ステロイド性骨粗鬆症にゾレドロン酸(ゾメタ)単回静注が有用
2009年 04月 29日
当院でもボナロン35mg週1回なんて処方をよくするが、
経口ビスホスホネート製剤は、骨量を増やし椎骨骨折のリスクを低下させるが、
アドヒアランス遵守が維持できないという問題があった。
5mg毎日のほうがまだ遵守できる方かもしれない。
Lancetよりステロイド性骨粗鬆症の予防と治療における、
ゾレドロン酸(ゾメタ)と経口ビスホスホネートの比較試験。
HORIZON試験という。
(Health Outcomes and Reduced incidence with
Zoledronic acid Once yearly)
ゾメタの非劣勢が証明された。
なぁんだ、1回打っておけばいいんだぁと少し安心するスタディではあるが、
原発性骨粗鬆症ではなく、ステロイド骨粗鬆症に対するスタディなので
注意が必要である。
Zoledronic acid and risedronate in the prevention and treatment of glucocorticoid-induced osteoporosis (HORIZON): a multicentre, double-blind, double-dummy, randomised controlled trial
Lancet, Volume 373, Issue 9671, Pages 1253 - 1263, 11 April 2009
対象:
プレドニゾロン換算で7.5mg/日以上の経口ステロイド治療を受けており、
その後も投与が12カ月以上継続すると予想される18~85歳の患者を対象とした。
条件を満たした833人(68%が女性、14%が骨折歴あり)を、
ステロイド使用期間に基づいて2つに分けた。
使用期間3カ月未満の患者は骨密度低下の予防目的のグループ(288人)、
3カ月以上は骨密度低下の治療目的のグループ(545人)とし、
グループごとに無作為に1対1でゾレドロン酸5mgの単回静注または
リセドロネート5mg/日経口投与に割り付けた。
方法:
試験はダブルダミー方式。
ゾレドロン酸群には1日目に5mgを静注しその後はプラセボを投与。
リセドロネート群には1日目にプラセボを静注、その後毎日リセドロネートを投与した。
プライマリエンドポイントは、12カ月の時点の腰椎(L1~L4)の骨密度の変化率。
セカンダリエンドポイントは、12カ月時のその他の部位
(大腿骨近位部、大腿骨頸部、転子部、橈骨遠位端)の骨密度と、
胸部と腰部の椎骨骨折、骨代謝のバイオマーカー(βCTx、P1NP)などに設定。
結果:
プライマリエンドポイントにおいて、
リセドロネートと比較したゾレドロン酸の非劣性と優越性が示された。
12カ月の時点で、治療グループの腰椎の骨密度増加率の最小二乗平均は、
ゾレドロン酸群が4.06%(SE 0.28)、リセドロネート群が2.71%(0.28)、
平均差は1.36%(95%CI0.67%-2.05%、p=0.0001)。
予防グループでは、2.60%(SE 0.45)と0.64%(0.46)、
差は1.96%(1.04%-2.88%、p<0.0001)。
12カ月の時点で、ほかの部位の骨密度増加率もゾレドロン酸で有意に大きかった。
骨代謝のバイオマーカーは両群共に一貫して減少していた。
12カ月の時点では治療グループ、予防グループの両方において、
ゾレドロン酸群の減少が有意に大きかった。
ゾレドロン酸は急性期の発熱などの副作用がみられたが、
おおむね有害事象発生率に差はなかった。
試験終了時に、長期的に使用するとしたらどちらの投与法がよいかを患者に尋ね、
785人から回答を得た。
「便利なのはどちらか」:81%が静注、9%が内服を選んだ
「満足度が高いのはどちらか」:78%が静注、8%が内服を選んだ
結論:
ゾレドロン酸単回静注は、リセドロネート経口よりもステロイド骨粗鬆症に有用かもしれない
(統計学的には非劣勢)
by otowelt
| 2009-04-29 09:32
| 内科一般