ブデホル®薬価収載

e0156318_82080.png 喘息診療医には大きなニュースです。ブデホル®という名前はこの1年ずっと耳にしていましたが、ニプロ以外の2社で正式に認可がおりたようですね。


 2019年12月13日付でジェネリックが薬価収載となった薬品は以下の通りです。

■制吐薬「イメンド」(一般名・アプレピタント、小野薬品工業)
■抗HIV薬「エプジコム」(ラミブジン/アバカビル硫酸塩、ヴィーブヘルスケア)
■抗真菌薬「ファンガード」(ミカファンギンナトリウム、アステラス製薬)
■抗サイトメガロウイルス薬「デノシン」(ガンシクロビル、田辺三菱製薬)
■喘息・COPD治療薬「シムビコート」(ブデソニド/ホルモテロールフマル酸塩水和物、アストラゼネカ)
■喘息治療薬「パルミコート吸入液」(ブデソニド、アストラゼネカ)



ブデホル®の添付文書によると、

「通常、成人には、維持療法として1回1吸入(ブデソニドとして160μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として4.5μg)を1日2回吸入投与する。なお、症状に応じて増減するが、維持療法としての1日の最高量は1回4吸入1日2回(合計8吸入:ブデソニドとして1280μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として36μg)までとする。
 維持療法として1回1吸入あるいは2吸入を1日2回投与している患者は、発作発現時に本剤の頓用吸入を追加で行うことができる。本剤を維持療法に加えて頓用吸入する場合は、発作発現時に1吸入する。数分経過しても発作が持続する場合には、さらに追加で1吸入する。必要に応じてこれを繰り返すが、1回の発作発現につき、最大6吸入までとする。
 維持療法と頓用吸入を合計した本剤の1日の最高量は、通常8吸入までとするが、一時的に1日合計12吸入(ブデソニドとして1920μg、ホルモテロールフマル酸塩水和物として54μg)まで増量可能である。


とあり、SMART療法が可能となっています。





# by otowelt | 2019-12-13 07:58 | 気管支喘息・COPD

健常人の3人に1人がブラやブレブを持っている

e0156318_1543237.jpg これは驚いた。

de Bakker HM, et al.
Prevalence of pulmonary bullae and blebs in post-mortem computed tomography with potential implications for diving medicine: Prevalence of pulmonary bullae and blebs.
Chest. 2019 Nov 21. pii: S0012-3692(19)34226-6. doi: 10.1016/j.chest.2019.11.008.


背景:
 肺のブラやブレブは、気胸を起こしうる。健康集団におけるこれらの有病率は現在不明である。われわれは、法医学データベースの死後CT(PMCT)を用いて、健康なオランダ人成人集団における肺のブラ/ブレブの有病率を調べた。また、ダイビングの禁忌と見なされることが多いダイビング医学へのこれらの影響を判断した。

方法:
 肺疾患を有さないオランダ人成人集団130人において、法医学のPMCTを用いてブラ/ブレブの存在を解析した。肺は損傷なく拡張し、呼吸器疾患の徴候がない状態を条件とした。通常の初期の死後の変化は許容した。

結果:
 解析は10歳ごとに行われた。

■グループI(21~30歳):26人
 ブレブは4人に、ブラ/ブレブは1人に観察された。

■グループII(31~40歳):28人
 ブレブは9人に、ブラは1人に観察された。

■グループIII(41~50歳):27人
 ブレブは9人に、ブラは1人に、ブラ/ブレブは4人に観察された。

■グループIV(51~50歳):28人
 ブレブは7人に、ブラ/ブレブは2人に観察された。

■グループV(61~70歳):21人
 ブレブは3人に、ブラは1人に、ブラ/ブレブは2人に観察された。

平均すると、ほとんどのブラ/ブレブは10mmより小さく、20mmを超えるものはなかった。
 
結論:
 肺PMCTを再評価すると、基礎に肺疾患がない一般集団の3人に1人(33.8%、95%信頼区間25.7-41.9%)が小さなブラやブレブを有しているという驚くべき結果が判明した。この知見は、ダイビング医学に潜在的な影響を与える可能性がある。


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# by otowelt | 2019-12-13 00:29 | 呼吸器その他

COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌発症を減少"させない"

e0156318_1633480.jpg COPD患者さんに対するICSは肺癌を減らすという知見が普及していましたが、否定的な研究結果が出てきました。

参考記事:COPD患者に対する吸入ステロイドは肺癌リスクを減少

 まぁ、どっちみち臨床的実感はなかったのですが・・・。

Suissa S, et al.
Inhaled corticosteroid use and the incidence of lung cancer in COPD.
Eur Respir J. 2019 Nov 19. pii: 1901720. doi: 10.1183/13993003.01720-2019.


背景:
 吸入ステロイド(ICS)は肺癌の潜在的な化学予防効果があるとされている。複数のCOPD患者の観察研究では結果が一致しておらず、ICS使用による肺癌の減少あるいは効果はないという見解に分かれた。一部の研究に影響を与えているであろうバイアスを回避する手法により、この関連性を評価した。

方法:
 ケベック州ヘルスケアデータベースを用いて、2000年~2014年に、長時間作用性気管支拡張薬を新規に用いたCOPD患者コホートを同定し、2015年まで追跡し肺癌の発生をみた。初発症状バイアス(protopathic bias)を回避するために、コホート登録から1年遅らせる手法が用いられた。ICS開始後から1年の潜期を設定した。共変数を補正した時間依存性Cox回帰モデルを用いて、ICS曝露に関連した肺癌のハザード比を推定した。

