非結核性抗酸菌症の外科切除成績

e0156318_10555091.png 当院でも選択的に外科手術をお願いしています。

関原圭吾ら.
非結核性抗酸菌症に対する外科切除の成績
Kekkaku Vol. 94, No. 7 : 409-412, 2019


目的:
 非結核性抗酸菌(NTM)症の治療には,薬剤耐性など限られた症例に対して外科切除の適応がある。本検討では外科切除後の成績を明らかにすることを目的とした。

対象:
 2012年1月から2017年12月までの手術例18例を対象とした。観察期間中央値は39.1カ月。

方法:
 術後排菌が陽性化,もしくは画像で陰影の増悪を再燃とし,術後合併症と無病生存率(DFS)をそれぞれ検討した。

結果:
 年齢中央値66 歳,男性4 例(22%),女性14 例(78%),菌種はM.avium 12 例(67%),M.intracellulare 3 例(16%),M.xenopi 2 例(11%),M.abscessus 1 例( 6 %)であった。術式は部分切除1 例( 6 %),区域切除2 例(11%),肺葉切除11 例(61%),肺葉切除+部分切除1 例( 6 %),肺葉切除+区域切除3 例(16%),手術時間220分,出血量84 gであった。合併症は遷延性肺瘻を2 例(11%)に認め,周術期死亡はなかった。術後3 年DFS は85% であった。

考察:
 重症合併症や周術期死亡はなかった。病勢制御率も高く,適切な症例選択をすれば外科切除は有効な治療である。






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# by otowelt | 2019-08-23 00:01 | 抗酸菌感染症

LAM患者における気道可逆性と吸入薬

e0156318_21492533.jpg ブリーフコミュニケーションですが、とても興味深いテーマです。

Johnson J, et al.
Cross-sectional study of reversible airway obstruction in LAM: better evidence is needed for bronchodilator and inhaled steroid use.
Thorax. 2019 Jul 30. pii: thoraxjnl-2019-213338.


概要:
 確定あるいは疑い例のリンパ脈管筋腫症例(LAM)患者を2011~2018年まで登録した。初回受診時に、臨床・薬剤投与歴、肺機能検査、胸腹部CT検査がおこなわれた。サルブタモールを用いて気道可逆性も評価された。気道可逆性は1秒量200mL以上かつ12%以上の改善と定義された。
 213人の患者が登録された。症状発症時の平均年齢は37±12.9歳で、受診時の平均年齢は50±12.3歳だった。95人が気道可逆性検査を実施された。気道可逆性検査を受けた患者は、受けていない患者と年齢や肺機能に差はなかった。LAM患者の気道可逆性の平均は9.5±10%であり、全体の20%が気道可逆性ありと判定された。
 気道可逆性のある患者は気管支拡張薬によって治療されていることが多く、SABA 72% vs 34%、LABA 80% vs 47%、LAMA 76% vs 39%、ICS 44% vs 20%だった。全体の55%が吸入薬を用いていた。吸入薬を用いている患者は、用いていない患者と比較して、罹病期間が長く、1秒量が低く、DLcoが低かった。
 ラパマイシンは72% vs 34%とこれも気道可逆性がある患者群で多かった。
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(文献より引用)







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# by otowelt | 2019-08-22 00:59 | びまん性肺疾患

本の紹介:ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版

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 3年前、こんな書き出しで前版を紹介しました。「私が手に入れてよかったと思う医学書は、読んで自分が焦る本です」と。

 ―――ついに出たぜ、神本第2版!!! 

