PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ

e0156318_10574046.jpg IPFに対して、現在最も期待されている薬剤です。

Richeldi L, et al.
Pamrevlumab, an anti-connective tissue growth factor therapy, for idiopathic pulmonary fibrosis (PRAISE): a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2019 Sep 27. pii: S2213-2600(19)30262-0. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30262-0.


背景:
 結合組織増殖因子(CTGF)は、線維化にかかわる血管内皮細胞から分泌されるタンパクである。この研究は、CTGFに対する遺伝子組み換えヒト化モノクローナル抗体であるパムレブルマブ(FG-3019)のIPFに対する安全性、忍容性、効果を調べたものである。目的は、パムレブルマブIPFの進行を遅らせる・止める・逆行させることができるかどうかを調べることである。

方法:
 この第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(PRAISE試験)は、7ヶ国(オーストラリア、ブルガリア、カナダ、インド、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカ)の39施設で実施された。予測努力性肺活量(FVC)が55%以上のIPF患者を、ランダムに1:1の割合で、パムレブルマブ30mg/kgあるいはプラセボを3週間ごと48週間(合計16回注射)のいずれかの群に割り付けた。プライマリ効果アウトカムは、48週時点での予測FVCの変化(%)とした。48週時点での病勢進行(予測FVCがベースラインから10%以上減少あるいは死亡)がセカンダリ効果アウトカムに設定された。少なくとも1回の注射を受けたパムレブルマブ群の全患者が安全性解析に組み込まれた。プラセボ群の2人の患者は、登録エラーのため効果解析のITT集団から除外された。

結果:
 2013年8月17日~2017年7月21日に、103人の患者がランダム化された(50人:パムレブルマブ群、53人:プラセボ群)。パムレブルマブは、48週時点で予測FVC減少をプラセボより60.3%減らした(ベースラインからの平均変化率:パムレブルマブ群-2.9%、プラセボ群-7.2%、差4.3%[95%信頼区間0.4-8.3%]、p=0.033)。
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(文献より引用)

 48週時点で病勢進行がみられた患者の比率は、パムレブルマブ群の方が低かった(10.0% vs 31.4%、p=0.013)。パムレブルマブは十分な忍容性があり、プラセボと同等の安全性だった。治療による重篤な有害事象は、パムレブルマブ群12人(24%)、プラセボ群8人(15%)だった。前者3人、後者7人が治療中断となった。パムレブルマブ群で3人(6%)、プラセボ群で6人(11%)が死亡したが、治療に関連したと思われる患者はいなかった。

結論:
 パムレブルマブはIPFの進行を遅らせ、十分な忍容性がある。現在第3相試験がおこなわれており、パムレブルマブはIPFの治療において安全性の高い効果的な新薬となるだろう。


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# by otowelt | 2019-10-21 00:43 | びまん性肺疾患

日本の非結核性抗酸菌症プラクティスがもたらすCAM耐性菌リスク

e0156318_10555091.png クラリスロマイシン耐性例の解析では、リスクとして標準治療経過中のエタンブトール中止が多いとのことです(Ann Am Thorac Soc. 2016 Nov;13(11):1904-1911)。

Morimoto K, et al.
Actual practice of standard treatment for pulmonary nontuberculous mycobacteriosis in Japan.
Respir Med. 2019 Oct 4;158:67-69. doi: 10.1016/j.rmed.2019.10.002.


背景:
 日本における肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)のプラクティスの仔細は明らかにされていない。

方法:
 2010年に病名登録され、2010年から2014年までの間に少なくとも標準3剤治療を受けたNTM-PD患者9200人のランダムサンプル2%(184人)を調べた。
 
結果:
 標準治療期間の中央値は248日(IQR 56-540日)だった。患者の59%が標準治療を6ヶ月超受けたが、
12ヶ月の治療を受けたのはわずか41%だった。
 53人(29%)が標準から逸脱した治療レジメンで開始されていたが、そのうち18人(34%)がマクロライド耐性を誘導するリスクのある処方へ変更していた(クラリスロマイシン単剤治療あるいはクラリスロマイシン+リファンピシン)。
 184人は標準治療レジメンを開始されていたが、49人(27%)がそれから逸脱し、31人(63%)がマクロライド耐性を誘導するリスクのある処方へ変更していた。治療期間中央値は266日(IQR 127-579日)だった。
 マクロライド単独療法は、標準治療前に50人(27.7%)、標準治療後に41人(27.2%)観察された。

