧められる(グレードA)。

ちなみに再発SCLCの場合は

標準的治療はないが,前治療終了後90日以上経過後に再発したもの
(sensitive relapse)は,再発小細胞肺癌の化学療法にも効果が
高い傾向にあり,初回化学療法と同様のレジメンを行う余地があるが,
勧めるだけの根拠が明確でない(グレードC)。

という記述になっている。

実地臨床では、放射線があてられない患者さんは
CDDP+ETP → AMR → CBDCA+CPT-11 → TOP
といった感じでケモすることが多い。


Phase II Trial of Irinotecan and Carboplatin for Extensive or Relapsed Small-Cell Lung Cancer. JCO Mar 2009: 1401–1404.

JCOのカリフォルニア大学からの論文。

目的:
 weekly CPT-11とプラチナ製剤の併用は、EDのSCLCで使われるレジメンである。
 多施設共同のphaseII試験として、新しい21日ごとのCPT-11/CBDCAのレジメンを
 再発あるいはEDのSCLCに対して使用した。

患者および方法:
 80人の患者が登録された。(39人が男性、41人が女性、平均65歳、PSは0-1が85%。)
 最大投与量は前回のphase I 試験に基づいて設定された。
 化学療法を受けたことのない、EDのSCLCではCPT-11が200 mg/m2 で
 CBDCAのAUCが5と設定。(arm A)
 化学療法治療歴があり、再発のあるSCLCではCPT-11は150 mg/m2 で
 CBDCAのAUCが5と設定。 (arm B)
 どちらのamでも1コース21日ごとでおこなわれ、最大6サイクルとした。

結果:
 grade 3~4の毒性として多かったのが好中球減少(54%)、
 血小板減少(22%)、貧血(13%)、下痢(22%)、悪心(11%)であった。
 3人の治療関連死がみられたが、これは好中球減少による敗血症によるものであった。
 72人の解析可能な患者では、RRはarmAおよびBで65%、50%であった。
 median survivalは、いずれも10ヶ月であった。(95% CI, 6 to 14 months)

結論:
 21日サイクルのCPT-11/CBDCAのレジメンは再発SCLCの治療として有用である。

# by otowelt | 2009-03-21 13:47 | 肺癌・その他腫瘍

癌罹患者の失業率


癌を患ったことのない人に比べ
癌で生き残った人はは失業する可能性が高いという報告。
有意差は出なかったものの、悲しい話だと思う。

Cancer survivors and unemployment. A meta-analysis and meta-regression. JAMA 2009;301:753-762.

背景:
 癌が治癒した後、癌のサバイバーは日常生活上で困難を抱えている。
 多くの癌サバイバーにとって社会復帰はは至難の業である。
 多くが身体的支障に加え、精神・感情面の問題を抱えている。
 アメリカでは、雇用・健康保険が一体となっているため、
 基礎疾患は保険の適用外となることが多いのが現実である。
 保険料の負担が増加するため、職を失う癌サバイバーもいる。

方法:
 癌のサバイバーの雇用を扱った文献に掲載された36件の報告結果を調査。
 (1966年から2008年)
 このメタアナリシスに、合計20366人の癌のサバイバー
 および157603人のコントロール患者群が含まれた。

結果:
 癌のサバイバーの失業率は34%であったのに対して
 コントロールでは15%であった。しかし、失業率は癌の種類によって異なっていた。
 アメリカの癌サバイバーの失業率はヨーロッパと比べて24%高いと報告したものの、
 この差は統計学的な有意差には達しなかった。

# by otowelt | 2009-03-21 08:50 | 肺癌・その他腫瘍

Stage IIIB/IV NSCLCに毎週のcetuximabとPTX/CBDCA併用は実施可能で効果も同等

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セツキシマブという薬は、呼吸器内科医として
肺癌治療の将来のためにも知っておかねばならないものである。

この薬剤は、抗上皮細胞成長因子受容体(EGFR)抗体で
進行非小細胞肺癌対象に化学療法(CDDP+VNB)と併用で
1st-lineとして用いることで、全生存期間が対象群よりも
改善できることが明らかとなったため、脚光を浴びた。

●FLEX試験
 FLEX試験は、30カ国166施設で行われた試験で、
 EGFRを発現している3B期/4期の進行NSCLC患者を
 シスプラチン、ビノレルビンのみを投与する群(化学療法のみ群)と
 シスプラチンビノレルビンに加えてセツキシマブを投与する群(併用群)
 セツキシマブは最初400mg/m2を投与し、その後は毎週250mg/m2を投与。
 セツキシマブの投与は化学療法との併用終了後も維持療法として投与された。
 セツキシマブ併用群には557人、化学療法のみ群には568人が割り付け。
 化学療法のみ群、セツキシマブ併用群とも化学療法のサイクルの中央値は4。
 試験の結果、OS中央値はセツキシマブ併用群が11.3カ月、
 化学療法のみ群が10.1カ月、1年生存率はセツキシマブ併用群が47%、
 化学療法のみ群では42%だった。ハザード比は0.871
(95%CI:0.762-0.996、p=0.044)で有意にセツキシマブ群の延長が認められた。
 奏効率はセツキシマブ併用群が36%、化学療法のみ群が29%で有意に
 セツキシマブ群の方が優れていた。治療成功期間もセツキシマブ併用群が4.2カ月
 に対し、化学療法のみ群は3.7カ月で、ハザード比0.860(95%CI:0.761-0.971)で、
 セツキシマブ併用群の方が優れていた。ただし、PFSは両群とも4.8カ月で有意差なし。