発売日:2019年8月22日
単行本 : 886ページ
価格 : 8,640円 (税込)
出版社 : シーニュ
監訳: 高岸 勝繁 先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 今や「ホスピタリストといえば誰ですか?」という質問に対して、高岸勝繁先生を挙げる人も多いでしょう。彼は「Hospitalist ~病院総合診療医~http://hospitalist-gim.blogspot.jp/)」というブログを運営しています。毎日のように更新されるハイレベルな知識の洪水の恩恵を受けようと、アクセスが集まっています。私も更新されるたびにチェックしています。日本の「ザ・ホスピタリスト」として必ず挙げるドクターの一人です。

 ホスピタリストは本来、入院患者さんを包括的に診療する医師という意味で、プライマリ・ケアとは違い病棟に特化した用語です。高岸先生は外来マネジメントも綿密でしょうが、本領を発揮している舞台が病棟であることは、ブログや著書から明白です。
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 この本は独自のフローチャートがとてもシンプルで分かりやすいのですが、真髄は徹底したエビデンスの裏付けにあります。いや、徹底どころじゃない、やりすぎと言ってもいいレベル!

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 たとえば、ポビドンヨードを胸腔内に入れるという癒着術について、近年論文レベルで目にするようになりました。しかし、この本にはさも当たり前のようにサラリと書かれています。こういう知見があらゆる内科分野にわたって散りばめられているわけです。専門医なのにそんなアハ体験があると、背筋がゾッとしますよ。

 ―――日本中の医師よ、さあこの本を読んで焦るがよい。



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# by otowelt | 2019-08-20 00:14 | その他

ブログお盆休み

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ブログも一週間だけ、お盆休みに入ります!

読んでからレビューしますが、神本「ホスピタリストのための内科診療フローチャート 第2版」の第2版が出ます。
要チェックです。


# by otowelt | 2019-08-13 00:26 | その他

メタアナリシス:安定期COPDに対する長期低用量マクロライドは増悪リスクを減らす

e0156318_1312221.png 個人的にはあまり使いたくないなと思います。DPBのエビデンスもあってか、エリスロシンは呼吸器内科ではやや濫用されがちです。
 アジスロマイシンのエビデンスが蓄積されつつありますが、先日喘息に対して用いることで耐性菌が増加するという報告がオーストラリアの研究グループからありました(Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 1;200(3):309-317.)。

Cao Y, et al.
Effects of long-term macrolide therapy at low doses in stable COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Jun 12;14:1289-1298.


背景:
 COPDは現在世界で4番目に多い致命的疾患であり、そして2020年までに3位に上昇すると予想されている。頻繁な急性増悪は死亡率の増加をもたらす。COPD増悪の予防におけるマクロライドの予防的使用について提案があるが、どの標的集団に用いるか、治療レジメン、用量など、取り組むべき課題がまだある。

目的:
 探索的メタアナリシスを通して、安定期COPDにおける長期低用量マクロライド療法の効果を評価すること。

方法:
 2019年5月28日までのシステマティックな文献検索をPubMed, Embase, Cochraneデータベースでおこなった。COPDの予防的長期低用量マクロライド(エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)について報告したランダム化比較試験が適格となった。

結果:
 本研究には10の臨床試験が登録された。合計1521人のマクロライド治療群患者と1418人のプラセボ群患者が解析対象となった。治療期間は3~12ヶ月だった。10試験のうち3試験が非盲検下でおこなわれたものだった。
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(登録試験:文献より引用)

 マクロライドを投与された患者はプラセボを投与された患者よりもCOPD増悪の相対リスクが23%低かった(P<0.01)。初回増悪までの期間の中央値は、マクロライドを投与された患者のほうがプラセボを投与された患者よりも効果的に延長した(p<0.01)。
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(COPD増悪:文献より引用)

 サブグループ解析では、エリスロマイシンがより有効であり、高齢者はマクロライドに対する反応性が低いことが示された。

結論:
 長期低用量マクロライドは、COPDの急性増悪の頻度を有意に減少させることができる。治療は忍容性があり、有害反応が少ないが、高齢者には向かない。この治療レジメンは、急性増悪や死亡のリスクが高いであろうGOLD CあるいはDの患者に推奨される。12ヶ月以上継続すべきかどうかについてはさらなる議論が必要である。






# by otowelt | 2019-08-11 00:06 | 気管支喘息・COPD