結論:
 およそ60%のNTM-PD患者が標準治療レジメンを12ヶ月超継続できず、標準治療前後で42%がマクロライド耐性リスクのある処方になっていた。NTM-PDの適切かつ安全なマネジメントについて医師と患者に啓蒙することが重要である。






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# by otowelt | 2019-10-19 00:48 | 抗酸菌感染症

月経随伴性気胸患者における血中循環子宮内膜細胞の同定

e0156318_9192466.png 横隔膜還流が時計回り(患者さんからみた場合は反時計回り)で、右横隔膜下に・・という理論を見たことがありますが、循環子宮内膜細胞の説についても検証されています。

Kiss I, et al.
Circulating Endometrial Cells in Women with Spontaneous Pneumothorax
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.008


背景
 月経随伴性気胸の発症はまれであり、臨床医がこの診断に気づくことも困難である。月経随伴性気胸は、骨盤内子宮内膜症と強く相関しており、胸腔内子宮内膜症症候群のもっともよくみられる型でもある。循環子宮内膜細胞(CEC)は、骨盤内子宮内膜症患者で過去に同定されたことがある。CECは、気胸マネジメントに新たな知見をもたらすだろうか?

方法:
 この研究は、月経と関連していることが強く疑われる自然気胸の女性患者20人において、CEC検出の頻度とその特徴を調べることである。CECは細胞の大きさから分離濃縮された(MetaCell®)。細胞形態に加えて、採取細胞において24の子宮内膜症関連遺伝子発現プロファイリングをおこなった。
 コントロール群として、気胸のない子宮内膜症患者を18人設定した。

結果:
 CECは20人全員にみられた。濃縮CECは、上皮性、幹細胞様、間質細胞様、腺細胞様の4つの特徴を有していた。しかしながら、全サンプルにおいてこのすべての特徴があるわけではなかった。遺伝子発現プロファイルでは、月経随伴性気胸患者のCECに2つのフェノタイプが同定された。そのうちの1つは横隔膜開口症候群、2つ目は子宮内膜胸膜移植である。
 気胸のある患者のCECを、骨盤内子宮内膜症で気胸のない患者のCECと比較したところ、気胸例でHER2発現が高かった。

結論:
 女性の気胸患者でCECを同定することができた。気胸患者でCECがあれば、子宮内膜症の進展が示唆されるため、早期に産婦人科コンサルトをおこない治療すべきである。


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# by otowelt | 2019-10-18 00:34 | 呼吸器その他

徐放性モルヒネは慢性の息切れに無効

e0156318_1110586.jpg なかなかインパクトの大きな臨床試験です。
 呼吸不全を合併して酸素療法が導入されている安定期COPDという集団を想定したとき、モルヒネの定期使用は医学的意義がないという結果になりました。

David Currow, et al.
Regular, sustained-release morphine for chronic breathlessness: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2019-213681


背景:
 モルヒネが慢性の息切れを軽減するかどうか、大規模なランダム化比較試験では示されてない。これは、定期的な低用量徐放性モルヒネ製剤の効果と安全性をみた、初めての大規模並行群間試験である。

方法:
 多施設(オーストラリアにおける14の外来・入院・緩和ケアサービス)において、並行群間二重盲検ランダム化比較試験を実施した。慢性の息切れ(mMRC≧2以上)を有する成人を、徐放性モルヒネ製剤20mg/日+緩下剤(介入群)あるいはプラセボ+プラセボ緩下剤(コントロール群)のいずれかに7日間割り付けた。両群ともに、必要時2.5mg6回まで短時間作用性モルヒネ(24時間で15mgまで)を許可した。
 慢性の息切れについては、少なくとも2回適切な基礎疾患マネジメントをおこなったことを条件とした。
 プライマリエンドポイントは、ベースラインからの息切れの変化(VAS 0-100mm、日誌により1日2回記録)とした。セカンダリエンドポイントは、息切れの最悪時・最良時・平均、現在の息切れの不快感、疲労、QOLなどとした。

