早期癌患者生存者における、食事運動療法は機能低下を防ぐ
2009年 05月 19日
JAMAより癌生存者における食事運動療法のメリットについて。
高齢者癌患者にどこまで介入していいのやら・・・
というマイルストーン的な論文になるかもしれない。
Effects of Home-Based Diet and Exercise on Functional Outcomes Among Older, Overweight Long-term Cancer Survivors
JAMA. 2009;301(18):1883-1891.
背景:
早期大腸癌・乳癌・前立腺癌の5年生存率は、現在90%以上である。
生存者において、第二の発癌、合併症が起こると、機能的な低下を招く。
ライフスタイルの介入を行うことで、それに利益をもたらすかもしれないが、
まだ長期の癌生存者のライフスタイル改善による効果についてはよくわかっていない。
目的:
電話コンサルトとメールプリントによる食事・運動療法が
高齢者の機能低下においてどのように癌生存者の利益につながるか検証。
デザイン:
641人65~91歳のBMI25~40の過体重患者を5年間以上追跡。
大腸癌、乳癌、前立腺癌の患者を319人の介入群と322人の非介入群に割り当て。
介入:
12ヶ月の在宅ベースの電話コンサルト・メールによるサポート。
食事・運動療法のマネジメントをこれでおこなった。プライマリエンドポイントは
自己申告の身体機能と12ヶ月後のShort-Form 36 physical function subscale
(score range, 0-100;ハイスコアは良い機能を反映)。セカンダリエンドポイントは
下肢機能サブスケール(Late Life Function and Disability Index)
(score range, 0-100)、身体活動、BMI、QOLである。
結果:
平均Short-Form 36 physical function scoreは75.7であった。
平均機能スコアは介入群でより低下を防いだ。
(−2.15;95%CI −0.36~−3.93)VS(−4.84;95%CI, −3.04~−6.63) (P=.03)
平均の下肢機能サブスケールは78.2であった。
介入群で12ヶ月後に、0.34 (95% CI, −0.84 to 1.52)、非介入群で−1.89
(95% CI, −0.70 to −3.09)とこれも有意に介入群の成績がよかった(P=.005)。
セカンダリエンドポイントもすべて介入群に軍配があがった。
結論:
高齢者において、早期大腸癌・乳癌・前立腺癌の長期生存者に対して
食事運動療法についての介入を行うことで、機能低下を防ぐことができる。
by otowelt
| 2009-05-19 00:27
| 肺癌・その他腫瘍