多剤フルオロキノロンはフルオロキノロン耐性結核のリスク
2009年 04月 26日

と教えられたが、業務の忙しさのため、ガフキーを待たずに
抗菌薬を院内薬局に注文してしまうことがある。
Empirical Treatment of Community‐Acquired Pneumonia and the Development of Fluoroquinolone‐Resistant Tuberculosis.
Clinical Infectious Diseases 2009;48:1354–1360
背景:
フルオロキノロン(FLQ)の使用は、CAPの治療に使われることが多くなった。
しかし、肺炎が実は結核だったということもある。
こういったとき、フルオロキノロン単剤治療が、結核の耐性に関与するかどうか調べた。
方法:
のちに結核とわかった外来フルオロキノロン使用患者を対象に研究したもの。
ケースコントロールスタディ。
結果:
肺TBをもつ428人の患者のうち、74人 (17.3%)が
1つ以上のフルオロキオンロンを使用していた。
高齢者患者(64歳以上)は、若年者よりもフルオロキノロン処方が多かった(P<.05)。
フルオロキノロンを処方された患者は、トータル103の処方。
74人のうち、54人 [73.0%] の患者が単剤処方だった。
TB103人のうち69人 [67.0%] の患者がTBの診断90日以上前に処方されている。
フルオロキノロンを処方された患者は、統計学的にフルオロキノロン耐性結核が
有意に増えたわけではない。
ただし、148のM. tuberculosisのうち、3例がフルオロキノロン耐性だった。
これは、多剤フルオロキノロンを処方された患者の3例であった。
FLQ‐resistant M. tuberculosisは、単剤フルオロキノロンよりも
多剤フルオロキノロンがリスクとなった。(15.0% vs. 0.0%; OR, 11.4;P=0.04)

結論:
CAPに対する外来フルオロキオンロン使用は、単剤よりも多剤によって
耐性結核菌をうむリスクとなる。
耐性結核とは少し異なるが、結核の偽陰性に関連するかという論文がある。
Arch Intern Medでは以下のような結論。
・結核症診断前のFluoroquinoloneの使用の診断上のインパクト
を調査した報告では、培養陰性結核への影響は否定的。
・年齢、性別、人種、疾患部位、HIV、診断年数補正において、
fluoroquinolone暴露は培養陰性結核と相関しない
(OR, 0.81; 95% CI, 0.41-1.60)
Increasing Outpatient Fluoroquinolone Exposure Before Tuberculosis Diagnosis and Impact on Culture-Negative Disease Arch Intern Med. 2007;167(21):2317-2322.
どうでもいいが、ジェニナックとクラビットとアベロックスを
multipleに外来処方しまくっている現状が当院にはある。
ニューキノロンを外来で処方することにためらいがないのか・・・?
by otowelt
| 2009-04-26 00:53
| 抗酸菌感染症