つまり、ケモと併用してセツキシマブを使うわけだが、
・Phase II study of paclitaxel, carboplatin, and cetuximab as first line treatment for patients with advanced non-small cell lung cancer (NSCLC): results of OPN-017. Journal of Thoracic Oncology. 2008;3:1266-1292.
・Cetuximab in combination with carboplatin and docetaxel for patients with metastatic or advanced-stage nonsmall cell lung cancer: a multicenter phase 2 study. Cancer. 2008;113:2512-2517.

上記の論文ではCBDCA+DOCにセツキシマブを加えることでの有用性が
報告されている。

ご紹介するのは、CBDCA+PTXにセツキシマブを併用する場合のphaseII試験。


A randomized, phase II trial of two dose schedules of carboplatin/paclitaxel/cetuximab in stage IIIB/IV non-small-cell lung cancer (NSCLC).Ann Oncol 2009 Feb 2(Epub ahead of print)

背景:
 Stage IIIB/IVのNSCLC患者を対象に、毎週のcetuximabと
 paclitaxel/carboplatin(PC)の2種類の異なる投与スケジュールとの
 併用療法の効果と安全性を検討する第II相試験を実施した。

方法:
 前治療歴のないstage IIIB/IV NSCLC患者168例を
 arm A:cetuximab(400mg/m2、day 1、以後毎週250mg/m2)
      +paclitaxel(225mg/m2)/carboplatin(AUC 6)、day 1、3週毎
 または
 arm B:cetuximab(400mg/m2、day 1、以後毎週250mg/m2)
      +paclitaxel(100mg/m2)day 1、8、15、3週毎
       およびcarboplatin(AUC 6)day 1、4週毎
 に無作為に割りつけた。  
 治療は最大4サイクル継続した。4サイクル治療後に、CR、PR、
 および安定の得られた患者に対しては、cetuximab 250mg/m2/週を
 PDまたは許容不能の毒性がみられるまで投与できることとした。
 プライマリエンドポイントはPFSである。

結果:
 arm AおよびBのPFS中央値は、それぞれ4.7か月および4.3か月
 (6か月PFS生存率27.3%対30.9%)であった。
 OSの中央値は、それぞれ11.4か月および9.8か月で、
 推定1年生存率はそれぞれ29.6%および25%であった。
 忍容性は良好で、最も多く見られた毒性は皮疹および血液毒性であった。
 今回の試験は、予め設定した6か月PSF生存率35%の目標基準には
 達しなかったが、cetuximab+PCの2種の併用スケジュールとも実施可能で、
 効果も同等であった。

# by otowelt | 2009-03-21 01:29 | 肺癌・その他腫瘍

若年者における過体重は喫煙者の死亡リスクを上昇させる


Combined effects of overweight and smoking in late adolescence on subsequent mortality: nationwide cohort study. BMJ 2009;338:b496


目的:
 若年者における過体重が喫煙における死亡率にどう寄与するかを調べる。

方法:
 45920人のスウェーデン人(平均年齢18.7歳)を38年間追跡した。
 BMIを(underweight (BMI <18.5), normal weight (18.5-24.9),
 overweight (25-29.9), and obesity (30))に分けた。
 これと筋力、自己申告喫煙量(non-smoker, light smoker (1-10 cigarettes/day)、
 heavy smoker (>10/day))をもとに全死亡率を解析。

結果:
 正常体重と比べると、overweight、obeseで死亡率が高い傾向にあった。
 (HR1.33, 1.15 to 1.53; incidence rate 23, 20 to 26)
 (HR2.14, 1.61 to 2.85; incidence rate 38, 27 to 48)
 underweightでは死亡率に差はみられなかった
 (HR 0.97, 0.86 to 1.08; incidence rate 18, 16 to 19)
 extreme underweight (BMI <17)では当然ながら死亡率は上昇した。
  (HR 1.33, 1.07 to 1.64; incidence rate 24, 19 to 29)
 非喫煙者と比べると、少しでも喫煙をしている人ではリスク上昇あり。
 light (HR 1.54, 1.41 to 1.70; incidence rate 15, 14 to 16)
 heavy smokers (HR 2.11, 1.92 to 2.31; incidence rate 26, 24 to 27)

結論:
 喫煙量に関わらず、過体重や肥満のある若年者では
 死亡率が上昇した。喫煙をしているとさらにリスクは上昇する。
 しかしながら、BMIと喫煙そのものには相関はみられなかった。
 

# by otowelt | 2009-03-20 17:19 | 内科一般