結果:
 ITT解析に組み込まれたのは、284人で、モルヒネ介入群145人、プラセボ群139人だった。平均年齢はモルヒネ介入群74.0±9.6歳、プラセボ群74.5±9.1歳だった。ベースラインのmMRCは1がそれぞれ18人(14.1%)、12人(10.3%)、2が22人(17.2%)、25人(21.6%)、3が33人(25.8%) 、33人(28.4%) 、4が55人(43.0%)、46人(39.7%)だった。平均SpO2は、それぞれ92.60±4.17%、92.96±4.46%だった。基礎疾患は、それぞれCOPDが82人(56.6%)、82人 (59.0%)と半数以上を占めた。次点は、悪性腫瘍である。登録時に在宅酸素療法を使っている患者は、それぞれ87人(60.0%)、75人(54.0%)だった。
 プライマリエンドポイントの息切れについて、両群で有意差はみられなかった(平均差−0.15 mm、95%信頼区間−4.59 to 4.29; p=0.95)。セカンダリエンドポイントにも差は観察されなかった。
 プラセボ群は、治療期間、経口モルヒネのレスキューをより多く使用していた(1日平均8.7回 vs 5.8回; p=0.001)。モルヒネ介入群は、プラセボ群より便秘、悪心・嘔吐が多かった。呼吸抑制や意識障害は1例もなかった。

結論:
 慢性の息切れに対する徐放性モルヒネ製剤の定期的内服は、プラセボと比較して息切れを軽減させない。プラセボ群のほうが、レスキューモルヒネの使用が多かった。






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# by otowelt | 2019-10-17 00:41 | 呼吸器その他

PD-L1発現レベルが超高値のNSCLC患者ではペムブロリズマブによる治療効果が良好

e0156318_8124310.jpg ロジカルに理解できる内容ですね。 

Aguilar EJ, et al.
Outcomes to first-line pembrolizumab in patients with non-small cell lung cancer and very high PD-L1 expression.
Ann Oncol. 2019 Aug 21. pii: mdz288. doi: 10.1093/annonc/mdz288.


目的:
 PD-L1発現が50%以上の非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、白金製剤を用いたレジメンと比較して、PD-L1阻害剤ペムブロリズマブによる1次治療は、生存を改善させることが示されている。PD-L1発現レベルが50~100%の間にあるNSCLC患者に対するペムブロリズマブの利益については、まだよく分かっていない。

患者および方法:
 多施設共同後ろ向き解析で、われわれは、PD-L1発現レベルが50%以上でEGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子陰性のNSCLCの1次治療としてペムブロリズマブの投与を受けた患者において、PD-L1発現レベルが、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)中央値、全生存期間(OS)中央値に与える影響を調べた。

結果:
 187人が解析に組み込まれた。ORRは44.4%(95%信頼区間37.1-51.8%)、PFS中央値は6.5ヶ月(95%信頼区間4.5-8.5%)、OS中央値は未到達だった。ペムブロリズマブに効果がみられた患者のPD-L1発現レベル中央値はSDあるいはPDの患者よりも有意に高かった(90% vs 75%, P < 0.001)。PD-L1発現レベルが50~89%の患者(107人)と比較して、発現レベルが90~100%の患者(80人)のほうが有意にORRが高く(60.0% vs 32.7%, P < 0.001)、PFS中央値が長く(14.5 vs 4.1ヶ月, ハザード比0.50 [95%信頼区間0.33-0.74], P < 0.01)、OS中央値が長かった(未到達 vs 15.9ヶ月, ハザード比0.39 [95%信頼区間0.21-0.70], P = 0.002)。

結論:
 ペムブロリズマブによる1次治療を受けたPD-L1発現レベルが50%以上のNSCLC患者において、PD-L1発現レベルが90%以上の場合臨床アウトカムが有意に改善した。



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# by otowelt | 2019-10-16 00:16 | 肺癌・その他腫瘍