遷延性発熱性好中球減少症における抗真菌薬はempiricalに開始されるべきである
2009年 05月 11日
発熱性好中球減少症の発熱遷延における、抗真菌薬投与について。
現在のガイドライン上の主流は、アムホテリシンBだが
そのうちカスポファンギンがスタンダード化すると思う。
(N Engl J Med 2004 30;351:1391-402.)
また、ボリコナゾールがLipアムホテリシンBに非劣性であることは有名である。
(N Engl J Med 2002 24;346:225-34.)
今回の論文は、ガイドライン通りempiricalに開始しないと
どういうデメリットがあるかを考察した論文である。
CIDより。
Empirical versus Preemptive Antifungal Therapy for High‐Risk, Febrile, Neutropenic Patients: A Randomized, Controlled Trial.
Clinical Infectious Diseases (2009) vol. 48 (8) pp. 1042-1051
背景:
好中球減少患者における抗真菌薬を開始する時期は難しい。
2002年のIDSAのガイドラインでは抗菌薬を投与して3~5日で再評価、
5~7日たっても解熱せず、好中球の上昇がなければ抗真菌薬を投与すべしと
いうのが現在のスタンダード。
方法:
4日目で解熱しない症例に関して、
抗真菌薬を投与するempirical群と、
抗菌薬投与して4日以降で、臨床的、画像的、ガラクトマンナンなどで
深在性真菌症(IFI)を疑った時に抗真菌薬を投与するpreemptive群にランダム化。
結果:
primary endpointの生存率に関しては、有意差はなかった。
preemptive群はempirical群に対してIFI発生は多かった(9.1% vs 2.7%)。
抗真菌薬の投与量やコストはempirical群の方が多かった(empiricalの方が
抗真菌薬の開始が早いため)。
サブグループ解析では、induction therapyをおこなった患者において
empirical群の死亡率が94.9%、preemptive群が93.2%(95%CI:-8.0%~4.6%)
↑統計学的には微妙な差があると筆者は理論展開している。
結論:
遷延性発熱性好中球減少症における抗真菌薬の投与について、
preemptive therapyよりもempirical therapyの方が推奨される。
induction therapyの場合は、さらに推奨されるべきである。
preemptive therapyの場合、IFIの発症が上昇する。
by otowelt
| 2009-05-11 14:47
| 感染症全般