結果:
 コホートには58177人が組み入れられ、ICS投与を受けたのは63%だった。平均追跡期間5年で肺癌が954人に発症した。非ICS曝露と比較したICS曝露による肺癌の補正ハザード比は0.94(95%信頼区間0.81-1.07)だった。4年を超えるICS曝露を受けていても、ハザード比は不変だった(0.86、95%信頼区間0.70-1.07)。平均ICS用量が多い場合(フルチカゾン相当量で>1000μg)のハザード比は1.50だった(95%信頼区間0.88-2.57)。
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(文献より引用:ICSと肺癌)

結論:
 COPD患者において、ICSは肺癌の減少とは関連していなかった。観察研究における減少が起こった理由として、時間関連バイアスの影響と、喘息患者を組み入れてしまったことが挙げられる。
ランダム化試験を提案する場合、ある程度注意が必要である。



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# by otowelt | 2019-12-12 00:47 | 気管支喘息・COPD

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?

e0156318_1543237.jpg 公立陶生病院の武井玲生仁先生の論文です。Morissetらの診断基準は、2年前の「ポケット呼吸器診療2018」から掲載していますが、そもそもCHPの診断自体にコンセンサスがないので、どうしようもないなぁと思っています。50%とか70%とか、完全に主観ですし・・・。
 CHPの世界は、トートロジーにあふれています。
 そのため、「MDDによるCHP診断」というのがリファレンスとして妥当なのかどうか、議論が必要ではないでしょうか。

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(2017年Morissetらの提唱したCHP診断基準[ポケット呼吸器診療2019より])

Takei R, et al.
Usefulness of new diagnostic criteria for chronic hypersensitivity pneumonitis established on the basis of a Delphi survey: A Japanese cohort study
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.10.001


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、さまざまな有機分子に繰り返し曝露されて引き起こされる線維性間質性肺疾患(ILD)である。2017年11月に、ILD専門家による修正Delphiサーベイに基づいてMorissetらにより新たなCHP診断基準が提唱された。しかしながら、この基準がCHPの確診に有用化どうかはまだわかっていない。われわれは、新たに提唱されたこのCHP診断基準を評価した。

方法:
 われわれは2008~2015年に外科的肺生検を受けた日本人の連続患者に、後ろ向きにMorissetのCHP診断基準を適用した。全患者は気管支肺胞洗浄および肺機能検査を受けた。膠原病合併例や急性・亜急性過敏性肺炎例は除外された。

結果:
 251人の患者が登録された。多面的検討(MDD)に基づいてCHPと診断されたのは27人で、特発性肺線維症117人、分類不能型間質性肺炎65人、他疾患42人だった。27人のMDD-CHP患者のうち、14人が50%を超える信頼性でもってCHPと分類され、13人は分類されなかった(感度51.9%、特異度77.7%)。MorissetのCHP診断基準により、7人の患者がCHP診断のための外科的肺生検を回避することができた。50%を超える信頼性でもってCHPと分類されなかった13人のMDD-CHP患者の除外理由は、CHP特徴を有さないinconsistent with UIPパターンであった。
 CHPの特徴を有さないinconsistent with UIPパターンを組み込んだ“修正MorissetのCHP診断基準”を採用すると、感度92.6%、特異度64.7%まで上昇した。
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(修正MorissetのCHP診断基準)

結論:
 MDD-CHP患者の半分が、MorissetのCHP診断基準を用いてCHPと診断された。CHPの診断基準を改善させるためにさらなる研究が重要である。


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# by otowelt | 2019-12-10 00:44 | びまん性肺疾患

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用

e0156318_10574046.jpg 健康コントロールで検出されない、というのがミソかなと思います。
 S100Aはたくさんのアイソフォームがある二量体で、このうちA4は線維芽細胞で高率に発現していることが知られています。

Akiyama N, et al.
Clinical significance of serum S100 calcium-binding protein A4 in idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2019 Oct 9. doi: 10.1111/resp.13707.


背景および目的:
 特発性肺線維症(IPF)、予後不良の進行性の間質性肺疾患である。IPFのアウトカムを予測する血清バイオマーカーは確立されていない。S100カルシウム結合タンパクA4(S100A4)は、線維芽細胞のマーカーと考えられているが、臨床応用についてはまだ不透明である。われわれは、IPF患者におけるS100A4の臨床的信頼性について評価した。

方法:
 95人IPFの連続患者と50人の健康コントロールにおいて、ELISAを用いて血清S100A4値を測定した。両群に年齢・性差はなかった。Kaplan-Meier法およびCoxハザード解析を用いて、免疫組織化学/免疫蛍光染色と疾患進行(肺機能の悪化あるいは死亡と定義)の関連を調べた。

結果:
 血清S100A4値は、健康コントロール患者全員で検出できず、IPF患者では26人(27.3%)に検出された。
e0156318_9354057.png
(ベースラインの血清S100A4値:文献より引用)

 IPF患者における肺組織の免疫染色では、線維芽細胞巣と線維化領域の周囲にS100A4発現細胞が多数観察された。カットオフ値を22.3ng/mLにすると(感度42.9%、特異度83.3%)、血清S100A4値が高いIPF患者は、低値の患者と比較して有意に予後不良であった(2年累積生存率41.7% vs 77.0%, P < 0.01)。
e0156318_9392428.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

 多変量解析において、ベースラインの血清S100A4値が10ng/mL増えるごとに疾患進行リスク(オッズ比1.06、p=0.01)と死亡リスク(ハザード比1.18、p=0.03)が上昇した。

結論:
 血清S100A4は、IPFの疾患進行/死亡を良くするかもしれないバイオマーカーである。この知見は、IPFの治療戦略の手助けになるかもしれない。




# by otowelt | 2019-12-09 00:27 | びまん性肺疾患